花岡信昭メールマガジン535号
発行日時: 2008/3/1
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★★花岡信昭メールマガジン★★535号[2008・3・2]
<<予算の年度内成立確定>>
来年度予算案とガソリン税などの暫定税率維持を盛り込んだ歳入確保法案が29日夜、衆院を通過した。
共産党を除く民主党など野党は採決を欠席した。この攻防戦、まずは与党側の勝ちである。
野党第一党が採決を欠席したのは19年ぶり3度目。それにしては、さしたる混乱もなく、まるでスケジュール消化といっていいような展開だった。
予算案本体は衆院で可決すれば30日で自然成立するから、これで年度内成立が確定する。
実は1週間ほどの「のりしろ」はあった。4月第1週ぐらいに成立させれば、現実の支障はほとんどない。
国家予算だから、新年度になっても成立していないと国庫からカネを支出できない。以前は、「刑務所の食事代を払えない」といったことが予算の年度内成立が必要だとする理由とされた。笑い話のように思えるかもしれないが、「共済のカネを一時的に使えないか」といったことまで検討されたケースもあった。
ともあれ、衆院通過を野党が阻止しようと大暴れする余地はあった。たとえ1週間遅らせても政府与党側には大丈夫だったのだ。
そういう場面もないまま、きわめて順調に衆院採決が進んだ。今後は3月末攻防となる。
以下、SANKEI EXPRESSの拙稿再掲。
<<どうなる「3月末」攻防>>
[EXPRESS23日付「福田政権考」]再掲
福田内閣の支持率は依然として低空飛行だが、政局そのものは「なぎ」状態が続いている。今後の焦点は「3月末」の攻防戦ということになる。
もちろん、その前に2月末から3月はじめにかけて、来年度予算案の衆院通過が必要になる。予算案本体は衆院で可決されれば30日後に自然成立する。
いわゆる年度内成立というのは3月末までに成立させるのが一番いいのだが、4月第1週ぐらいになっても実務上、支障はないとされる。だから3月はじめが衆院通過のリミットということになる。
与党側には衆院通過をめぐる懸念はほとんどない。いざとなれば与党単独で可決してしまえばいいということらしい。野党はいきり立つだろうが、3月末までには時間があるから仕切り直しも可能、というのが与党側のハラのようだ。
「ガソリン税」は与党の勝ち
ガソリン税の暫定税率維持をめぐる攻防戦は、とりあえず与党側が「勝った」。与党側が3月末に切れる暫定税率関連部分だけを切り離し「つなぎ法案」として議員提出するという奇策に出て、衆参両院議長が乗り出し、「3月末までに一定の結論を得る」ことで収拾された。
これは、暫定税率などを含めた予算関連法案について、3月末までに衆院可決、参院否決、衆院で3分の2の賛成で再議決の手順を踏むこと、というのが与党側の解釈だ。
だが、民主党内には「そんなことまで決めていない」という強硬論もあって、玉虫色合意が引っくり返される可能性もなしとしない。
参院議長は民主党出身の江田五月氏だ。「いくらなんでも江田さんのカオをつぶすようなことを民主党がやるはずはない」(自民党幹部)と見られてはいるのだが、民主党内には「いざとなれば議長を交代させてでも攻勢に出る」などと息巻いている向きもあるらしい。
「年金再燃」も?
3月末には「年金5000万件」の統合記録を「最後の1人まではっきりさせる」という政府公約の期限が来る。これは、とてもではないが実現不可能というのが常識的な見方なのだが、野党側は、その段階に来たら、もう一度持ち出して揺さぶる構えのようだ。
この問題に対する福田首相の発言がどうにも明確でないことや、「ねんきん特別便」の再発送といった不始末もあって、野党側は「年金再燃」のチャンスをうかがっている。
中国製毒ギョーザ事件、沖縄の少女暴行事件、イージス艦の漁船衝突事故など、対応が難しい問題が相次いだ。これがボディーブローとして効いてくると、政権のパワーダウンを加速させかねない。
3月末攻防はほぼメドがつき、4月解散説もなくなったというのが永田町ウオッチャーの大方の見方なのだが、政局は思いがけない方向に転がり出すことがままある。
福田首相の存在感、発信力がどうにも希薄であることが、与党側にとっての懸念材料でもある。
人権擁護法案、在留外国人の地方参政権付与法案が浮上しているのも、一触即発に備えた「野党懐柔策」のニオイがついてまわる。いずれも国のありようにかかわる重要課題であるだけに、政局攻防の取引材料に使われてはたまらない。
福田首相にとっても、その両法案のいずれかでも持ち出せば、自民党内保守派の総攻撃を浴びかねない。薄氷を踏む政権運営がなお続く。
<<福田首相は「大連立」へのサインを出した>>
[日経BP社サイト「SAFETY JAPAN」連載コラム「我々の国家はどこに向かっているのか」弟99回・28日更新]再掲
首相は外遊すると、「内政懇談」というのをやる。国内の政治状況について、ざっくばらんに語る場だ。だから必ず政治部記者が同行する。外遊先に特派員がいれば、これに任せておけばいいではないかと思われるかもしれないが、この内政懇談には特派員は入れない。政権運営や政局の流れに通じた官邸担当記者でないと、何がニュースか、判断できないという側面もある。
国内政治についての懇談であるのなら、東京でやればいいともいえるのだが、そこが微妙なところだ。国外であれば、多少踏み込んだことを述べても許されるという慣習がある。日本のメディアが長い年月をかけて積み上げてきた政治取材の「知恵」のひとつともいえる。
福田首相は韓国の李明博大統領の就任式(25日)出席のため訪韓し、24日夜、ソウルでこの内政懇談を行った。各紙は25日付朝刊でその内容を伝えている。以下、東京発行紙の見出しをあげてみる。
朝日 暫定税率法案 首相、修正前向き
毎日 租特法改正案の修正に柔軟姿勢 福田首相
読売 暫定税率法案 首相、修正前向き
産経 暫定税率修正に意欲 首相「4月改造」にも含み
日経 暫定税率 首相、法案修正に柔軟 年度内の成立念頭「日銀人事 政府責任で」
東京 暫定税率 首相、修正前向き 年度内成立に向け表明
全紙ともほとんど同じ見出しである。ガソリン税の暫定税率維持を含む租税特別措置法改正案について、野党との修正に応じる意向を示した点を最大のニュースとして扱った。
ニュース判断としてはそれでいいのであろう。予算関連法案の参院審議での最大の焦点は、参院で多数を占める民主党など野党側が政府案を否決し、衆院に戻されて3分の2の賛成で成立するという再議決プロセスをたどるのか、それとも修正協議が成功し、その修正案が野党の賛成も得て年度内に成立するのか、ということになる。これが目下の最重要課題であることは確かだ。
だが、内政懇談であるからには、福田首相は国内では言えないようなことまで言及しているはずだ。そう思って、各紙を点検すると、日経の1面記事の末尾にこうあった。
<参院で野党が過半数を握る現状に関し「外国からみて、日本の国会はなかなか決まらないとなれば日本を信頼してくれるかどうか。それをどう突破するか、みんなで真剣に考える必要がある」と指摘した。次期衆院選前の民主党との大連立などの可能性について「相手次第だ」と述べ、大連立を含めて民主党との連携を探る考えをにじませた。>
この点について、他紙の中には懇談要旨で若干触れているところもあるが、きちんとした記事にしているのは日経だけである。そのくだりの発言がどんなものだったか、さらに詳細に探ってみると、大連立の可能性については、こういう表現だったようだ。
「相手次第だ。外交を進める上でも、こういう状態はよくない。日本となにかやろうとしても、日本の国会ではなかなかものが決まらないということになると、日本を信頼してくれるかどうか。大事な話をしてくれるかどうか。それは大変大きな日本政治の課題だ。これをどうやって突破するか。これは国益にかかわることだと思っている」
衆参両院の「ねじれ」について、福田首相は外交上の観点からも克服する必要があると強調し、「国益にかかわることだ」とまで言い切った。ここが、内政懇談で最も強調したかった点ではなかったか。これは明らかに、民主党に対する「大連立への誘い」である。明確にサインを送ったと見ていい。
日経記事で重要なポイントは「次期衆院選前の」という部分である。昨年10月―11月の2回の党首会談で福田首相は民主党の小沢代表に対して大連立構想を提示、小沢氏がこれを受け入れて党に持ち帰ったものの、猛反発を受けて断念した経緯は周知の通りだ。
その後、大連立についての大方の受け止め方は、次期衆院選の結果によっては再燃する可能性がある、といったものであった。ありていにいえば、自公与党で過半数を得るという結果になった場合、大連立が発動されるだろうという見方である。
そういう結果になれば、衆参ねじれは解消しないうえ、衆院3分の2という再議決規定の適用条件も消えてしまうためだ。国会は一段と混迷要因を深めることになり、大連立への機運が一気に高まるだろう。民主党が大勝して民主党を軸とする政権ができれば、逆のかたちでねじれは解消し、大連立も吹っ飛ぶ。
福田内閣の支持率は依然として上昇しない。産経・FNN調査(23−24日)によれば、支持率は28・7%と初めて30%を割り込んだ。逆に不支持率は52・2%で5割を突破した。
支持率浮揚作戦としては何が考えられるか。それが「4月改造」ということになるのだが、国民受けのする与謝野馨氏や麻生太郎氏らの登用といった手でも取らないと、支持率立て直しには結びつかない。
だが、こういう見方もできる。支持率低迷は福田首相にとって、大連立への傾斜を強める要因として働くはずだ。大連立をめぐる小沢氏との党首会談は公式には2回だけだったが、実はこれ以外にもひそかに会っていたとされる。大連立のすり合わせは、想像以上に進んでいたと見ていい。
小沢氏の側にも複雑な事情がある。かねて民主党が主張していた4月解散はなくなったと見られているが、となると4月27日の衆院補選(山口2区)が重要な政治決戦の場となる。場合によっては参院補選が行われる可能性もあるが、いずれにしろ、これを終えれば、あとは9月の民主党代表選に向けての党内調整が本格化する。
小沢氏とすれば、「無投票再選」が果たせなければ、代表の座にとどまることはないという見方がもっぱらだ。「反小沢」候補が浮上してきたら、小沢氏はどうするか。そういう状況は、小沢氏にとって大連立へ突き進む要因となる。
参院で与党は過半数に17議席足りない。そこを埋めるだけの数がそろえば、「中連立」ぐらいの規模となる可能性もなしとしない。現に、水面下では「人集め」工作が進行中という説もある。
内閣改造のチャンスは1月の臨時国会閉幕と通常国会召集の間にもあったはずだが、福田首相はこれを見送った。大連立となれば民主党に閣僚ポストをいくつか明け渡す必要があり、それに備えたものという見方もできる。
福田首相はソウル内政懇談の場を利用して、重要なメッセージを発出したのである。いまボールは小沢氏の側にある。
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<<読者から>>
★ 戦後の日本の最大の欠点は自立できない成人を数多く生み出してきたということです。敗戦による反動からか、戦後は左翼勢力の台頭が著しく、すべての責任を他に押しつける風潮が蔓延してきました。
今日の社会を揺るがせている種々の身近な問題にもこれらの影響で社会全体が迷惑を被り困ってもいます。
この事件についても、米兵と日本の一少女との構図から詳細な事実が不明な報道から米軍に非難は集中しておりました。
都合のよいことはおんぶにだっこの日本の防衛システムに、ひとたび都合の悪いことが起こるとこうなります。
この問題がさらに日米の地位協定の中身にも及び、政治問題化してきたのはこれらを材料として政局に持ち込もうとする勢力の思惑が先行したとしか理解できません。個々の問題は、もっと精査して事件の背景に迫り双方の落ち度や悪質度を検証した上で論じるべきでしょう。単なる日米間の問題でなくても事件の内容として論じていれば、少女の行動に落ち度があり同種の事件は国内でも発生しており、これらの事件に対する啓蒙運動にもなったはずです。( 岡目八目さん )
[花岡コメント]
お説の通りですね。米兵のこうした行為があとを絶たないことも問題ですが、今回のケースでいえば、少女の側はあまりに「軽率」でした。
【お知らせ】
<<産経新聞コラム>>
花岡のコラム『政論探求』は原則火曜付ですが、紙面の都合でときどき水曜付となります。
≪SAFETY JAPAN≫(日経BP社サイト)
<http://www.nikkeibp.co.jp/sj/>
花岡のコラム『我々の国家はどこに向かっているのか』連載中。毎週木曜更新。
<<Janet>>
時事通信サイトJanetの花岡コラム『官邸ウオッチ・風測計』。月1回更新。
<http://janet.jw.jiji.com/apps/do/auth/login.html>
≪知的空間・人形町サロン≫
<http://www.japancm.com/sekitei/>
若手研究者らによる「知的空間サイト」。花岡の政治コラム連載。月初めに更新。
<<そのほか花岡の論文・コラムなど>>
★WiLL3月号 民主党の腫れもの小沢一郎
★Voice2月号 防衛省の「平和ボケ」を覚ます 小池百合子氏インタビュー
★道経塾(モラロジー研究所)50号 「国家としての汚名を晴らせ」
★激論ムック「反日マスコミの真実2」(オークラ出版)
★月刊「正論」11月号 「安倍晋三は何に敗れたのか」
★コメントライナー(時事通信)1月28日付 「失態を直視できない民主党」
★政経往来・新春合併号 「福田政権の命運を握る年金問題」
★交詢雑誌(財団法人交詢社) 507号「当面の政局動向と日本の行方を考える」
★現代警察119号 「大連立は必ず再燃する」
★JAPAN TAIWAN(日華文化協会)158号 「『大連立』は必ずよみがえる」
★時事評論(647・8合併号) 「自民党の手のひらの上で踊らされる民主党」
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