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甦れ美しい日本 第131号

発行日: 2007/8/11

□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2007年8月11日 NO.131号)

  ☆☆甦れ美しい日本☆☆

☆・・・・私たちは書きたいから書くのです・・・・
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< 目次 >
◎ゲスト執筆者

  塚本三郎  参議院選と安倍首相の決断 

◎松島悠佐の軍事のはなし(41)「防衛大臣の資質と自覚」 

◎福田秀人の「日本の経営を斬る」13:小さな問題に対処できずして、大きな問題に対処できるはずがない

◎レギュラー執筆者 
      
1.佐藤 守     大東亜戦争の真実を求めて 126
2.奥山篤信   いまこそアメリカの原水爆投下を議論すべき時だ
3.西山弘道  「江田新参院議長」

◎奥山篤信の映画評論 

1.アメリカ映画「消えた天使 原題 THE FLOCK 」☆
2.アメリカ映画「プロヴァンスからの贈りもの 原題 A GOOD YEAR 」☆☆☆☆


◎成澤秀麗の書で語る美(13) 「貫」
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  塚本三郎      
  参議院選と安倍首相の決断          
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正念場を迎えた民主党

 民主政治とは、世論という神の見えざる手による業か、或いは愚かなる民の政治か。
マスコミの予想通り、参議院選挙は民主党の圧勝となった。政府、与党の自惚れに、反省と自戒を求める、神の厳しい戒めではないか。
民主党は、早速参議院議長の席を占め、安倍首相の退陣を求め、更に政権交替の為に、まず衆議院を解散せよと主張している。勝利を与えてくれた民意を、そのまま衆議院選挙へと繋げて、政権交替への道を拓くべく主張している。
民主党が、責任ある政党として、信頼し得る政党と、国民は期待したのであろうか。
 民主党勝利のキメテは、安倍内閣による、「敵失」である、と各紙は報じた。例えば、攻撃に晒された年金問題、加えて閣僚の不適切発言、及び政治家とカネの問題等、各閣僚の不信についての、任命責任が安倍首相に大きく問われた。
それ等の点について、国民の不安と不信の怒りを、完璧に捉えて選挙に臨んだのが小沢一郎氏であった。小泉前首相そっくりの手法、即ちワンフレーズを逆用し、マスメディアを百%活用し、敵失を巧みに利用した。とりわけ、一人区で圧勝したのは、小泉首相の「自民党をブチ壊す」との言明によって、厳しく対処した成果でもある。
 ありていに言えば、過疎地こそ、田中角栄政治の金城湯池であった。即ち、大都会から吸い上げた税金を、これ等の地方へ、補助金、交付金、土木、建設予算として、自民党ならではと、莫大な資金を注入し、援助漬けにして守って来た、保守王国の地域であった。
 小泉内閣は、それを寸断して、喝采を浴びた。しかし、振り返ってみれば、中央からの援助を分断されたことを憎んだ、この地の人達は、田中角栄の申し子と自負した小沢一郎、田中真紀子が、「弱者切り捨て、生活第一」と、改革に対する不満を煽り立てた。その作戦が功を奏して、二十九の一人区において二十三県で民主党勝利の逆転劇となった。
寒村僻地の振興は、「自立させる為の具体策が不可欠」で、中央からの援助のみでは、永久に、かかりびととして一人立ち出来ない。そこにメスを入れたのが小泉前首相だった
折角、小泉氏が改革を進め、地域格差是正の為の第一歩を進めたのに、その最初の痛みを取り上げて、再び田中角栄氏の列島改造の昔に戻して良いのか。
保守党から革新野党に移った、小沢一郎氏と田中真紀子氏が、革新政党の頂点に立って、昔の利権政治を取り戻すことを、「弱者切り捨て」と切り返した。その叫びを少しも不思議に思わず、大々的に加勢したのは多くのマスメディアだった。結果は驚くべき一人区の逆転劇となった。
この選挙で年金の不信を暴き、国民の怒りを煽って勝利を得たが、今後は、民主党ならばどう改めるのか、具体的政策を、堂々と示し、国民の支持を得なければならない。
 まして、衆議院の解散を求めて、政権を期待するならば、国家の基本である憲法改正、外交、防衛、更に教育の基本に対する「理念と政策の提示」が不可欠である。
 国民の不信と不安を煽り続けた民主党は、今日まで、政権担当に必要な、国政の基本問題については、具体的に提示することを避けて来た。否、政策として議論を深めれば、種々の異なった思想の集団であるから、政党としての結論を得るまでに、分裂の危機を招く心配があった。だから単に「反自民」で集まった党と、揶揄された。
民主党は、大躍進したことで、漸く正念場を迎えた。今改めて国政の基本と、課題を国民の前に明確に示さねばならない。
当面の課題として、十一月で期限が切れる、テロ対策特措法。国際貢献のための自衛隊のインド洋派遣に対し、小沢一郎氏は延長反対を表明した。
選挙で勝ったから、安倍を追い詰めたいからといって、「日本を国際的孤児」に追い込んでよいのか。かつて湾岸戦争で、莫大な金を提供しながら、人と物を惜しんで軽蔑された二の舞は、自由世界に住む日本の恥の上塗りとなる。勝者民主党には重責が待っている。

泥沼に立つ安倍首相

窮地に陥っている安倍首相は、個人的には恐らく、責任をとって辞任したいであろう。
 年金の問題に加え、僅か十ケ月足らずの間に、四名の大臣が辞任せざるを得ない事態を
招いたことは、自らの任命責任と、未熟さを悟らざるを得なかったはずだ。
恵まれ過ぎる環境に生まれ育ち、充分な経験を経ないまま、日本国家の頂点に位することが出来た安倍首相には、大変なツケ、余りにも手厳しい試練が待ち受けていた。
今日の選挙結果をみて、天は何事も平等だと見せつけられた気がする。この際は、一歩引いて、再起を期する手も無くはなかった。まだ若いから次の機会はきっと出て来ると。
だが本人は、苦難の泥沼を突き進むと決断した。苦難を試練と活用する決意とみた。
首相の責任は極めて重い。個人の「意志や情」以上に、憲法の条文、与党内の情勢、更に国際的外交関係等々、一身上の都合での進退は出来かねるものである。
 憲法第五十九条には「参議院で否決された法案は、衆議院で三分の二の議決で法律となる」と明記されている。現在与党は、衆議院で三分の二以上の議席を占めているから、国会運営は厳しいし、安易に用いるべきではないが、この条文の如く国会は乗り切れる。
そして自民党内に、安倍首相に代る、救国に燃えた有力候補が現状では居ない。次の交替の準備なき時は首相の交替は、党だけではなく、日本の混乱を招くだけではないか。
 安倍首相はこれらの点を勘案して続投を決断したに違いない。安倍路線は真っ当である。そして憲法改正、教育基本法改正、防衛省への昇格、更に高級官僚の天下り禁止の措置等々は、自民党本来の主張であり、短時間で成立せしめたことは見事であった。
もちろん、小泉前首相の衆議院選の圧勝の遺産の賜でもあった。
それをしも、事毎に急いだゴリ押しと、各メディアは繰り返した。一定の審議時間を経て、なお議決を行なわせない為の、物理的抵抗を排除したが、なおゴリ押しと評した。
年金に対する社保庁の、考えられないような事態は、既に語りつくされている。その責任は、政府と長官に在ることは言うまでもない。それと共に、その悪の同伴者は、野党と彼等を支援して来た自治労と呼ぶ、左翼労組であることも、時と共に明白となっている。
それをメディアが殆んど報道することなく、一方的に、今度だけは「安倍を倒せ」と言わぬばかりのやり方は、言論の自由の偏向ではないか。
政治とカネについても同様である。政治献金を廃して、政党助成金等の公金となったからには、その収支は明確でなければいけない。特に大臣ともなれば。
ならば他の議員はどうでも良いのか。小沢一郎氏が十億円を不動産に投資した点や、その他の話などはどうなったのか。なぜメディアは野党の不正の件は取り上げないのか。
 政治とカネの問題は、余りにも敏感な問題である。
「君主は、部下の命を取り上げることがあっても、財産には手を付けるな」と言ったのは『君主論』の著者、マキャベルリと記憶する。
 財産よりも人命の方が尊い。しかし、人命はやがて消えてなくなる。財産はいつまでも残、子から孫へ、一族に渡すことが出来るから。統治者の権力の本質を突いた言葉だ。
政治とカネ及び、不適切発言として、四名の大臣が交替の止むなきに至った。安倍首相の任命責任を問われ危惧されたのに、放置したことが致命的だった。

安倍は本来の主張を貫きブレルな

 従来の自民党は政治権力在っての自民党であった。かつて、細川、羽田両内閣の時、野党暮らしに堪えられず、ボロボロと連日の如く脱党する議員が続き、あと一年も経過すれば自民党は、溶けて無くなると評された時代があった。
 致し方なく、相対立していた村山富市社会党委員長を首相に、土井たか子氏を衆議院議長に、自民党が戴くという屈辱を重ねて、漸く政権を取り戻した。
 その為に日本国家は、どれ程の傷を負ったことか。日本が「謝罪国家」と軽蔑された村山談話は、いまだに日本外交に暗い影を引きずっている。
 今日の自民党は、公明党と連立政権を組んでいる、連立政権を非難するのではない。連立を保つならば、政権を維持する責任上、内部の対立する意見を、外に向かって述べるべきではない。にもかかわらず、事ある毎に与党内の意見の相違が、弁明らしく外に向かって語られれば、安倍内閣は「ブレている」とみられる。
安倍政権の最大の目標は、憲法改正であり、教育基本法の改正であり、高級官僚の天下り禁止等であると表明して来た。既に成立した教育基本法は、公明党への配慮からか、基本的な部分で、修正を余儀なくされた。憲法改正の柱は第九条の改正に在る。公明党は第九条は改正しないと言明している。まして、外交防衛について「日米同盟」を重視する自民党と、それに対立する「親北京」の公明党が、どうして同一政権内に居られるのか。
政権欲しさゆえの「野合」とみられて、自民党も、公明党も支援者のみならず一般評論家からも冷笑されている。
そもそも、従来から自民党を支持して来た保守主義者は、共産党と公明党を、最も避けるべき党と自認して来た。
永く自民党政権を支えて来たと自負する、多くの自民党支持者は、今回の選挙では、心ならずも、民主党へ投票した人が余りにも多かった。一部の調査では、前衆議院選で投票した人の半分は民主党に逃げたという。
それら身内とも言うべき、旧来の自民党の支持者を振り捨てて、公明党と二人三脚をいつまで続けるつもりなのか。
失礼ながら、公明党が自民党の「生命維持装置」と呼ばれるのは勝手である。しかし、本体の自民党は、やがて衰弱して自立不可能となる。それは双方にとって不幸である。
安倍首相は、本来の主張を貫き、徹してブレてはならない。それが為に政権を失うことも覚悟してかかるべきだ。自民党は浮沈をかける時が来た。安倍首相は未だ若い、しかし決意した以上、あとが在ると思うな。有権者は聡明と信じよ。自民党の盛衰は、日本国の命運に直結している。
                           
塚本三郎;                
愛知県名古屋市に生まれる 
鉄道省名古屋鉄道局に勤務し、県立中学校(夜間)に入学 
終戦とともに労働組合運動に従事 
運輸省に転勤し、中央大学法学部(夜間)に入学 
国鉄を退職し、中央大学法学部卒業 
昭和 33年 挑戦4回目にして初当選し、昭和生まれ初の代議士
(日本社会党所属)となる(以後当選10回) 
昭和 35年 民社党結党に参加 
昭和 49年 民社党書記長に就任(国鉄改革・電電公社民営化に取組む) 
昭和 60年 民社党中央執行委員長に就任 
平成 元年 民社党常任顧問に就任 
平成 9年 「勲一等旭日大綬章」を受章 
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◎松島悠佐の軍事のはなし(41)「防衛大臣の資質と自覚」      
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参院選後の自民党内は安部政権の去就でもめていますが、8月7日に行われた代議士会で、元防衛大臣であった中谷元議員、石破茂議員が安部総理への批判や退陣論を面と向かって主張している姿を見て、かって自衛隊に奉職した一OBとして大変恥ずかしく思いました。
前回、防衛大臣には男性が適するとの意見を書きましたが、これは事前にお断りしたように小池大臣の個人的な資質とは関係のない話でした。その時に、男性だから誰でも防衛大臣に適任というわけではないことも、書いておきましたが、最近は個人的な自覚が足りない防衛大臣が目に付きます。
「原爆投下はしょうがなかった」と発言して、急遽辞任した久間大臣については、発言の内容はともかくとして、参院選に影響を与えかねないとの配慮だけで猪突に辞任したことが問題です。
防衛大臣の立場は、同盟国との安全保障政策の連携も重要で、特に現在は米軍再編に伴う沖縄や岩国の再配置問題など多くの問題を抱えています。周辺諸国の情勢でも、北朝鮮のミサイル防衛、中国の戦力増強への対応など等閑視できない事態にあり、そのようなことを考えれば、防衛大臣の職は、国内選挙の思惑だけで軽々に辞任を判断してやめてしまうような職ではありません。
防衛大臣としての自覚が足りないといわざるを得ません。
中谷・石破両議員の行動は、自覚の欠落以上に防衛大臣としての資質を問いたくなるような問題です。
一国会議員としてどのような意見を持とうと、そのことをとやかく言う必要もないし、言うべきでもないと思います。
だが、防衛大臣は陸海空の三自衛隊を指揮する指揮官であり、一度でもその職に就いたということは、職を辞した後もかっての部下たちへの責任を負わなければならないものです。それが指揮官の定めであり、指揮官とは終生、かって指揮した部下と組織に対して責任を負うものです。
自衛隊で師団長・連隊長・飛行隊長・艦長などの指揮官を務めた者は、その時の部下は終生の部下であり、その時に指揮した部隊・組織の動向にはそれなりの責任を持つのは当然です。それを果たせない指揮官は、部下からも組織からも顧みられることはないでしょう。
安部総理は総理に就任して10ヶ月の短い期間ですが、わが国の安全保障にかかわる基本的な問題解決のために積極的に取り組んできました。憲法改正を自ら実現することを宣言し、これまで半世紀にわたってわだかまりを残してきた9条の改正を正面から取り上げる姿勢を示しています。集団的自衛権の問題、日本版NSCといわれている「国家安全保障会議」の改変、防衛省への移行、さらには国民の国家意識の基本となる愛国心や公共への奉仕の精神を取り入れた教育基本法の改正など、どの問題もわが国の安全保障にとってきわめて大事なことです。
私自身30数年の自衛隊勤務の間、常にこのような問題にぶつかり、早く解決してもらいたいと思い続けてきた問題ばかりです。それは現在の自衛隊員にとっても同じことです。
安全保障の基本的な枠組みができていない中で、自衛隊がいかに苦労しながら防衛の任についているのか、その実情に少しでも理解があれば、安部政権が取り組んできたことの意義が分かると思うのですが、残念ながら両議員にはそのような意識はなかったようです。
年金・税金・格差問題など、国内の社会問題に焦点を当てたメディアの誘導と野党の施策に翻弄されて、それに付和雷同したのが今回の選挙結果だろうと思いますが、そのような国家的な視点を欠いた選挙の流れに同調した結果が、あのような安部批判になったのでしょう。安部総理が取り組んでいる安全保障に対する基本的な姿勢を理解してあげるのが、かって防衛大臣を務めた議員の責任ではないかと思います。
安全保障はよく言われるように、選挙の票にもならないし、メディアも報道しませんが、その中で現場の自衛隊がいかに苦労しているのかを肌で感じられない防衛大臣がいたことは残念です。
中谷元議員は若い時には自衛官として隊員と汗を流した経験もあり、少しは指揮官としての自覚があるかと思ったのですが残念です。石破茂議員はそのような経験もないし、知識として防衛のことを勉強しただけだから、指揮官の真髄は分からないのかもしれませんが、しかし、曲がりなりにも防衛大臣を勤めたからには指揮官とは何だというぐらいの認識は持ってほしかったと思います。
このような意見に影響を与えているのは、かって2回も防衛大臣を務めた加藤紘一議員の存在があるのでしょうが、彼の場合は、親中国の姿勢が強く、国家防衛という意識は薄い人であり、両議員よりももっと根の深いものがあるようです。
特に、両議員が安部総理の面前で、テレビの放映を前提にしてあのような発言をした行動は、自党の総裁であり、しかも自衛隊の総司令官である総理に対して礼を失した行為です。議員としての意見はどうであれ、実に失礼な行為でした。
あれをテレビで見ていた自衛官たちがどのような思いだったのか両議員には分からないと思いますが、私自身自衛官OBとして、実に寂しい思い、恥ずかしい思いがいたしました。
自衛隊にとってというよりも軍隊にとって「礼節」は実に大事な資質です。旧軍の軍人勅諭にも「軍人は礼儀を正しくすべし」と謳い、自衛隊でも礼儀の大切さを教え、防衛大学校の精神徳目も「礼節・廉恥・真勇」を掲げています。
安部総理への批判があれば、総理に直接意見を具申すべきであり、わざわざメディアのまえで、自衛隊の総司令官である総理を晒し者にするような行為をしてはならないと思います。それを見た自衛隊員がどのような気持ちになるのかも察しがつかないような指揮官では指揮官の資格はありません。
前回でも話しましたが、防衛大臣には他の大臣とは違う三自衛隊の指揮官としての職責があることをしっかりと自覚しなければなりません。うわついた世論に迎合されず、また大陸からの教唆に惑わされず、国を守るということはどういうことなのか、軍隊・自衛隊を指揮するとはどういうことなのかを、しっかり理解できる大臣が望まれます。(07・8・10記)

松島悠佐(まつしま ゆうすけ);
元陸上自衛隊中部方面総監
防衛大学卒業後、自衛隊入隊陸上幕僚監部・防衛部長、第8師団長(熊本)
等の要職を経る。
平成7年阪神大震災時、中部方面総監として活躍。
同年中部方面総監で退官。著書に「阪神大震災・自衛隊かく戦えり」(時事通信社刊)
がある。 現在、危機管理などの講演を精力的に行う。
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◎福田秀人の「日本の経営を斬る」 13:小さな問題に対処できずして、大きな問題に対処できるはずがない
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○国民はケンカに強いリーダーを求めている

前回の衆議員選挙で圧勝した自民党が、今回の参議員選挙で惨敗した。しかし、安倍総理の政策方針は小泉前総理と変わらず、政策の良し悪しが影響したのではないと思う。少子高齢化が加速し、とてつもない財政赤字をかかえ、さらには年金問題など、過去の政治や行政のでたらめや不正のツケが押し寄せ、さらに、どんな深刻な問題が飛び出すか予断を許さない難局に敢然と挑み、戦う強いリーダーを国民は求めている。そして、選挙前に生じた数々の不祥事や閣僚の失言自体ではなく、それに対する安倍総理の発言や姿勢から、安倍総理を、難局と戦うリーダーに向いていないと評価したと思う。

国民が求めているのは強いリーダー、より端的に言えば、ケンカに強いリーダーではなかろうか。この点、小泉前総理は、強かった。なによりもすごいのは、はっきりと戦う相手を特定し、国民に支持を呼びかけ、政治生命を賭けて戦った。これに対し、安倍総理の発言からは、具体的に、どういった相手と戦うかが、はっきりとしない。美しい国づくりを国家戦略とし、その目標は列挙したが、そのために、いかなる相手と、いかに戦うかが不明である。これでは、戦略ではなく、願望にすぎない。しかも、すごい目標を掲げながら、閣僚の失言や不祥事にも、すべてが後手ないし成り行き任せになった。その原因は側近にもあろうが、小さな問題に、しっかりと対処できない人間が、大きな問題に対処できるはずがない。これは、ビジネスでも、同様であろう。

○戦いの9原則

アメリカ陸軍が、1918年に規定し、今日も用いている、次の「戦いの9原則」は、政治でも、ビジネスにも通用すると思う(陸上自衛隊の翻訳を少し短くした)。
1目    標:あらゆる行動を明確で決定的な目標(オブジェクティブ)に指向せよ。
2集       中:緊要な時期と場所に戦闘力を集中せよ。
3攻    勢:主導性を維持し、保持し、さらにこれを拡大せよ。
4機       動:戦闘力の柔軟な運用により敵を窮地に陥れよ。
5奇    襲:敵をその準備していない時期、場所及び方法で打撃せよ。
6指揮の統一 :責任ある単一指揮官の下に努力を統一せよ。
7簡       明:完全に理解できる明瞭で簡潔な計画と命令を準備せよ。
8節    用:非重点正面には必要最低限の戦闘力を割り当てよ。
9警    戒:決して敵に予期せぬ利益を与えてはならない。
これからすると、安倍政権は、失言や不祥事に奇襲されっぱなしであり、効果的な反撃をせず、民主党に予期せぬ利益の大盤振る舞いをしたといえよう。しかも、「主導性を維持し、保持し、さらにこれを拡大せよ」という攻勢の原則も不徹底だったと思う。おまけに、どう見ても、百戦錬磨の小沢党首の方が、安倍総理より格段にケンカに強そうである。

○柏崎で原発被災にノータッチ

後講釈であるが、中越沖地震の直後に、安倍総理が柏崎へ飛んだが、その時、その場で、東電の社長と原発の所長を呼びつけ、状況説明をさせ、対応のずさんさを叱り、ただちに政府の調査団をど〜んと送り込めば、ずいぶん見直されたように思う。不測の事態にどう対応するかがリーダーの腕の見せ所であり、そのありようが評価を大きく左右する。日本の原発の安全性、ひいては今後の日本のエネルギー政策を危うくする可能性が生じたのであり、総理が、そういった行動をしてもおかしくないはずでもある。また、それは、以下のコメントに示されるような、不測の事態への対応力を欠いた、国民の不安の源泉となっている官僚化や情報隠しと戦う姿勢を、目に見える形で示すものともなったはずだが、そこまで思い至った側近もいなかったのかもしれない。

1999年の東海村JCO臨界事故の検証作業に加わったスタッフ:「事故が発生した時、官邸は、何をしていたのか?担当者は、臨界事故対応のマニュアルを一生懸命探したが見つからず途方にくれていた。県は、臨界事故にもかかわらず、通常の原子力事故対応のマニュアルにもとづいて対応したために、臨界事故の重大性に気づかなかった。村は、マニュアル通りに国、県に問い合わせをしたが、的確な答えが帰ってこなかったので、どう対応していいのかわからなかった。マスコミはどう対応していいのかわからない国、県、村を中心に取材していたので事態の重大性に気づくのが遅れた。現場の責任者は専門知識があったので、目の前で起きている事態が臨界事故であると気づいて直ちに工場の従業員を緊急避難させていた。宮内庁やJRはそれを知るよしもなく、多くの列車、さらには天皇のお召し列車が、その近くを通過した」。

災害ボランティアNPOのリーダー:「安倍総理は地震後に直ちに柏崎市に入ったが、マスコミや被災者向けのパフォーマンスをしただけで、喫緊の課題である原子力発電所の安全問題には、なにも手を打っていません。やはり、彼ないしは彼のまわりには、小手先の広報マンはいても危機管理のセンスを持つ人はいないのかもしれません原子炉は非常停止し、基準にもとづく危険な放射能漏れは発生していないという点では安全なのかもしれませんが、問題は、想定にない破損や水漏れ等が発生している事態に現場が的確に対応できていないということです。ここからは想像ですが、現場は、この事態に関する事故対応マニュアルがないので、いちいち本社に指示を仰いでいるのだと思います。本社は、どう対応したらいいのかをいちいち監督官庁や関係機関に相談して、指示を仰いでいるのではないでしょうか。

今回のような重大事故にもつながる事態に直面して、なぜ政府は直属の専門スタッフ、調査員を直ちに現地に派遣して事態の対応に当たらせないのでしょうか。おそらくそこにはこんな意識があると考えられます。東電の敷地内で発生した事故なのだから、東電が対応するのが当たり前。東電の要請がないのに政府が動く必要はない」。


福田 秀人 (ふくだ ひでと)
76年慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了(経営学・会計学専攻)。以後、主に、企業の危機管理体制の開発・運用や経営再建支援に従事。また、横浜国立大学、慶應義塾大学、法政大学他の非常勤講師、及び、外務省ロシア知的支援プロジェクト講師、海上自衛隊幹部学校講師等を歴任。立教大学大学院教授(危機管理学)、放送大学客員教授(兼、危機管理学主任講師)。
著書:『見切る! 強いリ−ダ−の決断力』祥伝社06年、『管理職入門』東洋経済新報社9
2年、他多数。
福田永一のペンネームで、『誇り高き男たち:日本の自衛官』エイデル研究所83年、「士気と権威:自衛隊の統率基盤と課題」月刊朝雲84年11月、「対談:私の見た自衛官」防衛アンテナ84年8月などがある。
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◎レギュラー執筆者 
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1.佐藤守
 大東亜戦争の真実を求めて  126 
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 日本側が、西安事件を当時どのように捉えていたかについては、軍事関係者はもとより、報道関係者も、単なる国民党内の不満分子(張学良)によるクーデター程度にしか捕らえていなかったことがわかった。
国内の政軍関係者は、一様に日本国内での新聞・ラジオなどの報道に大きく影響されるから、現地中国国内にいて、報道の中心にあった松本重治氏が伝える論評の影響は大きかったに違いない。
しかし彼は「周恩来の西安入りの事実は、その執筆当時、私は全然知らなかった」し、「西安事件を考察するにあたっては、私は考察の焦点を、蒋介石と張学良と、そして両者相互の屈折した人間感情に当てることが・・・役立つものと考える」といい、「一番驚いたのが、陜西北部の保安にいた毛沢東や周恩来であったに違いない。モスコウが、西安事件は日本の謀略であると考えたことなどは、全く噴飯ものである」と考えていたのだから、そんな彼が書く論評は、日本政府・軍関係者の判断を大いに狂わせ、誤解を与えただろうことは推察できる。仮に彼がコミンテルンの“シンパ”であったとすれば、見事に我が国を欺くことに成功したといえようが・・・
ところがこの事件の真相はどうであったか?「マオ」に戻る。
「モスクワから見えないところで、毛沢東は蒋介石殺害が実現するようさかんに画策していた。西安事件の発生後はじめて張学良に送った一二月一二日付の電報で、毛沢東は、『最善の選択肢は【蒋介石の】殺害です』と力説している。毛沢東は、事件後直ちに最強の外交官周恩来を西安に派遣しようとした。周恩来はその年の前半に張学良と交渉の席に着いたことがあり、二人は馬が合うように見えた。毛沢東は集恩来に対して、張学良を説得して『最後の手段を実行させる』(周恩来の言葉)すなわち蒋介石殺害に踏み切らせるよう指示した」
 こうして毛沢東は周恩来を呼び寄せ、張学良に対しては「いかにも周恩来がモスクワとの間で調整した計画を携えて西安を訪れるかのようにほのめかした」のである。ところが「張学良が求めていたのは中国共産党経由で聞かされる口約束ではなく、ソ連が公式に発表する張学良支持の言葉だった。しかし、一四日にはソ連の二大紙『プラウダ』と『イズペスチャ』が一面に論評を掲載し、張学良の行動は日本を利するものであると強く非難して、蒋介石支持の姿勢を明確に打ち出した。蒋介石監禁から二日目にして、張学良は万事休したことを悟った」のであった。
 おそらく松本氏が「モスクワが西安事件は日本の謀略である」ととらえたことは「噴飯もの」と退けたのは、これらの論評を信じたからか、あるいは勘ぐれば“知っていた”からに違いない。
「周恩来が延安に到着してみると、迎えの飛行機など影もなく、町の城門から中へも入れてもらえなかった。周恩来は氷点下の寒さの中、一晩中城門の外に留め置かれた。毛沢東は張学良に当てて『衛兵は城門を開けず、当方の説明も聞かない』と電報を打ち、対処を強く求めた。張学良のかたくなな態度は、モスクワの方針に関して自分を欺いた中国共産党にどれほどの痛恨の怒りを感じているかを表していた」と「マオ」にはある。狐と狸の化かしあいは、狡猾な毛沢東の勝利に終わったのである。張学良の無念はさぞかしであったろう。
「一七日になって張学良は態度を軟化させ、大失策を収拾する方途を探りはじめた。延安に迎えのボーイング機が飛来した。張学良のお抱えパイロット、アメリカ人のロイヤル・レナードは、つい最近まで自分の飛行機に対空砲火を仕掛けていた共産党の人間を乗せるのだと聞かされてショックを受けた。雪になったその日の午後、帰りのフライトで、レナードはささやかな腹いせをした。『私はわざと気流の悪いところを選んで飛んだ』と、レナードは回顧録に書いている。
『時々振り返ってキャビンの様子を見ると、共産主義者どもが・・・片手で黒いあごひげを脇へよけ、もう一方の手に持った空き缶に吐いていた。いい気味だった』
 張学良は怒りに歯を食いしばりながらも表向きは友好的な態度で周恩来を迎え、話を合わせた。周恩来が蒋介石殺害を強く勧めると、張学良は耳を傾けるふりをして、『内戦が不可避な状態になって西安が【政府軍に】包囲されたら』と答えた」
そしてこのときの様子について、事件から五六年後に、著者(ユン・チアン)のインタビューに張学良は次のように答えたという。
「張学良はなごやかな雰囲気で話をしていたが、このときだけはモスクワと中国共産党に対する苦々しい思いをのぞかせた。決行の前に中国共産党はあなたに対するソ連の本当の姿勢を伝えていましたか、と尋ねたとき、張学良は突然敵意をむき出しにしてかみつき、『勿論、伝えてなどいませんでしたよ。あなた方は、ずいぶんと奇妙な質問をする』」                    (続く)
 
佐藤守:
防衛大航空工学科卒(第7期生)。
航空自衛隊に入隊
戦闘機パイロット(総飛行時間3800時間).
外務省国連局軍縮室に出向。三沢・松島基地司令、
南西航空混成団司令(沖縄)を歴任.平成9年退官.
岡崎研究所特別研究員.軍事評論家.
日本文化チャンネル「桜」軍事コメンテーター.
著書に「国際軍事関係論」
ブログ;http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
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2.奥山篤信  
 いまこそアメリカの原水爆投下を議論すべき時だ
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本年もうだるような暑い夏のもと広島、長崎での原水爆記念式典が行われた。
今年は久間防衛大臣の「しょうがない」発言が例によってサヨクが牛耳るマスコミ界の誇張宣伝でデフォルメさせ、被害者の心を傷つけたとの最近日本のお得意の「心を傷つけた」論議で、あらゆる議論を封じ込める役割を果たしたのは今まで以上であった。この問題については、日本国民は「言葉狩り」とも言えるほど、原爆の被害に対して被害者の立場を勝手に想像して決めつけて、「心を傷つける」常套文句で言論を封じるのである。

果たして原水爆という無辜の非戦闘員を無差別に虐殺しその犠牲になった人々は、このような「心が傷ついた。」議論を代表しているのであろうか。僕はそうは思わない。僕が直接あるいは肉親が犠牲になっていたとしたら、まず考えることは原爆投下に対する怒りと憎しみと復讐の念である。したがって原水爆を投下しいわば日本版アウシュビッツを具現したアメリカへの怒りであるはずだ。それもナチスがユダヤ人への差別からのホロコーストと同様に、日本人という黄色人種に対するアメリカ人の差別意識からの日本民族絶滅の意図からするホロコーストである。

アメリカはすでに勝利が確定していた段階で広島さらには長崎を核攻撃したのである。戦後ソ連を牽制するために、日本を実験場として核の脅威をPRする狙いもあった。無辜の日本人のホロコーストの犠牲の上においてである。戦争を早く終わらせるための人道的な原水爆、だから「しようがない」まったく冗談じゃない!久間発言はまずこの事実認識から間違っているのである。

戦後ユダヤ組織が執拗にナチス残党を追跡、追及してきた執念は、残念ながら日本人にはひとかけらもない。

かってチェゲバラが革命勝利の年=1959年に経済使節団の団長として来日した際、「行きたいのは広島であり、アメリカ人が10万人の日本人を殺した場所だ。米国にこんなにまでされてなお、君たちは米国の言いなりになるのか。」と日本のアメリカ追随政策を世にも不思議なことと驚いたという。それが人間の当り前の感情である。

だからこそ後ろめたさと復讐を恐れるアメリカは南京虐殺をでっち上げ、日本の残虐行為とチャラにしようとしたのである。そんなこと以前に、マッカーサーをお慕い申し上げ、感謝を籠めて神社を建てようとした世にも不思議な民族である戦後日本人である。

安倍総理が訪米、ブッシュに慰安婦問題を謝罪(弊論文 慰安婦問題における「申し訳ない思い」と「謝罪」http://www.melma.com/backnumber_133212_3663253/)、誰の差し金か、外務省の入れ知恵か知らないが、全く逆効果どころか下院決議されてしまった。
にも関わらず、かかる現地側責任者である加藤アメリカ大使を馘首することもなく、何の有効な反論、反撃もしない政府には、僕など日本人としての誇りと名誉の観点から怒りが納まらない。

いまこそ、戦後沈黙している原爆に対する怒り、これは「道義とヒューマニズム、人種差別撤廃」に対するアメリカの欺瞞そのものであることを国際社会にて叫ぶべきである。それこそが今後アメリカと中国が反日の歩調で日本の先の大戦での行為を捏造非難する動きを封じ込める効果があるはずだ。こんな簡単な反撃すらできない日本とは、まさに宦官国家以外なにものでもない。

さらにあの広島の平和祈念公園にある「過ちはくりかえしませんから、安らかにお眠りください」を即刻除去すべきである。一体誰が過ちを犯したのか!

被害者の心を傷つけた?いったいこの惨事を招いたのはアメリカであって日本ではない!平和平和と念仏を唱えても平和は自分で戦い取らねば維持できないのである!一瞬のうちに殺された人々の怒りと悲しみを僕たち現代の日本人は語り部として後世に伝えるとともに、いかにかかる惨禍を二度と招かないようにタブーなき防衛議論を進めるべきである。そうではないのか安倍総理さん!秋葉市長さん!

奥山篤信:
京都大学工学部建築学科卒
東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社 
平河総合戦略研究所代表理事
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3.西山弘道 
「江田新参院議長」
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 参議院議長に民主党から江田五月氏が就任した。今回の参院選挙で民主党が自民党を抜いて参議院第一会派となり、55年体制以降、初めて野党第一党から参議院議長のポストに就いたのである。衆議院は自公与党、参議院は民主党という2院逆転の中で、新参院議長の存在はしばらく注目されるだろう。民主党の小沢執行部は、7日からの議席指定の臨時国会に「年金保険料流用禁止法案」を参院に提出し、秋の本格臨時国会の前哨戦として、参院を舞台に自民党に揺さぶりをかける戦術に出てきた。また、憲法62条に基づき、参院の国政調査権を活用して、年金記録問題に関する政府のその後の対応を追求するなどの作戦も考えている。その際、カギとなるのは議事日程などを決める参議院議長であり、また今回同じく民主党のポストとなった参院議院運営委員長(西岡武夫氏)は、法案審議の優先順位を決める。

 新議長となった江田五月氏は衆議院4回、参議院3期のベテラン政治家である。民主党内では、菅直人グループに属し、参議院議員会長として民主党参議院を束ねる立場にいたが、政治力が希薄なため、これまであまり目立たなかった。それが、今回の参院選では、地元岡山から「姫の虎退治」で有名になった姫井由美子候補の参謀として活躍、見事、虎(片山虎之助氏)を退治(落選)させたことから、その力量が見直され、議長就任にもつながった。

 江田氏は知られているように、旧社会党書記長を務めた江田三郎氏の長男である。その構造改革論が左派の社会主義協会派から徹底的に攻撃されて、離党を余儀なくされ、参院選全国区出馬直前に憤死した。その父親の遺志を継いで、裁判官の身から政界に出たのが五月氏である。実は今年は江田三郎氏生誕百年にあたる年で、秋にその記念祭が予定されていた。丁度、その年に、院の最高権威に就任した五月氏の感慨は深いものがあろう。

 五月氏といえば、知られている事件に自民党本部占拠事件がある。五月氏が東大教養学部の自治会委員長をしていた昭和37年5月、五月氏ら東大生が中心となった全学連のデモ隊が当時、平河町の砂防会館にあった自民党本部に乱入、総裁室を占拠したという事件である。当時、自民党総裁だった池田勇人氏は不在で、学生たちは約10分間、総裁室を占拠したが五月氏ら全学連の学生たちは建造物侵入の現行犯で全員逮捕された。当時、五月氏は全学連反主流派の社青同(社会主義青年同盟=社会党系)に属していたため、父親の社会党書記長だった江田三郎氏は、マスコミの格好の取材対象になった。

 江田三郎氏の遺著「新しい政治をめざして」には「社会主義的父親学〜自民党総裁室乱入事件にみる“息子と私”」と題して、五月氏のことをこう書いてある。
 「五月たちの今度の行動は、暴走であったが、直接行動だけで革新運動ができるものではない。こうした方向は、しばしば焦燥感におちこみ、ヒロイズムやニヒリズムの危険を伴うのである。私は五月を責めようとは思わない。五月は現代の学生運動がもつそのような欠陥を十分に意識していた。社会党の支持母体である社会主義青年同盟に籍をおき、これまで共産党やトロッキストに牛耳られていた学生運動に、新しいいぶきを送ろうとして、委員長になった。だが、あまりにも混乱している現代の学生運動のなかで、押し流されたのである。責任はわれわれの陣営全体にある」

 父親からこのように温かい、理解の目で見られていた五月氏は、その後、司法試験を経
て判事補となった後、父親の死去で政界に転身、菅氏らと共に市民主義の政治団体、社会
民主主義連合=社民連を結成、代表となった。ここまでが五月氏の“華”の時代であった
ように思う。日本新党に移って、細川政権で科学技術庁長官に就任、新進党、そして民主
党と永田町を“漂流”し、参議院議長にまで登りつめた。今年、生誕百周年という泉下の
三郎氏は子息の“出世”をどう思うか。ちなみに、田中角栄元首相がもっとも恐れた野党
のリーダーは、江田三郎氏だったと聞いている。

西山弘道;
ジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、文化放送で30数年、放送記者として
活躍。政治担当として、三角大福中、安竹宮の「永田町戦国史」を取材。
2005年10月、文化放送を退社、以後フリーのジャーナリストとなる。
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◎奥山篤信の映画評論 
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1.アメリカ映画「消えた天使 原題 THE FLOCK 」☆

香港で活躍、香港ノワール『インファナル・アフェア』で一躍有名になり、最近では「傷だらけの男たち」のアンドリュー・ラウ監督が初めてハリウッド進出した期待の作品であり、アメリカ興行に先駆けて日本で封切りした。

残念ながらラウの魅力はこのニューメキシコ州では味わいが出なかった。土埃の道路と線路、この風景は必ずしもアメリカの美しさではない不吉な色彩である。それと胸の悪くなるような猟奇殺人事件のイメージとを重ね合わせたラウの構図自体、並の才能ではないが、とにかく見ていて気持ちが悪いほど不気味で憂鬱になる映画である。

性犯罪登録者の監視を続けてきた公共安全局のベテラン調査官バベッジ(リチャード・ギア)が解雇されることになり、後任の新人調査官アリソン(クレア・デインズ)に引き継ぎをするのである。その過程で10代の少女の失踪事件を追う物語である。

やはりラウには香港の舞台と香港人とその広東語がマッチするのだと痛感した。せっかくハリウッドにデビュしたのだからもう少しまともな犯罪劇を監督すべきだったと悔やまれる。この映画は絶対にアメリカ人には受けないと予想する。

2.アメリカ映画「プロヴァンスからの贈りもの 原題 A GOOD YEAR 」☆☆☆☆

さすが巨匠リドリー・スコット監督である。「エイリアン」「グラディエーター*アカデミー賞作品賞 」「ハンニバル」の監督であるスコットは、その作品には異文化の衝突のテー
マが多い。アメリカ人と異なるイギリス人監督ならではの視点がある。スコットの映画は残虐性や暴力が多いのだが、この映画は打って変わって楽しく笑いながら見れる映画である。しかしそこにはイギリス人とフランス人それにアメリカ人との「文化人類学」があり、登場人物の間で炸裂するところが面白い。

長年の友人であるピーター・メイルのベストセラー小説を映画化したもので「グラディエーター」でもスコットと組んだラッセル・クロウを主役に置き、その見事な演技力をいかんなく発揮させている。ロンドンの金融界で債券取引で辣腕を振るうクロウ扮するスーパートレーダーがある日、少年時代の南フランスで暮らした叔父の遺産相続としてワインシャトーを相続することになる。いわばグローバリズムの先端で金銭ゲームに生きがいを見出しているトレーダーが遺産整理のために訪問した懐かしの南フランスで、想定外の人生を再発見する物語である。ウイット、ギャグそれにひねりが満載でなんと楽しく鑑賞していて疲れない快作である。

現代グローバリズム経済ITの最先端であるロンドン債券市場と正反対の土の香り高い土壌とブドウそして昔そのままの居住環境の南フランス、まさに都会と農村、ロンドン人とフランス人、そこにやたらワインを分析学的に執着する叔父のアメリカ人の愛人に産ませた落胤娘の典型的アメリカ気質などをユーモアたっぷりに描いているのである。
ワインは自然の賜物であるがそこに農夫の魂と祈りにも似たシャンソンによるブドウと人間の交流なども描かれていて農耕民族である僕たち日本人にもほのぼのとした共感を覚えさせるのである。

懐かしいアルバート・フィニーが叔父役 、男性がわくわく魅了されてやまない二人の美女マリオン・コティヤール 、アビー・コーニッシュ が映画を引き立てる。こんな楽しい映画は最近珍しい。
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成澤秀麗の書で語る美(13) 「貫」
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「貫」 http://www.narisawashurei.com/jp/essay/katu_02.html  (クリックしてください)


初心貫徹という言葉が好きです。いえ、好きというよりは憧れ。何事もスタートするのは簡単ですが、それなりの形になるまでやり続けるのって難しい。特に私のような好奇心の固まりには至難の業でした。書道でさえ10年以上のブランクが空いてしまったのですから・・・。
「継続は力なり」小学校の頃、この貼り紙が廊下にありました。とにかく続けてさえいれば形になるなんて本当?いくつもの疑問がわきました。センスがなかったらどうする?地味な努力に耐えられる?子供だった私にも不思議に思えましたが、センスや努力以前に、継続できるかどうかは当初の動機に左右されるということを、大人になってから知ったのです。
私はかつて資格マニアでした。TOEICやワープロ、簿記など、好奇心にまかせて10以上は取りました。すべて就職のためです。いい会社に就職して、いいお給料をもらえたらラッキーだよね、という下心から。もちろん役に立ちませんでした。簿記2級に至っては、経理課に配属させられるという噂を聞き付けて履歴書から消したほどです。スタートしたからにはコツコツ頑張って1級まで取ってプロを気取りたいと思っても、結局、下心は貫徹できないんだと実感しました。
初心は「ういごころ」と読みます。初々しさと下心ではまるで違いますよね。そういえば書道に関して言えば、おばあちゃんになったら習字の先生になりたいな、単純にそう思っただけなのです。次に何かを始める時は、動機が下心なのか初心なのかを必ずチェックしなければと意を決したのでした。

成澤秀麗 :
山形県出身 書道家、墨絵作家、産業カウンセラー
東北学院大学経済学部経済学科卒
青山学院大学文学部教育学科卒
7年のOL生活と両立しながら書道師範を取得
東京書作展にて内閣総理大臣賞を受賞後、2002年に独立
著書『文字が変われば、ココロも変わる。』(学研)など。
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次回の配信は8月18日(土)を予定しております。どうぞお楽しみに!
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