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救いの教義

発行日時: 2008/4/10

あるとき教会で証しを聞いていたら、ある若い女性が、「私は大学生だったころ、この教会の青年会のキャンプで救われました」と言いました。クリスチャンなら分るのでしょうが、「救われるってなんですか?」と入門者や初心者の方に聞かれて、皆様はどうお答えになりますか?

「イエス・キリストを知ることです」と簡単に言って、その場をしのぐこともできるかもしれませんが、「救い」の持つ意味は、とても深いのです。

日本人も救いという言葉を日常的に用います。

力を添えて危難・危機を免れさせる、死から命を救う、飢餓・貧困を無くすなどなどのほか、来世・現世での罪や苦患を免れさせる意味でもです。

ところで日本人の救いは、自己努力に頼ろうとすることが多く、キリスト教国の国民のように、「救うのは神」という考え方はありません。

今は東京都知事、かっては作家として活動されていた石原慎太郎さんは、創価学会でこれこそ釈迦の真の教えとして(あたかも聖書のように)拠り所とする法華経の信奉者としても知られています。

石原さんの著書「法華経を生きる」には、救いについて、仏教とキリスト教を比較評論している部分があります。

以下、著書から、著者の言葉を引用します。

(引用)

誰にも仏性はあるのだ、だから私自身も努力してこうして仏になったのだ、だからお前たちも自分自身のために努めて仏となれという釈迦の教えはいかにも厳しいが、慈愛に満ち、かつまたいかにも人間的だと思います。

松原泰道師の本に、師が若い時ある熱心なクリスチャンに、仏教では、「人間には誰にも仏性という純粋な人間性があって、誰もが仏(神)となる可能性を持っている」といったら、その相手に「神が人間を救うのだ。神に救われる人間が神になれるというのは、神を冒漬するものだ」と怒られたというエピソードが載っています。

これは極めて大事な挿話で、ここにこそ釈迦の説かれた哲学の人聞的特質が逆に如実に明かされていると思います。

つまりキリスト教の人間への救いは、最後の最後に絶対的な神が、多分、有無をいわせずおこなってくれるということなのだろう。それはそれでそう信じればこんなに便利で有りがたい話はない。

しかし釈迦の教えは、キリスト教のいうように決して一方的、絶対的でありはしない。絶対なんぞが仏教には無い、ということが仏教の比類ない個性であり人間性なのです。

いい換えれば、救いは神に待たずに自分自身で試み努め獲ち得る以外にない。しょせん自分自身の問題、自分自身の責任、自分自身の人生なのだということです。

すがる相手が絶対なるものではなしに、まず自分自身なのだという方が、作業は容易ではないがはるかに人間的だし、安息も納得も出来るものではないだろうか。

いやそれ以上に、自分の血の繋がる過去にも未来にも満ち満ちた無数の先祖、子孫という仲間たちと、無数の強い連帯の下に自分の人生を切り開き、かつまた彼等の過去と未来の人生を自分も一緒に切り開くという作業は、いつもはるかにやさしく、楽しく、雄々しく、期待に満ち満ちたものだと思います。

(引用終り)

日本人には、他力本願の浄土真宗の思想もありますが、自力の日蓮宗の思想も影響して、宗教的な救いもまた自己努力とする傾向があります。

苦しいときの神頼み、溺れるものは藁をもつかむ、天は自ら助くるものを助く、などの諺が日本人の心のようですが、日常的に言い交わされる「頑張って!」という言葉が端的に示すように、自分を救うのは自分自身でしかないと言う考え方が強いのではないでしょうか。

さて本題の「救いの教義」に戻ります。

私は、救いには、過去と現在と未来があるという言い方をしますが、新キリスト教辞典の「救い」の項の説明を借用して、その一部を要約・編集しますと、次のようになります。

1.旧約聖書においては、「救い」ということばが、敵や困難や危険から助け出すという一般的な意味でも多く使われているが、最も大切な意味は、あくまでも、メシヤを信ずることによる罪の赦しと、来るべき神のさばきからの救いであり、人々は、いけにえの動物の血を流しながら、やがて来るべき完全なメシヤの来臨を待ち望んでいた。

2.新約聖書においては、「救い」はやはり様々な状況における危険からの救いであるが、「救い」の最も大切な意味は、霊的な死からの救いである。

すなわち、旧約聖書において預言され、旧約時代の人々が待望していたメシヤがすでに来臨され、そのメシヤの贖いの死と、彼に対する信仰とによって、人類が、罪によってもたらされる神のさばきから救われることが、新約聖書の中には明白に表されている。

3.そして、われわれは今、キリストを信ずることにより、罪が赦され、救われることができるが、その救いの最終的な実現は、キリストの再臨と神のさばきの時にある。
(続く)

 
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