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政治ジャーナリスト・花岡信昭が独自の視点で激動の政治を分析・考察します。ときにあちこち飛びます。




花岡信昭メールマガジン513号

発行日: 2007/12/25

★★花岡信昭メールマガジン★★513号[2007・12・25]

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<<「一律救済」はバラマキか>>

 前回コラム「一律救済は英断だ」が、政治記者の大先輩、渡部亮次郎氏のメルマガ「頂門の一針」に転載され、こういう反論が来た。

 http://www.melma.com/backnumber_108241/

 政治のありようをめぐる考察には格好のテーマであるとも思い、ご紹介したい。


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「一律救済」決定はバラマキ
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            憂国商人 

平成19(2007)年12月24日号に掲載された花岡信昭さんの「一律救済は英断だ」には薬害問題全般に対する官僚の決定を悪とするような世間の受け止め方が反映されているように感じましたが、これには少し違和感を覚えます。 

薬品の使用 を認可することとはどういうことかに対する考察がなされず、感情的、大衆迎合的で薄っぺらい論法になっているような気がするからです。

予防接種の是非とおなじで、新薬品認可の是非は場合によっては死者まで発生させてしまう副作用が予見されていたとしても、全体としては「統計的」に「有意」に効用が認められるときには認可されるべきだと思います。

新薬品使用で 何万人という多くの人たちが病苦から解放された効用を論じることなく、少数の薬害被害者の利害にのみ焦点を当てるのは視野狭窄ではないでしょうか。 社会全体として効用が認められるなら、新薬を認可するのは国民「全体」の福利厚生を向上させるために働くことが期待される政府(官僚)の当然の義務であり、その結果、少数の薬害被害
者の発生はやむを得ないように思います。

被害者の視点からの薬害問題への論調が中心的になると多くの難病に苦しむ人たちが開発を待ち望む新薬認可がきわめて制限的になってしまうでしょう。 

特定薬品認可に絡んだ小さな薬害副作用問題より、社会全体の効用にあたえる有効な新薬が認可されなくなる副作用の方がはるかに被害が甚大です。目先の大衆感情に依拠するような論評より、もうすこし視野の大きい論評がなされることを期待したいと思います。

ついでながら、国民経済的にも首相の「一律救済」決定はバラマキ以外の何でもないと感じています。 新薬認可に過失がないなら、国が少数の薬害被害者に補償する義務もありません。

今年の夏以降、このようなバラマキがたくさん出てきましたが、必要もないことに税金を使われることになっているのではないでしょうか? 本件に限らず、わたしたち国民はもうすこし、 国がお金を使うということは、自分のお金が使われているのと、結局、同じことであると感じるほうがいいのではないかと思います。

ほかの国民のお金(予算)を分捕ることばかり考えている人とそれに迎合するような幼稚な政治家・マスコミにはまったくがっかりさせられます。 


 以上、引用。

 さあ、こういう意見にどう対応すべきか。

 新薬によって多くの人たちが救われていることを考えれば、「少数の薬害被害者の発発生はやむをえない」というのが、核心部分であろう。

 考え方はさまざまあっていいのであって、このコラムでもたびたび強調しているように「言論の多様性」が民主主義の根幹となる。

 だが、人間として、そして、政治のありようを考えたとき、「少数の犠牲者の発生はやむをえない」という言い方は断じてできない。それが感情的、大衆迎合的、さらにはバラマキといわれてしまうと、ポピュリズムの廃絶を日ごろ唱えている身としても、承服しがたい。不可解千万と反論しなくてはならない。

 政治や行政は結果がすべてである。プロセスがいかに妥当であっても、結果責任は負わなくてはならない。

 行政は「1+1=2」の世界だ。前例踏襲、バランス重視がどうしても軸になる。官僚の立場としては、そこからはみ出すことはできない。

 政治は違う。「1+1」が2にも3にもなる世界だ。政治決着とは、そのことを指す。政治家はそれができる立場と権力を持つ。

 まして、首相は最高権力者だ。その政治判断によって、行政的感覚では不可能なこともやってのけることが可能になる。

 「年金5000万件」も同様ではないか。行政判断では、いかんともしがたいことも、政治判断が加われば不可能も克服できる。

 政治決断に100%の支持を求めようとしても、これは無理だ。そんな状況は全体主義国家でなくてはあり得ない。さまざまな考え方が交錯する中で、どういう方向を打ち出すか。そこに政治の器量と見識が試されることになる。


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<<読者から>>

★ いつも楽しみに読んでいます。
今回の社保庁の問題ご指摘その通りです。長年の労使関係の問題や官僚の前例主義など構造的問題が根底にあり、そのうえに「あぐらをかく」無責任が重なったのだと思います。官僚の無謬性、一切の批判と責任を認めないという体質にも根深い問題があると確信します。さて、それではどうするか、ですが、豪州のケースは参考になると思います。

ある一定以上の地位(課長クラス)にいる人間が異動する際には実績主義(メリットシステム)が作動し、本人は希望するセクションに応募の形でいくつか申し入れをします。そこで嫁入りできなければアウトです。80年代から90年代にかけてキーティング労働党政権が取り入れた方式で、これが結構緊張関係を生み出していることに間違いはありません。
米国の政治任命はより極端な仕組みですが、豪州の場合は一応一定の組織内にとどまりながらチェックを働かせるという意味で日本に近い制度かもしれません。ようは、抑制と均衡(チェックアンドバランス)はどの組織にも絶対に必要だということ、また日本にはそれがないということに問題があると思います。必要なのはチェックです。(柏木1丁目さん)

[花岡コメント]
 貴重なご指摘、ありがとうございます。豪州の実績主義は参考になりそうですね。必要なのはチェックという点、まったく同感です。



<<需要注目記事>>

★「中央日報」07/12/22

座間基地がアジア作戦のハブに…有事の際は在韓米軍も管理

 米軍が日本神奈川県の座間基地に「米第1軍団前進司令部」を発足、配置しながら、座間基地をアジアの核心作戦ハブに格上げしたと、AFP通信が最近報じた。 
  米陸軍当局者は日本メディアに対し、「新しい司令部は最新通信装備などを備え、陸海空の統合作戦を指揮することになるだろう」と説明した。 前進司令部は特に、在日米軍はもちろん、北東アジアでの有事の際、在韓米軍までを総括すると伝えられ、注目されている。 第1軍団司令部本部は太平洋からインド洋地域まで管轄し、総兵力は4万人水準。  さらに日本防衛省はキャンプ座間に有事の際、即時対応できる陸上自衛隊「中央即応集団司令部」を配置する予定で、米軍と自衛隊間の相互作戦連帯もよりいっそう強化される見通しだ。 
  日本メディアは「第1軍団司令部本部は米本土にそのまま置き、キャンプ座間にはアジア太平洋地域の軍事作戦を総括する前進司令部が設置される」と伝えた。 米陸軍で実戦を担当する野戦部隊の前進司令部が日本に配置されるのは今回が初めて。 これまで座間基地には後方補給などを担当する在日米陸軍司令部だけがあった。 前進司令部の司令官にはチャールズ・ジャコビー中将が就任した。 
  在日米軍のこうした動きは在韓米軍が縮小されている中で進行し、注目される。 現在、米軍は韓国駐留第8軍団や国連司令部など在韓米軍の主要部隊を再編中だ。 これに関連し、日本の共同通信は今月2日、米第1軍団前進司令部の下に在韓米軍が編入される可能性がある、と伝えた。 
  これとともに2011年までに米軍全体の3分の1を再編するなど第2次世界大戦以降最大規模となる兵力配置改編案を確定したと、ニューヨークタイムズが20日(現地時間)報じた。 米陸軍兵力を現在より7万4000人多い54万7000人に拡充し、03年には33だった戦闘旅団も48個旅団に増える。 ニューヨークタイムズは、ブッシュ米大統領はイラクやアフガニスタン、その他の新たな脅威に対処するため兵力を増やし、海外駐屯軍を再配置する案を承認したと、軍関係者の話を引用して報じた。 
  再編案は04年にブッシュ大統領が軍事力再編計画で発表した「在外米軍再編計画」(GPR=Global Posture Review)を一部修正して確定した。 新しい国際安保の環境変化に対応するために提起されたGPRは、冷戦時代に集中したヨーロッパ・アジア駐留米軍を大幅縮小する一方、新たな戦略拠点の確保を骨子としている。
  これによると、ヨーロッパ駐留米軍兵力の縮小時期は当初の計画よりやや遅れる。 ドイツ駐留の2個旅団兵力は当初の予定より2年長く駐留し、1個旅団は2012年に、他の1個旅団は2013年にそれぞれ撤収する計画だ。 その後、ヨーロッパにはドイツとイタリアに各1個旅団、計3万7000人が駐留することになる。 
  軍関係者は「ヨーロッパ駐留兵力の縮小規模がやや減ったのは、米国の安保脅威を防御するために外国軍隊との軍事訓練を維持する必要性があるため」と説明した。 





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この記事へのコメント

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憂国商人を読んで
言論は自由ですが、大変違和感を覚えました。投稿者の職業だけでも知りたいものです。厚労官僚でないことを願っております。新薬で一億人が救われて一人が薬害で苦しんでいるとしましょう。新薬の恩恵を受けた一億人は新薬で薬害に合った一人を皆で全力で援助すること(税金で)は当然の事ではないでしょうか。誰一人として文句は言わないでしょう。この例は極論ですが薬害に対する基本的な考え方です。今回のフィブリノーゲンの件については認可の問題、副作用放置の問題、使用禁止の遅れ、など多くの問題をかかえております。
薬害エイズ問題と共通することが多いのです。全く学習効果が出ていないことが残念で為りません。厚労官僚の基本的思考過程(国民保護と言う)が間違っているとしか思えません。薬害エイズの問題時点で責任を明確にしなかったことも今回再び同じ過ちを犯した原因でしょう。人間は皆健康で長生きしたい、病気になっても治りたいと願っているのです。この人間の永遠の普遍的願いに挑戦しているのが新薬開発であり医学の進歩なのです。運命への挑戦でもあるのです。その為には基本的ルールだけは明確にしておかなければならないでしょう。薬害被害者、医療被害者の救済方法を明確にしておく必要があります。
その上で新薬認可についての厳しいルール作りも必要です。例えば以前に痴呆予防薬や猿の腰掛(抗がん剤)が効いた、効いたと治験をして論文を書いた教授が多くいます。
今では、これらの薬は効果なしとの再調査結果が出ております。しかしながらこの様な教授がその後も大きな顔をして治験に参加しているのが日本の現状です。一度嘘に近い論文を書いたことが判明したら医療界の中心から失脚するくらいの厳しさが日本には求められるのです。そこには不透明な金の動きや、学閥や、天下りの問題などが関連してくるのです。その点アメリカでは厳しく査定されています。今回の薬害肝炎問題でも種々の課程で如何なる問題があったのか、無かったのか厳しく公正に調査されなければまた同じことを繰り返すでしょう。恐らくうやむやで済まされるでしょう。
この国は根本的に組み替えなければならない時に来ていると考えます。(医師、s)
日時:2007年12月25日

>予防接種の是非とおなじで、新薬品認可の是非は場合によっては死者まで発生させてしまう副作用が予見されていたとしても、全体としては「統計的」に「有意」に効用が認められるときには認可されるべきだと思います。

しかし
今回のケースは血液製剤に有ってはならないヴィールスが混入していたわけで、
新薬での副作用というようなレベルの話ではない。
こういうのを味噌も糞も一緒の話という。
日時:2007年12月25日

 まったくおっしゃる通りです。
そもそも官僚たる使命は何かという原点に帰れば、この問題は解決できたはずであり、国民の中にも国民主権という理念認識のないままに「お上」思想を踏襲してみたり、都合良く使い分けしているため論理的整合性だけを判断材料にしている節があります。それは関係者としても反省すべきでしょう。
日時:2007年12月25日

薬害の救済は決してばら撒きとは思いません。何故なら、医薬品の許認可権は国にあります。その認可した薬品で被害を受けた
人を救済するのは国の責任!。だからと言ってその医薬品で助かる人も居ますがそれはそれです。(薬品には副作用がつき物ですが・・)
日時:2007年12月25日

いつも 参考になる記事ばかりで 楽しみにしています。日時:2007年12月25日


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  • ジャーナリスト花岡信昭(元産経新聞論説副委員長、日本の新聞社で戦後生まれの政治部長第1号)が現代政治、メディア、世相などを独自の視点で分析・解読、この国のありようをさぐる。

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