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甦れ美しい日本 第197号
発行日: 2008/7/2□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2008年7月2日 NO.197号)
☆☆甦れ美しい日本☆☆
☆・・・・私たちは書きたいから書くのです・・・・
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☆文化・芸術・映画・味覚などは水曜日発信となりました。
< 目次 >
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◎奥山篤信の映画評論
1.フランス映画「ぼくの大切なともだち Mon Meilleur Ami」☆☆☆
2.アメリカ映画「告発の時 IN THE VALLEY OF ELAH」☆☆☆
3.アメリカ映画「奇跡のシンフォニー AUGUST RUSH」☆☆
◎奥山篤信のDVD映画評
1.アメリカ映画「カポーティ CAPOTE」☆☆
2.アメリカ映画「マルコムX Malcolm X」1992 ☆☆☆☆
◎阿嶋彩子の料理つれづれに(44)<アラカルトメニューとコースメニュー>
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超・映画評 愛と暴力の行方 奥山篤信著 扶桑社 発売中 http://www.strategies21.org/leonessa.htm
豊かな海外経験を生かした元商社マンの映画評。対象は「夜顔」「ダ・ヴィンチ・コード」「硫黄島からの手紙」「不都合な真実」「椿三十郎」などこの2年間に日本で上映された洋・邦画117作。何げないしぐさや映像の断片に込められた意味を解き、作品の思想、背景をえぐり出す。著者の人生観や哲学を重ね合わせて論評、時には一刀両断に。特に、国際社会に生きる日本人への叱咤激励は傾聴に値する。映画評であり人間賛歌の書でもある。
ー東京新聞 6月5日今週の本棚よりー
三菱商事OBの「憂国の日本男児」奥山さんは、無類の映画好きとしても知られる。ミニシアター系からハリウッド超大作まで世界のあらゆる映画を見まくった結果の一冊。
「硫黄島からの手紙」について(家庭中心の話で、アメリカの小市民的な理想像をそのまま日本にも当てはめたみたいやな)。並の映画評論家にはこんなことは言えまい。ーWiLL 5月号 編集部の今月のこの一冊よりー
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◎奥山篤信の映画評論
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1.フランス映画「ぼくの大切なともだち Mon Meilleur Ami」☆☆☆
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僕はフランスの監督パトリス・ルコント(Patrice Leconte )が好きで大体作品は見逃さない。仕立て屋の恋 Monsieur Hire (1989) 、髪結いの亭主 Le Mari de la coiffeuse (1990) 、
タンゴ Tango (1993) 、イヴォンヌの香り Le Parfum d'Yvonne (1994) 、親密すぎるうちあけ話 Confidences trop intimes (2004) などなど。
彼の映画がユーモアと人間味があふれ、いつもさわやかな笑いと時には涙を誘うからである。日本にルコントに対応すると言えば伊丹十三とかいう監督になるかもしれないが、彼の映画はわざとらしい笑いと取ってつけたようなシナリオにいつも嫌悪感を感じていたが、このルコントは自然体のフランス社会を描いていて素晴らしい。
この映画は富豪の美術商が、ある葬式でほとんどその死を悲しむ参列者が居ないことから、自分の葬儀の時に誰も来ない事態が心配になり、共同経営者の女性と賭けをすることになる。10日以内に親友を連れてくること。
暫し前半幼稚な話だなと思いきや、そこがルコント、観客を話の展開の素晴らしさと粋な遊び心で満載しながら、友人とは何かを模索させていくのである。
最近男の友人といえば、最近は吐き気を催す同性愛となって、本当の男のあるべき友の存在が、同性愛とミックスアップしてしまうのが不愉快であるが、この映画は男の友とは何かをまるで小学生に教えるかのように試行錯誤していくのである。
映画の洒落た展開はここでは省くが、友達を探す「旅路」の中で、同居没交渉の娘との親子の信頼関係の回復や本当の友とは傍にいる共同経営者の女性でもあることを、見事なタッチで、導いて行ってくれる。
「愛の証などない。あるのは愛だけ。同じように友情に証などない。あるのは友情だけ。」
共同経営者の女性が主人公に語るキーワードを、僕はその字幕をすぐにnoteした。
ダニエル・オートゥイユ が美術商に扮し、ダニー・ブーン が「親友」のタクシー運転手、
フランスにしかあり得ないパリの香りが漂ったジュリー・ガイエ - カトリーヌがフランソワの共同経営者、とても魅力的なフランス女ジュリー・デュラン がフランソワの娘に扮する。本当に楽しく老若男女が楽しくさわやかに後味良く、それでいて含蓄深い洗練の極限といえるフランス映画で、お勧めである。
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2. アメリカ映画「告発の時 IN THE VALLEY OF ELAH」☆☆☆
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イラクから帰還している筈の行方不明の息子を自ら捜索する父親が、意外な事実に着きあたっていく。トミー・リー・ジョーンズがその父親、スーザン・サランドンが母親、シャーリーズ・セロンが警察署の女刑事に扮する。
この映画は戦争の中で歪められていく人間すなわちPTSD(心的外傷後ストレス障害)、そして軍組織の闇などを描いた社会サスペンス物である。現実に起きた事件から想像して作ったシナリオらしいが、建前透明性のあるアメリカの堂々たる社会の余裕、すなわちオープンで自らの過ちも包み隠さず反省・批判していく心構えがある。イラク戦争そのものの批判も底にあることは確かだろうが、それよりも戦争と立ち向かう人間一人ひとりの苦悩を描き、その自由や幸せについて描いた映画と解釈すべきである。
「ミリオンダラー・ベイビー」(2004)でアカデミー賞作品賞を受賞し、翌年には、共同脚本と製作も務めた初監督作品「クラッシュ」(2004)がアカデミー賞作品賞と脚本賞を獲得したカナダのポール・ハギスの脚本と監督による作品で、シナリオのうまさは見事である。
シナリオというより、本作品ではトミー・リー・ジョーンズ扮する父親の怒り、苦悩、悲しみのどん底、憐憫などの間合いがうまく、勿論これは名優に支えられているとは言え、奥行深くずっしりと重量感がある。
難を言えば、もう少しストーリー展開を軽やかにしても良かったのではないかと思う。途中疲れる場面もある。
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3.アメリカ映画「奇跡のシンフォニー AUGUST RUSH」☆☆
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おとぎ話として家族連れで楽しく清い夢を持たせてくれる映画であり、また音楽がクラッシクとカントリーが同時に出てくるのでとても楽しめる映画である。
クラッシックのチェロリストの母親ケリー・ラッセルとカントリーのギタリスト、ジョナサン・リス=マイヤーズの間に生まれた少年フレディ・ハイモアはなぜか孤児院に入れられて育つ。祖父がその秘密を母親に明し、母親は少年を探す。天才少年は両親との出会いを直感し・・・
そしてジュリアード主催のセントラル・パークでの音楽会で運命の再会が・・・
『ネバーランド』『スパイダーウィックの謎』の子役フレディ・ハイモアが可愛い少年を清く美しく演技する。
宇宙の神秘を湛えた音楽が、僕たちを感動させる、それは親子の再会をドラマティックに演出するのである。
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◎奥山篤信のDVD映画評
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1.アメリカ映画「カポーティ CAPOTE」☆☆
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ノンフィクション小説の草分けである「冷血」を完成するにあたってのトルーマン・カポーティの事件被告人との関わり合いを描いた映画である。主演のカポーティに扮するフィリップ・シーモア・ホフマンの芸術的演技が映画そのものの出来より凌駕する。ホフマンはこの演技でアカデミー賞男優主演賞に輝いた。
カポーティは1924年 ルイジアナ州ニューオリンズで生まれた。両親は彼が子供の時に離婚し、ルイジアナ、ミシシッピー、アラバマなどアメリカ南部の各地を遠縁の家を伝に、不安定な幼年時代を送り、そのためほとんど学校に行かず、独学同様に勉強した。母親は後年再婚したが、彼女は自殺した。そんな不幸なトラウマのせいか、カポーティはgayであり、名声欲が強く、ハイソの退廃のパーティを好み、独特の皮肉な観察眼で一世を風靡した。
そんな彼が南部で起きた平和な一家の惨殺事件に興味を持ち、二人の犯人のうちの一人ペリーに接近した。拘置所を買収してペリーに自由に面会し、取り入るのも、結局自分の仕事のためである。実際に事件の詳細を聞き出すために、手練手管、すなわち最高の弁護士を紹介するなどと甘言を振りまくのである。一方ペリーは自分のことを親身に思ってくれるカポーティに騙され頼るのである。
このカポーティの本質を、その友人である女流作家ハーパー・リー(TO KILL A MOCKING BIRDの作家)が見抜いているのである。トルーマンはペリーの処刑に立ち会うが、「彼に何もしてやれなかった。I couldn't have done anything to stop it.」と嘆く(lament)が、「そうでしょうが、あなたは最初からそうする気もなかった。Maybe not; the fact is you didn't want to.」と答えるのがこの映画のすべてである。
小説を書くために、対象の殺人犯に信頼され犯行の動機や犯行の具体的事実を聴取する。それには心ならずも殺人犯に取り入る。マスコミにしろ人間社会の必要な偽善を描いているようで、こういう材料を映画化した監督のアイデアは素晴らしい。
映画はこのあとカポーティは何の価値のあるものを書かなかったと締めるが、これは事実ではない。ただ晩年はアルコールと薬物中毒に苦しみ、テレビで奇妙な意味不明の発言を行うなど奇行が目立ち始め、公私共に失脚していく。これが殺人犯のペリーを騙した贖罪意識からかどうか定かではないが、多分そんなデリカシーはなかったのではないか。
因みに未完となった遺作『叶えられた祈り』でハイソ社会の頽廃を描いたことにより、彼の親しいセレブリティからの猛烈な反発を招いたという。
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2.アメリカ映画「マルコムX Malcolm X」1992 ☆☆☆☆
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映画監督の冥利は自分のライフ・ワークと思う作品を完成したときであろう。スピルバーグ監督の「シンドラーのリスト」に対応するのが、黒人監督スパイク・リーのこの映画である。マルコムXが暗殺される2年前から緊密に連絡取り合った上で執筆されたアレックス・ヘイリーとマルコムX共著のマルコムXの自伝をベースに、デンゼル・ワシントンの迫真の演技の202分の長編映画である。
スパイク・リーの思い入れと力の入れ込みが伝わってくる映画であり、実に理解しやすい。キング牧師の非暴力対話路線との対比で、マルコムXは過激派暴力主義者と誤解されているが実はそうではない。
葬儀の場面で彼の功績を読み上げる場面があるが、彼が暴力事件に関与した者は何もない。彼にレッテルを張る前に、彼の話や文章などを読んだことがあるのかと言いたいとオッシー・デイビスが読みあげる場面が素晴らしい。そしてスパイク・リーは南アフリカのソウェト ( SOWETO)とアメリカのハーレムとを黒人の境遇を関連つけるべく、1990年に釈放されたネルソン・マンデラが、小学校の教室で人間としての生きる権利、人権をこの地球に住む限り、実現するべく戦うとのスピーチを最後に挿入している。
映画はマルコムXの一生を3つに区切って構成されている。第一の部分は、KKKの差別下のマルコムの幼少期であり、牧師であった父が攻撃的なKKKによって暴行・殺害にされる思い出が描かれる。
そしてマルコムXがニューヨークのハーレムで黒人ギャングのボス的な存在であったアーチに私淑し非行に走り、悪事を覚え、その後ボストンに戻りこそ泥棒家業で、逮捕され獄中での姿を描いている。
第二の部分は、獄中で同じ受刑者のベインズからネーション・オブ・イスラムの存在を知らされ、辞書を丸写しして覚えるなど獄中での黒人としての自覚の過程が描かれている。
第三の部分では刑期を勤め上げ、出獄してネーション・オブ・イスラムのリーダーであるイライジャ・ムハンマドに出会い黒人解放運動家として頭角を現していくが、ムハンマドの私的な性的問題に愛想を尽かしたのと、余りに頭角を現したことに対するムハンマドやその取り巻きの警戒から離反し決別する。メッカに巡礼したあと、白い肌のアラブ人との交流を通じて、今までの「黒人至上主義」「黒人はアフリカに帰れ」の謂わば偏狭な逆差別主義からイスラムの教えをもとにした民族融和主義に変身していく過程が描かれている。
そして暗殺の脅迫電話、自ら死を予感し、惨殺される。同じ黒人グループによる暗殺である。
この映画は三時間を超える長編であるが、スパイク・リーがマルコムXに思想・行動とも完全に魅了されていることが分かる。僕はスパイク・リーのテーマとして、偽善を嫌い民族の調和や融和があり得ないとの現実直視の映画「ジャングル・フィーバー」にもある通り、基本的には黒人の権利を排他主義であっても追い続けたマルコムXを尊敬し愛してやまないことが良く分かる。
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◎阿嶋彩子の料理つれづれに(44)<アラカルトメニューとコースメニュー>
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私は食事に出かけていく時はその店の味を堪能したいといつも大きな期待をしながら出かけていく。洋食の場合は店に入り着席をして、おしぼりを手にしながら出されたメニューを見て、先ずはアラカルトにするかコースにするかを相手の様子を見ながら決める。我侭な私はコースメニューの場合でも別コースの中から一品を取り替えてもらったり少し足してもらったりというお願いをする事もある。アラカルトの場合ではメインのメニューにざっと目を通してから、そこの店の得意料理がある場合はそれを中心に組み立てる。自分の好みで決める場合はワインの種類選びもかねて、その日に食したいメインの料理が魚介類か肉類かを食事をする相手と相談しながら進めていく。
中華料理の場合は自分で食したい品を選び、又途中で追加したり気楽に楽しむのが気に入っているが、この頃のホテルの中華料理はアラカルトメニューもあるが総じてコース料理の方に流れが来ているように思う。余談であるが、以前中国の人に中華料理をご馳走になった時の事であるが、メインの品を先ず選びそれをベースにして前菜やその他の料理を決めていた。中華料理もフランス料理と同じだなと思った記憶がある。
以前は気の利いた小料理屋などのカウンター席で板前が作ってくれる包丁捌きも素晴らしく、その日の逸品を楽しんだものであるが,この頃は会席コースと称してコース中心時代のような気がする。私見ではあるが、コース料理のほうが材料に無駄が少なく又準備もやりやすく、店として主人のまかないとしてはこれで手一杯であろう。創作和食の店ではブランド食材の話を主人がよく言うが、美味しいと思ってもその品をもう少し多く食したいとか料理方法を変えて再び食べてみたいとかと言う気侭は許されない時代である。
三ツ星の鮨屋である「すきやばし次郎」はつまみなどは頼めばでるが、基本的にはコースである。お鮨こそ目の前の綺麗な魚に魅せられて食すのだと思う私には、この三つ星には納得できない処がある。これは選考する人のセンスがフランス料理のコース的感覚であるのかと考えるのは私だけではないと思っているが。
総じてアラカルトメニューが好みである私は今の時代のグルメ族の感覚には遅れているのだと言われそうである。男性が好みそうなグルメを中心とした雑誌に目を通すと、私の考えが時代の流れに乗っていない事が良く分かる。本が書いている食事に対するセンスは『食事の事は料理人に任せて、その料理人が薦めるものを食する』という考えである。従ってお寿司屋に至るまでコースで頼み、お鮨屋もお寿司以外の小料理も付けて出している。
この間一世代若い人と上等なお鮨屋に行き、カウンターに座り、何から頂こうかと目の前に食材をキョロキョロ見渡していると相手の方が自分の苦手なものを板前に言ってあとは自分がストップと言うまで適当に握って欲しいと言う。私も同じ方法にしてみたら気楽にお喋りに専念できて良かったが食を味わう『間』というものがない事が気に入らなかった。
アラカルトとコースの両方に良さはあるが、これとは別に食事に対する考え方が若い人達とは微妙に異なってきたように思うこの頃である。若い世代の人達は物事を決める時に情報によるところが多いように感じる。この事は食事以外の生活部分でも言える様に思い、食事の選び方と時代感覚とは切り離せられない事である。
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次回の配信は7月5日(土)を予定しております。どうぞお楽しみに!
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