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花岡信昭メールマガジン541号

発行日時: 2008/3/8

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★★花岡信昭メールマガジン★★541号[2008・3・8]

<<「沖縄」「イージス艦」報道に欠けていること>>
【日経BP社サイト「SAFETY JAPAN」連載コラム「我々の国家はどこに向かっているのか」弟100回・6日更新】再掲


 このサイトの基本テーマは「安心」「安全」だ。まさにそのテーマに合致すると思われるのが、沖縄で起きた「米兵による少女暴行事件」とイージス艦「あたご」の漁船との衝突事故だ。すでに論議は出尽くしているかとも思うが、改めて、この2つのケースが何を問いかけたのか、総括しておきたい。

 双方のケースに共通していたのが、大方のメディア報道のスタンスだ。「沖縄」では米兵・米軍側を一方的に断罪し、「あたご」では自衛隊側が全面的に悪いという報道ラッシュであった。とくにテレビのワイドショーはその傾向が一段と強かったように思う。

 断罪された側はいずれも、反論、言い訳ができない立場にある。とかくメディアはそういう「逆襲が絶対にない相手」に対して居丈高になる。メディアの世界に長年いた者としても、いま必要なのは、常識的判断と沈着冷静な報道スタンスではないかと痛切に感じる。

 「沖縄」のケースから見よう。こういう言い方は注意しないといけないのだが、米兵による事件、不祥事、不始末はいまに始まったことではない。再発防止には全力をあげてほしいが、「軍隊」というのは、あすは自分の生命をかけなくてはいけないかもしれないという心理が働く特殊な組織である。そうした面での専門家による兵士の管理、ケアーが重要になる。

 そのことを前提として、あえていえば、今回の事件は14歳少女が夜の8時半に繁華街で遊んでいなければ、そして、米兵のバイクに乗るという軽率な行為をしていなければ、起きなかったケースである。「子どものしつけ」の徹底を家庭や地域、学校に求めることが、この事件が残した教訓だろう。重ねていうが、普通に道を歩いていて拉致されたというケースではなかった。

 少女側は「強姦」で逮捕された米兵に対し、告訴を取り下げ、米兵は結果的に不起訴となった。米兵は「強姦」の事実を否認、警察当局による証拠収集や捜査も難航していた。少女の将来を考えれば、これ以上の言及は避けたほうがいいのだろう。地元では「極悪な米兵による被害少女」として知られてしまっている。不起訴となった以上、「強姦事件はなかった」のだから、周辺は少女の今後をあたたかく見守ってほしいものだ。

 だが、「反米・反基地」勢力はこの事件によって勢いづいた。地元の首長や議会は、普天間返還、代替基地建設の調整を「さぼる」理由ができた。これが政治の世界の「いやらしさ」である。

 不起訴となったからには、この事件によってぎくしゃくしてしまった日米関係の修復に努めることが急務だ。政府関係当局には周到かつタフな事後処理を求めたい。関係修復にどれだけの時間を要するか、そこに日米同盟の強靭さがかかっている。

 「あたご」のケースも複雑だ。漁船の父子が行方不明という痛ましい事故だが、横須賀に向かって直進していた「あたご」と漁船の船団が鉢合わせしてしまった。メディア報道は「あたご」側の過失を一方的に責め立てている。防衛省、自衛隊の対応の遅れも集中砲火を浴びた。そこはプロ中のプロである以上、迅速、的確な対応が求められたのは当然だ。だが、今後の海難審判の結果は予断を許さないものがある。

 海上衝突予防法では、船舶同士の衝突を回避するため、「行会い船」「横切り船」などの状況別に細かな規定を設けている。

 「行会い船」はほぼ真向かいに行き会う場合で、互いに相手の船の左舷側を通過する、つまり、右側通航を義務付けている。「横切り船」は互いに進路を横切る場合で、相手を右舷側に見る船は相手の進路を避けなければならないとし、さらに、相手の船首方向を横切ってはならない、としている。

 つまり、互いの位置関係によって、回避行動が違ってくるのだ。今回のケースでは、僚船の1隻は右左に蛇行して衝突を避け、1隻は「あたご」の直前を横切った。海上保安本部が捜査に全力をあげているが、その結果によっては、これまで言われてきた構図が変わる可能性もある。

 それにつけても思い出すのは、「なだしお」と「雫石」である。いずれも発生当時は自衛隊側が全面的に指弾された。新聞社にいて、あのときの興奮状態をいまだに覚えている。だが、最終的な判決は違ったのである。

 1988年7月23日、横須賀沖で海上自衛隊の潜水艦「なだしお」と遊漁船「第一富士丸」が衝突、「第一富士丸」が沈没して30人が犠牲となった。事故当時は「なだしお」側を責める報道があふれ返ったが、海難審判庁は「なだしお」の回避の遅れを指摘する一方で、「第一富士丸」にも直前での左転に問題があったと判断した。刑事裁判では、「なだしお」艦長、「第一富士丸」船長の双方に執行猶予付きの禁固刑が下されている。

 1971年7月30日、岩手県雫石町の上空で航空自衛隊の戦闘機と全日空機が衝突、双方とも墜落した。全日空機の162人が犠牲となり、戦闘機の訓練生はパラシュートで脱出、生還した。このときも、自衛隊側に全面的な非があると報道されたが、最終的な構図は違うものとなった。

 当時、別の戦闘機で飛んでいた教官と訓練生が業務上過失致死などで逮捕、起訴されたが、訓練生は無罪、教官は執行猶予付きの禁固刑となった。裁判の過程では全日空機側の過失も認定された。戦闘機は時速840キロ、全日空機は900キロ。全日空機が下側から追突、水平尾翼で戦闘機の右主翼を引っ掛けたというものであった。戦闘機よりも全日空機のほうが速かったという事実に驚いたのをいまだに覚えている。民事裁判は20年近くかかったが、最終的に過失割合は「国2、全日空1」と認定されている。

 昔の資料を改めて点検してみると、メディアの報道姿勢に基本的な変化が見られないことを指摘しないわけにはいかない。「沖縄」では米兵・米軍が、「あたご」では自衛隊側が「全面的悪玉」として報じられた。「なだしお」「雫石」とまったく同様の構図である。

 これも集団的過熱取材(メディア・スクラム)のなせる弊害なのだろうか。一時的にカーッと血が上ってしまうような報道スタンスでは、事実が見えてこない。再発防止の方向性も危うくなる。相次いだ2つの事件、事故はメディアにも痛烈な反省を迫るものだ。




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<<読者から>>

★ 懲りない民主党とでも言いましょうか、どういう理由でこの武藤日銀総裁就任に反対しているのか明確に見えないのが民主党や野党です。何でも旧大蔵省出身のため財務と金融の分離がなされず、適正な政策判断が出来ないのが理由とのことですが、これもおかしい論理であり、さらに野党の面々は、今日の格差社会を容認する総裁では認められないと主張もしています。
 たしかにこれまでの一連のサブプライム問題を始め、株安問題への対応についての日銀の対応は他人事のような発表ばかりで的確なものはありませんでした。しかし、いま起こっている総裁人事にまつわる動きは政局以外の何ものでもないというのがよく分かります。これでは、正当性を主張する理由にはならないのは国民の側にもよく理解でき、民主党は自ら墓穴を掘る行為以外のものでしかありません。
 ここが政権交代の謳い文句とは大きく違い、いつまで経っても大人になりきれない政党と映る所以で、腰砕けに終わるのは目に見えています。いつも駆け引きに負けている状態では政権は遠のくばかりでしょう。( 岡目八目さん )

[花岡コメント]
 ご指摘の通りで、いま一番困っているのは当の民主党だと思います。



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★激論ムック「反日マスコミの真実2」(オークラ出版)
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★時事評論(647・8合併号) 「自民党の手のひらの上で踊らされる民主党」

 
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この記事へのコメント

全9件表示
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全く同感です。
日時:2008年3月10日

人間失格日時:2008年3月10日

パトリオットそれなりのご意見だとは思いますが、マスコミがこぞって花岡氏と同様な論調だと想像すると、少なからず不安になるでしょうね。それでいいという方もおられるんでしょうが。日時:2008年3月9日

「あたご」及び海自への一方的な非難に対するマスコミへの警告を高く評価します。亦これにあるのりした民主党初め野党の突然の国防への不安はあまりにもご都合過ぎます。日時:2008年3月9日

花岡先生のメルマガ以前から拝読していましたが何時の頃からか配信が途絶えました。

所がここ3日ほどから配信されるようになりました。
先生の「正論」読み応えアリマス。これからもよろしくお願いします。
日時:2008年3月8日

防衛省の対応も悪く、事を荒立ててしまった。自衛隊や米軍にモラルを求めても意味が無い。このようなことが起こりうる集団であることを認識して、敬意と警戒を持って、近寄ってはいけないことも教えるべきでしょう。ちなみに、自衛艦の乗組員は海技免許は不要のはず。北方領土近海では、ロシアの警備艇が灯火をつけないでうろうろしている。日時:2008年3月8日

これからも正論を期待します日時:2008年3月8日

貴方のメッセージに拍手喝さいです。日時:2008年3月8日

このように良識ある意見がどうして一般のマスコミに載らないのか。現在の集団ヒステリー状態には驚くばかり。日時:2008年3月8日


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ペンネーム : はなさん

  • ジャーナリスト花岡信昭(元産経新聞論説副委員長、日本の新聞社で戦後生まれの政治部長第1号)が現代政治、メディア、世相などを独自の視点で分析・解読、この国のありようをさぐる。

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