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海外CAD事情:UPFRONT.EZINE - ISSUE #310

発行日: 2002/10/3

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            海外CAD事情:UPFRONT.EZINE - ISSUE #310(簡略版)
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Tuesday, 24 September 2002 -英語版- http://www.upfrontezine.com/
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今週号の内容:
* SolidWorks 2003:ボストンでのプレビュー
- 3人のCEO
- CEOとのQ&A
- SolidWorks R&D
- R&Dに関するQ&A
- SolidWorks 2003のデモ
- 夕方のもてなし
*他のレギュラー項目は今回省略

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◆◆SolidWorks 2003: ボストンでのプレビュー◆◆

私が最後にボストンに飛んだのは2002年9月18日で、新しいCADベンダーRevit 
Technologyの進水式に出席するためであった。それから2年半、ボストンに
再び私は戻ってきた。今回はSolidWorks 2003 [機械系CAD]のベータ版を
見るためである。会社としてのRevitは消滅したが、その社員の何人かは
Revitへの投資元でもあったSolidWorksに現在勤務している。SolidWorksは、
半日を会社の方針説明と将来展望、残りの半日をデモに当てた1日にCAD関係
のジャーナリストとアナリストを招待した。我々は、現CEO、前CEO、及び
他社のCEOの3人のCEOの話を聞くことができた。

 ■3人のCEO

現在のCEOであるJohn McEleneyは販売低迷の問題への言及を避けて、最初の
5年間で100,000のSolidWorksライセンスを獲得し、この2年間でさらに100,000
のライセンスを得たと述べた。ゴールは100万ライセンス[区切りの良い数字
である]に到達することだが、具体的な達成スケジュールに関しては何も
説明がなかった。機械系CAD事業で10億ドルの売上達成というAutodeskの
ゴールに似て具体性はないと感じた。
過去の販売実績が強調される場合には、往々にして現在の販売状況は芳しく
ない。McEleney氏が現在状況の苦しさを間接的に認めたのは、期待に反した
売上実績を伸ばすための挑戦に言及したときであった。なお、競合各社も
同じ問題を抱えている。詳細に関しては親会社であるDassaultの次の四半期
コンファランスコールまで待たねばならない。景気低迷にも関わらず
SolidWorksの成長は続いており、利益も上げている。この理由は、主要競合
会社とは違い同社がアップグレード収入にあまり依存していないからであろう。
実際、自社製ソフトウェアを寄贈している競合会社への言及が何度かなされた。
ソフトウェア人気度を測る方法の一つは求人の数である。9月17日のランキング
では、1位がPro/E、2位がSolidWorks 、3位がMDT、4位がSolidEdge、そして
5位がInventorであった[別の日にランク度を測れば違った結果になる可能性
がある]。モデリングに使用されるファイルフォーマットの人気度をベースに
した別のデータをZ Corpが提供している。このデータに従えば、1位はSolidWorks、
2位はPro/E、3位はUGS、4位はInventorである。しかしながら、このデータが
示すところによればSolidWorksは機械系CADの一つのセクターで人気があり、
他のMCADパッケージは他のセクターではSolidWorksよりも人気が高い。
McEleney氏の見るところ、現在の景気低迷の時期においても良いこと悪い
ことの両面がある。

良い面は以下の通りである。
*世界の人口は増加中で、それ故に製品需要も増加している。[私見であるが、
 ここで問題になるのは欧州の一部やカナダ、及び米国で実際に起きている
 ように、国が発展するに従い人口増加率はマイナスになることである。]
*貿易障壁は崩れてきて、商品販売が容易になっている。[米国は他国が貿易
 障壁を下げるように要求するが、米国自身は障壁を上げている。その結果、
 報復措置と貿易縮小に陥ってしまう。]
*コミュニケーションの改善により摩擦の低減が図れる。

悪い面は以下の通りである。
*製造分野での過剰設備。
*飛躍的な進歩がないために製造分野は失速している[私に言わせれば"頭打ち
 になっている"]。しかしMcEleney氏は、それがインターネットのゴールド
 ラッシュのように、新技術が間近に迫っている兆候と期待している。
*人々が痛い目にあった過度に宣伝された約束。

同氏に言わせれば基本的な問題は需要不足であるが、これは資金不足ではなく
自信不足によるもので、一時的なものであると同氏は確信している。製造業者は
出費抑制のために資本投資を削減し、その結果MCADの販売も低迷している。
一方、プラスの話しは金利の低下である。VC[ベンチャーキャピタル]の多大の
資金が出動機会を待っており、新規雇用も僅かながら上昇している。企業の僅か
25%しか3Dを使用していない。プリンタやディスプレーにカラーが必要になった
のと同様、3Dは当たり前な物となるが故に(単に競争上の有利性に留まらず)、
5年以内には90%の企業が3Dを使用すると同氏は予想している。3Dが当たり前の物
となると、"ネットワーク効果"によって3Dは非線形の成長[瞬く間の急成長]を
遂げるであろう。CEOとして、McEleney氏はSolidWorksのライセンス販売の
増大策を考えている。そのためのアイデアは次の通りである。

1.照会販売 − 既存顧客による潜在顧客へのSolidWorks紹介
2.マニュファクチャリング・ネットワーク − SolidWorksを使用している
 会社が他の会社と仕事をするに際し、図面データ変換の必要性を未然に
 無くしたり、顧客をSolidWorksファイルフォーマットに結束させる。
3.カスタマー・ネットワーク − どの会社が既にSolidWorksを使用してい
 るかをレポートするCRM[customer relationship management]システムの
 ように私は感じた。

今後の製品改善の優先項目:
*SolidWorksの操作性改善
*大規模プロジェクトに対するSolidWorksの信頼性と拡張性を改善
*アセンブリ性能の改善
*大規模図面の性能改善

現在の問題点と今後の計画をCEOから直裁な話が聞けて新鮮な感じであった。
次に前CEO Jon Hirschtickの話があった。同氏は6ヶ月以内に出荷予定のコン
シューマ製品の開発に現在携わっている。その新製品の設計には当然のこと
ながらSolidWorksを使用しており、このソフトウェアが実際に優れた機能を
持っていること、及び改善すべき点がどこにあるかを同氏は分っている。実
際に自社製品を(前)CEOが使っていることを聞いて私は嬉しかった。そこ
までやる人はあまりに少なく、それ故にユーザにとってどの機能が重要であ
るかに無関心になってしまうのだ、と私は思っている。
"SolidWorksとはソフトウェアのことではない。"と同氏は断言した。設計技
術者、再販業者、サードパーティー・パートナー、及びSolidWorksの成長に
影響を被る競合他社までも含めた"コミュニティ"のことである。しかしなが
ら今日の時点では、"CADはまだ青臭い、我々は青臭さが少ないだけ。"、と
同氏は続けた。CADの機能とユーザインターフェイスは完成までの道はまだ
遠いということである。
写真:<http://www.upfrontezine.com/figs/swceos.jpg>

3番目に登場したのは、SolidWorksの親会社でパリに拠点を置くDassault 
SystemesのCEOで非常に愛想のいいBernard Charlesであった。同氏は朝食の
集まりに顔を出して握手を交わしたのだが、その内何人かのファーストネーム
も覚えていた。質問に対する返答は極めて丁寧で予定の時間を45分も超過する程
だったが、同氏は喜んで話を聞いてくれた。
同氏の認識によれば、プロトタイプを実際に組み立てる前に製品のビューイング
やテストを行うデジタル・モックアップのやり方を通してDassaultは世界を変え
た。SolidWorks、CATIA、及び他の競合製品のスピードと機能の向上にも拘わらず、
3Dの定義はまだ完全ではないと同氏は感じている。たとえば、3Dモデル上に標準
的な方法で公差情報が示されているか? 3Dがメーカー間でのギャップ拡大の原因
となっていることを知ったのは同氏には驚きであった。"ギャップ"というのは
製品生産に要する時間であり、業務に適合した機能をどうやって作るかという
ことに関係している。
何と呼ぶかは別として、PLM [product lifecycle management]という存在がある。
"我々の会社は単に3Dの会社ではなく、最大にして最も包括的なIP[intellectual 
property、知的財産]の集合体である。" 次のターゲットは、(1) 製品設計の前
に製品ライフ全体を見れるムービー作製、及び(2) 楽しく使えて極めて高機能
の3D。マーケットでの飛躍的技術をすべて取り込むことが同氏の挑戦的課題である。
3年以内に、機械部品を作成するUI[ユーザインターフェイス]は再び完全に変わる
だろう。単にアイコンなどの変化ではなく、共有ベースからコラボレーションを
ベースにした全体的アプローチそのものの変化である。この領域での飛躍的な
技術進展はまだ期待できる。結論として、成長機会を掴むには次のことが必要
とCharles氏は我々に語った。

1.明確なゴールの設定
2.飽和状態ではないマーケット
3.戦略の認知
4.境界の再定義
5.数値化

最後に同氏はこう締めくくった。"私は競争が好きである---- 我々が勝つ限り
においては。"
写真:<http://www.upfrontezine.com/figs/charles.jpg>

 ■CEOとのQ&A

Q:CATIAとSolidWorksがオーバーラップしている部分はどこか?
A:機能的なオーバーラップは僅か5〜10%である。連携の一例としてはサー
  フェスパッチを挙げることができる。しかしながら、基本的なゴールは
   連携ではなく、各プロダクトがターゲットユーザの役に立つような正しい
   バランスにある。なぜならCADパッケージは単なる機能集合体ではないからだ。

Q:概念設計に対して3Dがペーパーに取って代わるのは現実的か?
A:可能性はあるとは思うが、今日利用できるソフトウェアでは無理だ。
   数年後にはそのような製品が現れるのを期待する。3Dモデリングの
   概念的スケッチは非常に複雑だからだ。

Q:Autodeskに関してはどう考えているか?
A:AutodeskはAIS [Autodesk Inventor Series]について語ることによって
   ユーザ数を誤魔化している。ユーザはMDT [Mechanical Desktop]と
   Inventorのどちらを使用しているのか? 
   Autodeskは顧客にビジョンを示せず、ただ価格を段々と安くしてきている。
   ビジョンが欲しい、今のままでは辛いという理由で人々は乗り換えている。
   我々は競合相手ではなく顧客を見ている。競合相手は我々の方を見ている。
   我々が顧客の方を見ているという秘密を彼らには言わないで欲しい。

Q:Dassault からの完全な自主権を持っているか?
A:連携的な動きを別にすれば、基本的に我々は100%の自主権を持っている。
   各地域別本社持ち回りで5週間ごとに取締役レベルでのグローバル・ミー
   ティングを行っている。技術買収などはそこで討議する。

 ■SolidWorks R&D

R&DのDave Corcoranが自社ソフトウェアに対するSolidWorks社のビジョンと
v2003の新機能について説明を行った。SolidWorksの最初のバージョンは
パーツと図面を扱うソフトウェアと他のCADシステムからファイルをインポ
ートするソフトウェアとから構成されていた。今ではデータ管理、解析、
及びコミュニケーションが追加された。将来的には以下のことをSolidWorksに
追加したいとR&Dとしては考えている。

- より多くのパーツ、図面、及びアセンブリを処理する。
- タスクの効率化を図る。
- 学習をはるかに容易にする。特にSolidWorksの使用法ではなく、設計法を
  ユーザに教えるようにする。[upFront.eZine で今年の初めに論じたトピック]
- 自由曲面設計の統合

SolidWorks 2003の最大の特徴はCOSMOSXpressと呼ばれるCOSMOS(通常8,000ドル
以上)の機能限定版を統合することである。これは賢いやり方だと私は思った。
私が土木工学を専門にやっていた頃のことを思い起こすと、殆どの時間をCADの
学習[その頃はCADはなかったのだが]ではなく、設計の妥当性をチェックする
ための解析に使っていた。COSMOSXpressはアセンブリではなく、パーツの第一
段階での解析用である。
R&Dのゴールは最も効率の良いパーツモデラーを開発すること、及び50,000〜
100,000点数のアセンブリを処理できる"メインストリーム・マーケット"の中
でベストの大規模アセンブリ管理を実現することである。
"リインベンション(改革)"はSolidworksの既存部分を書き直して改善する
ところにある。V2003においては、パーツ生成エンジンはインスタント・ロール
バックと再表示割り込みを処理するように改革された。
新機能の一つに、パーツ中で複数のソリッド"マルチボディー"を生成・修正する
機能がある。たとえば、パーツを複数のボディーから構成されるものとして、
他のパーツとは無関係に一つのパーツのシェル処理を行える。

 ■R&Dに関するQ&A

Q:SolidWorksの簡易版についてはどう考えているか?
A:できないことはないが、ユーザはより少ない機能ではなく、通常より多く
   の機能を欲しがっている。

Q:Visioとのリンクはまだ存在しているのか?
A:存在している。圧倒的という訳ではないがVisioはまだ使用されているし、
   SolidWorksユーザでVisioを採用しているところがある。

Q:SolidOffice Proとは何か?
A:新製品であるSolidOffce ProはSolidOfficeにPDMworksを加えたものである。

 ■SolidWorks 2003のデモ

デモ担当のJoe DunneとAaron KellyがSolidWorks 2003の250以上ある新機能の
一部を見せてくれた。このパッケージでは20のオンライン・チュートリアルが
提供予定。チュートリアルのコマンドをクリックすると、関連したアイコンが
SolidWorks上で点滅する。これによってユーザは該当ボタンの位置を知ること
ができる。
デザインテーブルによって図面がスプレッドシートにリンクされる。デザイン
テーブルの選択を変更するとパーツが変更されるし、逆操作も同様である。
寸法がスプレッドシートにリンクされている場合には紫色での表示になっている。
パーツの選択再表示を使えば表示待ちの時間が短縮される。ダイアログボックス
には各フィーチャーの再表示に要する時間が示されているので、一番時間が掛か
るパーツを除外することもできる。他の特徴は以下の通りである。

- 自動寸法作成
- 共有スケッチ
- スケッチ・カラー
- フィット・スプライン
- 板金機能の強化
- 任意のエッジ丸めが必要な部分へのフィレット自動作成
- トリム取消機能をパーツのサーフェスに拡張。穴を閉じることもオプションで可能。

ユーザからの要望事項として10あった中の6つを今回のリリースで実現したこと
をSolidWorksは誇りとしていた。何で僅か6つなのかと私は怪訝に感じた。一方、
私が読んだことがあるユーザ作成による要望事項リストの中のいくつかの事項に
ついては額面どおりに受け取る訳にもいかない。ユーザは自分の使用しているソ
フトウェアだけを見て競合他社の機能には無知な傾向があるので、私はこの種の
要望事項リストには高い価値を置かない。
新リリースを出したら、顧客の50%が4ヶ月以内に、80%が9ヶ月以内にアップグレ
ードするというのがSolidWorksの予想である。SolidWorks 2003のプレリリースは
9月末に予定されているが、出荷時期は不明である。

 ■夕方のもてなし

ボストンは東海岸のサンフランシスコと言われている。私はボストンの坂を
上がったり下ったり7時間歩き回った。坂を上がる途中にニューベリー通りが
走っていて、茶色に変色したトレンディーな小店と瀟洒なレストランが立ち
並び、若い人達や自信に満ちた人達、それにジーン姿ではない人達で歩道は
溢れていた。
ボストンの写真:http://www.upfrontezine.com/pix
火曜日の晩、SolidWorksはチャールズリバーの川くだりに我々を誘ってくれた。
参加したSolidWorksのスタッフには、誰一人としてこの川くだりを体験済みの
者はいなかった。よくある話だ。
水曜日の晩にはレッドソックスのベースボール見物に連れて行ってくれた。
今回は前回とは違っていた。SolidWorksのグループも他の35,000のボストニ
アン達と同様、90年前に建設されたフェンウェイパークでの野球を見に通う
常連であった。私といえば、これが生まれて初めて見るプロのベースボール
であった。レッドソックスは見物客が予期する通りの結果を見せてくれた。
最初は3対0で勝っていたのだが、結局は4対3でクリーブランド・インディ
アンズに破れたのである。


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