三島由紀夫研究会メルマガ
発行日時: 2008/5/10
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『三島由紀夫の総合研究』
(三島由紀夫研究会 メルマガ会報)
平成20(2008)年5月10日(土曜日)
通巻第236号
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((((( 三島由紀夫をめぐる今週の弐冊 )))))
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岩下尚史『見出された恋 「金閣寺」への船出』(雄山閣)
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猪瀬直樹が『ペルソナ』のなかに、その存在を初めて公開した。三島由紀夫の若き日の恋人である。失恋の相手ではない。彼女とは三年つづいた。
著者の岩下氏は演劇の関係で、その女性とは偶然に知り合い、実に親しく細々と、リアリスティックに話を聞いてきた。
フィクションに託すしかないと考えて、若き日の三島由紀夫の恋を描いた小説。
ちょっと驚くべき下町情緒を筆に出来る力量は凄い。
『出来れば、四十五くらいで死んでも好いと思っているくらいだ。そのときには君も三十五になっているね。でも、女の美しさだって、せいぜい二十代までだぜ。
そうは言っても、君は僕よりも十歳若いのだから、僕が死んだら、黄色の薔薇を手向けてくれないか、好いかい、屹度だ、約束したよ!」。
文体は浄瑠璃の調べ、花柳界の華麗な会話が流れ、古式豊かな緞帳があがるような舞台。
――思へばつれなき此身の咎、修羅の炎を逃れむと、すれば聴ゆる恋慕の曲。
「思えばあれから、五十年の月日が流れる。昔のことも今の身も、夢の現(うつつ)も一つとなり、はかない浄瑠璃の節の間に、それからそれへと思い出されるのであった」(中略)「分かれて以来、男と会うことは一度もなく、かつて満佐子(主人公)に告げた通りの年齢の頃、思いも掛けぬ死出の旅路に赴いた」
満佐子は、彼女なりの総括をする。
「あれほど書くことを楽しんでいたあの人ですもの、いつの間にか書くことが辛くなり、そのうち本当に書くことがなくなって、あのような道をえらんでのではないかしら!」
三島由紀夫の知られざる恋の道行きを伝統的古典演芸の語彙をちりばめて華麗に描ききった力作となった。
副えられてきた作者の手紙には「作品と書く前と書いたあとで、多磨霊園に、このモデルの夫人と赴き黄色の薔薇を墓前に捧げて来られた」そうである。
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柘植久慶『最後の言葉』(太陽出版)
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面白きことなき世を面白く生きた、熱き男たちの死に様と生き様。
高杉晋作から吉田松陰から、爽やかに、寡黙に美的に生きて死んだ日本の男たちは、同時に刺激的な言葉を残していった。
そのなかに三島由紀夫もはいっている。
しかし、或るページへきて、「えっ」と驚かされた。
柘植さん、中校生のおり目黒区緑が丘に住んでいた由だが、近所(百メートルとなり)に三島由紀夫の家があって毎夕のように挨拶したという。
ある時、柘植さん(まだ中校生)、三島由紀夫に尋ねた。
「作家にとって大事なことは何ですか」
「書くより読む方が大変だから丁寧に書くことです」と三島は答えた、という。
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三島由紀夫原作『鹿鳴館』
来月から新橋演舞場!
6月6日―29日 夜の部(午後四時)
水谷八重子、西郷輝彦、市川團十郎、波乃久里子、英太郎ほか
詳しくは、下記サイトで。
http://www.shochiku.co.jp/play/enbujyo/0806/index.html
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(編集部から)小誌は「三島由紀夫研究会」(昭和四十六年創設)の会員だけに限定せずに、三島研究の論文、エッセイをつねに募集しております。
比較文学論(たとえば「吉本隆明と三島」とか)、作品論(たとえば『仮面の告白』に新解釈)、読後感、政治論、芸術論。まるで分野を問いません。三島さん自身、古典から前衛まで、映画からシャンソンまで万能の人でしたから。
「憂国忌」への御感想、御希望でも構いません。皆さんからの御投稿を広くお待ちします。原則として実名。簡単な肩書きをつけて下さい。
ただし三島文学批判も構いませんが誹謗中傷のたぐいの投稿は採用しません。ゲスト寄稿者コーナーも常設しております。一部の原稿は年二回発行のメルマガ合本に掲載することがあります。
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三島由紀夫研究会 HP URL http://mishima.xii.jp/
メール yukokuki@hotmail.com
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