トップ > 地域情報 > 海外 > ヨーロッパ・中東 > アラブからこんにちは〜中東アラブの知られざる主婦生活

国際結婚して15年。中東アラブのとある首長国に住んでいます。結婚前は世界を股にかけて自由奔放な生活をしていたのに、ひょんなことから戒律の厳しいアラブの生活に。5人の子どもをアラブ流に育てながら、湾岸中東の風習・文化・生活をエッセイで紹介します。

  • 最新号:2008-09-26
  • 発行周期:不定期(月3〜4回)
  • 読んでる人:117人
  • 創刊日:2005-05-04
  • Score!:非表示
  • コメント数 : 6
  • メルマガID:139263
  • バックナンバー:全て公開
  • 発行者サイト:あり
  • >> 月間ランキング



アラブからこんにちは〜Vol.120 年末を飾ったもの(2)

発行日: 2008/1/14

◆━━☆アラブからこんにちは〜中東アラブの知られざる主婦生活☆━━◆
マガジンID    m00139263
WebページのURL   http://www.geocities.jp/naokomai41/index.html



Vol.120 年末を飾ったもの(2)


エジプト人の音楽担当係が会場の隅で、結婚式用の
派手な音楽をかけています。ファミリーによっては
ダンサーを呼んだり、髪振りダンス(UAE女性の伝統舞踊)
をしたり、アラブ系ダンス(レバノンやモロッコ女性の
躍るディスコダンス)を踊る若い世代もいるのですが、
花嫁側は敬虔な人たちなのでダンスはなし。
それどころか音が大きいと客から文句が出て、音楽は
控えめになりました。(その後の食事中は、
話す声が聞こえないからと婆さんたちが文句を言って、
波の音に変わってしまった。)

結婚式場に女性しかいなくても、ほとんどの招待客は
アバーヤとシーラをとりません。脱いでいるのは
花嫁と花婿の姉妹・親族だけ。彼女らはここ一番と
ゴージャスなドレスを着て(今の流行は肩紐から下がる
マーメイド型のドレス。胸の谷間も身体の線も
はっきり出るスタイルで、膝上から広がった裾を
背後に長く引きずるような形)、それを誇示するように
テーブルの間を右往左往し、招待客に挨拶して回ります。

私は金のラメが縫いこんである赤いドレス。アリアは
金のスパンコールが散る黒のドレスを着ていました。
もちろん私たちのドレスも肩が大きく開いているのですが、
アバーヤを脱がないから外には見えません。結婚した女性は
たいてい肌を見せることはしないのです。
アリアは私の髪が束ねてあるのを見ると、
「なんで髪を下ろさないの。年寄りみたいよ、はずしたら。」
見れば同席する年配女性のほとんどは、髪を束ねたままです。
日本では結婚式こそ美しく髪を束ねて行くものだから、
そのつもりでいつも束ねるのですが、UAEでは
結婚式こそ豊かな美しい髪を誇示するために
下ろしていくのでした。

言われるまま髪を下ろし、シーラを肩に落として
アバーヤの前を開きます。私たちの年齢層だと
このくらいの解放感がせいぜい。年配の人は
アバーヤもシーラもつけたままで、前を開いたりしません。
もちろん若い独身の娘たちは、アバーヤとシーラを
つけてはくるものの、席では脱いでいます。
彼女らにとって、ここは自分の結婚相手を見つける
最上の機会だからです。
恋愛結婚が流行り出したといっても、UAEでは息子の嫁は
まだまだ母親が探す場合が多い。結婚式ともなれば、
適齢期の息子がいる母親はみな、そ知らぬ顔で
注意深く若い娘を見定めています。若い娘たちは
美しいドレスに薄いレースをかけて適度に身を隠し、
行儀正しく、節度ある化粧をして、同席する年配女性の
世話をこまごま焼く。そうして自分の価値を
最大限にアピールするのです。

しかしこれも田舎町のウンムアルクエインだから通用する、
昔の習慣なのかもしれません。
土地バブルで信じられないような成金が現出し、
すべてがお金本位となってきたUAE社会では、
最近の都会育ちの教育ある独身女性は、金持ち以外の男性とは
結婚する価値がないと考える傾向があります。
結婚式で未来の花婿の母親に見初められても、
給与が低かったり、夫婦だけの家を建てる甲斐性のない
男性だったらかえって問題です。
それなら給与がはっきりわかる職場に勤め、
将来出世するかどうか予測の出来る男性を、
自分が探し出す方が間違いない。

夫の親族のとある青年は、米国の大学を卒業した
ビジネスマンで、それもきちんと先祖をたどれる
生粋のドバイ男性です。(ドバイのUAEナショナルは
60%くらいがイラン系。先祖をたどればUAE出身である人は
ほんの一握りしかいない。結婚する時これは重要な
要素となる。)
彼は27歳の時に、シャルジャ出身の女性を娶りました。
その数年前に仕事で失敗し、彼にはかなりの借金がありました。
家を建てるにはまだ何年もかかりそうで、彼は自分が
年老いた母親と今まで一緒に住んでいた政府の
公共住宅に妻を招きました。
3年そこに住まわせたら、妻の方から離れていった。
詳しい理由は知りませんが、男性が給与の中から
出来る限りの額を銀行に返し、それほどのお金を
家にまわさなかったのが問題だったようです。
けれどもその妻は、UAEでは先駆的な女性高級官僚のひとりで、
10年ほど前からドバイが男女機会均等を謳い上げ、
女性も能力があればここまで出世できると誇示した
代表的な女性なのです。
新聞でもテレビでもしょっちゅう記事が載る人で、
もしかしたら彼女の給料の方が多かったかもしれない。
けれどアラブ社会では、女性は自分のお金を家計に
入れなくてもいい習慣になっているため、彼女は
金銭面ではまったく独立していました。
日常ならそれでいいと私も思うけれど、夫婦で海外旅行に
行く時や大きな買い物をする時には、彼女が出しても
いいはずなのに、彼の借金を肩代わりする義務はないと考えて、
彼女は一銭も出さなかった。
彼は出来るだけ早く借金から解放されて家を建てるように
なりたいから、困らない最低限の予算を家計に当てていたのに、
それが若い妻には不満だったのでしょう。

子どものいないうちに海外旅行をしたり、自分たちだけの家を
好きなデザインで建てるという、若い妻の願いが
聞き届けられない。そこで距離が出来て離婚したようです。

今現在のUAEに住む都会の若い女性は、このように考える
傾向があります。夫婦ふたりで倹約して辛抱して
少しずつ楽な人生になるなどとは、昔の話です。
そういえば日本がバブルだった頃にも、同じような
傾向がありました。3高(教育程度・給与・背が高いことを
男性に求めた)なんてもっと古い話ですが、
あの異常なバブルの時は、まわりにいた独身女性は
金のない男は歯牙にもかけなかった。
家も金も車も持っている若い男性なんているはずがないのに、
それ以外の男性なら主婦となって苦労する価値がない相手
のように考えて、結婚を選ばなかった女性はたくさんいました。
それと同じことが今のUAEでも起きています。

だからこの田舎町の結婚式で、若い女性が甲斐甲斐しく
年配女性たちの面倒を看て、立ち働いているのを見ると、
なにやらホッとしてきました。


年末を飾ったもの(3)に続く


ハムダなおこ


☆『アラブからこんにちは』への感想は、以下のアドレスに送ってください☆
naokomai41@yahoo.co.jp


 
このメルマガの読者になる
規約 
>> メルマ!の会報誌もお届けします

ブックマーク: はてなブックマークに追加del.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録My Yahoo!に追加Add to GoogleRSS

このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます

Japan on the Globe 国際派日本人養成講座
日本に元気と良識を。歴史・文化・政治・外交など、多方面の教養を毎週一話完結型でお届けします。3万4千部突破!
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
海外ニュースの『斬れる』英語〜Effective English〜
英字新聞などから基本英単語・英熟語のフレーズを1つずつ紹介+翌日1分で復習します.英会話,TOEICや英検のイディオム・語法,ビジネス英語・時事英語...
花岡信昭メールマガジン
政治ジャーナリスト・花岡信昭が独自の視点で激動の政治を分析・考察します。ときにあちこち飛びます。
10年後の常識!治療と健康のツボ
本物志向で過去の常識にとらわれないロハスな大人の方に。腰痛の真相・治療と健康のツボ・健康への水先案内を配信中。3つの代替医療国家資格をもち、26年間...


この記事へのコメント

全1件表示
コメントを書く
にこにこ今でこそ国際結婚をしている現地の方にお会いすることはありますが、17年前の日本から来たお嫁さん…きっと大・スクープだったのでしょう。アラブ文化をこのような形で伝えてくれるハムダなおこさんに感謝です!日時:2008年1月22日


おすすめキャンペーン

■三菱東京UFJ銀行系 モビット■
【1】ネットで自動審査・来店不要!
【2】限度額300万円
【3】年利9.8%-18.0%(実質年率)

急な出費にモビット!

発行者プロフィール

ペンネーム : ハムダなおこ

  • 国際結婚して17年。アラビア湾岸にあるアラブ首長国連邦に住んでいます。結婚前は自由奔放に世界を駆け巡っていたのに、ひょんなことから戒律の厳しいアラブの生活に。5人の子どもをアラブ流に育てながら、湾岸中東の風習・文化・生活をエッセイで紹介します。

このメルマガの読者になる

規約に同意する



このメルマガの最近の記事


このメルマガの最近のコメント


注目情報


新着記事トピックス