つまづき(7)
発行日時: 2006/11/8マタイ 5:38 『目には目で、歯には歯で。』と言われたのを、あなたがたは聞いています。
5:39 しかし、わたしはあなたがたに言います。悪い者に手向かってはいけません。あなたの右の頬を打つような者には、左の頬も向けなさい。
5:40 あなたを告訴して下着を取ろうとする者には、上着もやりなさい。
5:43 『自分の隣人を愛し、自分の敵を憎め。』と言われたのを、あなたがたは聞いています。
5:44 しかし、わたしはあなたがたに言います。自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい。
5:45 それでこそ、天におられるあなたがたの父の子どもになれるのです。天の父は、悪い人にも良い人にも太陽を上らせ、正しい人にも正しくない人にも雨を降らせてくださるからです。
5:46 自分を愛してくれる者を愛したからといって、何の報いが受けられるでしょう。取税人でも、同じことをしているではありませんか。
5:47 また、自分の兄弟にだけあいさつしたからといって、どれだけまさったことをしたのでしょう。異邦人でも同じことをするではありませんか。
5:48 だから、あなたがたは、天の父が完全なように、完全でありなさい。
聖書のこの部分に対する批判は次のようにです。
「敵を愛しなさい」というイエスの戒めは、新約聖書あるいは新約聖書を教典とするキリスト教の中心的メッセージであるとされています。
それなのにキリスト教徒は、魔女裁判、十字軍遠征、ユダヤ人迫害などを行ってきました。
最大のキリスト教国アメリカは、ベトナム戦争、イラク戦争へと戦争を繰り返し、罪のない多くの住民の人命を失わせました。
またアメリカの右派キリスト教徒は、自分たちのキリスト教倫理である妊娠中絶や同性愛者の結婚の禁止などをを守るために、ブッシュ大統領を支持し、イラクに対する根拠に乏しい宣戦布告に賛成し、イラクにおける多くの罪のない市民の命が失われていることにも、アメリカ軍の非道な行為にも、口を閉ざしています。
これらは、「敵を愛しなさい」の教えを守るクリスチャンやキリスト教大国アメリカがすることでしょうか?
このクリスチャン批判に関しては、先のテーマにおけるようにまず反論の聖書箇所を用意することは、私はしません。
まず批判を謙虚に受け止める必要があるからです。
また、「悪い者に手向かってはいけません。あなたの右の頬を打つような者には、左の頬も向けなさい。」も、「自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい。」も、クリスチャンにとっては到底実行できないほどに難しい命令です。
この2つの観点に立って書き込みます。といっても大きな問題だけに、私は皆様を納得させるような書き方は到底できません。しかし少しでもこれらの問題に近づこうと思います。
ここで、予備知識をまとめておきます。
魔女裁判:
中世から近世初期のヨーロッパで、教会が異端の撲滅のため、特定の人物を魔女と決め付け、これを糾問し、焚刑に処した人権無視の裁判。
十字軍:
従軍者が十字架の記章を帯びたことからこの名が与えられた。
西欧諸国のキリスト教徒がイスラム教徒を討伐するために、11世紀末(1096年)から13世紀後半に至るまで7回にわたって行なった遠征。
その目的は聖地パレスチナ、特にエルサレムの回復にあったが、第3回(1189〜92年)以後は宗教目的よりも現実的利害関係に左右されるに至り、当初の目的は達し得なかった。
ユダヤ人迫害:
キリストを十字架につけた「のろわれた民」として、キリスト教国のクリスチャンの手で、長年にわたって行われてきたユダヤ人に対する迫害。
1939年にはナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人絶滅政策)が始まり、6百万人が「ユダヤ人である」という理由だけで虐殺された。
ベトナム戦争:
インドシナ戦争後に、ベトナムの独立と南北統一をめぐって戦われた戦争(1960年 - 1975年)。
宣戦布告なき戦争であるためベトナム紛争とも呼ばれる。
共産主義勢力の拡大を防ぐため、北ベトナムと対峙する南ベトナムを支援するアメリカ合衆国が中心となり大規模な軍事介入を行ったが、目的を達せずに撤退した。
形式的には北ベトナムと南ベトナムの戦争であったが、実質的に共産主義勢力(ソビエト連邦、中華人民共和国)と資本主義勢力(アメリカ)が背後にあっての戦いで、それゆえに「代理戦争」と呼ばれた。
アメリカのキリスト教右派:
奴隷制廃止、市民権運動に賛成だった事実から彼らは正確には右翼ではない。また、同時多発テロ以前には、このキリスト教右派は、外交は相手国の国家主権を尊重したやり方で行うべきものとしていた。
しかし同時多発テロ以降は、多くのキリスト教右派の重要人物が、新保守主義者と共にアフガニスタン、イラクでの「テロとの戦い」を強く支持し、連携を強めた。
新保守主義の考え方は、「米国が力を行使することを躊躇すべきではない。自由、民主主義、人権の尊重という(米国流の)価値観を積極的に世界中に実現しようとする。それが米国の責任である」にあります。
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