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花岡信昭メールマガジン559号

発行日時: 2008/4/21


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★★花岡信昭メールマガジン★★559号[2008・4・21]


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<<衆院補選にすがりたくもなるこの逼塞感>>
【日経BP社サイト「SAFETY JAPAN」連載コラム「我々の国家はどこに向かっているのか」弟105回・17日更新】再掲

どこへ行っても「いまの政治は何とかならないのでしょうか」という声ばかりだ。とにかく、政治が機能していない。ガソリン値下げ、日銀総裁人事といった次元の攻防戦が目立つだけで、政治そのものがいかにも矮小化されてしまったように映る。

 「衆参ねじれ」構造が、政治の機能不全を生んだ最大の要因であることは言うまでもない。憲法は衆院の優位規定を設けてはいるのだが、与野党とも「ねじれ」対応ルールを確立するまでに至っていない。

 いくつかの大学、大学院で現代政治論などを講義しているので、学生には「日本政治が初めて直面した未体験ゾーン。この歴史的にも貴重な時代に政治学を学ぶことを幸いと思わないといけない」などと言ってはみるのだが、政治の実態からすれば、迫力を欠くことおびただしい。

 そこで目下の永田町の関心は4月27日投票の衆院山口2区補選に集中している。自民党議員の市長選転出に伴うもので、自民新人(公明推薦)と比例ブロックからくら替えした民主前職(社民党推薦)の一騎打ちだ。告示(15日)前までは知名度の高い民主候補がリードしていると伝えられたが、そこは保守王国とあって、情勢は混沌としており、結果はなんとも言えない。

 この結果がその後の政局に多大な影響を及ぼすのだという。自民が勝てば、支持率凋落(ちょうらく)で窮地に立たされた福田首相が勢いを盛り返すだろうし、逆に民主が勝てば、小沢一郎代表の求心力が回復し、9月代表選での再選を確実にするとされている。

 たしかに福田政権下で初めての国政選挙ではある。これまでも政局の節目で、補選の結果が重要な役割を果たしたことは少なくない。であるにしても、1選挙区の補選の結果によって、福田政権が信任を得たとか、あるいは小沢体制が磐石になったといった評価が下されるというのでは、「木を見て森を見ない」の典型と言わなくてはなるまい。

 とはいえ、これが現実政治だ、という言い方もできる。フラストレーションが極限に達したかのような逼塞(ひっそく)感を打ち破るには、「ガス抜き」の効果を見逃せない。


☆“弱り目”首相に健康問題も浮上

 この補選で注目すべきは、自民党の地元県連から福田首相に対する応援要請がなかったことだ。自民候補と福田首相が握手しているポスターは用意されず、地元の首長らとのツーショットばかりだという。

 福田首相の地盤沈下を象徴するようでもあるが、もう一つ、首相の健康問題が浮上してしまった。2000年10月、森内閣の官房長官就任の前に、胃がんの手術を受けていたという。

 この3月12日、朝日新聞出身のテレビキャスター、筑紫哲也氏らと会食した席で、福田首相はかつて極秘入院して手術を受けていたことを明らかにしていた。これが週刊朝日によって報じられたのである。

 福田首相は「ぶら下がり」取材(ミニ記者会見)で、「このトシになれば病気の一つや二つ、している」と、この事実を認めた。そこで止めておけばよかったのだが、質問した朝日新聞記者に対して「お宅はどこの社だ」「自分のところの雑誌を宣伝しなくてもいいだろう」などと鬱憤(うっぷん)をぶつけた。

 福田首相には、ときどきこうした「逆切れ」が見られるようだ。かつて、官房長官時代に、北朝鮮との秘密交渉を行っていた外務省の田中均アジア大洋州局長が外務審議官に起用される人事について、記者会見でただされたときにも、終了後、質問した記者に「どこの社だ」とやったことがある。

 永田町では「首相の心理状態の荒れ」を示すような話は一気に広まる。ましてその健康問題がからむとなれば、神経質にならざるを得ない。安倍前首相らの例を引くまでもなく、政治リーダーの病気は政局を動かす大きな波乱要因となるからだ。

☆補選の前後はデリケートな時期

 それにしても、4月27日という補選投票日はいかにも微妙な時期にぶつかったものだ。

 その前日の26日には、長野で北京五輪の聖火リレーが行われる。チベット問題によって各国で激しい抗議行動が起きているが、長野でなにごともなければ日本の「人権に対する鈍感さ」が浮き彫りにされ、各国以上の大騒動になれば中国との関係悪化に結びつく。5月6日に胡錦濤国家主席の来日が予定されているとあって、福田首相はチベット問題への非難めいた発言を避けており、これも国際社会では「異質」に映っている。

 29日に、ガソリン税などの暫定税率を定めた歳入確保法案が参院送付後60日を迎える。この日以降、衆院での再議決が可能になる。追いかけて5月12日以降、今後10年間、揮発油税を道路整備に充てることを盛り込んだ「道路整備特別措置法案」の再議決が可能になる。時期が違うのは、衆院国土交通委員会が強行採決をためらい、衆院通過が3月13日にずれ込んだためだ。

 この両方の法案が成立しないと、道路予算を執行できない。歳入確保法案の再議決を道路整備特措法案の時期にまでずらすと、4月末で自動車重量税が期限切れとなってしまう。自動車重量税が安くなり、新車登録が集中する騒ぎになりかねない。

 別々に再議決するか、一緒に行うか、厄介な選択が迫られることになる。歳入確保法案が成立すると、4月冒頭から下がっていたガソリン価格はまた元に戻る。ガソリン値下げを最大の政治テーマとしていた民主党は、再議決が行われれば、参院で首相問責決議案を可決する構えだ。

 改めて確認しておかなくてはならないが、再議決規定は憲法で定められている。問責決議は憲法にも国会法にも規定はない。いわば法的拘束力のないものなのだが、参院で可決されれば、野党は「問責決議を受けた首相が出席する審議には応じられない」として、審議拒否の有力な根拠になると踏んでいる。

☆「総裁選を先行」は本音か、建前か

 通常国会の会期末は6月15日。残り2カ月となった時点で、政府提出法案78本のうち成立したのは13本だけだ。衆院段階にあるか、審議入りすらしていない法案が合計50本残されている。衆院通過後60日の再議決規定を使うとなれば、国会の大幅延長しか手はない。

 7月7日からの洞爺湖サミットを控えて、福田首相はそうした攻防戦に追われることになる。内閣支持率がさらに下がるとなれば、いよいよ、サミット後の解散・総選挙を約束して法案処理をはかる、という「サミット花道論」が現実化しかねない。

 だが、自民党内には「福田首相では選挙は戦えない。解散するなら総裁選をやって新しい首相のもとで」という声もじわじわと出始めている。内閣総辞職 ― 自民党総裁選というのは、実は民主党が最もいやがるシナリオであり、総裁選先行論は民主党揺さぶりが狙い、という見方もある。

 本音と建前が交錯する複雑怪奇に入り組んだ政局なのだ。その実態からは「この国をどういう方向に持っていこうとするのか」といったレベルの国家戦略論議など出てこようがない。




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<<読者の声>>

★ 福田総理の意志か否かは判別しかねる問題ですが、内閣全体として人権もさることながら鈍感さが悪い方向で出ています。要するに国全体をどういう方向に導こうとするのかその方向性が見えません。
場当たり的な対応策に終始している力不足を感じます。これは官僚の手のひらで踊らされているだけの内閣でしかありません。
また、外交はこれまでの小泉内閣のフォローとして、中国に対して遠慮して日本としての言うべき事も言えず、先行きは取り込まれる恐れを感じます。国民は馬鹿ではありませんので、それらを勘案して支持率が急降下しているものと思います。
出来るだけ早く総理を代えた方が、自民党の傷は浅くて済むのではないでしょうか?( 岡目八目さん )

[花岡コメント]
 「福田離れ」がどこまで深刻化するかということでしょうね。ご指摘のように、この国をどうしようとしているのか、国家観は希薄ですね。




<<重要注目記事>>

★「朝鮮日報」08/04/19

中国、海南島に原潜基地を建設か

 18日付香港紙・文匯報などは、中国が最南端の海南島三亜市に空母と原子力潜水艦が停泊できる大規模な海軍基地を建設していると報じた。
 報道によると、米英両軍による衛星写真解析の結果、中国は三亜市亜竜湾に原潜の停泊施設を建設しているという。同施設は射程距離が8000−1万4000キロに達し、米本土も攻撃可能な大陸間弾道ミサイル「巨浪」を10基余り搭載可能な最新鋭原潜の「晋級」(094型)が停泊可能な規模だ。
 中国は韓半島(朝鮮半島)に近い山東省青島市と遼寧省葫蘆島市に原潜基地を保有しているが、日米による監視や浅い水深のため作戦上の制約を受けているという。中国が最南端の三亜市に原潜基地を建設するのは、横須賀など日本の米軍基地から離れている上、周辺の水深が数千メートルに達し、敵に探知されにくいためとみられる。
 中国はまた、2009年の完成を目指し、亜竜湾に空母が停泊可能な長さ230メートルのふ頭3カ所を建設している。このため、亜竜湾が今後、中国海軍の中心的基地に浮上するとの観測も出ている。中国は亜竜湾基地の完成を待って、広東省湛江港を拠点とする南海艦隊の戦力を大幅に移動させる方針とされる。こうした動きは空母保有などで「大洋海軍」への飛躍をもくろむ中国の姿勢の表れとみられる。





<<産経新聞コラム>>
 花岡のコラム『政論探求』は原則火曜付ですが、紙面の都合でときどき水曜付となります。

<<SAFETY JAPAN>>(日経BP社サイト)
<http://www.nikkeibp.co.jp/sj/>
花岡のコラム『我々の国家はどこに向かっているのか』連載中。毎週木曜更新。

<<Janet>>
 時事通信サイトJanetの花岡コラム『官邸ウオッチ・風測計』。月1回更新。
<http://janet.jw.jiji.com/apps/do/auth/login.html>

<<知的空間・人形町サロン>>
<http://www.japancm.com/sekitei/>
若手研究者らによる「知的空間サイト」。花岡の政治コラム連載。月初めに更新。


<<そのほか花岡の論文・コラムなど>>
★WiLL3月号 民主党の腫れもの小沢一郎
★Voice4月号  渡辺喜美行革担当相インタビュー「霞が関との戦いに勝つ」
★道経塾(モラロジー研究所)50号 「国家としての汚名を晴らせ」
★激論ムック「反日マスコミの真実2」(オークラ出版)
★コメントライナー(時事通信)3月27日付 「国政混迷に『民主党主因』論」
★政経往来5月号 「政局展望 不透明政局の行方を追う」
★交詢雑誌(財団法人交詢社) 507号「当面の政局動向と日本の行方を考える」
★現代警察119号 「大連立は必ず再燃する」
★JAPAN TAIWAN(日華文化協会)158号 「『大連立』は必ずよみがえる」
★時事評論(647・8合併号) 「自民党の手のひらの上で踊らされる民主党」

 
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この記事へのコメント

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政界再編、外交がどうなるのかの予想が欲しかった。日時:2008年4月21日

パトリオット>「日本政治が初めて直面した未体験ゾーン。この歴史的にも貴重な時代に政治学を学ぶことを幸いと思わないといけない」

これは正しい認識です。前も書きましたが、小泉氏の「改革に当たっては痛みがあっても仕方ない」を肯定する人ならば、「ねじれ」の意義を否定すべきではないでしょう。
ところで山口2区補選の結果を過大視するなとのご意見のようですが、敗戦必至と見ての予防線でしょうか。案外負けずにすんだりして・・・与党が勝利した時の花岡様のご意見を読むのを楽しみにしています。もっとも、与党敗北の方が楽しみなのはもちろんですが。こういうときはどちらに転んでも楽しみがあるような心構えを作っておくのが、私のクセです。
日時:2008年4月21日


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