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アラブからこんにちは〜Vol.93 希望のすれ違い−One Side Story(5)

発行日: 2007/4/20

◆━━☆アラブからこんにちは〜中東アラブの知られざる主婦生活☆━━◆
マガジンID    m00139263
WebページのURL   http://www.geocities.jp/naokomai41/index.html


最初にお断りしておきますが、
今回の内容は、One Side Storyです。

つまり、私が得た情報を基にして
私がいる立場から見た一考察です。
出てくる数値は出来うる限り確認を取りましたが、
すべてが正確とは限りません。
確認が取れないものは、私が耳にした数値をそのまま書きました。
また素人の意見ですので、
実際仕事で関わっているなかで、
違う意見を持っている方もいらっしゃると思います。

ただこのような考え方もあるという風に、
読んで解釈してくだされば嬉しいです。



Vol.93 希望のすれ違い−One Side Story(5)


話は少し飛びます。

今年の2月末、UAEの教育省が、各首長国で大がかりな説明会を
開きました。
公立の小・中・高校から教師と成績上位者の生徒を集めて、
ハムダン・プロジェクトの概要を説明したのです。
ハムダン・プロジェクトは、前回に書いた「連邦政府の
国家発展政策2015」のひとつで、ドバイのハムダン首長が
スポンサーとなって、UAE子弟の中から優秀な生徒だけを
集めた国立校(幼稚園から高校まで)を設立する計画です。
それは科学系に力を入れた専門科目のある学校で、
好成績で高校を卒業した者は、希望する専門に強い国内外の
大学に進学できること。例えば医学なら英国、
歯学ならアイルランド、技術系科目は米国西海岸、
ITはインド、地震学・建築学なら日本という風に。
現在はそのために、UAE国籍の教師を特別に育成しており、
2009年夏までに全国に30校開校する予定であること。
高校では、目指す大学のある国の言語を、特別クラスで
習えるシステムが用意してあること。これは中近東でも
初の試みで、開校が遅くなればそれだけ国家の人材育成も
遅くなるので、急ピッチで進めていること。
君たちはその学校の候補生なのだから、しっかりと勉強を
続けること。

丸1日を使ったその説明会に参加した長女と次男から話を聞いて、
私は「UAEは本気だな」と思いました。
各首長国の優秀な生徒を集めて、これだけの説明会を
催すことなど、今までにはなかったことです。
わずか2年間でそれだけの学校と教員を揃えることは、
莫大な費用と献身が必要です。今までなら簡単に外国人教師を
揃えてきていたのに、教師までUAE人を養成しているとは、
それだけ力を入れた人材育成が、国家の火急の課題と
なっているのでしょう。
そしてアブダビのムハンマド皇太子が2004年に先駆けて始めた、
「先進6カ国の教育システムを導入した学校」も、
それこそ本気なのだと思いました。

私はまったくの素人であるけれど、石油利権の延長を
希望する日本が、なぜこの本気の勢いに乗らないのかと
不思議な印象を受けます。
日本はさまざまな制約があって、政府が卒業証書を授与できる
学校を、簡単に外国に設置できないのはわかっています。
けれどムハンマド皇太子率いる教育改革が期待するのは、
UAE子弟が社会的にも習慣的にも宗教的にも無理なく勉強できる、
日本カリキュラム導入の学校なのではないでしょうか。
いずれ目に見えている、(UAEと日本の相違点に挟まれて)
教育システムが矛盾だらけとなる学校ではないはずです。
さらに児童の学費は全部自分が払うと保障し、土地や設備に
ついても全面的に協力すると宣言していることを考えれば、
寄付集めだの、経営不振だのという心配は、
ムハンマド皇太子の面子にかけても、最初の数年は
有り得ないでしょう。
誰の目にも見えるはっきりとした貢献として、現地の児童を
対象にした学校を創ることなど、日本にとって難しいことでは
ないはずです。
なぜなら韓国でも台湾でもシンガポールでもなく、
日本が6カ国のひとつに選ばれたということ。
日本の教育法がいいからこそ、UAE自らが求めてきたという
重要な事実が、最初にあるからです。

鉄道を敷くのも、ダムを造るのも短期では出来ない。
石油利権延長を見越した、誰の目にも見える日本の貢献として、
日本政府が予算を出して、現地の子どものために学校を
創ることは、速やかでかつ安全な投資ではないでしょうか。
(あるいは民間の石油関係会社が、UAEの大企業と組んで
行うべきかも。なぜなら外務省の文化的無償援助を
決定する機関は、わずか3名のスタッフで、世界中の途上国からの
要請を、何年もかかって調査する段取りになっているから。)

予算的に見ても、建築費用は少なくとも2億円くらいは
かかるかもしれない。(2年前、友人がアブダビで
6ベッドルームの豪邸を建て、4千5百万円くらいかかった。)
教師の給与は、一人につき年間600万円くらい必要かもしれない。
けれど私が言及したように、UAE父兄の希望する現地校を
つくるならば、日本人教師の数は半分で済むはずです。
アラビア語、イスラム教、社会、歴史、地理、その他
ソシアルワーカー、カウンセラーなどすべてUAEのスタッフで
すむからです。

そして何よりも、学校とは育成の場です。
そこから巣立つものは、有形無形の財産となって国中に散っていく。
いずれ日本とUAEをつなぐ架け橋となっていくことは、
間違いないのです。たとえサウジのように石油利権交渉が
実を結ばなかったとしても、学校は残ります。
日本語をマスターする子弟がいれば、いずれUAE大学も、
カイロ大学のように日本語学科ができるかもしれない。
そうした学校で学んだUAE人が、将来日本に関わり続ける
という事は、日本にとって決して無駄な投資ではないはずです。

そしてある日、UAEの民族衣装を来た男性が、あるいはアバーヤを
きた女性が、流暢な日本語で私たちに話しかけてくるとしたら、
それはそれだけで夢のような国際交流だと思うのですが。


希望のすれ違い(了)


ハムダなおこ




☆『アラブからこんにちは』への感想は、以下のアドレスに送ってください☆
naokomai41@yahoo.co.jp



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