【アフリカ発! 理数科授業改善の試み〜教師中心から生徒中心の授業法へ〜】ケニアそしてアフリカ大陸の理数科教育改善を目指し、ASEI&PDSIアプローチに基づいた教員研修事業を繰り広げている日本のODA活動:SMASSEプロジェクトの現状をお伝えします。
- 最新号:2008-02-14
- 発行周期:不定期・隔月刊
- 読んでる人:26人
- 創刊日:2005-06-23
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[SMASSEメールマガジン] 040204 第5号
発行日: 2005/6/23
◎●◎●◎ SMASSEメールマガジン 第5号 2004.2.4
ケニア中等理数科教育強化(SMASSE、スマッセ)プロジェクトが
お世話になっている皆様にお送りするメールマガジンです。
Web: http://www.smasse.org
Email: news@smasse.org
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□ □ □ □ □ □ 目次 □ □ □ □ □ □
[年頭のご挨拶]
● SMASSE Project 今年の予定
[速報1]
● 新規地区への中央研修始まる!
[速報2]
● 第三国研修(ASEI&PDSI Approach in Secondary Mathematics and Science
Education in Africa)始まる!
[ケニアの教育事情]
● ケニアの卒業と入学とマスコミ報道
- 今年は30万人が中等学校に入れない!? -
[お知らせ]
● アフリカのJOCV理数科教師隊員集まれ!(再掲)
[最近の出来事]
● 広島と鳴門への国内出張(2003.12.3-12.5)
● ADEA総会への参加(2003.12.3-12.6)
● 新たな地区を対象とした中央INSET始まる(2004.1.12-)
● ナイロビでの第三国研修開催(2004.1.18-2.14)
● フィリピンでの第三国研修参加(2004.2.1-3.14)
[SMASSEの今後の予定]
● 2004年 SMASSE中央研修と地方研修の年間実施計画
● INSET運営管理研修(2004.2.24-3.28)
● 校長INSET(2004.2.29-3.6)
[ケニアの生活情報]
● 気候、通貨、為替レート、祝日、ケニア人の足:マタトゥ
[編集後記]
● 我慢比べ
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┛┛┛ 年頭のごあいさつ ● SMASSE Project 今年の予定
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2004年が始まりました。年頭のご挨拶が遅れましたが、年始早々全国展開の第一歩
であるディストリクト・トレーナーの研修と第1回の第三国研修を開始するなど多忙
を極めたことで遅れてしまいました。
SMASSEプロジェクトフェーズ2には、ご承知のように協力分野が2つあり、一つはケ
ニア国内で教員研修を全国に展開し、ケニアの理数科教育の強化を図ることです。二
つ目はアフリカ域内の連携ネットワークを強化し、その中でアフリカ域内の理数科教
育の強化を目標としています。
ケニア国内での活動では、本年7月までに約900人のディストリクト・トレーナーを
養成する必要があり、彼等が、8月にそれぞれのディストリクトで教員研修を実施す
るお膳立てをする必要があります。したがって、フェーズ1の時のようにKSTCの間借
りでは対処できなくなり、自前の研修センターを確保し、常時研修が出来るようにし
ました。このセンターは、長年放置されていた経緯もあり改修を必要としているので、
改修が終わるまで、外部の施設を借りて研修を始めるということになりました。1
月12日には新規の4ディストリクト(キスム、ムベーレ、エンブおよびキリニャガ)
から80名をニャフルルという場所に集めて第1サイクルの2週間の研修を始めました。
この研修の参加者は、フェーズ1の時のように手当のことに不満を漏らすということ
もなく、やっと自分たちのディストリクトにSMASSEが来たということで非常に前向き
の姿勢を持って研修が始まりました。既に第1回は終了し、第2回の80名がニャフルル
に集まって研修を受けております。
このように3月までに約20のディストリクトが地方研修を実施できる体制になり、4
月の休暇には第1回の約20ディストリクトで地方研修を予定しております。4月に
はKSTCの施設をほぼ借り切り約300名を集め研修を行います。このようにして、8月に
は残りの約35ディストリクトの地方研修が行われ、ケニアの理数科教員全員(約15000
名)が研修を受けることになります。理数科の研修とは別に、持続性のあるINSETシス
テム構築のために、中等学校長、DEO、視学官等の研修も予定しており、SMASSEのス
タッフは常時研修に借り出されます。SMASSE本部では、4月と8月の地方研修を可能と
するため、2月1日現在、43の地方INSETセンターを立ち上げております。今後、全国
をカバーするためさらに約30のセンターを設置することになる予定です。この研修の
持続的開催で、約90万人の中等学校生徒がこの技術協力の裨益を受けることになり、
SMASSEは名実ともにケニアの国家事業としてスタートしております。
2本目の柱の域内協力の方は、その目玉となる活動として1月19日から7ヶ国42名を
集め第3国研修を開始しました。ザンビア10名、レソト8名、ルワンダ8名、モザンビー
ク8名、ジンバブェ6名、マラウィ2名およびウガンダ2名の42名です。そのほか、ナイ
ジェリアから4名のオブザーバーを受け入れております。彼らは、それぞれの国の理
数科教育のINSET指導員や教育関係者で、研修成果をそれぞれの国の理数科教育の改
善に反映させるために参加しております。参加国で研修成果が確実に活用されるよう、
本研修に対するオーナーシップ意識を涵養するため、研修参加者の日当は参加国政府
負担にしております。域内の交通・通信手段の効率性から色々問題もありますが、参
加者は第2週を終えSMASSEの推進するASEI/PDSI授業に深い共鳴を示しております。
第3週からは実際の学校でのASEI授業の演示ということになり、終了時の各参加者の
研修に対する評価が期待されるところです。この研修を基盤に、レソト、マラウィ、
ザンビア、ルワンダ等の国とは協働でのINSET開催も視野に入れ、広域活動が資源の
ばら撒きに終わらないよう配慮しております。このように新年早々SMASSEは日・ケ双
方のスタッフは大わらわで始まりました。
今後、上述した国内・外の研修を計画通り実施することに加え、研修のモニタリン
グ評価活動、研修プログラムの見直し・評価活動、第4回の域内連携会議を6月に南ア
フリカで開催する、7月には香港とオーストラリアでの学会発表、11月には第2回第3
国研修の開催、また、JOCV隊員のための研修等盛り沢山の活動計画を消化していくこ
とになります。しかし、一番重要な活動は、ケニア国内での持続性ある研修制度・組
織の確立で、そのための啓発活動にきめ細かい対応が求められております。今、ケニ
アで始まったASEI/PDSIに基づく理数科教育の授業改造活動が、ケニア国内のみなら
ず域内にそれぞれの地域・国の教育環境に適応しながら燎原の火が広がるように普及
するためにもケニア国内の基盤構築が重要になるわけです。
以上、プロジェクトの現状と今年の活動計画等のご紹介を持ちまして、2004年の年
頭のご挨拶といたします。
SMASSEプロジェクト 日本人スタッフ一同
杉山 隆彦 (チーフアドバイザー)
武村 重和 (理科教育)
長沼 啓一 (業務調整)
徳田 智磯 (数学教育)
服部 浩昌 (教育評価)
[SMASSEの今年の主なイベント]
● ケニアでの第三国研修実施(2004.1.18-2.14)
● ケニアでの第三国研修実施(第2回)(2004.10.31-11.27)
● フィリピンでの第三国研修参加(2004.2.1-3.14)
● オーストラリアでのWCCI学会参加・発表(2004.6.27-7.11)
● 香港でのICET学会参加・発表(2004.7.12-7.17)
● 中央研修開催(通年実施, 計960名が参加予定)
● 地方研修開催(4月と8月, 計15000名が参加予定)
● DEO研修開催(2004.8.12-8.14, 計150名が参加予定)
● 視学官研修開催(2004.7月、9月、11月の計3回で計270名が参加予定)
● 校長研修開催(2004.3月、6月、9月の計3回で計260名が参加予定)
● ステークホルダー会議(2004.8.8-8.11, 計500名が参加予定)
● SMASSE WECSA第4回会議 @ 南ア(2004.6月, 計60名)
● JOCV理数科教師隊員へのASEI&PDSI研修
(8.2-8.13, 12.6-12.7の2回で計100名が参加予定)
● CEMASTEA改修工事
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┛┛┛ 速報1 ● 新規地区への中央研修始まる!!
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徳田 智磯 (数学教育)
フェーズIIの第一回中央研修報告
プロジェクトのフェーズIIが始まって最初の第一回中央研修が、1月12日より23日
までの2週間、ナイロビから200キロ程離れたニャフルルというところにある教会関係
が運営する研修センターで行われました。中央研修は通常、文字通りケニアの「中央」
であるナイロビで行うのですが、目下、ナイロビの研修センターが改修中のため、今
回は中央研修とは言え、地方の施設を借りて行うことになりました。
今回の研修テーマはフェーズIの第一回中央研修と同様に「態度変容」で、4地区か
ら80名余りの地方研修員が参加しました。1週目は研修参加者にASEI・PDSIを紹介、
感化するためのセッション、2週目は各教科に別れて、それぞれの科目においてASEI・
PDSIを実践練習するためのセッションを持ちました。私は、1週目のセッションをケ
ニア人スタッフと共に担当しました。
研修参加者にとっては今回が初めての研修であり、最初は緊張した様子でしたが、
次第に慣れ、学校での教授法の問題点、ASEI手法等について、参加者同士による活発
なディスカッションが行われました。私が担当したセッションの中で、生徒中心の授
業法を実践している研修員に挙手を求めたところ、なんと、手を挙げた人は一人もい
ませんでした。しかし、研修が進行するにつれ、少しずつではありますが、参加者
がASEI授業法の必要性を認識し始めたという感触を持ちました。
今回、私が特に目を見張ったのは中央研修員の研修運営能力の向上です。年末年始
休暇明け直後の研修ということで、やや準備に出遅れたものの、事前に入念な研修計
画を立て、研修当日は皆が一丸となって研修を支え、プログラム終了後は反省会を持
ち、翌日に備えました。研修運営に関して、文字通りPDSIというプロセスが実践でき
たと思います。その意味で今回の研修運営はほぼ満点に近い出来だったと、私は評価
しています。ただ、毎日の反省会でケニア人スタッフからも意見が出されたように、
研修内容をもう少し実践的なものにした方がよいと思われるセッションがいくつか見
受けられました。この点について、2月に行う同様の研修に反映させていきたいと思っ
ています。
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┛┛┛ 速報2 ● 第三国研修(ASEI&PDSI Approach in Secondary Mathematics
and Science Education in Africa)始まる!
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SMASSE-WECSAメンバー国から研修員を招いてのASEI&PDSI普及研修、つまりこれま
でケニア国内で実施してきた中央INSETのダイジェスト版を、 周辺諸国の教員養成ス
タッフ(あるいは理数科教師の教科主任クラス)に対して実施しようという研修が始ま
りました。 約1ヶ月間、7ヶ国より42名(レソト8、マラウイ2、モザンビーク8、ルワ
ンダ6、ウガンダ2、 ザンビア10、ジンバブエ6)を集めての研修となりました。
研修内容としては、第一週目が参加各国からの状況報告、SMASSEの事業説明(基本
調査、ASEI&PDSI、INSETシステム、モニタリング評価)といった導入編、第二週目が4
教科に分かれてのASEI授業計画・準備、第三週が近郊の学校に出かけてのASEI事業実
践、第四週がそれぞれの国に持ち帰る授業計画案の練習・作成という流れになってお
り、研修員皆の成果や経験や問題点を引き出しながら、それらを皆で議論・共有して、
自国の理数科教育教科のために何が出来そうか考えてもらう機会を提供しています。
なお、本研修ならびにSMASSE-WECSAに関心を持つナイジェリア教育省から4名がこ
の研修を視察(1/25-2/7)に訪れています。ケニア教育省との協議では、ケニア教育省
主席視学官Mr.Oyayaの話を熱心にメモに取り、ケニアでの経験をナイジェリアにどう
生かせるのか、活発な意見交換が行われました。既にナイジェリアで実施している現
職教員研修との連携も構想されており、今後のナイジェリアとケニアと日本の協力関
係がどのように育つのか楽しみです。
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┛┛┛ ケニアの教育事情 ● ケニアの卒業と入学とマスコミ報道
- 今年は30万人が中等学校に入れない!? -
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ケニア全国の教育省関係者は、今、大忙しです。昨年の10月から11月にかけて実施
した小学校や中等学校の卒業試験の採点を終え、その成績に基づいて児童や生徒の進
学先を決定する作業が1月5日から始まったからです。そんな中、1月6日、ケニアの全
国紙Daily Nationの一面を飾ったのは、「31万7千人が中等学校に進めない」という
大見出しでした。
1月5日、教育大臣Prof. George Saitotiが会見し、先の小学校卒業試験KCPEを受
験した児童は全国で58万7961人であり、そのうち27万203人(うち男子13万4282人、女
子13万5923人)が中等学校に進学できる見込みであり、残りの31万7796名は進学でき
ないことになると発表したのです。特に今回の場合、1年前に新政権が実施した初等
教育の完全無償化政策を受けて、小学校の児童の数が急激に増えたことも手伝って、
受験者数も増えたのですが、受け皿となる中等学校の定員は増えなかったため、進学
できない子供の数が過去最高の数字になった(それをマスコミが大きく報道した)とい
うわけです。
ケニアの教育制度は8-4-4制度ですから、6歳で小学校に入学したとして13歳か14歳
で小学校を卒業します。その卒業証書を得るために、8年生の児童達は全国統一の卒
業試験(KCPE)を受験するのですが、その成績がそのまま中等学校への進学を決定する、
入学選抜試験として利用されます。中等学校を卒業するときも、同様であり、4年生
の生徒達は中等教育の卒業試験(KCSE)を受験し、その成績が希望大学への入学試験と
して利用されます。ですから卒業試験の成績は、社会的にも非常に関心が高く、マス
コミにもこのように大きく取り上げられるのです。
さて、ここでは小学校の卒業と中等学校への進学に焦点を当てて、どうやって子供
達の進学先が決まるのかを簡単に説明してみましょう。子供達は卒業試験を申し込む
際に予め進学希望校を幾つか登録しておきます。受験科目は5教科(英語、スワヒリ語、
宗教、算数、理科)で、マークシートに回答する方式です。5教科500点満点の成績が
教育省によってまとめられ、生徒の成績一覧表となり、それに基づいて各学校長が入
学を希望している生徒の中から選抜することになります。
ここで特徴的なのは、ケニアの公立中等学校には全国から生徒を集めることの出来
るNational School(全国に18校)、全国8つの州の中だけで生徒を集めるProvincial
School、さらに小さな行政単位である郡の中から生徒を集めるDistrict School(
約3000校)の3種類の学校がピラミッド構造をなしていることです。まずはNational
Schoolが、その学校を希望している優秀な生徒を選びます(今年の場合1月5日から7
日)。残った生徒達の中からProvincial Schoolが生徒を選び(1月8日から10日)、さら
に残った生徒達がDistrict Schoolに選抜されます(1月12日から14日)。当然、
National Schoolは優秀な生徒を選ぶことが可能ですし、児童から見ればNational
Schoolに入学するのは難しいことです。500点満点中、出来れば450点、最低420点は
欲しいところです。一番ハードルが低いのはDistrict Schoolになるわけですが、冒
頭の状況から単純に考えて、受験者の半分以下の定員しかないのですから、平均点を
超える成績を残さなければ入学は出来ません。せめて300点くらいは取っておきたい
ところです。
では、志望校が要求するレベルの成績をとれず、進学先が決まらなくなってしまい
そうな子供達はどうするのか?そこで親や親類が忙しく走り回ります。知り合いの学
校の先生、校長、教育行政官、政治家、ありとあらゆるコネを駆使して、我が子が入
学を希望する学校(というより親が入学させたい学校)に入れるよう汗を流すのです。
せっかく小学校を終えたのに、13歳か14歳で学歴を絶たれ、我が子を若き失業者にし
てしまうのはあまりに不憫だからです。ですから、この時期ナイロビの教育省には、
明らかに職員でない人達(中には民族衣装のマサイ族も!)があちこちに詰めかけてい
て、行政官達も忙しそうに、でも、まんざらでもなさそうに大勢のお客さん達を捌い
ているのです。一日中、色んな人から「私の知り合いにこんな子がいるんだが、どう
にかしてもらえないだろうか・・・」などと電話がかかってくる全国各地の中等学校
の校長にとっても、人情と学校経営の狭間に立たされて、悩ましい時期であることで
しょう。
さて、いくらケニア中の教育関係者や子供達の親が走り回ったところで、トータル
で半分以下の子供達しか進学できないという現実は変わりません。「進学できない子
供の数が過去最高になった」と報道されますが、そもそも経済的な理由などで学校に
入っていなかった子供達が、初等教育費用の完全無償化を歓迎してこぞって小学校に
入り、再び中等学校への道を絶たれたという意味では、その全体的な状況は昨年まで
と何ら変わりありません。Saitoti大臣は、「小学校から中等学校へ進学できる割合
を、2007年までに70%向上させたい」としていますが、その具体的な方法については
明らかにしませんでした。新たに学校をつくってその数を増やすのか、各学校に入学
定員を増やすよう命じるのか、いずれにせよ、彼の言葉を実現するためには素早い対
策とそれなりのお金が必要になります。
何気ない新聞記事でしたが、ちょっと立ち止まって考えてみる。初等教育を量的に
充実させたならば、次は中等学校、その次は大学、最後は就職という具合にその先の
受け皿も拡充していく必要があるのだという事を、ケニア政府も、ケニア国民も、開
発途上国に対して初等教育の拡充を強く勧めているドナー諸国・関係機関も、再確認
したことでしょう。小学校の無償化を実施したことは、ケニア国民に広く支持されて
いるのですが、そのためにケニア政府はドナー諸国の助けを得ながら相当の予算を費
やしました。そして今度は、それがキッカケとなって中等教育にも、職業訓練教育に
も、大学教育にも次々と波及して、予算を手当てすることになるはずです。
それだけでは終わりません。教育の量を高めることに成功したとしても、その質が
低下してしまえば、子供達やその親にとっては不利益であり、それでは政府にとって
もせっかく費やした税金が無駄になってしまいます。質を犠牲にした教育の拡充は意
味がないのです。そこでケニアでは、ますます学校(小学校から大学まで)の先生の質
を高める事業が重要になってきます。まずは、質の良い小学校の先生を増やすため、
初等教員養成大学へのテコ入れが必要になるでしょう。中等理数科をターゲットとす
るSMASSEプロジェクトとしても、急激な生徒数の増加が予想される中等教育の質を高
めるために、これからも現職教員研修を全国的に実施し、研修内容の改善を続けてい
きます。
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┛┛┛ お知らせ ● アフリカのJOCV理数科教師隊員集まれ!(再掲)
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平成16年の8月前半と12月前半、SMASSEではアフリカのJOCV理数科教師隊員とその
同僚(中等学校の理科か数学の教員)を対象とした研修コース(2週間)を開設する予定
です(4月にも予定していましたが、諸事情により開催準備が間に合いませんでした)。
SMASSEでケニア全国に広めようとしている「教師中心のチョークアンドトーク式授
業から生徒中心の授業を目指し、教員は毎日毎日少しずつ授業に工夫を加えながら改
善していこう」という理数科授業改造運動を、他のアフリカ諸国で活動しているJOCV
隊員やその同僚の先生にも知っていただき、教室に持ち帰って実践していただこう、
さらには周りの先生にも広めてもらおうというのが研修の目的です。
この研修はただ座って話を聞くだけではなく、参加者全員が積極的に研修に参加し、
経験や知識を持ち寄って発言し、それを皆で共有して、それぞれの現場に持ち帰るこ
とに意義があります。「少しでも生徒のためになる授業を出来るようになりたい」と
いう向上心を持った、数多くの理数科教師隊員の皆さんに集まって欲しいなぁと切に
願っております。(そもそも人数が集まらないと研修がボツになってしまう!)
如何でしょうか。色々な国から集まってくる隊員や同僚達との交流や情報交換も有
益でしょうし、2年間の隊員活動に一区切りをつけるイベントとしてピッタリの企画
になるはずだと自信を持ってお勧めします。
・・・というメッセージを、アフリカ各国に展開しているJOCV理数科教師隊員にお届
けしたいのですが、各国JICA事務所の皆様より転送していただけないでしょうか。研
修コースの暫定プログラムは、ホームページでも公開しています。あるいはお問い合
わせいただければ、メール添付にて送付可能です。どうぞよろしくお願いいたします。
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┛┛┛ 最近の出来事
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● 広島と鳴門への国内出張(2003.12.3-12.5)
SMASSEが色々な機会でお世話になっている日本国内の支援機関に、日頃からの感謝
をお伝えし、これからの一層のご協力をお願いしようと、服部・長沼両専門家が一時
帰国の機会を利用して。広島と鳴門を訪れました。広島大学や鳴門教育大学には、
SMASSEのケニア人スタッフが留学しており、彼らの元気そうな様子が何よりでした。
広島県教育センターでは、間もなく始まる「INSET運営管理」研修コースを担当して
下さる皆様にご挨拶させていただき、その現職教員センターとしての設備や様々な研
修メニュー、運営管理の様子をたっぷりと見せていただき大変勉強になりました。
● ADEA総会への参加(2003.12.3-12.6)
SMASSE-WECSAでは、主にアフリカの教育行政官の実務レベルを対象として、理数科
教育の質の向上を目指した議論を交換してきましたが、その議論をより高いレベルの
政策決定者(教育行政官トップ、政治家等)とも共有できるようになることを目指し、
ADEAというアフリカの教育開発を議論している国際組織の総会に出席し、
SMASSE-WECSAの活動と経緯と実績を紹介し、ADEAの中に理数科教育の部門を設立する
よう働きかけてきました。もう、一押しです。
● ナイロビでの第三国研修開催(2004.1.18-2.14)
1月18日から4週間、SMASSE WECSAメンバー国より42名をナイロビに集めて、アフリ
カの中等理数科教育にASEI&PDSIを普及させるための研修が始まりました。今回の研
修対象となったのはレソト、マラウイ、モザンビーク、ルワンダ、ウガンダ、ザンビ
ア、ジンバブウェの7ヶ国。集まったのは各国の現職中等学校教員、教員養成大学の
講師など、現場の人達ばかりです。ただ座って話を聞くのではなく、議論に参加し、
手を動かし、頭を動かし、教室に出かけて、という充実した実践的な研修内容に皆満
足そうな表情です。
● フィリピンでの第三国研修参加(2004.2.1-3.14)
過去2度、SMASSEの中央研修講師を受け入れていただいたフィリピン大学の国立理
数科教育開発研究所(UP-NISMED)において、6週間、地方研修講師と中央研修講師あわ
せて20名を受け入れていただけることとなりました。ケニアで展開するASEI&PDSIア
プローチに、さらに厚みを持たせるため、ケニアからの参加者にはUP-NISMEDに蓄積
された有形・無形の財産をどん欲に学び取ってきて欲しいと期待しています。
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┛┛┛ SMASSEの今後の予定
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● 2004年 SMASSE中央研修と地方研修の年間実施計画
中央研修:1月から11月まで12回(それぞれ10日間の研修コース)の研修を開催し、合
計960名の地方研修講師が参加する予定。今年一年を通じた第1サイクルの研修テーマ
は"Attitude Change"「態度の変化」。「教員中心の授業」から「生徒中心の授業へ」
という理数科授業改造運動を推進するSMASSE研修の第一歩です。
地方研修:地方研修センターが設立できて、地方研修講師が中央研修を受けて、研修
に必要なお金と資機材が整ったところから、4月あるいは8月の後半2週間、全国各地
で開催される見込みです。
● INSET運営管理研修(2004.2.24-3.28)
地方の現職教員研修を計画・運営・実施・管理するマネージャー達12人が、広島県
教育センターや広島大学、その他多くの学校や皆様にお世話になります。この研修は
特にSMASSEの関係者だけのために用意されるコースで、今後5年間毎年12人(計60人)
が参加させていただくことになります。受け入れていただく皆様、どうぞ宜しくお願
いします。
● 校長INSET(2004.2.29-3.6)
地方の現職教員研修を計画・運営・実施・管理するマネージャーとして重要な役割
を果たすのが中等学校の校長先生達。SMASSEに関する彼らの理解なしに、研修の全国
展開は成功しません。全国から80名の中等学校校長を集め、一週間の研修コースを開
催します。
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┛┛┛ ケニアの生活情報
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◎ 気候
12月〜1月、暑い乾期とされるこの時期、日差しもきつく、オフィスでは上着を脱
いで半袖で過ごしています。それでも室内にいる限り、エアコンが必要なほどではあ
りませんが、車で移動している際にはエアコンが欲しくなります。治安の問題上、窓
を開けたまま走行するのは避けたいからです。
ここ最近、SMASSEオフィスの近辺では、牛のエサになる草を求めたマサイ族が100
頭もの牛を連れて歩く姿をよく見かけます。彼らの土地に十分な雨が降らず、比較的
雨が降って緑の多いナイロビ近郊にまではるばる遠出してきているのです。
ナイロビの最高気温26度 / 最低気温16度 (1月15日)
◎ 通貨 ケニアシリング ($1 = Ksh76, Ksh1 = 1.5円, ややドル安傾向)
昨年の12月は、ケニアが独立を果たして40周年を迎えたということで、ケニア政府
も幾つかの祝賀行事を行いました。その一環として、キバキ新大統領の顔をデザイン
した40シルコイン(40周年記念だから)が発行されました。
これで、お札は5,10,20,50,100,200,500,1000の8種類、コインは1,5,10,20,40の5
種類があり、しかもそれぞれの額面で新旧デザインが流通しているので、全部で約20
種類のデザインのお札とコインが財布の中で混じり合っています。
しかもその新しい40シルコイン、今までの20シルコインと見た目が良く似ている(
少々大きいのですが)ので、またさらに財布の中身の管理が面倒になってしまいまし
た。
◎ 祝日
1月1日 New Year's Day 新年の日
4月9日 Good Friday イースター祝日(2004年の場合)
4月12日 Easter Monday イースター祝日(2004年の場合)
6月1日 Madaraka Day
10月10日 Moi Day 第2代大統領Daniel Arap Moiの祝日
10月20日 Kenyatta Day 初代大統領Jomo Kenyattaの祝日
11月15日 Idd-ul-Fitr Day ラマダン明けの祝日(2004年の場合, 予定)
12月12日 Jamuhuri Day 独立記念日
12月25日 Christmas Day クリスマス祝日
12月26日 Boxing Day クリスマス祝日
このように一覧すると、年の後半に集中しています。日本と比べると少ないような
気もします。3月から4月頃にあるイースター祝日は必ず4連休になるよう、金曜日と
すぐ次の月曜日が休みになりますが、毎年時期が変わります。12月には3つも祝日が
あるのですが、事実上、12月は多くの人達が有給休暇をまとめて取得し、出稼ぎ先の
ナイロビから故郷へと里帰りするので、あまり関係ありません。新年は、1日だけ休
みですが、日本のお正月気分とは異なり、あっさりと2日から仕事が始まります。
ちなみにSMASSEプロジェクトの日本人スタッフは、基本的にケニアのカレンダー(
祝日)にあわせていて、日本の祝日のことは忘れています。
◎ ケニア人の足:マタトゥ
ケニアの1月は新学年の始まる月、故郷へ帰っていた多くの人達がナイロビに戻り、
子供達も学校に戻ってきました。彼らの通勤・通学を支えるのは自家用車かマタトゥ
と呼ばれる15人乗りくらいの小さなバス。12月に比べて明らかに交通量が増え、朝夕
は渋滞が発生し、交通事故も増えます。
地下鉄のような安全・便利・安価な移動手段のないケニアでは、自家用車を持たな
い人達にとってマタトゥなしの生活は考えられません。一方、自家用車を運転する人
達にとって、あるいは歩行者にとっても、マタトゥの奇想天外・傍若無人な運転マナー
は、恐怖でさえあります。
車両の整備状況の悪さ、マタトゥの絡んだ交通事故の多さ、それによる死傷者が後
を絶たないことに業を煮やしたケニア政府は、マタトゥにスピード制限装置と乗客全
員分のシートベルトの装着を義務づけると発表しました。加えて車体の脇に幅20cmく
らいの黄色いラインを塗ったり、運転手やコンダクター(車掌兼客引き)は決まった色
の制服を着用しなければならず、マタトゥ経営者にとっては何とも面倒で、出費の多
い法改正になりました。出費を強いられるだけでなく、スピードを制限され、シート
ベルト着用を徹底すれば乗客数も制限されるわけですから、収入も減るはずです。法
に従えば、車両保険の保険料が下がるのだから、料金値上げは罷りならんと政府は指
導していますが、これまたどうなることやら。
外見的には黄色いラインを塗ったマタトゥの数は日に日に増えています。が、一体
どれだけのマタトゥがおとなしく法に従い、シートベルトやスピード制限器を装着す
るのか、登下校時の子供達をすし詰めにして乗せるような光景はなくなるのか、違反
しているマタトゥを警察がどれだけ取り締まれるのか、逆に警察への賄賂が増えるだ
けなのか、運賃は値上げされるのか、2月以降しばらくは注目です。
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┛┛┛ 編集後記 ● 我慢比べ
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週明け、2月2日月曜日の朝、公道からマタトゥが消えました。自家用車を持ってい
ても、運転手が来られないために遅刻する人、子供を学校に連れて行くために自ら遠
くまで運転しなくてはならず遅刻する人、マタトゥが少ないことをこれ幸いとお休み
の理由にする人、お陰でSMASSE事務所も仕事のスタートが遅れました。ケニアに住ん
でいる皆、それぞれがそれぞれの事情で色んな影響を受けることになりました。マタ
トゥが国民生活にどれだけ根深く食い込んでいるのか、改めて認識することになりま
した。
ではなぜ、マタトゥが消えたのか。簡単に言えば、黄色いラインのペイントは塗っ
たとしても、シートベルトや速度制限装置の取り付けは間に合わなかったわけです。
一部のマタトゥ経営者は準備する十分な時間がなかったと言い訳しますが、昨年10
月3日に正式に決まって、今年2月1日からはこうなるとわかっていた話ですから、彼
らが政府の態度をかなり甘く見ていたということなのでしょう。「赤信号みんなでわ
たれば怖くない」あるいは「スケジュール通りに赤信号が灯るわけはない」とタカを
くくっていたわけです。それがこれまでのケニア社会とケニア政府のあり方だったの
でしょう。ところがそうはならなかった。
確かに国民の生活は大きく混乱しました。人によってはそうなることを予想して、
陽が昇る前から、はるばる10kmも20kmも歩く人もいましたし、誰か知り合いの車をに
わか乗り合いタクシーに仕立て、時間通りに間に合ってくる人もいました。赤信号は
赤信号、それをなし崩しにしてケニアの交通モラルを乱すばかりのマタトゥ側に荷担
して、政府に怒鳴り込むような人はないようです。自らの利益を最優先に公道を我が
物顔でぶっ飛ばすマタトゥの便利さと、ケニア政府が導入しようとしている公益(安
全な交通社会)のためのモラルとを天秤にかけ、ケニア人の大半が少々の不便さには
目をつぶって、安心して歩けるような社会を期待しているように見えます(単にケニ
ア人がおとなしいだけ、あるいは我慢強いだけ、という見方も出来ますが)。
新政権が発足して1年が経過し、ケニア国民は、政治・行政とは自らの利益と国民
全体の公益との調整機能であることを学びつつあるような気がします。政府が毅然と
した態度・方針を指し示し、国民がそれをサポートすれば、社会変革は可能なのだと
いう事例になりそうな、そんな予感さえしています。だからこそ、私個人としても、
今回の件でケニア政府には断固とした姿勢を貫いて欲しいと思います。というわけで、
ここしばらくSMASSEの仕事が少々滞ったり、混乱することがあるかもしれませんが、
私達も新たな社会を生み出すために必要なプロセスの渦中にあるということで、どう
か辛抱強くサポートしていただければと思います。
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発行:独立行政法人国際協力機構(JICA)ケニア中等理数科教育強化計画フェーズ2
Strengthening of Mathematics and Science in Secondary Education Project
編集長:チーフアドバイザー 杉山 隆彦
編集 :業務調整員 長沼 啓一
c/o Kenya Science Teachers College, P.O.Box 30596-00100, Nairobi,
KENYA
Web: http://www.smasse.org プロジェクトの各種活動の様子はこちらへ。
Email: news@smasse.org ご意見、ご感想のメールはこちらへどうぞ。
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