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甦れ美しい日本

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甦れ美しい日本 第026号

発行日: 2005/8/12

□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2005年8月13日 NO.026号)

  ☆☆ 私たちは書きたいから書くのです ☆☆

☆・・・・───────────────────────────
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 < 目次 >

 ゲストコーナー 
A.塚本三郎            これが小泉首相
B.植草一秀      郵政法案を巡って

1.佐藤守コーナー    「大東亜戦争の真実を求めて」その23
2.奥山篤信コーナー  三木武吉待望論
3.松永太郎コーナー  クレタの日記(3)クノッソスの宮殿 
4.花岡信昭コーナー   政治状況は一転した 
5.桜井裕子コーナー  硫黄島で奮戦した益荒男たちに捧ぐ?
6.西山弘道コーナー  「まさかの解散」
7.有馬尉彰コーナー   情報通信政策の在り方をめぐってー2
8.青葉ひかるコーナー  政権抗争にルールなし
 

☆平河総合戦略研究所 講演会 ご案内
日時 8月21日(日曜日) 午後1時半より4時まで
場所 学士会館(神田錦町) http://www.gakushikaikan.co.jp/ 203号室
会費 一般 3000円 学生 2000円 平河総研特別会員 1000円 
講師 佐藤守  平河総研専務理事 元空将
ブログ http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
テーマ 台湾危機に直面する南西方面の実態…沖縄勤務の体験から
定員 80名 申し込み先着順(info@hirakawa-i.org 宛)☆

☆宮崎正弘講演会の御案内
 名古屋、東海地方にお住まいの読者の皆さんへ
 8月20日、名古屋の熱田神宮主催「熱田神宮文化講座」で宮崎正弘の講演会が行われます
(正味100分、休憩なしで引き続きQ&A)
          記 
  とき    8月20日(土曜日) 午後二時―四時
  ところ   熱田神宮 文化殿講堂 (名鉄神宮前駅が便利です)
         http://www.atsutajingu.or.jp/event/event.htm
    演題    「日本人と中国人(その普遍的価値観の相違)」
  入場無料  どなたでも予約なしで参加できます(定員300名)。
熱田神宮は境内が広大な敷地ですので、会場を上記HPでご確認下さい。
  問い合わせ (052)671−0852 熱田神宮 文化部教化課 ☆

☆西山弘道 CDブック 『スクープ音声が伝えた戦後ニッポン』新潮社 
文化放送報道部 2800円 団塊の世代にとってこれほど懐かしい音声はない!☆
  
☆人権擁護法案という、私たちの人権を危うくする法案を、成立させようという陰謀が
与党野党を問わず渦巻いています。衆議院解散に当たって、郵政民営化法案反対か賛成か
など矮小化した争点に惑わされること無く、政権をとるものがこの法案をどうするか?
選んだ議員がどうするか?熟慮に熟慮を重ね投票すべきです。
なぜならこの法案は私たちの自由な生活を脅かす、まさに暗黒国家法案であるからです。
パトリックヘンリの「自由を、しからずんば死を」を噛みしめよ。

この法案の恐ろしさは下記アニメを御覧ください
http://homepage2.nifty.com/save_our_rights/jinken001.swf  ☆


☆私達は、ブルーリボン運動を断固支持します。日本国民が一丸になっての意思表示、
行動を起こすことが大切です。北朝鮮の金正日総書記や日本政府、そして報道機関
や国外に対しての私達の願いや怒り、救出へのアピールができれば良いと思います。 
拉致被害者と御家族が苦しまれている25年間は、私達の無関心が作った悲劇なの
です。☆

☆花岡信昭のサイト http://www.hanasan.net/
メルマガ政治ジャーナリスト・花岡信昭による分析・考察
http://www.melma.com/mag/68/m00142868/

☆佐藤守のブログ http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/

☆山崎行太郎のサイト http://yamazakikoutarou.gooside.com/

☆青葉ひかるのニコニコプラン2525計画推進協議会に賛同を!
  http://www.2525plan.jp/  ☆ 

☆宮崎正弘の国際ニュース.早読み http://www.melma.com/mag/06/m00045206/
これほど的確でタイムリーなメルマガは驚嘆に値する☆ 

☆クライン孝子さまはドイツにて日本の名誉を守るべく欧州に様々な形で働きかけております。
クライン孝子さまのブログには理不尽な中国に対する憤怒の思いが篭っております。日本の情報
をリアルタイムにキャッチされ、売国奴の群れを叩き斬るご活躍には頭が下がります。
http://www2.diary.ne.jp/user/119209/☆ 

☆一般公開掲示板-BBS-
http://imbbs3.net4u.org/3/sr3_bbss.cgi?cat=10819hirakawa

☆ウェッブサイト< http://www.hirakawa-i.org >
平河総研会員募集中です。
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──────────────────────────・・・・・☆
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A.塚本三郎
これが小泉首相  
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 今回の衆院解散及び政局を語ることは、小泉首相の人物を語ることになる。彼が
その主役であるばかりか、彼だからこそこうなったからだ。

 小泉首相の所属する派閥の、長と自負した森喜朗氏は、解散回避に最後の説得に
赴いた。その帰り際の発言は、「奇人以上の人だ」と呆れ顔であった。

 ことの当否は一般の評論に任せよう。政治は結果責任である。日本の政治を正す。
それを予測判断するのが、政治家の資質と能力である。と云うことは、解散総選挙
の当否と、国家の進路を正せるか否かの主役は、政治家ではなく、国民我々だと言
いたい。

 首相は八日の記者会見で、郵政民営化法案が否決されたことを宗教裁判になぞら
え、「再び選挙で天の声を聞きたい」と言う趣旨の発言をした。「約四百年前、ガ
リレオ・ガリレイは、天動説が信じられていた中で、地球は動くという地動説を発
表して、(宗教裁判)で有罪判決をうけた。その時、ガリレオは『それでも地球は
動く』と言った話は有名である。

 従来の自民党の一部及び野党の体質を、宗教裁判の如き古い体質と言いたかった
ことであろう。だからこそ「古い自民党をぶっ壊す」と言った。

 議会は議論の府であり、提案されている政策は、修正や廃棄は当然あり得る。小
泉首相はそれらを受け容れず、自分の提案が拒否されたから、解散、総選挙に打っ
て出た。

 既に審議の過程で、解散と総選挙をほのめかし続けた。このことは一種の恫喝と
言うこともできる。まさかと思ったのが、森喜朗氏や亀井静香氏であった。この両
人が常識人であったかもしれない。恫喝と言う手法は、ヤクザの良く使う手だが、
ヤクザとて裏取引での言動で、表面で堂々とは言わないものである。

 我が国憲政史上、空前のルール違反といった人もいた。それ程の大事件でも、今
回は、国民もマスコミも小泉首相に対する非難は少ない。

戦に勝って、勝負に負けた亀井氏

 郵政民営化の政策や、国会運営よりも、政敵・小泉に対して天下取りに執念を燃
やしたとみられる亀井氏は、いわば政局観で、郵政の国会採決にすべてをかけた。

亀井氏の執念は異常だった。亀井派の反対が軸となって、他派の同調を伴って衆院
で可決したが少差だった。参院で大量造反となって、予想以上の反対派の勝利とな
った。

小泉首相に対して一矢報いたと微笑んだのみならず、これで小泉退陣、亀井派主流
の新内閣が出来ると考えたからだ。自民党派閥連合の従来のパターンであった。し
かし、小泉は負けを逆手に、解散に打って出たのみならず、反対者には選挙で公認
しないと断言した。

 小泉首相を単なる奇人扱いして、彼の本心を見抜けず、結果、自派内の郵政賛成
派と反対派の溝を深くし、自分の派閥自身の分裂の危機にさらされている。

 自民党と言えば、話し合いと妥協政治、なれ合い政治として、お互い政権にしが
みつく、御身大切な議員の集まりと国民はみており、自民党議員もそれが真の民主
政治と心得ていた。総務会は全会一致の採決が慣例ではないかと、反対派の議員は
多数決を非難した。

 国民は、自民党内のゴタゴタにうんざりしていた。万事話し合いは良い。しかし
その間に、ことの本筋も信念も、理念さえも逸脱して、政権党であり続ければ良い
という権力集団であると読み取ってきた。

 小泉首相は、従来とは全く異なった手法で、自らの主張を一本筋で貫かんとする
から、逆に党内から独裁者とまで評された。

 それが良い、それを待ち望んでいた、と受け止めたのが今回の解散劇である。理
念からも、政策からも、まして、民主的ルールから言っても、今までの常識から逸
脱した今回の解散劇を、過半数の国民が支持した。そして

 従来の野党の反対一辺倒で、対案を用意出来ない無責任と、対する自民党のそれ
以上に万事妥協で、政治を取引の具にし続けた与党、とみて来た国民の眼には、小
泉の一途な主張と手法に拍手を送った。政治に対して或る意味で、国民の希望の方
向を示したようだ。


郵政の民営化は、日本の改革にとっての中心課題である国鉄、電々公社に次ぐ当面
の最大課題と小泉首相が採り上げたことは正しい。しかし、郵政は国鉄・電々と異
なって利権がらみや赤字企業ではないから、時間をかけて進める必要があった。

 郵便局の存在は、各地域と密接に繋がっている。まして地方の有力者が局長とな
っているし、自民党支持団体で最大の党員組織(大樹会)でもある。ゆえにその意
向を十分に解きほぐしながらの改革を進める必要があった。

 官と民の在り方と共に、三百五十兆円の巨大な資金を、活用できる展望を地道に
指示しなければ危惧される。当面は問題ないが、やがて行き詰まる。

三百五十兆円もの、巨大な郵便貯金と、簡易保険の金が、族議員、官庁、特殊法人
などの形成する、既得権益を支えて来た。この巨大資金を、市場のメカニズムの外
において経済の活性化を阻害して来た。また財政の規律を大きく歪めて来たことは
重大である。歴代内閣が、これに手をつけなかった。

これを公約とした小泉総理は、やがて郵政は行き詰まる。郵政局関係内にも「都会
と農村」、労組にも「全逓と全郵政」という異質が混在する。小泉首相はそれらを、
性急に自分の在任中にと焦るが故に、郵政に生きて来た者すべてを、表面的には敵
に廻す結果となり、その勢力が野党のみならず、自民党の中でも反対勢力を造り出
してしまった。改革者の宿命と言うべきか。

 小泉首相の就任の発言「自民党をぶっこわして」と言うのは、大衆には、当時耳
ざわりの良い言葉に聞こえた。しかし永年自民党内で生きて来、働いて来た人達に
とっては、気持ち良いはずはない。にもかかわらず、その発言が大衆の人気を掴ん
でいたから、選挙に生きる所属党議員にとっては、その人気にあやかるため、心な
らずも政策としての郵政の民営化にも、さほど抵抗しなかった。

 小泉首相にとっては、大衆の支持を得ていることに自信を深め、即、郵政民営化
は、大衆の支持を受けているという結論から、党内における強引な手法、そして国
会での審議と成立へと一気に推し進めた。

 自民党は、派閥連合政党である。小泉首相はその派閥の組織力を軽視し続けたこ
とは、組閣に当たって各大臣の入閣を、派閥毎に推薦していた経緯を無視した。こ
れを一本釣りと云う。

 また派閥も、その幹部が政治献金の集金能力によって実力を示してきた過去と比
べて、政党助成金の大量投入と引き換えに、政治献金を殆んど法律で禁止した状態
になった。

 このことは、派閥の長の力を封じ込めた。よって各派閥は統率力を失いつつある。

 改革は、何ものをも恐れず、信念を貫き通すところに、指導者としての資質が認
められる。敵を恐れない「殺されても良い。」そんな偏狭な政治的発言が、大きな
指導者待望の国民の眼には、漸くにして、らしき政治家が出現したとの期待に繋が
っている。

 政局は大混乱を予想されている。マスコミはその混乱の数々(経済不安・政局流
動化)を予測している。それにもかかわらず、株価はどんどん上昇している。

 解散総選挙への折り込み済みだけでは、想定できない上昇である。

小泉さんはスゴイですねの声まで証券業界から聞こえてくる。

某新聞は小泉首相を織田信長にたとえた。ドングリの背比べと評された永田町で、
久しぶりにみるスカッとした振舞いであるからだろう。否決当日即解散、そして即
日総選挙設定、まして反対者は公認しない。その上、追い討ちをかけ、対立候補を
ぶつけて倒すと宣言した。昨日迄の永年の同志であったのに。

刺客を放ったとの表現もみられる。政治は非情だということを実行で示した。

野党及び党内の反対派をものともせず、桶狭間の奇襲か、あるいは比叡山を焼いた
如く世俗の権威何するものぞ、妨害し死を恐れないならば、殺して極楽浄土に送っ
てやる。我こそ仏に代わって征伐してみせる。日本を統一するのに邪魔な世俗の権
威など壊してみせる。そのすさまじい気迫の信長に似た姿は、取り巻きの執行部は、
唯々使い走りに飛び回るだけである。

選挙に敗れれば退陣すると宣言した、殺されても良いと言い切った男の結論でもあ
る。大事業(郵政民営化)を前に、身内によって倒される本能寺の変となるやもし
れない。

手段、方法、時期等々、処方箋は幾らもあろう、しかし、大業は細かい処よりも、
日本の置かれた大改革の宿命は、此の人物に委ねるべきだと言う声が大きく浮上し
て来るようだ。

さてさて、次の一手はどうする。即ち靖国神社への参拝に、国内はもとより、近隣
諸国からの注目も大きい。

特に中国の対応は、際立っている。

北京には、人民英雄記念碑がある。(無宗教)。中国共産党のために戦った人を「人
民の英雄」として讃える碑である。その中には、日本人や朝鮮人などの外国人を殺
した人も沢山含まれている。同様の施設は中国各地にあり、愛国心を養うために学
校や、いろいろな団体が参拝に行く。

かつて周恩来も日本に留学していた時、靖国神社の「大祭」を見たことがある。以
前は参拝したとの記事だった。

中国は、小泉首相が八月十五日に参拝されるか否かを、注視している。表向きは中
止を強要している。国民の不満を抑えきれない、と理由づけしている。

中国通の言は、本音では参拝してほしい、そうすれば、日本を批判する材料ができ、
さまざまの不満をもつ国民の眼を日本に向けることができるから。

政治家は約束を守らない、嘘を言う。すぐ妥協する。すべてが、政権欲、保身のか
たまりと、卑下されているその時、清潔な男、約束を守り信念を貫く男、それが小
泉首相だと今回の解散劇に大部分の国民は拍手を送った。さて、次の一手をどうす
るか、国運がかかっているとも言うべきだ。

塚本三郎;元衆議院議員 元民社党委員長
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B.植草一秀 
  郵政法案を巡って  
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 小泉政権に迎合する傾向を強めているマスコミは、テレビ番組、新聞などの公共の媒
体を通じて、郵政民営化法案可決の世論誘導を色濃く展開してた。本来メディアは、社
会の木鐸として、国民に問題の論点を整理して提示し、意見が二つに分かれている問題
であれば、二つの異なる意見を偏りなく十分に紹介し、国民が正しく判断を下せるため
の情報提供に努めるべきである。ところが、現実には、小泉政権の主張に賛成する論者
ばかりをメディアに登場させ、小泉政権支援の主張が広範に流布されている。

 日本が第二次世界大戦を遂行していたとき、マスコミは同様に政府の行動を全面的に
支援し、世論の誘導に大きな力を発揮した。しかしながら、戦後になり、そのような権
力迎合の報道姿勢が正しくなかったことを認識し、メディアとしての本来の役割を果た
すことの重要性を認識してきたはずである。だが、現実には、現在の日本の報道機関の
多くが極めて強い権力迎合の姿勢を示している。

 複数の意見が存在するときに、その複数の異なる意見をしっかりと紹介し、問題を掘
り下げることをメディアが行なわなければ、国は針路を誤ってしまいかねない。国民の
多くはマスコミを通じて情報を得ている。そのマスコミが偏向した情報ばかりを流布し
たのでは、国民が正しい判断を下すことは極めて難しくなる。

 小泉政権は政権発足当初から、マスコミ対策に多大のエネルギーを投入してきた。そ
の結果として、多くの代表的メディアが権力迎合的な傾向を強めている。小泉政権の方
針に反対意見を唱える者を『抵抗勢力』と表現すれば、十分な判断材料を持たない国民
は、その人たちを『悪い勢力』と思ってしまう。小泉政権の主張が間違っているなら、
これらの人々は『レジスタンス(抵抗=ナチス・ドイツの圧政に対抗し、自由と解放を
求めて闘った運動)』と呼ばれるべきである。

 日本はいま、『民主主義の危機』に直面している。権力に対抗する意見を述べること
が憚られる空気が世を支配し、マスコミ報道が権力による統制下に置かれる。本来、行
政府をつかさどる政権とは独立していなければならないはずの司法権力までもが、政治
権力の傘下に置かれてしまっている。

多くの国会議員が、その身分の維持のために、已むに已まれず、自らの良心に基づく
本来の主張と異なる意思表示をせざるを得なかった。自民党内の党内民主主義は破綻
していると言わざるをえない。党内民主主義を十分に機能させない手法を用いる政党
党首により支配される政権は非常に危険である。日本国憲法は日本が民主主義国家で
あることを定めているが、行政権の頂点に立つ人物が民主主義を踏みにじる手法を多
用するなら、民主主義は危機に直面する。

さて郵政民営化方針の問題点は以下の三点である。第一は、この政策が『弱者切り捨
てのフィロソフィー』に裏打ちされていること。第二は、この政策が、米国の利益と
指令に基づいて実行されていること。第三は、この政策により、「真の改革」は闇に
葬られ実現しなくなる可能性が高くなることだ。

 小泉政権の最大の問題は、『弱者切り捨てのフィロソフィー』にある。地方議員を中
心に郵政民営化に反対する国会議員の多くは、不採算地域にある特定郵便局ネットワー
クが将来消滅してしまうことを真剣に危惧している。効率は大事だが、すべてを効率だ
けで決めることは間違いである。

中山間地に暮らす国民にとって、特定郵便局ネットワークは、かけがえのない存在で
ある。本誌前号に記述したように、地方公共団体の行政経費を大幅に削減するために、
将来、大胆な地方公共団体の統合を実現する際、中山間地に暮らす国民に対する行政
サービスを提供する機関として、その重要な役割が強く再認識される可能性が最も高
いのが、特定郵便局ネットワークである。

郵政事業が民営化され、外国資本の手に渡れば、郵政事業のかけがえのない資産が、
あくなき利益追求の具に堕してしまうことは明白である。不採算地域の特定郵便局は
いずれ消滅することになる。中山間地における行政事務代行機関が消滅すれば、地方
公共団体の大胆な整理統合という、「改革の本丸」と呼ぶべき施策を実行することは
極めて難しくなってしまう。

経済政策運営において、「効率の向上」は重要なテーマである。規制撤廃も、競争政
策の強化も、科学技術の振興も、すべて重要である。しかし、一方で忘れてならない
のは、「弱者保護のフィロソフィー」である。「効率の追求」と「弱者保護」は車輪
の両輪である。実体上の若年失業率が10%を超え、自殺者がコンスタントに年間3
万人を突破し、自己破産が年間20万件を超えているなかで、小泉政権が景気回復促
進を重要課題として位置付けないのも『弱者切り捨てのフィロソフィー』の表われで
ある。

政治の対立軸になりうるのは、『弱者切り捨て』を是とするのか非とするのかである。
多くの人が「効率の追求」には賛成するが、『弱者切り捨て』については、意見が分
かれる。小泉政権の基本フィロソフィーが『弱者切り捨て』にあることを踏まえて、
『弱者切り捨て』反対の視点から郵政民営化法案を評価する必要がある。

第二の側面は、郵政民営化が米国の強い要請と指令によって促進されているという事
実だ。最近知られるようになってきたが、米国は毎年10月に日本政府に対して、「露
骨な内政干渉の指令書」とも言える『年次規制改革要望書』なる文書を突きつけてい
る。2003年、2004年と、その最大の柱に位置付けられてきたのが郵政民営化
である。制度変更の詳細について、米国は指令を出しており、小泉政権は米国のこの
完全なる内政干渉に従順に従っている。

小泉政権に対する米国の評価が高いのは、小泉政権が米国政府の要求をほぼ完全に満
たす方向で行動しているからである。ある新聞のコラムに「小泉政権の評価が米国で
は高い」との記事が掲載されていたが、この状況を踏まえれば当然のことである。問
題は、米国の利益増大をもたらす行動が、日本国民の利益を損なうケースが多いこと
である。

小泉政権は政権発足後の2年間で日本の株価を半値に暴落させた。史上空前の株価暴
落をもたらした。不動産価格も同様に暴落した。暴落した価格水準で激しい勢いで資
産取得を進めているのが外国資本である。ほとんどの日本企業は金融的体力が極度に
疲弊し、資産取得など実行できない。米国では、1990年以降、株価が4.5倍の
水準に暴騰したから、金融的体力が史上空前の高水準にある。このなかで、日本政府
は政府系金融機関が支援してまで、外国資本の日本資産取得を促進している。

日本の優良な実物資産の所有権が、買い手にとって圧倒的に有利な条件で外国資本の
手に引き渡されているのである。日本の植民地化に日本政府が全面協力しているので
ある。これでは、日本国民に対する背任行為になってしまう。

日本政府は、日本国民の利益を第一に重視して行動するべき存在である。メディアが
こうした事実を正確に伝えるならば、国民は、事態を是正しなければならないと気付
くはずである。しかし、メディアがこうした重大な事実をまったく伝えない。国民の
知らない間に国益が著しく損なわれているのである。

第三の側面は、郵政民営化法案が可決されれば、日本の「真の改革」は大幅に遅れる
可能性が高いことだ。メディアは逆のことを伝える。「「真の改革」を進める第一歩
として郵政民営化法案を可決させるべき」と。これは本質を見抜く洞察力を欠いた見
解である。詳細は本誌前号に記述したので繰り返しは避けるが、改革すべき本当の対
象は特殊法人、公益法人である。77存在した特殊法人、26,000も存在する公
益法人こそ、「改革の本丸」である。 

郵政事業などは、内容をしっかり見直した上で、政府が担当するべき分野を限定した
上で、厳しい監視が行き届く、純粋公的部門として国会の監視下に置くべきである。
ブラックホールのような公的部門の活動の中では、郵政事業はかなり透明性の高い事
業である。しかも、小泉政権の郵政民営化の内容は非常に不透明だ。外国資本にとっ
てうまみの多い制度変更になることははっきりしているが、国民にとって利益をもた
らすとはほとんど考えられない。

郵政民営化が実現すれば、「真の改革」が闇に葬られることは間違いない。本当の改
革とは、「郵政民営化」ではなく「天下りの廃止」である。「天下り」こそ膨大な公
的部門の無駄を生んでいる源なのである。小泉政権は「郵政民営化」とは言うが、「天
下り廃止」を決して言わない。

小泉政権が仮に持続する場合、「真の改革」を実行する意思があるかどうかを判定で
きる、客観的で決定的な証拠が近く示されることになる。それは、財務省所管の政府
系金融機関の民営化論議に際しての「天下り」問題である。財務省所管の民営化会社
には「日本たばこ産業株式会社」もある。小泉政権がもし「真の改革」を実行する意
志があるなら、「天下り廃止」を決定するはずである。「真の改革」を実行する意志
がないなら、天下り制度は温存される。ここに本質が誰の目にもはっきりと明示され
る。

小泉政権が「改革」と表現してきたものは「まやかし」に過ぎない。「真の改革」を
実行する考えは、当初より皆無であったと考えられる。もしも、小泉政権が「天下り
を全廃」し、「特殊法人、公益法人の全面的な整理・統合」を実行するなら、筆者は
自分の見方が間違っていたことを全面的に認め、小泉政権の政策全面支持にスタンス
を修正する。だが、もし小泉政権がこの点に踏み込まぬのなら、小泉政権の政策は、
やはり「改革」とは「似て非なるもの」ということになる。小泉政権が進めてきたこ
とは、単に、旧田中派の力の拠りどころを破壊する一方で、小泉首相の力の拠りどこ
ろである財務省の権力、利権を増大させることでしかなかったことになる。

この本質を洞察することが重要なのである。財務省への過度の権力の集中が過去30
年間の日本経済混乱の主因である。1996年から2005年までの10年間の日本
経済混迷持続の最大の要因は、大蔵省が主導した1997年の「日本経済撃墜の政策」
(=史上空前の大増税政策)にある。日本経済を撃墜した元凶である財務省への
過度の権力集中促進が、小泉政権の政策の基本である。「国民本位の改革」とはまっ
たく逆を向いた施策である。

残念ながら、正論を大声で主張しにくい「空気」が日本を支配している。正論の主張
には大きなリスクが付きまとう。この危険極まりない「空気」を打破しなければ、日
本全体が非常に危険な状況に追い込まれてゆく可能性が高い。
(氏の了解を得て会員制レポート「金利為替株価特報」からの転載)

植草一秀;東京都生まれ 東京大学経済学部卒 野村総合研究所、京都大学助教授、
早稲田大学教授を経て現在スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長 
公式サイトhttp://www.uekusa-tri.co.jp/profile/index.html
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1.佐藤守コーナー
 「大東亜戦争の真実を求めて」 その23
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こうして「関特演」・・・対ソ戦備を強化する関東軍特別演習は、7月上旬から動員
が開始された。その規模は、関東軍の12個師団および2個飛行集団を、4個軍お
よび1個航空兵団に改組、それに朝鮮軍2個師団の戦時定員に不足する分の人馬を
補充すると共に、朝鮮には留守師団を作り、更に内地にある第51,57師団、およ
び軍直轄の約200個隊を動員してこれを関東軍に増派した。その他に、満州国内防
衛強化のため、独立守備隊5個を編合した関東防衛軍を新設するという壮大なもの
であった。この日本陸軍創設以来始めての大規模な動員は7月上旬から中旬にかけ
て順次発令され、7月下旬から9月にかけて応召した軍人・馬、動員された部隊は
鉄道や船舶を最大限に活用して満州、朝鮮に送られたのである。集結完了時点での
関東軍の総兵力は、人員約70万、馬匹約14万、航空機約600機という大軍団に膨
れ上がっていた。この当時の極東ソ連軍の兵力は約30個師団、戦車約2300両、航
空機約1700機と見積もられていたから、一時的にせよ互角以上の態勢が整備され
たことになる。蛇足だが、「関東軍」といえば帝国陸軍を代表する“巨大な戦力”で
あったかの様に喧伝されているが、それは多分にこの時の“膨れ上がった”戦力が
「基準」にされているように思われる。

関特演の企図は勿論機密であったが、近衛内閣に食い込んでいた尾崎秀実、ゾル
ゲは「日本が南進すること」を十分承知しており、情報はソ連赤軍第4部に当然届
いていた。しかし、独ソ開戦直後であったにもかかわらず、ソ連軍の西方への「大
移動」の兆候はなかった。これは疑い深いスターリンがゾルゲの情報など一顧だに
していなかったからか、或いは知っていたにせよ、その企図を秘匿し状況を見るた
めに直ちに軍を移動するのを抑えたからかも知れない。

このような「全局が見えない」支離滅裂な軍事演習が計画されたのは、陸軍内部
に在満・朝鮮兵力約16個師団を基準として、徹底した「熟し柿主義」を取ろうする
「陸軍省」と、所要に応じて中国や内地から満州に兵力を集中し、23個師団基準で
一気に「北方問題」を解決せんとする「参謀本部」との対立があったからだが、そ
れ以上に、統帥部に一貫した戦略がなかったことが最大の原因であったろう。

もう一度7月2日の御前会議における「情勢の推移に伴う帝国国策要綱」を振り
返って見よう。近衛首相は御前で次のように説明している。

「・・・帝国としては大東亜共栄圏建設のためには依然として当面の支那事変処理
に邁進するを要すること当然でありますが、更に自存自衛の基礎を確立するため、
南方進出の歩を進むる一方、北辺における憂患を芟除せんがため世界情勢特に独ソ
戦の推移に応じ、適時北方問題を解決することは、帝国国防上は勿論東亜全局の安
定上極めて肝要であると存ずるのであります・・・」

つまり、この国策要綱は?中国側から仕掛けられて「遂行中」のシナ事変は、い
つの間にか大東亜共栄圏建設のための「シナ事変処理」に変化し、?米国などから
締め上げられたため急遽「計画中」の南方資源確保作戦は自存自衛のための「南方
進出」作戦に変化し、?降って湧いた独ソ戦の結果、諦めかけた「北方問題解決」
も急遽「適時準備する」こととされ、この三つを同時並行的に解決しようという虫
の良い総花的な案であった。

この様に、統帥部の指導力が極めて弱かったために、軍内の強硬派と慎重派が対
立し、強硬に対ソ開戦論を説く松岡外相を含む強硬派に迎合した「妥協の産物」と
して、「関特演」が計画されたのではなかろうか?

海軍もこの御前会議の決定に基づいて、7月5日に第5艦隊を編成して、対ソ作
戦に備えることになったのだが、「大東亜戦争全史」には、これら一連の動きは、「戦
争決意なき作戦準備」であったと書かれている。第一、自国の経済力を勘案する事
無く、間もなく厳寒期を迎える満州の地で所要の作戦が成果を挙げる予測も立たな
いまま、陸軍創設以来という大兵力と、それに伴う作戦資材を北方に集中させた指
導部の考えは全く理解に苦しむ。

ところが8月2日夕刻、東部国境方面のソ連軍が「無線封止」を実施中であるこ
とが判明し、大本営陸軍部は極度の緊張に包まれる。これをソ連軍の対日侵攻の兆
候と捕らえ、万一の際の応戦はやむを得ないにしても、強硬派による全面的な日ソ
開戦に至らないようにしなければならない。

ここに至って海軍は陸軍から北方へ引きずられることを極度に警戒し始めるが、
幸いにしてソ満国境に異変は起きなかった。

8月9日、大本営陸軍部は昭和16年度内の北方解決企図を断念、南方作戦に専念
することを決意し、次を骨子とする「帝国陸軍作戦要領」を決定する。

? 在満鮮16個師団をもって対ソ警戒を至厳ならしめる。
? 中国に対し既定の作戦を続行する。
? 南方に対しては11月末を目標として対英米戦準備を促進する。
 その後「関特演」準備のためにこの方面に集積された膨大な作戦資材は、同じ年
の暮れに作戦が開始された南方戦域および内地に数次に分けて転送されたが、驚い
たことに終戦時に至っても、この時集積した資材全量の約半分が現地に残されてい
たのであった。太平洋戦域の各地では燃料、弾薬、糧食の補給が続かず、将兵達は
生き地獄の中での激戦を余儀なくされたのだが、それには関特演の後遺症が大きく
影響した結果であったということが出来よう。

風雲急を告げるこの時期に、このような目的無き「演習」に貴重な人(兵員)、
物(戦略物資)、金(国家予算)を浪費する必要があったのだろうか?

「驚くべき壮大な無駄」を実施し、大東亜戦争全体の作戦計画を狂わせた統帥部
の責任者達こそ、我国に敗戦をもたらした「戦犯」として日本人の手で裁かれるべ
きだと私は思う。                       (続く)

佐藤守:
防衛大航空工学科卒(第7期生)。
航空自衛隊に入隊
戦闘機パイロット(総飛行時間3800時間).
外務省国連局軍縮室に出向。三沢・松島基地司令、
南西航空混成団司令(沖縄)を歴任.平成9年退官.
岡崎研究所特別研究員.軍事評論家.
日本文化チャンネル「桜」軍事コメンテーター.
著書に「国際軍事関係論」
ブログ;http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
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2.奥山篤信コーナー
 三木武吉待望論
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郵政法案を巡る大義無き解散、結果としての新政権の如何によっては日本溶解への
リスクを含むものであり、今この時期に、三木武吉がいたらとの思いを篭めて、
ここに三木鎮魂歌を捧げることとした。

メルマガ9号にて西山弘道氏『策士のいない自民党の悲劇』が三木武吉について「戦
後の保守政治で「策士」と挙げられるのは何といっても三木武吉であろう。自由党
と民主党による保守合同を成らしめ、55年体制をつくった。三木の凄さは、この
保守合同に文字通り心血を注ぎ、その一年後には、世を去ったことである。「策士」
というより「国士」であった。」と評している。

最近「誠心誠意、嘘をつく 著者 水木陽 日本経済新聞社」を読んだ。この書は
三木の波乱に富んだ政治人生を、痛快に描いている。まさに読み出したら止められ
ない面白さであり、西山氏が言う通リ、三木は策士であるとともに、真摯に日本の
将来を見つめる国士であったことが読み取れる。まず頭の整理として三木の戦後の
真骨頂を振り返ってみよう。ウェッブサイトに良く纏まったものがあったので引用
させて頂く。
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戦時中は翼賛選挙を非推薦で当選し続けた数少ない生粋の党人。戦後、鳩山一郎
と共に日本自由党を結党し、総選挙で第一党となる。だが、鳩山首班での組閣直前
に鳩山は公職追放。吉田茂を総裁に迎え、首班指名に臨むことになる。総務会長だ
った三木は、党内が吉田首班でまとまらないために、吉田に見切り発車による首班
指名を勧め、一方で総務会では吉田が党を無視した行動に出たことを初めて知った
ように非難しつつも、「吉田が既成事実を作り上げてしまった以上、もはや吉田以
外の自由党政権はあり得ない。ここで吉田内閣を流産させれば、GHQは社会党政
権を指示するかもしれん。ここは怒りをこらえて、吉田首班を是とする他はあるま
い」と、反対論を封じ込め、とにもかくにも吉田政権を成立させた。

 その後、三木自身も追放され、講和直前まで政治活動を封じられる。追放解除後、
三木は鳩山派の参謀格として、鳩山政権の成立に尽力する。まず、石田博英ら自由
党内の反吉田勢力と結び、吉田の幹事長人事を潰し、起死回生の解散・総選挙に追
い込む。鳩山派幹部の石橋湛山、河野一郎らが除名されての抜き打ち解散で鳩山派
の議席は減じたものの、自由党自体の勢力が後退したために、政局のキャスティン
グボードを握り、吉田首班に協力する代わりに、石橋らの除名解除など鳩山派の主
張を要求。首班指名後、吉田が約束を反故にすると見るや、池田勇人通産相の不信
任案に同調(欠席)して存在感を誇示した。その後、吉田は石橋、河野両名の除名
を取り消し、三木を総務会長とした。

 吉田の「バカヤロー」発言に対して右派社会党の浅沼稲次郎に懲罰動議提出を提
案、改進党の諸派や吉田傍系の広川弘禅らへも根回しをし、懲罰動議、続いて不信
任案を可決させる。この際、鳩山派は自由党を離れて分派自由党を結成。選挙後、
鳩山らは吉田に請われて自由党へ復党するが、三木、河野ら「八人の侍」は「日本
自由党」として孤塁を守る。その後、保守系反吉田陣営の合同による新党結成を模
索。新党結成に際して、改進党系が絶対多数となっては新党の総裁に改進党の重光
葵がつくことになると、早くから岸信介を勧誘。日本自由党、鳩山派、岸派、改進
党の合流により、日本民主党を結成。吉田内閣不信任案を提出し、可決。後継政権
として鳩山政権を成立させた。

 鳩山政権は少数与党であったため、政権基盤強化のために自由党との合同を狙う。
「合同協議の妨げになるのなら、鳩山内閣は潰しても構わない」という談話を発表
し、物議を醸す。自由党の緒方竹虎総裁、大野伴睦総務会長らと交渉のテーブルに
つき、自由党が合同を党議として確定した頃合いを見計らって、「初代総裁は鳩山
で行きたい」と主張。緒方、大野らは話が違うと息巻いたが、党内で合同路線を主
導してきた手前、ここで破談にするわけにも行かず、妥協案として「総裁なし、鳩
山、緒方、三木、大野の代行委員で」行くことになった。自由民主党の成立である。
これを、保守合同と呼ぶ。(満腹亭氏のサイト「伝」より引用)
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

要約すれば、三木は徹頭徹尾吉田を失墜させること、鳩山を担ぐことに全精力を注
ぎ、最後は、国士として国際共産主義の脅威の下に保守合同をやりとげたことだ。
其の為にはありとあらゆる策を弄した。それを可能にしたのは芸術の域に達する三
木の生身の人間への洞察力であった。

三木武吉は四国の高松の生まれ、三木家は松平藩の藩儒の家柄だったが、武吉が生
まれた頃は三木家は没落し、生活はかなり困窮していた。武吉は数え6歳で漢学塾
に通い四書五経を学んだ。その人生遍歴はこの書に詳しくでているが、退学、療養、
など繰り返し、同志社を経て東京専門学校を卒業、苦学猛勉強の末弁護士の資格も
とる。それでも飽きたらず、生来の政治への血が騒ぎ、政治の世界に入る。この挫
折と再起の繰り返しこそ、三木の人生そのものであり、上記の活躍においても、す
でに癌が進行しており、保守合同の修羅場に於いては、癌の末期症状の黄疸状態で
あったという。不倶戴天の政敵大野伴睦と劇的な「手打ち」をするのだが、大野は
「僕は生きている神というものをみたことはないが、なくなる前の数年の三木君の
姿こそは、正しく神であり仏であったといえよう」と記している。

三木を見るとき、その病弱を超越した原動力は幼い時からの四書五経など漢籍の教
養と何事にあっても投げない不撓不屈の精神であった。癌の末期症状においては通
常人間は意欲も減退するものだが、三木は違った。一切の私利私欲がない国を憂う
る高邁な理念だけが、彼を病魔から支えたのだ。

三木は、知,徳、気力を兼ね備えた、まさに稀有のエリート中のエリートの素質を
備えていたことだ。それ以後の政治家には三木のような策士であり国士はいない。
単に私利私欲のブローカに過ぎないところに日本政治の閉塞がある。金丸信、野中
広務、古賀誠いずれをみても然り。概ね政治家として基礎的であるべき人間として
の教養に疑問を感じることだ。権力と金で有象無象の代議士を脅しすかしているに
過ぎず、そこには全く国益という国を思う真心が欠如していることだ。小沢一郎と
て、そこまで露骨ではないにしろ、政局ごっこという「お山の大将」的幼児性だけ
が見えるのである。如何に高尚な政治理念を振りまいても、小沢は嫉妬心から来る、
潰し屋としか映らないのだ。

現在、日本は危機的状況にある。どの有望といわれる政治家をとっても、真の議会
政治として、政治家を束ねる知恵と教養と胆力に欠けている様に見える。小泉政権
の暴走の病理はまさにここにあると思う。マックスウェーバーの言う「職業として
の政治家」的なサラリーマン根性=選挙当選至上主義だけの青白き議員かあるいは
鉄の統制のイエスマンとしてのロボット議員しか見えてこないのである。酒を飲め
ばセクハラ、苛められたら自殺、なんとか弱い繊細な人間が、最もタフさと使命感
を必要とする「政治家」と言われているのか!ましてや、三木のような策士を演じ
ることのできる政治家は皆無である。ここに日本の政治が三流と言われる所以があ
る。

無論、三木の時代の政治そのものは時代の流れに沿って変化しているのは事実だ。
三木の手練手管がそのまま現在に通用するわけは無い。しかし三木の目指すものは
決して、単に数合わせの野合政治では無かったことを、銘記すべきであろう。

これから日本は真の保守の育成とその再編成が鍵であり、その際必要なのは、あの
三木のように日本の将来を見据えた、清濁併せ持つ策士であり国士の登場だ。それ
なしでは日本の政治はさらに混迷を続けることだろう。そして高笑いするのは日本
の取り巻く周辺敵性国家であることだけは確かである。

奥山篤信:
昭和45年京都大学工学部建築学科卒
昭和47年東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
一貫して海外畑 
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社 
コンサルタント会社ストラテジーズ設立 
勉強会『平河サロン』主宰
平河総合戦略研究所代表理事
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3.松永太郎コーナー
 クレタの日記(3)クノッソスの宮殿
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 クレタの首都、ヘラクリオンから、埃っぽい道をバスで10分ほど行くと、
クノッソスの宮殿の遺跡がある。1900年、アーサー・エヴァンス卿によ
って「発見」された。すでにトロイやミケーネの遺跡を発見していたシュリ
ーマンは、ここにも目をつけていたが、そこの地主から、自分にとっては何
の価値もない糸杉だかを買えと言われて、腹を立てて取引を打ち切り、かく
して「世紀の大発見」を逃してしまった。
 いずれにしろ、強烈な日差しが照りつける、このクノッソスの遺跡を歩い
ていて気が付くことは、案内板に書いてあることがみな創作だ、ということ
である。アーサー・エヴァンス卿が、こうだろうと思い込んだことが書かれ
てあるにすぎない。ここは宮殿だったと書いてある。宮殿にしては、一つ一
つの部屋が恐ろしく小さい。こんなところにお妃様を閉じ込めたら、すぐ逃
げ出すだろう。海外からの使節をもてなした、という部屋の大きさは、どう
見ても、日本で言えば、大名屋敷の控えの間ぐらいである。
 いったい、ここはなんだったのか。まだ誰もその謎を解き明かしてはいな
い。
 かつて、ここは神話の舞台であった。この宮殿の中の迷宮(ラビリンス)
にミノタウロスという怪物の牛が住んでいて、それに生け贄の男女をささげ
なければならない。英雄テーセウスが、その怪物を退治しようとして、アリ
アドネというお姫様に入り口で糸を持たせ、迷宮のなかに入り、ミノタウロ
スを殺した。そして帰りは、糸をたどって無事、外へ出た、という誰もがご
存知の神話である(テーセウスは、その後、アリアドネをナクソス島に置き
去りにした、というからひどい奴もあったものである)。
 ヘラクリオンには、クノッソスの出土を集めた博物館があるが、そこを見
ると、牛だらけである。そして大きな両刀の斧がある。この斧をラビレスと
いう。
 かつてクレタは女神が支配していた。牛は、その女神と交わる牡牛の王で
ある。ラビレスとは、女神と交わった牛を殺す斧である。
 人類史が始まって以来、長い間、世界には、女神しかいなかった。女神の
時代は長く続き、男の神が出現したのは、人類史から見れば最近のことであ
る。  しかし女神に対する崇拝が絶えることはなかった。キリスト教にお
いては、マリアに対する信仰として復活した。ギリシャやイタリアなどの国々
では、イエスよりはマリアに対する信仰が強い。
 テーセウスの神話は、男の神が出現した時期に作られたものだろう。フェ
ミニストは、女(母)権性から男(父)権性への転換ととらえるだろうが、
私は別のことを考える。
 今の日本のフェミニズムは、現世において、男と同じことをやりたいとい
う近代主義の産物である。女神の時代でいえば、神に近い女性を、牛の位置
に落とそうというのである。
 小さな自己よりは高いものが見えない現代人にとっては、現世がすべてで
ある。それはすべての差異を差別ととらえて、おしつぶすフラットランドの
世界である。大沢真理東大教授は、自分が男だか女だかわからないと述べて
いる。 今の日本のフェミニストが望むのは、このような遠近無差別黒白平
等の灰色の世界である。そこには英雄はおろか女神すらいない。女神を本当
に殺したのは、男の神ではない。小さな自己を神の位置に祭り上げた近代主
義と、そこから派生したイデオロギーなのである。

松永 太郎;
東京都出身 
翻訳家、多摩美術大学講師、レモン画翠社長
主訳書「進化の構造」「イカロスの飛行」他。
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4.花岡信昭コーナー
 政治状況は一転した
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 政治というのはおもしろいものだ、などといったら顰蹙を買うのは必至だが、郵
政民営化法案をめぐる攻防戦は近年にないすさまじい展開となった。追い込まれた
はずの小泉首相が土壇場で逆転ホームランを打ったのである。

 衆院で37人(ほかに退席・棄権が14人)の反対者が出て5票差で可決という薄
氷を踏む結果となり、参院では反対22人(退席・棄権8人)により17票差で否決
された。

 これで大方は小泉首相の負けと見たのではなかったか。だが、そこからが「小泉
流」の真骨頂であった。「廃案なら衆院解散」という言明通り、一気に突っ走ったの
である。衆参の議決が異なった場合、両院協議会を開くといった手はあるのだが、
歯牙にもかけなかった。内閣総辞職が常道という声にも耳を貸さなかった。

 かくして衆院解散が一気に決まる。「反対投票の37人は非公認」という決断もす
ばやかった。すべて、否決後のシナリオを想定していたのであろう。

 かくして、「改革派の旗手・小泉」のイメージがよみがえった。各メディアの世論
調査では支持率が急激にアップ、衆院解散を支持する声も大勢だ。

 反対派は完全に読み違えたといっていい。参院で衆院解散に結びつくようなこと
ができるわけがないと踏んでいたのである。かくいう筆者もその一人であって、「良
識の府」参院は政局と距離をおくのが当然の姿とばかり思っていた。だが、参院は
かつての参院ではない。権威も良識もかなぐり捨てた存在に成り下がっていたので
ある。衆院落選者が参院へくら替えするといったことも多かったから、昔のような
政局攻防から離れて泰然とした大物タイプが極端に減ったのであろう。

 郵政法案反対を小泉政権崩壊、いわゆる「倒閣」と結びつけるというのは、政治
の世界ではよくあることで、それ自体は怪しむものではない。ここまでの局面では、
反対派はその攻防に負けたのである。

 造反37人の選挙区には対立候補を立てるという。すでにいくつか大物議員のく
ら替え出馬計画が進行中だ。小泉首相はきわめてたくみに「改革派vs守旧派」と
いう構図をつくりあげてしまった。かつて、小沢一郎氏らが自民党を離党したさい
の構図と似ている。

 特定郵便局長会は完全な旧来型権益保持集団として位置づけられるに至った。郵
政改革を先取りできなかったのだから、それもやむをえまい。イメージ戦に完敗し
たのである。

 こうなると、「自民分裂選挙で民主有利」などと単純に考えていてはいられない。
自民党は非公認守旧派候補に清新な若手公認候補を続々とぶつけてくるだろう。民
主党から出てもおかしくないようなタイプが大量に用意されているという。安倍晋
三幹事長代理が進めてきた候補の公募方式の産物である。

 民主党は「敵失頼み」「風任せ」体質から抜け切れていない。今回は最高の「敵失」
と踏んで、いよいよ政権獲得だと威勢がいいが、若々しい自民党公認候補が出れば、
民主党に流れていた票も奪われかねないのである。そのことにどれだけ気づいてい
るか。保守票分裂に期待するのはかまわないが、投票率が上がれば、保守票の掘り
起こしも徹底されるだろう。

 久々に興奮させる選挙となるのである。時代をどうつかむか、その点のたくみさ
において、小泉首相はやはり只者ではない。

花岡信昭:
政治ジャーナリスト、慶應義塾大学院・国士舘大学院非常勤講師、
読売新聞監査委員会審査委員。
1969年早大政経学部政治学科卒、
産経新聞入社、政治部長、論説副委員長などを経て2002年退社、評論活動に入る。
著書に「小泉純一郎は日本を救えるか」(PHP)など
サイト:http://www.hanasan.net/
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5.桜井裕子コーナー  
  硫黄島で奮戦した益荒男たちに捧ぐ?
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 栗林忠道中将「護国のため楯とならん」

 間もなく、日本の敗戦から60年目の8月15日を迎えます。
 各戦地では、祖国・日本やそこで暮らす家族を思いながら、一身を賭してその盾
となろうという将兵たちが、血みどろの絶望的な闘いを繰り広げていました。
 敗戦から遡ること半年前、日本から1200キロ南に位置する硫黄島では、日本軍
の陸海軍将兵は、米軍を相手に死闘を展開し大打撃を与えました。
 総司令官として米軍から稀代の智将と讃えられた栗林忠道中将の歩みと、硫黄島
の戦いに関連して書かれた2通の米国大統領への手紙とそれにまつわるエピソード
をご紹介します。

〈日米ともに戦略的要だった硫黄島〉
 米国・ワシントンを訪れて、最も威圧される記念碑といえば硫黄島モニュメント
です。その威圧感は、日本人なるがゆえに覚えるものなのでしょうか。硫黄島の戦
いで米軍の受けた大きな損害への衝撃と、「それでもわれわれは勝ったのだ」という
勝者の雄叫びのようなものを感じずにはいられません。
 この記念碑は、AP通信・ジョー・ローゼンソール記者が、米軍が硫黄島南部・
擂鉢山を占領した数時間後に、最初の小さな星条旗より見栄えのする大きな星条旗
へと差し替えた時に撮影した写真をもとに作られています。その星条旗を打ち立て
んとする6人の米軍兵士のうち、3人がその後、同島で戦死するほど、硫黄島の戦
いは苛烈を極めるものでした。

 そもそも硫黄島が激戦地になったのは、戦略上、日米両国にとって大変重要な位
置あったからでした。硫黄島は、サイパン・グアム・テニアンなどのマリアナ群島
と日本本土のちょうど中間地点に位置する平坦な島です。
 昭和19年6月、米軍はマリアナ諸島を制圧し、B29爆撃機による日本への長距
離爆撃を開始していましたから、米軍としては不時着や故障した際の基地として、
三つの飛行場をもつ硫黄島は確保したい拠点でした。一方、日本としても硫黄島に
は無線所もあり、戦略上、何としても死守しなければならない島でした。

 大本営は、小笠原兵団第109師団(栗林忠道陸軍中将)、混成第2旅団(千田貞
季陸軍少将)、第27航空戦隊(市丸利之助海軍少将)、軍属、少年兵の総勢21,000
人を投入します。

〈硫黄ガスと高温の厳しいなかで地下壕建設〉
 栗林中将は、戦闘に先立って、硫黄島の一般島民を三次にわたって本土に疎開さ
せます。一般人を戦闘に巻き込まないように、という配慮からでした。
 硫黄島はその名の通り、地中から有毒な硫黄が湧き出し、地熱の高いところです。
「島に揚陸したその日から、硫黄と塩の責め苦から逃れることができなかった。燃
えるような渇きが襲いかかり、激しい下痢と高熱に冒される」(越村敏雄・元一等兵)
という厳しい環境下でした。

冬でも45〜50度の壕内は、硫黄ガスと高温で夜、睡眠をとることもままならな
い状態でした。
 着任一月後の昭和19年7月7日、眉目秀麗で聡明な栗林中将でしたが、53歳の
誕生日に際して自宅の妻・よしゐに、「私も丈夫でいますが、この世ながら地獄のよ
うな生活を送っています」という、よく検閲に引っかからずに、と思うほど率直な
所感をしたためています。
 厳しい自然環境に加えて、生活用水もわずかな雨水しか使用できませんでした。
毎朝起きると、飯椀に使う器に水を入れて目を洗い、同じ水で副官も目を洗い、残
りの水を便所の手洗い水にするという日々でした。

 今、イラクでは、自衛隊諸兄が人道復興支援のために日夜、奮闘しています。気
温は日中60度を越える厳しい環境下での活動です。日々、6リットルの水を補給し
なければ、脱水症状を起こす過酷さですが、隊員に6リットルの水は保証されてい
ます。60年前の硫黄島では、食糧の補給もままならず、まさに生き地獄でした。

 騎兵隊出身の栗林中将は、先輩たちがグアムやサイパンで以下に戦ったかを報告
電報を通して分析し、日本の連合艦隊が敗れてすでに援護を得られない状態である
ことを勘案して、これまでの水際撃退手法から一旦、米軍を上陸させて地下の陣地
にこもって地上の米軍に攻撃をしかける方法に切り替えました。

日本軍は、地下10〜20メートルを目標に、総力を挙げて地下壕を掘り進めてい
ました。1人の作業が可能なのは数分間で、交代で作業しても1日1メートルを掘
り進むのがやっとの状態でした。将兵の汗と涙の染み込んだ壕はひとえに、物量と
もに軍事的には圧倒的に優位な米軍に対抗して持久戦に持ち込むためのものでした。
加えて輸送船が途中で次々に沈められたために、地下壕を作るためのセメントな
どの物資も不足しがちでした。結局、地下壕は、延べ18キロが完成したところで、
昭和20年2月の決戦のときを迎えます。

〈5日で制圧のつもりが日本軍は1箇月に及び徹底抗戦〉
 2月16日午前8時、戦艦6隻、重巡4隻、軽巡1隻からなる米軍上陸支援艦艇
が艦砲射撃を行ったのを皮切りに、最初の3日間で米軍は800機、5000トンの砲
撃を行います。
18日には、米軍は擂鉢山に向けて600回を越える空襲と砲撃を加えて、山の4
分の1を吹き飛ばします。19日午前6時40分、艦砲射撃、ロケット弾射撃(9500
発)の後、第4第5海兵師団、歩兵8個師団、戦車一個大隊が次々に上陸します。

 これに対して、粟津大尉指揮の独立歩兵大隊、清水大尉指揮の速射砲大隊は米軍
の主力に猛攻撃を加えます。日本軍の噴進砲(ロケット砲)は、命中精度は低いも
のの、米軍を混乱に陥れ多くの負傷者を出します。

2月21日には、神風特別攻撃隊第二御楯隊が、米空母「サラトガ」と「ビスマル
ク・シー」に体当たりを敢行し、サラトガは搭載機36機炎上、30人戦死者を出し
修理のため本国に戻り、ビスマルク・シーは大火災で200人が戦死し、3時間後に
沈没しました。
 また同月24日夜9時に海軍航空隊一式陸上攻撃機が、米軍の高射砲の弾幕をか
いくぐって60キログラム陸用爆弾12発を連続して投下します。この爆撃に栗林中
将は寺岡謹平中将(第三航空艦隊)に向けて、「本日の爆撃深謝す。爆撃の開始され
るや敵は周章狼狽し、飛行場に煙幕を張り攻撃は頓挫す。ために我方士気極めて上
がれり」と感謝の打電をしています。

 米軍は、当初、「5日くらいで全島制圧」と高を括っていましたが、最初の5日で
可能だったのは、冒頭に記した同島南部・擂鉢山の制圧で、予想外の苦戦を強いら
れます。日本軍は乏しい火力や弾薬を最大限に生かして、一箇月の持久戦を展開し
ました。
 日本軍の反撃に手を焼いた米軍は、地下壕を一つ一つ、火炎放射器や爆薬で攻撃
し、火炎放射器が届かない入り組んだ地下壕には、出入り口からガソリン等を撒い
て焼き尽くしたり、ブルドーザーで入り口を塞いで窒息死させる手段も用います。

〈護国のため楯とならん〉
 そしてついに3月17日、栗林中将は大本営に、最後の総攻撃を行う旨の決別電
報を発します。階級章や重要書類・私物等を焼却して、司令部洞窟内に全員を集め
て、コップ一杯の酒と恩賜のタバコ二本ずつを配布します。
 しかし、この期に及んで、栗林中将は最後の攻撃を延期します。「今、攻撃しても、
包囲されて照明弾でやられてしまう。もう少し様子を見よう」という理由でした。
最後まで敵に打撃を与えることを考えての決断でした。

 栗林中将の胸中を推し量る一通の手紙があります。19年9月12日、中将は妻に
宛てて「私も米国のためこんなところで一生涯の幕を閉じるのは残念ですが、一刻
も長くここを守り、東京が少しでも長く空襲を受けないように祈っています」と書
き送っています。これは他の将兵にも共通する思いだったことでしょう。
陸軍大学校を二番で卒業し、アメリカ・カナダの駐在武官も経験して、陸軍きっ
ての米国通だった栗林中将は、護国のために楯となることに甘んじて、最後の突撃
を敢行します。この突撃で負傷した栗林中将は、「屍を敵に渡すな」と命じて部下に
介錯を命じ、部下はその亡骸を大木の元に埋めたあと、自決して果てたと伝えられ
ています。
大本営が「硫黄島は敵手に落ちた」と発表し(21日)、米海兵の掃討作戦が鈍化
し米駆逐艦も引き揚げたあとの、陸海軍残存兵力400を率いての総攻撃でした。

最終的に、日本側は、負傷者・捕虜・投降者千人あまりを除いて約2万人が戦死
します。一方、米軍は、戦死者6,821人、負傷者21,868人を数え、死傷者の合計
数では日本軍を上回る数になりました。
硫黄島上陸作戦に従軍したベテラン記者・ロバート・シャーロッドは、『硫黄島』
で「日本側がどんな勲章を授けたか知らないが、最高の勲章は、硫黄島の日本軍守
備隊最高指揮官・栗林忠道中将に授けられてしかるべきであろう。『日本軍は地面の
利用をよく心得ている』と、硫黄島攻略戦の最高指揮官たるターナー海軍中将は述
べた」と書いています。
大本営は、3月17日付で、栗林中将を最年少で陸軍大将に昇格させますが、本人
はそれを知らないまま最後の突撃をかけ、米兵約170人を斃します。

栗林中将の決別電文を以下に記します。

戦局遂に最後の関頭に直面せり。十七日夜半を期し、小官自ら陣頭に立ち皇国の
必勝と安泰を念願しつつ全員壮烈なる攻撃を敢行する。敵来攻以来、想像に余る物
量的優勢をもって陸海空よりする敵の攻撃に対し、よく健闘を続けたるは小職のい
ささか自ら悦びとするところにして部下の将兵の勇戦は真に鬼神をも哭かしむるも
のあり。
しかれども執拗なる敵の猛攻に将兵相次いで斃れ、為にご期待に反し、この要地
を敵手に委ぬるやむなきに至れるは、誠に恐懼に堪えず、幾重にもお詫び申しあぐ。
特に本島を奪還せざる限り皇土永遠に安からざるを思い、たとえ魂魄となるも誓
って皇軍の捲土重来の魁たらんことを期す。
今や弾丸尽き水涸れ、戦い残るもの全員いよいよ最後の敢闘を行わんとするにあ
たり、つらつら皇恩のかたじけなさを思い粉骨砕身また悔ゆるところにあらず。こ
こに将兵とともに謹んで聖寿の万歳を奉唱しつつ、とこしえにお別れを申しあぐ。
国の為 重きつとめを 果し得で 矢弾尽き果て 散るぞ口惜し
敵討たで 野辺には朽ちじ われは又 七度生まれて 矛を執らむぞ
醜草の 島に蔓る その時の 皇国の行手 一途に思う

桜井 裕子: 慶應義塾大学文学部英文科卒業。PHP研究所、PHP
エディターズグループ勤務を経て、フリーに。主に書籍のプロデュースや
執筆・制作を手がける。
最近の作品は『新・国民の油断』(PHP研究所、西尾幹二・八木秀次)、
『この国を守る決意』(扶桑社、安倍晋三・岡崎久彦)など。
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6.西山弘道コーナー  
 「まさかの解散」
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 小泉“信長”の叡山焼き討ちさながらの“奇襲解散”に永田町は“熱いトタン屋
根の猫”みたいに煮え繰り返っている。そもそも郵政反対派の綿貫にしろ、亀井に
しろ、法案を否決しても小泉がまさか解散まで断行はしまい、とタカを括っていた
フシがある。ところが,ここが小泉の“変人宰相”たる面目躍如、従来の永田町論
理は通ぜず、ついに「自民党をぶっ壊す」解散まで突っ走ってしまった。「火遊びだ
と思っていたのに、本当に火をつけてしまった」というのが、綿貫や亀井の今の心
中だろう。案の定、小泉の“叡山焼き討ち”を目の当たりにして、綿貫・亀井の僧
兵連中は始めの荒い鼻息はどこへやら、シュンとしてきた。綿貫「オレは自民党を
愛している。離党などしない」。亀井「できれば自民党公認で戦いたい」!何をかい
わんや、新党どころか、こう失速しては勝負あった。それにしても綿貫・亀井を信
じて青票を入れた純粋比例組に対する教唆責任を二人はどうするのか。新党ができ
なければ純粋比例組は立候補さえもできないのだ。

 「水に落ちた犬は徹底的にはたく」、小泉は37人の反対派選挙区にすべて対立
候補を擁立するという。東京10区の小林興起のところに、小池百合子環境大臣を
落下傘で落とした「小池ショック」は、反対派を震撼させた。山口組も真っ青の「
刺客作戦」は、自民党の選挙史上初めてのことであり、これも「小泉はそこまです
るのか」と、反対派を震え上がらせている。まさに「小泉劇場」の添え物にふさわ
しい「刺客作戦」である。後続の刺客には、川口順子元外相、中山恭子元内閣参与、
大平光代大阪市助役(非行少女出身で話題となった女性弁護士)などが控えている
という。(いかにもミーハー好みの飯島秘書官の人選だ)

 今回の解散に対する各紙の世論調査結果が出たが、軒並み内閣支持率は急上昇し、
投票する政党も自民軸が、民主軸をダブルスコアで上回るなど今のところ小泉の乾
坤一擲の勝負は吉と出ている。また東証株価も4年ぶりに1万2200円台に急上
昇するなど小泉構造改革の断行を促した形だ。「オレの勝負勘もたいしたものだろう」
と、小泉はほくそ笑むでいるかもしれない。しかし、短期決戦とはいえ、投票日まで
まだ1ヶ月ある。ちょっとした風が吹いても局面がガラッと変わるかもしれないし、
今の時点の判断はまだ早計だ。

 国民有権者にとって今回の総選挙ほどわかりやすい選挙はないだろう。争点がは
っきりしているからだ。すなわち「国会が否決した郵政民営化の是非を改めて問う
国民投票」(小泉)となるからだ。その選択肢は?「官から民へー小さな政府を目指
す規制緩和の競争社会」か、?「弱者を守る従来の日本型システムを維持した保護国
家か」の二者択一となろう。郵政民営化に対案を出せなかった民主党は、郵政以外の
争点、年金問題など持ち出そうとしているが、この民主党の「郵政隠し」戦略ははや
破綻を来たしつつある。当初、自民の分裂選挙で漁夫の利を得るのではないか、とい
われていた民主党だが、「刺客作戦」など「小泉劇場」のスリリングな展開に、存在
感を失いつつあり、あわててマスコミ各社に民主党にもスポットを当ててくれるよう
頼み込む始末だ。

 9.11解散をめぐる「小泉劇場」の展開、まだこれから1ヵ月あるわけで、何幕
もの見せ場もあろう。私もウォッチしたい。

西山弘道:
昭和44年早稲田大学政治経済学部卒業後、
文化放送入社以来、放送記者として30余年、
ニュースの現場を踏む。
平成5年報道部長。兼ニュースキャスターとして
「西山弘道の世の中朝一番」なfどの番組で活躍。
また政治記者として、田中内閣以降の「永田町戦国史」
をウォッチ。
現在、文化放送編成局次長。
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7.有馬尉彰コーナー  
  情報通信政策の在り方をめぐってー2
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 総務省の次官が先日交代した。そして再び、旧自治省の出身者が次官となった。
本来であれば今回は旧郵政省の出身者が次官となる番であった。しかし、郵政改革
問題で旧郵政の二人の審議官が小泉総理に更迭された結果、やむをえずということ
になったということであろう。政治任用は今後ますます必要になる方向は否定でき
ないが、今日の日本の情報通信政策が直面するテーマとその重要性を考えれば、こ
の時期、郵政、というよりも、より正確に言えば、本来、情報通信政策官庁出身の
人が次官になる意味は極めて大きかったと思わざるを得ない。

 1996年2月、米国通信法が62年ぶりに大改正された。改正まえの法律の名
称は1934年通信法(Communications Act of 1934, ch652,48 Stat.1064)そし
て、改正法は、1996年電気通信法(The Telecommunications Act of 1996,
 Pub.L.No104-104, 110 Stat.56)である。昔の34年法は日本で言えば、電気通信
事業法、電波法、放送法、そして、有線テレビジョン放送法までカバーしていた。
放送まで含む法律を何故通信法というかといえば、放送は、あくまで通信の一部と
する概念であることの表れである。日本でも去る7月29日の情報通信審議会にて、
光ファイバケーブルによるデジタル地上波放送の電送の促進が明確化されたが、戦
後の工業社会時代における一時的現象であったマスメデイアとしてのテレビを主と
する放送事業の隆盛がいよいよ終焉の緒につき、新たな通信への放送の「先祖がえ
り」が始まるといえるであろう。

 96年電気通信法は、34年通信法の対象分野に加えて、コンピュータ通信まで
も含んだ。96年法は定義を「電磁的な電送手段による伝送」としている。これに
よれば、全ての電磁波によるスペクトルの壮大な空間を包含することになるのであ
る。

 しかし、重要なのは、放送と通信の融合といった問題だけではない。96年法に
ついては、情報通信政策の枠組みのみが提示されているのであって具体的な運用を
含む肉付けは全て連邦通信委員会FCC(Federal Communications Commission)
に任されているという点である。

 1934年当時は、当然テレビもCATVも、コンピュータもなかった。情報の
世界は、郵便以外には電話とラジオの世界であった。米国の通信法はよくも62年
間の長きに亘って基本的な改正をせずにすんだといわざるを得ないが、その秘密は
34年法に基づいて設置されたFCCの存在にあった。FCCは最近よく耳にする
SEC(Securities and Exchange Commission)と同様に委員長は大統領府の閣僚で
はない。特に最近では今年辞任したパウエル委員長が有名であるが、さらに、FC
Cは、立法、司法の権限を兼ね備えて持ち、広範な規制権限者であるということで
ある。

 1876年に電話を発明した、アレクサンダー・グラハム・ベルの流れを組む
AT&Tは傘下に複数の地域電話会社(地域ベル)を所有していたが、当時の米国
には、他に独立系の電話会社が2万近くもあった。19世紀末、AT&Tはこれら
の独立系電話会社を次々と買収し独占的地位を確立し始めてきた。これに対し米国
の各州は独占を認める代わりに公益事業として、料金規制をAT&Tに受け入れさ
せてきた。米国では、1860年代後半から鉄道事業が発展し、鉄道会社の運賃の
独占的運用が問題になり、それに対応するために州際委員会(Interstate Commerce 
Commission)が設置されてきたが、当初、AT&Tに対する規制もこのICCが
行ってきた経緯がある。FCCはこのICCの対応をカバーする目的で34年法の
施行と同時に設置されたのである。

 この様に米国のFCCは、そのもととなったICCとともに合衆国という特殊な
かつての米国の基幹となる産業であり、対応するICCを必要としたように、米国
状況を反映して、強力な権限を持つ委員会となって今日に至っている。鉄道産業が
はその後、今日に至るまで、FCCの舵取りは情報通信産業の発展を極めてうまく
そして、優れたヘルムスマンとして役割を果たしてきたと思う。

 詳しくはないが、今日の韓国のIT産業の発展は、韓国版FCCの設置が大きく
貢献していると聞く。今日の郵政問題と総務省人事の混乱を考えると、21世紀に
活力を取り戻して、あるいは維持して経済を運営していくために、現在の総務省の
一部局としてのIT情報部門、あるいは経済産業省のIT関連部門に分裂している
現状を、長い歴史的経緯を乗り越えて、新しい国策として、日本のために新しくF
CCをつくる必要があると考える。新しく出来る政権に是非提案いたしたい。
                        2005/08/11
有馬 尉彰;
昭和41年学習院大学経済学部卒業 
東急電鉄勤務を経てi-HITS副社長など歴任 
インターネットイニシアテイブ(IIJ)顧問他 政府関係委員多数 
立教大学大学院講師 武蔵工業大学講師 前慶応義塾大講師など 
著書に「マルチメデイアオムニバス」(東洋経済新報社)他 
-------------------------------------
8.青葉ひかるコーナー  
 政権抗争にルールなし 
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 永田町が権力抗争に明け暮れ、謀略、裏切り、恫喝、懐柔・・・・にまみれている
ところであることは、推して知るべしであるが、今回の解散風ほど強力なインパク
トを与えているのは、近年珍しいのではないだろうか。
 
かって三角大福などといわれたような派閥抗争をはじめ、さまざまな時代の権力抗
争が思想・政策論争ではなく、総理・総裁の椅子を巡る戦いであるのは、今も変わ
らない。
 
今回の騒動も、自民党内の戦いがきっかけで、総理大臣ポストと郵便ポストのダブ
ル・ポスト争いということはしゃれにもならないが、永田町のコップの中の嵐であ
りながら、いえ真相はそうであっても、表向きは郵政政策を巡る戦いに見え、国民
巻き添えで、国民に判断を迫り、国民に信を問うという「大義名分」には誰も反論
できないほど、ご立派な名目ありの選挙戦に出来上がった。
 
解散後に次々と打ち出される小泉流弾丸は、見事なまでに敵を打ち砕いていく様相
を見せている。
この手練手管の限りを尽くす抗争の実力を拉致問題の金正日にも向けてくれればと
思うのはわたくし一人ではあるまい。
 
郵政民営化法案「否決」という牙を自分に向けたことは絶対許せない、同じ党員で
ありながらの裏切りを許せないという小泉首相の強い意志がメデイアを通じて伝わ
り、「国民に問う」という言葉ひとつにも巧妙さを感じさせ、一本筋だけは通って
おり解かりやすいことから、もう勝負は出たかもしれない。
 
反対派の重鎮が「ここまでは予想しなかった」と吐露する場面は、自己の読みの甘
さを披露しているに等しいが、ご本人にとっては、まさにギロチンの前にいる心境
であろう。
過去にも虫けらのように押しつぶされて消えていった政治家、ズタズタになって死
に向かって疾走していった政治家たちのなんと多いことか。
 
小泉首相は、どうせ、あと1年の命であるから失うものは余りない。やはり、命を
かけた人間にはかなわない。
森前首相時代に総理大臣の権限を絶大なものにするため法改正がなされたが、ここ
にきて功をなしているのは、森氏にとっては皮肉なことである。
今回、森氏は「解散を止めさせる」べく小泉首相の説得にかかったが、現職総理大
臣の前では前総理大臣といえども無力であったことが報じられていたが、このこと
は何より法の効力というものを際立たせていた。
 
今までは政党が大事で「総理大臣が誰になろうと変わらない」という一般論があっ
たが、これからは、総理大臣が誰かによって日本丸の運命が変わるということが証
明された。たった一人でも絶大なる権力をもつ総理大臣は名実共に船長になったと
いえる。このことをまざまざと見せつけられたのが今回の政争である。
いずれにしても、日本の総理大臣の権力がここまで強くなったことを改めて国民も
思い知らされた。
 
激烈で過酷な政権抗争に打ち勝つのは誰か。
最後に笑うのは誰か。予想は出来ても断言出切る者はいない。 05・08・11

青葉ひかる;
三重県出身
早稲田大学卒 
元日本航空(株)勤務
評論家 
2525計画推進協議会(2525プラン)会長
http://www.2525plan.jp/ 
ラジオ日本(1422kHz)
「青葉ひかるのガンバレ日本」
毎週(土)16:50〜17:00放送
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
次回の配信は、8月19日(金)を予定しております。どうぞお楽しみに!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
登録内容(メールアドレス等)の変更、メールニュース配信の停止は、
こちらからお願いします。
<http://www.melma.com/mag/12/m00133212//>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
有限責任中間法人 平河総合戦略研究所< http://www.hirakawa-i.org >
発信元:< info@hirakawa-i.org >
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