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日本再生のための政治・経済・文化などの発展・再構築を目的とし、メールマガジンの配信を行う
- 最新号:2008-08-29
- 発行周期:週間
- 読んでる人:6177人
- 創刊日:2005-02-04
- Score!:94点
- コメント数 : 37
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甦れ美しい日本 第088号
発行日: 2006/10/16□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2006年10月16日 NO.088号)
☆☆甦れ美しい日本☆☆
☆・・・・私たちは書きたいから書くのです・・・・
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< 目次 >
◎ゲスト執筆者
1.塚本三郎 権力者の心得
2.伊藤 武 明日の日本 − 新経済戦略 10月13日都内の講演会スピーチ原稿
◎レギュラー執筆者
1.佐藤 守 大東亜戦争の真実を求めて83
2.奥山篤信 両手で握手をしなかった安倍外交
3.松永太郎 石平「私は毛主席の小戦士だった」を読む
4.西山弘道 複雑怪奇な北の核実験
◎図書室 「歪曲報道」 高山正之 PHP 研究所 松永太郎
◎映画寸評 「ザ・センチネル/陰謀の星条旗」 奥山篤信評 ◎◎◎
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1.塚本三郎
権力者の心得
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二千年前、アテネの哲学者・アリストテレスは、民主政治は愚民政治であり、堕落政治であ
り、かつ数による暴力政治となる。ゆえに三拍子揃った三悪政治だ。と言った。にも関わらず、
民主政治は、悪のより少ない政治(レッサー・イーブル)だと、他の政治体制よりも、支持さ
れているのが現代の政治である。
政治とは、神に代わって、代表者が国家を統治する「まつりごと」だ、と言われる。
「権力」を、宗教では「かりの力」と呼ぶ。本物に近い能力を与えられる。例えば、寺院で
は大僧正の前の任を権大僧正、神宮では宮司の前を権宮司と呼称している。
政治を志す者は、自らの実力を省みず、権力を求めたがる。実力と人徳を備えた人が、神の
代理として権利を得るのが政治である。だが、民衆は必ずしも聡明とは言い難い。
それでも、独裁者の暴力の前に跪くよりも、民主政治を採用することの方が賢明である。
万一、不十分な治政であったとしても、民主政治ならば、自分達が選んだのだから仕方がな
い、と諦めることも出来る。そして、次の選挙の時、選び直すことが出来る、という意味で希
望が持てる政治だと言う。権力者も、次の選挙を考えれば、自重自戒し、大衆の心に眼を向け
ざるを得ない。だからこそ「悪のより少ない政治」と呼ばれるゆえんである。
安倍新総理の下で、日本は新しく船出した。総理の所信表明演説の評価に対して、一部の新
聞を除いて、大部分のマスコミは、辛口のタイトルが目立つ。野党は、マスコミの意を体し、
かつ明確な対立軸を示すことによって、存在価値を高めようとしている。
当面の内政で取り上げられている主な問題点、及び希望とされる政策は
一.格差の是正(大都市と地方、官と民)
二.教育の機会均等(公立と私立、入試)
三.独禁法の厳守(談合と天下りの禁止)
四.年金の充実(財政の悪化と高齢化時代)
五.社会福祉(老人対策、介護と家庭環境)
六.男女均等(能力と給与、少子化)
民主政治は極論を嫌う
「この世の中で絶対的に善なるものは、良き意志のみだ」。と言ったのは、ドイツの哲学者・
カントである。腕力も、知恵も、財力も、用いかたによって善となり、悪とも変る。
人間生活に、絶対という言葉は有り得ない。人間自身が有限であり、不十分な存在であるか
ら極論を避け、良いことも悪いことも、反対が存在する余地を残すことである。
同じことを行なっても、時と場合によって、善になり、或いは悪に変る場合がある。薬も、
用い方によっては毒となる。食べ物も、度を超せば毒に代る。
民主政治の基本は、自由と、平等と、正義であるといわれる。
自由は無条件ではない、自由を封じる自由は許されない。平等は、出発点(スタート)の平
等であっても、終着点の平等ではない。生存権は自由競争によって進化するから。
正義とは一体何か。戦争は正義を振りかざして戦う。だが、正義が必ずしも勝者となるとは
限らない。弱者の正義は、強者の力を阻止できるとは限らない。権力者に対し、そのようなス
タンスで、前六項目の「注意すべき点のあらまし」を以下のように拾い上げた。
格差是正
いつ、いかなる場合にも、国民の間で格差を生じさせないように、平等の施政は、政治家の
心得るべき目標である。しかし、自由競争は貧富の差を生む。そして、何をもって格差と呼ぶ
かが問題である。
東京をはじめ大都会の生活は、芸術、教育、就職、交通等の面で、農山村と比べて、より文
化的であり利便性がある。また勤労者の所得も地方と比べ高く差が出来ている。
しかし、大都会に住む者にとっては、高額の住居費、通勤時の混雑は致し方がない。
そして環境は農山村の如く、澄んだ川の流れや、光り輝く新鮮な太陽を浴びることは無理で
ある。格差を給与だけで比較して良いものか。総合的に考えるべきではないか。
同一労働に対する、同一賃金は、労働組合の元来の要求であり、当然である。だからといっ
て、質はどうでも良いのか。サービス業も、製造業も、その質こそ価値を生むのだ。
官が民の上に立つという意識が格差をつくる。民間の給与は景気に左右されるが、官は不動
でよいのか。ならば官もまた国の財政によって、民と同様に上下があって然るべきではない
か。
教育の機会均等
安倍新総理の主張する、私立学校より公立学校の充実強化は、等しく期待するところである。
私立学校は、父兄が高い費用を負担をさせられても、多くの人が望むようになったのが最近の
傾向である。私立校は学校運営の改善に努め、上級校や優良企業へ、より高い進学率と就職率
を、私立が徐々に高めている一面がある。
政府が折角、公的資金を大量に注ぎ込んでも、公立が生徒から余り期待されなければ、目的
から外れる。問題は、その実施に大きな障害となるのは、教職員組合の抵抗である。
国公立学校は、政府及び地方自治体の官僚制度と共に、改革が進んでいない。政府が強力に
改革へ乗り出すべきであり、教員の免許更新の制度も一案である。
今一つは、試験制度について注意を促す。学校の入試は知能テストが中心である。
都会には、塾の看板が目立つ。それを非難するのではない。しかし、その為に費やす、費用
と時間に余裕のある家庭が、高い点を得る。此の世は受験でさえも、金が役立つ。そのよう
な風潮を、控えさせるのが教育の本筋ではないか。
人間の能力は、ペーパーテストだけが中心ではなく、社会常識や、温かい心遣いをも、テス
トに採り入れることを研究すべきで、本当の教育は、人徳のある人材の育成にある。
独禁法の厳守
高級官僚の天下りは、監督官庁の責任的地位の人達が、監督される企業の責任者に天下りす
れば、官民の癒着は人情の常として避けられない。この観点から、官を定年退職しても、暫く
は(約二年)関連する企業への天下りは禁止されていた。
別の面から考えれば、万一、厳正な企業ならば、官の厳正な指導者が、その厳しさを、その
まま企業の指導者に迎えられれば、官にとっても、民にとっても素晴らしいはずだ。
そこが、人間の情の強さと弱さによって、良からぬ癒着が腐敗視される所以である。
公共事業の入札制度についても同じことが言い得る。
今日、地方の公共事業に対する談合事件が、次々と違反の逮捕者を出している。公共事業が、
公正に責任ある企業へ発注される為には、公開入札制度が最良の方法とみられている。しかし、
果して自由競争による入札制度が、最も適切と言い得るか。
談合を否定し非難することはよい。けれど、それに代る他に良い方法はあるのか。
談合事件が相次いでいるのはなぜか。例えば、土木、建設会社に、公共事業が適切な価格で、
しかも公平に仕事が割り当てられているかといえば、必ずしもそうではない。
自由競争による入札制度が当然だとすれば、弱肉強食の論理が働き、強者の大企業が、優先
的に落札する例が多い。その場合、請け負った工事は、自分の会社で行なわず、弱者が、そ
の下請会社とならざるを得ない。大企業の工事は大部分、下請、孫請の会社が工事を担当し
ている。中・小企業が独立して工事を行なえないはずはないのだが。
談合の禁止は、結果として大企業が独占している場合が多い現実をどう見るか。
年金の充実(財政の悪化と高齢化) 社会福祉
政府の財政が極端に悪化している。今日漸く正常な財政収支となりつつあるが、膨大な財政
赤字をどう解消するのか。
その上、引き続いて定年退職者が続々と待ち受け、年金受給者へと続いている。それを負担
すべき若者は、少子化によって耐えかねる。従って、政府の財政悪化を招かずして、年金制
度を護る財源は、消費税以外にないことは、与野党の常識となっている。
今日の財政は、「改革と福祉の充実」という相反する問題を解決しなければならない。
文明社会と言われる日本の政治は、この様な難しい政策の解決を迫られている。
日本社会の長寿化を喜ぶが、元気でこそ長寿社会である。病弱で介護を必要とする老人。介
護する子供が居ない家庭。また、子が居ても別居し、子が孫を抱えて親の介護が無理な家庭。
日本社会は、かつて経験したことのない、相反する政治課題に直面している。
親の面倒をみない子を、当り前と認めてはならない。「孝行とは」、「介護と呼ぶ福祉とは」、
人間本来の姿を無批判、無条件にして、福祉社会を連呼して良いものか。
良い所喰いを叫ぶ政治家は無責任だ。その上、結婚さえ避けて青春を謳歌する若者のわがま
まに対して、日本の政治は、「倫理道徳と福祉政策」を再構築する必要を痛感する。
そして、まず介護を必要としない、健康な老人を維持する施策こそ最も大切である。
男女同権、婦人参政権
女性の社会進出は、すべての面で、日本社会を活性化し、生々とした社会を創りあげている。
問題は、女性の社会進出とは逆に、男性が目立たなくなった。否、弱くなったとさえ評され
ている。愚痴ではなく、全く心配である。
若い男性も徴兵制若しくは、社会奉仕させることにして、一度は昔の軍隊生活のような訓練
をさせたらどうか、と逆に女性から屡々忠告される。最近の男性に対して優しさ以上に、頼
もしさ、凛々しさが求められている。
男性の眼からみても方法はともあれ同感である。!)らしく!)という言葉は決して古い言葉で
はない。女らしくと共に、男らしくは、男女同権であるからこそ並び立つ。
美形の男優が、もてはやされているが、それとて人間は顔や形がすべてではない。
美しいの意味は、外面だけではなく、らしさ、つまり男性の凛々しさや義侠心等が備わって
いてこそである。女性も控え目に、男性を表面に立てることが美しさを、際立たせる。
経済力や、社会的地位の平等と共に、男性、女性の「本質を際立たせる」社会こそ、本当の
意味の平等ではなかろうか。男が稼いで、その金は妻のサイフとなる。
日本の歴史では、戦国乱世の戦乱や事変が語り継がれているが、その英雄の主役の裏では、
常に女性の目立たない働きが付け加えられている。何れの時代も、男性と、女性は本来、実
質では同等であった。それを表面で飾って来なかっただけで、らしさを強調したにすぎない
と思う。
それを取り違えて男尊女卑だとあげつらうべきではないと思うが、如何か。
平成十八年十月下旬
塚本三郎;
愛知県名古屋市に生まれる
鉄道省名古屋鉄道局に勤務し、県立中学校(夜間)に入学
終戦とともに労働組合運動に従事
運輸省に転勤し、中央大学法学部(夜間)に入学
国鉄を退職し、中央大学法学部卒業
昭和 33年 挑戦4回目にして初当選し、昭和生まれ初の代議士
(日本社会党所属)となる(以後当選10回)
昭和 35年 民社党結党に参加
昭和 49年 民社党書記長に就任(国鉄改革・電電公社民営化に取組む)
昭和 60年 民社党中央執行委員長に就任
平成 元年 民社党常任顧問に就任
平成 9年 「勲一等旭日大綬章」を受章
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2.伊藤武
明日の日本 − 新経済戦略 10月13日都内の講演会スピーチ原稿
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明日の日本を語るには、今現在日本経済が置かれている現状を充分に把握することに
より可能となり、その現状に鑑み、将来の布石を構築する必要がある。日本が置かれてい
る現状は徐々に理解され、それは国民に浸透し始めているが、その認識は十分とはいえな
い。今回は、日本経済の現状認識を高めるために、その主要要素の浮き彫りを試みた。
I.世界経済の現状と展望 − 保護主義や地政学的要因により、世界の経済成長が抑制
されたり分断されなければ、現在の先進国と後進国との格差は解消し、世界経済は歴史的
用語の南北格差を解消する新しい体制となる。換言すれば、そのような体制に移行するこ
とが、経済効率を高め、個々の国家及び世界の富を高める効果をもたらす。エマージング
諸国は、いずれの尺度で計っても、世界経済に大きな影響力を与えるに至っている。以下、
その主要例を挙げる。
世界経済におけるエマージング諸国の占める割合
●世界人口の80%強
●外貨準備高は70%弱
●エネルギー消費量は50%強
●購買力価格計算によるGDPは50%
●総輸出高は40%強
●米ドルベースのGDPは30%
●株価時価総額は約15%
エマージング諸国による経済指数への貢献度
●世界総輸出額の占有率は1970年の20%に対し、現在40%強。
●2000年来、世界の一人当たりGDPは年率3.2%で成長、その主要要因はエマージ
ング諸国の年率GDP成長が7%を達成。(主要先進国は2.3%。)
●1950−1973年の間、日本とヨーロッパが戦後復興の最大成長期に達成した一人当たり
GDP2.9%成長率を上回る。
●IMF予測によると、今後5年間のエマージング諸国経済成長率は平均6.8%、先進国
は2.7%。
●現在の成長率が続く前提では、20年後、エマージング諸国は、購買力ベースで世界経
済の2/3を占める。
●19世紀産業革命時代、英米は、一人当たりGDPを倍増するのに50年を要した。中国
はそれを9年間で達成。
現在と比較した2040年GDPの展望(米国を100とする)
●米国 100 −> 100
●日本 37 −> 25
●ドイツ 23 −> 15
●中国 18 −> 103
●英国 18 −> 14
●フランス 17 −> 13
●インド 10位以下 −> 44
●メキシコ 10位以下 −> 18
●ロシア 10位以下 −> 18
●ブラジル 10位以下 −> 17
現在5大経済国の相対経済力はBRICs+メキシコの6倍強。対し、2040年にはBRI
Cs+メキシコの相対経済力が現在の5大経済国の1.2倍に逆転。
エマージング諸国の世界経済貢献がもたらす先進国の痛み
19世紀の巨匠エコノミスト デイビッド・リカルドは、比較優位論を唱え、自由貿易効用
の理論解析を行った。その理論は現在でも有効であるが、先進国では富みの配分にひずみ
が生じ、格差社会を増幅している。ハーバード大学リチャード・フリーマン教授は、格差
社会露呈には以下の分析を提供している。
●近年中国、インドと旧ソ連の世界市場参入により、世界の労働人口が15億人から、30
億人に倍増した。その結果、世界経済体制の資本と労働のバランスを大きく変化させ
た。即ち、相対的に労働が安価となり、資本の効率を大幅に高めるに至っている。G
7諸国のGDPに占める企業収益の比率は、景気循環的要素を除去すれば、1980年来
20年間、ほぼ12−13%で推移してきた。ところが、2000年の不況回復後、現在は16%
に接近している。先進国経済の労働分配率が明らかに低下している。
●第二の格差要因は、エマージング諸国の労働人口の教育と技術力が高まっている事実で
ある。比較優位論では、エマージング諸国が技術力の低い労働集約産業に専念し、先
進国は技術力の高い産業に従事し、総合的に富みを高める。このシナリオであれば、
先進国の労働人口はより高度の事業に移動し、労働分配率を変化させる要因にはなら
ない。
ところが、200年来に景気回復により、先進国の失業率は低下しているものの、労働の
実質賃金は上昇していない。労働人口の急増が、エマージング諸国への労働力の移転を
可能とし、賃金上昇を阻んでいる。
第三の格差の要因は、容易に移転可能なIT産業の発展と多国籍企業による高度製
造技術のエマージング諸国への移転である。元来、労働賃金格差は、ブルーカラー
とホワイトカラーとの相違が指摘された。労働組合運動は主として、ブルーカラー
の格差是正の活動であった。もはや、ホワイトカラーと言えども、高度の頭脳技術
や熟練度なくして、労働力は移転可能な資源に化している。労働対価の格差問題は、
少数のエリートを頂点として、下層の裾野が大きく広がり二極化している。
所得格差増大問題は、先進国に共通した構造要因に起因している。日本の格差問題も、小
泉政権の構造改革と米国制度模倣等の日本国内的要因としてのみ対応できるものではない。
エマージング諸国の天然資源に対する負荷
エマージング諸国の台頭により、世界の主要原材料消費が飛躍し、天然資源産出に多大な
経済負担がかかっている。天然資源は長らく供給過剰の時代が続き、生産やインフラ投資
が数十年間疎かになっていた。故に、生産量拡大に必要な設備投資で需要均衡を果たすに
は、少なくとも数年はかかるであろう。それら対応後多くの資源が依然として不足するか
どうかは定かでなく、個別物資で格差が生じるであろう。
最たる基礎資源である、エネルギーに関しても、過去幾度も危機に直面してきたにも拘わ
らず、その相対価格は安定か低下してきた。現在においては、過去とは違い、需要に大き
な異変が生じている。以下の状況が物語っている。
エマージング諸国は、既に世界のエネルギー消費量の50%以上を占めている。
2000年来、エネルギー需要増大の85%はエマージング諸国に起因している。
2000年来、世界のエネルギー消費量は年率2.6%で増大し、その前に10年間の増加
率の2倍に加速。
もし中国が、過去の韓国の経済成長と類似の軌跡をたどるのであれば、今後30年間
で、石油消費量は10倍となる。
その事態でも、中国の一人当たり石油消費量は現在の米国のそれより30%低い水準
にとどまる。
現在中国は、エネルギーの90%を自国生産している。石油輸入量は、現在910万ト
ンに対し、2020年にはその200倍強の18億6000万トンに達する予想。
エネルギー消費量の飛躍的な増加見通しの筆頭要因は、エマージング諸国の自動車需要の
増加に起因する。現在中国の自動車所有率は100人に対し2台である。現在米国の2人に
1台の比率に対し、2040年に中国の自動車所有率が100人に29台、インドの所有率が100
人に21台と仮定すれば、現在の世界自動車保有台数3000万台に対し、その25倍の7億
5000万台に達する。自動車産業の将来を占うにも重要な前提となるだろう。
エネルギーの需要に対し、供給の増加については、2004年来の新たな現象を注目すべきで
あろう。米連銀議長を18年間勤めて今年退任したアラン・グリーンスパン氏は、安価なエ
ネルギー時代は終焉しただろうと観測している。2004年までの10数年間、原油価格が大
きく変動しても、長期先物(5年以上)はバレル当たり$20前後で安定的に推移してきた。
歴史的に、原油の直物と先物の価格関係は、直物が先物の価格を上回り、この右肩下がり
の価格曲線をバックワーデーションとよぶ。ところが、2004年以降原油価格が急騰したの
にも拘わらず、長期先物価格が直物価格を上回る状態が続いている。この右肩上がりの価
格曲線をコンタンゴと呼ぶ。歴史的にコンタンゴが持続した例はない。それは、一時的に、
埋蔵原油の枯渇が懸念されてきたいつの時代でも、その後の埋蔵量は無尽蔵に増加してき
たからである。ところが、1985年以降当時の推定埋蔵量100億バレルに対し現在は10億
バレル以下と推定される。価格コンタンゴは将来の石油不足を占っている。(続く)
伊藤 武:
英国ケンブリッジ大学経済学修士
ジャパンベンチャーパートナーズ創業パートナー
企業コンサルティング、投資銀行及び投資顧問業務に従事。
UBS投信投資顧問株式会社社長、ソロモン・スミスバーニー証券会社マネジング・
ディレクター歴任。
35年間に亘りニューヨークと東京で国際投資銀行業務の実績を積む。
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1.佐藤守
大東亜戦争の真実を求めて83
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「このように各国の足並みが明らかにそろわない状況において、英国は、自国の利
害だけを考えて独自の行動をとった。すなわち英国は、他国と共に広東政府に対す
る効果のない形式的抗議を行い、また広東政府の真似をして同じ措置をすぐさまと
った北京政府に対しても同様の抗議を行う一方で、広東総領事に命じて、いわゆる
国民党(広東)政府なるものと交渉させ、反英ボイコットとストライキの不継続を
条件に、不法な二分五厘の付加関税を事実上英国が黙認することを了解しても構わ
ない旨指示をした。
北京関税会議が開かれ、形式的にはまだ継続している時に、一方的に新税を実施
するこのような広東政府の動きは、関税条約の目的を実質上無価値とするものであ
り、またワシントン会議で決まった国際協力政策を、明らかに公然と無視するもの
であった」
マクマリーは、英国政府のとったこの不可解な行動が、結果的に英国自身に跳ね
返ったことを書いている。つまり英国内では、「強硬な保護政策を望む保守派分子」
と、「中国人の要望への同情的態度が反英感情をなくすことになると主張する労働
党」が対立していて、英国政府は悩んでいたのである。
そこで英国は公使を更迭したのだが、新任公使に相談することなく、しかもその
着任前に「中国に対する共同政策に関する一連の提案」を各国に通告し、中国で公
表してしまったのである。しかもその内容は「ほとんど甘言ともいうべき迎合的な
表現が盛り込まれていた」のであり、マクマリーは「英国政府は、条約の尊厳を最
大限重要視するものであるが、条約上の諸権利を、中国人の公正な要求と両立する
よう同情を持って調整することによって、この原則は最善に維持されるものと信ず
る。したがって中国が、その義務を全面的に否認する場合、もしくは中国における
外国人の適正にして重要な権益を中国が攻撃する場合に限り、我々は抗議をなすべ
きである…」という“甘言”の一例を挙げている。
ところが、「このような時宜を得ない宣言となった英国の『提案』は、中国人への
共感を表明することによってその心情を和らげようとしたのに、効果は逆になって
しまった。公表後二、三日もしないうちに、国民党官憲に扇動された群衆による漢
口・九江英国租界の実力接収(一九二七年一月)という事態を招くことになった」
のである。相手が“弱い”と見れば攻撃的になる中国人の性格を良く現している。
この英国の「提案」は、国民の中に根強い親中国感情が広がる米国議会の手を縛
ることとなった。米国は英国が主導権をとって「中国人の要求に対し寛大な方針で
のぞむこと」は、不本意だった。
しかし、国務長官が「英国提案」の一ヵ月後(一九二七年一月二七日)に発表し
た「公式声明」は、「内容的には健全なものであるが、やはり英国案と同じように迎
合的で独善的な口調を含んでいた。言ってみれば、中国に対しては自分の国が、他
の国よりずっと良い友達であるように見られたい願望をほのめかしている。そこに
は次のような表現がある」として、マクマリーは「…合衆国政府は、中国の民族的
な自覚を好意と関心を持って注視してきた。そして中国人民の政府組織の再建に向
かっての前進を我々は期待する。…わが政府は、最も寛大な精神で中国と交渉する
ことを希望する。我々は、中国内で租借地を所有していないし、これまで同国に対
し、いかなる帝国主義的態度もとってはこなかった。…」という表現を挙げている。
ところがこのような米国の言明は、英国に対しても、中国国民党に対しても「場
違いな印象」を与えてしまう。つまり米英お互いが「中国の好意を得ようと競い合
い、故意ではないにしろ、無責任と暴力の風潮を助長していたように思われる。当
時、国民党は極端に暴力的となっており、それは内部の抗争によって一層激しくな
っていた。この内部抗争は、すぐ後に、ロシア人政治顧問団に対する不信任とその
追放劇となり(国共分離)、また蒋介石将軍が実質的な独裁者となるに及んで、党内
の抗争は最高潮に達した。この時の紛糾した抗争の歴史は、それ自体大きな問題で
ある」としつつも、「ここでは、外国人の生命や権利に影響したり、あるいは脅威を
与える場合に限って述べることにしよう」とマクマリーは書いているのだが、現在
の北朝鮮情勢をめぐる、米国、中国、ロシアの駆け引きを彷彿とさせるようで興味
深い。 (続く)
佐藤守:
防衛大航空工学科卒(第7期生)。
航空自衛隊に入隊
戦闘機パイロット(総飛行時間3800時間).
外務省国連局軍縮室に出向。三沢・松島基地司令、
南西航空混成団司令(沖縄)を歴任.平成9年退官.
岡崎研究所特別研究員.軍事評論家.
日本文化チャンネル「桜」軍事コメンテーター.
著書に「国際軍事関係論」
ブログ;http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
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2.奥山篤信
両手で握手をしなかった安倍外交
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昨年5月21号のメルマガ21号 ―国を代表するものは商人(あきんど)にあらず―にて、
小泉首相の両手握手の批判をした。
そこで冒頭「日本を代表する政治家が他国の元首に堂々と対等に振舞うのが外交の常識と思
うのだが、小泉首相の握手を見ていると、その謝罪外交を物語るかのような媚びるような
国辱的なもので、日本人として心を痛めているのは私ばかりではないだろう。」
と述べた。詳しくはバックナンバ(http://www.melma.com/backnumber_133212_668775/)にて再読
していただきたい。
このたびの安倍首相の中国、韓国訪問の際、僕が評価していたのが首相の握手であった。左手
がどこにあるかをじっとテレビ画面を見ていたが、正統なる片手での握手であり、また日本人社会
ならともかく国際社会では卑屈としか解釈されない「お辞儀」をしなかったことである。そうしたとこ
ろ10月13日の日中首脳会議の舞台裏というコラムで、麻生外相が中国韓国訪問の心得として、
予算委員会の最中に首相にメモを渡したらしい。
今回、正統保守派といえる人々より中国韓国への訪問を含め、滑り出しの新首相に対する批判
は多い。基本的には村山首相談話を継承することにより自虐史観より抜け切れなかった点と韓国
訪問のために殊更河野長官談話(ありもしない従軍慰安婦の存在を認め日本人の名誉を著しく
毀損したものである。)を継承するがごとくであった点であり、これがノムヒョン大統領に悪乗りとも
言える利用までされてしまった。さらに小泉氏が曲がりなりにも頑固に守り続けた首相の靖国参拝
を曖昧模糊の言葉のなかに、在任中見合わせたと解釈される点である。
一方で戦後これだけ日本各層に染み付いた自虐史観を急激に覆すことは確かに不可能に近いこ
とかも知れず、これをもって新政権を罵倒批判してしまうのもフェアーではないとも思える。よりベ
ターな姿に軌道修正されていく地道な努力さえも評価すべきであるのだろう。今回の「片手の握
手」には従来の媚びた商人(あきんど)風の朝貢外交の風情がなかったことだけでも大きな前進と
したい。
かって橋本龍太郎首相が平成9年1月25日の日韓首脳会議で金泳三大統領に会った際、
左手を右手の肘に副えて握手をした儒教でいう『臣下の礼』に比べると格段の改善である。
産経新聞の舞台裏を読む限り、新首相は外務省の媚中外交を一蹴し、自分のやりかたで終始外
交をやり遂げたことが書いてあり、晩餐会での挨拶の中国側要求の修正ドラフトを断固はねつ
け、結局挨拶をしなかったとの心意気を読むと、これからも一歩一歩改革していこうという安倍首
相の努力を暖かく見守る以外なかろう。安倍氏が倒れ、自民党内媚中派や小沢民主党が政権を
取ることを考えれば安倍首相を支える以外選択がないのも事実なのである。
平成18年10月13日
奥山篤信:
京都大学工学部建築学科卒
東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社
平河総合戦略研究所代表理事
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3.松永太郎
石平「私は毛主席の小戦士だった」を読む
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日本の、とりわけマスコミ(とくに朝日)、政界の親中派(あえて媚中派とは言わない)
とよばれる人々には、石平氏の、つぎにあげる文章を熟読玩味していただきたい。
ここで言っておきたいのは、ただ次のようなことである。
この事件(天安門事件)を一つの転機にして、私自身は、中華人民共和国という国、そして
それを牛耳る中国共産党という政党に対して、ついに一切の愛想をつかして、完全に 絶
望した、完全に幻滅した、ということである。
その7.8年前に毛沢東時代のウソの洗脳教育からさめたあのとき、自分たちは決して
幻滅はしなかった。子供の時代からずっとだまされ続けてきても、やはり!)小平たちを信
じていたし、共産党に対する最後の信頼と期待を捨てていなかった。
万悪の根源は毛沢東と、毛沢東を生み出した一党独裁のいびつな体制にあるとは考えて
いたが、!)小平と、彼の率いる党内良識派、改革派の出現によって共産党も生まれ変わっ
ていくだろうと思っていた。・・・
私たちは、別に共産党を敵視していたわけではない。中華人民共和国をつぶそうとは、
つゆほども思っていなかった。私たちはただ民主主義の理念をこの国で実現させたい、
この国を良くしていきたいと思っていただけである。 しかし、それは許されなかった。
民主主義の理念と民主化運動が、一瞬でも共産党独裁体制を脅かすような事態になると、
!)小平も政権党もすぐさまその本性をむき出しにした。
共産党は毛沢東暴政時代の共産党と変わらない、暴虐な怪物に戻ったのである。・・
中華人民共和国政府は、兵隊と戦車を出動させて、自らの首都を占領し、丸腰の学生や
市民に手当たり次第に銃撃を浴びせ、次から次へと倒していった。(「私は、毛主席の戦
士だった」飛鳥新社 P48)
さて日本において、マスコミ、政界、アカデミズムなどにいる「親中派」と呼ばれる人
は、実際は、「親中国共産党独裁政権派」である。かれらは、ここにあるような「暴虐な怪
物」に対してすりより、その宣伝政策、対外政策のいうままに動くことをもって「中国と
親しくすること」としている。チベットだけで百万以上の普通の人間を殺した独裁政権を
支持するのである。まことに冗談ではない。
私は、この石平氏と、あるサロンでお会いした。そのとき「中国人民にとって実際の最
悪の敵は、中国共産党独裁システムではありませんか」とお尋ねした。氏は、まったくそ
のとおりだ、といわれた。毛沢東以降の共産党政権がどのくらい中国の無辜の民衆を殺戮
したか、日本を代表するジャーナリズムを任ずる「朝日」は知っているだろうか。それと
も、中国人が中国人を殺すのは勝手だと考えているのか。現在イギリスのBBCは、拷問
によって自白した人に直ちに死刑判決を下し、死刑になる前に移植用の臓器を取り出す、
という恐るべき行為を報道している。これが本当のジャーナリズムなのである。中国政府
の宣伝機関に成り下がること、これがジャーナリズムなのではない。
本当に中国の人たち、あるいは、チベットやウイグルなどの周辺地域の人たちの幸福を
考えるのであれば、今の中国共産党独裁政権が解体するのを願うのがあたりまえである。
独裁政権を支持する今の「親中派」よりも、昔、孫文らを支援した日本人たちはどれほど
本物の「親中派」だったろうか。彼らは真に中国の人々の幸福を考えていた。残念ながら
彼らは、さまざまな勢力に裏切られ、いまや「侵略の片棒を担いだ」などという汚名を着
せられてはいるが。
この「暴虐な怪物」の言うままに、われらが父祖である死んだ兵士たちがまつられている
ところにおまいりするのは、悪いことだと叫ぶ、信じがたい人々が今のこの日本にいると
いうこと、このことこそ倒錯もきわまった事態といわなければならない。
中国の人々が自らの力によって自ら、中国共産党独裁システムを解体して、民主主義的
で法治主義の政府をつくることを願ってやまない。これはもちろん中国の人がなすべき
ことで、われわれ日本人はただ願うことができるのみであるが。なぜなら、そのとき、日
本の気持ち悪い「親中派」も立場を失って解体するだろうからである。 そのとき、彼ら
は実際には中国の人々の敵であったことが明らかにされるだろう。
石平さんは日本の京都に来て、本当の中国の古典や、中国から伝来した禅の伝統が生きて
いることを知った、とある。一日も早く、石平さんの帰国を歓迎する中国が生まれるのを
願うばかりである。
松永太郎;
東京都出身
翻訳家、多摩美術大学講師、レモン画翠社長
主訳書「進化の構造」「イカロスの飛行」他。
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4.西山弘道
複雑怪奇な北の核実験
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10月9日の北朝鮮の核実験発表は、世界に衝撃を与えたが、果たして本当に核実験
を行ったのか、その後1週間たつのにいまだに正式に確認されないという、不思議な
状態が続いている。そもそも、北が実験を行ったというのは、「我々は地下核実験を安
全に成功裏に行った」という北自身の発表と、ウイーンのCTBT機関準備委員会が
観測したマグニチュード(M)4.0という地震波の観測しかない。本来なら、72時間
3日後には、観測される放射性物質で解析できるわけだが、13日になってやっと米軍
機が実験地上空から微量の放射性物質を採取した、というニュースが米国から届いた。
しかし、分析にはまだ数日が必要というほど超微量の物質らしい。一方、日中韓の観
測施設にはいまだに採取したという報告はない。また、M4.0という規模は、TNT火
薬約1.5!)トンに過ぎず、本来なら30!)トンに相当する核実験の規模と比べれば、は
るかに小規模である。
本当に実験をしたのか? ニセ札造り、ニセたばこ、何でも二セと捏造が好きな国
だから、今回も大量の通常火薬を使って核実験のように偽装した二セ実験ではないの
か?そんな疑いもつい出てきてしまう。いや、そうではない、国連安保理が制裁決議
を全会一致で可決したり、中国外交の最高責任者である唐家旋がわざわざ米国に飛ん
で、米政府と会談を行うなど緊迫した情勢が続いており、米中ロの核保有国も何らか
の確証があって、北の実験を認めたのだろう。
それにしても、今回の実験に至るまでには奇妙な謎の出来事が北で起きている。
一つは、北が実験予告した4日後の7日、38度線の軍事境界線ラインを突破して、
5人の北朝鮮軍の兵士が、韓国側に侵入したことだ。韓国側の警告射撃で、5人は引き
返したようだが、実験を行う前の撹乱戦術なのか、その意図がよくわからない。
もう一つは、金正日(キムジョンイル)総書記の義弟、つまり妹の夫である、張成
沢(チャンソンテク)朝鮮労働党第一副部長が9月末に平壌で交通事故に遭い、腰を
強く打つ大ケガを負ったという報道が流れてきたことである。現場は交通保安員が交
通整理をしているところであり、事故は恐らくウソだろう。張氏は誰かに襲われたの
であり、金体制に対する陰謀ではなかったのか、クーデター計画があったのではない
か。
最近の情報では、北朝鮮軍内部で「改革・開放派」と守旧派の間で深刻な対立が起
きているという。共に朝鮮戦争を戦った「血の連帯」がある北朝鮮軍と中国人民解放
軍の間には、以前から教育交流があり、北から中国の士官学校に数十名が留学するの
が常だったという。その中国寄りの将校が「改革派」となり、抗日のパルチザン闘争
方式を正統とする守旧派幹部に抵抗しているという。
今回の張成沢氏の「交通事故」も、「改革派」分子が金体制の中核にいる張氏を狙っ
たものかも知れない。
そういえば、今、中国内部でも胡錦涛指導部と、上海閥の江沢民一派との間で激烈
な権力闘争が展開されているという。上海市長の汚職摘発、失脚は、胡錦涛指導部の
勝利と伝えられるが、最高指導部の9人の政治局常務委員のうち、上海派はまだ7人
を占めており、権力闘争は続いている。江沢民派の陳良宇上海市長解任のニュースが
伝えられたのは、北の核実験直前の9月末であった。そして、江沢民派追撃の勢いに
乗る胡錦涛主席が、これもまなじりを決して初の首脳会談にのぞむ日本の安倍首相と
会談が行われた翌日に、核実験実施を発表したのである。中国の改革・開放派に対す
る警告とも受け取られるではないか。
ともかく今回の北の核実験には謎が多い。このまま“謎の核実験”に終わるのか、
それともいずれ全貌が判明するのか。
外交は内政の延長という。北の世界に向けた“火遊び”は、国内に熾烈な権力闘争
など大きな混乱が起こっている証拠かも知れない。
西山弘道;
ジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、文化放送で30数年、放送記者として
活躍。政治担当として、三角大福中、安竹宮の「永田町戦国史」を取材。
2005年10月、文化放送を退社、以後フリーのジャーナリストとなる。
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◎図書室 「歪曲報道」 高山正之 PHP 研究所 松永太郎
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高山正之氏は、週刊新潮の最後ページのコラムなどで健筆をふるう、元産経新聞の記者
の方だが、この本は、雑誌「Voice」などに連載された論文に加筆して集めたものである。
日本のマスコミ、特に朝日新聞を中心として、NHKの一部、共同通信、毎日新聞、T
BS,TV朝日などがひどい偏向に覆われていることは、よく知られていることである。
彼ら自身は、そうした偏向を認めようとせず、自分たちの姿勢を「正しい」としていると
ころに大きな問題が潜んでいる。この本は、そうした偏向の具体的な事例とともに、そう
した偏向を生み出す思考パターンまでを分析している。
事例には、驚くべきものが多い。たとえば、かつてNHKの看板キャスターとうたわれ
た磯村尚徳氏が、朝鮮戦争に触れて「北朝鮮が侵攻して」といったとたん、土井たか子や朝
鮮総連が抗議し、磯村氏は、番組の中で、「私ごときが歴史を変えるなどという僭越なまね
を」と頭を下げたという。NHKは役人がジャーナリストの真似をしているという高山氏の
評言はもっともだ。
読んでいて、怒りに震える例もある。
「藤里町の税収は、脱税者多数につき15億円しかないが、ここには17億円の交付税
が都会の納税者から送られてくる。
藤里町はそのカネで一戸建て住宅を建て、2万円以下の家賃で貸し出す。無職の子連れ
女が借りに来れば生活保護火をつけてただで住まわせていた。だって、どこかの勤労者が
納めた税金だからケチるいわれがない」(p190)
この「子連れ女」とは、もちろん他人の子供も自分の子供も差別なく殺したあの女のこと
である。
問題は、こうしたことをまったく報道しないマスコミにある。こうしたことを報道しな
いまま、やれ「格差社会がひろがった」とか「貧富の差が広がった」とか、思い込みで騒ぐの
である。
なぜ、こういう低質な報道になるのか。高山氏は、あるパターンの存在を指摘している。
つまり、ある情報を記事にする際のテンプレート、ないしは、マニュアルである。情報を、
このテンプレートにあわせて加工すれば、誰でもたちまち一編の記事が書けます、という
お粗末である。
たとえば「社会的弱者はいたわれ」というテンプレートがあり、本当の「弱者」とは何かと
いう分析はなく、ただ「見たまま」の「弱者」(極端な場合、犯罪者)を感傷的に持ち上げる。日
本人を叱責せよ」というテンプレートもあり、この場合は「ああしろ、こうしろ」という説
教調ないし叱責調の言葉遣いとなる。「まともな歴史家なら、日本は中国を侵略したという
のは、当たり前だ」(若宮啓文朝日論説主幹さま)などという偉そうなものの言い方になるの
である。
ここのところは、非常に大事なところだと思う。とくに朝日新聞や、NHKなどにある
のは、テンプレートになった変な「ヒューマニズム(弱者はいたわれ、人権大事、個性大事、
個人大事、生命大事)」、「東京裁判+マルクス主義史観(権力者は悪い、日本は明治以降、極
悪人が支配するろくでもない国だった、天皇制よくない)」、「平和憲法万歳主義(軍隊は悪
い、何でも話し合えば解決する)」、「資本主義はよくない、社会主義はいい(中国万歳、中国
にはハエもいない)、国は悪い、市民はいい(「こんな国」を連発する、老耄、筑紫哲也)、
などというサヨク主義」などである。
これらは戦後何十年にもわたって日本人の頭に刷り込まれてきたので、いまや自民党の
中にさえ、これらを信じているか、信じているふりをする政治家が出てきてしまったので
ある。
いまやこうした建前を利用して利権漁りができるようになっている。中国に遺棄してき
た日本軍の毒ガスなどというおとぎばなしに、一兆にもなろうかという税金がつぎ込まれ
る。従軍慰安婦などという夢物語で、なんとか基金などという荒稼ぎができる。
男女を社会的に差別するのをやめましょう、というわけのわからない建前法律のもとで、
やはり一兆を超える金がつぎこまれ、いろんな箱ものができる。
偽善がきわまって腐臭を放っているのである。いい加減、テンプレートを捨て、裸の王
様を見据えてもらいたい、というわけで、この本はおすすめである。メディア・リテラシ
ーというのは、こういうことだろう。
松永太郎
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◎映画寸評 「ザ・センチネル/陰謀の星条旗」 奥山篤信評 ◎◎◎
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かってレーガン大統領を暗殺者の銃弾を体を張って救ったこともあるベテランのマイケル・ダグラ
ス扮するシークレット・エージェントが、大統領暗殺計画の容疑者となるサスペンス・アクション。ダ
グラスのキム・ベイシンガー扮する大統領夫人との不倫があり、一方かっての部下であったキーフ
ァー・サザーランド扮する同僚の私怨が容疑に拍車をかける。
この映画前評判がさっぱりであるが、決して捨てたものではない。筋書きには確かに目立った創
造性はないが、なんといっても映画は配役!ダグラスの重量感とベイジンガーの大人の雰囲気を
かもし出す演技がこの映画を盛り立てたことは間違いない。それに2004年10月にアメリカで放
送されるやいなや、多くの女性の共感を呼び、社会現象となったドラマシリーズ「デスパ
レートな妻たち」のガブリエル役のエヴァ・ロンゴリアが同僚のアシスタントを演じ、見事な肢体
に、プロ根性で鍛え上げた拳銃さばきを見事にこなし、男性観客の熱い視線を一点に集中させる
おまけ付。見て失望することが絶対無い保証付の映画です。
奥山篤信
◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
◎情報感度を研ぎ澄ます!ビジネス情報誌「エルネオス」
編集長・市村直幸
〒105−0003
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