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花岡信昭メールマガジン527号

発行日時: 2008/2/12

★★花岡信昭メールマガジン★★527号[2008・2・12]


<<福田内閣はなぜ人気が出ない>>
【日経BP社サイトSAFETY JAPAN連載コラム「我々の国家はどこに向かっているのか」第96回・7日更新】再掲


 政局は一転して「なぎ」状態になった。玄人的な見方になって恐縮だが、永田町の攻防戦は自民党が民主党を完全に押さえ込んでいる。だが、世論調査の内閣支持率は低空飛行のままだ。福田内閣はなぜ人気が出ないのか。

 政局が急速に落ち着いたのは、ガソリン税攻防の玉虫色決着が大きい。3月末で暫定税率が期限切れになると、4月からガソリンの値段は1リットル25円下がる。民主党はこれを通常国会の最大の勝負どころと位置づけた。

 だが、さすがといっては何だが、自民党には長期にわたる政権政党としての蓄積を踏まえた「知恵」があった。予算関連法案のうち、3月末で期限を迎える暫定税率だけ切り離して、2ヵ月延長の議員立法を提出した。「奇策」として批判が出たが、衆参両院議長が乗り出して「年度内に一定の結論を得る」ことで与野党が折り合った。

 これは、議長あっせんによる当面の合意という「落としどころ」まで含めた周到なシナリオがあったと見るべきだ。自公与党としてはこの議員立法を強行採決したら世論の非難を浴びる。民主党がこれに対して長期の審議拒否に突入したら、これまた批判の対象となる。議長が乗り出して落語の「三方一両損」に近い決着となった。

 むろん、3月末に与野党激突の構図が再現する可能性はある。予算関連法案を年度内に参院で本当に採決できるのかどうか(その場合、参院で否決、衆院に戻して3分の2の賛成で再議決となる)。議長あっせんの「一定の結論」をめぐる解釈の違いがそこで表面化しよう。「年金5000万件処理」の期限も3月末である。この「公約」が達成できないことは自明の理であり、野党側はここぞとばかりに攻め立てるだろう。

 ではあっても、もはや勝負はついたというのが永田町の大方の観測だ。民主党内にも、予算攻防を材料としての早期解散は困難となったという見方が強い。逆に自民党側に「民主党にはいいところがまったくなくなるのだから、解散の好機が来る」といった声すら出てきている。

 やはり、臨時国会でインド洋での海上自衛隊の給油支援を中断させたことといい、今回のガソリン税値下げ攻防といい、そうした重要テーマを「政略」に用いようとした民主党の判断ミスを指摘しないわけにはいかない。海自支援は日本の国際貢献策の重要な柱であり、ガソリン価格は改正法案が成立すれば(参院で60日間結論が出ない場合は否決と見なされ、再議決規定が適用されるから、衆院通過後、2ヵ月だけの話になる)元の値段に戻るのだから、混乱と歳入欠陥を招くだけに終わる。いずれにしろ、民主党に「分」はなかったのである。

 自民党内では、古賀派と谷垣派の合併による「中宏池会」結成が待っている。これによって、町村派、津島派とともに「派閥3強」時代を迎える。3派とも福田首相支持だ。「鼎(かなえ)」に象徴されるように、三脚で支えられている構造が最も強靭になる。

 そうした党内外の情勢から見ると、福田康夫首相は安定した政権基盤を構築しつつあるといっていい。その飄々としたキャラクターも次第に浸透してきた。だが、それが内閣支持率に反映されないのはどういう事情があるのか。

 つまるところ、この政権はいったい何をやりたいのか分からない、目指そうとする国家像・国家戦略が明確でない、といった点が最大のウイークポイントなのではないか。小泉政権はその是非はともあれ、「官から民へ・国から地方へ」の「改革」路線を売り物にした。安倍政権は途中退場とはなったものの「保守再生」への期待を集めた。

 福田首相はその両政権の「遺産」を引き継いだというイメージがまったくない。「改革」路線は後退し、公務員制度改革も独立行政法人改革も政権の目玉とはなっていない。安倍政権下で着手した「集団的自衛権の見直し」「日本版NSC(国家安全保障会議)の創設」「国民投票法成立による憲法審査会の本格論議」などはことごとく棚上げされ、「保守のこころざし」が見えてこない。

 その逆に、人権擁護法案、在日外国人の地方選挙権といったテーマが急浮上する可能性がある。民主党との協調路線や公明党の離反阻止といったことの材料として、そうしたテーマが使われる見通しだ。平沼赳夫氏や中川昭一氏ら「保守派」は、福田政権のリベラル傾斜を問題視して保守派糾合の動きを強めようとしている。

 小泉元首相は「靖国参拝」を最大の武器として総裁選で圧倒的勝利をおさめた。安倍前首相は政権発足当初、拉致問題への取り組みをはじめとした「保守のホープ」としてのイメージが効果的に作用した。自民党の支持基盤はなんといっても「保守」なのだ。そこを見誤って大衆迎合的な「左ウイング拡大」を無防備に進めようとすると、肝心の保守中核層の離反を招くことになる。

 これに加えて、もうひとつ指摘しておかなくてはならないのだが、福田首相からは「生きた言葉」が聞こえてこない。短い言葉で人心をつかむ小泉元首相のショートターム・ポリティクスは、テレビ時代にあって、この異質な宰相の存在感を高めた。福田首相がその真似をしようとしても無理だろうが、施政方針演説のメリハリのなさといい、毎日のミニ記者会見の言葉の使い方といい、世間をうならせるものがない。

 米ホワイトハウスと首相官邸の決定的な違いは「スピーチライター」がいないことだ。これは今にはじまったことではなく、これまでの政権は首相個人の資質や大物秘書の目配りなどによって、この欠陥をカバーしてきた。首相周辺にパブリシティーやメディア対策のプロがいないことを、だれも怪しまないまま来たのである。

 福田首相は、理想を高々と掲げるタイプではなく、目先の問題の対処は間違いなく行うという実務型である。状況対応型といっていい。実務に通じているだけに「知りすぎている者の限界」が垣間見える。官僚の世界の実態など、知れば知るほど慎重にならざるを得ない。そこから国民向けの発信力の乏しさが生ずることになる。国民には行政内部の裏事情などに関心はない。政治リーダーがナタでばっさりとやってくれることを期待している。

 官僚の世界を巧みに操縦しながら、ときに役人的発想から離れた「言葉」を発する。それが実力派宰相に求められる人心掌握の術だ。

中国製「毒ギョーザ」事件で、福田首相からどういうメッセージが発せられたかというと、国民にはほとんど印象が薄いに違いない。親中派であることは分かっているのだから、ここで「国民の生命と健康を守るため、先頭に立って、真相究明、再発防止に邁進する。その結果、中国との関係がぎくしゃくしても構わない」ぐらいのことを表明すれば、福田首相を見る国民の目は変わる。

 
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<<読者から>>

★ 政界はますます暑そうですが、東京は寒そうですね。どうかお元気でご活躍をお祈りいたします。

中国の毒入り餃子事件、与党も調査団派遣とか”浮かれています’が事の本質は違うと思います。

加工食品が増えれば危険が増えるのは当然で防ぎようはありません。第一に製造工程、流通段階で事故は起こります。この点で、“中国”製品はというのはフェアではありません。日本でも古くは「森永砒素ミルク」、「カネミ油」、その後も工場の管理が悪いために消費者に重大な被害をもたらした事件は枚挙にいとまないほどです。チッソの水俣病も工場が海に放出した無機水銀が海中で有機水銀に変化し、それを吸収した魚を食べた漁民を中心に大被害をもたらしました。原因調査の初期の段階で化学界の大物が“無機水銀が変化するわけはない”と言い放ちました。このように食品に関する事故は関係者の無知・無作為でも起こるのです。食品加工工場では毎年機器が進化し、食品材料が変わり、原材料の農産物に含まれる農薬・抗生物質は減らしようがなく、工場での殺虫剤、殺菌剤,化学洗剤の使用は必然で、アルバイトも使うのですからよほど高度の工程管理を行っても販売される加工食品が完全に安全であるとは言えないと思われます。流通段階でも温度・鮮度・衛生管理が完全といえる人はいないでしょうし、飲食店でも食中毒は日常茶飯です。

第二に人間の欲望、恨み、ねたみがある限り、加工食品に限らず販売される食品、他人が供給する食べ物に対する人為的な毒物の混入は防げません。日本でも食品・飲み物に毒を混入した事件は幾らでもあります。和歌山でカレーに砒素を入れた事件も有名です。今回の中国産の餃子事件もまもなく生々しい人間関係が暴露されるでしょう。こう考えると、輸入食品の未然調査・品質チェックを幾らやっても解決にはなりません。まして“中国だから’というのはおこがましきかぎりです。

それではれではどうするか。食品による事件は未然に防げないという前提で、毒物でも、腐敗によるものでも、食にかかわる事件が起こった際に直ちに原因と症状を特定し正しい治療を行うことと、同じ被害を防ぐことに全力を尽くすシステムを作るべきだと考えます。

カレー砒素事件の後で女子中学生が文芸春秋に載せ文春読者賞を貰った記事の内容を思い出しました。カレーを食べてすぐに人々が腹痛を訴え、嘔吐をする事件が起こった際、保険所、病院は病状を食中毒と判断しその治療を行いましたが数人の死者が出ました。彼女はいろいろ調べ「カレーでは食中毒は起こらない」「食中毒は食べて2時間後から起こる」、「食べてすぐに吐いたりするのは毒物によるのである」から事件が起こった際に“患者の胃の洗浄をやっておれば皆助かった”と主張しました。(閑話休題、南アジアの出稼ぎ労働者たちは道端でバナナの皮にメシとカレーをのせて手で食べています。ある文献を読んでなるほどと思いました。大航海時代、命がけでアジアからヨーロッパに持ち帰った胡椒は金と同じ価格で売れたそうです。長い冬を塩漬け肉に飽いた王侯貴族は胡椒で保存した肉を珍重したのです。カレーの主原料である胡椒は“有力な殺菌剤だったのです)

カレー砒素事件というまれにしか起こらない事象を前に関係者は無知だったのです。然し彼女によると、当時もうすでにコンピューターのソフトが出来ていて、患者の状態を見て、発熱、吐き気、痙攣等々2−30の症状をインプットすると病変が特定できたのだそうです。政府は検疫体制の強化とか、北京へ係員を常駐させるとか言っていますが大変な費用の割りに効果はなくまさにムダです。メーカー・商社に出来るだけ監督をしてもらうだけだと思います。

私の提案は次の通りです。食品に関わる事件の事前のチェックは不可能という前提に立つべきです。又、食に関する事件は日本中ではよく起こりますが、カレー砒素事件のように、たまたまある地方で事件に立ち会う関係者(例えば開業医)にとっては未知・未経験事変であることが多いのは当然だと思います。
そこで24時間稼動の食品安全中央センターを作り専門家が待機します。お医者さんは突発事件が起こった場合、専門家と病状を巡っていつでも相談が出来るようにします。お医者さんが患者を診察して、患者の病気が大量に同じものが流通している食品が起源であると判断した場合は病状、食品の詳細を直ちにセンターに報告します。中央の専門家が事件の発生を知った場合は直ちに行政、メーカー、流通業者に指示して、すぐに対応できる体制を作るのです。消費者がおかしいと思って場合は買った店に、保険所等に通知すれば、直ちにセンターと連絡できる体制も必要でしょう。患者の治療、他の消費者への被害拡大を防ぐことが本問題の主務だと思います。

最後に一般論ですが、私はこの頃の“消費者主権”、動物園の動物みたいに飼育員(政府)が自分等が使うもの、食べものが安全で価値(栄養がある)ものを保障しろという風潮にうんざりしています。
自分の口に入れるものは自己責任で自分の“目、口、鼻”で最終判断をするべきです。それに何でも“安く”というのも問題です。一袋3−400円の冷凍コロッケを考えてみてください。小売、卸や、メーカー、下請けの工場の各々の利益が必要です。冷凍用のケース、運搬車、倉庫は通常より高く、工場の経費を引けば食材費は一割くらいでしょう。悪いけど安くては“まともな食い物”は出来ないのではないでしょうか。身の回りの品を見てもやはり高いものほど品質・デザインがよくて長く使えるので結果的には安くつきます。食品について良いものは高いのです。中国品が悪いとは思いませんが、身近な日本の食品が欲しければ農家が元気が出るように“少少高くて”も払うべきです。福祉施設・給食の為の経費が上がるのであれば道路予算を回す方が地方対策になります。一般消費者は“電話代を減らしても”よい食べ物にもっとカネを払ってもらいたいと考えています。
(シンガポールのじいさん)

[花岡コメント]
 いつも貴重なご示唆、ありがとうございます。自分の口に入れるものは自己責任で、というお説は共感します。賞味期限が多少過ぎていても、大丈夫なものはあるのであって、これを判断するのはまさに自己責任でしょうね。今回の事件は日本の農業政策の立て直しにつなげていくべきだと思っています。





<<重要注目記事>>

「人民日報」08/02/07

インターネットの検索制限について

  外交部の定例会見で5日、劉建超報道官が質問に答えた。 
  ――「国境なき記者団」が最近の報告で、インターネットの検索制限を実施していることについて中国を非難したが、コメントは。 
  中国はインターネット事業の発展において、開かれた、積極的な推進策を取っている。中国のインターネット利用者数はすでに世界第2位の2億1000万人に達している。中国人民はインターネットを通じて正常な情報を把握し、その手軽さとスピードを享受している。中国政府が定めるインターネット関連政策は、人々の情報入手を確保するためでもある。中国政府はインターネットへの管理を完全に手放すべきだと考える人もいるが、それはどの国でもできない話だ。インターネット上には多くの有害な情報があるからだ。人民の利益のため、政府は必要な措置を講じて有害情報の伝播を制限するべきだ。この問題を正しく取り扱うことを当該団体・個人に希望する。



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 花岡のコラム『政論探求』は原則火曜付ですが、紙面の都合でときどき水曜付となります。

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★Voice2月号 防衛省の「平和ボケ」を覚ます 小池百合子氏インタビュー
★道経塾(モラロジー研究所)50号 「国家としての汚名を晴らせ」
★激論ムック「反日マスコミの真実2」(オークラ出版)
★月刊「正論」11月号 「安倍晋三は何に敗れたのか」
★コメントライナー(時事通信)1月28日付 「失態を直視できない民主党」
★政経往来・新春合併号 「福田政権の命運を握る年金問題」
★交詢雑誌(財団法人交詢社) 507号「当面の政局動向と日本の行方を考える」
★現代警察119号 「大連立は必ず再燃する」
★JAPAN TAIWAN(日華文化協会)158号 「『大連立』は必ずよみがえる」


 
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