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つまづき(11)

発行日時: 2006/11/14

キリスト教批判を好む人たちは、聖書の記述の矛盾点をよく調べています。
実は聖書の教えは、決して矛盾することはなく、矛盾のように思われても、それが矛盾ではなくて両立するのです。

しかし矛盾だと言われて、たじろがないように、聖書をしっかりと学んでおきましょう。それは反論のためだけでなく、自分自身の深い聖書理解にも大切だからです。

聖書は、前後をよく読まないでその部分だけ取り上げると、誤解します。またコンコーダンスを用いて、同様な記述が別の書、章、節で何と書かれかつ説明されているかを知らないと、間違った判断に至ります。

まずそのような例を挙げます。

(パウロによる)ローマ人への手紙から:
 
4:2 もしアブラハムが行ないによって義と認められたのなら、彼は誇ることができます。しかし、神の御前では、そうではありません。

 4:3 聖書は何と言っていますか。「それでアブラハムは神を信じた。それが彼の義と見なされた。」とあります。

ヤコブの手紙
 2:21 私たちの父アブラハムは、その子イサクを祭壇にささげたとき、行ないによって義と認められたではありませんか。

 2:22 あなたの見ているとおり、彼の信仰は彼の行ないとともに働いたのであり、信仰は行ないによって全うされ、
 2:23 そして、「アブラハムは神を信じ、その信仰が彼の義とみなされた。」という聖書のことばが実現し、彼は神の友と呼ばれたのです。

 2:24 人は行ないによって義と認められるのであって、信仰だけによるのではないことがわかるでしょう。

ここで、ポイントとなる部分を比較・対照します。

パウロ:
聖書は何と言っていますか。「それでアブラハムは神を信じた。それが彼の義と見なされた。」とあります。  
− 信じたそれが義とみなされた。つまり義とは信仰である。−

ヤコブ:
私たちの父アブラハムは、その子イサクを祭壇にささげたとき、行ないによって義と認められたではありませんか。
− 行ないによって義と認められた。つまり義とは行いである。−

「パウロとヤコブの教えは明らかに矛盾するではないか!どちらが本当か?」という指摘です。これらの文をそれらだけについて読めば確かに矛盾です。

聖書で、これらの2箇所を再三再四読んで考えても、それだけでは答えはありません。

実はパウロとヤコブは、アブラハムについて、創世記の別の箇所について、述べているのです。

まずパウロは次の部分を取り上げます。

創世記
 15:1 これらの出来事の後、主のことばが幻のうちにアブラムに臨み、こう仰せられた。「アブラムよ。恐れるな。わたしはあなたの盾である。あなたの受ける報いは非常に大きい。」

 15:2 そこでアブラムは申し上げた。「神、主よ。私に何をお与えになるのですか。私にはまだ子がありません。私の家の相続人は、あのダマスコのエリエゼルになるのでしょうか。」

 15:3 さらに、アブラムは、「ご覧ください。あなたが子孫を私に下さらないので、私の家の奴隷が、私の跡取りになるでしょう。」と申し上げた。

 15:4 すると、主のことばが彼に臨み、こう仰せられた。「その者があなたの跡を継いではならない。ただ、あなた自身から生まれ出て来る者が、あなたの跡を継がなければならない。」

 15:5 そして、彼を外に連れ出して仰せられた。「さあ、天を見上げなさい。星を数えることができるなら、それを数えなさい。」さらに仰せられた。「あなたの子孫はこのようになる。」

 15:6 彼は主を信じた。主はそれを彼の義と認められた。

ここでは、15:6 彼は主を信じた。主はそれを彼の義と認められた。・・に注目してください。

さてアブラハムにはその後、イサクトいうひとり息子が与えられます。そして神はアブラハムを試されるのです。創世記の物語はさらに先に進みます。

創世記 22:1 これらの出来事の後、神はアブラハムを試練に会わせられた。神は彼に、「アブラハムよ。」と呼びかけられると、彼は、「はい。ここにおります。」と答えた。

 22:2 神は仰せられた。「あなたの子、あなたの愛しているひとり子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。そしてわたしがあなたに示す一つの山の上で、全焼のいけにえとしてイサクをわたしにささげなさい。」

22:9 ふたりは神がアブラハムに告げられた場所に着き、アブラハムはその所に祭壇を築いた。そうしてたきぎを並べ、自分の子イサクを縛り、祭壇の上のたきぎの上に置いた。

 22:10 アブラハムは手を伸ばし、刀を取って自分の子をほふろうとした。

 22:11 そのとき、主の使いが天から彼を呼び、「アブラハム。アブラハム。」と仰せられた。彼は答えた。「はい。ここにおります。」

 22:12 御使いは仰せられた。「あなたの手を、その子に下してはならない。その子に何もしてはならない。今、わたしは、あなたが神を恐れることがよくわかった。あなたは、自分の子、自分のひとり子さえ惜しまないでわたしにささげた。」

 22:13 アブラハムが目を上げて見ると、見よ、角をやぶにひっかけている一頭の雄羊がいた。アブラハムは行って、その雄羊を取り、それを自分の子の代わりに、全焼のいけにえとしてささげた。

 22:14 そうしてアブラハムは、その場所を、アドナイ・イルエと名づけた。今日でも、「主の山の上には備えがある。」と言い伝えられている。

 22:15 それから主の使いは、再び天からアブラハムを呼んで、

 22:16 仰せられた。「これは主の御告げである。わたしは自分にかけて誓う。あなたが、このことをなし、あなたの子、あなたのひとり子を惜しまなかったから、

 22:17 わたしは確かにあなたを大いに祝福し、あなたの子孫を、空の星、海辺の砂のように数多く増し加えよう。そしてあなたの子孫は、その敵の門を勝ち取るであろう。

 22:18 あなたの子孫によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる。あなたがわたしの声に聞き従ったからである。」

ここでは、22:18祝福を受けるようになる。あなたがわたしの声に聞き従ったからである。・・に注目してください。その行いによってアブラハムもその子孫も祝福されると神が約束されたのです。

いかがでしょうか。矛盾は矛盾ではないのです。

さらに説明しましょう。(続く)

 
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