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政治ジャーナリスト・花岡信昭が独自の視点で激動の政治を分析・考察します。ときにあちこち飛びます。




花岡信昭メールマガジン494号再送

発行日: 2007/11/15

★★花岡信昭メールマガジン★★494号[2007・11・15]再送

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[化けが目立ちますので、再送します。ご迷惑をおかけします]

<<「大連立」の論議を深めたい>>

 産経新聞に連載しているコラムに対して、痛烈な批判が寄せられた。そのことを真正面からとらえて考えて見たい。まず、産経コラムの再掲。

【政論探求11月14日付】再掲
<<「大連立」放棄の情けなさ>>

 
 学者、評論家、企業人ら、いわゆる識者・オピニオンリーダー・知識人と呼ばれる人たちは、口を開けば日本の置かれた危機的状況を力説する。政治、経済から教育・地域・家族の崩壊などなど、あらゆる側面で日本は限界に来ていると言う。

 保守派、リベラル派を問わず、そうした識者たちから「大連立」構想への支持がほとんど出なかったのはなぜか。その疑問をこの10日余りの推移の中で考えてきた。

 深刻かつ切実な国家的課題を現実に解決できるのは政治しかない。それが政治の究極の役割であり責務だ。政治のレベルで取り組んでいこうとするならば、与野党を超越した大連立が最も適した体制であったはずだ。だが、永田町攻防の一時の世迷言ぐらいにしか受け取られなかった。

 つまりは、識者たちが日ごろ主張していることは、頭の中だけの仮想世界が前提となっていたのではないか。現実政治の中でいかに解決していくか、という基本スタンスが決定的に欠けている。そうでないならば、識者たちは一斉に大連立支持の声をあげていたはずだ。それが、戦争突入前夜の「大政翼賛会」と同一視するなど、勉強不足もはなはだしい。

 政治の世界の話だから、裏側にさまざまな思惑が交錯していることは当たり前だ。であるにしても、大連立構想が首相と野党第一党党首の会談で出るなどということはめったにない。日本立て直しの千載一遇のチャンスを逃してしまった。

 もっとも、まずもって非難されるべきは、大連立構想を提示されて、その歴史的意味合いの重さに思いが及ばなかった民主党の役員会構成メンバーだろう。1人も賛成者がいなかったというのはこれこそ危機的だ。その政治センスの欠落ぶりはいかんともしがたい。
役員会が拒否・・・代表不信任とみなす・・・辞意表明・・・役員会が一致して慰留・・・それを受けて辞意撤回・・・という小沢一郎代表の振る舞いが批判されているが、それなりにスジは通っている。「恥を忍んで」辞表を撤回し、「口下手で東北気質」を理由に説明不足を詫びる。そのしれっとした対応もお見事という以外にない。党内での小沢氏の存在感を改めて印象づけた。

大連立構想で隠されていることがある。それは、社民党や共産党が排除されているという点だ。そうした守旧的「護憲」左派を除いた政治勢力が一致して国家的危機に当たる。そこに、この構想の現代的意味を見出したい。

 大連立という大舞台に乗ることがまず重要であった。さまざまな課題の協議はそれからじっくりやればいい。銀座の歌舞伎座での共演を求められた民主党は、こっちは生活重視の庶民派だからと新宿コマ劇場に固執してしまったのである。


 以上、産経コラムの再掲。
 これに対して、さっそく、こういう厳しい指摘が来た。

 政治記者OBのST氏からである。現役時代、政局見通しの確かさ、政治家への食い込みの深さでは定評があった。

 ご本人の了解を得たので、そのまま掲載する。


花岡大兄

前略

 今朝の政論探求を拝読し、心騒ぐに耐えず、一筆啓上いたします。政治に造詣深き大兄のまじめな論とはとても思えません。

「大連立」には二つの重大な疑念があります。

(1)中選挙区制への回帰を視野に入れ、政権交代可能な二大政党制確立への進展を阻害する意図が含まれている

(2)自衛隊海外派遣の条件を国連決議とする小沢氏の主張に首相が迎合すれば、米国との協調を基軸とする日本外交の根本的な変質をもたらす・・・の2点です。

 (1)については、小泉政権、安倍政権の下で抑圧されてきた自民党の守旧勢力が復権を目指したもので、大連立構想が出てきた経過の検証や登場人物をみれば、それは明らかです。安倍政権が参院選挙に負けると判明した7月下旬からすでに動きが始まっていました。だから、敗北にもかかわらず、自民党の一部幹部の表情は明るかったのです。

 公明党の太田代表ら幹部が大連立に強い反発を見せなかったのは中選挙区制を歓迎するからで、小沢ー池田会談の情報もあります。大連立が成立すれば、それは確実に一昔前の派閥政治が復活する道程になります。

 (2)については、福田首相の親中国路線が関係しています。国連決議とは中国、ロシアが常任メンバーである安保理の決議です。それに従って自衛隊を派遣するというなら中国、ロシア、北朝鮮は喜ぶでしょう。台湾は日本を見放すでしょう。米国と距離ができるのは明らかです。大兄は夢想的離米主義者でしょうか?

 大連立は、日本にミサイルが打ち込まれるなど非常事態にはありえるでしょう。しかし、現状はそのような深刻な状況ではありません。

 国会の停滞よりも(1)(2)の方が政治的にはよほど重要です。衆参のねじれは、与野党が政策協議を重ね、話がつかなければ憲法の規定に従い、粛々と衆院で3分の2以上の賛成をもって進めるというのが王道です。

 もちろん時期をみて国民にそうした経過についての判断(総選挙)を求めることになります。国民主権の民主主義とはそういう制度ではないでしょうか。

 今回の小沢氏の行動の背景に、防衛庁汚職の圧力があったというのは政界関係者多くの知るところです。どのような事情で今朝の政論探求を書かれたか知りえませんが、政治評論家としての声望高まりつつある折、僭越ではありますが、再考を願います。

 文中、非礼な言い回しなどありましたらお許しください。  草々


 率直かつ厳しいご指摘には感服する以外にない。そこで、筆者の反論を含め、「大連立」をどう考えるべきか、改めてまとめておきたい。

 言論の多様性が民主主義の基本だ。「大連立」に対してもさまざまな見解があっていい。このコラムを書いた特別の「事情」があったわけではない。大連立が打ち出された政治状況をまっすぐ見据えたいというのが主眼である。


 大連立の問題として挙げられた2点はいずれももっともである。これは典型的な大連立批判のポイントでもある。

 まず、中選挙区制への復帰と絡んでいることについて。大連立の仕掛け人といわれる中曽根元首相や大新聞の「さる人」に、その思惑が付随していたのは事実だ。

 小選挙区制を軸とした選挙制度では、大連立を組んだら、選挙戦をどう戦っていいのかわけがわからなくなる。公明党の中選挙区制復帰願望(定数3の選挙区150をつくることを提案している)も指摘の通りである。

 小沢氏は現行の小選挙区比例代表並立制を導入した主役であった。激変緩和措置として当面は11ブロックの比例代表を並立させるものの、将来的には完全小選挙区制を目指していた。

 これが政権交代可能な2大政党時代を導くには最適の選挙システムであるからだ。米英に見る通りである。

 筆者は大連立構想をこう受け止めた。過去記事を見ていただければ言及しているのだが、福田首相も小沢代表も、いわば政治休戦の期間を設け、この間、大連立を組んで自衛隊の国際貢献をはじめとする国家的課題を片付けようとしたのではないか。

 現在、衆院議員の任期は2年弱残っている。大連立期間にはちょうどいい。この間に、年金、消費税、さらには憲法にいたるまで、国家が直面している困難な課題を次々に俎上に載せ、与野党攻防を超えた次元での解決を目指す。

 いずれ衆院議員の任期満了がくるのだから、選挙は避けられない。大連立での政策協議が進行していけば、事実上の政界流動化も進むことになる。したがって、その時点での政治情勢を踏まえ、双方は2大政党時代を目指す決戦に挑む。そのとき、自民、公明、民主そのほか大連立に参画した勢力が現在と同じ構図のままかどうかは不明だ。

 だが、小選挙区制を軸とした選挙なのだから、否応なしに2大ブロックに分かれて戦う以外にない。そこで2大政党制が定着する。

 もっと大胆に想定すれば、大連立の間に選挙制度を完全小選挙区制に転換することができれば、これは完璧だ。

 そう考えると、大連立構想から中選挙区制復帰願望の部分を切り取るのは可能なのだ。

 2番目の小沢氏の国連至上主義への疑念について。これは筆者も同じ疑問を共有する。

 小沢氏は党首会談で自分の論理が受け入れられた、これは政府方針の変更であり憲法解釈の大転換だ、と強調した。だが、福田首相はそのあたりについてはあいまいなまま口を濁している。

 そこが政治のおもしろいところだ。小沢氏としては福田首相がそこまで譲歩してきたのだから、と民主党役員会で支持を得るための材料としてこれを利用した。

 そこから先は、まさに政治の世界の協議ということになる。大連立に乗ることが重要だったのであって、乗った先には、違う議論が出てきてもおかしくはない。第一、政府も自民党側も小沢理論に与するはずがない。

 したがって、自衛隊の海外派遣をめぐる政策協議が、小沢氏の主張通り、一直線に進むという事態はありえない。小沢氏もそのあたりは十分に承知していたのではないか。

 衆参ねじれの政治構図を克服するための手段として、大連立が登場した。たしかに、衆院での3分の2再議決規定を使うのが妥当な手法(憲法は衆院の優位性を認めている)なのだが、現実には再議決の手法を取れば、国会の大混乱は目に見えている。

 政治学の一分野の政党政治論でいえば、国際的には大連立は不可思議な政治手法とは受けとられてはいない。

 戦争当時の挙国一致内閣、国民政府といったものは英国で見られた。これも大連立の一形態だが、現在はやや違う。

 ドイツ、イスラエル、スイス、オーストリア、ブルガリア、ポルトガルなどで大連立が実現しているが、代表的なのは、ドイツのケースだ。

 1960年代後半の西ドイツ時代、キリスト教民主同盟(CDU)、キリスト教社会同盟(CSU)を主体とする連立政権が崩壊、CDU、CSUの右派陣営とドイツ社民党(SPD)の大連立が実現している。

 最近では2005年、同じ3党の大連立によって、メルケル政権が誕生した。これは、CDU・CSU、SPDいずれも左翼政党との連立工作が失敗、双方とも多数派を形成できなかったため、一気に大連立に至ったものだ。

 大連立というのは連立政権の一形態だが、競合関係にある大政党同士の連立を指す場合が多い。日本では村山政権がこれに近いといえばいえる。だが、ほとんどなじみがないことから、戦争前夜の大政翼賛会を想起することになってしまう。

 このままいって、次期衆院選で、予測されている通りに自公与党が過半数を得たら、衆参ねじれは解消しない。その政治状況が続けば、2回先の参院選、つまり6年後にねじれ解消ができるかどうかといわれている。

 もっとも、次の衆院選で民主党が大勝して民主党を主軸とする政権が誕生すれば、衆参ねじれは逆のかたちで解消される。衆参ねじれによって、国政が進まない現状を打開するという点だけを考えれば、それでいいという向きもあるかもしれない。

 だが、そうした事態を想定すると、共産党の事実上の支援(全選挙区に候補を立てない方針により、民主票に共産票が上乗せされる)を得て、そのうえ、選挙結果次第では社民党との連立政権となる可能性も否定できない。

 そういう政治動向が続いていいのかどうか。大連立構想にはそのことへの危惧も含まれていたと思える。

 小沢氏としては民主党の政権担当能力に疑問を抱いており、大連立に参画することで実績を示したうえでないと、とても政権奪取は無理と判断したのであろう。


 以上、まだ書き足りないことがあるようにも思うが、大連立をめぐる論議が、論壇も巻き込んでもっと展開されていい。小沢氏の辞意撤回騒ぎだけが突出して伝えられてしまったのは、なんとも不幸な経緯といわざるを得ない。

 産経の長期連載は「やばいぞ日本」というタイトルである。品がないと物議もかもしたが、日本はあらゆる局面で「やばい」状況に至っているという現状認識は共有する。

 であるならば、「やばい」状況を克服するには、政治がその責務において真っ向から取り組む体制をつくらなくてはならない。法案1本がやっと成立しただけというのでは、日本の政治はこの「やばい国家」の立て直しに挑む資格を欠いているといわなくてはなるまい。

 大連立構想は、政治の側から出てきた「国家再建の回答」のひとつと受け止めたいのである。だから大事にしたい。筆者の思いはそこにある。

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<<読者から>>

★<小沢代表の考え方は、それまでの民主党の方針とも違っていた。民主的な党運営を誇張する民主党が、自衛隊の国際貢献をめぐっては、そのときの党首の主張の言いなりになるというのもおかしな話である。
 少なくも、インド洋からの撤収について、民主党内で徹底した議論が行われたという話は伝わってこない。はっきりいってしまえば、その一点から、民主党の「誠実さの欠如」という深刻な問題が浮かび上がる>
 変わらないクールな民主党評価に同意です。こうした政党が政権交替する可能性のあることに現在の日本の喜劇性を見ます。救いは、小沢代表自身が政権担当能力に疑問を感じているところではありますが。(Rさん)

[花岡コメント]
 ありがとうございます。政権交代可能な2大政党時代を現出させてほしいと願うが故に、あえて書いているのですが。



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ただし、会談は、怪談で、裏がある、小沢は見抜いた。
             四谷
日時:2007年11月15日

勉強になります。日時:2007年11月15日


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ペンネーム : はなさん

  • ジャーナリスト花岡信昭(元産経新聞論説副委員長、日本の新聞社で戦後生まれの政治部長第1号)が現代政治、メディア、世相などを独自の視点で分析・解読、この国のありようをさぐる。

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