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★★花岡信昭メールマガジン★★596号[2008・7・5]
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<<政略にまみれ始めた「たばこ1000円」構想>>
【日経BP社サイト「SAFETY JAPAN」連載コラム「我々の国家はどこに向かっているのか」116回・3日更新】再掲
「たばこ1000円」構想が大きな話題を呼び、自民党税制調査会も論議していく方針を決めた。福田首相にとっては消費税引き上げ回避の格好の代替案となっている。政治的にはそこがポイントだ。
消費税をめぐる本格論議が必要な段階にあるのはいうまでもない。だから、自民党税調は例年なら秋に始める税制改正論議を7月1日に開始した。
だが、「決断すべき時期」などとしていた福田首相も「2−3年内のこと」とトーンダウンし、党税調の雰囲気も「消費税引き上げでは総選挙は戦えない」といったところが大勢のようだ。
与謝野馨氏ら「財政再建派」は消費税10%程度を想定した論議の必要性を強調している。まさにその通りかとは思うが、いまの政治状況を考えれば自民党が躊躇するのも当然といえば当然だ。
消費税導入のときの税調会長、山中貞則氏は自身が選挙で落選する憂き目を見た。消費税に対する国民の理解はその当時に比べて相当に深まってきているようだが、選挙を戦う身としては「増税を掲げては選挙にならない」ということになる。
民主党は本来は消費税引き上げ論に立っていたはずなのだが、ここも政略優先で、断固反対の方針を打ち出した。福田政権には、消費税を真っ向から取り上げて、多角的に論議していくパワーはないと見ていい。衆参ねじれ構造による政治の停滞はここにもあらわれている。
「たばこ1000円」を主唱した日本財団の笹川陽平会長は、欧米並みの価格にすることで財源確保をはかり、さらには、喫煙率の低下、健康被害減少、国民医療費抑制といった効果を強調していた。
40年来のスモーカーである筆者としても、笹川氏の主張は理解できないわけではない。1000円になったらたしかに痛いが、その分を節約し、せっせと原稿を書いて稼ぎ出せばなんとかなる。たばこというのは個人の趣味嗜好の話であって、吸うか吸わないか、健康への影響をどう考えるかは、それぞれの自己責任で決めればいいだけのことだ。
そこでひそかに「買いだめ」を始めた。「タスポ」というあのいかがわしいカードなど使う気にはならないから、コンビニでカートン買いだ。泊り込みの地方講演などでは、何箱かカバンに突っ込んで出かける。
森永卓郎氏は冷凍保存するというが、たばこを冷凍しても大丈夫なのかどうか、そこを知りたいところだ。冷凍可能なら、特別の冷凍庫を買おうかとも思う。1000円になって、たばこを吸う「自由」を奪われるというのはなんともくやしいではないか。自由を貫くために、たばこ購入資金を確保すべく、あらゆる努力を費やそうと思っている。
非喫煙者に迷惑がかかるということで、「分煙」という手法が定着した。このうえは、さらにレベルアップした排煙、消臭の手段を関係者は考え出してほしい。世の中にはたばこを吸う人と吸わない人が並存しているのだから、そうした「知恵」をしぼる以外にない。
この稿で言いたいのは、笹川氏の期待とは裏腹に、「たばこ1000円」が政略にまみれ始めているということだ。「上げ潮派」の中川秀直氏は自身が1日2箱のヘビースモーカーだが、たばこ増税に向けての議員連盟をつくるなど、先頭に立っている。消費税回避が最大の狙いであるのはいうまでもない。
来年度から基礎年金の国庫負担が3分の1から2分の1に引き上げられ、この財源2・3兆円の確保が迫られている。消費税1%は2・5兆円の税収になることから、消費税引き上げを当然の前提としてきた。それが、「たばこ増税」構想によって、いとも簡単に政治の舞台から消えようとしている。
おそらく落としどころは500−600円程度への値上げである。1000円なら9兆円の税収が見込まれ、喫煙者が3分の1に減っても3兆円は大丈夫といわれてきた。500−600円にしたら、喫煙人口の減少はどれだけ食い止められるか。その次第によって、税収規模が変わってくる。
これに、特別会計や独立行政法人などの剰余金といった「埋蔵金」が加わる。たばこの値段をどうするかは、基礎年金国庫負担分をどういう組み合わせなら確保できるか、という計算次第ということになる。
矮小化された政治の実態が、そこに浮かぶ。後期高齢者医療制度の不手際、年金5000万件の未処理といった当面の問題もさることながら、医療、年金、介護の将来構想の全体像を分かりやすく国民の前に提示し、判断を仰ぐのが政治の本来の姿だ。そこには財源確保策としての消費税が不可欠の要素となる。
おそらく大連立が成立していたら、消費税の大幅引き上げが最大のテーマになったはずである。ドイツのメルケル政権も大連立だからこそ、消費税引き上げが可能になった。その絶好の機会を逸したという点で、大連立構想の破綻は日本政治の成熟を遅らせてしまった。
「たばこ1000円」が政治家たちの「サボリ」の材料として使われている。提唱者の笹川氏としても、そういう状況では当初の真摯な思いとは違うという気持ちを抱いておられるのではないか。
もっとも、これが政治だ、という言い方もできる。福田政権としては、消費税論議など可能な限り先送りして、とにかく1日でも長い政権維持を目指す。自民党は「いま総選挙はとてもではないが戦えない」という思惑から、これに付き合う。
民主党は本来の政策理念を捨てて、政略優先で消費税引き上げ反対を掲げ、政権を揺さぶる。この対立の構図には、もう慨嘆する以外にない。
「たばこ1000円」構想は、はしなくも、大きな構想力を失った日本政治の実態を暴きだしてくれたといえるかもしれない。
<<消費税論議も棚上げへ>>
【時事通信コメントライナー2日付】再掲
重要課題は先送り
衆参ねじれ構造の中で厳しい政策運営を余儀なくされている福田首相は、厄介な課題をすべて棚上げする方針のようだ。集団的自衛権の見直し、北朝鮮拉致問題、日本版NSC(国家安全保障会議)創設などに続いて、今後の最大の政治テーマとなると見られてきた消費税の税率引き上げも回避したい意向だ。「論議を始めなくてはいけない」などと述べてはいるものの、消費税引き上げに前向きだったはずの民主党が徹底抗戦を決めたこともあって、先送りに傾いている。
たばこ増税が現実味
来年度は基礎年金の国庫負担分を3分の1から2分の1に引き上げるため、その財源2・3兆円の捻出が必要だ。消費税1%分(2・5兆円)にほぼ見合うため、本格的な消費税論議がことし後半に予想されていた。ところが、「上げ潮派」をリードする中川秀直氏が「たばこ1000円」構想を打ち出し、民主党の前原誠司氏らもこれに呼応して議員連盟を結成、にわかにたばこ増税が現実味を帯びてきた。たばこを欧米並みの1000円にすると、喫煙者が3分の1に減ったとしても3兆円の増収が見込める。
本格論議のパワーはない
さらには、特別会計などの「埋蔵金」掘り起こしといった策も加えて、たばこ値上げを仮に500円程度に抑えた場合でも基礎年金国庫負担分をまかなえる見通しがついてきたらしい。「財政再建派」の与謝野馨氏らは消費税10%構想を打ち出すなど、中長期的な視野に立った税制構造の抜本見直しを求めているが、支持率低下に悩む福田首相には国民に消費税増税の必要性を真っ向から訴えるパワーは残されていない。たばこ増税案は禁煙ブームに乗って国民受けしており、福田首相にとっては格好の援軍となっている。
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<<重要注目記事>>
☆「中央日報」08/07/04
日本財界「不安な韓国に投資する理由ない」
日本経済新聞は3日「原油高で韓国の経済成長にブレーキが
かかっている」と記載し「ここに労働組合によるストライキが
広がりを見せ、韓国経済は一段と厳しくなっている」と報道し
た。
全国民主労働組合総連盟のストライキとソウル都心でのデモ
が、連日、マスコミを通じて報道され、日本では韓国への投資
に対し、否定的なイメージが広がっている。特に韓国経済の最
も大きな問題である対日貿易の逆調を解消するために展開して
いる日系の部品、素材会社の誘致戦略は決定的な打撃を受けて
いる。
今年、対日貿易赤字は先月20日までに162億ドル(約1
兆7000億円)に暫定集計された。労組のストライキと暴力
デモに、国力を消耗させる国論の分裂が続き、年末には赤字規
模が330億ドル(約3兆5000万円)を突破する見通しだ
。
権哲賢(クォン・チョルヒョン)駐日大使は2日、東京駐在
の韓国特派員らと会見し「日本の政財界のリーダーが表面では
口にしないが、今の韓国の状況を見て、投資したいというはず
がない」と苦情を吐露した。
ストライキが頻発し、日本政府と企業を説得する力がなくな
りつつあるのが現状だ。海外に投資する日本企業が最も重視す
るのは労使関係の安定にあるからだ。
しかも最近、日本政府と地方自治体が莫大な税制と資金提供
で、海外に進出した日本企業を国内に誘致する「Uターンラッ
シュ」が活発だ。九州や大阪などの南部地域はもちろん、日本
の北部地域には日本の自動車会社や電子製品会社が工場を次々
に建て、産業地図に変化が起きている。日本の財界のある関係
者は「敢えて経営環境が不安な海外に投資する理由がみつから
ない」と話している。
【お知らせ】
<<産経新聞コラム>>
花岡のコラム『政論探求』は原則火曜付ですが、紙面の都合でときどき水曜付となります。
<<SAFETY JAPAN>>(日経BP社サイト)
<http://www.nikkeibp.co.jp/sj/>
花岡のコラム『我々の国家はどこに向かっているのか』連載中。毎週木曜更新。
<<Janet>>
時事通信サイトJanetの花岡コラム『官邸ウオッチ・風測計』。月末に更新。
<http://janet.jw.jiji.com/apps/do/auth/login.html>
<<そのほか花岡の論文・コラムなど>>
★Voice7月号 「福田政権後の日本 政界分裂・再編マップ」
★正論6月号 「総力特集 胡錦濤訪日で問われる日本の「覚悟」 福田さん、それでも“熱烈歓迎”ですか」
★リベラルタイム8月号 「小沢一郎の是非」
★政経往来7月号 「政局展望 国会攻防、乗り切ったか」
★時事評論(652号 6月20日) 「望まれる政界再編の姿」
★激論ムック「民主党政権が誕生したらこうなる」(オークラ出版)
★コメントライナー(時事通信)7月2日号 「消費税論議も棚上げへ」
★カレント(潮流社)5月号 「『馬英九の台湾』とどう付き合うべきか」
★WiLL3月号 「民主党の腫れもの小沢一郎」
★道経塾(モラロジー研究所)50号 「国家としての汚名を晴らせ」
★交詢雑誌(財団法人交詢社) 507号「当面の政局動向と日本の行方を考える」
★季刊・現代警察(啓正社)120号 「セレクト情報・国内政治・この不毛政局をどう見るか」
★JAPAN TAIWAN(日華文化協会)158号 「『大連立』は必ずよみがえる」
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