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甦れ美しい日本 第094号
発行日: 2006/11/27□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2006年11月27日 NO.094号)
☆☆甦れ美しい日本☆☆
☆・・・・私たちは書きたいから書くのです・・・・
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< 目次 >
◎レギュラー執筆者
1.佐藤 守 大東亜戦争の真実を求めて89
2.奥山篤信 人間写真家 細江英公氏
3.松永太郎 細江英公氏の写真
4.西山弘道 自民党リベラル派とは
◎学生寄稿
間一根 「踏み絵」と復党問題
◎映画寸評
「ナチョ・リブレ 覆面の神様」☆☆ 奥山篤信評
「トゥモロー・ワールド」(The Children of Men) ☆ 奥山篤信評
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──────────────────────────・・・・・☆
◎レギュラー執筆者
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1.佐藤守
大東亜戦争の真実を求めて89
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「蒋介石秘録」を続ける。
「(1923年8月)十九日、大連へ着いた。東北に足を踏み入れたのは、一九一四年
以来九年ぶりであった。その九年のうちに、日中間には『二十一か条要求』(一九一
五年)、『鄭家屯事件』(一九一六年)、『日中共同防敵軍事協定』(一九一八年)、『シ
ベリア出兵』(同年)などの出来事があり、東北への日本勢力の進出振りは、まさに
格段の差があった。
日本の租借地である大連市は、もはや『中国』ではなく、同じ港町である日本の
横浜を小型にした、日本の領土を思わせるものであった。
約七万人の中国人が居住していたが、裁判権はすべて日本人が掌握しており、会
審講堂(中国人と外国人との間で訴訟が提起された場合、両国の官吏が立ち会って
審理する公所)さえ、置かれていなかった。
いわゆる“関東州”に、中国は、領事は勿論一人の官吏も派遣することが出来な
かった。これが本当の外国であるならば、領事を置けるだけ、まだましといわなく
てはならない。中国の領土でありながら、中国人師弟のための中国人学校もなく、
実に悲しむべき状態であった。
大連についた日、亡き母・采玉に捧げる『哀思録』のための『所感』を書き送っ
た。『哀思録』は、母の喪中に寄せられた文章を、同士の葉楚傖がまとめてくれたも
のである。(略)
大連から長春まで、南満州鉄道の車窓から見聞したものは、すべてここが日本の
勢力範囲にあることを、改めて印象付けるものであった。ハルピンを経て、二十五
日、満州里で国境を越え、シベリアを横断して、九月二日午後一時、出発以来十八
日目にモスクワに到着した」
さて、ここで、蒋介石がその秘録で回想した1915年から、彼がモスクワに着い
た1923年9月の間、日本の国内外情勢について簡単に整理しておこう。
1894年8月に起きた日清戦争で、勝利した我が国は、1895年4月に下関で講和
条約を締結した。そして遼東半島、台湾を割譲され、償金2億両を得た。しかし露
仏独の三国干渉で5月に遼東半島を返還した。これを機にわが国は軍制を確立する。
1900年、義和団事件が起きたため、我が国は出兵(北清事変)する。そして1904
年に日露戦争が勃発、こうして我が国は富国強兵の道を進むのだが、同時に資本主
義も成立する。やがて金融資本は大陸へ進出し、国内では政党政治が進展、憲政擁
護運動も激化する。
1909年、間島で日清両軍が衝突、間島、満州に関する日清協約が締結され、翌
1910年には韓国を併合する。
このころから、中国と米国に排日問題が生まれ、1913年、カナダが日本人の渡航
を制限、中国の華南では侮日事件が起き、米国・カリフォルニアで排日移民法が
成立している。
翌1914年には第1次世界大戦が勃発、我が国は8月にドイツに対して宣戦を布
告、陸海軍が山東半島に上陸する。対支二十一か条要求を行ったのは翌1915年1
月であり5月に日中条約が成立したが、これが反日の源になった。
1918年、蒋介石が言う「日中共同防敵協定(日中軍事協定)」も成立、8月に我
が国はシベリアに出兵、山東に関する日中覚書を交換、11月に第一次世界大戦が休
戦となる。
そしてその後は朝鮮人による反日運動が拡大し、1919年に三一運動、1920年に
あの尼港(ニコライエフスク)事件が起きる。そして時の首相・原敬が、東京駅頭
で朝鮮人青年によって暗殺されたのが1921年である。まさに我が国にとっては歴
史に残る激動の時代であった。
さらに、蒋介石がモスクワに着いた1923年9月2日は、関東大震災の翌日であ
る。国内情勢に手一杯だった我が国では、おそらくこの時期に「蒋介石がモスク
ワを訪問し、ソ連共産党幹部たちと会っていたこと」など、殆ど知る者は居なか
ったのではなかろうか? (続く)
佐藤守:
防衛大航空工学科卒(第7期生)。
航空自衛隊に入隊
戦闘機パイロット(総飛行時間3800時間).
外務省国連局軍縮室に出向。三沢・松島基地司令、
南西航空混成団司令(沖縄)を歴任.平成9年退官.
岡崎研究所特別研究員.軍事評論家.
日本文化チャンネル「桜」軍事コメンテーター.
著書に「国際軍事関係論」
ブログ;http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
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2.奥山篤信
人間写真家 細江英公氏
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細江氏は例えば話しをしている相手の女性がハンカチを床に落としたとする。その場合女性と同
時に屈みこんでハンカチを拾おうとされる気配り溢れる優しい男性である。世界的名声があるにも
拘わらず謙虚で誰にでも分け隔てされない真摯な生き方はその英国紳士風のマナーから滲み出
てくるのである。
細江氏の写真人生について映写機を使いながら語って頂く機会があった。約二時間細江氏が熱
っぽく語られる間、そこに居る老若男女は眦を決して熱心に聞き入っていた。評論家をはじめとす
る全員が、言葉で言い尽くせない感動を覚えたのである。その温厚な風貌に加えて一つひとつの
作品への取り組みの激しい情熱が秘められているのである。
三島由紀夫は細江氏の才能を高く評価し、あの有名な「薔薇刑」において細江氏の演出に任せる
まま被写体となった。三島は当時27歳の細江氏を後輩として大変可愛かったのか、細江氏はあ
の畏れ多い大作家をホースで巻きつけたり、ホースを咥えさせたり、細江氏はその撮影の帰り道
に当時助手であった森山大道氏に「ちょっとやりすぎたかなあ」と漏らされたという。茶目っ気
たっぷりの、細江氏の若気の至りといえる「ユルブリンナー事件」なども、三島が「若いなあ」
とちゃんと裏でけりをつけているのである。いかに三島が暖かい視線で細江氏をみていたか、
これも三島評論集を読まれると面白い。
三島が細江氏を三島由紀夫 「細江英公氏のリリシズムー撮られた立場より」にて見事に描いて
いるので引用すると;
現代におけるリリシズムがどんな形をとらねばならぬか、ということが、現代芸術の一番おもしろ
い課題だと私は考えている。リリシズムは現代において、否定された形、捻じ曲げられた形、逆説
的な形、敗北し流刑に処された形、鼻つまみの形…それらさまざまのネガティヴなかたちを撮らざ
るを得ず、そこから逆に清冽な噴泉を投射する。もし現代において、リリシズムが一見いかにもこ
れらしい形をとっていたら、それは明らかにニセモノだと云ってよい。これが私の「現代の叙情」の
鑑定法である。
細江英公氏の作品が私に強く訴えるのは、氏がこのように「現代の抒情」を深くひそませた作品を
作るからである。そこには極度に人工的な制作意識と、やさしい傷つきやすい魂とが、いつも相争
っている。薔薇は元来薔薇の置かれるべきでない場所に置かれて、はじめて現代のおける薔薇
の王権を回復する。見あやまってはいけない。これらの作品は、私を撮った作品ではなく、私は脇
役であって。主役は薔薇で壮麗で、崇高な光かがやく一輪の薔薇、ウイリアム.バトラア.イエイツ
のいわゆる「錬金の薔薇」なのである。
ご参考までだが、えてして写真とは、乞食写真の偽リアリズムに代表されるように、丁度朝日新聞
の記事のごとく、いわゆる「やらせ」根性により社会や国家を批判するのに利用されており、そうい
った写真を写真と考える人が多いのではないか。勿論なかにはキャパや、ブレッソンが捉えた瞬
間の世界には、僕たちの心を打つものがある。写真とはナチスドイツが写真がその「題名」を写真
につけることにより、巧妙に国民の洗脳に利用したり、あのアイリスチャンが偽写真を反日のプロ
パガンダに利用したり、写真とは元来非常に危険性を内包している。
細江氏の写真は絵画を描くようなものと考えたらわかりやすい。三島が評した通り細江氏の写真
のリリシズムとは「極度に人工的な制作意識と、やさしい傷つきやすい魂とが、いつも相争ってい
る。」例えば子供たちの生き生きした姿を自然の中で引き出したいとする。そのためには小道具あ
り、配役あり、そしてその子供という被写体に対する人一倍の愛情と思いやりから発する細江氏
の言葉の投げかけ、美しい構図の構想 そして神に祈るような気持ちでシャッターチャンスを逃さ
ない。一枚一枚の写真が細江氏のまさに写真家としての人生の集大成なのである。時には思い
がけない神の恵みがある、例えば誤って滝に落としたカメラから取り出し現像したフィルムに精霊
が現れることがある。
カメラのファインダーを覗く細江氏には全自然への祈りといえる全身全霊の緊張感があるのだろ
う。
細江氏は三島との出会い、土方巽、大野一夫など数々の一流人との出会いを通して独創的な作
風を築きあげてこられた。決して過去の成功や栄光に安住せず、今やるべきことは何かと「今を大
事にし、仕事をする」姿勢で73歳という高齢にも拘わらず新鮮な気持ちで毎日を励んでおられる。
これから何をするか、細江氏が語る次の課題は核の撤廃という。それは、AC79年のヴェスヴィオ
火山の大噴火によりポンペイが一瞬にしての灰となった天災の恐ろしさを、イタリア政府より要請
されたポンペイの仕事から感じとられ、現代の核による人類の滅亡の危機に関連付け、これは人
災であるだけに、この問題の解決は私たちがなさねばならないと強い決意でおられる。細江氏が
どのように写真の世界でこれを訴えていかれるのか興味深いところである。
さて細江英公氏の写真展が下記の通り開催される。是非読者はこの展示会で細江氏の世界に
浸っていただければと思う。
球体写真二元論:細江英公の世界
12月9日(土)-1月28日(日)
■会 期:2006年12月9日(土)→2007年1月28日(日) ※年末年始休館:12月29日-1月1日
■休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
■会 場:東京都写真美術館2階展示室
■料 金:一般 500(400)円/学生 400(320)円/中高生・65歳以上 250(200)円
( )は20名以上の団体および上記カード会員割引
※小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料
※東京都写真美術館友の会会員は無料 ※第3水曜日は65歳以上無料
奥山篤信:
京都大学工学部建築学科卒
東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社
平河総合戦略研究所代表理事
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3.松永太郎
細江英公氏の写真
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先日、写真家の細江英公氏のお話を伺う機会を得た。一人の偉大な芸術家が、その作品を
振り返りながら、自分で解説を加えられるのを伺う、ということはめったにある機会では
なく、まことに贅沢な時間であった
私は、これまで写真というものは、あまり熱心に見たことがなく、アンセル・アダムス
やブレッソンなどはもちろん名前も作品も知っているけれど、そんなに感心したことはな
かったのである。しかし今回は、違った。写真(芸術)というものが、こういうものかと
始めて体験した、という思いがある。
細江氏には、有名な「薔薇刑」がある。この作品に関しては、すでに多くの人が論評さ
れ、なにより当の「被写体」であった三島由紀夫氏自身がすばらしい文章を書いておられ
るので、もちろん私などが何か言うことはない。
今回、いつまでも忘れられなくなった写真は、舞踊家の土方巽氏と組まれた一連の「鎌
鼬」(カマイタチ)の作品である。
「異界」を田んぼやあぜ道に不意に現出させた、これらの写真を見ていると、人間の「原
風景」という言葉が頭に浮かぶ。フロイト派の精神分析では、原風景というのは、いろい
ろややこしい意味がある。しかし、ここでいう原風景というのは、仏教でいう「中有」、つ
まり人間が生まれる前に見る光景、そして死んだあとに見る光景である。それは孤独な魂
が見る光景、「あまりのさびしさにおろおろする」光景である。「広き野のようなるを、四
五歳の子になり、ただひとりゆくなり」という。同時に、非常ななつかしさをおぼえる光
景である。なぜなら人間がそこから出てきて、そこへ帰る本源への道程で見る光景だから
である。月の明るい夜、すべてのものの輪郭がはっきりしていながら、しかし色彩がほと
んどなくて、白と黒しか残っていない世界である。月明かりのなか、寒い田んぼで人間が
裸で丸くなっている。光の円の中の人間は胎児の姿である。こうした光を、ある仏の教え
では「ルミナス・エンプティネス」(輝ける空)という。私が細江氏の写真に見たのは、そん
な光景であった。
写真というのは、瞬間の芸術であるとよく言われる。たしかにシャッターを押す時間、
被写体が撮影される時間というのは、瞬間といえるかもしれない。しかしその「瞬間」は、
周到に準備された瞬間であることもはじめて知った。したがって、この「瞬間」は、とても
短い時間という意味ではなくなってくる。それは、過去から現在へと来て、そして未来へ
流れていくという時間のなかの一点ではない。それは、そのような時間軸からたたき出さ
れた「瞬間」である。この時間の流れを仏教は輪廻というが、その輪廻から飛び出た「瞬
間」である。それは非・時間的な世界への跳躍である。非・時間的な世界では、永遠は一
瞬である。キリスト教では「永遠の今」という。それは始まりも終わりもない世界である
。生まれることも、滅することもない世界である。不生不滅の世界である。
遠藤周作氏が、亡くなられる少し前に書かれたなかに「人生で大事なのは、子供のとき
学校の帰りに道端で見た花である」という文章があって、心に残っている。それは、この
輪廻の世界をやみくもに進んでいる人間が、不意に「時間」の裂け目を通して「永遠」を
見る瞬間である。あるいは「「永遠」に触れる瞬間である。はるかなものに触れる瞬間であ
る。
なぜ、それが懐かしく感じるのか。なぜ、それがいつまでも記憶に残っているのだろうか。
細江氏の写真は、次第に「祈り」に近づいていく。ポンペイでは、噴火した火山の灰に、
突然埋められたため、なくなったままの人の姿が残っている、という。大自然が残した瞬
間の姿である。 細江氏は、それを原爆の閃光で建物に焼きついた人の姿に重ね合わせる。
輪廻の世界とは、恐怖と残酷さに満ちた世界である。それは「時間」がすべてを摩滅さ
せ、破壊する世界である。しかし「永遠」を見続けた細江氏の写真が祈りであるのは、あ
る意味では、当然なことであった。この稀有の写真家の人柄のおだやかさ、まったく偉ぶ
ることのない人間性もまた。
松永太郎;
東京都出身
翻訳家、多摩美術大学講師、レモン画翠社長
主訳書「進化の構造」「イカロスの飛行」他。
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4.西山弘道
自民党リベラル派とは
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自民党振り子論というのがある。かつて自民党は派閥が寄せ集まった派閥連合体
の政党であり、危機に応じて派閥同士が擬似的に政権交代を繰り返してきた。60年
安保でタカ派の岸政権が倒れると、ハト派の池田政権が誕生、経済成長路線を取っ
たり、或いは金権腐敗の田中政権の受け皿には、クリーンの三木政権が出現するな
ど、自民党は常に振り子のように理念が相反する派閥が政権に就いた。それは生き
残りを図る保守政党の知恵でもあった。しかし、90年代、東西冷戦が消滅、国内の
保革のイデオロギー対立も薄まると、自民党内のハト、タカ対立も変質せざるを得
なくなった。
日本国民の保守化というよりは、国民の賢明なる現実化に伴い、革新・進歩陣営
は総後退し、替わって保守・リアリスト陣営が時代の主流となってくる。今や革新
・進歩の言葉は消滅し、ハト派は替わってリベラル派という言葉になった。リベ
ラルはいうまでもなく自由主義的な、という意味であるが、私などはどうも戦後に
流行った「リベラル」というカストリ雑誌を思い浮かべてしまう。胡散臭いイメー
ジがあるのだ。
自民党のハト、いやリベラル派の系譜を辿ると、やはり「軽武装・経済重視」の
吉田・池田保守本流路線だろう。自主憲法・再軍備の鳩山路線は本流にはなれなか
った。池田派を継ぐ大平派が、田中派と盟友となり親中派の大角連合を結成、これ
に同じく親中派の三木派が合流して、自民党リベラル・ハト派を形成する。
一方、改憲・再軍備の鳩山派は、岸派が受け継ぎ、福田派・清和会とつながって
保守・タカ派の流れを作る。
そして現在。かつては少数派異端だったタカ派の清和会の天下となり、岸氏の国
家主義観を受け継ぐ安倍氏が政権を握る。一方のハト派で保守本流だった大角連合
の片や宏池会は3分裂し、片や平成研は総裁候補も立てられないほど落ちぶれた。
現在、自民党内ではマイナー勢力となったリベラル派の機軸は何か。それは、親中
国であるか、ないかであろう。今、リベラル派に分類される加藤紘一、山崎拓、古賀
誠の各氏らはいずれも親中派である。いやもう一人、とっておきのリベラル派は河野
洋平衆議院議長であり、同じく親中派である。これらの面々に共通するのは、大体が
アメリカに距離を置こうとする、反米とはいかないまでも嫌米派であることである。
彼らの一人は言う。「小泉氏のように米国にどこまでも付いていくとなったら、それは
事実上の属国だ。民主主義は米英だけではない。フランスのように自由、平等、博愛
の欧州型民主主義もあることを忘れてはならない」。
「反米愛国」は昔の街頭右翼のスローガンだった。今は「嫌米親中」がリベラルの
合言葉になっているのだろうか。
自民党の極め付きの親中派は、これまで旧田中派・経世会だった。竹下―小渕―橋
本と親中の系譜は続いたが、小泉氏が仕掛けた最終角福戦争によって経世会は瓦解し、
親中のルートは途絶えた。経世会は小渕氏や野中氏のように、沖縄にも特別のルート
を持っていたが、今度の知事選で全く経世会に縁がない、自公知事が誕生したように
沖縄ルートも無くなった。
自民党内の親中派が衰亡していることに危機感を覚えた中国は、これまでの行き掛
かりも何のその、いきなり親米、保守政権の安倍首相を招かざるを得なかった。日中
首脳会談では、「靖国」のやの字も出ず、「戦略的互恵関係」を打ち出して、会談は成
功した。安倍氏の電撃的訪中にブッたまげたのは、加藤氏ら元々の親中派であり、彼
らの出番ももはやなくなった。
かつては、宮沢氏や故後藤田氏など大物がいた自民党リベラル派も、国益重視の現
実外交の前に理念を失い、やがて少数異端派として残っていくのだろうか。
西山弘道;
ジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、文化放送で30数年、放送記者として
活躍。政治担当として、三角大福中、安竹宮の「永田町戦国史」を取材。
2005年10月、文化放送を退社、以後フリーのジャーナリストとなる。
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◎ 間一根
「踏み絵」と復党問題
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平沼氏などの復党問題をめぐって、自民党の中川秀直幹事長がかなりの強硬姿勢
をとっているようだ。むろん、中川氏の不可解な言動は今に始まったことではない。
しかし、その不可解な言動は、ここへきてよりいっそう深刻化の度合いを深めてい
るようである。
例えば安倍政権発足前に中川氏は、「首相指名では(安倍氏に)賛成するが、実際の
政策に反対ということは許されない」と発言、また平沼赳夫氏などの郵政反対組の
復党の条件として「安倍政権への全面的支持が必要だ」などと述べていたらしい。
これは小泉政治の名残だろう。小泉前総理は同様に、郵政民営化などの政策に対
して党内で異論が出されるたびに、「私を総理に選んだ以上は、私に従ってください」
などと述べていた。リーダーはそうでなければならない、という声もあるだろう。 し
かし、独裁政治ではないのだから、たとえ与党議員であろうと与党内で十分なコン
センサスが得られていない問題に対してまで「総理に従わねばならない」とか「反
対が許されない」などということはありえない。
特に、今回の「踏み絵」の問題で言えば、すでに衆参の両院で可決・成立し、法
制化されている郵政民営化関連法についての賛否を問うという行為自体が無意味な
ことだろう。もし今後、この法律の改正が必要だというのなら、今の法律を踏まえ
たうえで、また改めて議論をすればよいだけの話である。
それとも、もしかすると「核保有議論」と同じで、郵政民営化関連法の修正は議
論をしてもいけない、とか、考えてもいけない、いったん決まったことは永遠に一
語一句、二度と覆してはならない、とでも言うつもりだろうか。そうだとすれば、
それこそ奇妙な話である。政策の選択肢の方向の一つを、あらかじめ完全に排除す
る動きが政治的に賢明とはいえないからである。
今回、どうしても自民党側が、平沼氏と郵政民営化についての合意が必要だとい
うのであれば、努力はするけれども現実的に困難であるという意味で相互に妥協し、
「郵政民営化の再検討に向けて努力する」といった程度にお互いの顔を立てて合意
するべき話であった。
あいまいで玉虫色の合意というのも一つの解決策だろう。お互いにプライドはあ
るのだから、中川秀直氏が一方的に条件を二つも三つも出して、これを認めなけれ
ば決裂だ、などという乱暴な交渉をして成功するわけがない。このような中川氏の
態度は、国対委員長を務めた人物にしては驚くほど子供っぽい。そうだとすれば、
これは反省文という形で平沼氏にあえて恥をかかせることによって、平沼氏に対す
る期待を潰そうとする悪意に満ちた策略であるようにすら見えてくる。
もともと平沼氏にしてみれば、党内の十分な合意が得られていない一つの法案に
反対しただけで追放されるような小泉の政治手法が狂っていたのであって、小泉政
治が終わった今、ようやく元の自民党への復帰を目指すのは当然な流れだろう。
しかし、平沼氏が信念を捻じ曲げてこの中川氏の踏み絵を踏むということになれ
ば、それこそ中川氏の思うツボであり、平沼代議士の政治生命にかかわる問題とな
る。さらにこのような形でマニフェストの完全順守などという要求をいったん呑ん
でしまえば、政治家の存在意義がなくなってしまう。それは政党が、党役員などの
少数のボスの従属機関に堕することを容認する、ということを意味するからである。
少数者による支配に陥るというミヘルスの「寡頭制の鉄則」だ。
一つの政党の中であっても違う人間なのだから、さまざまな議論があるのは当然
だろう。それをルールに基づいて結論を出していけばよいだけの話である。最近の
自民党は、根拠のない世論に引きずられているためか、意味もなく偏狭に硬直して
いるように見える。
それに、平沼赳夫先生、あの福澤諭吉の「痩せ我慢」こそ政治家平沼先生の男の美
学として求められているのではないだろうか!
間 一根(あいだ かずね)
1981年、東京都生まれ。
國學院大學大学院法学研究科修士課程(政治学、現代政治)
http://green.ap.teacup.com/politicalscience/
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◎映画寸評 「ナチョ・リブレ 覆面の神様」☆☆ 奥山篤信評
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その体形自体が漫画としかいいようのないズングリムックリのジャック・ブラックが、冴
えないメキシコの料理番の修道僧を演じる。修道院ではタブーであるレスリングに興味を
もって、子供時代からの夢であるプロレス“ルチャ・リブレ”のレスラーになろうと決意
する。
でもこの修道僧の動機が男は強く優しくなくてはならないという、模範的な男性像なので
ある。だからレスラーになるのも子供たちに夢を与えるあるいはその賞金で修道院で美味
しい食事を奮発するといった目的で、なんら自己のエゴやミーイズムがないのである。ま
た男らしく、女性に対しても紳士的で、初恋の修道女に対しても極めて騎士道を弁えてい
るのである。
かっこいい男の強さといっても、それは興行においては自己顕示であり、賞金目当てであ
る。このレスラーたちに象徴される邪悪な金と虚栄の人生に立ち向かう正義の男がこの修
道僧である。馬鹿になりきれるこの修道僧は、観客を思う存分笑わせ、時には厳粛にシュ
ンとした気持にならせるのである。
奥山篤信
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◎映画寸評 「トゥモロー・ワールド」(The Children of Men) ☆ 奥山篤信評
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時は2027年、核戦争や環境破壊により人類にはすでに18年間も子供が誕生していない。
まさに人類ヒトが滅びていく危機にあり、イギリスだけが国家として世界に残り、世界
から難民が押しかけるが、これを封鎖しようとする政府と受け入れを要求するテロリスト
集団化した難民との46時中の内戦がある。その中で奇跡的に妊娠した一人のアフリカ系
女性を人類存続のために助け出そうとするクライヴ・オーウェン、それにこの女性を自ら
のプロパガンダに利用しようとする政府とテロリストの三つ巴の取り合い合戦。原作は、
英国作家界の女王といわれるP.D.ジェイムズの「The Children of Men」
演出が悪いのか、これほど陰鬱で暗い雰囲気だけでこれでもかこれでもかの気の滅入りそう
なストーリーである。この妊娠した女性がどこに救い出されるのか、筋書きもよく見えない。
なんら希望や夢や善意を感じさせないごみダメのような悪臭の漂う映画である。救いは演技
であり『インサイドマン』のクライヴ・オーウェン、『フォーガットン』のジュリアン・ム
ーア、『バットマン ビギンズ』のマイケル・ケインなどが出演している。
奥山篤信
◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
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◎展覧会 小堀鞆音(こぼり ともと)の近代日本画の系譜 ―勤皇の画家と「歴史画」の継承者たち―
奥山篤信評
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場 所 明治神宮文化館宝物展示室 会 期 平成18年10月21日(土)〜12月3日(日)
時 間 午前9時〜午後4時00分(入館は閉館の30分前まで)
※10月中は午後4時30分閉館
拝観料 一般500円(300円) 大学・高校生200円(100円)
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◎情報感度を研ぎ澄ます!ビジネス情報誌「エルネオス」
編集長・市村直幸
〒105−0003
東京都港区西新橋1−22−7 丸万7号館4階
電話:03−3507−0306
Fax:03−3507−0393
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