国際結婚して15年。中東アラブのとある首長国に住んでいます。結婚前は世界を股にかけて自由奔放な生活をしていたのに、ひょんなことから戒律の厳しいアラブの生活に。5人の子どもをアラブ流に育てながら、湾岸中東の風習・文化・生活をエッセイで紹介します。
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アラブからこんにちは〜Vol119 年末を飾ったもの(1)
発行日: 2008/1/10
◆━━☆アラブからこんにちは〜中東アラブの知られざる主婦生活☆━━◆
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明けましておめでとうございます。
この配信を始めてから4年目である、
2008年を無事迎えることができました。
ひとえに皆様の応援のおかげです。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
ハムダなおこ
Vol.116 年末を飾ったもの(1)
12月31日に、隣家のお嬢さんの結婚式に行ってきました。
奇異に聞こえるでしょうが、10年住んでいるといっても
私は隣の人を見たことがありません。隣家との距離は
道を挟んで100mくらいあるし、どの家も高い外壁に
屋根付きの駐車場を持っており、車に乗って外出すれば
人の顔を見る機会がないのです。
用があればメイドが行き来するだけの年月で、隣家とは
ちょうど世代がずれているため、子供同士が一緒に遊ぶ機会も
ありませんでした。
つまり見知らぬ人の結婚式に行くようだったのですが、
招待状ももらったし、近所の友だちが行くというので
「じゃあ、一緒に」と娘を連れて行きました。
以前に一度書いたことがある結婚式の様子とはまったくちがって、
(http://www.melma.com/backnumber_139263_3189381/
「ある結婚式の情景」参照)
この日の結婚式は今までの中で最もいい式となりました。
私と友達のアリアは、娘たちに加えて近所のお婆さんを3人
乗せていくことになり、2台の車で式場に向かいました。
8時半開始の式だといつもなら9時15分頃着くよう行くのに、
今日は年寄りを乗せているので8時半ぴったりに
会場に着きました。
お婆さんたちは普段よりいい生地のカンドゥーラを着て、
一番大きなゴールドを身につけるくらいなので準備は簡単。
私や友人の方が髪を整えたりドレスを着たりと時間がかかり、
お婆さんたちを待たせないように大急ぎで用意を済ませました。
式場では入口の右側に花嫁の親類女性たちが立ち並び、
左側には花婿の親類女性が並んで招待客を迎えます。
隣家のママ・メーサ(花嫁の母親)は私たちを見ると
大きく手を広げて歓待してくれました。
初めて会うので私が自己紹介しようとすると、
「知ってるよ。隣のマダム・ユーセフでしょ。来てくれてありがとう。」
と言います。
「わかるんですか。」
と訊くと、彼女はベールで覆った顔をほころばせて、
「あんたのことは何でも知っているよ。」
それには驚きました。
私とアリアは娘たちと花道の近くのテーブルに座りました。
アリアの姑とお婆さんたちは花道を隔てて反対側のテーブル。
「一緒に座らないの」と訊くと、
「嫁と姑よ。当たり前じゃないの」と笑います。
アリアは19歳の時に結婚してから18年間、つまり人生の半分を
姑と一緒に暮らしてきました。傍から見る限り
お互い気を遣わずに、仲良くやっているように見えます。
だから彼女の返事は意外でもあり、またよく考えれば
当然でもありました。
友達なったばかりの頃、アリアに姑との関係を訊いた事があります。
すると、
「仲悪く一生を過ごすか、これも運命と受け入れて
家族のように過ごすか、選択肢が2つだけなら、
後者でしょう。前者はくたびれる人生だと思うよ。」
とあっさりしたもの。
私は自分の義母との関係を考えて、
「うーん、それは姑も同じように考えているから
成り立つのだろうな」と感じたものです。
テーブルに用意されたそれぞれの皿には、小さなギフトが
のっていました。レースに可愛いリボンがついた袋の
中味を透かし見ると、いい匂いのポプリが少し、
可愛い小ビンに入ったアラブの香水、ドアーの書かれた
掌本が一冊(寝る前や起きた時、食事の前後、トイレに入る前後、
友達に会ったときなどイスラームではどのような章句を
言うかが書いてある本)、それとコーランの結婚の章が
書かれたパンフレットが入っていました。
またギフトの下にはママ・メーサが書いたのでしょう、
娘を嫁に出す母親の心情を綴った短い詩が、美しい紙に
プリントされていました。
普通の結婚式だと、銀食器や宝石入れといった何種類もの
高価なギフトが大きな銀皿に盛られ、メイドが配りに来ます。
すると奪い合うように子どもが群れて、はしたない光景が
拡がります。それを考慮して、誰にでも有難がられる
宗教的なものをひとりひとりの皿に置いたのでしょう。
お金より心遣いが見えて、花嫁側ファミリーのあり方が
窺えました。(結婚式の準備・計画はすべて花嫁側が行う。
費用は花婿側が出す。)
きけば花婿もウンムアルクエインの人で、どうして隣の
アジマン首長国の公共結婚式場で式を挙げるのかと思っていたら
(シェイクの寄付で造られた公共式場は、ホテルより
ずっと費用が安い)、そこは有名なイラン料理店から
仕出しが出るのでした。
予想通り料理はおいしい。ディナーが出るのは花嫁が登場
してからなので、その前の長い時間は前菜と飲み物だけ。
前菜にはどのアラブ料理店でも出てくるファットゥーシ、
ホンモス、タブーレ、サンブーサ(三角形の野菜ギョウザ)、
各種のパン、サラダなど10皿あまり。
飲み物はアラビックティー、ミントティー、カラックティー、
カルダモン入りのミルクティー、サフラン入りミルクティーなどが
尽きることなく配られます。
アラビックコーヒーはお変わり自由なように、ポットが
テーブルに置かれていました。コーヒー用にオマーン菓子の
ハルアもついて、私とアリアは同席した年配女性の盃に
絶えることなくコーヒーを継ぎ足しました。
年末を飾ったもの(2)に続く
ハムダなおこ
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