トップ > マネー・政治・経済 > 政治・経済 > 甦れ美しい日本

日本再生のための政治・経済・文化などの発展・再構築を目的とし、メールマガジンの配信を行う




甦れ美しい日本 第108号

発行日: 2007/3/4

□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2007年3月4日 NO.108号)

  ☆☆甦れ美しい日本☆☆

☆・・・・私たちは書きたいから書くのです・・・・
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 < 目次 >

◎レギュラー執筆者 
         
1.佐藤 守      大東亜戦争の真実を求めて103
2.奥山篤信   松岡洋右のジュネーヴ (2)我が立場を強調す -1-
3.松永太郎     教育の再生について
4.西山弘道     面白くなってきた都知事選

◎Bunkamura「ひばり」を観劇して  ☆☆☆ 奥山篤信
 
◎独映画「善き人のためのソナタ」(原題 Das Leben Der Anderen)☆☆☆☆☆奥山篤信

◎アメリカ映画「パフューム 〜ある人殺しの物語〜」(原題Perfume: The Story of a Murderer)☆ 奥山篤信評

◎ビジネス情報誌「エルネオス」2007年3月号
巻頭言「舛添要一の賢者に備えあり」安倍内閣の危機〜「裸の王様」再論〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
──────────────────────────・・・・・☆

──────────────────────────・・・・・☆
◎レギュラー執筆者 
------------------------------------ 
1.佐藤守
 大東亜戦争の真実を求めて103
-----------------------------------
 コミンテルンから派遣されたセルゲイ・ダリンの不評を買い、中国共産党中央局を追放された毛沢東は、失意のうちに郷里の湖南省に戻ったのであったが、そこでの彼の暮らしぶりについて「マオ」はこう記している。
「(実家では)毛沢東と二人の弟は両親が残した家と相当な広さの土地を相続し、親戚の者達がその財産を管理していた。弟達は毛沢東に呼び寄せられて長沙で共産党の仕事に従事していたが、二人とも毛沢東と一緒に実家へ戻った。わずか五〇キロしか離れていない長沙では共産党の湖南支部がストライキやデモ行進や集会を組織していたが、毛沢東はそうした活動にはかかわらず、実家にとどまってトランプに興じたりしていた。
が、毛沢東は政治の世界に復帰するチャンス、それも高いレベルで復帰するチャンスを狙っていた。一九二五年三月、国民党指導者の孫文が死去した。後継者は毛沢東もよく知っている人物で、毛沢東に対して好意的な汪精衛だった。汪は前年に上海で毛沢東と一緒に仕事をしたことがあり、二人は非常に気が合った」
 この「汪精衛」こそ、後に日本の支那政策にとって重要な人物となる「汪兆銘」その人である。日本史辞典によると、「1885(「マオ」には1883年生まれで毛沢東より一〇歳年上だった、とある)〜1944。中華民国の政治家、字は精衛。中国広東省の生まれ。日本に留学中、中国革命同盟会に参加。孫文の元で革命運動に従事、後国民党左派として右派の蒋介石と対立した。日中戦争中、近衛三原則に呼応し、1938年重慶を脱出、’40年日本と結び南京に傀儡政権を作り「親日反共」を唱えたが、’44年日本で病死した」とあるが、「マオ」の解説を併記しておこう。
「(汪精衛は)カリスマ性があり、雄弁家で、しかも映画スターばりの美男子だった。清朝打倒を目指す共和革命勢力として活発に活動し、一九一一年一〇月に辛亥革命が起こったときには摂政を含む清朝高官の暗殺をくりかえし企てた罪で終身刑を受け獄中にあった。清朝が倒れ、監獄から釈放されたあと、汪精衛は国民党指導者の一人となった。孫文の晩年には孫の傍らにあり、遺言書の証人もつとめ、後継者として有力な地位にあった。そして何よりも、汪精衛はソ連人首席顧問ボロディンの意に適う人物だった。国民党の支持基盤に約一〇〇〇人の工作員を送り込んだモスクワは今や広東の支配者となり、省都広州の街は赤旗やスローガンが翻ってさながらソ連の一都市のような雰囲気だった。通りを走る自動車の窓からはソ連人の顔がのぞき、中国人の護衛がステップに立っていた。珠江をソ連船が行き交い、閉ざされた扉の奥ではレーニンの肖像画が見下ろす部屋でソ連人コミッサールが赤いクロスをかけたテーブルに着席し、『破壊分子』を尋問し裁判を行っていた」
 この文からは、国民党内に巧に浸透していた共産党工作員の状況と、それを操るコミンテルンの活動の有様が浮き彫りになる。この時点では、スターリンの野望はほぼ達成されつつあったと見て差し支えあるまい。そんな中国にとっての危険な転換期に孫文が死去する。それを知った毛沢東は直ちに二人の弟を広州に向かわせ、チャンスを探らせた。そして後継者に汪精鋭が就任することが判明すると、毛沢東は韻山近隣で党の末端組織を次々に設立して「点数稼ぎ」を開始する。その組織の大多数は共産党ではなく国民党の組織であった。「マオ」には、「中国共産党指導部から追い出された毛沢東は、国民党に活路を求めたのである」とある。
 つまり、強固な信念よりも、自己の活路を求めた毛沢東は、主義主張よりも「実利」を求めたのだと言えるが、このような中国人独特の思考・行動を、当時の大多数の日本国民が理解できなかったとしても無理はない。
1899年に日本に亡命した孫文は「中山樵(なかやまきこり)」と名乗って、宮崎滔天、内田良平らの支援を受けて、1905年に東京で中国革命同盟会を結成、辛亥革命に成功して臨時大統領に就任したが、その中国の国父である“中山”は、1925年春、北京で病死した。
この頃のわが国内は、1923年9月の関東大震災のあとでもあり、革新勢力の台頭(第一次共産党事件)などで世相は混乱していた。経済も不況が慢性化し、加藤高明政権下で普通選挙法・治安維持法が公布されたが、やがて松島遊郭疑獄事件に発展、議会勢力の後退は著しく、国民の政党への不満が高まっていた。中国で抗日運動が激化しつつあったことは、ワシントン会議の推移とともに前述したが、中国国民党と共産党との確執、その中に潜むコミンテルンの工作などについての詳細を、そんな最中にある日本国民が知りえなかったとしてもあながちこれを責めることは出来まい。そして1926年12月25日、大正天皇が崩御される。   (続く)

佐藤守:
防衛大航空工学科卒(第7期生)。
航空自衛隊に入隊
戦闘機パイロット(総飛行時間3800時間).
外務省国連局軍縮室に出向。三沢・松島基地司令、
南西航空混成団司令(沖縄)を歴任.平成9年退官.
岡崎研究所特別研究員.軍事評論家.
日本文化チャンネル「桜」軍事コメンテーター.
著書に「国際軍事関係論」
ブログ;http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
---------------------------------------------------------
2.奥山篤信  
 松岡洋右のジュネーヴ (2)我が立場を強調す -1-
 -------------------------------------------------------- 
1932年11月21日国際連盟第一回理事会において松岡全権は約50分演説を行なった。
松岡はやや上向きがちに体の位置を置いて、煙草の煙を輪に吹いていた。場内には数百人の観衆、外交官、新聞記者、その三分の一が女性で当時流行の赤い服が目立ち場内を艶やかにしたという。全権が座ったまま、眼鏡をかけ、平然と欧米人と同じ流暢さで語りだした途端ざわついている満場は静まり返った。

まずリットン調査団の真摯にして熱心なる業績に対して、その労を多とするも、それが個々全体に引き出した推論及び結論には、種々の点において研究の足らなかったことを指摘し論駁していく。

(1)調査団は日本国民に対してワシントン会議時代の態度を強いている。

1922年のワシントン会議の時代、支那には少なくとも三つ以上の政府が存在し、かつ自治形態の省が多数あり、共和政体を宣言したそれ以前よりも悪い状態にあったが、現在はさらに退歩しており、状況が悪化している。しかもリットン報告書にもあるとおり、共産主義なる別個の恐るべき勢力の脅威が存在しているのである。いわゆる軍閥と称する諸将領の乱立、外蒙古のソヴィエト化、チベット、トルキスタンとの戦乱、国民政府もわずか揚子江下流の数省において軍閥の支えで成立しているに過ぎない混乱にある。蒋介石はソ連の援助を排除したが、支那人に率いられる共産運動と戦っている。日本を含め欧米諸国は30年以上自国軍隊を支那に駐留し、艦船を揚子江に碇を下ろし、種々なる困難の下に商取引に従事し、または旅行する夫々の自国民の保護を行なってきた。

(2)実に異常な状態ではないだろうか。世界中どこを探してもどこにかかる状態があるだろうか。

承認された国家の信認の下にある外国全権公使の生命が、各自国の軍隊の駐留によって護られている国など支那以外にはない。1927年南京において、暴徒化した国民軍が各国領事館に狼藉を働いた。そのため英米の海軍が、直接自らの領事、館員妻子の生命を救助せねばならなかった事実。「不平等条約の廃棄」と称して欧米日本の商船艦船が暴兵,匪賊の陵辱や暴行に遭遇した例は枚挙に暇がない。日本が居留邦人の保護のために駐屯している軍隊の数は英米のそれに比べ決して多くない。保護されるべき居留邦人の数ははるかに多数であるにも拘わらず、日本は自制してきたのである。

(3)国民政府は上下を通じて先鋭な排外感情が浸透しており、しかも政府は青少年の心臓に、外国人に対する憎悪の念を注入することに孜々として之努めている。

調査団報告書でも「今回の戦争を起こすに至らしめた雰囲気の醸成に、与かって力あったのは、経済的ボイコット手段の使用、並びに各学校における排外主義宣伝の鼓吹の二つである。」と認めているのである。現在青少年の教育には、国民主義の破壊的方面にのみ、より多くの関心を集注し、建設的方面が省みられない。
教科書には愛国心に憎悪の炎を点火し、破壊意識の上のみ勇気を植えつける内容である。5000万の青少年が、この過激思想の下に成長しつつある。さらに支那軍隊の数は合計200万に及んでいるが、これらのうち国家の守護のために組織されているものは極めて少数である。ボイコットは長期にわたり、一層悪性であり、陰険極まる戦争手段であると断じる。支那に於ける日本人は永年にわたってこの手段に悩まされ、事業が破壊されたものすらある。国民政府がボイコットを自ら奨励し強制している事実、それは条約で認められている外国の権益を外国の手で破棄させるように仕向ける魂胆で、国策の一手段として使用されている。日本は支那との修好条約に忠実ならんと長い間真摯な努力を払ったにも拘わらず、ボイコットに悩まされ続けられ、我らの忍耐は却って弱味と見誤らせ、日本に対する迫害を一層強固とする元気を支那に与えきた。

まさに現在の中国と重ね合わせてみれば面白い。現在の対中国に対する日本の朝貢姿勢がますます中国をして付け上がり、反日のためのでっち上げ教育を施している現状と酷似しているのである。まさに自己を反省することなく他人にその非を咎める中国人の気質は全く過去、現在、未来とも変わらないのである。

(4)「即ち日本が支那国民に対して辛酸と敵視の寛恕を抱いている」(調査団の報告に散見される)という観方を棄てることが至当である。

満州においての日本への排外運動は、張作霖「老元帥」時代は禁じられていた。その息子張学良「若き元帥」こそが蒋介石と連盟して、支那から官吏を導入するなどして、直接反日運動を指揮するに至った。そして満州で獲得した日本の権益を奪還しようとしたのである。鉄道,鉱山、その他各種の企業に対する日本の投資が剥奪されんと危機に瀕したのである。支那がこれにより莫大な恩恵に浴したにも拘わらず、また日本は条約で与えられた権益以上の何の野心もなく満州の主権が支那にあるという実質なき虚構を一応承認して異議がなかったにも拘わらず、かような仕打ちを受けたのである。
張作霖爆殺が実はソ連の陰謀であるとの説がユンチアンの「マオ」にあったが、松岡の話からみても張作霖を日本が暗殺する理由がないとの当時の様子が窺える。(続く)

奥山篤信:
京都大学工学部建築学科卒
東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社 
平河総合戦略研究所代表理事
-------------------------------------
3.松永太郎
 教育の再生について
-------------------------------------
 「文芸春秋」3月号に、上杉隆氏による「教育再生会議」のレポートが載っているが、話半分に読んでも、ひどいものだというしかない。
 もちろん私は、この会議にかかわった方たちが真剣ではなかったとか、その「第一次報告」がまったく妥当ではない、などというつもりはない。
 しかし、私などにはよくわからないが、日本の「偉い人」(著名人、官僚、政治家など)は、普通の会社で、普通に働いたことのない人が、多いのだろうか。
 たとえば、普通の会社で、今の「教育」(その会社のものであっても、あるいは社会の全体のものであっても)システムには問題がある、だから改良点を検討せよという課題を検討しようとすれば、まずプロジェクト・チームが組まれるだろう。そして、そのプロジェクト・チームは、アジェンダ・セッティングあるいはロードマップを設定するところから始めるだろう(カタカナ言葉が多くてごめんなさいね)。 つまりは、この課題に取り組むには、どのようなファクターを考えなければならないのか、まずそこから検討をはじめるだろう。この「上杉レポート」を読む限り、どうやら、そうではなくて、いきなり委員の人たちが意見を言い始めるところから話を始めている。
 意見を言うなどというのは、もっとも簡単なことである。「言え」といわれれば、私にもできる(現に今、こう言っている)。新聞の投書欄、社説欄、オピニオン欄、論説雑誌、みなご立派な「意見」に満ち満ちている。
昔の明治の政治家(桂太郎)が「今日、バカが5人来た」と言ったのは、有名な話である。実態を知らないで、あるいはリアリティでも、データでもなんでもいいが、それを知らないで、それについてなにかが言えるし、なにを言ってもいい、と考える伝統は、このころから生まれたのだろう(江戸時代だと、腹を切らなければならない)。
 仮に「教育の再生」について検討するのであれば、まず考慮に入れるべきファクターは、たった今、私が、ばらばらに思いついただけでも、たとえば
 学校システム(義務教育)システム自体の問題(義務教育とは何か、なにをもって「義務」とするのか、その他)、地域住民と学校との関係の問題、学校に通わせている生徒の親たちと学校との関係の問題、教室における生徒(学生)と先生の関係の問題、私立校と公立校との関係の問題、「大学」制度の問題、先生の「労働」問題(主として給与と労働時間)、教育に対する社会的期待の問題および社会的な「コスト」の問題、教え方の問題(たとえばITをどう活用するのか、など)、エトセトラであって、もちろん、ほかにも、またもっと大事なこともたくさんあるにちがいない(たとえば、そもそも「教育」とはなにか、という理念的課題」)。
 しかし、いずれにしろ、まずやらなければならないのは、まずアジェンダ・セッティングを行った後、優秀なスタッフによって、これらのファクターについての実態調査を行う、ということである。かなりの資金をかけて(こういうとき、血税を使わなくて、ほかにいつ使うのかわからない)実態調査を行い、そのデータを分析しなければならないだろう。それをやった、という形跡は「上杉レポート」にはない。しかし、共通のデータないしファクトを基礎にしなければ、そもそも話ができない、というのは普通の会社では当たり前のことである。前年度の部門売り上げについて、一人は、一億といい、一人は百万といって、なにか実のある話ができるというほうがおかしいのである。
 混乱した話をされて迷惑なのは子供たちである。さらにここに「イデオロジスト」が加わる。「イデオロジスト」というのは「すべて社会的システム自体が悪いのです!と言う人たちである。たとえば、それは「ジェンダー」の問題であり「歴史観」の問題であり、「俺様の言うとおりのシステムにすれば、全部解決するのさ」(宮台真司教授)であり、要するに「体制」の問題である。(この宮台を石原知事がほめているのは、若干、信じがたい現象である)。
仮に、この人たちの言うことをすべて、そのとおりにした、としよう。それで、すべて解決するだろうと考える人は、たとえば旧ソヴィエトを見ていただきたいし、今、現在のチャイナあるいは「北」を見ていただきたいのである。まっさきに殺されるのは、あなたであることがおわかりでしょうか。
 「教育の再生」は、「著名人」では、不可能である。わが国の普通の人々が、普通の方法で、普通に行うほかない。それを言いたかったので、この項を書いた。

松永太郎;
東京都出身 
翻訳家、多摩美術大学講師、レモン画翠社長
主訳書「進化の構造」「イカロスの飛行」他。
-------------------------------------
4.西山弘道 
  面白くなってきた都知事選
------------------------------------
 統一地方選挙の天王山、東京都知事選(3月22日告示、4月8日投票)に石原知事の対抗馬として前宮城県知事で慶応大学教授の浅野史郎氏(59才)が名乗りを上げ、俄然面白くなってきた。浅野氏は自らの出馬について「フリーズ(凍結)している」など、報道陣に思わせぶりな回答をしてきたが、ついに28日、市民団体の出馬要請を受けて、「前向きに考えたい」と出馬を決断したようだ。正式には今週8日、東京・中野区内で開かれる市民団体の集会に出席して出馬表明を行うという。

 都知事選にはすでに、3選を目指す現職の石原慎太郎氏(74才)の他、共産党が推薦する元足立区長の吉田万三氏(59才)、それに建築家の黒川紀章氏(72才)らが出馬を表明している。これにVS石原対抗馬本命の浅野氏が加わるわけだが、吉田氏を除く3人は政党の支援を受けず、東京の無党派層を意識した“無党派候補”として戦うという異例の選挙戦となりそうだ。自民、民主の2大政党を袖にして選挙を行うというのは、宮崎県の無党派タレント知事誕生をも意識したものだろうが、首都のトップを選ぶ選挙に2大政党が容喙しないというのは、政党政治の存在意義を問うことにもなる。

 それにしても、民主党の候補選びの混迷ぶりにはあきれて物が言えない。筑紫哲也氏や鳥越俊太郎氏など党外の有力候補に皆断られ、結局党内から出さざるを得なくなった時、本命の管直人氏は逃げて逃げまくった。民主党は党首の小沢一郎氏が体調の不安から、首相にはなれず、鳩山、管=ハトカンのどちらかが、首相候補とされてきた。実は、管氏は岡田氏や前原氏など自分より若い連中が党首になった時、自分にはもうトップは回って来ないだろうと思い、都知事選に色気を示した時があった。東京区長会などに盛んに自分を売り込んでいたほどだが、若い党首たちが次々と挫折したのをみて、自分にもまだ国政に出番があると思ったらしい。今回はそういう管氏の“野望”を潰そうとライバルの鳩山氏周辺が盛んに管氏を都知事選出馬に追い込ませる“策謀”もあったというが、それが本当だとすると何と醜いことか。

 そんな管氏のことだけに、浅野氏出馬表明でさぞホッとしていることだろう。これで民主党は候補を見送り、浅野支援という形で都知事選に辻褄を合わせることのようだ。それにしても、首都の顔を選ぶ選挙戦に、野党第一党の政党が候補も立てられないというのは情けない。特に小沢党首にとっては、都知事選は“鬼門”である。小沢氏が自民党幹事長時代、党の候補としてNHKの磯村尚徳氏を立てたものの、造反した自民党都連が立てた鈴木俊一知事に大敗した苦い分裂選挙の前歴があるからだ。

 さて、浅野氏出馬で今回の都知事選、どうなるかである。
4人の“候補”のうち、よくわからないのは黒川氏である。石原氏とは40年来の“保守の盟友”であったというが、出馬の動機が「石原氏を出馬させないため」というのがわからない。石原氏が出馬を断念すれば、自分も出ないということだが、そもそも選挙というのは自らが当選するために立候補するものである。よく「当選を度外視して」という候補がいるが、それは謙遜の言葉であり、今回の黒川氏の「度外視」は選挙を馬鹿にしていると思うのは私だけであろうか。六本木など都心再開発の建築設計が、ライバルの安藤忠雄氏にいって、自分に声をかけなかった石原氏への腹いせという見方もあるが、どうだろうか。

 浅野氏は確かに改革派知事として、宮城県を大きく変えた。特に厚生省の優秀な福祉官僚出身とあって、宮城県の福祉政策を充実させた。そして県政の情報公開を進め、全国一といわれるほどの評価を得た。また、浅野氏が大きく評価されるのは、県警の裏金疑惑を果敢に指弾したことである。普通、首長といえども警察は聖域であり、後難を恐れて警察のタブーには踏み込まないのだが、浅野氏はそれをやった。一方で、浅野県政は財政悪化を一段と進め、現在の自民党知事県政がその後始末に苦労しているという批判もあることは指摘しておかなければならない。

 1期目166万票、2期目308万票、これは石原知事の選挙の過去の票数である。知事交際費の高額問題、4男の出張費疑惑など都政の私物化が指摘されている石原知事としては、さすがに3期目は1,2期目のような集票の勢いはないであろう。しかし、5輪招致や、先日の話題を呼んだ東京マラソン実施などカリスマ性は衰えていない。そのカリスマ知事に浅野氏がどこまで迫れるか、都知事選は面白くなってきた。
 
西山弘道;
ジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、文化放送で30数年、放送記者として
活躍。政治担当として、三角大福中、安竹宮の「永田町戦国史」を取材。
2005年10月、文化放送を退社、以後フリーのジャーナリストとなる。
------------------------------------------------------------------------
◎Bunkamura「ひばり」を観劇して  ☆☆☆ 奥山篤信
------------------------------------------------------------------------
神に選ばれた少女が起こした真実の奇跡なのか?

ジャン・アヌイの戯曲「ひばり」を原作とした演出蜷川幸雄、主演松たか子の渋谷Bunkamuraでの千秋楽の公演(2月28日)を見た。期待を裏切らず蜷川の演出はその舞台美術を含め素晴らしいものがあった。ジャンヌ・ダルクについては歴史的にもいろいろな解釈があるが、この戯曲が描く姿はあたかも欺瞞と堕落そして似非平和主義に満ちた現代日本を風刺していて面白い。

ジャンヌ・ダルクが得た神のお告げを、神の奇跡ではなく、神の声を直接聞いた一人の人間としての叫びとして教会に対峙する姿を、異端者裁判の司祭者との圧巻とも言えるやりとりを通じ見事に描いている。さらに穿って見ると、ジャンヌ・ダルクがしきりに王太子(シャルル7世)を勇気つける、怖れを経験するからこそ、その上での名誉を守る戦いへの勇気鼓舞など、まさに戦後国際的暴力におびえ専守防衛など欺瞞に満ちた日本が、真っ当な軍隊を備え、不条理な敵国に対して断固戦う姿勢こそが大切であり、それが侮りを払拭する最も大切な点であることを風刺しているように思える。何よりも、ジャンヌが教会やイギリス軍への妥協に一旦甘んじ、死刑を免れるが、その牢獄での、ただ延命装置ともいえる偽りの一生よりは、自分に忠実に真実のために、その妥協を翻し、火あぶりの刑を敢えて甘んじるこの姿勢こそ、日本人にも通じる美学がある。

松たか子はよれよれの灰色のトレパン姿(この服装だけはもうちょっと凝って欲しかった)で終始舞台にて、良い意味でのサラブレッドの品格で、可愛らしい純朴なジャンヌ・ダルクを元気一杯演じていた。千秋楽だけあって、全配役が各々思いを込めて最終舞台を演じ、拍手はなりやまずスタンディングオーベーションで蜷川と松らの演技を称えた。
------------------------------------------------------------------------
◎独映画「善き人のためのソナタ」(原題 Das Leben Der Anderen)☆☆☆☆☆奥山篤信
------------------------------------------------------------------------
この映画の舞台となるのは1984年の東ベルリンである。僕は丁度同じ年の春から夏にかけて、当時東ドイツ向けの商談で数ヶ月西ベルリンに滞在し、毎朝毎夕鉄道であればフリードリッヒシュトラーセ駅、陸路だとチェックポイントチャーリーを通過、長いパスポートコントロールの列にうんざりしたものだ。自家用車でチャーリーを通過するときは、大きな鏡を車の裏底に入れて人間が隠れていないか検査する。駅では別れを惜しむドイツ人の引き離された親子(老いた途端、老人保障がかかるのでむしろ西側に姨捨山のごとく追い出すのである。若い間は労働力でこき使うので絶対に脱走させない。)が抱き合って泣いている姿を毎日のように見た思い出は、今となっては嘘のような、重苦しい緊張感、それでいて懐かしい。1989年崩壊した「ベルリンの壁」である。

1984年当時は、外国人や東ドイツ国民を監視する国家保安省シュタージの暗黒の支配があったのである。外国会社に勤務する社員には当然シュタージから監視員を送り込まれており、電話ファックスは盗聴されている。余談だが、だから相手側に全部筒抜けになることを、逆手にとるなど高等テクニックも駆使するのである。

シュタージの出世コースを歩むヴィースラーは「被疑者尋問で白か黒かどうか判定するには、48時間ぶっ通しの尋問を行い、何度も何度も同じ状況の説明質問を行う。嘘を言う者は、同じ台詞を一字一句違わずに言う。真実を語る場合は色々言い方を変えて同じことを説明するものだ。さらに嘘を言うものは、必ず泣き出し、すがるように本当だと訴える。真実を語るものは不当な長時間拘束に怒りをぶつけわめき散らす。」とシュタージ幹部養成学校で尋問の方法について教育をする冷血無比なエリート部員であった。

ある日ヴィースラーは東独の著名な劇作家のドライマンを反体制として陥れるために、証拠をつかむよう命じられる。実はその裏にはドライマンの愛人で舞台女優クリスタを毒牙にかけんとする国家保安省大臣の醜悪な私欲もあった。そのヴィースラーが仕組むドライマンのアパートの盗聴設備で監視するうちに、反体制の人々の世界、それは極めて人間的で自由な世界、に聴覚で接する(原題を英訳すると「The Lives of Others」他の人々の生活とでも翻訳すると意味がでてくる。)ことにより、監視する自分自身が変えられてしまうのである。

社会主義国家を信じ、忠誠を誓ってきたヴィースラーだったが、ドライマン邸で二人の会話や愛の囁き、それに反体制の人々の自由な思想、音楽、文学に、今まで知ることのなかった新しい人生に目覚め、ミイラ取りがミイラになる物語である。これは、実に美しい人間の正義と勇気と愛の感動のドラマである。

この映画は先日のアカデミー賞で外国映画部門でオスカーを受賞した。弱冠33歳のフロリアン・ヘンケルス・フォン・ドナースマルクが歴史家や、当時の加害者、被害者への取材、記録文書の分析に4年を費やし、初めての監督にして、この快挙である。主演はかって自分自身も監視された経験を持つ東ドイツ出身の名優ウルリッヒ・ミューエが心の内面の変化を絶妙に演じるのである。その他マルティナ・ゲデック、セバスチャン・コッホなどドイツ俳優の重厚で味のある演技はハリウッド映画にはないものがある。そしてこの物語にふさわしく、バックには美しい旋律が流れる。あの『愛人/ラマン』や『イングリッシュ・ペイシェント』の作曲家でオスカー受賞者のガブリエル・ヤレドの音楽が、重苦しい体制のなかでの人間の善意や愛の一抹の灯りを燻銀のように輝かせている。絶対に見逃せない傑作である。
------------------------------------------------------------------------ 
◎アメリカ映画「パフューム 〜ある人殺しの物語〜」(原題Perfume: The Story of a Murderer)☆ 奥山篤信評
------------------------------------------------------------------------ 
1949年生まれのドイツ人作家Patrick Süskindの同名のベストセラーなんと1500万部を45カ国で売れたというから凄い。僕も映画の前にこの本を読んでみた。18世紀のパリの悪臭漂う中、香水は超贅沢品として有産階級の間でもてはやされた。生まれながらの異常な嗅覚を持った天才的調香師の、究極の芳香を求める連続女性殺人事件の物語である。映画は小説に忠実であり、御伽噺のようなカルト映画と言ってよい。犯罪の動機がセックスや私欲を超越した純粋なものだけに、殺人が残酷で吐き気を催すものとは程遠く、美しい乙女の香りの殺人美学として描かれている。それに全編を通じサイモンラトル指揮ベルリン交響楽団の演奏がバックに流れ実に美しいのである。奇想天外ともいえるフィナーレ、残酷な処刑を楽しみに来た観衆が、究極の香水に酔いしれ、殺人者がなんと救世主の到来に変わり、刑場はORGYの宴に化すという支離滅裂性の中に、著者が何を言いたかったのか?戦後アプレゲール世代特に敗戦国ドイツの世代のデカダンスの耽美主義と無神論がこの小説の背景にあるのではないか?

あの巨匠故スタンリー・キューブリックすら、映画化を試みたが断念したという。奇想天外をいかに映画化するか悩んだのだろうか?トム・ティクヴァ監督の采配の下、前半は懐かしいダスティン・ホフマンがユーモアたっぷりの名演技 、後半はアラン・リックマンが渋い演技でひきつける。主人公を演じるベン・ウィショーの容姿と演技は新鮮である。でもこの映画一体何なんだろうか?こんな映画が前評判か東京でも上映している映画館がやたら多いのには驚きである。
------------------------------------------------------------------------ 
◎ビジネス情報誌「エルネオス」2007年3月号
巻頭言「舛添要一の賢者に備えあり」安倍内閣の危機〜「裸の王様」再論〜
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 宮崎県知事選挙で、そのまんま東氏(本名、東国原英夫)が当選した。自民党と公明党の推薦候補、そしてもう一人の保守派を押さえての大勝である。
 この勝利には、保守が分裂したことも大きな影響を与えている。しかし、それだけがこのお笑いタレントの勝利の理由ではない。知事による官製談合への有権者の批判があるにもかかわらず、保守系候補は役人出身、これでは何も変わらないと県民が判断しても仕方がない。地元の方言で、宮崎を変えようと訴えたそのまんま東氏の声が心地よく 聞こえたことであろう。きちんとしたマニフェストを作り、それを情熱的にアピールした候補の勝ちである。選挙戦の勢いも目の輝きも、他の候補を凌駕していたのである。
 そのあと行われた北九州市長選と愛知県知事選は、自公候補が前者では敗れ、後者では辛勝であった。とくに愛知では、一五%も引き離していた候補が接戦を強いられたことは予想外のことであった。
 その原因が、「女性は産む機械」と言った柳沢伯夫・厚生労働大臣の発言にあることは衆目の一致するところである。その後も、この大臣は、結婚して二人以上子供を持とういう考えが「健全」と言っている。これこそ大臣個人の価値観であり、厚生行政の最高責任者が統計データを説明する際に自分の価値観を加えるようなことは断じて慎まなければならない。しかも、本人は自分の「健全」発言のどこが悪いのか分からないという。まさに度しがたいというほかない。結婚しようが、子供を何人作ろうが個人の自由であり、それが理解できない人間が厚生労働行政の舵取りを行ってはならない。
 したがって私は、この人の大臣辞任を求めたのであり、今の時代感覚や民意にあまりにも鈍感な首相官邸を批判し、安倍首相が「裸の王様」になりかかっているのではないかと、総理側近の人々に注意を喚起したのである。安倍内閣の支持率が下がり続けていること、柳沢大臣は辞任すべきという人のほうが辞任しなくてよいと考える人よりも多いこと、厚生労働大臣を温存した安倍首相の判断を支持しない人のほうが支持する人よりも多いことは、私の警告が間違っていないことを示している。
 民主国家における政治の役割は、人々が多様な価値観をもち、多様な方法で幸福を追求することを可能にする枠組みを作ることである。そのような基本的なことを理解していない閣僚を温存するようでは、いつまた同様な問題が噴出するか分からない。安倍内閣は、いわば地雷原を歩いているようなものである。したがって、この事態を打開するためには、内閣改造すら視野に入れなければならない。任期途中での改造は、選挙直後ででもないかぎり、内閣を弱体化させる。つまり、普通はやってはならないことである。
 しかし、じり貧になるくらいなら、内閣改造を試みるのも悪くはない。何もせずに、拱手傍観していれば、内閣が瓦解することにもなりかねない。状況はそれくらいに悪いのであり、その危機感を安倍首相の側近たちが共有していないから、裸の王様が生まれるのである。
 これから統一地方選、参院選と、国の行方を左右する選挙が行われる。その結果を左右するのは無党派層である。有権者の約半数がこの層に属すると考えてよい。この層こそがそのまんま東知事を誕生させたのである。無党派層は官製談合事件以来、役人、とりわけ国土交通省の官僚を嫌う。それなのに、自民党は相変わらず、この省出身者を候補にする。民意を甘くみてはいけない。
(参議院自民党政策審議会長)
◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◎情報感度を研ぎ澄ます!ビジネス情報誌「エルネオス」
 編集長・市村直幸
 〒105−0003
 東京都港区西新橋1−22−7 丸万7号館4階
 電話:03−3507−0306
 Fax:03−3507−0393
 e‐mail:ichimura@elneos.co.jp
 URL:http://www.elneos.co.jp/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
次回の配信は3月11日(日)を予定しております。どうぞお楽しみに!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
登録内容(メールアドレス等)の変更、メールニュース配信の停止は、
こちらからお願いします。
<http://www.melma.com/backnumber_133212/>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
有限責任中間法人 平河総合戦略研究所< http://www.hirakawa-i.org >
発信元:< info@hirakawa-i.org >
掲載された記事を許可無く転載することを禁じます
Copyright(c)2005 Hirakawa Institute
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 
このメルマガの読者になる
規約 
>> メルマ!の会報誌もお届けします

ブックマーク: はてなブックマークに追加del.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録My Yahoo!に追加Add to GoogleRSS

このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます

Japan on the Globe 国際派日本人養成講座
日本に元気と良識を。歴史・文化・政治・外交など、多方面の教養を毎週一話完結型でお届けします。3万4千部突破!
週刊アカシックレコード
02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家(金正日の「遺書」で始まる「中朝戦争」後の北朝鮮...
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
頂門の一針
急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。
花岡信昭メールマガジン
政治ジャーナリスト・花岡信昭が独自の視点で激動の政治を分析・考察します。ときにあちこち飛びます。


この記事へのコメント

全1件表示
コメントを書く
桝添さんが愛知県知事選での結果について柳沢大臣の発言を絡めて言っておられる部分のある記事が掲載されておりましたが、私の周りでは逆に、中央の政局に、我々地方在住者のトップを決める大事な選挙を利用しようとする民主党の姿勢に腹を立て、当選した現職・神田知事に鞍替え投票した者もちらほらおります。もちろん記事は桝添さんのご意見なので掲載されたことについて文句があるのではありません。ただ、記事では確信したように書いておられても実際の現場というか住民には、逆のことを思った者が意外と多いのですよ、ということをお知らせしたいと思ったのです。日時:2007年3月11日


おすすめキャンペーン

■三菱東京UFJ銀行系 モビット■
【1】ネットで自動審査・来店不要!
【2】限度額300万円
【3】年利9.8%-18.0%(実質年率)

急な出費にモビット!

発行者プロフィール

ペンネーム :


このメルマガの読者になる

規約に同意する



このメルマガの最近の記事


このメルマガの最近のコメント


注目情報


新着記事トピックス