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政治ジャーナリスト・花岡信昭が独自の視点で激動の政治を分析・考察します。ときにあちこち飛びます。




花岡信昭メールマガジン597号

発行日: 2008/7/12


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★★花岡信昭メールマガジン★★597号[2008・7・12]


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<<道州制の論議に欠けているもの>>
【日経BP社サイトSAFETY JAPAN連載コラム「我々の国家はどこに向かっているのか」117回・10日更新】再掲

 自民党の道州制推進本部(本部長・谷垣禎一政調会長)が4日、第3次中間報告を発表した。政府の道州制ビジョン懇談会(座長・江口克彦PHP総合研究所社長)もことし3月に中間報告を発表しており、来年度中に最終報告をまとめる予定だ。
 
 衆参ねじれ構造の中で政権運営に苦慮している福田政権の現状を見る限り、道州制導入論は浮世離れした構想のように見えるかもしれないが、今後の国の方向を決定付ける最重要テーマであることに変わりはない。政治状況の次第によっては、一気に現実味を帯びる可能性もある。自民、民主両党を中心とした「大連立」が実現していたら、早期に歩み寄りが可能な課題の一つでもあった。
 
 そこで、道州制をめぐる論議について、不十分と思われるポイントをいくつか考えて見たい。
 
 自民党の第3次中間報告では平成29年までに道州制を導入するとし、全国を9か11に分ける4種類の区割り案を提示した。平成18年に第28次地方制度調査会は9、11、13に区割りする案をまとめており、大筋では、全国を10前後に分けることになりそうだ。
 
 道州制は明治の廃藩置県を「廃県置州」に転換させるものだ。現在の47都道府県は、東京都を別にすれば、国と対等にわたり合うためにはあまりに小さすぎる。政府の道州制ビジョン懇談会は、基本理念として「地域主権型道州制」という表現を用いて、「時代に適合した『新しい国のかたち』に―中央集権型国家から分権型国家へ」と打ち出している。
 
 その基本的な方向に異論はないのだが、論議に欠けていると思われるポイントの一つは、国家の役割をどう位置づけるかという点である。「国―道州―市(町村)」という3層構造にするわけで、その場合、思い切った「小さな政府」にしないと道州の位置付けが明確にならない。
 
 政府のビジョン懇談会は、国の役割を、国際社会における国家の存立及び国境管理、国家戦略の策定、国家的基盤の維持・整備、全国的に統一すべき基準の制定に限定する―として、皇室、外交・国際協調、安全保障・治安、通貨・金利、通商、資源エネルギーなど16項目をあげている。
 
 その一方で、道州の役割については、公共事業、学術文化、経済・産業振興、雇用、公害、福祉医療などを掲げている。
 
 このあたりが、国民の間には明確に伝わっていないのではないか。簡単にいってしまえば、国は国でなくてはできないことだけをやるという発想である。この基本方向にも異存はない。いわば、「21世紀型の夜警国家」といったイメージである。道州はこれまで国がやっていた「生活」関連行政のほとんどを担うことになる。
 
 かつて、行政改革の必要性を説くための一例として、「バスの停留所を10メートル動かすだけでも国の許可が必要」といったケースが使われた。国がそれこそ「箸の上げ下ろし」にまで口を出し、あらゆることを抱え込んできたのであった。
 
 道州制によって、中央政府と地方道州政府(おそらく呼称は「州庁」となると思われる)が並存する構造に転換するのだ。公務員も国家公務員、道州公務員、市(町村)公務員の3段階になる。現在は国家公務員と地方公務員にはかなりの落差があるような印象を与えているが、道州制導入時には、国家公務員のかなりの部分が道州に移籍し、ほとんど「同格」となるはずである。
 
 道州のトップである長官もしくは知事は、当然ながら選挙で選ばれる。そこから、もう一点、指摘しなくてはならないポイントが出てくる。
 
 いくつかの県を合わせた規模の地域を対象に行われる選挙だから、「地方大統領」的な色彩が濃くなる。いまの県知事のイメージとは格段に違う。考えようによっては、議院内閣制によって、衆院で多数を占めた政治勢力から選出される首相よりも、地域住民が直接選ぶという点で、その存在感は強大なものになるかもしれない。
 
 おそらく、「州長官」選挙は人気投票的な要素も強まるのではないか。現在の政治状況を考えると、ポピュリズム(大衆迎合)の危うさを懸念しなくてはならない。とりわけ、防衛・安全保障・危機管理といった側面で、ときの政府の方針と「州長官」の食い違いが出る恐れがある。
 
 早い話が、国家的有事にさいして、「州長官」が「わが州では戦車は走らせない」といった態度に出る可能性だ。現憲法では首相に「非常大権」は与えられていない。そうしたことが現実に起きた場合、首相に「州長官」の罷免権を付与することになるのかどうか。そのあたりの論議はいかにも生煮えである。
 
 さらに、道州制と参院の関係も論議を深めてほしいポイントだ。道州制への期待の一つとして、参院を道州の代表者によって構成される院とするという構想がある。アメリカの上院型である。アメリカでは1州から2人の上院議員が選出されるが、日本の場合、10州前後になるのなら、各州で5−10人程度の参院議員を選べばいい。
 
 現在、参院の総定数は242議席だが、これが実現すれば半分以下になる。これほど分かりやすい「改革」はない。道州代表だから「1票の格差」があってもかまわない。参院が政局に介入する余地はせばまり、現在のようなねじれ構造による弊害もなくなる。
 
 もちろん、参院をこうしたかたちに変革するには、憲法改正が必要になる。「9条」でぶつかり合っていて改正論議が進まないのであれば、参院改革を改正の入り口にするという発想も出てこよう。これもまた、道州制のもたらす大きな効果といえる。
 
もう一点。なぜ、「道州」という呼称を使わなくてはならないか。いうまでもなく、北海道があるためだが、基本的には「州」制度の導入であって、北海道が北海州になってもおかしくはない。むしろ、紛らわしさを避けるためにも「州」で統一したほうがいいのではないか。
 
 北海道だけでなく、東京都、沖縄県を単独の州とするという構想もある。沖縄をどうするかは、なお議論の余地がある。米軍基地を抱え、「本土」とは違った政治意識を示すことの多い沖縄だが、国家レベルの安全保障を考えたら、国の直轄地域として別格扱いにするという考え方も出てこよう。
 

【お詫び】
 私的事情がありまして、ちょっと更新が滞りました。


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<<読者から>>

☆連日のご健筆尊敬申し上げております、ほとんどの論調に賛成するところでありますが、タバコに関しての今回の論調だけは少々腑に落ちませんので、投稿させて頂きます。それは、「たばこと言うのは個人の趣味嗜好の話であって、−−−」というくだりです。

人の居ないところでたばこを吸えば、周りの人に直接的な迷惑を掛けません。その範囲では確かに個人の趣味嗜好の問題ですが、それは狭義の、「迷惑を掛けない」、という事であって、実際には、非常な迷惑を周りに掛けているのです。

煙草を吸うことは明らかに自身の健康を害します。たばこを吸っても、影響が無い事がある、という可能性がわずかに残っているから、直接的な迷惑を掛けない限り、たばこを吸ってもカラスの勝手、というのが、たばこ愛好者の理論ですし、そこに救いを求めているのですが、それは、可能性ではなく、確率の問題であり、確率を考えると、煙草によって健康を害する確率は90数%でしょう。明らかに、喫煙者の罹病率は非喫煙者より高く、自分が自分だけで生きているのではない、との厳粛な事実に思いを致せば、喫煙者は強い意志を持って禁煙に踏み切るべきだと思います。

花岡様のお年ならば、おそらくお孫さんがいらっしゃるでしょう。お孫さんにお祖父ちゃんの知識や、知恵を伝えたい、多分長年連れ添われた奥様もいらっしゃるでしょう(極く平均家庭を例にして申し上げておりますが、そうでなければお許しください)、いろんな苦労の後に、ようやく夫婦で落ち着いた暮らしが出来る、と奥様が思っていらっしゃるケースも多くあるでしょう。 しかし、たばこにより思いもかけず、肺がん等になったりして健康を損ねたときに、ご自分は勿論、自分の身の回りの人が、どれほど残念に、又悔しく思うか、お考え頂けないでしょうか。

「身体髪膚これを父母に受く、あえて毀傷せざるは、考の始めなり」という言葉があります。これは怪我ばかりか病気でも同じことだと思います。 万一親がたばこを吸わないのに、自分がたばこを吸って親より早く死ぬようなことがあっては、それこそ親不孝の極め、と言うものではないでしょうか。

私は、筑紫哲也氏がTVに登場し始めたころ、キャスターとして、番組に出ていた際、たばこをぷかぷか吸っていたので、テレビ局気付で、筑紫氏にお手紙を差し上げたことがあります。たばこを吸うのはご自身の勝手でしょうが、少なくとも青少年が視聴しているテレビに出ている時には、たばこを吸わないで欲しいと申し上げました。今ほどたばこの害についてうるさくない時でしたが、私は世論に影響を大きく与える、報道社会、特に映像をもってして直接影響が大きな、テレビに出演する人として、非常識だと思いました。現在ニュースキャスターで番組の最中にたばこを吸う人は皆無です。万一吸ったら糾弾されるでしょう。しばらくして、筑紫氏がテレビではたばこを吸われなくなりました
。しかし実際には喫煙を続けておられ、肺がんの手術を受けるに至った事は、周知の通りです。筑紫氏が肺がんの手術後たばこを止められたかは定かではありませんが、もし止められたとしたら、今まで自分が如何に愚かであったかと言う事を白状しているようなものです。もし止められていないのであれば、如何に意志が弱いか、という事です。いずれにせよ誉められたことではありません。
花岡様に今後とも末永く健筆を振るっていただきたく、失礼なコメントをさせて頂きました、お許しください。(MTさん)

[花岡コメント]
 ご心配いただき、ありがとうございます。たばこの問題については、ちょっとまとめたものを雑誌に書こうと思っております。

☆前略
タバコはタスポでどうぞ
タバコは健康被害の第一位。
タバコは火災原因の第一位。
タバコは肺がん原因の第一位。

消費税20%を唱える人がタバコの値上げ位でおたおたしなさんな。値上げでお困りなら、よいアイディアを教えあげます。1本を2本に、或いは 1本を3本にして喫えばいいのです。その場合はキセルがとても効果的です。念のため。

タバコを喫う人と、そばで煙を吸わされる人の違いが分かりますか。タバコを喫う人は、フィルターを通して煙を吸っています。だが、そばで煙を吸わされる人は、煙そのものを吸わされているのです。

私も昔は喫っていました。最愛の女性が病で倒れたときタバコを止めると誓い、それ以来、一度も喫っていません。タバコを止めれば、世間が変わります。よい原稿が書けますよ。タスポ推進協会の保証つきです。(Kさん)

[花岡コメント]
 アイディアをありがとうございます。別に当方は「おたおた」しているわけではないのです。「たばこ1000円」というのはいまの政治社会状況からいって、可能性ゼロとはいえません。そうなった場合、たばこを吸う自由をいかにして守るか、そこを考えているわけですね。

☆まったくおっしゃってる通りだと思います。歳入不足に悩み、何とか消費税に切り込みたいとは思いつつも、国外向け発表と国内向け発表は大きく変わっている福田総理の意見表明です。折しも環境問題をテコにした国民から納得を得られる材料として浮上したのが、このタバコ税としての「たばこ1000円」構想だと思われます。
もう一つ申し上げたいのが、今度制度化されたタスポという制度です。これは趣旨としての考え方は分かるのですが、何故こう複雑化してまで取り入れたのでしょうか?購入者、販売者双方にとって、自販機に振り回されるこうした対処療法はおかしい限りです。自販機を無くすことこそ本筋であり、その分販売者の責任を重くしてモラルの向上を図るべきです。
国のやることが何事においても功を奏しないのは、根本的な解決策に踏み込まず場当たり的に行うからつぎはぎだらけに終わるのです。もっと根本に立ち返って、青少年の害ある行動に対応する問題から入るべきでしょう。(岡目八目さん)

[花岡コメント]
 タスポというのは、未成年からたばこをシャットアウトする仕組みをつくりましたよ、という国際社会に向けたアリバイづくりですね。その効果はやはり定かではありません。現在、普及率25%ぐらいのようですが、それも当然かと思います。たばこごときの購入で、その個人データを完全に把握されるというのは、やはりどこかおかしいといわなくてはなりません。





【お知らせ】

<<産経新聞コラム>>
 花岡のコラム『政論探求』は原則火曜付ですが、紙面の都合でときどき水曜付となります。

<<SAFETY JAPAN>>(日経BP社サイト)
<http://www.nikkeibp.co.jp/sj/>
花岡のコラム『我々の国家はどこに向かっているのか』連載中。毎週木曜更新。

<<Janet>>
 時事通信サイトJanetの花岡コラム『官邸ウオッチ・風測計』。月末に更新。
<http://janet.jw.jiji.com/apps/do/auth/login.html>



<<そのほか花岡の論文・コラムなど>>
★Voice7月号 「福田政権後の日本  政界分裂・再編マップ」
★正論6月号 「総力特集 胡錦濤訪日で問われる日本の「覚悟」 福田さん、それでも“熱烈歓迎”ですか」
★リベラルタイム8月号 「小沢一郎の是非」
★政経往来7月号 「政局展望 国会攻防、乗り切ったか」
★時事評論(652号 6月20日) 「望まれる政界再編の姿」
★激論ムック「民主党政権が誕生したらこうなる」(オークラ出版)
★コメントライナー(時事通信)7月2日号 「消費税論議も棚上げへ」
★カレント(潮流社)5月号 「『馬英九の台湾』とどう付き合うべきか」
★WiLL3月号 「民主党の腫れもの小沢一郎」
★道経塾(モラロジー研究所)50号 「国家としての汚名を晴らせ」
★交詢雑誌(財団法人交詢社) 507号「当面の政局動向と日本の行方を考える」
★季刊・現代警察(啓正社)120号 「セレクト情報・国内政治・この不毛政局をどう見るか」
★JAPAN TAIWAN(日華文化協会)158号 「『大連立』は必ずよみがえる」

 
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道州制について、いまいちよくわからなかったのですが、御説を伺いまして問題点が理解できました。ありがとうございます。今後もよろしくお願いします。日時:2008年7月13日

理解が浅かった問題なので、深めるきっかけになりました。日時:2008年7月12日

あなたから大連立の破綻を嘆く声をよく聞くが、ねじれは政治を動かしていないというが、私から見れば、ものすごく大きく動かしていると見える。国をダメにする方向を押し留めているのだから。動かないということが、大正解の事態です。日時:2008年7月12日


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  • ジャーナリスト花岡信昭(元産経新聞論説副委員長、日本の新聞社で戦後生まれの政治部長第1号)が現代政治、メディア、世相などを独自の視点で分析・解読、この国のありようをさぐる。

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