>> 記事トピックス一覧 
トップ > マネー・政治・経済 > 政治・経済 > 甦れ美しい日本

甦れ美しい日本 第116号

発行日: 2007/4/28

□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2007年4月28日 NO.116号)

  ☆☆甦れ美しい日本☆☆

☆・・・・私たちは書きたいから書くのです・・・・
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 < 目次 >

◎ゲスト執筆者

1.塚本三郎   日本の純粋性と米国の多様性 
2.松島悠佐  軍事のはなし(33)「諜報活動に敏感になれ!」

◎転載

 西村真悟  歪曲された歴史的事実の是正 

(注) 「闘う政治家」と自称する内閣総理大臣に、保守本流の登場かと期待したのはつかの間。あの歴史を歪曲した村山談話、河野談話など自虐史観を一掃してくれる「美しい日本」を内心期待していた。それは見事に裏切られ、実態は少数党や自民党サヨクに振り回されたとも言える自虐史観政権に過ぎなかったのである。闘う政治家としてやるべきは、徹底的に信念を貫くことであるはずだが、現政権は、闘う姿勢を示したのかと思いきや、米中の圧力でいとも簡単に中途半端に主張を引っ込める、その繰り返しである。結果的には事態はさらに屈辱的な村山談話や河野談話を確固たるものとして上塗りし光沢を与えた結果になってしまった。4月26日、27日ワシントンで、それぞれアメリカの議員団、ブッシュ大統領との会談でわざわざ慰安婦問題を取り上げ謝罪した。歴史をまげてまで迎合し謝罪する、この情けない日本国代表の姿、そこには国家の誇りも尊厳のかけらすらない.醜い国家そのものである。

人権というならアメリカに原水爆投下や東京大空襲などによる非戦闘員無差別大量大虐殺の謝罪の要求をしたらどうなのか?(アメリカ大統領が今回の首相の「謝罪を受け入れた」だと!これが外交か!)これでは中国の捏造した南京大虐殺30万人の謝罪談話とかの地の「南京虐殺記念館」において首相が頭(こうべ)を垂れるのも現実化してきた。

闘い通す信念もないのなら、最初から意気がって勇ましく「美しい日本」など言うべきではなかったし言う資格もなかったのである。アメリカ迎合、中国迎合まさに東アジアの禁治産者国家日本、米中共同管理国日本への道を着々と歩んでいるとしか思えない。
ここに「闘う政治家」西村真悟代議士の諒解を得て時事通信No.283 平成19年 4月24日(火)を転載する。


◎ビジネス情報月刊誌「エルネオス」5月号巻頭言「佐伯啓思の賢者に備えあり」
  構造改革が生んだ「格差問題」

◎レギュラー執筆者 
         
1.佐藤 守      大東亜戦争の真実を求めて111
2.奥山篤信   松岡洋右のジュネーヴ (5)十字架上の日本-2 
3.西山弘道     「拉致」の旗を降ろすな

◎映画評 アメリカ映画「バベル 原題BABEL」☆ 奥山篤信

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
──────────────────────────・・・・・☆
◎ゲスト執筆者
---------------------------------------------------------
1.塚本 三郎
 日本の純粋性と米国の多様性 
-------------------------------------------------------   
アメリカの大学で起きた、銃乱射による、三十二名の学生が犠牲となった痛ましい事件。犯人はアジア系と報ぜられたが、日本人ではなくて我々は胸をなでおろした。
アメリカの複雑な歴史を経た国と、今日の日本の如き単純な環境を比べて、同一に論ずることは現実的ではない。
世界一自由の国といえば、恐らくアメリカであろう。ソ連や、中国という、敵国と思われるような国の人たちでさえ、余程のことがない限り、入国と帰化を認めている。
かくして、この十年間で約四千万人以上の外国人が、アメリカに帰化している。
 アメリカは、白人の築いた国だと自負していた人達は、このままでは、「有色人種が最大多数」となると悲鳴をあげている。現にパウエル前国務長官、ライス現国務長官も、有色人種である。このように白人優秀説の神話と差別は、時と共に消えつつある。
 自由の国アメリカは、政治的圧迫を逃れ、自国を捨てて亡命する人。巨万の富を求め、一攫千金を夢見る希望の若者。学術研究のメッカと、理想を抱いて来た学者等々。地上に於ける最も自由な天地だとの認識がある。
希望を持って移住した人が、すべて理想どおりに成功するとは限らない。失望に打ちひしがれる人も少なくない。その人達の中には、自暴自棄の結果犯罪に陥る人もあろう。
自由の国に住むことは、責任ある生き方と共に犠牲を伴うことを覚悟する必要がある。
アメリカは、かの如く、多様な人種によるバラバラの生き方であるが、多民族社会には、重層的発想と抵抗力がある。いざとなれば、それだからこそ、一つにまとまらねば国家として成り立たないという、民主主義独特の柔軟性と強さがある。
 暴力団による長崎市長射殺事件。神奈川県相模原市でおきた、暴力団内部のトラブルが原因の射殺発砲事件等に対して、警察当局は、暴力団による銃発砲事件防止の為、再三取り締まりを強化し、安倍首相は、「日本は国際社会の中では、銃の取り締まりは厳しいが、更に徹底したい」と強調している。
 銃器の取り締まりだけではなく、そもそも、暴力団そのものが、白昼堂々と存在していて、それをなぜ根絶出来ないのか。民主主義に対する理解と決断の不充分と、悪に対する怒りよりも、同一民族としての甘さではないのか。
 日本は単一民族から成り立っており、その上、四辺を海に囲まれた島国であるから、純粋に一つにまとまって行動し易い。言わば、国民すべてが身内であるという意識がある。
従って事件や、犯罪には敏感に反応するから、極めて治安の良い国柄である。
しかし、それだけに思考も行動も単一であり、一旦事変が起きれば国家として、左右に大きく揺れたり、或いは逆に全く動かない。アメリカと比べて、時々に対応する多様性に欠ける欠点を指摘する。
 占領下の日本で、法律を学んだ米軍の青年将校たちは、日本の新憲法の作成に参加した。即ち「軍備があるから戦争が興る」という単細胞的発想からという。これは、「刑務所が在るから犯罪が起る」という発想である。現在の憲法条文と現実とが、余りにもかけ離れた行動でも、平然と、その憲法を無視しながら、政府は盾に、野党は矛と利用して恥じない。日本人はアメリカの如く重層的発想を培い、まず自国の防衛は自国で守る、普通の民主主義国家を築くことが急務である。

塚本三郎;                
愛知県名古屋市に生まれる 
鉄道省名古屋鉄道局に勤務し、県立中学校(夜間)に入学 
終戦とともに労働組合運動に従事 
運輸省に転勤し、中央大学法学部(夜間)に入学 
国鉄を退職し、中央大学法学部卒業 
昭和 33年 挑戦4回目にして初当選し、昭和生まれ初の代議士
(日本社会党所属)となる(以後当選10回) 
昭和 35年 民社党結党に参加 
昭和 49年 民社党書記長に就任(国鉄改革・電電公社民営化に取組む) 
昭和 60年 民社党中央執行委員長に就任 
平成 元年 民社党常任顧問に就任 
平成 9年 「勲一等旭日大綬章」を受章
---------------------------------------------------------
2.松島悠佐
 軍事のはなし(33)「諜報活動に敏感になれ!」
------------------------------------------------------- 
前々回、情報・対情報について書かせてもらいましたが、またまた、海上自衛隊のイージス艦情報が漏洩するという不祥事が起きて、自衛隊の警務隊と神奈川県警が協同で事実調査を行っています。
国家の防衛を使命とする自衛隊に、情報保全の弛みがあったことは嘆かわしいことであり、かって自衛隊に奉職した身として恥ずかしい思いがいたします。
軍事情報の漏えいは、わが国の安全保障に直接影響を及ぼすのみならず、日米同盟の信頼にかかわる問題でもあり、調査を徹底し確実な改善策を実行しなければなりません。調査の内容については、現在進行中ですから、勝手に推測するのは適当ではないと思いますが、度々不正入国を繰り返している中国人妻の関わりなど、裏があるような感じがします。
新聞各紙は、自衛隊の情報管理体制がずさんであるとの指摘をしていますが、当然のことでしょう。自衛隊は、国の防衛任務についている性格から、機密事項を取り扱うことも多く、秘密保全の規則や体制は十分にできており、特に防衛秘密については、米軍との関係もあり厳格なものになっているのですが、それでもこのような事件が起きるのは残念です。
ただ自衛隊では、防衛秘密に指定された装備・器材でも、普段から教育訓練に使用しており、その取扱・運用を隊員に徹底しなければならないことから、秘密事項が拡散する機会が多いことも確かです。
防衛計画なども同様で、計画を作成して秘文書として保管しているだけでは何の意味も持たず、計画の内容を隊員に教え、普及し、それを実行できるように訓練しなければなりません。したがって、隊員は秘密事項に触れる機会が多いし、意図的に秘密を盗もうと思えば、結構機会はあります。そのような環境の中で秘密保全を厳格に保つためには、情報管理体制を整備することもさることながら、最終的には隊員の秘密保全意識を強固にしておく以外にはないようです。この種の事案は結局のところ隊員個々の精神・モラルの問題になります。
現在の自衛隊でも99.99パーセント、あるいはそれ以上の隊員の保全意識は高いと確信しています。ただ、0.001パーセントでも、蟻の一穴でも開いていると、秘密漏洩事案は起きるので、絶対の保全体制が必要になりますが、実際には非常に難しい問題であり、防衛省が情報管理体制を見直して解決できるほど簡単な問題ではないようです。
過去に自衛隊が起こした秘密漏洩事案には、コズロフ・宮永事件など旧ソ連の情報機関が関与しているものがほとんどでした。どこの国でも、軍隊に諜報活動が仕掛けられるのは当たり前であり、軍自体が対情報活動(保全)に十分な注意を払うとともに、国家としての機密保護体制を整えることが必要になります。自衛隊の中にも、外部の情報機関の手が入り込んでいると考えるのが当然であり、それを前提に施策を考えなければなりません。
わが国周辺での軍事情報活動の実態については、前々回の情報・対情報でも触れましたが、繰り返しますと、通常の情報収集(軍事衛星、レーダー、通信傍受などの手段による情報収集)の他に、諜報(スパイ等による重要書類の入手、秘密会議の盗聴など)、さらには謀略(相手を陥れて指揮機関などの破壊、混乱を誘導)の手段を組み合わせて使われており、相当きわどい手段も使われています。
 例えば、わが国内でも米国・ロシア・中国・朝鮮半島等の諜報員が在日外国公館・民間企業・メディアの中に紛れて活動しているのは周知のとおりであり、外務省・防衛省のコンピューターへの不正アクセス、サイバー攻撃もしばしば起きています。われわれの見えないところで、各国の情報戦・対情報戦が活発に展開しているのが現実です。
自衛隊は自らの情報保全体制を整え、保全意識を高める措置をとることは当然ですが、万全な体制を作ったとしても、諜報活動で意図的に入り込んでくる者を阻止するのは容易ではありません。その一つの方法として、列国では厳しい罰則を定めた機密保護法を整えて、諜報活動を排除する制度をとっています。米国をはじめほとんどの国は、スパイ行為に対する最高刑は「死刑」です。
それに対し、わが国の秘密漏洩に対する罰則は、一般には1年以下の懲役または3万円以下の罰金、日米安保条約に関連して、米軍の機密を漏らし米軍の安全を害した場合には10年以下の懲役となっています。また、外国人のスパイ行為に対する法律は未整備で、国家として諜報活動に備える体制ができていません。
さらにわが国では、人権尊重の思想が徹底しているため、隊員の中に反国家的な思想を持っている者がいても、思想信条を理由にそれを排除するのも結構難しい問題になります。かって、市谷の部隊に「反戦自衛官」が在隊し、内部から隊員に除隊を呼びかけて、反自衛隊活動を行っていましたが、こういう反戦自衛官ですら、強制的に排除するのはなかなか難しい問題がありました。このような環境では、諜報活動を行う要員が入り込む余地は結構あり、それを排除することは容易なことではありません。
米国でも、米海軍のイージスシステムなどの情報を20年にわたり不法に入手した中国系技師等の公判が、この3月に始まったとの報道があります。中国軍の近代化は米軍への対処能力の向上に狙いをおいていることは明らかであり、特に、台湾事態を想定して、米海・空軍の展開能力、特にその対潜水艦能力、防空能力などの把握に重点をおいていると思われます。イージスシステムをターゲットにした情報活動も、この大きな枠の中で動いているような気がします。
中国・朝鮮半島の諜報活動は、自衛隊にも仕掛けられています。防衛省はもちろんですが、国家としてそのことにもっと敏感にならなければなりません。
今回のイージス艦情報漏えい事件では、教育資料として作ったデーター資料の不適切な流出・拡散が問題になっているようですが、その奥にある諜報活動にもっと敏感に反応しなければならないのではないかと思います。
(07・4・27記)
 
松島悠佐(まつしま ゆうすけ);
元陸上自衛隊中部方面総監
防衛大学卒業後、自衛隊入隊陸上幕僚監部・防衛部長、第8師団長(熊本)
等の要職を経る。
平成7年阪神大震災時、中部方面総監として活躍。
同年中部方面総監で退官。著書に「阪神大震災・自衛隊かく戦えり」(時事通信社刊)
がある。 現在、危機管理などの講演を精力的に行う。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
◎転載
---------------------------------------------------------
 西村真悟  歪曲された歴史的事実の是正 No.283 平成19年 4月24日(火)
---------------------------------------------------------
 本日、「歪曲された歴史的事実の是正に関する質問主意書」に対する政府の答弁書が返ってきた。もっとも、答弁書というタイトルを付けているものの、実は答弁ではなく、答弁の回避書である。
 先に、温家宝中国首相の演説に関して、実態と反することを堂々と述べることができるのは中国人の政治的素質・政治的能力であると本通信で述べた。
 この度、この答弁書に接して、日本人の資質も付け加えねばならない。即ち、しつこく強硬な相手にはすぐに謝り、要点を誤魔化しはぐらかしながら責任を回避することができるのは、日本官僚の卓越した技術的素質・技量である。
 一見に如かず。私の質問と政府の答弁は以下の通り。

         ・・・

 「歪曲された歴史的事実の是正に関する質問主意書」
 平成十九年四月十三日 質問第一七九号

 一定の歴史的事実が歪曲されたまま喧伝されて後世に伝えられることにより、国家に重大な謂われなき損害を与えるに止まらず、子々孫々にわたる民族の名誉を汚し続けるとするならば、現時点においてその歴史的事実の歪曲を正すことは未来に対する私達の責務であるところ、この度のアメリカ下院におけるいわゆる従軍慰安婦への謝罪要求決議案、中国政府の言う日本軍の南京における三十万人の虐殺および中国政府の言う日本軍による中国での化学兵器の大量遺棄という三例を点検しても、これらはその前提たる歴史的事実が歪曲されているにもかかわらず、そのまま現在に至るも事実として喧伝されてきたことによって民族の汚名として世界的に定着しかねない事態に至っていると判断せざるを得ないのであり、その対策は緊急を要すると考える。
 従って、次の事項について質問する。
一、政府は、いわゆる従軍慰安婦の日本政府もしくは日本軍による強制連行はなかったと認定しているのか、あったと認定しているのか、回答されたい。
二、政府は、日本軍の南京攻略戦において、日本軍が中国政府の言うように三十万人の中国人を殺害したと認定しているのか、認定していないのか、回答されたい。
三、一九九五年五月、江沢民中国国家主席は、モスクワにおいて、日中戦争において三千五百万人の中国人が犠牲になったと発表したが、政府はこの通り認識しているのか、回答されたい。
 なお、中華人國政府は、日中戦争における中国人犠牲者を当初は三百二十万人、次に五百七十万人とし、中華人民共和國政府は、二千百六十八万人としていて、今は三千五百万人としているが、政府は、何故このように中国政府の言う犠牲者数が激しく変遷するのか、その理由を把握しているか、把握しているならその訳を説明されたい。
四、政府は、日本軍が中国大陸に、次のように中国政府が言う数の毒ガス弾、即ち、始めの中国政府の主張は二百万発、次の主張は七十万発、最近では四十万発、を遺棄したと認定しているのか、認定していないのか回答されたい。
 仮に、政府が日本軍が毒ガス弾を遺棄したと認定しているならば、何発遺棄したと認定しているのか回答されたい。
五、当職は、歴史的事実の歪曲が、単なる現在の損害賠償額の増減に関わることに止まらず、子々孫々にわたる民族の名誉を汚すことになるならば,まさに今、真正面から敢然と断固としてその歪曲された事実の是正に取り組み民族の名誉を守らんとすることは、政治の神聖かつ重大な責務であると思料する者であるが、政府は如何に考えられているか回答されたい。
 右質問する。

 答弁書  平成十九年四月二十四日 内閣衆質一六六第一七九号
一について
 お尋ねについては、平成五年八月四日の内閣官房長官談話のとおりである。
二について
 昭和十二年の旧日本軍による南京入城後、非戦闘員の殺害または略奪行為等があったことは否定できないと考えているが、その具体的な数に付いては、様々な議論があることもあり、政府として断定することは困難である。
三について
 お尋ねの「変遷」の理由は必ずしも明らかでないが、お尋ねの「戦争」の具体的な「中国人犠牲者数」については、様々な議論があることもあり、政府として断定することは困難である。
四について
 旧日本軍の中国全土における活動等については不明な点も多く、中国各地で遺棄化学兵器が新たに発見される場合もあるので、中国における旧日本軍による遺棄化学兵器の総数について、政府として断定することは困難であるが、これまでの現地調査の結果等を踏まえ、現時点での暫定的数量として、吉林省ハルバ嶺に約三十万から四十万発程度あると推定しており、それ以外の中国各地においてこれまでに約三万八千発の化学砲弾等を発掘・回収している。
五について
 お尋ねの「歴史的事実の歪曲」の意味が必ずしも明らかではないが、政府としての認識は、平成七年八月十五日および平成十七年八月十五日の内閣総理大臣談話等において示されてきているとおりである。

           ・・・
 以上が、今まで中国に何を言われても、反論も否定もせず、反省と謝罪を繰り返してきた政府の見解である。
 現在、中国共産党が、今まで言いたい放題誇大に喧伝してきた我が国の虚偽の汚名を敢然と反論して是正することができる最後の局面に差し掛かっている。これをやり過ごせば、体験者・生き証人は高齢の果てに死に絶えて反論ができなくなり汚名は定着してしまう。嘘も百回繰り返せば真実になるというやつだ。
 なお、以下結論だけを言うが、
 安倍総理も少し言い始めたのだが、日本政府および日本軍は、慰安婦を強制連行していない。
 南京攻略戦において、戦闘前の南京の人口二十万人、戦闘終了直後の人口二十五万人、どうして三十万人も死ねるのか。
 中国政府の言う日中戦争における中国人犠牲者は、出鱈目だから、くるくる変わるのである。
 人類史上一番膨大な数の自国民を殺したのは中国人である。国共内戦と文化大革命までの粛清の犠牲者つまり中国人が殺した中国人の数を、日中戦争の犠牲者に仕立て上げて中国人民の批判をかわそうとする魂胆である。
 郷里にご健在の帝国陸軍大尉に教えられたが、当時の支那派遣軍が用意した砲弾の数は、一個師団・一会戦宛て四千五百発に過ぎない。当然、ほとんど通常の砲弾であり、使うことも無い毒ガス弾は極僅かしか携行していない。仮に、中国政府が言うようにこのような支那派遣軍に四十万発もの毒ガス弾があったならば、その保有する通常砲弾の数は膨大でありモスクワまで攻め上れる物量であったであろう。
 また、そもそも、日本軍は天皇陛下の命令により、粛々と全武装を解いてそれをソビエト軍、中共軍、国民党軍に引き渡したのである。この引渡しを受けた各軍隊が、国共内戦の中で毒ガス弾をどうしたのか日本政府が知るはずが無かろう。今中国大陸の地中から出てくるのは、日本軍が遺棄したものではなく、引渡しを受けた彼等が遺棄したものである。
 
 もう言われっぱなしでは、駄目だ。安倍内閣よ立ちあがれ!
と、反論の切っ掛けになれかしと上記の質問主意書を提出したのだが、
回答はこの通りであった。無念である。 

                                     (了)
---------------------------------------------------------
◎ビジネス情報月刊誌「エルネオス」5月号巻頭言「佐伯啓思の賢者に備えあり」
  構造改革が生んだ「格差問題」
---------------------------------------------------------
「格差問題」が論じられている。富める者とそうではない者の間の所得格差、大企業と中小企業の間の格差、大都市と地方の間の格差である。構造改革のマイナスの面が一気に噴出している感があるが、遅きに失するといわざるをえない。
「格差拡大」は、構造改革が本格化した十年ほど前からわかっていたことである。構造改革を支持したメディアや政治家、評論家は、いまさら「格差が問題だ」などと言えた筋合いではない。なぜなら、構造改革を支持する者は、それこそが日本の旧態依然たる平等主義、平均主義を打破するものだと主張していたからである。
 極端に富める者も貧しい者もいない平等主義や、大都市も地方もあまり変わらない国土の均一的発展、大企業も中小企業も横並び状態は、それこそ「日本型社会主義」などとして非難の対象だったのである。
 彼らからすれば、今日の格差こそ構造改革の「成果」というべきである。
 しかし、この格差は、ただ一時的なものではなく、将来についての展望にまで及んでくる。今日、公式には二百万人といわれ、実際には三百万人を越すとも推測される若者のフリーターは、現在所得の格差というよりも、将来にわたっての人生の展望において大きなビハインドを引き受けざるをえない。大都市に住む者と地方の田舎に住む者とでは、医療やその他のサービスにおいて大きく差をつけられる。これは、長い人生の展望にも大きく影響するだろう。ひとたび、小企業で職を転々としだしたものは、いくら「再チャレンジ」などといっても、とても明るい展望をもてないであろう。「格差」は、ただ現在だけのものではなく、人生の全般に及ぶものなのである。
 構造改革とは何であったのか。端的に言えば、構造改革とは「生産要素」を市場化するということである。「生産要素」とは要するに、モノやサービスを生産する際に不可欠な投入財であり、通常、労働、土地、資本が三大生産要素とされる。これらは、従来はあまり流動化せず、ストックとして固定されていた。
 ところが構造改革は、これらの生産要素を流動化し、商品化し、自由に市場化しようとする。労働力は、従来はいわゆる日本型経営で、ひとたび就職すると長期的に企業に固定されていた。資本の流れは特に為替市場においては、ある程度、管理され、金融市場での取引もさほど活発ではなかった。郵政へ流れた資本は文字通り政府によって管理されていた。それを、九〇年代の金融ビッグバンと先ごろの郵政事業の分割民営化によって、一気にグローバルな金融市場へと流動化したのであった。土地についても同様で、(これはすでに八〇年代バブルから始まっていたことだが)構造改革の中で、土地の流動化や建築や都市開発の規制緩和が進展し、土地の流動化、市場化はいっそう進んだ。
 その結果、どうなったのか。労働市場には二百万人以上のフリーターが放置され、土地は大都市でバブルを起こし、資本市場では、企業が時には敵対的な買収に戦々恐々としている。市場化されることで、労働も土地も資本も、高利潤を生み出す分野へと集中する。大都市、大企業へとそれらが集中するのは当然なのである。
「格差問題」は深刻である。それを解消とはいえないが、減少の方向へもってゆくには、少なくとも、これらの「生産要素」の自由取引には規制をかけ、ある程度の管理は必要となる。「生産物」と「生産要素」では経済上の意味は全く違うのである。
(京都大学教授)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

──────────────────────────・・・・・☆
◎レギュラー執筆者 
------------------------------------ 
1.佐藤守
 大東亜戦争の真実を求めて 111
-----------------------------------
 蒋介石が、孫文が唱えた「三民主義」と「共産主義」とでは決定的な違いがあると認識していたことは前回書いた。
「総理(孫文)は社会、国家の生理学者で、生理学の原理を応用し、社会進化の原則に基づいて、社会、国家を救おうとした。だから、その全ての方法は仁愛に基づいたものであり、かつ積極的なものであって、また社会、国家の発展に適合したものである。
 マルクスは単なる社会病理学者であり、単に社会が進化するにつれて生じた病理だけを見て、社会進化の生理を見ていない。このため、彼の定めた全ての方法は残忍であり、消極的であり、ただ社会の進化を阻害するだけである。はなはだしきに至っては、社会の生存すら破壊する。その結果、彼の目的としたものから、ますます遠く離れていくわけである。これが三民主義と共産主義の根本的に相容れない点であり、我々はこの点をはっきり認識しなければならない」と蒋介石は「秘話」に書きとどめている。
 蒋介石がこの秘話を書き始めたのは、台湾に亡命してからであるが、中華民国の公文書や、彼の日記を集大成したものであり、彼が、モスクワを視察して帰国して以降、常に感じ取っていた共産主義に対する疑問に鑑みても、この観察は彼自身の本音であったことは疑いない。
 しかしながら、追い詰められた中国共産党は、再び「国共合作」の機会を得ることになる。1936年12月12日に、張学良に騙された蒋介石が監禁された「西安事件」である。その後、25日に周恩来の調停で解放されたが、これ以降、抗日戦線が結成され、あと一歩のところまで毛沢東を追い詰めた蒋介石は、意に反して日本軍と戦う羽目になったと言われている。しかし、蒋介石はこう書いている。
「国民軍と共産軍が『抗日・合作』を明らかにする契機となったのは、一九三七年(昭和十二年)七月七日の盧溝橋事件である。
 事件の翌日、毛沢東、朱徳、賀龍、林彪ら共産軍の指導者から次のような電報が届いた。『紅軍(共産軍)ノ将兵ハコトゴトク委員長(蒋介石)ノ領導ノモト、国ノタメニ命ヲ捧ゲ、敵(日本軍)ト応酬シ、国土防衛ノ目的ヲ達スルコトヲ願ッテイル』
 これと同時に共産党は『国境両党は親密に合作し、日寇の新進攻に抵抗せよ。日寇を中国から駆逐せよ』と宣言した。国の危急に臨んで、国民政府はこれを受け入れ、一九三〇年(昭和五年)以来続いていた掃共作戦(共産軍掃討戦)は停止された」
 今から考えると、いかにも白々しい電文だが、それにしても共産党は如何に手回しがいいことか! すでに綿密な抗日戦計画がなされていた証拠であろう。
「これより前、共産軍は掃凶作戦よって、陝西省延安の辺地に追い込まれ、部隊は壊滅状態寸前となり、国民政府に“和解”の申し入れをしてきていた。
 即ち、この年二月に開かれた国民党五期三中全会に対し、次のような四項目の“帰順”の保証を提出、『和平統一、団結禦侮』の願いを表示してきていた。
一、全国全ての地域で、国民政府を覆すような武装暴動方針を停止する。
二、ソビエト政府(共産党の地域政権)を中華民国特別区政府と改名し、紅軍を国民革命軍と改名して、直接南京中央政府(国民政府)と軍事委員会の指揮を受ける。
三、特区においては、普通選挙による民主制度を実施する。
四、地主の土地を没収する政策を停止し、抗日民族戦線の共同綱領を固く執行する。
 これに対し、国民党は同三中全会の決議として『根絶赤化案』を採択、次の四項目の条件を提示して共産党の受諾を求めていた。
一、紅軍の徹底的取り消し。
二、ソビエト政府の徹底的取り消し。
三、赤化宣伝の根本的な停止。
四、階級闘争の根本的な停止。
 盧溝橋を待たずしても、共産党は既に国民党に屈服していたのである」と秘録は続くが、この認識は、共産主義者の病理を理解していた蒋介石としてはいかにも甘いと言わざるを得ない。                   (続く)

佐藤守:
防衛大航空工学科卒(第7期生)。
航空自衛隊に入隊
戦闘機パイロット(総飛行時間3800時間).
外務省国連局軍縮室に出向。三沢・松島基地司令、
南西航空混成団司令(沖縄)を歴任.平成9年退官.
岡崎研究所特別研究員.軍事評論家.
日本文化チャンネル「桜」軍事コメンテーター.
著書に「国際軍事関係論」
ブログ;http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
---------------------------------------------------------
2.奥山篤信  
 松岡洋右のジュネーヴ (5)十字架上の日本-2
 - -------------------------------------------------------- 
次に1927年における英国の行動について述べる。支那代表は当時の英国の行動と、昨年春の上海と、昨年秋以来の満州における日本の行動の相違について注意されている。たった一つの相違点は、英国の場合支那に向かって外から軍隊を送ったものであるのに対して、日本の場合、上海に現にある海軍守備隊を有していたのであって、陸軍を送ったのは相当後のことである。満州の場合も日本の軍隊は。無慮100万以上の日本臣民が居留しており、その生命財産を保護するために条約に基づいて駐屯しているのである。
米国はその国民の生命財産を守るためにニカラグアに軍隊を派遣しているではないか。そこには僅か6,7百名の米国人を保護するために、確か約7千の軍隊を送っていると記憶する。この比率からいえば日本は満州に1千万以上の莫大な数の軍隊を送る必要があるといえよう。
言い換えれば英国の1927年の行動は、元来英国は支那に於いて条約上の権益は有していたが、その権益が侵されんとする危機を感じたので、この極東の悪童を懲らしめるために軍隊を派遣したが、蒋介石はいち早く降参したので、英国は火蓋を切る破目に陥らずに済んだのである。日本の場合は、満州では我々の軍隊は既に前から駐屯していた。丁度隣の家で我々を招待しておきながら、なんだかんだと我々を罵り始め、あまつさえ、ありとあらゆる手段でぶん殴らんとし始めた。我々は耐えに耐え忍んだ。だがとうとう終いには隣の人を打った。そのお隣はジュネーヴに駆けつけて、日本人が彼の家に侵入して、何の理由も無く彼を殴ったと訴えている。

在る者の愚挙と敵意ある行動から重大な結果となったにも拘わらず、その在る者を保護してやろうとするのは、果たしてひとり隣邦の権益の為のみならず、世界の平和の為になすべき連盟の義務であろうか?
英国の代表が昨日、調査団報告書は全部一体として受諾することは我々の何人にも出来ないことだ、というようなことを申されたが、まことに至当な言である。「不一致裡の一致」とはまさにこれである。「一致した不一致」とも言うべきではないか!
報告書のなかで意見の一致しない点を見出すことは極めて自然なことである。もしそこに不一致の点が見当たらなかったら、それこそむしろ奇跡である。「不一致裡の一致」「一致した不一致」が存在すること自体が委員諸氏が良心に忠実で真面目であった証拠なのである。この報告書におけるこの本質こそが、我々をして報告書全部一体として受諾し難いものとしているのだという所以がここにある。
日本は連盟規約、パリ条約、九カ国条約などなどを犯したものであるとは各代表によってしばしば言われたところであるが、この点については絶対違反の罪を犯していないと主張するものである。いろいろ小国の代表諸君のいう諸原則なるものには同意を表することは吝かではないが、日本の行動がこれらの原則にもとるものだとの意見の相違ただ一点は受け入れられない。サイモンやボンクールその他の諸君は問題の複雑性を指摘し現実の事態を十分考慮すべきと力説された、イタリア代表は規約の適用にあたっては伸縮性を考慮すべきと説かれたが、まさに同感である。

連盟の下す何らかの結論から生じる影響は、元来要求されているものと全く反対の、或いは連盟固有の精神に全然反する産物を齎さないとも限らない。

日本がベルサイユ会議において国際連盟参加を決定した際、その唯一の主唱者ともいえないまでもその一人だった米国も当然連盟に参加するものと信じていた。然るに米国は独自の理由から加盟を拒絶した。その際日本の狭義の利益から言えば、日本も連盟参加の必要なしと決定した筈である。ソビエットロシアも連盟外にある。そして支那という恐ろしい状態におかれた膨大な国がある。もし諸君が日本だったらこのような状態のなかでどうなさるのか?日本は連盟に参加するという決断を変更しなかった。なぜか?ただひたすら連盟に対して、世界平和に対して、多少とも貢献しようとの熱意からにほかならなかった。

実は今日本には、連盟が日本の立場を十分理解していないことに憤慨している多数の真剣な人々が居て、連盟脱退論を唱えている。最初から加盟したのが誤っているというのだ。

奥山篤信:
京都大学工学部建築学科卒
東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社 
平河総合戦略研究所代表理事
-------------------------------------
4.西山弘道 
 「拉致」の旗を降ろすな
------------------------------------
北朝鮮の核問題は、北がバンコデルタアジア(BDA)の2500万ドルの資金が手元に届かないと難癖をつけ、一向に進展しない。本来なら6者協議の合意で、4月14日が初期段階措置の期限、すなわちそれまでに寧辺の核施設の停止・封印をするはずであったのだが、一向に実行する気配はない。実はBDAの2500万ドル(29億円)には、将軍様キムジョンイルが側近にひそかにプレゼントとして渡すカネの一部も含まれていて、渡す日は2月16日の将軍様の誕生日と、4月15日の金日成誕生日の2回と決まっていた。そのカネがまわらないため、どうなるかとピョンヤンからの報道を注目していたが、なるほど将軍様の誕生日はその3日前の2月13日に6者協議の合意が決まったばかりで、地味にやらざるを得なかったのだろう、祝典が行われた様子もなかった。しかし、4月15日は、一転して盛大に行われた。金日成生誕95周年の「アリラン祭り」ということで、10万人が参加したマスゲームが派手に行われた。要した費用も半端なものではないだろうが、将軍様のプレゼントのカネもBDA口座以外の別の懐から出費されたのだろう。しかし、将軍様にとっては、2500万ドルは今でものどから手が出るほど欲しいカネに間違いない。

ところでわが日本は、この6者協議で微妙な立場に立たされていることは周知の通りだ。すなわち拉致問題の進展がない限り、北朝鮮への支援には応じない、という日本の立場は第一義的な核問題を軽視しているのではないかという他の5カ国からの冷ややかな視線を浴びているのだ。このままだと、北が約束通り核施設の停止・封印を実行した時、5カ国が合意に基づいて95万トンのエネルギー支援に踏み切り、日本だけ応じないという事態になった場合どうするかだ。拉致問題の解決はもはや日本国家の大義ともなっているわけだが、その大義にこだわって、日本だけが孤立する覚悟を果たして持ち得るかだ。現に他の5カ国からは、日本がこれだけ拉致にこだわるのは、日本が核問題の解決を妨害しているからであり、それは日本が最終的に北に対抗して核武装を望んでいるからだという疑惑の目が寄せられていることも事実である。よいではないか。核を装備できる潜在能力を日本は持っているのだというブラフを与えるだけでもわが国の安全保障にどれだけプラスになるか知れない。

 日本は本気なのだということを示す上で、北海道出身の渡辺秀子さんの2児拉致事件を警察庁が立件したことは、北にかなりのダメージを与えている。この事件はすでに3年前に、雑誌「新潮+」が秀子さんが殺害されたこと、夫が朝鮮総連の重要工作員であったことなどほぼ正確に報道していた。それを今年、6カ国協議で日本が孤立の立場に立たされようとした時、警察庁が取り上げ、立件したのである。それも拉致事件では初めて、朝鮮総連の関連機関に家宅捜索を行った。総連といえば、金正日総書記に直結する重要な送金機関である。総連が手入れされたということで、日本警察の拉致捜査は本物だと、北は警戒感を高まらせているかも知れない。

 警察庁の漆間巌長官は、外務省の谷内正太郎事務次官と共に安倍首相の霞ヶ関の側近ともいえる人物である。官邸で省庁の幹部との面会をほとんど行わない安倍首相にとって、この2人は例外だ。安倍、谷内、漆間の3人は拉致強硬トリオといえよう。いや、もう一人、安倍首相の盟友、自民党の中川昭一政調会長がいる。そういえば、2児拉致事件で殺害された渡辺秀子さんの出身は、中川政調会長の地元の北海道・帯広市だった。中川氏は最近、さらなる北への圧力として、米国が北朝鮮をテロ国家と指定したように、日本政府も北をテロ国家として指定するよう、「北朝鮮人権法」を改正するよう主張し始めた。

 北に対する圧力と対話論で、最近、国内には日本の外交的孤立を恐れ、対話にウエイトを置くような融和論が出ているが、これは我慢比べである。北に対する制裁が、国民が支持する日本国家の意思、大義となっている以上、さらなる強い圧力をかけ続けるべきである。

西山弘道;
ジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、文化放送で30数年、放送記者として
活躍。政治担当として、三角大福中、安竹宮の「永田町戦国史」を取材。
2005年10月、文化放送を退社、以後フリーのジャーナリストとなる。
------------------------------------------------------------------------
◎映画評 アメリカ映画「バベル 原題BABEL」☆ 奥山篤信
------------------------------------------------------------------------
バベルの塔とは『旧約聖書』の『創世記』11章にあらわれる。もともと人々は同じ1つの言葉を話していた。神がノアの息子たちに世界の各地を与え、そこに住むよう命じていたにも拘わらず、シンアルの野に集まった人々は、れんがとアスファルトを用いて天まで届く塔をつくって世界に分散していくのを免れようと考えた。神はこの塔を見て、言葉が同じことが原因であると考え、人々に違う言葉を話させるようにした。このため、彼らは混乱し、世界各地へ散っていった。

これにヒントを得て世界の各地に散っていった人々との言葉の障壁や障害による悲劇とそれを克服して人々が人間の本来の善や愛を取戻していくというシナリオである。それ自体の発想の着眼は評価できる。しかし残念ながらシナリオ自体荒唐無稽に終わっている。

ある日本人のハンターがモロッコに狩猟にでかけ、その案内人にライフルを進呈することから、連鎖的悲劇が起っていくというこじつけ物語である。人間の出会いの縁や連鎖反応については、運命を信じる僕たちも人生の局面で感嘆することがあり、神への感謝につながる敬虔な気持ちとなることがある。この映画はモロッコで少年の火遊びから観光バスで旅行中のアメリカ人が射撃され、留守宅にいる二人の子供のベビーシッターのメキシコ人の話、それと東京におけるハンターの聾の娘の話に飛躍し拡散していくのである。
 
監督の アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの作品であるオムニバス映画「美しい人」 については昨年度僕が絶賛しランキング一位に挙げたほどである。ある崩壊寸前のアメリカ人夫婦が愛を取戻すために二人だけのモロッコ旅行中に偶発事故に遭遇するのであるが、これを中心にモロッコ、メキシコ、日本の独立した小話を惑星のようにそれぞれを入り組みながら描こうとしたものである。

内容は悲劇的要素が多いのであるが、激しやすい僕ですら何故か全く無感動で終始した。理由はあまりに恣意的なわざとらしい物語ということではないだろうか。

主人公のアメリカ人夫婦にブラッド・ピット 、ケイト・ブランシェットの美男美女を据えていかにも白人がシビライズドであると印象つける、いわば白人至上主義を押し付け、メキシコを厄介な粗野なルールを弁えない国として侮蔑の眼差しで捉え、日本を高度成長の中での教育の歪などを強調し日本のエコノミックアニマルの破綻を聾の少女を通して描き、そしてモロッコをテロの温床として子供に銃を自由に使わせる野蛮国として描いているのではないかと穿って見ることも出来る。

この映画カンヌ映画祭で監督賞を受賞した。今年のアカデミー賞助演女優賞候補でノミネートされ、一躍有名になった菊池凛子の演技であるが、余りに毒がありすぎて演技なのか本来の彼女の姿なのか錯覚に陥る演技である。好き嫌いは別としてこれを評価する声があること自体は唐突ではないだろう。それにしても菊池凛子の醜悪な全裸体が東京の品川高層マンションのベランダに夜景をバックに佇む姿は、現在の「醜い日本」を暗示しているかのようでなんともいえないやるせなさを感じさせる。

フ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◎情報感度を研ぎ澄ます!ビジネス情報誌「エルネオス」
 編集長・市村直幸
 〒105−0003
 東京都港区西新橋1−22−7 丸万7号館4階
 電話:03−3507−0306
 Fax:03−3507−0393
 e‐mail:ichimura@elneos.co.jp
 URL:http://www.elneos.co.jp/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
次回の配信は5月5日(土)を予定しております。どうぞお楽しみに!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
登録内容(メールアドレス等)の変更、メールニュース配信の停止は、
こちらからお願いします。
<http://www.melma.com/backnumber_133212/>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
有限責任中間法人 平河総合戦略研究所< http://www.hirakawa-i.org >
発信元:< info@hirakawa-i.org >
掲載された記事を許可無く転載することを禁じます
Copyright(c)2005 Hirakawa Institute
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 
このメルマガの読者になる
規約 
>> メルマ!の会報誌もお届けします
ブックマーク: はてなブックマークに追加del.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録My Yahoo!に追加Add to GoogleRSS

このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます

Japan on the Globe 国際派日本人養成講座
日本に元気と良識を。歴史・文化・政治・外交など、多方面の教養を毎週一話完結型でお届けします。3万4千部突破!
週刊アカシックレコード
02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家(金正日の「遺書」で始まる「中朝戦争」後の北朝鮮...
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
頂門の一針
急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。
花岡信昭メールマガジン
政治ジャーナリスト・花岡信昭が独自の視点で激動の政治を分析・考察します。ときにあちこち飛びます。


この記事へのコメント

全1件表示
コメントを書く
貴重な情報を毎回有難うございます。 我々草の根保守の理論武装に貴重な戦力とさせて頂くように努めさせて頂きます。
一つ注文なのですが、政治家もマスコミさえも避けて通る「在日」の特権とか暴力団との関係などについて啓蒙していただければありがたいですが、どでしょうか。
やはり反発を怖れて取り上げられませんか?
日時:2007年4月28日


おすすめキャンペーン

利息が気になるあなたへ
オリックスVIPローンカードなら
<<年率5.9%〜15.0%、利用可能枠最高500万円>>
ゆとりのカードローンです。
←お申込みはこちら

スポーツNEWS速報!

その他ニュース 相次ぐ食品偽装 消えた年金達

メルマガデータ

  • メルマガID : 133212
  • 創刊日 : 2005-02-04
  • 最新号 : 2008-08-19
  • 発行周期 : 週間
  • バックナンバー: 全て公開
  • 発行者サイト: あり
  • 読んでる人 : 6156人
  • コメント数 : 37
  • Score! : 94点
  • >> 月間ランキング

発行者プロフィール

ペンネーム :


このメルマガの読者になる

規約に同意する



このメルマガの最近の記事


このメルマガの最近のコメント


このメルマガのバックナンバー


注目情報


新着記事トピックス