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花岡信昭メールマガジン533号

発行日時: 2008/2/29


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★★花岡信昭メールマガジン★★533号[2008・2・29]

<<石破防衛相は辞めるべきではない>>

 イージス艦「あたご」と漁船の衝突事故で、衆院予算委員会の集中審議が29日、行われる。

 民主党など野党側は石破防衛相の辞任を要求している。今回の事故で防衛相が辞めるとなれば、とてつもない禍根を残す。


 民主党はなにごとにおいても、「政略」が優先する。インド洋での海上自衛隊の支援活動もそうだった。

 予算審議のヤマ場である。与党側は29日に予算案の衆院通過をはかりたい構えだ。予算案は30日で自然成立するから、年度内成立のタイムリミットを迎えている。

 予算攻防と石破防衛相の進退が取引材料に使われるようだと、日本の国会のお粗末さを世界にさらすだけだ。

 防衛省の事故対応の不手際はあったろう。状況が小出しに公表されていくという、もっとも悪いパターンを演出してしまった。

 航海長をこっそりと呼んで事情聴取していたことが最大の問題となっている。だが、野口記者が指摘していたように、防衛省が状況把握に努めるのは、むしろ当たり前なのだ。

 海保にウソをついていたなどという瑣末な部分で全体を見失う。その愚を国会がおかそうとしている。

 この一件で国中が大騒ぎしている一方で、毒ギョーザ事件の中国当局の対応は「さすが中国」だ。これほどあからさまに開き直れる国は、お見事といいたいぐらいだ。

 毒ギョーザ事件は完璧な外交問題なのである。外交パワーが強いほうが勝つ。外交というのは、ウソも方便、握手しながら足で蹴飛ばすという世界である。とかく上品な日本は相手も誠実さを見せるものと勘違いする。

 国家が国辱ともいえる扱いを受けようというときには、クロをシロと言いくるめることなど、外交の基本中の基本だ。徹底して突っぱねることで最終的な落としどころを探る。これが外交だ。

 中国はここまでやっているのである。「あたご」問題で右往左往していていい時期ではない。まして、石破防衛相のクビを取ることが政治的ポイントと誤解している民主党など野党側には、もっと大きく目を見開いて、いま何が起きているのか、じっくり見定めてほしいと求めたい。

 「あたご」騒動でほくそ笑んでいるのはだれなのか。そこが現在最大の焦点だ。


<<野口記者の指摘>>

 「あたご」の航海長を防衛省に呼んで事情聴取したのは問題なのか・・・産経28日付1面の野口裕之記者の指摘はきわめて重要だ。

 以下、再掲。

< 海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故で、防衛省が、海上保安庁の捜査前にあたごの当直士官だった航海長をヘリコプターで省内に呼び、事故に関する聴取を行っていたことを一部のメディアや政治家が問題視している。だが、組織、とりわけ軍事組織が、早い段階で状況把握することは鉄則である。今後、事故後の対応をめぐり、一方では「情報公開の遅れ」を批判されている防衛省・自衛隊が、いかなる初動態勢を整備すべきなのか、二律背反の“宿題”を突きつけられた格好だ。(野口裕之)

 防衛省が航海長をヘリで東京都新宿区の省内に呼んだのは、事故から約6時間後の19日午前10時すぎ。約2時間にわたり聴取し、再びヘリであたごに戻した。
 艦橋において、事故前の態勢を掌握していた前任の当直責任者である当直士官に出頭を命じたのは、組織である以上、自然である。しかも、この当直士官はたまたま、航海長であった。「航行、信号、見張り、操舵(そうだ)、気象およびこれらに係る物件の整備に関する業務を所掌」(自衛艦乗員服務規則)する航海長の責任・専門性を考えれば、その人選は、二重の意味で適正であった。艦長は艦(ふね)から絶対に離れてはならないし、ナンバー2の副長は、事故前の艦内事情に当直士官=航海長ほど精通していないためだ。
 医療事故でも、警察当局の捜査とは別に、病院側が担当の医師・看護師らに事情を聴く。隠蔽(いんぺい)するための「口封じ」を目的とした悪質な場合もあるだろうが、通常は組織としての対応・対策を決定するために行われる。例えば、新聞記者が交通事故を起こせば、新聞社のしかるべき幹部が、本人に状況を確認しようと努力するはずだ。
 航海長への聴取が問題となることは、日本が「普通の国」でないことに起因する。実はこちらの方が格段に深刻だ。海上事故に関して、自衛隊には裁判権が与えられておらず、とりわけ民間との事故では事実上、海保に捜査権を委ねることが慣例化しているからだ。
 だが、軍事法廷を廃止したベルギー軍や、制度は法律上で担保されているものの、現実には軍事法廷が設置されていないドイツ軍など一部の国軍を除き、軍隊における捜査・裁判権の独立は国際的な常識だ。
 米海軍の場合、事件規模に比例し、階級・権限を考慮して任命される指揮官が調査を統率する。調査後、予備審理で軍事法廷が必要か否かが、指揮官により判断される。必要とされる場合、文官が就任する海軍長官直属である法務総監隷下(れいか)の法務官が裁判の準備・進行を務める。この時点で、司法の独立性が担保されるのだ。
 部隊と司法とのスムーズな連携により、イージス艦衝突事故に見られるような「情報の錯綜(さくそう)や遅れは極限まで回避できる」(米軍筋)という。
 今回、防衛省・自衛隊は捜査に当たる海保への妨害を避けようと努力はした。だが、海保の聴取後の深夜、携帯電話などで短時間、話を聴くなど事実上の制約があったこともあり、結果として不完全な情報を社会に公表してしまった。情報公開の遅れもまた、防衛省・海自を取り巻く情報収集の限界に、一部は起因している。
 自民党の伊吹文明幹事長は27日昼の政府・与党協議会で、石破茂防衛相の情報公開の遅れについて「海上保安庁が司法的権限を持って捜査中であることが世の中にわかっていない」と述べた。石破氏を擁護したのだろうが、司法警察が事実上の国軍を取り調べる、国際的にはほぼ考えられない構図を、国民も政治家も奇異に思っていない証左である。
 憲法に軍事法廷など「特別裁判所」の設置禁止条項がある限り、防衛省・自衛隊は将来にわたり、こうした批判を受け続けるはずだ。しかも、「今回の事件を受けて、拡大されなければならない防衛省・自衛隊の権限は逆にますます、封じられるだろう」(元海上幕僚長)。軍事法廷のない自衛隊は、世界有数の装備を有する「警察」の道を歩み続けるのだろうか…。>


 以上、引用。

 野口記者は産経きっての防衛担当専門記者である。北朝鮮のテポドン発射を事前につかみ、新聞協会賞を受けている。

 野口記者がここで指摘していることこそ、世界の軍事常識だ。日本が非常識であるということを、改めて知るべきだろう。

 今後、「あたご」を現場海域で検証するということもやるようだが、これもまた、世界の軍事常識に反する。

 「あたご」の性能や思わぬ弱点のすべてがさらけ出されることになりはしないか。これによる防衛上のデメリットは計り知れないものがある。

 先夜、ある会合で中国の政治や軍事情勢に詳しい某評論家と一緒になった。こう指摘されてうなった。

 「これが中国で起きたらどういうことになるか。海軍の最新鋭軍艦がまもなく帰港しようというときに、何隻もの漁船が進路を阻んだ。1隻は直前を横切り、1隻は衝突した。中国海軍は漁船の乗組員全員を拘束し、背後関係はないか徹底的に調べるだろう。日本ではそういう観点がまったくないのは、いったいどういうことか」

 この指摘は重い。野口記者の視点と合わせて、なお考えて見たい。

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★ 今回の一連のこの件に関する報道を見聞きするたびに『分かっていない連中が寄ってたかって笑止千万な」という感を免れない。海の上では7トンだろうが7000トンだろうが30万トンであろうが全て1対1である。責任は全く双方五分五分である。お互いに命がかかっているわけであり、自分のすることには命を懸けて責任を全うするのが海のルールである。7トンの船が7700トンの船にぶつかればつぶされて命を失うのは自明の理である。それをしなかったあるいはできなかった原因は一つである。見ていなかった、見張りをしていなかった。事に尽きる。イージス艦の方も漫然と見張りをしていたというそしりはまぬかれない。しかし、間抜けな漁船が見張りをしていなかった。が為に巨艦に体当たりしていわば自殺行為を行って、そのために国の防衛大臣が辞めるのどうのという話には絶対につながらない。国全体がおかしいということをマスコミ連中始め野党の連中も含めて頭を冷やしてもっと海のことを真剣に考えて欲しい。日時:2008年2月29日 


★ 良いと云うより、物足りないです。
 今回の事故は例えてみると、戦車と自転車です。戦車が向かって来たら、自転車は右往左往するのは当たり前で、そこで小回りが効くほうが逃げる。つまり自転車が逃げるのが最善の策です。今回の報道は最初から自衛隊憎しで作られたものです。ここは事故をどう見るのか、冷静な報道を待つしかないのか、辛いです。日時:2008年2月28日 

★ こういう事件が起きるたびに繰り返される、マスメディアの「自衛隊悪者報道」は、ご指摘の通りだと思います。
 一方で、現在の自衛隊自体に問題があることも事実です。
 戦後の左翼的な反軍思想による「自衛隊全面否定観」によって、逆の意味で自衛隊の実質的な内容が問われないまま、半世紀が過ぎてしまっています。
 日本をどのように守るのか、そのためにどうすべきか。基本的な問いがないまま、アメリカの戦略に乗り、弥縫策に終始してきました。その結果、今の自衛隊は、極端に言えば、公共工事頼りの、コスト意識、住民意識を書いた、国際競争力のないゼネコンと化しています。
 自衛隊の兵器調達費が国際首位純からみて、異常に高いのは周知の通りで、これは様々な言い訳(危機に備える国産の必要、三原則)などを勘案しても、「犯罪的」です。
 また、米軍の作戦構想に沿った装備、編成、訓練が主体で、それが本当に役に立つのか、日本の防衛に合っているのか、といった点で大いに疑問です。
 一例ですが、今回の海自に限っても、海洋の対戦作戦に比重が置かれすぎで、ソ連崩壊後の沿岸域での危機の対処に具体的な対応がありません。
 「多くの自衛官は、真剣にやっている」というのは事実だと思います。しかし、それは二次大戦中の「兵隊は立派に闘った」という自己正当化と同じで、組織としての不全や失敗を覆い隠す言い訳に過ぎないでしょう。
 素人考えでは、石破防衛相は、そうした自衛隊の改革に乗り出している方だと思います。野党の「辞任合唱」の本音は、改革を阻むための「作戦」のようにもみえます。
 事件に関する正当な判断を求めるのは、その通りですが、自衛隊には、もっと重大な問題があります。(fish)日時:2008年2月28日 


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おいしい魚を採ってきてくれる漁船には、自衛艦よりも航海上の優先権を与えたいと心情的には思いますが、海の秩序を考えると、船の大小や役割に応じて優先権を与えるというのは収拾がつかなくなる恐れがあるので採用されていない考え方だと思う。日時:2008年3月2日

昭和ヒトケタ国防を担う自衛艦と漁船(民間船)では、前者に航海上の優先権がある、あるいは与えるべきと、常識的には思います。最近の政治家、メディアの動きには違和感を覚えています。日時:2008年2月29日

自衛隊の艦や車両や航空機が「交通事故」を起こす度に大臣が辞めてたらお話にならない。敵国が「日本に骨のある防衛大臣が現れた」と思ったら、事故を演出するだけで解決出来るという話になる。
ただ最近の海自は色々と緩んでいるので、陸自と空自から教えを請う必要があるだろう。
日時:2008年2月29日


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