神を体験する(6) 日本人が言う霊とは(2)
発行日時: 2007/12/11クリスチャンが「神」といえば、全知全能、天地の造り主、唯一絶対の人格神です。また、「霊」といえば、その神の霊、あるいはイエス・キリストの霊すなわち聖霊です。
一方クリスチャンは聖書に基づいて、人間の霊は次のようであるとします。
人間の霊:
神はいのちの霊を人間に与え(創世記2:7,イザや書42:5,ゼカリア書12:1)、死と共にその霊はそれを授けてくださった神のみ手に帰る(コヘレト/伝道の書12:7).
霊は,人間の本質的生命原理として,洞察と感情と意志の源である.聖霊が人のうちに宿る時,その実(み)である力と愛の霊を豊かに持つことが約束されている(第二テモテ1:7).
また,罪との死から贖われ、救い出されたキリスト者の霊は,キリストの再臨の時に復活のからだ、栄光あるからだによみがえることを待ち望む(第一コリント15:23).
ところで日本人にとっての神とは?また神の霊とは?人の霊とは?を古代日本人の思想にさかのぼって考えてみましょう。
以下は日本独特の宗教である「神道」の評論的解説書からの引用です。
古代日本人にとっては、必ずしも人間の形をしたものばかりがカミなのではなかった。古代人が「神の御坂」と歌うとき、それは坂そのものが神であった。「みもろの神の神杉」というとき、古代入は杉そのものに神を見ていた。
神はいたるところに遍満していた。ときには山が神であり、海そのものが、あるいは岬、あるいは谷、あるいは森るいは石そのものが神であった。
屋敷にも、井戸にも、神はいた。森羅万象が神の体現といってよかった。人間も、その神のある景色の一部に過ぎなかった。
日本の固有な信仰である神道は、こうした世界の中から生まれてきた。
神とともにあるから、それを「カンナガラ(惟神)」といい、神の命を分け与えられて生きているから、人は「神の子」、生命は神の「ワケミタマ(分霊)」と考えられた。
人は、彼らの暮らす土地の神「ウブ.スナガミ(産土神)」のおかげを被って誕生し、産土神や、その他「もろもろの神々」と正しくつきあっていくことで四季の恵みを享受し、そして最後には、産土神に導かれて「祖霊」の世界に帰っていった。
その祖霊には、個性というものは感じられなかった。それは一種の集合的ナな神霊の集まりであり、それ自体が、やはり大いなる自然の一部だったのである。
民衆レベルの神々の世界とは、このように特別な意味づけを必要としない、あ.るもの、この世に存在するものの総体であった。まさに自然そのものといってよかった。
こうした神々の世界に、天上界の別格の神々の世界、高天原が重ねられたのは、「天皇による国家の統一的な支配」以降のことである。
民衆レベルの世界観では、自然とともにある神は、どこまで行っても水平に広がる世界の中の存在だった。
高天原(タカマガハラ)というのは、神道の中に生じた垂直思考の産物といってもいい。
民衆レベルの世界観では、自然とともにある神は、どこまで行っても水平に広がる世界の中の存在だった。
太陽の昇る東の方位には"命の源の世界"があり、日の沈む西の果てには"死の世界"があった。
この水平に広がる生と死の世界に、高天原という垂直の軸が導入されることによって、世界は、その頭上に「高天原」、高天原の下には水平に広がる「中津国ナカツクニ」および大海の世界(ワタツミの世界)、そしてその下に「黄泉国(根の国、底の国)」という3層構造が完備されることになった。
この垂直軸の天界は、神が高い木などに降臨するという信仰をもつ、北方シャーマニズムの系譜に連なる天孫族がもたらしたものと考えられている。
(注)シャーマニズム(シャマニズム、shamanism)
シャマンを媒介とした霊的存在との交渉を中心とする宗教様式。
極北・シベリア・中央アジア、北米の先住民に一般的で、類似の現象は南アジア・東南アジア・オセアニアなどにも見られる。しかし世界観・超自然観や社会的背景を反映し、一様ではない。中国・朝鮮・日本では巫術・巫俗等の名で知られる。
そして、政治的意図を持って書かれた『古事記』や『日本書紀』は、これらの世界が、すべて高天原の支配下に入るよう神話を整えた。
高天原はアマテラスオオミカミが支配し、中津国は、その苗喬であるスメラミコトの支配領と定められた。
海はスサノオ、ないしツキヨミノミコト、あるいは神武天皇の兄である稲氷命の支配に入り、黄泉国(根の国、底の国)は、やはり天津神であるイザナミないしその息子であるスサノオの世界となった。
この高天原の登場によって、目本の神道はシャーマニズムの段階から次の段階へと移行し、固有の神々の世界と信仰が生まれていったのである。
雲海の中から姿を現す山々の景色を見て「神々しい」と思う日本人の心情には、子供の頃からなんとなく教え込まれた高天原神話があるのではないでしょうか。
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