ポピーは魔法世界に住む少女。彼女たちは、キャビッチという不思議な野菜を使って魔法を行使する。ある時、親友のヨンベが恐ろしい鬼魔(キーマ)にさらわれてしまう。優しいウールー、どこかずるがしこいユエホワ、そして幾人ものハンサムな神様たちとともに、ポピーの旅が始まる。冒険ファンタジー『魔法野菜キャビッチ』8月2日連載開始!
- 最新号:2008-09-06
- 発行周期:毎週土曜日
- 読んでる人:22人
- 創刊日:2003-11-29
- Score!:-点
- コメント数 : 0
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葵マガジン*多重人格の急須 27
発行日: 2008/6/7*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v
◇◆◇◆葵マガジン 2008年6月7日号◆◇◆◇
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孤独を抱えながら日々を送る智美には「クスリ」という逃避手段があった。
自分の記憶の中に眠る、かつての甘美な思い出……夢の世界……
だがある日、「夢」はいつもと違っていた。
今までに見たこともない、錯綜した、淫靡で邪な世界。
そしてその世界で、智美は信じ難い人物と遭遇するのだった──
現代ダークファンタジー
「The Baesty Angel」(作/葵むらさき)
連載中! ※18禁
ケータイ書庫-BooksLegimo(ブックスレジモ)-
http://blegi.jp/
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◇◆◇◆多重人格の急須◆◇◆◇
第27話(全32話)
“統合者”、現れる 1
「うっそ――ホントに?」遥香はまた訊いた。
「うん」真央子はまた頷いた。「たちけてって、ゆってゆ」
「ひろみ、ちゃん」舞子は、無意識の内に木多丘に呼びかけていた。「殺さな
いで、ひろみちゃん」両手を膜に突く。弱電流のようなものを掌に感じた。が、
そんなことには構わない。
エイリアンの黒山はなおも沈み込み、あとわずかで完全に地中に呑み込まれ
そうだった。
木多丘の姿は、どこにも見えない。
舞子は、大きく息を吸い込んだ。
「殺さないで、ひろみちゃん」叫ぶ。
頭のてっぺんから足の爪先まで、自分の血管の中にアドレナリンが一気に流
れゆくのをありありと感じ取れるほど、舞子は全身で叫んだ。
「エイリアンたちを殺さないで。眠らせてあげて。これは命令よ。眠らせるだ
けにして。聞こえる? ひろみちゃん!」
黒山はついに沈み込み、大地の上には何も残らなかった。
舞子は、自分の頬が濡れているのに気づいた。
木多丘は、エイリアンたちは一体どうなったのだろう――?
彼女は、その場にへたり込んだ。
音のない空間の中を、時間だけがただ行き過ぎた。
が、やがて舞子は自分の座る地面に震えを感じはじめた。
地震は、だんだん大きくなっていった。
真央子は一層母にしがみつき、遥香は真央子を抱いたまま舞子の隣にしゃが
み込んだ。
突如、舞子たちのいる地面が隆起した。
「きゃああ」舞子と遥香はお互いの体に捕まり合った。
それから揺れはぴたりとおさまり、強く閉じていた眼をそろりと開けてみる
と、舞子たちのそばに、木多丘が地面から首だけをのぞかせていた。
いく分疲れたような顔で、彼はふうと息をついた。
「ひろみちゃん!」舞子は思わずその頭をぎゅっと抱きしめた。「大丈夫?
ケガしてない?」
「ご主人さま」木多丘はくぐもった声で答えた。「ケガはありませんが、苦し
ゅうございます」
「あ――ごめん」舞子は慌てて手を離した。
「エイリアンは?」遥香が、おずおずと訊いた。
「仰せの通り、全員地下にて眠らせましてございます」木多丘は頭をかくんと
前に垂れて報告した。
「あ――」舞子は、肌に粟が立つのを感じた。「じゃ――聞こえたのね?」
「あのさあ、舞子さんよ」木多丘は首をぐいと上にねじ向けて舞子を見た。
「心配しなくても、おたくの声はいつでもどこでもおいらたち聞いてるから――
普通に話してくれていいのよ。あんながなられると、うるさくってしょうがね
え」
「あっ、そうなんだ」舞子は赤面して口を両手で覆った。しかしすぐにむっと
して「だって、知らなかったんだから仕方ないでしょ。そうならそうって、地
面に潜る前に言ってよね」と言い返した。
「あーはいはい、んじゃ今度から地中にエイリアン引き連れて潜る前にゃそう
言いますよそれでいいんでしょそれで」
「何よその言い方」
「もう二人とも」遥香が、いつもの苦笑を浮かべる。「小学生じゃないんだか
ら」
「さてそれじゃ、また“主”に会いに行くとするか」木多丘はそう言って、地
面の下から手を出し、上半身を地上に出した。「さーあ乗ってちょうだい」自
分の肩を左右交互に叩く。
舞子と遥香はその上に座り、木多丘はすぽんと地中から飛び出たかと思うと、
またもや猛烈な勢いで足先から地面に潜り込んでいった。
舞子は頭に血が昇るのを感じたが、やがて違和感は消えた。
「“主”のやつ、起きてるかなあ」舞子は不安げな声を出した。
「うん」遥香も頷く。「あたしたちが行く前に、また眠りに入っちゃったり、
しないのかな」
「ふっふん」木多丘は誇らしげに鼻を鳴らした。「この木多丘さまの封印が、
そう簡単に破られてたまりますもんかい。やつの分身は当分起きられねえよ」
「そか――でもそれにしても“主”に会う必要があるって、誰が言ったのかな
あ」舞子の不安の声は続いた。
「そうねえ」遥香も同じだった。「第五の人格? ――本当にそうなのかしら」
木多丘は、無言だった。
やがて舞子たちはまた“主”のいる部屋へ、さっきとは別のルートで――つ
まりそこの天井にさらなる穴を開けて――たどり着いた。
舞子と遥香は床に降り立ち“主”と対峙した。
“主”は覚醒していた。
皺の中の瞳は開かれており、それは舞子たちと自分との間の床の上を見てい
た。
「んじゃあ、俺はこれで」木多丘はだし抜けに、そう言った。
「えっ」舞子は“主”の方に向けていた顔を木多丘に戻した。「あたしたち、
どうすれば――」
「しっかりしてよ、ご主人様」
舞子は、きっと木多丘がそう答えるのだと思った。
しかし、木多丘は何も言わず舞子を見ていた。
「な、何よ」舞子はなんだか照れ臭いようないたたまれない気持ちになって、
わざとけんか腰の言葉を投げかけた。「なに無言で人の顔見てんのよ。きもい
っしょ」
しかし木多丘はやっぱり何も言わず、ただフンと鼻を鳴らして、それから
「じゃあな」と言った。
「後でね」舞子はそう答え、そして木多丘の姿はしゅッと消えた。
いつもならすぐその後で、ぼん、と音が続き、いつの間にかそこに存在して
いた急須から別の人格が出てくるのだ。
が、その音は聞えなかった。
急須は押し黙ったまま、木多丘に続く者は誰も出てこなかった。
「――え?」舞子と遥香は顔を見合わせた。
それから、急須を見る。
何も、起こらない。
誰も、出てこない。
「――え?」二人はまた、顔を見合わせた。
その時、かたかたかたかたッと、突然急須が小刻みに震え出した。
◇◆◇◆次号へ◆◇◆◇
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やつらは「何か」に取り憑かれている──
オムニバス・ホラーコメディ
「ハーイ皆死んだ魚の目でチ〜ズ」(作/葵むらさき)
連載中!
おりおん☆
http://de-view.net/pc/
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◇◆◇◆後記◆◇◆◇
葵むらさきです。ご購読ありがとうございます。
「心無い言葉」というものがありますが、皆様は「心無い言葉」を向けられた
時、どのような対応をなさいますか?
「そんな言い方はないんじゃないですか?」
「確かに、おっしゃる通りかも知れません」
「なるほど、ははは……」
穏やかな微笑を浮かべて、上のような言葉を返せば、いいんでしょうかねえ。
わたくし葵むらさきは、どうも
「もっと心無い言葉」
を叩きつけてしまう傾向が強いようです。
当然、相手も怒って「さらに心無い言葉」で応酬してきます。
するとわたくし葵は「輪をかけて心無い言葉」を吐きかけます。
あー……醜い。
この性格は、ゲームにも如実に出ます。とにかく攻撃。引くことを知らない。
申し訳ていどに左右によけてみたりはするけれど、最後はやっぱし至近距離で
こっちが死ぬか相手が死ぬまで叩き合い。(大抵、こっちが死にますが……)
やっぱりキーワードは「距離を置く」でしょうかね。
遠く隔たったところから電話やメールだけでやり取りする分には、感情が多少
削られるかも知れませんし。
冷静に、魔法攻撃……いや、嘘ですよはは。
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