花岡信昭メールマガジン561号
発行日時: 2008/4/26
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★★花岡信昭メールマガジン★★561号[2008・4・26]
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<<胡錦濤来日、この時期「熱烈歓迎」だけでいいのか>>
【日経BP社サイト「SAFETY JAPAN」連載コラム「我々の国家はどこに向かっているのか」弟106回・24日更新】再掲
福田康夫首相は徹頭徹尾、「熱烈歓迎」で臨むのだろうか。中国の胡錦濤国家主席が5月6日、国賓として来日する。中国国家主席の来日は江沢民氏以来10年ぶりだ。
小泉純一郎元首相の靖国参拝、中国側の反日暴動などによって、「政冷経熱」状態が続いていた日中関係だが、チベット問題さえなければ、北京五輪を前に「日中新時代」への転換イメージを象徴する歴史的な来日となったはずだ。
この時期に宮中晩餐会で天皇陛下と並び、杯をあげる。この映像が世界に流れて、どういう反響を呼ぶか。少なくも「チベット問題にきわめて寛容な日本」という印象を強めることは間違いない。「天皇の政治利用」という側面からも考えなくてはなるまい。
福田首相や外交当局にどういう「胡主席迎え入れ戦略」があるのか、いっこうにはっきりしない。今回の胡主席来日は、日本外交の基本が問われる重大な意味合いを帯びているはずなのだ。
小泉政権下で最悪の状況となっていた日中関係は、安倍晋三前首相が就任直後に訪中し、とりあえずは「正常な関係」復活への道筋をつけた。その是非を巡って論議があったものの、政治的には安倍前首相の決断が評価された。
外交というのは、理詰めで押し通しても膠着(こうちゃく)状態を打開できるものではない。ときに行き掛かりを捨ててポーンと飛んでみせる「局面転換の術」も必要だ。その意味で、とかく中国には厳しい姿勢を取っていた安倍前首相の電撃的訪中は効果的だったといっていい。これに続いて、福田首相の訪中があり、一連の雪解けイメージの中での胡主席来日となった。
このイメージは、いわば演出された虚像であって、日本人の対中意識そのものが飛躍的に変わったというものではない。2年前の外務省調査では「日中関係は良好」という回答が7%にすぎなかったが、この傾向に基本的な変化はないだろう。
☆チベット問題でおぼつかない日本政府の認識
日中間には、靖国、慰安婦、南京などの「歴史認識」を巡る軋轢(あつれき)のほか、東シナ海のガス田開発、尖閣諸島の領有権、アジアカップの反日騒ぎ、さらには最近の毒ギョーザ事件に至るまで、とげとげしい問題が山積している。
こうした問題は日中2国間のテーマだが、3月のチベット自治区の騒乱を中国当局が武力で抑え込んだ事件は、国際的な中国非難の大合唱となった。国際社会はこれを、近年まれに見る「国家による人権抑圧事件」と認定したのである。
北京五輪に向けての聖火リレーは、欧米を中心に各地で激しい抗議行動に見舞われた。中国当局が送り込んだとされる青いスポーツウエア姿の「聖火防衛隊」が、その国の主権への配慮など抜きにして、抗議行動への実力阻止に出たことが対中非難に輪をかけた。
長野の善光寺は聖火リレーの出発地点を返上した。不測の事態を恐れてのことだが、チベット問題に対する不快感の表明という点では、その意味合いは大きい。
こうした国際的非難に対し、中国当局は「チベット問題は中国の内政問題」という態度を一貫して取っている。50を超える少数民族を抱える中国だが、「民族自決」を許すと巨大国家にほころびが生じかねない。台湾問題もからんで、中国としては強硬姿勢に出る以外にない。この基本態度が現在の国際社会で許容されるものであるのかどうか、そこが最大の問題なのだが、日本政府の認識はどうにもおぼつかない。
自民党の外交関係合同部会では「国連安保理常任理事国入りを目指そうという日本が、チベット問題は中国の内政問題としてすませてしまっていいのか」といった声が噴出した。だが、福田首相の発言は「声高に非難したり、五輪と関連付けたりすることがいいのかどうか」「関係者が冷静な対応をしてくれることを望んでいる」「状況を注視している。人権にかかわるようなことがあれば、懸念を表明せざるを得ない。そういうメッセージは伝えてある」といった程度なのである。
英国、ドイツ、フランスなど欧州の多くの国は、五輪開会式への首脳出席を見合わせる方針だ。米国でも大統領選候補は共和党、民主党を問わず、ブッシュ大統領に開会式出席を取りやめるよう求めている。日本の態度は、皇室の出席は回避するようだが、そこから先はまだはっきりした方針を打ち出していない。
☆この時期、日中関係だけが突出する「分かりにくさ」
チベットは中国人民解放軍の侵攻によって自治区に組み込まれてから、ほぼ半世紀を迎える。ダライラマ14世は亡命したままだ。チベット側は「弾圧と虐殺の歴史」を非難してきたのだが、これが3月の騒乱の背景となった。だが、中国当局はいまだに、どれだけの犠牲者が出たのか、詳細の公開を避けている。
胡錦濤主席は実はこのチベット自治区の共産党書記として赴任した経歴があり、分離主義を制圧、天安門事件でも波及を阻止した。これが党内部で高く評価され、今日の権力基盤をつくる大きな要因となった。中国の政治指導者としてはこれまでにない国際感覚の持ち主という評価がある一方で、国内的にはそうした強権的側面を持つ政治家であることを改めて認識する必要がある。
今回の胡主席来日では、1972年の共同声明、78年の平和友好条約、98年の共同宣言に続く「戦後4番目の重要文書」が締結されるといわれる。国際社会がチベット問題非難でほぼ一致しているときに、日中関係だけが突出するというのはいかがなものか。「分かりにくい国」のイメージを一段と強めてしまう結果になることを恐れる。
日本はこと中国が相手となると、巨額のODAを供与してきた一方で、「謝罪と反省」を積み重ねてきた。外交は、国益と国家の主権や威厳を踏まえ、片手で握手しながらも別の手には棍棒を握るという側面があって不思議ではない世界である。
国賓として迎えながら批判すべきは批判するという態度を貫いても、冷徹な外交の舞台では許されるのだ。国内政局の観点から見ても、福田首相にとって「きつい発言」がプラスに作用する局面であることを認識すべきだろう。「外交は内政の延長」を実践する好機でもある。
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<<重要注目記事>>
★「朝鮮日報」08/04/24
米で81人死亡の中国製血栓溶解剤、日本にも供給
FDA、11カ国への供給を確認
米食品医薬品局(FDA)はこのほど、人工透析などの際に血液凝固を防ぐために使われる「ヘパリンナトリウム製剤」の副作用問題で、原因とされる中国製の原薬が世界11カ国に供給されていたことを確認した。23日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューンが報じた。
FDAはオーストラリア、カナダ、ドイツ、デンマーク、日本など11カ国に汚染された血栓溶解剤を供給した中国企業12社を特定した。FDAは血栓溶解剤に含まれる汚染物質と米国で死亡した81人の間に明確な因果関係が認められることを明らかにした。
FDAによると、独保健当局も中国製の血栓溶解剤を使用した患者が副作用を起こしたケースを把握しているという。
米国と中国は中国製の血栓溶解剤を使用した81人の死亡とその因果関係をめぐり、攻防を繰り広げてきた。同紙によると、中国政府当局者も中国製の血栓溶解剤に汚染物質が含まれていることを認めているが、汚染物質と副作用との関連については否定しているという。中国政府はFDAの主張に対し、「汚染された血栓溶解剤による死亡は米国でだけでみられ、問題は米国で発生したものだ」と反論している。
<<産経新聞コラム>>
花岡のコラム『政論探求』は原則火曜付ですが、紙面の都合でときどき水曜付となります。
<<SAFETY JAPAN>>(日経BP社サイト)
<http://www.nikkeibp.co.jp/sj/>
花岡のコラム『我々の国家はどこに向かっているのか』連載中。毎週木曜更新。
<<Janet>>
時事通信サイトJanetの花岡コラム『官邸ウオッチ・風測計』。月1回更新。
<http://janet.jw.jiji.com/apps/do/auth/login.html>
<<知的空間・人形町サロン>>
<http://www.japancm.com/sekitei/>
若手研究者らによる「知的空間サイト」。花岡の政治コラム連載。月初めに更新。
<<そのほか花岡の論文・コラムなど>>
★WiLL3月号 民主党の腫れもの小沢一郎
★Voice4月号 渡辺喜美行革担当相インタビュー「霞が関との戦いに勝つ」
★道経塾(モラロジー研究所)50号 「国家としての汚名を晴らせ」
★激論ムック「反日マスコミの真実2」(オークラ出版)
★コメントライナー(時事通信)4月25日付 「問われる『胡錦濤来日』への対応」
★政経往来5月号 「政局展望 不透明政局の行方を追う」
★交詢雑誌(財団法人交詢社) 507号「当面の政局動向と日本の行方を考える」
★現代警察119号 「大連立は必ず再燃する」
★JAPAN TAIWAN(日華文化協会)158号 「『大連立』は必ずよみがえる」
★時事評論(647・8合併号) 「自民党の手のひらの上で踊らされる民主党」
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