トップ > アート&カルチャー > 文学 > 三島由紀夫の総合研究

創立35年の老舗「三島由紀夫研究会」の会報を兼ねた、あらゆる角度からの総合研究メルマガ




三島由紀夫研究会メルマガ

発行日: 2007/6/23


○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『三島由紀夫の総合研究』 
(三島由紀夫研究会 メルマガ会報)
       平成19(2007)年6月25日(日曜日) 
            通巻 第152号  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ♪
((( 三島由紀夫の国体論と国防論について )))
 
 高校時代までの私にとって、三島由紀夫は『金閣寺』や『潮騒』などの作家としてあくまでも文学者の一人でしかなかった。
むしろ『セブンティ−ン』など初期の大江健三郎にシンパシ−を抱いていた左翼少年であった。浪人時代を経て大学に入る過程で、当時の政治情勢の中で急速に民族派として日本に回帰していった私にとって、次第に政治的、思想的発言を強めていった三島由紀夫は大きな存在となっていった。
三島由紀夫の数多い文章の中で私にとって忘れられないのは、昭和43年の秋「日本及び日本人」に発表した『栄誉でつなげ菊と刀』という論文と、昭和44年初めに「論争ジャ−ナル」に掲載された『反革命宣言』である。(いずれも後に『文化防衛論』(新潮社)に所収)。
前者はいわば三島由紀夫の国防論の骨格をなすもので、天皇の自衛隊に対する栄誉大権を認めることを主張している。世の左翼評論家はあたかも三島由紀夫が大日本帝国時代の統帥権独立への復帰を望んでいるかの様に非難したが、決してそうではない。
英国では軍隊はRoyal Army, Navy and  Air Force であり、軍艦の艦名には女王陛下の船であることを示す”HMS” が冠せられる。王室を有する欧州の他の国も同様である。
私としては、憲法9条の条文を修正して自衛隊を「自衛軍」に名称変更すればこと足れりとする自民党や読売新聞などの改憲論は百害あって一利なしと思う。そこにはわが日本国家の歴史と本質に対する洞察なぞひとかけらもないのである。
わが国は肇国以来天皇の国(皇国)であり、その軍隊は天皇の軍隊であるし、またそうでなければならない。三島由紀夫の主張は控えめな表現ながらも、わが軍隊のあるべき姿の本質を示しており、三島事件を聞いて日本が「自由と民主主義の国」であるとしか考えない輩は「狂気の沙汰」としか言えなかった。
私からみて三島由紀夫の国防論はむしろ常識的、穏健なものである。
上記『栄誉でつなげ菊と刀』の中では、たとえば自衛隊を国連軍に参加する部隊と国土防衛隊に分離することを提唱している。
これはおそらく当時の西ドイツの状況を参考にしたと思われる。
1955年に再軍備を行った西ドイツはNATO軍の指揮下におかれる連邦軍(Bundeswehr)と西ドイツ政府が直接指揮する国境警備隊(Grenzschutz)に分けていた。(ヘルメットも連邦軍は米軍式のものをかぶり、国境警備隊は旧独軍と同じものを着用した。もっともドイツ連邦軍も10年ほど前から旧軍そっくりのスタイルのケブラ−製フリッツ・ヘルメットに回帰しているが)。
また三島由紀夫は徴兵制には反対している。その意味からも左翼が言う「三島=軍国主義者、ファシスト」論はあたらない。
更に三島国防論の核心は、国防とは単に国民の生命、財産を守るのではなく(それだけなら軍隊ではなく警察の任務である)、天皇を中心とする日本の文化、伝統、歴史を守ること、また象徴的に言えば日本の文化、歴史、伝統の中心である天皇を守ることでなければならないとしていることである。
『反革命宣言』の中で三島由紀夫は日本の価値は文化的同一性、歴史的連続性を連綿として保ってきたことにあるとし、天皇こそその中心である、と述べている。
戦後左翼勢力が跋扈してきた中で多くの保守派、右派が論陣を張ってきたがそれはことごとく反共自由主義に基づくものであり、自由民主主義なぞは相対的価値に過ぎず、真に守るべきものは生命よりも重い価値を有するこの祖国日本であり、その文化・伝統・歴史であり、天皇こそその守るべき価値の核心であると熱っぽく述べた三島由紀夫の思想は、私が捜し求めてきたものであった。
昭和43年に大学に入学した私は、同年12月に千代田公会堂で開かれた日本学生同盟の集会に参加し、来賓として招かれた三島由紀夫の「文化防衛論」と題する講演を聴き、大きな感銘を受けた。
これが私が民族派学生運動に参加する契機であった。
(高山八郎)
   ♪ ♪
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◎演劇公演「薔薇と海賊」 のご案内
---------〜〜〜〜---------------------------
・作/三島由紀夫 
・演出/久保亜津子 
・主催/向陽舎 
・期間/2007年7月12日(木)〜16日(月) 
・座席/前売り 2500円。全席自由。 
・会場/シアター風姿花伝にて。 
         ◎◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
 第229回 三島研究会「公開講座」は
 講師に田中英道先生
演題は「三島由紀夫と憲法」(仮題)。
 9月13日午後六時半 
 市ヶ谷「アルカディア市ヶ谷」 四階会議室です。
 会場分担金 おひとり2000円(会員および学生1000円)
        ▽
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(憂国忌) 今年の憂国忌は11月25日(日曜日) 午後二時から豊島公会堂です。
  ◎○◎○◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(編集部から)小誌は「三島由紀夫研究会」(昭和四十六年創設)の会員に限定せず、三島研究の論文、エッセイを常時募集しております。
比較文学論(たとえば「吉本隆明と三島」とか)、作品論(たとえば『仮面の告白』に新解釈)、読後感、政治論、芸術論。まるで分野を問いません。三島先生自身が古典から前衛まで、映画からシャンソンまで万能の作家でしたから。
 「憂国忌」や「公開講座」への希望講師、御感想も歓迎です。
皆さんからの御投稿を広くお待ちします。原則として実名。簡単な肩書きをつけて下さい。ただし三島文学批判も構いませんが誹謗中傷のたぐいの投稿は採用しません。ゲスト寄稿者コーナーも常設しております。
一部の原稿は年二回発行のメルマガ合本に掲載することがあります。
       ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
三島由紀夫研究会 HP URL http://mishima.xii.jp/
      メール  yukokuki@hotmail.com
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)三島由紀夫研究会 2006―2007  ◎転送自由
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 
このメルマガの読者になる
規約 
>> メルマ!の会報誌もお届けします

ブックマーク: はてなブックマークに追加del.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録My Yahoo!に追加Add to GoogleRSS

このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます

宮崎正弘の国際ニュース・早読み
 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
頂門の一針
急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。
甦れ美しい日本
日本再生のための政治・経済・文化などの発展・再構築を目的とし、メールマガジンの配信を行う
花岡信昭メールマガジン
政治ジャーナリスト・花岡信昭が独自の視点で激動の政治を分析・考察します。ときにあちこち飛びます。
斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」
日本のように君主制を採用する国は世界的に少なくありませんが、神話の世界につながるほど古い歴史を持ち、国の歴史とともに、1つの王朝が連綿と続いているの...


この記事へのコメント


コメントを書く
コメントはありません。

おすすめキャンペーン

三井住友銀行カードローン
金利 年6.0%〜12.0%。最高500万円までお借入可能。
最短30分審査。三井住友銀行に口座をお持ちでなくてもお申込可能です。

くわしくはこちら⇒

発行者プロフィール

ペンネーム : 宮崎正弘

  • 文豪三島由紀夫は「死後も成長する作家」といわれ、今日も文学、芸術、思想のあらゆる分野に亘っての研究成果が紹介される

このメルマガの読者になる

規約に同意する



このメルマガの最近の記事


このメルマガの最近のコメント


注目情報


新着記事トピックス