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福音書の内容には、けっこうばらつきがありますが、と
もあれ、4つの福音書が口をそろえて述べているのが、イ
エスがヨハネから洗礼を受けたということです。
もっとも、イエスを見たヨハネは「わたしこそ、あなた
から洗礼を受けるべきなのに、あなたが、わたしのところ
に来られたのですか」(マタイによる福音書)と述べただ
とか、「わたしが言ったのはこの方のことである」(ヨハネ
による福音書)と述べ、最初から自分よりイエスの方が偉
いと認識していたような記述もあります。他方、他の2つ
の福音書には、このような発言はありません。
さらに興味深い記述が、イエスによる伝導の開始とヨハ
ネの逮捕との関係です。
「マタイによる福音書」と「マルコによる福音書」は、
ほぼ同じことを述べています。つまり、イエスはヨハネが
捕らえられたと聞いて一旦ガリラヤに退き、そこから伝導
を始めたということになっています。また「マルコによる
福音書」には、イエスの名が知れ渡ったとき、人々が、洗
礼者ヨハネが蘇ったのだと噂したという記述もあります。
「ルカによる福音書」になると、その辺りははっきり書
いてないのですが、イエスはヨハネに洗礼を受けた後で、
有名な40日の修行を始めたことになっています。
つまり、この3つの福音書によれば、イエスが本格的な
活動を開始したのは、師とも言うべき洗礼者ヨハネが捕ら
えられた後ということになります。
一方、「ヨハネによる福音書」になると多少記述が異なっ
てきます。イエスはヨハネが捕らえられる前から弟子をと
ったり、洗礼を施したりしています。この福音書によれば、
イエスの最初の弟子であるシモン・ペテロとアンドレの兄
弟は、本来ヨハネの弟子であったし、イエスの独自の活動
を、ヨハネの弟子たちが師に訴えるという記述もあります。
こうした記述をすなおにまとめると、要は当時ヨハネ教
団のようなものがあり、教祖ヨハネは地元民から神のごと
く崇められていた。ヨハネの弟子たちの中でも有力な幹部
の1人がイエスであり、師ヨハネ健在のときからある程度
独自の活動を行っていた。そしてヨハネが時の王ヘロデに
拘束され、教団が危機に陥ると、イエスも一旦地方に逃れ、
ガリラヤで体制を整えてからあらためて宗教活動を開始し
たということになりそうです。
言ってみれば、日本の幾多の新興宗教にもよく見られる
パターンです。大本事件の後、幹部たちが次々と独立して
自分の教団を作ったようなものでしょうか。
そして、当時パレスチナに住むユダヤ人たち、つまり彼
らの同時代人たちは、どうもイエスよりヨハネの方が大物
と考えていたふしがあります。
0界通信オンラインNo.156完−
関連HP:www016.upp.so-net.ne.jp/o-world/
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