命(1)
発行日時: 2006/12/29毎年恒例の「今年の漢字」に、「命」が選ばれたました。
日本人は、秋篠宮家の男児誕生の喜び、いじめを苦にした自殺や子供たちが殺害されるという事件・事故の明暗の感情をこの字に託しています。
自殺にまでいたるいじめの問題は、子供たちの問題だけでなく、現代社会の深い病根に基づいているといえましょう。
にもかかわらず、事件が起こるたびに「命の大切さを教えます」としか言わない(多分言えないのでしょう)校長先生は、この現状を変えられるでしょうか。
また、教育基本法(理念法)の改正、教育委員会の制度改革、教育再生会議の活用が、学校教育現場の閉塞的状況を改善できるとする識者や政治指導者がいますが、政府による教育現場の管理強化によって問題が解決できるでしょうか。
一方、総理官邸に設置された「多様な機会のある社会」推進会議は次のような基本認識を提出しています。
国民ひとりひとりがその能力や持ち味を十分発揮し、努力が報われる公正な社会を構築していくことは、国政の重要課題である。このためには、多様な機会が与えられ、仮に失敗しても何度でも再チャレンジができ、「勝ち組、負け組」を固定させない社会、また、働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化した社会の仕組が必要である。
しかし自由競争と効率を至上とする企業原理が、自由化という名の構造改革によって社会全般に浸透するとき、再チャレンジがどのような救いとなるのかはまだ分かりません。
優れたスタッフが作成した政策に基づく強い政治も、徹底した競争原理に基づく活発な企業活動も、いずれも社会の繁栄と発展をもたらします。しかし、人間を無視すれば、問題が起こります。
ホワイトカラー・エグゼンプションは、いわゆるホワイトカラー労働者に対する労働時間規制を適用免除する制度で、次の国会に提案されますが、企業の収益力と国際競争力を高めるには、過労死も無視しなければならないのでしょうか。
国外に目を向ければ、湾岸戦争の時にはイラクがクウェートに侵略して、それに対して国連の決議があり、それから攻撃となりました。
しかし、イラクの場合は、国連を無視したということと、大量破壊兵器がイラクに無かったにもかかわらず、先制攻撃」という新しい戦争の概念を創り出しました。この概念を推し進めていけば世界が非常に危険な状態になりますが、日本はいち早く米国を支持しました。
原理主義的福音派のクリスチャンは、大統領選挙で、同性愛者の結婚やや堕胎に反対するクリスチャンであるブッシュ大統領を熱狂的に支持し、さらにイラク戦争をも支持するという好戦的な態度をとりました。
そして、国を愛し、国家の権威に従う道を選んだアメリカ人兵士の多くが命を失い、家族が寂しいクリスマスを迎えました。イラクの子供たちもまた、多くが命を失いました。
カール・バルトは、「右手に聖書、左手に新聞」と言いました。そのようなクリスチャンにとって、「命」と言う言葉は非常に重いものです。
聖書は社会で、世界で起こっていることをより深い視点で見る力を与えてくれます。と同時に、信仰と政治と言う問題にクリスチャンを直面させます。
(続く)
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