花岡信昭メールマガジン565号
発行日時: 2008/5/3
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★★花岡信昭メールマガジン★★565号[2008・5・03]
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<<山口2区補選、それぞれのドラマ>>
【日経BP社サイト「SAFETY JAPAN」連載コラム「我々の国家はどこに向かっているのか」107回・1日更新】再掲
福田政権の命運を占う国政選挙として注目された衆院山口2区補選(4月27日投開票)は民主党が制した。これによって、福田政権はいよいよ窮地に追い込まれ、一方で民主党の小沢体制が強化された、と喧伝されている。イメージとしてはその通りなのであろう。だが、選挙戦の実情を詳細に分析してみると、違う構図も見えてくる。
選挙結果は以下の通りである。
平岡 秀夫(54)民主公認・社民推薦 116348
山本繁太郎(59)自民公認・公明推薦 94404
福田政権としては初の国政選挙だ。保守王国・山口で自民候補が2万票以上も引き離され、民主党の圧勝を許したのだから、たしかにこれは深刻だ。自民の敗因として、ガソリン税攻防や後期高齢者医療制度、年金記録5000万件問題などを巡る混乱が指摘されている。
そうした総括も分かるのだが、政治分析には、「鳥の目」と「虫の目」が必要になる。全体を俯瞰するスタンスと、とりわけ選挙の場合に求められるのだが、地元の実情をどこまで把握できるか、地べたを這いずり回る感覚が欠かせない。
そこで、あえて「虫の目」でこの補選を見直して見よう。
☆補選に至る「政治ドラマ」
山口出身のある識者から「山口県は自民王国といわれるけど、長州人は同じ保守でも将来、総理大臣を目指せる可能性のあるような人しか推さないんだよ」と指摘された。なるほど、そうした長州気質は分かるような気がする。
山口県は伊藤博文に始まって山県有朋、桂太郎、寺内正毅、田中義一、岸信介、佐藤栄作、そして安倍晋三前首相まで8人の宰相を輩出している。これに次ぐのが岩手、群馬、東京の各4人だから、いかに突出しているかが分かる。その点では、ご本人には申し訳ない言い方になるが、敗れた山本氏は首相を目指す存在ではない。
山本氏は地元の柳井高校出身、東大法学部卒、旧建設省に入り、耐震偽装問題当時の国土建設省住宅局長。選挙に出るまで内閣官房地域活性化統合事務局長を務めていた。疲弊した地域経済立て直しのためには格好のポストといわれたが、耐震偽装問題で「国交省は責任を民間業者に押し付けた」という批判があったことも忘れてはなるまい。その意味で山本氏は建設関係業界の支持を得たのかどうか。大差の敗北の要因がそのあたりに浮かぶ。
こうした前提を踏まえて、この補選に至った経緯を振り返ると、そこに、なんとも微妙な「政治ドラマ」があることに気付く。
今回当選した平岡氏は東大法学部卒、在学中に司法試験に合格した秀才である。旧大蔵官僚を経て、1999年4月、地元の岩国市長選に出馬、岩国高校で同窓の井原勝介氏(東大法学部卒、元労働省課長)に敗れた。翌2000年6月の衆院総選挙で山口2区から民主党公認で出馬、ベテラン議員の佐藤信二氏(佐藤栄作元首相の長男)を破る。市長選での健闘、知名度の維持がものをいった。2003年総選挙も連勝、この選挙では佐藤氏は比例中国ブロックで復活当選する。
2005年7月の郵政法案採決で佐藤氏は造反、9月の総選挙には出馬せず、政界を引退する。後継者の選考は難航したが、山口選出の幌田晃氏の秘書を経て、岩国市議選、山口県議選で続けてトップ当選した福田良彦氏(37)が出馬、平岡氏を588票差で破る(平岡氏は復活当選)。いわゆる「小泉チルドレン」の1人である。
岩国市は米空母艦載機の岩国基地移駐などで揺れ、予算案を巡る市議会との対立から井原氏が市長を辞任、出直し市長選挙が今年2月に行われる。これに福田氏が衆院議員を辞職して挑み、1782票の僅差で井原氏を破るのである。補選はこれによって行われることになったものだ。
小泉チルドレンは次期総選挙ではきわめて厳しい選挙を強いられるというのが大方の観測だ。そこを読みきって市長選に転出した福田氏の政治センスと、若さにものをいわせた勢いを指摘しておかなくてはなるまい。
☆勝負を避けた「総理大臣を目指せる政治家」
平岡氏は山口県の衆参両院議員のうち、ただ1人の民主党である。この補選には、いやがおうでも立たざるを得ない。別の民主党候補が出るとなると、選挙区をふさがれてしまうからだ。かくして比例からの選挙区転出で初の当選者となった。
こう見てくると、今回の選挙結果はうなずけるものがある。山本氏が終盤追い上げて、平岡氏の背中に張り付くぐらいまで迫り、場合によっては大逆転も、といった観測もあったのだが、やはり無理だった。各メディアは午後8時の投票終了と同時に「平岡氏当確」を打ったのである。
この重要な補選に、自民党はなぜこうした弱気の態勢で臨まなくてはならなかったのか。平岡氏の知名度に恐れをなしてだれも手を挙げなかったというのが実態のようだが、なかでも参院議員の林芳正(47)、岸信夫(49)両氏の対応には疑問が残る。党執行部はこのいずれかの衆院くら替えを考えた。その場合、参院補選も行われることになるから、衆参ダブル効果が期待できる。
林氏は参院3期。下関の名家の出で、曽祖父からの4世議員である。東大法学部卒、三井物産を経て地元のファミリー企業に入り、父・林義郎氏の秘書に。1995年の参院選で初当選した。政策通でテレビ出演も多い。古賀派に所属する。
岸氏は安倍晋三前首相の実弟だ。岸信介元首相の長男、信和氏に子どもがなかったことから岸家の養子となった。慶大経済学部卒、住友商事を経て2004年に初当選、3世議員である。地元はまさに山口2区の田布施町だ。町村派所属である。
政治の中枢で活躍しようと思う参院議員は、衆院への転出を考えるのが常道だ。参院議員のままでは閣僚も2ポストぐらいしか回ってこないから、どうしても地味な存在になってしまう。前述した長州気質や福田氏の果敢な政治行動などを見ても、この局面で勝負を避けた林、岸両氏の政治家としての「限界」がそこに浮かぶ。両氏とも将来の「首相候補」たりうる条件を備えているはずなのだ。仮に落選したとしても、党執行部は次の衆院総選挙で比例1位にランクするなど厚遇したはずである。
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以上が「虫の目」的感覚で見た今回の補選の実態である。「福田政治に不信任」といった紋切り型の見方が妥当なのかどうか。政治の世界には表も裏もあるのだ。
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<<重要注目記事>>
★「中央日報」08/05/01
「従軍慰安婦は国家組織の性奴隷」日本の市民団体がガイドブック出版
日本の市民団体が一般の人々向けに日本軍「慰安婦」の実態を分かりやすく紹介したガイドブックを出版する。
2005年、市民らによって東京に自発的に設立された「女たちの戦争と平和資料館」(wam)はこれまで集めた資料をもとに全64ページの『日本軍慰安婦』を5月3日に出版する。この本は日本軍「慰安婦」に関する歴史的背景や日本政府制度として確立した経緯などが、誰にでもわかりやすいように書かれている。
wamの渡辺美奈事務局長は「‘慰安婦’の存在を知らない若い世代に歴史的な事実を伝えたかった。そのため、今まで明らかになった資料を本にまとめ、出版することにした」と説明した。出版に掛かる費用は約1000人の会員による会費と資料館の入場料で充てられた。
この本は日本軍「慰安婦」制度について「国家による組織的な性奴隷制度であった」と定義している。また慰安婦を強制収容した慰安所を‘性的暴行センター’であると規定した。また、日帝が軍「慰安婦」を、日帝時代の日本軍の制度として作った理由として、4つの理由を提示した。戦線の拡大により日本軍による現地女性への性暴行が頻発し、性病が蔓延した。それにともないアジアはもちろんロシアやグアム地域まで直接、慰安所を設置した。軍の機密維持と将兵らの士気を上げるために組織的に管理する必要があったからだ。
慰安所は▽軍が直接的に管理し、運営する軍人・軍属専用▽民間に運営を任せ、日本軍が管理・統制する形態▽軍指定の民間慰安所−−などさまざまな形態があった。
<<産経新聞コラム>>
花岡のコラム『政論探求』は原則火曜付ですが、紙面の都合でときどき水曜付となります。【5月6日付は紙面の都合で休載です】
<<SAFETY JAPAN>>(日経BP社サイト)
<http://www.nikkeibp.co.jp/sj/>
花岡のコラム『我々の国家はどこに向かっているのか』連載中。毎週木曜更新。
<<Janet>>
時事通信サイトJanetの花岡コラム『官邸ウオッチ・風測計』。月末に更新。
<http://janet.jw.jiji.com/apps/do/auth/login.html>
<<知的空間・人形町サロン>>
<http://www.japancm.com/sekitei/>
若手研究者らによる「知的空間サイト」。花岡の政治コラム連載。月初めに更新。
<<そのほか花岡の論文・コラムなど>>
★正論6月号 「総力特集 胡錦濤訪日で問われる日本の「覚悟」 福田さん、それでも“熱烈歓迎”ですか」
★WiLL3月号 民主党の腫れもの小沢一郎
★Voice4月号 渡辺喜美行革担当相インタビュー「霞が関との戦いに勝つ」
★道経塾(モラロジー研究所)50号 「国家としての汚名を晴らせ」
★激論ムック「反日マスコミの真実2」(オークラ出版)
★コメントライナー(時事通信)4月25日付 「問われる『胡錦濤来日』への対応」
★政経往来5月号 「政局展望 不透明政局の行方を追う」
★交詢雑誌(財団法人交詢社) 507号「当面の政局動向と日本の行方を考える」
★現代警察(啓正)120号 「セレクト情報・国内政治・この不毛政局をどう見るか」
★JAPAN TAIWAN(日華文化協会)158号 「『大連立』は必ずよみがえる」
★時事評論(647・8合併号) 「自民党の手のひらの上で踊らされる民主党」
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この記事へのコメント
全1件表示ところで花岡様は世襲政治家には全然疑問を感じないのですか? 今回を読む限りでは手放しで肯定しているようですが。私も100%否定派ではないのですが、でも最近のように、途中退陣させられた(当然ですが)祖父の怨念、寸前まで行きながら首相になれなかった父の怨念、サミットの議長になり損ねた父の怨念・・・怨念だらけなので、日本の政(まつりごと)を死霊・生霊だらけにしないためにも、少なくとも「大物」政治家の二世三世は当分御遠慮を願いたいと思っています。
日時:2008年5月3日
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