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神なき人々のための聖書(17)

発行日時: 2007/11/26

紀元一世紀に、イエス・キリストの十二弟子の一人トマスは、キリストの昇天後、中国およびインド地方に伝道に行き、インドで殉教したと伝えられています。

実際インドでは、すでに二世紀にはキリスト教徒の数もかなりのものになり、三世紀にはキリスト教の団体もありました。

したがって、大乗仏教「八宗の祖」と言われるインドの「龍樹」(紀元→五〇〜二五〇年頃)が、キリスト教思想に触れたことは、確実とみられます。

彼は「龍宮」で法華経を授けられ、その後「南天の鉄塔中で、金剛薩堰(こんこうさった)から大日如来に関する経典「大日経」を授かったと主張しています。

しかし龍樹は、その「龍宮」や「南天の鉄塔」がどこにあるかを語らないし、また、いかにしてそのような神秘的な経典授与がなされたかについても語りません。

また『神道と仏教とをただす』(ニューライフ出版社)の著者・森山諭師が述べているように、龍樹が授かったとする大日経も、その内容は太陽崇拝、バラモン教、キリスト教、ゾロアスター教などの影響を受けた混合宗教であることが、歴然としています。

したがってこれらの経典が、誰から授けられたにしても、あるいは龍樹自身の創作によるものであったにしても、彼以後、仏教思想は大きく変貌したのです。

また龍樹は経典を授けられた際、金剛薩睡から「灌頂(かんちょう)」を受けたとされていますが、これは頭に水をかける儀式で、彼以前の仏教にはなかったものです。龍樹は、おそらくキリスト教の洗礼をまねて、こうした儀式を取り入れたのでしょう。

その後も、"他の宗教思想の影響を受けて常に変化していく"という仏教の混合宗教としての性格は引き継がれていきました。

中国では唐の時代に、「景教」(ネストリウス派キリスト教)が伝えられ、その信仰が広まっていました。

六三五年に、ネストリウス派キリスト教徒アラボンは、二人の信徒を率いて中国に渡り、聖書や教理を漢文に訳して、唐の皇帝(太宋)に献納しました。

皇帝は、それを読んで感激し、「これほどの真理は儒教にも仏教にもない。朕(ちん私)自ら信じるから、全国民よ、朕に学べ」と命じました。

このネストリウス派キリスト教が「景教」で、景教は七世紀から十二世紀にかけて、中国で栄えました。

日本に景教が正式に伝えられたのは八世紀で、この時より朝廷の記録に、景教のキリスト教の影響用語である「景福」という言葉が出てくるようになります。

またこの時より、もともと仏教にはない「滅罪」思想がうたわれた「俄悔滅罪寺」が現れます。これは、キリスト教の影響でしょう。

 
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