- 最新号:2008-09-06
- 発行周期:原則日刊
- 読んでる人:5189人
- 創刊日:2005-07-03
- Score!:92点
- コメント数 : 934
- メルマガID:142868
- バックナンバー:全て公開
- 発行者サイト:あり
- >> 月間ランキング
花岡信昭メールマガジン594号
発行日: 2008/6/28▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
★★花岡信昭メールマガジン★★594号[2008・6・28]
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
<<やはり、「拉致」は棚上げ>>
やはり、というべきか、「拉致」は棚上げされた。
ブッシュ政権は、対北融和政策をなんとしても置き土産にしたいのだろう。ライスーヒル・ラインがそれを忠実に履行した。
「拉致」は日本だけの問題であって、アメリカをはじめ6者協議の日本以外の関心は「核・ミサイル」にある。そんなことはハナから分かっていた。
日米同盟の重要さにブッシュ大統領が思いをはせ、「拉致」重視の姿勢を取ってきたと見られたのは、幻想だったのか。これが国際政治の冷徹さというものだ。
日本の外交当局としては、これでいいのだろう。拉致よりも核・ミサイル。外交当事者の感覚はそれはそれで分かる。
「拉致」はすぐれて政治マターである。政治がどこまで真摯にこの問題に向き合うかが問われていた。福田首相はかねてから、拉致には冷淡であった。
一方で、福田首相は集団的自衛権の見直し問題を棚上げした。識者による報告書もそのままお蔵入りだ。
拉致と集団的自衛権。これは表と裏の関係にある。集団的自衛権の行使容認は、日米同盟の強化のためには避けて通れない課題であった。
それをわが福田首相はいとも冷淡に扱った。そのうえでアメリカに対して「拉致の重要性」を説いたところで、なんらのパワーも生じない。
さあ、これからが政治の出番である。自民党として、福田首相のままでいいと思っている議員がどれだけいるか。福田首相では国の将来を誤る、と判断する議員が増えるのかどうか。
自民党が本来のエネルギーを維持していたならば、この状況を覆すだけの政治力学が働いたに違いない。
だが、「衆参ねじれ」の前に、自民党は沈黙せざるを得ない。「ねじれ」の弊害がここにもあらわれている。
<<「ねじれ」の実態と克服策を改めて考える>>
【日経BP社サイト「SAFETY JAPAN」連載コラム「我々の国家はどこに向かっているのか」115回・26日更新】再掲
日本法政学会の総会が6月中旬、大阪の近畿大学で開かれた。そのシンポジウムに招かれ、「衆参ねじれ」の実態について報告する機会を得た。政治ウオッチャーの視点でこの状況をどう見ているか、学術的報告とは程遠い内容になってしまったが、「ねじれ」とはどういうものか、日ごろ感じているままに喋った。
まず強調したのは、日本政治が初めて体験している「ねじれ」の深刻さである。この通常国会を通じて、国政の停滞をもたらす「弊害」要因であることがはっきりした。この「ねじれ」はかなりの長期にわたって続く可能性がある。そのことをまず説明した。
「ねじれ」を生む背景となった第21回参院選(2007年7月29日投開票)の結果を改めて検証して見る。
自民 37 (非改選46) 83
公明 9 ( 11) 20
・与党計 46 ( 57)103
民主 60 ( 49)109
これが参院選の結果だ。参院は総定数242議席。この半数121を3年ごとに改選するわけだが、自公与党が過半数122を維持していくには、ざっくりいえば、毎回61議席を獲得しなければならない。公明党が10議席と仮定すれば、自民党は51議席必要ということになる。
次の参院選を考えると、自民はこの51議席にすでに14議席足りないのだから、65議席必要になる。前回獲得議席よりも30議席近くを増やさなくてはならない。現実的にはこれはまず不可能だ。自民がそこそこの議席を獲得していくとしても、次回参院選では回復は無理だ。次々回、あるいはその次になるかもしれない。前回参院選を起点とすれば6年後、あるいは9年後ということになる。
むろん、次期衆院総選挙がいつの時点で行われるかはともかくとしても、この総選挙で民主党が大勝し、民主党を軸とした政権が誕生すれば、まったく違うかたちで「ねじれ」は解消する。だが、政治の現場感覚ではその可能性は極めて薄い。
参院の会派としては、少数党や無所属などと統一会派を組んでいることから、選挙結果とは微妙に議席数が異なる。
自民84 公明21 与党計105
民主120 共産7 社民5 無所属5
これが、参院の会派構成だ。ここでいえることは、自公与党は過半数に17議席不足していること、民主党も国民新党などと統一会派を組んではいるものの、なお過半数に至っていないこと、である。民主党会派は社民ないし共産を加えてはじめて過半数122を超えるのだ。
この参院会派の数字から、自公与党は17議席をどこかから確保できれば、過半数に達し、「ねじれ」が解消することになる。国民新党の4議席が来るものと仮定すれば、残り13議席だ。実は、この議席確保をめぐって、水面下では相当の「一本釣り」工作が展開されている。だが、自民党の思うような「成果」は見られない。民主党の参院には組合出身議員が多いなどの事情による。民主党には衆院に保守系議員が結構いるのだが、参院ではそうはいかない。
この水面下の多数派工作では、選挙区の提示(次回選挙で必ず当選できるような仕掛けを考えてやらないといけない)、ポストの約束(内閣改造時に閣僚で登用するなど)が説得材料として使われているらしい。だが、すべて闇の中の話だから、当事者たちは口を閉ざしており、現状ではどの程度、この工作が進行しているのか定かではない。もし、これに「成功」すれば、思わぬ時期に「新党発足」「その新党との連立」といった急展開によって、あっという間に「ねじれ」解消となる可能性が皆無とはいえない。
もっとも、そうした事態が現実化しそうになったら、小沢代表が黙って見ているわけはない。小沢氏の主導で、大連立の再燃もあり得る。
「ねじれ」によって、衆院で可決、参院で否決された法案が衆院で3分の2の賛成で再可決されるという事態が3回起きた。以下の通りである。
・新テロ特措法(提出2007・10・17)
衆院可決11・13 参院否決08・1・11 衆院可決1・11
・ガソリン税暫定税率維持関連法案(提出08・1・25)
衆院可決2・29 参院みなし否決4・30 衆院再可決4・30
・道路整備財源特例法改正案(提出1・23)
衆院可決3・13 参院否決5・12 衆院再可決5・13
これを見ても分かる通り、対決法案の処理に少なくも参院での「みなし否決」が可能になる60日間を考慮しないといけないという事態が生じた。国会はこの攻防戦に追いまくられ、本来の機能を喪失してしまった。
では、「ねじれ」克服のために、何が求められているのか。憲法は衆院の優越性を認めており、まずはこの憲法の趣旨に素直に従うことが重要なのではないか。憲法が規定する衆院の優越性は以下の通りである。
・首相指名 衆院の議決が優先(67条)
・法律案 衆院3分の2で再可決(59条)
・予算 参院送付後30日で成立。衆院に先議権(60条)
・条約承認 参院送付後30日で成立(61条)
・内閣不信任決議、信任決議 衆院のみに認める(69条)
以上を踏まえて、「ねじれ」克服ルールとしては、まず、衆院の優位性を認め、参院は政局に介入しないという原則を改めて確立する必要がある。参院が衆院と同様の政治性を帯びすぎると、参院無用論に拍車をかけかねない。
アメリカ政治は大統領が共和党、上下両院が民主党優位という完全な「ねじれ」状態にある。しかし、日本のように国政停滞という障害は起きていない。これは、大統領権限が絶大であること、クロスボーティングが日常的に行われていること(つまり、共和党系から出された法案でも民主党から賛成者が出る)などの事情による。
日本では党議拘束がやたらに厳しく、法案の採決で党の方針と異なった対応を取ると、処分の対象となる。アメリカの場合、国会議員の高い独立性を認めており、日本もこれを参考に党議拘束の緩和、クロスボーティングの容認に踏み切るべきではないか。
早期の衆院解散、総選挙を求める世論も多いが、これを行った場合、自公与党の過半数確保は想定できても、3分の2確保はまず不可能だ。となると、再可決要件を失った上に「ねじれ」は解消されないという事態になり、現状よりもさらに難しい状況を迎えかねない。
その場合、民主党など野党側が「直近の民意を尊重する」として、前述のような「ねじれ」克服ルールの容認に踏み切るかどうか、その確証はない。
法政学会では以上のような報告を行った。憲法規定の厳密な解釈と政治の現場感覚を踏まえた「知恵」が求められているように思える。内外情勢の変化が激しい時代に、日本だけの特有の事情によって日本政治が対応力を喪失してしまっては、国際社会から取り残されてしまわないか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
記事を読んだら、あなたの評価をつけてください。
評価は3段階で簡単にできますので、本メールの一番下からご参加ください!
___________________________________
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<<読者から>>
★平日は「サンケイ」「東京」の2紙を読みながら仕事場に向かいます。週末は「朝日」「毎日」「読売」を加えた5紙をじっくり並べ読み。仕事場ではこれにWebサイトのウォッチ。私にとって新聞は最高の情報源なのでこれは欠かせません。
こうしてみると、昔から感じていたことなのですが朝日は自分のことを新聞界のなんと思っているのか分かりませんが、どうも周囲を睥睨するというか「えらそー」な驕りを感じますね。
この素粒子問題も、朝日は「俺にしてみりゃここまで謙って陳謝したんだからいいだろう」ってな気分をむんむん感じます。担当者だって全然「悪かった」なんて思っていませんよ。そんなことも理解できない、レベルの低い連中(読者なんて思ってない)が戯言を言ってきている、位のもんでしょう。
>鳩山法相になって死刑執行の数が増えたというのは、なんら指弾されるべき
>ことではない。法相の言の通り、法的手続きを厳正に進めているにすぎない。
>死刑制度そのものについて、存続か廃止かといった論議は、今回の「死に神」
>表現とはまた別の次元の話である。
この花岡さんのお考えは真に仰るとおりと思いますし、同感です。
「人を殺せば死刑」という人類古来の自然法に則る「応報主義」でこの殺人に臨み・・・・という6/11サンケイ正論にあった佐々淳行氏の考えも個人的には充分理解できます。それが「模倣犯」の連鎖を断ち切れるか否かというのはいささか疑問でもありますが。
自分も「炎上」ではありませんが、ブログ表現の言葉足らずから読者に誤解を与える物言いとなり、厳しいお叱りをいただいたことがあります。そのときは真意を最大限丁寧にお伝えし、誤解を与えてしまったことを陳謝し、それを削除したところ、逆にあり難い返信を頂いた経験があります。
100%賛意に包まれることはあり得ないのでしょうが、特に新聞記事は読者がそれを「思考や判断の礎」にしていることが多々あるのだということを常に意識していただくことが肝要かと思います。(爽快屋右伝衛門さん)
[花岡コメント]
ご指摘、ありがとうございます。ものを書くということは、自分をすべてさらけ出すわけで、重いものがありますね。日々、精進。これあるのみです。
★ 毎回コメント楽しみにしています。気になることがあってメールしました。サンケイ新聞にもコメント出されていますが・・毎回全面広告されているアフリカ難民についての意見広告おかしいと思いませんか? あれだけの広告を出すためには膨大な広告掲載料金の支払いが必要です。それとも産経新聞は無料で広告を請け負っているのですか? アフリカ難民問題も重要ですがそれより今そこにある危機
は東アジア政策全般です。
エンリケ航海王子さんのコメントでも○シナ海と豪州が重要だと強調されています。地政学の基本だと思います。横浜でのアジア・アフリカ会議は成功でしたが人道援助のみ強調するのは北朝鮮の何でもくれ攻撃と同じだと思います。(「つけめんだいおう」さん)
[花岡コメント]
意見広告の料金そのほかについては関知していませんが、地政学の重要性は仰るとおりかと思います。
【お知らせ】
<<産経新聞コラム>>
花岡のコラム『政論探求』は原則火曜付ですが、紙面の都合でときどき水曜付となります。
<<SAFETY JAPAN>>(日経BP社サイト)
<http://www.nikkeibp.co.jp/sj/>
花岡のコラム『我々の国家はどこに向かっているのか』連載中。毎週木曜更新。
<<Janet>>
時事通信サイトJanetの花岡コラム『官邸ウオッチ・風測計』。月末に更新。
<http://janet.jw.jiji.com/apps/do/auth/login.html>
<<そのほか花岡の論文・コラムなど>>
★Voice7月号 「福田政権後の日本 政界分裂・再編マップ」
★正論6月号 「総力特集 胡錦濤訪日で問われる日本の「覚悟」 福田さん、それでも“熱烈歓迎”ですか」
★政経往来7月号 「政局展望 国会攻防、乗り切ったか」
★時事評論(652号 6月20日) 「望まれる政界再編の姿」
★激論ムック「民主党政権が誕生したらこうなる」(オークラ出版)
★コメントライナー(時事通信)6月2日号 「『消費者庁』構想に見るポピュリズム」
★カレント(潮流社)5月号 「『馬英九の台湾』とどう付き合うべきか」
★WiLL3月号 「民主党の腫れもの小沢一郎」
★道経塾(モラロジー研究所)50号 「国家としての汚名を晴らせ」
★交詢雑誌(財団法人交詢社) 507号「当面の政局動向と日本の行方を考える」
★季刊・現代警察(啓正社)120号 「セレクト情報・国内政治・この不毛政局をどう見るか」
★JAPAN TAIWAN(日華文化協会)158号 「『大連立』は必ずよみがえる」
このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます
- Japan on the Globe 国際派日本人養成講座
- 日本に元気と良識を。歴史・文化・政治・外交など、多方面の教養を毎週一話完結型でお届けします。3万4千部突破!
- 週刊アカシックレコード
- 02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家(金正日の「遺書」で始まる「中朝戦争」後の北朝鮮...
- 宮崎正弘の国際ニュース・早読み
- 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
- 頂門の一針
- 急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。
- 甦れ美しい日本
- 日本再生のための政治・経済・文化などの発展・再構築を目的とし、メールマガジンの配信を行う
![メルマガスタンド[メルマ!]](/img/common/backnumber_article/melma_logo.gif)


