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甦れ美しい日本 第169号

発行日時: 2008/3/26

□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2008年3月26日 NO.169号)

  ☆☆甦れ美しい日本☆☆

☆・・・・私たちは書きたいから書くのです・・・・
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☆文化・芸術・映画・味覚などは水曜日発信となりました。

< 目次 >
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◎奥山篤信の映画評論 

1.アメリカ映画「マイ・ブルーベリー・ナイツ  原題: MY BLUEBERRY NIGHTS」☆☆☆
2.中国映画「トゥヤーの結婚 原題: TUYA'S MARRIAGE/図雅的婚事」☆☆☆

◎奥山篤信のDVD映画評論 

1.アメリカ映画「ブラッド・シンプル 原題Blood Simple」1984 ☆☆☆☆
2.アメリカ映画「ファーゴ(Fargo)」1996 ☆☆☆
3.スペイン映画「キカ(Kika)」1993 ☆☆☆☆
4.アメリカ映画「パーフェクト・ストレンジャー 原題PERFECT STRANGER」2007 ☆
5.日本映画「突入せよ! あさま山荘事件」2002 ☆

◎阿嶋彩子の料理つれづれに (30)<現地食材の良さ>

◎廸薫の「タカラジェンヌが日本舞踊家になったわけ」其の十六「桜、桜・・・のお話」

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超・映画評 愛と暴力の行方 奥山篤信著 扶桑社 発売中 http://www.strategies21.org/leonessa.htm
大書店・アマゾンでお買い求めできます。
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◎奥山篤信の映画評論 
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1.アメリカ映画「マイ・ブルーベリー・ナイツ  原題: MY BLUEBERRY NIGHTS」☆☆☆
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監督のウォン・カーウァイの初めての英語による映画である。上海生まれで幼少のころ香港に移住、香港理工学院卒業後脚本家として映画界にデビューした。

1994年の『恋する惑星』(金城武、トニー・レオン主演)でクエンティン・タランティーノが絶賛し、世界的に有名になった。『天使の涙』や『ブエノスアイレス』(カンヌ国際映画祭監督賞)では脚本を書かず、撮影直前に俳優にメモ書き程度の指示を与え、即興による演技をさせて話題になった。有名スターを好んで起用するのも特徴である。今回の映画でもノラ・ジョーンズ (エリザベス) ジュード・ロウ (ジェレミー) デヴィッド・ストラザーン (アーニー) レイチェル・ワイズ(スー・リン) ナタリー・ポートマン (レスリー)など錚々たるキャストである。

ところでこの中国人監督は不思議なくらいシナ料理の臭いがしないのである。まさに日本のバレリーナの森下洋子や作曲家の坂本龍一が醤油の臭いがなく欧米で活躍しているように、シナの灰汁がなく全て欧米風なのである。デリケートでソフィスティケイティッドされた男女の心理描写などシナ大陸の油臭さなど何一つない。

映画はニューヨークの安レストランを経営しているジュード・ロウが恋に破れて失意のノラ・ジョーンズに売れ残りのブルーベリーケーキを振舞い、毎夜のように現われる彼女にいつしか心を惹かれていく。
彼女は失意を振り切るように、ニューヨークを離れアメリカの田舎を転々と貯金に努める。夜勤のバーで愛する元女房レイチェル・ワイズに振られやけ酒を毎晩あおる警官デヴィッド・ストラザーン、見せつけるように愛人を連れてくる元女房との傷害沙汰と警官の失意の自殺、そして死んだ元夫にはじめて憐れみを取り戻した元女房などを通して、人間の愛憎や優しさを発見する。
そして舞台は賭博場、そこで高額のポーカーに興じる謎の女ナタリー・ポートマンに出会い、賭博を続ける彼女に金まで貸してしまう。そして最後は父親が瀕死で入院するラスベガスまで付き合う羽目となる。賭博技術から得た教訓として、父親ですら人間を信用してはならないという女が、父の死に面してはっと父親への愛を取り戻す、そんな経験もするのである。この映画でもナタリー・ポートマンのかわいらしさは抜群である。
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2.中国映画「トゥヤーの結婚 原題: TUYA'S MARRIAGE/図雅的婚事」☆☆☆
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中国に支配されている内モンゴルの物語で昨年のベルリン国際映画祭で見事金熊賞を受賞した。

井戸掘りの事故で下半身不随の夫と二人の子供を抱えてあくせく働く若きトゥヤー自身も重労働のため脊髄に障害ができ無理ができなくなってしまう。

その時夫の世話をする条件付きで夫と離婚し再婚する決断をする。色んな男性が求婚すべく彼女の家を訪問するが、元夫の世話という条件で二の足を踏む。

ある日石油成り金となった彼女の幼馴染が求婚にやってくる。金に任せて夫は養護施設に入れて彼女と二人の子供を引き取るという話。殆どその話に乗って、夫を養護施設に入れ彼の家に向かうが途中、元夫は自殺を図ったとの連絡がある。

やはり苦しくても自分の手で夫の面倒を見ようとする彼女に、次に現れたのは隣人の青年である。悪い女房に新車も奪われすっからかんにされて戻ってくる。そして彼女に取り入るために井戸を掘り続けるがうまくいかない。ある日青年は失踪してしまう。

そんな中彼女は知恵遅れの資産家の息子と結婚を決意する。そしてその同じ日、失踪していた青年が離婚手続を終えて正式求婚のために、危機一髪で戻ってくる。

そしてめでたく結婚式。祝宴のテントの外では二人の父親を持つとからかわれたわが子が大ゲンカをしているではないか!そんな喧嘩も他愛のない子供の世界だと気づくトゥヤー。

中国の環境破壊のため草原が砂漠化して水を得るための井戸掘りがモンゴル人の重荷になっている現代の姿、そして草原を捨てて一攫千金を得てメルセデスに乗って故郷に凱旋する物質主義の成金、そんな中でも自分を失わず、貧しくても夫への愛とモンゴル大地に根付くトゥヤーの凛々しい姿は感動的である。

トゥヤーに扮するユー・ナンは今や中国の国際的女優である。それにしてもこの大女優に些かの色気も何も感じさせないモンゴル風の田舎風情、これが北京の新京紙の美人俳優ランキング二位に選ばれた女優とは思えない役への嵌り込みである。
監督のワン・チュアンアンの母親は実際にこのロケ地の出身である。この映画はモンゴルの民族風習などが映し出され、共産主義のドグマがひとつもない、その意味でいつも感心するのだが中国映画の方が日本映画より余程国際競争力を備えているのである。だからこそ栄誉のベルリン映画祭ゴールデンベアー賞なのである。
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◎奥山篤信のDVD映画評論 
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1.アメリカ映画「ブラッド・シンプル 原題Blood Simple」1984 ☆☆☆☆
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天才コーエン兄弟のデビュー作であり、本年度アカデミー賞受賞の「ノー・カントリー」の完全無欠性を備えたコーエンらしい傑作スリラー映画である。
見事な予想もつかないシナリオの素晴らしい。

テキサスの田舎の町で酒場を経営するジュリアン(ダン・ヘダヤ)は、妻のアビー(フランシス・マクドーマンド)と従業員のレイ(ジョン・ゲッツ)の不倫調査を、私立探偵(M・エメット・ウォルシュ)に調査を依頼、不倫の証拠をつかんだジュリアンは、今度はアビーとレイの殺害を探偵に依頼するのだが・・・これからのどんでん返しが汗に手を握る面白さなのである。

このアビーに扮するアホ面で美人でもないフランシス・マクドーマンドの男好きのする魅力たるや抜群、道理でコーエン兄の実際の妻でもある。調べてみたがこの女優はカナダ人で牧師の娘、イェール大学スクール・オブ・ドラマ(Yale School of Drama)で学んでいる。ちなみにその時のルームメイトはホリー・ハンターである。日本の馬鹿面のミーちゃんハーちゃん俳優は実際に馬鹿が多いが、いつも言うように欧米の俳優はそのインテリジェンス、教養など演劇に相応しい素地があることが日本の映画界と根本的に異なるのである。

コーエン兄弟の映像のち密さと画面に惹きつける魅力を堪能できる優秀作である。今のDVDは1984年のものを、2001年にコーエン兄弟の再編集により、ディレクターズ・カット版としさらに洗練されたものである。
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2.アメリカ映画「ファーゴ(Fargo)」1996 ☆☆☆
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コーエン兄弟の円熟作といわれるこの作品だが、僕は初期作「ブラッド・シンプル」や最近の「ノー・カントリー」などに比べ低調さを否めない。

ノースダコタ州の都市ファーゴを舞台に、実際に起きた殺人事件を主題として描いている。

アカデミー主演女優賞にフランシス・マクドーマンドが、そして脚本賞に輝き、カンヌ国際映画祭でも監督賞を受賞している。

あの「ブラッド・シンプル」で妖艶な白痴的色気で観るものを悩殺したフランシス・マクドーマンドがなんと10数年の年月を経て、こうまで年老いたか白人女性の急激な熟成と衰退に哀れさえ感じるが、演技としてはこの映画では妊娠したウイットとユーモアに溢れる知的な警察署長の役柄で登場、凄惨な殺し合いに人間味を添えるのである。

ミネソタ州ミネアポリスに住むウィリアム・H・メイシーが扮する自動車セールスマン、ジェリー・ランディガードが義父から金をせしめるため妻の偽装誘拐を二人の男に頼むのだが、結果は惨たらしい連続殺人事件を招く。ウィリアム・H・メイシーはいつも善人か誠意溢れる役柄がお得意だが、この映画では救いがたいほどどうしようもない娘婿役、あまりに馬鹿げているので、この映画の価値を下げているほどである。

フランシス・マクドーマンドの演技は勿論素晴らしいが、この年にアカデミー賞の主演女優とはいかに他に候補がなかったのではないかと思うほどである。
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3.スペイン映画「キカ(Kika)」1993 ☆☆☆☆
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巨匠ペドロ・アルモドバル監督・脚本である。いつもながらの原色を使った強烈な色彩感覚による絵画のような画面に圧倒される。そしてスペイン語がその色彩に見事にマッチするのである。

映画はメイクアップアーティストのキカを中心に彼女の天真爛漫で奔放な人柄を通じて、人間愛、そしてレイプされた相手でも許す、誰も憎まない、恨まない、それは究極の宗教心まで感じさせる人間像を描いているのである。

アルモドバル監督作品を観る際のキーワードは同性愛それに加えて生命至上主義である。

映画はキカは妻を自殺で亡くしたという作家ニコラスと出会い、関係をもち始める。ある日キカは、ポックリ死にしたニコラスの息子ラモンの死化粧を頼まれるが、そのラモンはなんとキカにより蘇生する。それをきっかけいに「人間愛」に満ちたキカは年下でカメラマンのラモンと同棲を始める。一階上に暮らす父親ニコラスと息子ラモンと同時に関係をもつキカだが、ある日、メイドでホモのフアナの実弟で脱獄囚ポールにレイプされる。
この二つの階の出来事を外部から描写する映像は絵のように美しい。室内装飾の原色の色合いも強烈ながら見事な調和がある。スペインのパッションともいえる。

一方世の中の醜聞を売り物の覗き見TVジャーナリスト、アンドレアはニコラスの正体を追い詰め暴いていく。そして殺人事件・・

絵のように美しい色彩とそれをバックにする赤裸々な人間模様、アルモダバルの真骨頂ともいえる映画である。アルモダバルの映画は人間の血をどろどろと描くのが常である。この映画も血糊がべったりと描かれ、それが赤色の絵具のように、それはパッションの象徴でもありドラマを美しく昇華させるのである。

最後の場面で若い青年にヒッチハイクされたキカが、その青年の魅力に、大切な用事も反故とし、数時間前の惨事を忘れたかのように即座に惹かれてしまう、そんなあっけらかんのキカこそが、この映画でアルモダバルが求める理想の女性として描いたことが良く分かる。いや人間を愛して愛し尽くす生命賛歌のアルモダバルそのものなのである。それにしてもキカに扮するヴェロニカ・フォルケが慈愛に満ちた明るさを見事に演じている。
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4.アメリカ映画「パーフェクト・ストレンジャー 原題PERFECT STRANGER」2007 ☆
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矛盾だらけの殺人事件の謎ときストーリーをITにて誤魔化しているものであり、見ていてペースについていけない。こういう緻密さのない雑なストーリーは「ラスト7分11秒を迎えるまで決して見破れない事件の謎」などと宣伝文句を並べても納得できない。

「チョコレート」にて第74回アカデミー賞で有色人種としては初の主演女優賞に輝いたハル・ベリーの魅力は画面から発散するのは否めない。またブルース・ウィリスの渋い演技もある。豪華キャストで制作した典型的商業主義サスペンス。
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5.日本映画「突入せよ! あさま山荘事件」2002 ☆
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若松孝二監督が、体制側から描いた映画であり学生側が描かれておらず憤りを感じて「実録連合赤軍」を制作する動機となった映画である。

長野県軽井沢町で1972年2月19日から2月28日に起きた、あさま山荘事件を当時指揮幕僚団として派遣された佐々淳行の原作を映画化した。

後藤田長官のまさに偽善ともいえる指示「犯人を生け捕りにせよ。銃の使用は許可を得てからにせよ。」なるまさに加害者の生命まで配慮する(後藤田は殺して殉教者とならせてはいけないと言うが)戦後の日本を象徴するかのような平和主義の無力さが、乱射する犯人たちに石を投げたりまさに素手で立ち向かう警官の姿に描かれるのである。観ていて将来の中国や朝鮮の攻撃に対して何も反撃できない今の日本の縮図が、犯人VS警察官として見えるのである。

加えて警察庁と長野県警の縄張り争いの醜さ、物事の目的完遂するよりも面子にこだわる日本の官僚機構は、現在でもそのままである。

警察官の尊い命が失われたことに対する非難の目、突撃して人質救出や犯人逮捕にこぎつけても、難癖をつけ目的完遂への祝福がないマスコミや日本の戦後の病理など、まことに空しい気持ちが伝わってくる。

この映画は原田眞人監督で役所広司が佐々を演じているが、映画としてお粗末極まりない。まず極寒下での攻防戦の緊迫感が若松の映画のようにリアリズムとして観る者に伝わってこないのである。犯人を絶対悪として体制側から救出作戦を描くこと自体、僕は若松が言うような異存はないが、それなら警察官を英雄的に戦う姿として描くべきであり、余りにも警察官が情けなく描かれている。つまり日本映画は戦闘場面や銃撃戦を描く素地が戦後の平和ボケで無くなったいつものパターンの貧弱な例である。これでは貴重な命を落とされた警察官も報われない。
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◎阿嶋彩子の料理つれづれに (30)<現地食材の良さ>
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私は海外旅行をすると、日本で食することが出来る料理の種類の多さを度々感じ、日本に住む私達は食生活の面において多くの国の料理を日常的に楽しむ事に恵まれていると改めて思う。又食材や調理器具も海外から入ってくる今日では尚更の事、楽に現地の美味しさを味わう事ができるようになった。

海外や地方の食材入手に関してはデパートの地下食品売り場の拡充によるところが大きい。珍しい食材は売り始めた頃はあまり売れていなくても段々皆がその食材に慣れてきて、買って帰り日常に食するようになるのである。デパートという人の集まる所の情報や文化発信の力の強さを感じる。

人々が普通に望む程度の美味しい食材や料理が手に入る中で暮しているという生活状態が、真に幸せであるかどうかと考えると、これは案外そうではないかもしれない。幼い頃 福井県の敦賀の親戚の家に夏休みに数日遊びに行った事がある。その夏は暑い日続きで、水の中に器に入って浮かんでいるお饅頭が大変美味しく初めて食した味は忘れられなかった。それからずっとアノお饅頭が東京で売っていないかと気に掛けていた。数年前から流行し始めた「水まんじゅう」であった。このような想いは地方産物のよさであり、その地だけしか食せないというステキな夢である。

何もかも東京で求める事が出来ると思っても、やはり無理なものがあり、其れは『新鮮な食材』という事である。クールや冷凍が進んでも土地の取りたての味は遠い場所では無理である。以前にドイツのデュッセルドルフで友人のマンションに遊びに行き、そこで行商のオバサンが売りに来る朝掘りの白アスパラを友人が求めてくれた事がある。ナマのまま薄く切ってサラダにして朝食に出してもらい、甘みのある美味しさを味わった。又それに少し砂糖を入れた熱湯で立てた状態で茹でても、日本で食するのとは格段に美味しかった。木から叩いて落とした栗の実もナマで食すと、新鮮なナマ独特の甘さがあり、このようなものにはアクも少なく野生動物のご馳走味覚を垣間見る思いがする。又ポルチーニ茸もナポリでサラダでも食せたが、東京ではソティーにして頂く。やはり採れたてという条件にはこれをカバーする手法はない。

アマダイを京都ではグジと呼ぶが、この魚は身が柔らかく遠い場ではナマで食することが難しいらしい。京都の黒酢米のアマダイ寿司は逸品であるが、店で頂く以外では作ってもらい、その日のうちに頂くという条件でのテイクアウトしか東京で頂く方法はない。このようにまでして食したいこのお寿司はアマダイ独特の身の柔らかいネットリとしたウマミが他にはないのである。

以前に文明堂のカステラをお菓子工場から出来立てを調達してくださった事がある。いつもの味とは大きく異なり、ふんわりとした正に出来たての食感であり、店売りとの差がこんなにも大きいのかと驚いた。都内での身近なことでも、美味しい最上の時を得る事はなかなか難しく、これこそが究極の現地食材かもしれない。

食材が楽に手に入る今日でも、その場でしか食せない食材や食し方に魅力的なものも多くあり、その事は食好きな気持ちを魅了する。流通が困難でなかなか手に入らないという事が原因での珍しさも食の夢を与えるのである。時代の便利さで失う「珍しさ」という美味しさや便利のお陰で得る美味しさ、それでも尚、現地でしか食せない微妙な味、私達がこれ程までに美味しさを楽しめていられるのは、平和な世だと感謝する。
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◎廸薫の「タカラジェンヌが日本舞踊家になったわけ」
其の十六「桜、桜・・・のお話」
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 今年は例年より一週間も早く開花宣言が有りました。自宅を出てすぐの所に大きな桜の樹が有るのですが、この樹の桜も今日はもう五分咲きくらいになっていました。今週末は満開ですね。でも毎年「花に嵐」はお決まりで、満開になった頃、花散らしの雨が必ず降って、本当に容赦なく開花したばかりの美しい花を散らすのです。それも花びらだけではなく、花の形のままに風に翻弄されて落花する桜の花をいつもひやひやと見守っています。今年も少しでも長く持って欲しいと思います。

桜といえば入学式。少し前までは入学式の頃に文字通り花を添えるかの様にタイミングよく満開になったものですが、季節も徐々にずれていっているようです。が、厳密に言うと温暖化以前に日本の四季は江戸時代とは大きく異なっているのです。江戸時代の四季は1月〜3月(春)、4月〜6月(夏)、7月〜9月(秋)、10月〜12月(冬)でした。私達の感覚でいくと2ヶ月程のずれを感じるのではないでしょうか。
ところが日本舞踊の歌詞を読むとその季節感がはっきり記されています。例えばお正月に関係のあるものは必ず「初春の〜」なんていう歌い出しが有りますし、5月あやめの季節の演目に「あやめ浴衣」なんて夏に着る浴衣の歌があります。朝顔は夏の花の印象を受けますが、実は万葉集で山上憶良が詠んでいる秋の七草の中に「萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝顔が花」と秋の花として読み込まれています。今は余りにも季節感がずれているので、「朝顔」の変わりにいつの頃からか「桔梗」が秋の七草の中に入っているのが一般的です。
このような季節のずれは、それまでの太陰暦を止めてグレゴリオ暦(太陽暦)等と言う物を採用して時から起きてきたものだと思われます。なぜならば日本では1872年(明治5年)にこのグレゴリオ暦が採用され、同年12月3日を1873年(明治6年)1月1日としたということですから、ここで既に1ヶ月のずれが生じています。
こうして徐々に季節の歯車が狂い、季節とともに自然的に行われていた文化的な行事が実感の伴わない形だけのものになってしまったように思います。四季の無い、季節の変わり目を重要にしてない、日本と感性の全く違う国の「暦」を、なぜこの世界に類を見ない繊細な美しい四季を持つ国が導入しなければならなかったのか、ひいては世界中が時を違えてこの暦に統一しなければならなかった理由は何なのか。不思議でしようが有りません。
世界基準を設けることは必要だったのかも知れませんが、そのことによって果たして文化が崩されていく必要があったのでしょうか?
 
 ご多分に漏れず、私の愛して止まない桜も西行法師の有名な句に『願わくば花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ』と有るように、実は「きさらぎ(如月)」つまり2月がその時期だったようです。
私事になりますが、「桜」はいつの頃からか私にとって特別の存在です。私の中では「ぱっと咲いてぱっと散る潔い花」という一般的な印象よりも、季節ごとにその姿を変え、冬は枯れ木のようであっても又季節が巡って来ると毎年満開の花を咲かせるその強かさと、それを感じさせない華やかさが私にとって理想の女性像となっています。願わくば私もそんな桜の様な女性で有りたいと思います。

 そんな訳で、私にとって特別の存在の桜に関する、他愛も無い夢が2つ有ります。
1つは大願が成就し、少しゆっくり出来るその時期が来たら、南から北に桜前線を追いかける旅をする事です。1月の沖縄の開花宣言を皮切りに、5月中旬に北海道の開花宣言が出されるまで4ヵ月もの間、桜を楽しむことが、この細長い土地を持つ日本だからこそ許されている楽しみ方なのです。今のところいつになるのか全く目処が立ちませんが、きっと実現したいと思っています。
 2つ目は、桜の苗木を植樹し名前を付けて、そこを自分の永眠の場所とする事です。春になると毎年桜が咲き、私の上に花吹雪を散らしてくれたらきっと寂しくないでしょうし、土に戻った私が美しい桜を咲かせる為の養分になれたら、私自身がその大好きな桜になる事が出来る気がするのです。実際には現在の日本で土葬は許されていませんし、出来ても親しい人に頼み込んでこっそり分骨してもらうのが精一杯でしょうが、海に散骨するみたいに、腐葉土か何かと混ぜて桜の木の根本に埋めてもらうことが出来れば良いのになと思います。先の西行法師の詠まれた句と、私も同じ思いです。西行法師は自らの願いの通り、文治6年(1190)春、桜の咲く満月の美しい2月16日に入滅したそうですが、羨ましい限りです。私も是非あやかりたいものです。
メルヘンだかオカルトだか分からない不気味な話になってしまい恐縮ですが、私にとって桜はそんな生と死の両方をイメージさせ、その両方の世界を結び付けている何かであることは確かなのです。

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7) 受講をご希望の方は下記事務局までご連絡下さい。 

4月・5月講座開講日のお知らせ
日 程 
4月 5日(土)  /  13日(日)
5月 10日(土)  /  18日(日)

尚、6月からは夏に向け、浴衣の着付け講習を致します。
親子でカップルで是非ご参加下さい。

時 間  !)13:00 〜 15:00 !)16:00 〜 18:00
場 所  〒102-0073東京都千代田区九段北4-3-6
(JR中央線、新宿線、有楽町線、南北線市ヶ谷下車徒歩約5分)
受講料   正 会 員   1回 ¥2,000
賛 助 会 員  1回 ¥2,500
一   般  1回 ¥3,000

お申込/お問い合わせ 
NPO法人日本人のアイデンティティを育む会紫(し)薫(くん)子(し)の会(かい)事務局
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-9-8パレロワイヤル永田町203
TEL 03−3500−2533 FAX 03−3500−2206
E-MAIL  shikunshi21@dream.com

花柳廸薫(はなやぎ みちかおる);
NPO法人日本人のアイデンティティを育む会・紫薫子の会 代表理事 
社団法人日本舞踊協会正会員。
兵庫県神戸市出身。三歳より花柳流日本舞踊の手ほどきを受ける。宝塚音楽学校首席入学。宝塚歌劇団退団後、花柳流師範資格を取得。歴史街道推進協議会、関西フォーラムに参加したことを機に、アメリカ(ワシントン、ミネアポリス、ニューヨーク)東南アジア(インドネシア、シンガポール)にて舞踊公演を行うなど、ワークショップや文化交流、結婚式、祝賀会、レセプション等の舞踊活動を中心に、古典に基づく独自の舞踊活動を国内外で行う。平成十七年NPO法人日本人のアイデンティティを育む会・紫薫子の会(しくんしのかい)を設立。日本舞踊のみならず、日常生活から消え行こうとしている日本伝統文化に警鐘を鳴らし、啓蒙普及活動をライフワークとして本格的な取組みを始動。                                        
ご意見箱アドレス; michikaoru@hotmail.com 
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次回の配信は3月29日(土)を予定しております。どうぞお楽しみに!
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