ポピーは魔法世界に住む少女。彼女たちは、キャビッチという不思議な野菜を使って魔法を行使する。ある時、親友のヨンベが恐ろしい鬼魔(キーマ)にさらわれてしまう。優しいウールー、どこかずるがしこいユエホワ、そして幾人ものハンサムな神様たちとともに、ポピーの旅が始まる。冒険ファンタジー『魔法野菜キャビッチ』8月2日連載開始!
- 最新号:2008-10-12
- 発行周期:毎週土曜日
- 読んでる人:17人
- 創刊日:2003-11-29
- Score!:-点
- コメント数 : 0
- メルマガID:151884
- バックナンバー:全て公開
- 発行者サイト:あり
- >> 月間ランキング
葵マガジン*多重人格の急須 18
発行日: 2008/2/9*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v
◇◆◇◆葵マガジン 2008年2月8日号◆◇◆◇
*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v
やつらは「何か」に取り憑かれている──
オムニバス・ホラーコメディ
「ハーイ皆死んだ魚の目でチ〜ズ」(作/葵むらさき)
連載中!
おりおん☆
http://de-view.net/pc/
*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v
◇◆◇◆多重人格の急須◆◇◆◇
第18話(全32話)
“主”、現れる 4
「まだ慣れてないんですか?」大石が冷たい光を眼鏡に宿らせ冷たくいい放っ
た。
舞子がむっとした表情を作るのと、大石が「こちらです」と身を翻すのと同
時だった。
——こいつの方は、あたしの扱いに慣れてきていやがる。
舞子は内心そう認めざるを得なかった。まったく、鼻持ちならぬ奴だ。
鼻持ちはならないが、さすがに大石の情報、引導は正確だった。
舞子たちは一度も立ち止まったり後戻りすることなく、そこにたどり着いた。
その、場所に。
「この扉の向こうに“主”がいます」
大石は、平らで白い壁の一部を指差していった。
「扉——って、何にもないじゃん?」舞子は大石の差す場所をこつこつと叩い
た。
するといきなり、その壁は左右に分れて開いた。
「——あ」
舞子は手をノックの形に保ったまま、目と口の両方をまるく開けて室内を見
た。
広い部屋だった。
広過ぎる、といってもよかった。
天井もはるか彼方にある——ここに比べれば、先ほど真央子が閉じ込められ
ていたところは部屋と呼べるものではなかった。
そう思った時、舞子の中に怒りの感情が湧き起こった。
——地球人を冒涜している。
彼らにとって自分たち貴き地球人は、検査をしたり実験をしたりするための
ラットなのだ。
尊厳、という言葉が脳裡をよぎった。
地球人たちが実験に使うラットには尊厳がないのかと問われれば答に窮した
かも知れないが、とりあえず今自分は人間をやっているのだ。ラットの尊厳の
ことはラットに生れ変ってから考える。
とりあえず今は、いくら子供とはいえ私たち人間——地球人の仲間をどんな
方法であれ“お試し”に使ったということを、心の底から許せないと、舞子は
思っていた。いや、子供ならばなおのことだ。
「ちょっと!」彼女は室内に向かって叫んだ。
そのだだっ広い部屋のずっと奥に、六畳一間のアパートではとても置けそう
にないほどのこれまた巨大な椅子が置いてあり、その中にちょこんと“人”が
座っているのが見えたのだった。
「あんたがシュさんね?」舞子は、舞台女優のように声を張り上げた。
「こんにちは」
すぐ傍で声がし、舞子と遥香はびくっとして辺りをきょろきょろ見回した。
が、近くには誰もいない。
「テレパシーですよ」大石が低く説明した。「魔法、というべきかな」
「ああ……」舞子は取り乱した自分を少し恥かしく感じながら、部屋の奥へ向
かっていった。
「こっちへ来てはいけません」その“人物”は、早口で制止をかけた。
「なんでよ? 行こうが行くまいがあたしの勝手でしょ」舞子は反発してずか
ずかと進んで行った。
「こっちへ来れば死ぬことになるかも知れませんよ」
「はあ?」さすがに舞子はぎくりとして、足を止めた。「ど、どういうこと
よ?」
「私は今あなた方に思念を送っていますが、それはあなた方にとっては極めて
有害な方法のようです」
「なんで?」舞子は、相手のいっていることがよく呑み込めなかったが、とり
あえずそう訊いてみることにした。
「地球という、あなた方の星で起った哀しむべき事故のことを、覚えておいで
ですか?」相手は訊いた。
「事故——? あ——」舞子の脳裡に一連の“エイリアン殺人事件”のことが
蘇った。
「事故、ですって?」訊き返したのは、真央子を抱いている遥香だった。その
眉根は厳しくしかめられていた。「あれは“事件”よ。あなたたちが起した、
ね」
「私たちに彼らを殺害する気は毛頭なかったのです」
「フン、犯人っていうのはね、皆そういうもんなのよ」舞子も遥香のように、
眉を思い切りしかめて見せた。
「もちろん、地球人に危害を加えた者たちには相応の処罰を与えました」
「そんなことしたって、死んだ人は生き返っちゃこないわ」
相手は、黙り込んだ。
舞子は、相手が自分の剣幕に圧されて口をつぐんだのだと、勝利に似たもの
を感じた。
「もちろんそうです、死んだ人は帰ってきません——ここで私とあなたが議論
しても、ね」
「“ああいえばこういう”タイプですね」大石の呟きに舞子が振り向いて見る
と、彼は鼻に皺を寄せて嫌そうな顔をしていた。「ぼくは、ああいうタイプは
嫌いです」
それはあなた、自分で自分を嫌いといってるってことよ、と思ったけれど、
舞子は黙っていた。
今は“主”の方が敵で、大石と仲たがいしている場合ではないのだ。
「じゃあ議論をやめて結論をいうわ」舞子は“主”に向き直っていった。
「もう、私たちの惑星に来ないで。わかった?」
「あなたは地球人類の、全権大使ですか?」“主”は静かに訊いた。
「へ? ぜんけん……?」
「全権大使——外交使節の中で一番偉い人のことよ」遥香が、大石の“鳴り物
入り説明”が始まる前に素早く簡潔に説明した。
「う……」舞子は口ごもった。
「そうではありませんね?」“主”の声は飽くまで柔らかかった。
いや、声でなく送られてくる思念は、だ。
「そ、そ」舞子は答えることができずにいた。
「もちろんそうではありませんが」助け舟を出したのは、大石だった。「地球
人たちのほとんどが我々の意見に同調することは間違いないと思われます」
“主”は、しばらく押し黙った。
「——あなたは“地球人”なのですか?」“主”は大石に振り向いた——よう
に、舞子には感じられた。
“主”の意識が、というべきか。
「私は——」大石はそういい、それからまったく信じられない行為に移った。
膝を折り曲げ、頭を垂れ手を胸に当ててこういったのだ。「こちらにおわし
ます舞子さまにお仕えする、しもべの魔法使いでございます」
◇◆◇◆次号へ◆◇◆◇
*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v
◇◆◇◆後記◆◇◆◇
葵むらさきです。ご購読ありがとうございます。
最近はもっぱら任天堂のWiiで遊ぶ毎日なのですが、ゲームの息抜きにWiiメニ
ューの中の「天気予報」というのを見たりしています。
これに「地球儀」というコンテンツ(というのか)があるんですが、文字通り
地球の画像が出てきて、手のひらアイコンでそれをつかんで回して地球上の任
意の地点(といってもあらかじめ設定された都市のみですが)の今日の天気や
気温を知ることができるわけです。
んで、わたくし葵がいつも必ずチェックを怠らないのが「南極」の天気です。
オゾンホールの心配とかしているわけじゃないんですが(いや心配ですが)、
地球儀をつかんで回して南極を出して「晴れ、最高気温−24℃」とかって表示
されると
「あー、今日の南極はあったかいんだなあ」
とか思ったり、するわけです。
でも「気温−20℃」といわれると、「今日の南極は、寒そう」になるというと
ころが、見事に引っかかっているんですね。
−24℃より−20℃の方が、気温的には高いんだよ葵!
つってもまあ、どっちにしても極寒ではあるんでしょうけどね。
ペンギンたちは元気だろうか。
*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v
『マガルド』メルマガランキングに参加しています。
本メルマガがお気に召しましたらぜひ以下の投票用URLにアクセスして下さい。
http://www.magald.com/cgi/ranking/rank.cgi?mode=r_link&id=27
それでは次回をお楽しみに。
発行者:葵むらさき
aoi@xi.peewee.jp
◇◆◇◆葵むらさき言語凝塊事務室◆◇◆◇
http://murasaki.aoi.peewee.jp/
*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v*v
購読解除は以下のページで行って下さい。
http://www.melma.com/backnumber_151884/
このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます
- メールマガジン『杜の本屋さん』
- 今回のテーマは、『ボランティア』です。女子中学生三人が、老人ホームでのボランティア活動を通して、何を見て、考え、学んでいくか。ひとが人になっていく過...
- G-Tune Mail magazine
- PCゲーム向けハイエンドパソコンブランド、「G-Tune」のメールマガジンです。毎月お知らせや新商品情報等をお届けします!
- 日刊ショートショート劇場
- 動物たちがくり広げるナンセンスで笑えるショートショートを日刊でお届けしています。毎朝6時配信です。
- 葵マガジンK
- 学校ギライ、人ギライの舞子はある日不思議な物を見つけた。アラジンの魔法のランプ……に似た、急須。偶然にその中に住む魔法使いを呼び出し主人となってしま...
- アナログ世代の奇想怪説
- 「徒然草」の吉田兼好法師にならい、日常生活で感じたことや、思い出をコラム風に書き散らしたいと思います。私はいわゆる昭和一桁です。社会人としては技術者...
![メルマガスタンド[メルマ!]](/img/common/backnumber_article/melma_logo.gif)


