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じつは、ヨハネやイエスの同時代人で、彼らについ
て書き残している人物は1人しかいません。それが、
『ユダヤ古代誌』や『ユダヤ戦記』を残したフラヴィ
ウス・ヨセフスです。
ヨセフスについては、本メルマガ第91号でも取り
上げましたが、彼自身も非常に興味深い人物です。
ともあれ、彼は、自ら参加したユダヤの反乱の顛末
やら、古代から反乱までのユダヤの歴史を書き残して
おります。
そして『ユダヤ古代誌』の2ヶ所に、イエスについ
ての言及があり、別の個所ではヨハネについても述べ
ています。この辺りの内容を見ると、非常に奇妙です。
まず、イエスについて述べた最初の部分が、いわゆ
るヨセフスのキリスト証言というものです。
この部分では、イエスこそキリストであり、死後3
日目に復活したという、福音書の内容そのままを述べ
ています。
しかし、福音書が確立したのは、ヨセフスより何十
年か後のことで、しかもこの部分は、キリスト教徒の
主張をそのまま引き写したような記述振りです。つま
り、『ユダヤ古代誌』の他の部分とは、書き方がまった
く異なっているのです。また、古代キリスト教世界に
おいてヨセフスをもっとも頻繁に引用したカエサリア
の司教エウセビオス(260〜340頃)以前の者で、ヨセフ
スの著作に直接・間接に言及した教会著作家たちが誰
ひとりとしてこの証言に言及していません。
ということから、この部分は後世、キリスト教関係
者が書写の際挿入したものというのが通説です。要は
歴史を捏造しようとする何らかの陰謀があったという
ことになります。
そしてもう一箇所、イエスの名が出てくるところが
あります。しかしこちらの主役は、じつはイエスでは
ありません。これは、エルサレムの大祭司アナノスが、
イエスの兄弟ヤコブやその他の人々を石打の刑にした
というものです。
ここでもイエスはキリストと呼ばれたと簡単に書い
ています。この記述自体、前の部分に比べるとあまり
にも簡単なのですが、前の部分が後世の挿入だとする
と、ヨセフスがイエスに言及している部分は本来ここ
だけ、それも大祭司アナノスとヤコブの事件の関連で
ヤコブの兄弟イエスに言及しているだけということに
なります。
一方、ヨセフスは、ヨハネについてずっと詳しく述
べています。
それによると、ヨセフスはヨハネを根っからの善人
であり、身体を清めるため洗礼を勧め、徳を実行して
正義を求めたなど、非常に彼を評価した書きぶりにな
っています。時の王ヘロデはこれを恐れてヨハネを殺
害しましたが、その直後ペトラの王アレタスとの戦闘
で敗れました。ヨセフスによれば、ユダヤの人々はこ
の敗戦を、ヨハネの呪いと考えたとのことです。
いずれにせよ、このヨセフスの記述はイエスに関す
るものより格段に分量があり、しかも好意的な内容に
なっています。
少なくともヨセフスにとっては、イエスよりヨハネ
の方に注目していたと言ってよいでしょう。
0界通信オンラインNo.157完−
関連HP:www016.upp.so-net.ne.jp/o-world/
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