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甦れ美しい日本 第158号

発行日: 2008/2/8

□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2008年2月9日 NO.158号)

  ☆☆甦れ美しい日本☆☆

☆・・・・私たちは書きたいから書くのです・・・・
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< 目次 >
  
◎松島悠佐の軍事のはなし(58)「防衛省改革は国際的視点で!」

◎レギュラー執筆者 
      
1.佐藤 守      大東亜戦争の真実を求めて  151
2.奥山篤信   ドイツ・イギリス映画「アース EARTH」☆☆☆自然の生態系のすばらしさ  
3.西山弘道    「ロシアの情報工作」
4.松永太郎    (続き)戦争の世紀 4  ピーク・オイル Century of WAR   William Engdahl   Pluto  Press  London 2004
5.藤岡知夫 日中友好は南京大虐殺紀念館を閉館させてからにすべきだ。映画「南京の真実」の試写を見る。

◎阿嶋彩子の料理つれづれに (23)<柚子>

◎奥山篤信の映画評論 

1.中国・アメリカ映画「ラスト、コーション 原題LUST, CAUTION/色・戒」☆☆☆☆☆
  --- 究極の愛と性 映画芸術の粋--- 

◎奥山篤信のDVD映画評論 
1.アメリカ映画「ファム・ファタール 原題: FEMME FATALE」☆☆☆
2.アメリカ映画「シャーロット・グレイ CHARLOTTE GRAY」☆☆
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◎松島悠佐の軍事のはなし(58)「防衛省改革は国際的視点で!」
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昨年来の懸案だった補給支援特措法も何とか成立し、インド洋での給油活動再開に向けて海上自衛隊の護衛艦・補給艦が出航しました。しかしこの法律も1年間の時限立法で、秋にはまた次の法律を作らなければなりません。
このような場当り的な対応を改めて、自衛隊の海外派遣の基本的なことは恒久法に定めるべきとの意見も強くなり、与党の合同部会も設置されようやく具体的な検討に入ることになりました。

この際、単に国内の議論だけでなく、国際的な視点に立って、自衛隊の任務の付与や、武器使用の権限などを検討してもらいたいと思います。新補給支援特措法の議論の際もそうでしたが、「給油した油が目的外に使われたのではないか」、「何時、どの艦に、何ガロン供給したのか明らかにせよ」、「給油先に問い合わせ、航海日誌を公表せよ」等など、国会での与野党対策が中心の議論となり国際的な視点が忘れられ、それがまた、守屋前次官の事件と絡んで、ますます内向きなものとなってしまいました。

守屋事案は、自衛隊にかって奉職した者として大変恥ずかしい話ですが、目下防衛省はこれを機に再発防止のための組織改革を検討しています。官邸には防衛省改革会議が設けられ、有識者の意見を聞きながらまとめられるのだろうと思いますが、ここでも国際的な視点に立って改革を進めて欲しいものです。
これは防衛省に限ったことではありませんが、事件の再発防止を狙いにした組織・制度の見直しでは、往々にしてその事象だけにとらわれた対処療法的なものになる傾向があるからです。

例えば、公務員の過剰接待が問題になると、その節度を正すために公務員倫理規定を作り、「お茶は飲んでも良いが、茶菓子はダメ」などと瑣末なことを決めたり、政官の癒着が問題になると、政治家と公務員の接触を禁じる措置を考えたり、目先の事案の再発防止だけを考えた事務処理的な措置が先行し、結局、政官民協力のあるべき姿、正しい姿まで潰してしまう結果になりかねません。
目下防衛省改革については、「文民統制、秘密保全、調達改革」を三つの柱として、石破大臣の下で検討が行われていますが、補給量の取り違え事案や航海日誌の誤破棄などの不適切な処置の是正、防衛調達の透明性確保のための商社との対応や水増し請求をチェックする組織の強化などを図るため、内局と陸・海・空幕僚監部の統合や再編成、背広組(文官)と制服組(自衛官)の交流などが考えられているようです。これらはいずれも業務管理の透明性・効率性・便宜性など、事務処理的な視点が主体となった改革案のような感じがします。

文民統制(シビリアン・コントロール)については、このメルマガで以前にも書かせていただきましたが(軍事のはなし・54)、政治が軍事に優先するというシビリアン・コントロールの本質から見れば、「統制機能を発揮する防衛大臣がめまぐるしく交代しないで済むような制度」や、「大臣に就任する議員の国家戦略的思考を育てる制度」、あるいは先に安部前総理が進めようとした「日本版NSC(国家安全保障会議)の設置」など、国家戦略をしっかり策定する機能を強化することが重要ではないかと思います。

また、防衛装備品の調達についても、「自衛隊の近代化に必要な精密兵器のほとんどをアメリカ・ヨーロッパからの輸入に頼っている体制はこれでよいのか」、「国内防衛産業の育成施策は現状でよいのか」、「武器輸出禁止の政策はこのままでよいのか」、さらには、「核を含む戦略兵器のすべてをアメリカに依存している体制はこのままでよいのか」等など、防衛装備品の研究・開発・取得の基本的なあり方を考えることが重要ではないかと思います。

わが国の安全保障が国内の議論だけではすまないことは、世界地図を広げれば一目瞭然です。領土・領海・領空の保持も、通商・航行の安全確保も、周辺海域での資源開発も、海洋から大陸へ、また大陸から海洋とへの大きなうねりの中で戦略を考え対応しなければなりません。わが国はその大きなうねりの中のほんの一局部でしかないことを認識する必要があります。

アメリカの次期大統領選の帰趨によって、今のブッシュ大統領の先制攻撃論はどのように変わるのか、それによって日米安保のあり方・米軍再編への取り組みがどのように変わるのか、台湾総統選挙の帰趨によって中国・台湾の関係はどう変化するのか、それによって南西諸島への軍事的圧力はどのように変わるのか、韓国新大統領の下で朝鮮半島情勢はどう変化するのか、それによって対ミサイル防衛や対核防護をいかにするのか等など、グローバルな視点から戦略的に判断しなければならないのが、目下のわが国の安全保障環境です。

それを忘れて議論すると、折角の防衛省・自衛隊の組織改革も、とりあえずの事故再発防止策になってしまいます。わが国の置かれた国際的な環境、さらにはそもそも軍隊とはいかにあるべきかという視点から、大局を見て改革を進めてもらいたいと思います。             (20・2・7記)

松島悠佐(まつしま ゆうすけ);
元陸上自衛隊中部方面総監
防衛大学卒業後、自衛隊入隊陸上幕僚監部・防衛部長、第8師団長(熊本)
等の要職を経る。
平成7年阪神大震災時、中部方面総監として活躍。
同年中部方面総監で退官。著書に「阪神大震災・自衛隊かく戦えり」(時事通信社刊)
がある。 現在、危機管理などの講演を精力的に行う。
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◎レギュラー執筆者 
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1.佐藤守
  大東亜戦争の真実を求めて  151  
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 中国の天洋食品から輸入した「毒入りギョーザ事件」で、マスコミは連日大賑わいだが、問題は「油」も「食糧」も、敵性国家に握られていることに気がつかない、この国の「脳天気ぶり」にある。つまり、国家安全保障体制を全く無視した「拝金主義国家」に成り下がっていることに気がついていないのである。
今回の“事件”は、混入?した薬品による一部の被害で終わったからよいようなものの、我が国の恐るべき検査体制の実態が明らかになったことは、今後テロや外国からの侵略に大いに手を貸すことになりかねず、こんな暴露報道自体がこの国の安全保障に関する無関心さ、異常さを表している、と私は思う。
今後は、これに学んだ敵性国家が、トリカブトのような毒物を“徐々に”浸透させてこの国を内部から崩壊させようとするだろう。1930年代の我が国が国家安全保障に関しては、今ほど無様だったとは思えないが、しかし、同じような「性善説」に基く外交振りだったと思われる。
少なくとも、私がこれまで縷々書いてきたように、当時の日本の指導者達は、中国の国内体制を確実に掌握し切れていたとは思えない。ましてや、シナを支配していた先進国家群の実態には手が届いていなかった様に思われる。
 それは、例えば前々回に「補足」解説した中国に対する列国の軍事支援に関してみても良く分かる。米国は支那事変勃発以前から、蒋介石との間に密接な関係を持っており、彼もまた欧米各国から軍用機の輸入に余念がなかった。軍用機を輸入するということは、必ず「軍事的ひも付き状態」になるのであって、軍事のエキスパートが装備品と共に入国して中国軍の指導に当たる。
 ロバート・ショートは例外だとしても、ジュエット米陸軍退役大佐は明らかな蒋介石の軍事顧問であった。いや、ショートにしても、上海事変に参加していたわが海軍飛行隊と「交戦」したのだから、明らかに国際的事件であった。この事実をつかんだ時点で我が国は、直ちに米国に抗議すると共に、世界に宣伝すべきであった。
 ソ連製戦闘機で参戦していたソ連パイロットに対してもその処置を取るべきであったろう。その後ノモンハンで銃火を交えたとはいえ、日ソ不可侵条約を締結した仲であったはずである。
 話は逸れるが、ヒトラーがユダヤ人を迫害したため、多くのユダヤ人達が極東に逃れてきたが、それを知った松岡洋右、東条英機、板垣征四郎の3人は、日独伊、3国同盟を結んでいたにもかかわらず毅然としてユダヤ人の亡命を救った。このように物事の本質をつかんだ外交こそ、当時の混沌とした情勢下では必要だったはずである。それがなぜか「中国」だけに焦点が当てられ、それを支援する諸外国に思考が及ばなかったのが不思議でならない。
「マオ」は、当時の米国内の事情を次のように書いている。
「アメリカでは、一月二二日付の『ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン』紙が共産党側の主張に極めて好意的なエドガー・スノーの記事を掲載した。記事は、『先の軍事衝突(注:!)南事変)に関して初めて信頼すべき報告をお伝えする・・・』という書き出しで始まっていた。しかし、スノーの記事は香港在住の中国共産党スパイから聞いた話に全面的に依拠したものだった。
 共産党側の主張が全世界に伝えられる一方で、それ以外の見方はアメリカ国内のモスクワ支持者や中国共産党支持者によって棚上げされてしまった。ヘミングウェイは皖南事変の直後に中国入りし、共産主義勢力に対する鋭い観察眼で次のように書いている。『・・・・・・忠実な共産主義者として、彼らは・・・・・・紙面上でどのような制限に同意しようとも・・・・・・影響力を拡大しようとするだろう』。共産主義勢力の『極めて優秀な宣伝活動』のおかげで、『アメリカは抗日戦争において彼らが果たした役割を過大に評価している。確かに彼らは相当な働きをしたが、中央政府軍の働きはその一〇〇倍も大きかった』『スペインにおける私の経験からすると、共産主義者たちは往々にして、本当に戦ったのは自分達だけである、と印象付けようとするものだ』
 ヘミングウェイほど有名であれば、その見解は世論にかなりの影響を与えただろうと思われるが、右の文章は一九五六年まで日の目を見なかった。ローズヴェルト大統領の側近だったカリーという男が、一九四一年の時点でこれを発表するのは好ましくない、『我々の政策は内戦を思いとどまらせることにあるのだから』と説得したのである。
 ホワイトハウスの大統領補佐官(主席経済顧問)ラフリン・カリーは、皖南事変直後に中国を訪れた。アメリカがソ連の秘密交信を解読した結果(VENONA資料)、カリーはソ連に協力していたことが分かった。ソ連のスパイだった、とする説もある。ローズヴェルト政権とスパイに関する最近の信頼できる研究は、カリーは『操りやすいシンパ』ではあったがスパイではなかった、しかしホワイトハウス内におけるソ連の『友人』ではあった、と結論している」
 何のことはない、当時のわが近衛政権中枢にも、尾崎秀美とゾルゲというソ連の『友人』がいたことは周知の通りである。これは作家やジャーナリストに限らず、あらゆる部署にソ連の『友人達』が潜んでいたのであり、米国も例外ではなかったことの証明であろう。                      (続く)

佐藤守:
防衛大航空工学科卒(第7期生)。
航空自衛隊に入隊
戦闘機パイロット(総飛行時間3800時間).
外務省国連局軍縮室に出向。三沢・松島基地司令、
南西航空混成団司令(沖縄)を歴任.平成9年退官.
岡崎研究所特別研究員.軍事評論家.
日本文化チャンネル「桜」軍事コメンテーター.
著書に「国際軍事関係論」
ブログ;http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
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2.奥山篤信  
ドイツ・イギリス映画「アース EARTH」☆☆☆ 自然の生態系のすばらしさ
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地球上の生命の神秘について、「ディープ・ブルー」の同じスタッフが集まり映画制作に五年、撮影日数延べ2000日、撮影場所全世界200という空前のスケールと費用をかけた。

分かりやすいので映画のウェッブサイトよりそのまま引用すると;
・・今からおよそ50億年前、巨大な隕石が地球に衝突。その衝撃は深く、地球そのものを23.5度も傾けることに。しかし、この衝突は大惨事となるどころか、“生命の星・地球”の誕生に大きく貢献することになった。この傾斜がなければ、今のような多種多様な地形、美しい四季の移ろいすらなかっただろう。そして、生命が生息するための完ぺきな条件もそろわなかったのだ。・・

地球温暖化のために北極の凍結面積が減り、北極クマにとって狩猟に必要な足場面積が減ったため、従来の獲物であるあざらしの逃す羽目になり、セイウチという牙をもった獲物と対峙せねばならなくなった。そして子供を狙うが固くガードされ、結局セイウチ集団はあっけなく逃げてしまう。あるのは北極クマの飢えによる野垂れ死にである。

大自然の営みはまさに弱肉強食のドラマである。このドラマを時系列で捉えるこの映画の凄さは機材の優秀性はともかくスタッフの忍耐と執拗な追いかけだと本当に感心してしまう。
環境問題には最後クマの件で触れるが、あまり押しつけがましくない。むしろ観客を映像のサファリを楽しませてくれるのである。そこには動物共通の家族愛や母親の愛がある。そしてパブリックな公的な場として天敵から集団を守る掟がある。世界でこの基本を乱したのは人間様ではないのだろうか?その動物様の生態系をめちゃめちゃにしているのも人間様のエゴイズムなのである。

奥山篤信:
京都大学工学部建築学科卒
東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社 
平河総合戦略研究所代表理事
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3.西山弘道 
 「ロシアの情報工作」
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 内調=内閣情報調査室の職員が、ロシア大使館員に情報を漏らしていたとして、警視庁公安部から書類送検され、懲戒免職された事件は、西側国家となったロシアでも共産体制から引き継ぐ秘密国家体質は変わらないことを如実に示した。内調といえば、その内実はともかく、国内外の秘密情報を内閣に集約させる最高の組織である。その組織の職員がロシア側に秘密漏洩をしていたというのだから、公安当局のショックは大きい。内調を管轄する町村官房長官が責任をとって給与の一部を返上するというのだから、いずれ内調のトップである三谷内閣情報官ら幹部の進退にも波及するであろう。

 問題の職員は、ノンキャリだが52才のベテラン職員で、ロシア大使館の2等書記官から接触を受け、情報を与える代わりに金を受け取っていたという。職員には当の2等書記官も含め3代にわたって異なるロシア大使館員の接触を受け、総額400万円に上る金品を受け取っていたと言う。2等書記官は昨年12月出国したが、GRU=ロシア軍参謀本部情報総局に所属していたという。

 このニュースを聞いて、私も10数年前のことを思い出した。当時、現役の政治記者であった私は、或る日、東京内幸町にあるプレスセンター内の丸善書店(今はジュンク堂書店)で北朝鮮関係の本を物色していた。その時、スーと影のように外国人が近付いてきた。「金日成に興味があるんですか?」と流暢な日本語で話しかけてきた。本人はソ連(当時)の雑誌「今日のソ連邦」の記者だと名乗った。お互い記者同士だったので、私も彼の誘いに応じて近くの喫茶店に入り、話をした。

 その後、月に1,2回ほど彼から連絡があり、喫茶店や居酒屋で会って、彼に日本国内の政治情勢などをレクチャーした。それから3ヶ月ほどたった頃、彼が「もうすぐ、あなたの誕生日ですね、私にプレゼントさせて下さい」と言って、万年筆を差し出した。私はどこで彼が私の誕生日を調べたのか、不審に思ったが、万年筆位ならいいだろうと思い、受け取った。それからまた1ヶ月ほどたった頃、彼は「自衛隊が今度、○○の基地で演習をするそうですが、その周辺の地図を入手できませんか?」と持ちかけてきた。さすがの私もこれにはピンときて、断固断った。以来、彼からは連絡はなくなったが、その後、私の会社に関東公安調査局と名乗る人物が訪ねてきた。「西山さん、あなたが付き合っていたソ連の記者は実はエージェントで、正体はGRU=赤軍参謀本部の大佐です。」と明かしたからビックリしてしまった。それに公安は、私と彼が会った回数、日にち、場所まで全て把握しており、交わした話の内容まで、おぼろげながらつかんでいたことを知らされ、2度驚かされた。当然、公安はこのソ連人記者を早くからマークし、マンツーマンで尾行していたのであろう。
 公安のこのマンツーマン方式は現在でも重要対象者すべてに続けられていると思われる。
ソ連が崩壊し、左翼過激派が壊滅した今、公安の存在価値が云々されているが、産業スパイの暗躍や、中国、東アジア情勢の複雑化でむしろその存在は高まっているとも思う。

 そんな中で起きた今回の“内調事件”で不思議に思うのは、三代にわたって引き継ぎを行ってきたというロシア大使館の歴代調査対象人物を公安が、見過ごしてきたのか、それとも“泳がせていた”のかだ。マンツーマンの公安の力量が健在ならば、今回の“内調事件”は未然に防いでいたと思うのだが・・・

 海自の3等海佐らがイージス艦の中枢情報を漏洩した事件で、米国は我が国の防衛秘密が守られていないとしてF22戦闘機の供与を拒否するなど日本のノー天気な「スパイ天国」ぶりは世界にも知られている。スパイ防止法がない日本では、東京のあちこちで中国、ロシア、北朝鮮、それにCIAの工作員が今日も情報戦にしのぎを削っているのが実態なのだろう。
 
西山弘道;
ジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、文化放送で30数年、放送記者として
活躍。政治担当として、三角大福中、安竹宮の「永田町戦国史」を取材。
2005年10月、文化放送を退社、以後フリーのジャーナリストとなる。
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4.松永太郎 
 本の紹介  (続き)戦争の世紀 4  ピーク・オイル Century of WAR   William Engdahl   Pluto  Press  London 2004
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 「戦争の世紀」 A Century of War を書いたイングダールは自分でブログも書いている。その中で、面白い記事があったので、ご紹介したい。
一つはピーク・オイルに関するものである。ピーク・オイルというのは、世界の石油産出量が、2007年から12年にかけて、その頂点(ピーク)に達し、あとは減少していく。したがって、石油価格の上昇は不可避である、という理論でアメリカのアメリカBPのコリン・キャンベルやテキサスのマット・シモンズらが唱えた。この理論が、非常に説得力があるのは、石油の貯蔵量というのは、なんとなく有限だろうとみな感じていること、ある油田の貯蔵量が半分以下になれば、そこからの汲み上げコストは急上昇するだろうということは、すぐ納得できるからである。
アングロ・アメリカ金融体制は長い間、「黒い金」を裏打ちに力を振るってきた。つまりOPECの石油決済をドル建てで行い、それを預金させてできた膨大なマネー(ペトロダラー)を、今度は貧乏国(中南米や東欧)に貸し出しを行い、その国を債務付けにする。これがペトロダラー・リサイクルである(キッシンジャーは、ヨム・キパー・戦争を起こさせて、石油価格を急上昇させている)。
このためにはまずOPECの石油生産が、世界の生産のほとんどを占めていなければならない。また石油消費国、ヨーロッパやアメリカ、日本などが、このアラブ・オイルを購買するということが前提である。ピーク・オイル理論はさらにその石油の価値を高めるものであった。

 ところが冷戦終結後、1990年初期、ロシアとウクライナの中間にあるドニエプル・ドネツ平原で油田が発見されたのである。現在のプーチンの権力を支えているものは、この発見である。そして、この発見の裏にあったのが、非常に興味深い理論であった。
冷戦期、自国の油田開発を迫られていたソヴィエトは、独自の理論によって油田探索を行っていた、という。それは、石油が、いわゆる古代の植物や生物の化石からできているという西欧の理論を否定するものである。ロシアの科学者たちは、それを「非−生物理論」と読んでいる。すなわち、石油は生物の化石からではなく、より始原的な、地球内部の溶解によってできたものである、という理論である。現にこの理論によってドネツ油田が発見されたのであるから(試掘の成功率は60%を超えている。これはアメリカの理論による成功率10%をはるかに超えている)まんざら、でたらめでもないのだろう。

この発見を行うためには、現在よりもはるかに深く掘らなければならないが、いずれにしろ、これはピーク・オイル理論を否定するものである。ピーク・オイル理論は、石油の生物理論を前提としており、それは石油層が地殻の比較的浅い層に存在するということを結論として導くからである。そんなに深いところに化石があるわけがないからである。

もし、今後、この理論がさらに証明されていけば、世界のシステムの一環が変化する。すなわちロシアが石油産出で世界的な力を持ち、アングロ・アメリカ石油−金融体制に変化を起こさせるかもしれない。現にEUの一角であるギリシャは、ロシアと直接、パイプラインを結ぶ計画を立てている。そしてEUは、それを歓迎している。またロシアはシェヴロンのパイプラインの自国通過を許していない(言うまでもなく現アメリカ国務長官コンドリーサ・ライスはシェヴロンの元重役である)。

アングロ・アメリカ地政学者たち(「グランド・チェスボード」を書いたブレジンスキーやライスのような)は、これらのことが、その悪夢であるユーラシアの出現の兆候である、と考えるかもしれない。サダム・フセインは自国の石油をユーロで決済することを許可した。湾岸戦争が開始されたのは、それから間もないころであった。

松永太郎;
東京都出身 
翻訳家、多摩美術大学講師、レモン画翠社長
主訳書「進化の構造」「イカロスの飛行」他。
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5.藤岡知夫
日中友好は南京大虐殺紀念館を閉館させてからにすべきだ。映画「南京の真実」の試写を見る。
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昨年の12月13日、南京市の南京大虐殺紀念館が、40億円もかけてリニューアルし、オープンしたらしい。蒋介石の捏造によるこんな事件の紀念館を作られて、尚かつ日中友好に走るなどとは、なんと日本政府は馬鹿なのだろうか。
南京大虐殺とは、南京を放棄して逃げた蒋介石軍が、その直後から10ヶ月の間に300回記者会見をやっているのに、こんな事件については何も言っていないし、その後終戦までは何も問題は出ていなかった。それなのに東京裁判に於て、始めて連合軍が持ち出してきた事件で、松井石根大将が責任を取らされて、A級戦犯として処刑されているが、でっち上げの事件であることは、現在100%明かである。
イギリスのジャーナリスト、テインパーリーなど、裁判で重要な証言をした外国人達は全て蒋介石の諜報部員であったことが、既に明らかになっているし、また彼等が証拠として出した写真は、蒋介石軍と中共軍との戦いの写真であったり、2枚の写真を合成した捏造写真であるとか、全てインチキであることも、明らかにされている。(色々報告はあるが、最も詳しいのは北村稔「南京事件の探求」文春新書2001。また東中野収蔵他「南京事件証拠写真を検証する」草思社2005、では、支那側が提出した143枚の写真全てを3年かけて検証し、証拠写真として使えるものは1枚もないと立証している。)
殺害された人数にしても、東京裁判の時には12万人であったのが、その後20万、25万と増え、現在の支那の学校の教科書及び紀念館では30万人ということになっている。しかしそもそも日本が南京を占領した時点での人口は、日支戦争の監視をしていた国際委員会の記録でも20万人で、それが1ヶ月後に25万人に増えている。人口が増えるということは、安全だから人が集まって来たのであるし、そもそも20万人しかいないところで、どうやって30万人殺すのか、この一つを見てもこの事件が全くでっち上げの事件であることは、納得がいく。
そもそも妊婦の腹を割いて胎児を出したりというような残虐行為は、人肉を食う支那人の御手のもので、日本人には絶対にできないことである。
昭和に入って蒋介石軍と日本軍が戦った時、日本軍は捕虜になると局所を切り取られたり、耳を削がれたりすることが、度々起きて、それ故に捕虜になるくらいなら、自決しろということになって来たので、日本軍も日露戦争までは捕虜になることをそれ程嫌ってはいなかったのである。近年のベトナムやカンボジアで支那が戦ったときに、彼等が如何に残虐な行為を行ったかを見ても、類推出来る。
100人斬りにしても、当時の新聞社が面白く報道したヤラセ事件であったことも、明らかになっている。(鈴木明「南京大虐殺の幻」文芸春秋昭和48年、向井千枝子「裁かれる100人斬り捏造報道」諸君2003年9月等々)
支那政府にしても、毛沢東や周恩来の時代には南京事件の事など、全く言わなかった。それを江沢民になって、一つは日本を強請り、自分達が上位に立ち、上手くいけば日本から金を巻き上げるため、他の一つは、毛沢東を始め、共産党が全部で8千万人とも言われる支那人をやく殺した事実を隠蔽するために言い出したのである。こんな紀念館などを作って反日的な教育を行っている国と日本が、友好関係を結ぶなどというのは大間違いである。
日本政府は毅然としてこれに抗議をし、こんなものが存在している限り、絶対に日中友好など政府レベルではやるべきではない。


以上の文章を書いた時点で、南京事件に関する映画が日本サイドで作られて、その試写会が1月25日にあるというので、勇んで見に行ってきた。試写会は座席数1100人の有楽町よみうりホールで午後6時から始まるというので、丁度6時に行ったら、殆ど満員で、空いている席を探してくれるまで15分待たされ、その15分にどんな場面があったかは、知らないが、昭和22年に行われた東京裁判に於て、A級戦犯として死刑判決を言い渡された東条英樹氏を始めとする7人が、昭和23年12月23日に処刑される2日前、12月21日に23日の死刑執行を告知した日からの3日間の行動について、刻々とその行動を追ったものである。そして東宝映画などで戦争中に撮影したフィルムを発掘して、随所に流して、誠に貴重な作品である。
問題の南京陥落の直後の映画では、南京の市街の殆どは、支那兵によって焼き払われており、その中を日本軍が整然と入場していく。日支戦争に対しては欧米諸国による監視委員会が出来ていて、不正なことがないか常に監視されていたのである。これも殆ど全ての日本人は知らなかった事実である。そして20万人の南京市民は、この国際委員会によって、戦闘の現場から離れた安全地帯に集められ、保護されていたのである。国際委員会の下の安全地帯にいる住人などを、日本人が虐殺などしようがない。そして映画に写された南京市民は皆ニコニコしていて、日本人が食料やタバコを与えようとすると、嬉しそうに大勢集まって来る姿も明確に映されている。
しかし南京では戦争があったのであるから、双方に死傷者が出たことは当然であって、日本側の死者が1600人、負傷者が4600人で、死傷者合計で6200人、戦闘による犠牲者が出ていて、当然支那側にもそれ以上の死傷者は出ているであろう。そして生き残った支那兵は服を脱ぎ捨て武器を隠し持って、南京市民の安全地帯の中に逃げ込んだのがかなりいて、彼等が市民達に対してかなり暴行を働いた。そして支那兵の行った暴行の数を過大に言って、支那側が日本の犯行だと言っているだけであろう。
しかし日本側の暴行や強姦なども、皆無であった訳ではない。松井大将は東京裁判に於て、連合側の主張するような12万人の大量殺人事件など絶対になかったと否定してはいるが、他方に於て、日本側の暴行も皆無ではなく、支那人民に対して暴行をはたらいた日本人の将校1人と兵隊3人を日本の憲兵隊が逮捕して、軍法会議にかけて処刑したということも述べていて、南京陥落を完全な姿でやりたかったのだけれども、数少ないと言えども不祥事があったことを誠に残念に思うと述べている。
この映画で示された戦争中の日本側の記録は、南京事件などでっち上げだという重要な証拠であり、是非日本国側として使うべきであると考える。
この映画の筋書きは、米軍側の記録や、この7人を最後まで介護した僧侶、花山信勝の記録などに基づいたものであるが、A級戦犯7人の人間としての誠に立派な姿に、心から感動した。裁判中黙して何も弁明をしなかった広田弘毅を除き、「平和の罪」などという罪を新たに作って、自分達を裁くのは、誠に不当であるということは、6人は主張をしたようである。しかしこの7人全てに共通して、連合国は裁判で自分達を悪人と決めつける理由はないけれども、日本を敗戦に導いた責任は大きくあるし、また戦争で負けたものだから、殺されることは仕方がないと考え、堂々と絞首刑を受け入れているのである。一人一人、牢獄の中では、端然と静かに過ごし、絞首刑場に連れて行かれる直前には、皆与えられた葡萄酒を上手そうに飲み、ビスケットまで食って、堂々と絞首台に登る。武士道を絵に描いたような誠に立派な姿で、同じ日本人として誇らしく思った。
でっち上げの南京事件で処刑された松井石根大将など、部下に対する規律の厳しいことで有名で、他方大変な人情家で、南京の泥を日本に持ってきて、自分の住居熱海の泥と合わせて、興亜観音と名付けた観音像を焼き上げて、観音堂を作り、日本と支那両方の戦死者を弔って居るのである。自国の戦死者だけではなく敵の戦死者も一緒に弔うというところが、日本人の特長で、支那人とは決定的に違う点である。この観音は近く私も一度訪ねてみたいと考えている。
映画の中で松井大将を担当した米軍の検事の談話も出ているが、支那軍の責任者であったので、彼の家には支那の財宝が山ほどあるであろうと期待して家宅捜査に行ったら、粗末な借家住まいで、財宝のかけらもなかったと驚いていた。世界の常識では権力者になると、金や財宝を貯め込むのが常で、現在でも支那政府の権力者達はその典型的な例であるし、韓国ですら歴代大統領とその側近は自分の類縁者が汚職で金を貯めて、その次の大統領から告発され、死刑の判決を受けた人すらいる。アメリカでも、今大統領選挙を争っているヒラリー・クリントンが、ビル・クリントンの大統領時代自分の弟に多大な便宜を与え、現在それはもみ消されてはいるが、幾つもの不正があって一部は公表されていて、いざとなったらこれがヒラリーの最大のアキレス腱になると言われている。これに反し松井大将のみならず東条英樹を始めとするA級戦犯、処刑された7人全て、更には全ての日本軍人にも、このような不祥事は全くなかった。
第二次大戦を指導した軍人達は、確かに世界戦略についての洞察力がなく、勝つはずのない戦争に日本を引っ張ってしまったという日本に対する責任はあるけれども、自分達には全く私利私欲がない人達であったことは明らかで、日本人として誠に嬉しく誇り高く思う。このような事実は是非日本人全員に詳しく知らせるべきである。
この映画の最後の方で印象的だったのは、子供達が出てきて、これから日本の夜が来ると言っている点である。そうだ、正に日本は夕暮れになって、今現在の日本は夜が始まろうとしているのではないであろうか。

それにしても、日本人は金、金の国になり下ってしまったとは、何と情けないことであろうか。支那の共産党政府は自分達の言いなりにするために、相手政府の要人に金をばらまいている。日本では全く報道されて居ないが。アメリカでは、ビル・クリントンの時代から民主党に大量の金が支那から流れ、米国で大きな問題になった。日本も自民党内の野中など橋本派の面々や加藤紘一、山崎などは勿論の事、現在の政府の中で重要な地位を占めている二階とか、古賀とか、親中派が山ほど居る。彼等にいくら金が渡っているのであろうか、ジャーナリズムも金をもらっているから書けないのである。民主党では小沢を始め、昨年暮れの訪中団では500人もの大集団が、北京に詣でたということである。全く情けない限りである。日本はどうしたらよいのであろうか。

藤岡知夫(ふじおか ともお);
昭和35年慶應義塾大学工学部電気工学科卒
昭和40年同大学院工学科博士課程終了 工博
昭和54年同大学教授に就任
平成2年東海大学開発技術研究所教授に就任
平成6年東海大学理学部物理学科教授に就任
平成12年財団法人応用光学研究所理事長に就任
専攻 レーザー工学 レーザー物理学
著書に
「レ−ザ−がひらく21世紀」(三田出版会、1990年)
「光・量子エレクトロニクス」(オ−ム社、1991年)
「オプティカルパワ−」(裳華房、1994年)
趣味の蝶関係では「日本産蝶類大図鑑」(講談社、1976年)
「蝶の紋」(河出書房新社、1973年)
「日本産蝶類及び世界近縁種大図鑑」(出版芸術社、1997年)など13冊。
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◎阿嶋彩子の料理つれづれに (23)<柚子>
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寒い季節は黄色いユズの季節である。中国から韓国を経由して飛鳥時代頃に日本に伝わったとされている柚子は、韓国ではマーマレードのように煮こんだ物をお湯でといた「柚子茶」があるが、これも伝来の過程をたどった食べ物なのだと思う。最近では柚子蜂蜜など時々濃縮ジュースとして売られているのを見かけ、求めて飲むと和製のホットレモンのようで美味しい。

私は幼い頃からの習慣で、冬至の日には柚子を布袋に入れて、お風呂に浮かべて入浴している。これを浮かべると柑橘類独特の良い香りがして、気が休まるような感がして肌もツルツルするようで心地良い。「柚子湯」にする事からも判るように血行が良くなる効果があり、寒かった昔の生活の中では、ひび割れやアカギレを直す効果があった。又温まる事から風邪の予防にもなり、神経痛や腰痛にも効き目があるとされた。

柚子のひとかけをお汁に浮かべたり、酢の物や鍋物のダシに入れたりすると香りがよく黄色の色も美しく、この香りの助けで料理が一段と美味しく感じられる。又 柚子の中身をくりぬいてその中に白身魚のスジメやコノワタなどをいれると、見た目に加えて柚子の風味も手伝って綺麗な一品が出来る。

「ゆべし」は柚餅子と書くが、これは柚子を丸ごと使って作る保存食である。これには二種類あって、おかずとしてのゆべしとお菓子としてのゆべしがある。おかずとして食す方法は柚子の上部を切り中身を取り出して、その中に味噌を入れて蒸し、日影で一ヶ月以上乾燥させてこれを薄く切って食す。友人が家で作ったと言って持って来て下さった事があり、薄く切って頂いてみると何とも言えない風味があったことを思いだす。酒の肴としても珍重されると聞くが、この風味ならと納得出来た。柚子とお味噌の組み合わせを考えてみると、「ゆず味噌」というものも存在するのであるから、相性の良い組み合わせなのである。

お菓子としてはもち米と味噌、これにクルミや砂糖を加え、本式には数ヶ月もかけてあめ色になるまで何度も乾燥させたり蒸したりを繰り返すらしい。私はお菓子を地方のお土産に頂いたことがあるが、これは茶席のお菓子にもなるだけあって、中々風情のあるものだった。「ゆべし」と言う名のお菓子でも、柚子を使っていないものもあり、ただ餅米粉を使ってクルミが入っており、上にゴマがふってある素朴な味のものもあった。

私は幼い頃に住んでいた家に柚子の木があり、何となく柚子というものがとても身近な食品で、又食品としてだけでなく生活の中に溶け込んでいたように思う。一本の大きな柚子の木から、人は色々な楽しみを与えられるのだと改めて考えると、今日のように出来あがった完成度の高い品を求めるばかりではなく、一つの食品を多用に楽しむ知恵を私達は持ち続けたいものだと思う。
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◎奥山篤信の映画評論 
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1.中国・アメリカ映画「ラスト、コーション 原題LUST, CAUTION/色・戒」☆☆☆☆☆
--- 究極の愛と性 映画芸術の粋--- 
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たまたま原題に忠実に名前をつけたと思って、ラストがLast,コーションがcoercionなのか、つまり直訳として「最後の強制」、映画を見るまで想像していたら、間にカンマがあるではないか!それならそのまま英語読みはおかしい!映画興行にあたっている人間の教養程度の低さを如実に物語っている。昨年ヴェネチア映画祭金獅子賞を受賞した。

原作家は張 愛玲(ちょう あいれい1920年- 1995 )で、この映画を見たあと早速読んでみた。約40ページだがピリッと胡椒の利いた作風である。日本の支配下であった42年の上海を中心に遡って5年の香港と上海を舞台として、緊張下における男女の愛と性を、占領下にありながら贅沢の限りを尽くした当時の上流階級のアンニュイ(ennui)を散りばめて描いている。張自身も実際上海の名門の生まれであり祖父は清朝末期の名臣張佩綸、祖母は清朝末期の洋務運動の指導者の一人であった李鴻章の娘であった。

この30分もあれば十分読める短編の珠玉原作を二時間半もの大作に、その格調高い文学の香りを維持しながら脚本展開したのがこの映画である。あの同性愛ホモ映画でアカデミー賞作品賞の寸前までいった『ブロークバック・マウンテン』のアン・リーが監督である。僕はこの『ブロークバック・マウンテン』についてはかって酷評した。その同じ監督とは思えないほど、今回の映画は見事である。

一万人のオーディションから監督が選んだというタン・ウェイの初々しい魅力とその性的エロティシズムの変貌をみるにつけ、オーディション出身とは思えないほど、女スパイ王佳芝(ワン)を見事な演技でこなしているのである。そして相手は中国映画にとってはなくてはならない大きな存在である世界的俳優トニー・レオンが汪精衛(王兆銘)南京政府の情報大臣易(イー)を演じている。

上海の裕福な坊ちゃん壌ちゃんの集まる大学演劇部が抗日に手を染め、その傀儡ともいえる汪精衛の犬であるイーを暗殺しようと企てるところから話が始まる。そして香港にて親の金で豪邸を借りワンがイー邸に入り込んでいくのである。お芝居の延長のようなスパイごっこが遂には血みどろの殺人となる。僕らの世代の全共闘運動がやがて殺人へと、そして殺人がその思想の実践であると狂信するまでいった、あれと同じような経路なのである。

ワンは身持ちの良い学生であり、性経験がない。いよいよ次のデートで、イーよりこれを求められるのは必至。夫人と名乗っているので処女ではまずい。一方仲間もほぼ童貞であり、一人だけ売春宿に出入りした経験者がおり、彼に破瓜の役割をしてもらう。このあたりが喜劇風で映画の面白さを盛り上げる。そして香港での暗殺は失敗、そのあとの惨劇と殺人。ワンはこの事態(無駄に処女を捨てた、思いをはせるユイミンの優柔不断、吐き気を催すような惨劇)を心のトラウマとして、上海に戻り黙々と学生を続けていたのである。

ワンは三年後あるとき香港事件の仲間と遭遇し、今度はあまちょろい演劇集団ではなく本物のテロ集団の一員として、命を張ってイー暗殺を行うことを誓うのである。ワンの心理変化には、忘れられない香港でのイーとの楽しい食事のひと時があり、だがそれは自己矛盾に満ちた確実に破滅的な危険な道となるのである。

上海で再会したワンとイー、まさにそこには男と女の激しい性愛、それは弄り弄られる世界の究極のエクスタシーの世界である。男女の愛など善人だから悪人だからなどというものではない。
イーが最後にうそぶく台詞、これは原作からであるが;
「毒なきもの男にあらず」だ。このような男でなければ、彼女だって愛してくれなかったはずだ。

この激しく燃える性愛の世界こそ、緊張下にある男女とり現実を忘却させ、警戒心を緩めてしまう世界である。猜疑心が強く、絶対に人を信じないイーが肉欲の淵まで陥ったのは、相手のワンも同様スパイとの役割を忘れ心身ともあけっぴろげに許してしまっているからで、そうでなければ相手の心など謀略は読めるはずである。そして暗殺の時が来た。・・・・・・

6カラットのダイヤモンドの指輪をからめた洒落たプロット、身の危険を避けるため自分の車に水平に飛び乗るシーンは今までの映画でユニークである。
何よりも男女間の愛の極みと言える宝石店でのイーの慈しむ優しさとワンのイーへの最後の言葉!この場面の演技は観客を圧倒するものがある。

トニー・レオンのよき夫の顔、鬼気として肉欲を貪る顔、そして自虐的な顔、そして愛憎を噛み潰した顔、実に見事な芸術的ともいえる演技である。

この映画は、日本の保守派が正当化する王兆銘政権を日本の犬と呼び、そして日本の謡曲をボロカスに叩き、スケベ軍人が日本料理屋で騒いでいるなどとらえて、目くじらをたてて反日映画などと言わないでほしい。そんな狭量な人は映画を観る資格なしである。だいたいこの映画の主題は命がけの緊張下にある男と女の愛の本質を驚くべき繊細さで描いた恋愛映画であって、それは政治映画でもなくスパイ映画でもないのである。

この映画あと11か月あるが僕の選ぶ2008年トップ3位に確実に入ると予想する。それほど素晴らしい男女の心理とプロットの面白さ、それに美しい映像とサントラである。どうかその激しい性描写だけ捉えて変態監督がこんどはホモからサドマゾなどと興味本位の解釈はやめてほしいものである。
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◎奥山篤信のDVD映画評論 
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1.アメリカ映画「ファム・ファタール 原題: FEMME FATALE」☆☆☆
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冒頭坂本龍一のサントラ、ラヴェルの「ボレロ」を連想する音楽で犯罪の動きをリズム感をもって描写する。カンヌ国際映画祭のメイン会場、ル・パレでの出来事である。
そして舞台は7年後のパリを舞台に後日談。
ブライアン・デ・パルマ監督のミステリアスな手法は、あの巨匠ヒッチコックを思い出す。美しい凝りに凝った映像、見事なリズム感、度肝を抜くどんでん返しなど、まさに独壇場である。
カメラアングルで逃げる女の足元、それを追う二人の男の足元、合計6足の動き観ていて小気味よい。

ファム・ファタールとは男を堕落させる魔性の女である。裏ぎりが生きがいのような悪党ぶりの女をレベッカ・ローミン=ステイモスそして南欧の男の魅力満載のアントニオ・バンデラスがパヴァラッチに洒落た犯罪劇を軽快に描くのである。まさに悪の美学を描くこの映画、最後にどんでん返しの巻き戻し、パルマ監督が優れものである由縁だ。
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2.アメリカ映画「シャーロット・グレイ CHARLOTTE GRAY」☆☆
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ケイト・ブランシェットの演技を堪能できる映画である。この女優は麻薬シンジケートと戦い殺されたアイルランドの英雄女性 ヴェロニカ・ゲリンなど個性的な役柄を見事こなすのである。近日公開の「エリザベス」が楽しみである。

さてこの映画はイギリス人の看護婦が恋をした英軍パイロットが撃墜されたフランスへとの動機も作用して、英国諜報員としてフランス反ナチレジスタンス運動に参加することになる。

フランスの南部の美しい田園風景を背景にブランシェットの颯爽とした緑と葡萄酒色のコンビネーションのファッションは目立ちすぎるとは思うも、この映画はスパイ映画でもなんでもなく、ユダヤ系の富裕親子の葛藤やユダヤの孤児や二人の男性への恋などと取り混ぜながら描いた映画でやや凡庸でありきたりな筋書きには失望する。
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次回の配信は2月16日(土)を予定しております。どうぞお楽しみに!
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