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花岡信昭メールマガジン586号

発行日: 2008/6/15

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★★花岡信昭メールマガジン★★586号[2008・6・15]

<<タスポと車内アナウンスに共通する危うさ>>
【日経BP社サイト「SAFETY JAPAN」連載コラム「我々の国家はどこに向かっているのか」113回・12日更新】再掲

  ジョージ・オーウェルの有名な小説「1984年」は、近未来の国家管理社会の恐怖を描いたものだが、今日でもその意味合いの重要さは失われてはいない。やや大袈裟にはなるが、そのことを改めて思い知る体験をした。

 この「SAFETY JAPAN」のコラムのほか、筆者はネット社会でささやかなブログ、メルマガの発信を試みている。ネット社会というのは、自ら飛び込んで見ないと、その実態がつかめないと思うからだ。これまで「炎上」体験も含めて、意識的にいろいろな実験めいたこともやってきた。

 その本意は、今後、政治とネットとのかかわりが一段と濃いものになると確信するからだ。ほとんどの政治家はサイトを持っているが、選挙のさいは告示・公示日の午前0時以降、書き込みなどをしてはいけないことになっている。そのまま固めておかなくてはならない。公選法上、文書図画の頒布にあたると判断されているからだ。

 カードを使ったネット献金も認められていない。現在のカードシステムは、物品の購入に限定されているからである。

 ネット社会が成熟化するにつれて、そうした実態がいつまでも続くとは思えない。ネットを使った選挙運動、政治活動の本格化時代がやってくるのは必至だ。そのとき、ネット社会の実情を熟知していないと、具体的にどういう対応が必要なのかが分からない。筆者がパソコン技術もままならないのにネット社会にくらいつこうとしているのは、そのためである。
そこで、最近、面白いといっては何だが、興味深い経験をした。この「SAFETY JAPAN」のコラムでは、たばこの自動販売機の成人認証ICカード「タスポ」について批判するコラムを2回書いたが、それがかなりたってからアクセス数が上昇し、読まれた記事ベスト10に2本とも入ったのだ。

 掲載してから相当な時間が経過しても再び読まれることがある&#8212;&#8212;というのがネット社会の特質である。いつまでもそのまま残るためだ。活字媒体でも「残る」という点では同様だが、簡単には探し出せない。

 ブログ、メルマガでは、「電車内の携帯電話の禁止についての車内アナウンスのわずらわしさ」「たばこ1000円時代の現実味」を扱った記事が反響を呼び、かなりのコメントが集中した。

 「タスポ」「携帯」「たばこ増税」‥‥これはいったい何を意味するのかと考えて、一つの仮説に行き着いた。つまりは、管理、強制、指導されることへの忌避感とでもいうべき共通した心情の反映ではないか、と思えたのである。

 意識するにしろ、無意識にしろ、多くの人は「1984年」型の「管理社会」到来の危うさを感じているのではないか。それが、そうした具体的テーマの中で透けて見えてくる。となれば、これは強靭(きょうじん)な民主主義社会を形成していくうえで健全な反応といえ、一方で「管理する側」に痛烈な反省を迫るものとなる。

 「タスポ」については、関心のある向きは過去のコラムをお読みいただければと思うが、要は、未成年の喫煙防止目的で導入された「タスポ」の危険な側面を指摘したものだ。業界の要請によって財務省の行政指導で導入されたという経緯、たばこを買うという個人的行為がコンピューターによって完全にかつ瞬時に把握されるというシステム。そこに「お上による管理」の危うさを感じてならなかったのである。

 こともあろうに広島県警本部内の売店わきに置いてある自動販売機に、店員名義の「タスポ」が吊るされてあり、県警職員らがこれを使ってたばこを購入していたという事実も明るみに出た。「タスポ」は他人への貸与、譲渡を禁じているが、県警本部内でこうしたことがまかり通っていたというのは、このシステムの欠陥そのものを象徴している。

「車内携帯」の件はこういう記事であった。電車に乗ると、「優先席付近では電源をお切りください」「そのほかではマナーモードにして、通話はお控えください」と何度もアナウンスされる。こういう基本的マナー、社会規範に属するようなことを、車掌から繰り返し聞かされるのはどうにかならないのか、といった趣旨のことを主張した。

 「たばこ1000円時代」は、超党派で議論が始まったたばこ増税案について、いまの政治社会情勢の中では実現可能性が高いのではないか、と書いた。たばこ増税構想には、社会から厄介者扱いされて肩身の狭い喫煙派がなにも言えないであろうことを見越した政治的な知恵が働いている。いまや社会的勝者となった嫌煙派の声をバックに、本来は消費税論議をしなくてはならないのを回避して、当面をしのごうとする。その「政治的いやらしさ」を指摘したかった。

 ここでも、「勝者・嫌煙派 vs.敗者・喫煙派」という構図のもとに、趣味嗜好の分野にずかずかと入り込んでくる「管理社会」の危うさがにじんでくる。そこを突きたかったのである。

 我々は自由と民主主義を謳歌(おうか)してきたはずだ。そこには一定の社会的規律と自己責任が伴う。それは我々自身で、つまり、家庭、学校、地域といった次元での教育を通じて培っていくという不断の努力が必要だ。

 そこのところでどうも何かがおかしくなっている、と感じている向きは多いのではないか。社会の基盤が緩んでいる。そんな印象が強まっているのではないか。

 だが、だからといって、「管理する側」「お上」にまったく無防備に委ねてしまっては、つまるところ「1984年」になってしまう。まかり間違って「管理される気分」が心地よく感じられるような社会にしてしまったら、自由も民主主義も吹き飛んでしまう。

 たかがたばこや携帯電話といったたぐいのことなのだが、その実、奥は深いのではないか。あるいは日本人の国民性そのものに触っている話なのかもしれない。強靭な共同体を形成していくために、いま何が求められているのか。重いテーマだが、そんなことを、ときには考えて見たい。

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<<読者から>>

★ おっしゃる通り、この問題に限らず国民が信頼していた公的機関が、今日のように信頼失墜している時世はないと言えます。これだけ専門性を持ち、日々関わっている機関が、今日の社会情勢に符合する政策企画立案をつくれないのは業務に対する不作為以外の何ものでもありません。
 高齢者問題と言い、少子化問題と言い突発的に発生する問題ではないはずです。それをいまに至って、このように国民に大きなツケを回す行為は、如何に霞ヶ関と永田町が国民と乖離した世界で動いているかを物語っているだけでしょう。
外向きには世界の中で、好印象を振りまきそのツケは全部国民にしわ寄せするいまの国の姿には唖然とするばかりです。いまの韓国の政情を見習うべきで、国民の姿勢も問われているのかも知れません。(岡目八目さん)

[花岡コメント]
 仰るように、行政の中枢がどこかおかしくなっているようですね。



【お知らせ】

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 花岡のコラム『政論探求』は原則火曜付ですが、紙面の都合でときどき水曜付となります。

<<SAFETY JAPAN>>(日経BP社サイト)
<http://www.nikkeibp.co.jp/sj/>
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<<Janet>>
 時事通信サイトJanetの花岡コラム『官邸ウオッチ・風測計』。月末に更新。
<http://janet.jw.jiji.com/apps/do/auth/login.html>



<<そのほか花岡の論文・コラムなど>>
★Voice7月号 「福田政権後の日本  政界分裂・再編マップ」
★正論6月号 「総力特集 胡錦濤訪日で問われる日本の「覚悟」 福田さん、それでも“熱烈歓迎”ですか」
★政経往来7月号 「政局展望 国会攻防、乗り切ったか」
★コメントライナー(時事通信)6月2日号 「『消費者庁』構想に見るポピュリズム」
★カレント(潮流社)5月号 「『馬英九の台湾』とどう付き合うべきか」
★WiLL3月号 「民主党の腫れもの小沢一郎」
★道経塾(モラロジー研究所)50号 「国家としての汚名を晴らせ」
★激論ムック「反日マスコミの真実2」(オークラ出版)
★交詢雑誌(財団法人交詢社) 507号「当面の政局動向と日本の行方を考える」
★季刊・現代警察(啓正社)120号 「セレクト情報・国内政治・この不毛政局をどう見るか」
★JAPAN TAIWAN(日華文化協会)158号 「『大連立』は必ずよみがえる」
★時事評論(647・8合併号) 「自民党の手のひらの上で踊らされる民主党」

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