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聖定

発行日: 2008/7/21

予定論の教理がカルヴァン主義の中心であるかのようにいわれることがありますが、それは正しくないでしょう。

難しく言えば、予定論は神の主権と恩寵の独占的活動の教理なのですが、「父なる神の予知に従い、御霊の聖めによって、イエス・キリストに従うように、またその血の注ぎかけを受けるように選ばれた人々(1ペテロ 1:2)」などを誤って解釈し、予め決まっているのなら、伝道する必要はないと誤解する人もいます。

また人間の自由の全ての可能性を否定する極端な、過度の予定説もあります。

今日は、カルヴァンの神学に関連するいくつかの神学的キーワードを整理しておきます。出典は、「キリスト教神学用語辞典」(日本キリスト教団出版社)です。

(1)予知 foreknowledg
物事や出来事が起こる前に、それを知っていること。すべてを、その原因を含めて、時間の経過の中で、それらが生起する前に知っている神について言われること(詩139:4)。神の全知とは、人間にとっての「未来」をも含む永遠の知なのである。

(2)予定 predestination
あることが特定の結果に至るよう神が意図すること。前決定(foreordination)とも呼ばれる。一部の,特に改革派の神学者たちは、あらゆる被造物を永遠の命ないしは死に定める神の永遠の聖定と見なす。「選び」と同義的に用いられ、イエス・キリストを信じる者の救いを、神が恵み深く始めたことを言う。

(3)二重予定説 double predestination
神が自由に、ある人々を救い(選び)、ある人々を断罪する(却罰)ように選んだという説。
神の聖定に選びと却罰の両方を認める意味で「二重」と言われる。

(4)選び election
救いの恵みを喜び、世界における神の目的を遂行するために、神がある人々を選ぶこと。この教理は、改革派神学の中で特別に重要なものであり続けてきた。

1テサロニケ1:4 神に愛されている兄弟たち。あなたがたが神に選ばれた者であることは私たちが知っています。
2ペテロ 1:10 ですから、兄弟たちよ。ますます熱心に、あなたがたの召されたことと選ばれたこととを確かなものとしなさい。これらのことを行なっていれば、つまずくことなど決してありません。

*選びの鏡 mirro of election
ジャン・カルヴァンの用語で、人はイエス・キリストにおいて選びを見出し、また選びはイエス・キリストにおいて目に見えるものとなることを示す(『キリスト教綱要』3.24.5)。
これは、「私はイエス・キリストを信じているのか」という問いにこそ救済の確信があることを意味している。

*選びの基礎 foundation of election
イエス・キリストを指す改革派神学者の用語。イエス・キリストにおいて神は選民を選ぶからである。
アルミニウス主義の神学者の場合は、救いへと至る選びの基礎として、キリストを信じる人間の決断を言う。
 
ここで、聖書辞典からも補足します。

■ 聖定
パウロは神を「みこころによりご計画のままをみな実現される方の目的に従って」と語って、世界と歴史に対して包括的な御計画を持って働かれる方であると言う。

エペソ 1:11 私たちは彼にあって御国を受け継ぐ者ともなったのです。私たちは、みこころによりご計画のままをみな実現される方の目的に従って、このようにあらかじめ定められていたのです。

神の永遠の計画を神学用語では聖定と言う。ウェストミンスター小教理問答はこの聖定について古典的な定義を与えている。

「神の聖定とは,神の御旨の深慮による永遠の計画であって,これにより,神は御自身の栄光のために,何事によらず起ってくるすべてのことを予定しておられる」(問7の答)。

(村川注)以下は難しい、ややこしいとも思える表現をしていますが、聖定論を運命論や決定論と混同しないための重要な指摘です。

神学者たちは神の聖定的意志と命令的意志とを区別する。

神の命令の意志は、神が被造物に定められた命令や戒命や律法であって、服従を要求されているが、しばしば違反されるものである。聖定的意志のほうは、神の永遠の、全包括的な、不変的な計画のことであって、歴史の中に必ず実行されるものである。

神学で神の聖定と言う場合,天地の創造以前になされた神の永遠の計画のことを言う.選民は「世界の基の置かれる前から」選ばれたのである。
エペソ1:4 すなわち、神は私たちを世界の基の置かれる前からキリストのうちに選び、御前で聖く、傷のない者にしようとされました。

聖定はまた歴史の中における聖定の実現と区別されねばならない。天地を創造するという聖定行為は永遠であるが、聖定に基づく創造行為は、時間とともに、時間の中で行われる神の行為である。神の永遠の聖定は明らかにキリストの十字架の背後にある。

永遠の聖定の教理に対する反対説は、それが人間の責任と両立せず、歴史を無意味にし、神を罪の作者とする、ということである。

神の聖定的意志と命令的意志を区別しなかったり、聖定とその遂行の複雑な仕方を区別することに失敗すれば、神の聖定を運命論的、決定論的に考えるようになる。

そして、人間はロボットのように考えられ、歴史は作成されたプログラムに従って働くコンピュータかあらかじめレコードされた視聴覚教材のようなものであると考えるようになる。

アダムの堕落とキリストの十字架が神の聖定に含まれていても、聖定はその生起を確実にするが、その生起を強制するものではない、と聖書は明瞭に示している。

その場合、人間は自由に、しかも無責任に行為するのである。人間は、人間がそれをしてはならないと神が命じたまさにそのことを、神のみこころに反して行う、という仕方で神の聖定を遂行するのである。

 
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