神なき人々のための聖書(21)
発行日時: 2007/11/29しばしば紹介しています久保牧師の仏教対キリスト教の解説(「仏教の仏とキリスト教の神」−レムナント出版)は、現代の仏教団体の信徒、あるいは自分の宗教は仏教だと思っている日本人の方々に読んでいただきたいと思っています。
次は、仏教の「慈悲」とキリスト教の「愛」についての比較です。多くの日本人がキリスト教で説く「愛」は、仏教で言う仏の「慈悲」と同じだと思っているからです。
以下は引用です。
最近、日本で行われたある意識調査によると、「あなたが人生で一番大切にしているものは、何ですか」との問いに対し、一番多かったのは「愛」で、二位は「誠実」という結果が出ていました。
以前は「誠実」のほうが若干多かったのに、最近では逆転して、「愛」が一位になったのだそうです。
では、「愛とは何ですか」と問うならば、日本人の多くはどのように答えるでしょうか。
「恋愛」「人を好きになること」「慕うこと」「かわいがること」などの答えもあるのでしょうが、それだけでなく、「人を思いやること」という答えも返ってくるでしょう。
あるいは、「人に親切にすること」という答えも返ってくるでしょう。「愛とは人を思いやることだ」とは、今日多くの日本人が持つに至った理解です。ところが、昔の日本には、「愛」という言葉にそのような意味はありませんでした。
じつは仏教には、慈しみを意味する「慈悲」と、愛欲・愛着を意味する「愛」という言葉があります。
仏教の「愛」は、異性、お金、名声などへの「執着心」の意味なのです。
仏教の「愛」は、欲望の一種であり、煩悩の一つにすぎません。そのため、仏教では「愛」を否定しています。『法句経』にこう書かれています。
「愛より憂いが生じ、愛より恐れが生ず。愛を離れたる人に憂いなし、なんぞ恐れあらんや」
この「愛」は、執着心の意味です。仏教では、「愛を離れること」が理想なのです。
ですから、かつての日本人は、この仏教の「愛」の概念にしたがって、「愛」に否定的な意味しか見ていませんでした。それが明治時代の頃から、しだいに「愛」という言葉の意味が、少しずつ変わってきました。
今日では、愛とは「人を思いやることだ」、「人生において最も大切なものだ」などの捉え方を、多くの日本人がしています。
「愛」に、積極的な新しい意味を見ているのです。これはじつは、キリスト教の影響によるものなのです。
キリスト教においては、人に対して良いことをなすことを、「愛」と呼んでいます。今日の日本人が、「愛」に肯定的・積極的な意味を見るようになった背景には、このキリスト教の愛の思想が影響しているからです。
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