三島由紀夫研究会メルマガ
発行日時: 2008/5/12
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『三島由紀夫の総合研究』
(三島由紀夫研究会 メルマガ会報)
平成20(2008)年5月12日(月曜日)
通巻第238号
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『天人五衰』再読
久々に三島由紀夫の『天人五衰』を再読した。
私は『豊饒の海』4部作の中でも『天人五衰』を愛して止まない。何故なら、作家が命を賭して書き上げた鎮魂の書だからだ。
この作品について様々な評論家が三島の政治的行動と合わせて批判を展開した。最初の三部作はよく練られて構成されているが、最後の作品は 痩せこけている」というものや、ほとんどが批判だ。
三島とデビューしてからの関係である石原慎太郎もインタビューで「(第四部目を読んで)読み終わって泣いたね。僕は三島さんを好きだったから、本当に気の毒になった。あの人がこんなに駄目になってしまったのか、と。だってあの小説読んで、感動がありますか?作品そのものが変にサンクチュアリ(聖域) みたいになっていて、誰も真面目に論じない。一番それをはっきり言ったのは野坂昭如だね。みんな妙に遠慮していると言うけれど、僕はあの小説はやっぱり 冗漫で退屈で気の毒だったな。」
と、けちょんけちょんに非難している。
石原は『三島由紀夫の日蝕』においてボディビルで鍛錬された肉体の虚構と、晩年の衰弱について遠慮なく論を展開しているが、それは生きた三島由紀夫の皮膚感覚を知る事が出来た人物の特権とも言えるかもしれない。
私はこの様に考えた。
簡単に述べれば、最初の三部作では華美な装飾を存分に使い、絢爛な文体で読者を魅了し心を鷲掴みにする。
しかし最後の四部作目では装飾を廃し、原点に立ち返ったのではないか。全てを削ぎ落とし、必要最低限の手法で書き上げた先に『天人五衰』があるのではないかと・・・・。
三島が自決した昭和四十五年十一月二十五日に編集担当者である小島加代子氏にお手伝いさんの手により、原稿は手渡された。
しかもこの最終稿は三島由紀夫初の近未来小説になっているのだ。
始まりはこんな風だ。
「昭和四十九年のクリスマスを、透がどう過ごすかということを、本多に訊くさえ慶子は義憤にかられた」と。
作品上で三島は未来も変らず、詰まらぬ、取るに足らぬ日常が展開される事を書きたかったのかもしれない。クリスマスを望み、正月を迎え、仕事をする日常の輪廻を三島は蔑んだのかもしれない。これまでクリスマス・パーティーや正月を自宅で盛大に祝った自身に対する恐ろしいまでの皮肉かもしれない。
退屈な日常、弛緩した日本人の病んだ精神は今日まで継続しているのはいうまでもないだろう。
『行動学入門』等で示した今後の日本人への継承も気泡に期すことも理解した上での、憔悴間がこの最後の作品に漂うのだ。
最終2ページの美しさはこれまでの三島文学で多分に取り入れられ読者を魅了した装飾がなく、月修寺の描写は全てを出発点であった終戦の日に見た、自身の原点ともいえる、インタビューや、エッセイで何度も書いた鮮烈な「太陽」に帰結する様を清明で澄みきった文体に昇華されていく三島由紀夫の姿を俯瞰するように感じられてならない。
再読して、流れる涙を抑えられなかった。
日本を愛し、憤死した「純」なる日本人を文字の上で出会ったからである。
秋山大輔
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国防研究会&三島研究会共催
「公開講座」の御案内
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とき 6月17日(火曜) 六時開場 1830開演
ところ アルカディア市ヶ谷 四階会議室「あすか」
講師 コラムニスト 高山正之氏
(『週刊新潮』の辛口コラム絶賛、元産経新聞ロス、テヘラン特派員)
演題 「サダムは偉大だったが、スーチーは悪女だ」
(世界は腹黒いが、偽善の朝日新聞はいったいなんだ)
会費 お一人2000円(会員と学生は1000円)
懇親会は別途3000円
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((( 詳しくは )))
http://mishima.xii.jp/koza/index.html
「今回は予約が必要です」
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会場の定員(60名)の関係があり、参加希望者はなるべく予約して下さい。下記に
(1)御名前と(2)電話番号(携帯でもOKです)
のみをご登録願います。
先着60名で締め切ります
yukokuki@hotmail.com
(事務局)
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(編集部から)小誌は「三島由紀夫研究会」(昭和四十六年創設)の会員だけに限定せずに、三島研究の論文、エッセイをつねに募集しております。
比較文学論(たとえば「吉本隆明と三島」とか)、作品論(たとえば『仮面の告白』に新解釈)、読後感、政治論、芸術論。まるで分野を問いません。三島さん自身、古典から前衛まで、映画からシャンソンまで万能の人でしたから。
「憂国忌」への御感想、御希望でも構いません。皆さんからの御投稿を広くお待ちします。原則として実名。簡単な肩書きをつけて下さい。
ただし三島文学批判も構いませんが誹謗中傷のたぐいの投稿は採用しません。ゲスト寄稿者コーナーも常設しております。一部の原稿は年二回発行のメルマガ合本に掲載することがあります。
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