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花岡信昭メールマガジン501号
発行日: 2007/12/1★★花岡信昭メールマガジン★★501号[2007・121・1]
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<<消費税アップの答申に未来はあるか>>
【日経BP社サイト「SAFETY JAPAN」連載コラム「我々の国家はどこに向かっているのか」第87回・11月29日更新】再掲
政府税制調査会の答申、自民党財政改革研究会の中間取りまとめが発表されたことで、消費税論議が活発化しそうだ。
政治的にいえば、「大連立」が頓挫しなかったら、まさに格好の政策協議の対象となったはずだ。与党は大きな選挙の前には増税を打ち出せない。大連立が実現していたら、選挙への影響を意識せずに、理想的な税制のかたちを巡る論議が可能になっただろう。
政府税調の答申が2009年度の消費税アップを示唆しているのは、おそらくここ半年ぐらいの間には衆院選があり、次の参院選(2010年)までに間隔が空いているという判断を踏まえたものだろう。選挙のない年に上げてしまえと言わんばかりの態度である。
そうだとすれば、まさに姑息としか言いようがない。政府の数ある諮問機関の中でも政府税調の格は極めて高い。であるならば、真っ向から税財政の置かれた現状と将来ビジョンを国民に率直に語りかけるべきであった。
その点、自民党財政改革研究会のほうが「2010年代半ばに10%」と正直に打ち出している。党内では批判が強いようだが、責任与党の立場としては消費税アップの必要性をきちんと問いかける姿勢こそ望ましい。
☆説得力に乏しい政府税調の答申
政府税調答申は、今後の税制のあり方として、安心、活力、公平の3点をキーワードに掲げている。その点は理解できないわけではないが、説得力は乏しい。
このところ、「直間比率の是正」ということを聞かなくなった。クロヨン、トーゴーサンピンといった、サラリーマンだけが所得をほぼ100%捕捉される実態を言い表す言葉もなにやら「死語」となった感がある。
本来はそこに、税制改革の基本的な視点があるべきではなかったか。政府税調答申を読んでみても、役人の書いたメリハリのない文章が並んでいるだけで、ストンと胸に落ちるものがない。これで消費税のアップなどできるわけがない。
税制は国民の意識や社会構造を変えるパワーを持つ。安心、活力、公平を言うのであるならば、消費税を主体とした税構造に変えていく意義を、真正面から訴えるべきではなかったか。
消費税は景気動向に左右されにくく、安心できる税収を生む。所得税や法人税を思い切り下げて消費税を上げれば、サラリーマンや企業に活力が出る。暴力団のみかじめ料、ホステスのチップ、寺のお布施など、とかく「税逃れ」の対象となってきたといわれる部分にも公平にかかるのが消費税だ。三つのキーワードはまさに消費税主体の税制への転換を示唆していたのではなかったか。
それならば、もっと大胆に直間比率の抜本是正の意味合いを打ち出さなければ、政府税調の権威が泣く。政府税調委員の見識はどこへ行ったのか。税制改革は国家の改革そのものであるという厳粛な認識に欠けているとしか思えない。そういってはなんだが、役所のやることを追認していればすむ多くの審議会とは違うのである。
☆「消費税も所得税も」に日本の未来像はあるのか
政府税調答申では、こともあろうに、所得税増税も書き込んでしまった。最高税率の引き上げ(高所得者の所得税を重くする)、配偶者控除などの見直し(男女共同参画時代に配偶者控除はなじまないといった感覚か)といった内容だが、これと、消費税のアップを同列に置いてはだめだ。そこから「戦略の欠如」という重大な問題が浮かぶ。
欧米の例を見ると、消費税率は日本よりおしなべて高い。スウェーデン25%、イタリア20%、フランス19.6%、ドイツ19%、英国17.5%などである。米国は地方税だが、ニューヨーク市の例で8.375%だ。それにしても、日本の5%が異様に低く見える。
直間比率を見ても、国税に占める直接税の割合はフランス、ドイツ、英国など、50%前後である。日本は62%、地方税が86%、国税と地方税の合計だと72%に達する。
消費税は1%で税収2.5兆円程度だ。日本の国家予算は80兆円、うち税収が50兆円、国債が30兆円である。極端なケースをあげれば、消費税を20%にすれば、税収分をそっくりまかなえることにもなる。その場合、所得税はほとんどゼロに近い水準でも大丈夫ということになる。
政府税調はそういう社会を想定してみてはどうか。私事になるが、筆者もサラリーマンを30数年やってきた。毎月の給与明細を見て常に感じたのは、見かけの支給総額と実際の手取り額との落差であった。税金や社会保険料などでごそっと引かれるのだ。給料日のたびに、最初に書いてある金額ぐらいもらえればいいのだがと思いながら退社時点まで来てしまった。
日本の経済社会を支えるサラリーマンの可処分所得を思い切り上げることによって、活力がどれだけ増すか。法人の実効税率を思い切り下げることによって企業の活力がどれだけ増すか。政府税調はそうしたシミュレーションをやったのだろうか。税制は社会生活そのものを変えるのだから、そういう姿を分かりやすく描き出す努力が必要だ。
☆税制キーワードに「簡素」を加えるべき
消費税の税率アップは2009年度の基礎年金国庫負担分2分の1への引き上げと絡めて論じられている。これだと、1%分、2.5兆円が必要になる。その点は分かるにしても、消費税論議がその次元にとどまっていては本来の趣旨には合致しない。1−2%のアップで大騒ぎするというのでは、生産的でないことおびただしい。
これまた私事になるが、筆者の場合、サラリーマン時代から原稿料や講演料などの「雑収入」があったので、所得税の申告をしてきた。基本的にフリーとなった現在もそうなのだが、申告書類を作成するのに一晩徹夜する。税理士に頼めば楽であることは分かっていても、意地でもやらない。所得税の申告が複雑多岐にわたる作業を必要とするものであってはいけない。いかに税制の現状がお粗末であるか、身を持って知るためにも、これを続けようと思っている。
そこで、税制のキーワード、安心、活力、公平に、「簡素」を加えるべきだと主張したい。税の仕組みが複雑になっていて、それも毎年、何らかの細かな変更が行われるのは、「税一家」を養っていくためだろう。素人には極力分からないようにしているとしか思えない。消費税は簡素な税制という点にも沿う。
消費税は社会的弱者や年金生活者に重くのしかかるという反対論がある。そこは別途、対応を考えればいい。税財政がパンクしたら福祉施策や年金システムも成り立たなくなるのだ。そうした大きな構えで国民に選択を求めるのが政治の本来のありようである。
<<「額賀喚問」見送りは当然だ>>
額賀財務相の証人喚問の見送りが決まった。当然の措置である。
証人喚問は全会一致が原則だ。野党単独で決めてしまった民主党は、ネジが緩んでいたとしか言いようがない。
江田参院議長が乗り出すかたちで収拾されたが、この一件が民主党に与えた打撃は大きい。第二の偽メール事件といっていい。
つまりは、民主党がいかに「未成熟」な政党であるかを、再び見せ付けてしまったことになる。
共産党が全会一致原則を守らなかったのは間違いだったと言い出したのだから、共産党のほうがよほどまともだ。
額賀氏の「アリバイ」をめぐる攻防戦は、国会の次元の低さを余すところなくさらけ出した。その責任は一義的には民主党にある。
問題の会合に仮に額賀氏が出席していたのだとしても、それが業者と額賀氏の癒着構図を暴き出すことにはならない。そんなことは子どもでも分かる。
それにしても、民主党はなぜ、こういう基本的なミスばかりおかすのか。政権担当を狙う以上は、もっと「人生体験」を積んで、本当の「大人」になってもらわなくては困る。
野党単独で証人喚問を決めていいのなら、与党が3分の2を占める衆院では、与党だけで思いのままに喚問ができることになってしまう。そういう単純な図式に思いがいたらないというのでは、言葉もない。
ともあれ、この民主党にとっての痛恨のミスは、政局に多大な影響を与えている。早期解散はなくなったといっていい。だいたいが、解散を迫るだけの力量もないことが、はっきりしてしまったのだ。
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<<読者から>>
★ メルマガ500号 おめでとうございます。継続は力だと思います。最近の公明党の腰の引けた動きにも注目しています。(Hさん)
[花岡コメント]
ありがとうございます。公明党論も一度、挑戦してみたいテーマですね。
★ 500号おめでとうございます。これだけ続くだけでも大変な快挙だと思いますが、内容も素晴らしい。いつも読ませていただいています。次は1000号を目指してください。(Tさん)
[花岡コメント]
ありがとうございます。ときに中断したりしますが、ささやかな発信装置として、なんとか続けていきたいと思っています。
★ <(1)あのとき、守屋前次官は首相官邸に駆け込んだが、これを許した官邸側が情けなかった。次官の人事権は一義的には大臣にあるのだから、官邸には足を踏み込ませないという断固とした態度を取るべきであった。
このなんとも不埒な次官を生んだ土壌はどこにあったか。自衛隊は軍ではないという奇妙な解釈をしてきたことが最大の要因であるように思える。
(2)憲法9条の制約で、国際紛争を解決するための戦力は保持しない、しかし、最小限の専守防衛はOK、だから自衛隊は軍ではない、といった摩訶不思議な解釈がまかり通ってきた。
(3)そのため、軍事組織に不可欠の軍法もなければ軍事裁判所(軍事法廷)もない。一般の法規で裁かれる。国家が容認する「暴力装置」を維持管理する責任省庁が、これでいいのかどうか。 >
守屋問題で露呈した問題点を実に的確に指摘されています。
第一。「大臣」小池の立場を軽視した官邸、とくに塩崎官房長官は議員辞職すべきです。
第二。人を殺すのを職能とする集団をあいまいにした歴代の議会の責任でしょう。
第三。第二に関連するわけですが、軍法に基づく軍事法廷がないところで、防衛についての知識がどれほどあるか疑問の、検察が一般の公務員犯罪と同様に扱うのは実に危うい。これでペンタゴンの対日不信は益々高まるでしょう。
ついでながら、イージス艦技術の情報漏洩に対しての責任を取らない守屋次官に違和感がありました。本人、それをどこまで自覚していたのか?新戦闘機の売却を求めて訪米する感覚の鈍磨に寒心したことがあります。この際にもメディアは十分に指摘しませんでした。
この最後の部分を指摘しているのは、一般のメディアではわたしの知る限りでは花岡さんだけです。ブログだけでなく、コラムでもどうかこの見解を普及されることを願います。(Rさん)
[花岡コメント]
今回の防衛汚職は自衛隊の現状や日本の安全保障政策の基本にかかわる問題を指摘できるように思えますね。個人的不始末ではあっても、これを許してきた背景をじっくりと掘り下げたいと思います。
★ 政権交代を声高に叫ぶ民主党。まだまだ無責任な野党体質から抜けきらない「甘ちゃん政党」と言わざるを得ない。政権をとった暁には如何なる政権運営をするべきか今から綿密なる対策を立てておくのが当然の責務であろう。残念ながらその気配は全く感じられない。民主党に愛の鞭をどしどし入れなければこの政党はいつまで経っても政権は取れない。貴殿の批評に賛同いたします。(Sさん)
[花岡コメント]
お説の通りですね。旧来型の野党的体質からの脱却が急務です。
★ お役所のトップを極めた者の天下り先が「堀の中」という何とも言えない顛末ですが、しかし、この一件は個人の問題もさることながら「自浄作用」が働かなかったこの組織に問題があるでしょう?
民間の会社であっても、上司が取引先から不当なリベートをもらっている事、リベートを渡している事、これは色々な事から判ります。
腐敗した者がトップに上がっていけば組織も腐敗する。どこで、切り捨てることができるかが、組織の自浄作用ですね。(全老連さん)
[花岡コメント]
その自浄作用が防衛省ではまったく働かなかったのですね。そこに何があったのか。さらに追い求めたいと思っています。
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【お知らせ】
<<産経新聞コラム>>
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若手研究者らによる「知的空間サイト」。花岡の政治コラム連載。
≪SAFETY JAPAN≫(日経BP社サイト)
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花岡のコラム『我々の国家はどこに向かっているのか』連載中。原則として毎週木曜更新。
<<Janet>>
時事通信サイトJanetの花岡コラム『風測計』。月1回更新。
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<<そのほか花岡の論文・コラムなど>>
★月刊「正論」11月号 「安倍晋三は何に敗れたのか」
★コメントライナー(時事通信)11月1日付 「『衆参ねじれ』に対応するルールを」
★政経往来12月号 「政局展望 来春の衆院解散に命運をかける」
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★現代警察118号 「安倍政治から福田政治へ」
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