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甦れ美しい日本 第075号

発行日: 2006/7/19

□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2006年7月19日 NO.075号)

  ☆☆甦れ美しい日本☆☆

☆・・・・私たちは書きたいから書くのです・・・・
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 < 目次 >


◎ゲスト執筆者 

 三村文男    シンドラー殺人事件の盲点  

◎レギュラー執筆者 
         
1.佐藤 守       大東亜戦争の真実を求めて70
2.奥山篤信     フランス映画 ジダンー神が愛した男—を鑑賞して
3.西山弘道    日本の核武装も放棄すべきでない
4.松永太郎      魂について(2)     
 
◎ 図書室 

1.ニヒリズムの宰相 小泉純一郎論 御厨 貴 PHP新書 奥山篤信評
2.幸福にゆきあたってStumbling on Happiness by Daniel Gilbert  Knopf 2006  松永太郎評

◎映画寸評 映画寸評 アメリカ映画 M:i:III  ☆☆☆ 奥山篤信評
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 三村文男
 シンドラー殺人事件の盲点
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昭和初期、私が小学校の3年か4年だった頃のことです。物知りの友人がいきなり尋ねま
した。「君、ネカンとザカンと、どっちがええか知っとるか?」「知らん」と答えましたら
説明してくれました。「ネカンは死んだ人をそのまま入れてくれるのや、ザカンは棺おけの
中に座らせるから、手や足をボキボキ折ったりするというぞ。ぼくはネカンのほうがええ。」
「僕もそう思う。」と賛成しました。彼はすでに死後硬直のことを知っていたようです。
ずっと後になって、テレビの日曜洋画劇場の解説者として一世を風靡した淀川長治氏が、
ホテルに泊るときは必ず広いゆったりしたエレベーターのあるところに限ると、話すのを
聞いたことがあります。理由は上と同様でしたので、図らずも私はこの友人のことを思い
出したものです。シンドラー殺人事件の現場になったエレベーターは、24人乗りのゆっ
たりした淀川氏好みのものであったということです。しかしそれが仇になりました。
亡くなられた高校生は、平素から自転車に乗ったままエレベーターに乗り、止まるまでそ
のままでいて、降りるときは後ろ向きで出たといいます。事件の際も後ろ向きで挟まれて
いました。神戸の私のマンションのものは9人乗りで、大人4,5人が荷物を持って入れ
ば、一杯になります。それでも盗難を恐れて、自転車や単車を持ち込む人があります。勿
論規則違反です。この場合車は入り口から斜め向きでないと入れません。両側にできた三
角形に一人づつ立ちます。どちらも扉の方を向いているのが普通です。シンドラーの場合
でも、そうしていたら、惨事にならなかったでしょう。開いたまま上昇しても、すぐ飛び
出すか、中に居るか、咄嗟に判断できますから、下手をしても車だけの損害で済みます。
逆進装置が無いのに、自転車に乗ったまま、後ろ向きに出ようとしたのが、事故の大きな
原因でした。
エレベーターの中は道路ではないのですから、自転車に乗ったまま入るのも、出るのも道
路交通法違反です。法律は兎も角、マナーを注意する大人は居なかったのでしょうか?キ
レそうな相手だったら、管理人を通じて注意してもらえばすむことです。古い日本では、
他人の子供でも危ないことや悪いことをしていると、注意したり叱ったりする大人がいま
した。もっと前の幕末の日本では、そういう点でいかに日本の民衆が子供を大切にしたか
を、訪れた外人が異口同音に書いています。渡邊京二氏の「逝きし世の面影」(平凡社)な
どを読むと目がしらが熱くなるほどです。
被害者への遠慮からでしょうが、このマンションのマナーの悪さが事故の大きな原因であ
ったことを、マスコミは全く取り上げません。見てみぬふりをしていた大人を、あえて殺
人犯とは申しませんが、責任は追及せられるべきでしょう。前回「テーミス」から引用し
ました「失敗学」の工学院大学教授畑村洋太郎氏は六本木ヒルズ殺人事件で、企業と施主
の責任を追求されたあと、「第三には回転ドアの危険性を子供に教えなかった親の責任があ
る。」と付け加えておられます。

三村文男;神戸市出身 満州帝国建国大学中退 一高を経て東京帝国
大学医学部卒業
開業医の傍ら著作、評論多数 米内光政と山本五十六は愚将だった
(テーミス)神なき神風ー特攻50年目の鎮魂ー(テーミス)など
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1.佐藤守
 大東亜戦争の真実を求めて70
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「平和はいかに失われたか」は指摘する。
「一九三五年(昭和十年)には、ほとんどの列強諸国はアジアで戦争をする気はな
かった。英国やその他のヨーロッパ諸国は、ドイツの動きを極度に警戒しており、
自分の本国を防衛するのが精いっぱいだった。アメリカが性向として平和主義であ
る上、国内に深刻な経済問題を抱えていた。おまけに海軍は、太平洋の戦争で必ず
勝てるほどまだ強力ではなかった。
 一九三五年に中国が日本と戦争をすれば負けるのは確実だった。戦備を整えなが
ら時節を待ち、国際情勢の変化で地位が改善されるのを待つ——これが中国のより
良い選択だった。中国の最高の望みは、日本のほとんどの軍人が最大の敵と目して
いる国、ソ連に攻撃の矛先を向けてくれることだった。日本と中国がアジアで戦争
をすればソ連は得をする国の一つである。従って日本をソ連攻撃に向き直らせる可
能性は少なかった」
 欧州列国は、ドイツの勃興こそが脅威だったのであり、その警戒のために「アジ
アの騒ぎ」どころではなかったことが覗える。
 そしてそのアジアの中心を占める中国国内では、国共内戦が継続されていて、毛
沢東率いる共産軍は苦境に立たされていた。追い詰めていた国民党の蒋介石にとっ
ても、国内統一こそが最優先課題であって、日本と事を構えることなど、毛頭考え
ていなかったに違いない。日本と対決するという考えが蒋介石にあったとしても、
それは「この著書」が指摘するように、「時節を待ち、国際情勢の変化で地位が改善
された」後のことであったに違いない。そして国民党の蒋介石は、むしろ日本軍が
戦略どおりに「ソ連攻撃」をする事を期待していたと思われる。
 勿論、ドイツに備えているソ連はそれを許さない。日本軍の「真意」を試すべく、
張鼓峰やノモンハンで「威力偵察戦」を仕掛けて牽制し、その「意思」がないこと
に自信を持つ。しかし、情勢は予断を許さない。日ソ不可侵条約を締結し、これで
信義に厚い日本人の気をソ連から遠ざけることに一応成功したが、条約は「破るた
めにある」事を知っているのはスターリン自身である。
疑い深いスターリンは、苦境に立つ「同志」毛沢東と連携して盧溝橋で「事件」
を起こすことに成功する。日本軍との戦闘を極力回避してきた蒋介石が、部下の
張学良の裏切りによって「西安」で拉致され、国共合作を強制されたからである。
蒋介石率いる国民党軍にとって、それは大きな痛手であったが、予想だにしてい
なかった日本軍にとっても同様であった。現地「中国軍」との間で「停戦協定」
を締結し、長期化を避けようとしたが、コミンテルンの指導を受けた共産軍の「謀
略」は継続され、「事変」は終息しない。
 そしてついに「蒋介石政権を相手にしない」という、近衛首相の談話が唐突に発
表されるのである。その結果、「中国軍」内の「共産勢力」は息を吹き返し、ソ連は
「後背からの脅威」が除去されたのであった。
 米国は、既に空軍戦力を中心に蒋介石軍を支援し続けていたし、アジアでの戦争
に「直接介入」していたにも拘らず、戦力整備の時間稼ぎをする必要があった。
 しかも、ソ連としては、強力な日本帝国海軍の戦力をアメリカに向けさせてこれ
と戦わせる事が出来れば、スターリンにとってこれ以上の利益はない。
 その計画を実現させるのに最も好都合なことは、支那事変に介入してくれた近衛
首相を通じて、更に対米戦に向かわせることである。好都合なことに、コミンテル
ンから「派遣」されていたゾルゲは、近衛首相の懐に入り込み活動を開始している・・・。
このように考えてみると、この時期のもろもろの事象が一本の線につながってくる。
 さて、その頃米国政府は何を考えていたのだろうか?前書に戻ろう。
「ルーズベルトは二つの方向を目指した。その一つは海軍建造計画の促進であった。
これは米国との戦争は災厄だから譲歩すべきであると主張している日本の良識派を
力づけるだろう。もう一つは日本の潜在敵ナンバーワンのソ連との外交関係を一九
三三年に樹立したことである。これも海軍拡張と並んで日本政府への圧力となった。
他方で、米国は日本に不安を抱かせないような配慮もしていた。ハル国務長官は、
前任者スティムソンの理論的立場を支持していたが、強調点を若干変えて次のよう
な表現としている。すなわち、
『米国は日本と論争したり、刺激、挑発するようなことは避けたい。中国の犠牲に
おいて既に実行された日本の膨張策に同意することは出来ないが、しばらく沈黙す
ることとする。この件に関し、九ヵ国条約を放棄することは出来ないが、同条約に
訴えることはしない』」                     (続く)
佐藤守:
防衛大航空工学科卒(第7期生)。
航空自衛隊に入隊
戦闘機パイロット(総飛行時間3800時間).
外務省国連局軍縮室に出向。三沢・松島基地司令、
南西航空混成団司令(沖縄)を歴任.平成9年退官.
岡崎研究所特別研究員.軍事評論家.
日本文化チャンネル「桜」軍事コメンテーター.
著書に「国際軍事関係論」
ブログ;http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
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2.奥山篤信 
 フランス映画 ジダンー神が愛した男—を鑑賞して
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この映画はジダンの昨年4月23日のレアルマドリッド対ビジャレアル戦の試合を通じボー
ルの行方ではなくジダンの表情のみを高解像度の300倍のズームの最新鋭の映像カメラ15
台を駆使した記録映画で試合時間と同じ90分である。したがって僕が期待していたジダン
の生涯の記録とか試合の面白さといった見地からは、ある意味で退屈な映画である。一昔
前偉人をその肖像画として油彩での表現したように、ジダンを現代の映像という手法によ
りその人間性あふれる表情を描写するものとして、芸術映画としてはなかなかのものであ
る。監督はイギリス人の映像芸術家ダグラスゴードンでジダンがマルセイユの下町労働者
階級の生まれなら、彼もグラスゴーの同じ環境に生まれ、そのあたりのシンパシーがあり、
通常の上から見るとか下から見るといったものではない、同じ背丈の視線があるように見
える。ゴードンの作品は超一級映像芸術家としてテートギャラリー、グッゲンハイム、ス
ミソニアンなど世界的に展示されているが、そのほかにも撮影や音楽担当にも多数の超一
流芸術家スタッフを起用している。
 
この映画でジダンの言葉が時々字幕で出てくるが、
---幼少のころテレビの解説者でたまらなく好きなのがいて、その番組でサッカーの試合を
聞くのが楽しみだった。それは試合の内容ではなくその解説者の語り口だった。テレビに
至近距離でしがみついてみるのが楽しみだった。
---ピッチ(グランド)に出てきて、観衆のざわめきがたとえば椅子を動かす音がひとつひ
とつ耳に分解して聞こえる。
---試合が始まれば集中できるときには何も聞こえないが、不本意な試合の場合観衆のブー
イングや怒りが聞こえてくる。
---宿命の試合というか最初からシナリオが出来上がったゲームがあり、なにをあがいても
だめでそのとおりになってしまうものがあるのが不思議だ。
---自分にボールが回ってきた途端その後の自分が何をするか試合運びが事前に見えたこと
が一回だけあった。
---引退したらピッチの緑が懐かしくなるだろう。緑の四角形が。
などであるが、この映画には何の会話もなく、時折サントラが入るものの観衆のざわめき
とジダンがつぶやく僕にとって意味不明の言葉だけである。ジダンがつばを吐いたり、靴
で芝生をほじくったり、汗をぬぐったり、試合中の無意識な姿が克明に描き出されている。
アラブ系の浅黒い肌と彫刻のような神秘的な顔と表情、鍛え抜かれた筋肉質の体形とボー
ル捌き。ジダンは割合無表情であるが、時たま失望、時には怒り、時には喜び、そして時
には笑い顔、これらをカメラがしっかりと絵画のように描き出し、ジダンの人生そのもの
を沈黙のうちに語るのである。汗びっしょりのジダンが時には育ちを物語るような手鼻を
かむ場面など、言葉で語らなくともジダンの貧しい、アルジェリア移民としてのフランス
での苦しい少年時代を物語るようである。ベッカム、ロナウドなどスーパースターもチー
ムメートとして出てくるが、カメラはなんのマークもしない。ただジダン一点のみである。
上記のジダンの言葉を字幕でみるにつけ、貧困から立ち上がり6600万ドルの契約金でレア
ルマドリッドに引き抜かれた世界の王者ではあるものの、ある意味で孤独と寂しさを感じ
るのは僕だけではないのではなかろうか。

ジダンが先日のワールドカップの最終戦でイタリア選手に頭突きをかましてレッドカード
にて退場した事件とスタジアムから去っていくあのさびしい後姿はこの映画を見るとわか
るような気がするのである。実はこの映画での試合もチームメートを庇ったジダンが不条
理にもレッドカードによる退場となる。奇しくもフィールドを去る同じ姿がラストシーンに
あり、イタリア戦を暗示するようで驚いた次第である。貧困と移民というステータスにて、
自分を抑える防衛的処世術を知らず知らずに身につけたジダン、しかし悲しみや怒りは抑
えを通りこして不本意に爆発してしまう。内面にあるジダンの強さと脆さの振幅、なんと
いう人間的な人間味あふれる魅力であろうか。

シラク大統領が14日の革命記念日に記者団に述べた。「On ne peut pas accepter, mais on 
peut comprendre」ジダンの暴力行為は到底容認できないが、理解できると。
シラク大統領の言うとおりスポーツのルールとして当然許すことのできない行為である。
いくらイタリア選手の罵声が言葉の暴力であり実質的に物理的暴力以上の心の傷を与えた
としても、暴力で報復することはスポーツでは許されない。
でもそれだからといってジダン自らが実力で掴んだ貧困から栄光への人生の戦いの価値が
減じられることはない。ジダンの神が与えたような風貌と素晴らしいプレーは永遠にサッ
カー愛好家の瞼に残ることは間違いない

奥山篤信:
京都大学工学部建築学科卒
東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社 
平河総合戦略研究所代表理事
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3.西山弘道 
 日本の核武装も放棄すべきでない
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 北朝鮮のミサイル発射問題に絡み、米紙ウォールストリートジャーナルが13日、
「北が発射をやめねば、日本も核武装へ」という記事を掲載した。WSJは、この
記事で「北朝鮮が国際社会に挑戦し続けているにもかかわらず、国際社会が何もし
なければ、軍事的にはるかに断固とした、おそらく核で武装した日本の登場が避け
られなくなるだろう」と述べている。アメリカでは、去年秋にも議会から日本の核
武装を予測する声が上がったが、今回は北のミサイル発射で日本国内から“敵基地
攻撃論”などタカ派の意見が出てきたことに対し、米国内で警戒論が出てきたのだ
ろう。

 ミサイル発射に対抗して、日本国内ではミサイル防衛(MD)システムの早期配
備論が高まり、米軍は予定より前倒しで来月にも沖縄の嘉手納基地に地対空ミサイル
PAC3を配備することを決めた。また、日米のイージス艦に海上発射型ミサイル
(SM3)を年内にも配備する方針を決めている。MD装備が今回の北の“火遊び”
により加速されたわけだ。しかし、MD防衛の有効性についてはいまだに議論がある。
そもそも音速で成層圏を飛んでくるミサイルを瞬間に探知して迎撃するということが
本当にできるのか。アメリカがMD実験を完全に成功させたということはいまだに聞
かない。湾岸戦争でイスラエルに向けたイラクのスカッドミサイルをMDシステムで
完全に迎撃できたということはなかったのだ。

 一方、北のミサイル発射基地を予防的に攻撃する論は、安倍官房長官も額賀防衛庁
長官も「攻撃能力を保有することを検討することは問題ない」と述べ、一挙に現実的
課題として浮かび上がってきた。とはいえ、日本にはICBM(長距離弾道ミサイル)
や長距離爆撃機はないのだから、攻撃するといっても航空自衛隊のF15しかない。
しかし、いかに高性能のF15も空中給油機がない限り、北朝鮮までは飛び立てず、
憲法上、空中給油が認められていない現状では、「敵基地攻撃論」も非現実的な話とな
る。

 MD防衛も有効性が疑われる、敵基地攻撃も非現実的となれば、日本の安全保障上
北に対する報復として、一番効果的なのは「核抑止」であろう。いや、これは実際に
「核」を日本が保有する、というのではなく、保有する能力があるということを北の
みならず内外に強くアピールすることなのだ。「核抑止力」というのは、保有そのもの
ばかりでなく、持っているか持っていないか不明だが、多分あの国の潜在能力から
持っているだろう、と思わせるのも「抑止力」となる。

 日本には現在、原子力発電所が21カ所、52基の原発がある。全原発で蓄積された
プルトニウムは総計40トンといわれている。そのうち34トンは英仏に再処理のため
持ち込まれ、現在日本国内にあるプルトニウムは5トンという。広島の原爆はプルトニ
ウムが8キロで生成された。つまり一発の原爆をつくるのには8キロのプルトニウムが
必要だが、うち2〜3キロはロスを見越してのものであり、実際は5キロのプルトニウ
ムで一発がつくれるという。日本国内に現在あるプルトニウムが5トンだから、それだけ
でも実に今1000発の原爆がつくれるわけだ。
ちなみに北朝鮮にある原発は今、寧辺に一ヶ所、蓄積しているプルトニウムの総量は
25〜30キロといわれるから、原爆は5〜6個位しかつくれない計算になる。大体、
国家予算が日本の鳥取県と同じくらいの990億円しかない超ミニ国家の北朝鮮が核を
持つということで全世界をキリキリ舞いさせているという現実はいかに核抑止力が現在
の世界政治のバランスオブパワーの上でキーポイントになっているかということだ。

 北朝鮮は国連安保理の制裁決議採択に対抗して、今後ミサイルの再発射や、地下核実
験の実施などにまでエスカレートする可能性もあるという。北のこれ以上の“火遊び”
を食い止めるためには、日本も今後、核とミサイルを保有する可能性があるというポー
ズをつくった方がいいだろう。そうなれば、中国も日本の姿勢に驚いて、北をこれ以上
甘やかすことはなくなるだろう。つまり、日本の核保有論は今後、外交上の有効なカー
ドにもなりえるわけだ。

 専門家によると日本が核をつくろうと思えば現在、2週間でできるという。(米国では
高校生がネットで原爆を製造したというのでニュースになった)勿論、日本には現在、
IAEA(国際原子力機関)の厳しい査察の目が光っているわけだが、米ロ中など核ク
ラブに日本に対する疑惑の目を向けさせるだけでも効果があると思うのだが・・・

西山弘道;
ジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、文化放送で30数年、放送記者として
活躍。政治担当として、三角大福中、安竹宮の「永田町戦国史」を取材。
2005年10月、文化放送を退社、以後フリーのジャーナリストとなる。
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4.松永太郎
 魂について(2)
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 最近の脳科学の進歩によって、従来、完全に主観的な領域であったとされる人間の心の
領域について、かなり客観性を持った研究の光を当てることが可能になった。とくに人間
のイメージの形成能力が持つ役割について、いろんな知見が明らかになってきたようであ
る。これは、従来、精神分析や心理学などで扱われてきたテーマである。

 フランスの哲学者のガストン・バシュラールが、火や水のもつイメージについて、名著を
書いていたが、彼の手法は詩を主として題材に、そうしたイメージを探求したものであっ
た。そのとき、彼は自分の学問を「魂の学問」としたのであった。

 すなわちイメージと魂は密接に結びついているのである。人間の持つイメージ形成能力
というのは、はかりしれない創造力と結びつくとともに、破壊的な力も持っている。ここ
で、大事なことは、イメージは非−時間的(ア・テンポラル)である、ということである。
 たとえば、十時間後、あなたは非常にすばらしいプレゼントを手に入れるだろう、とい
われる。すると、そのプレゼント今、受け取ったのと同じ喜ばしい気持ちになる。
 あるいは10年前のなにか悲しい出来事をイメージとして思い出せば、今、悲しい気持ち
になるのである。将来、起こるかもしれないことに対して不安になるのは、将来起こるか
もしれないことのイメージが、不安という反応を引き出すのである。そのプロセスは瞬時
に行われるので、あたかも将来起こるかもしれないことが、直接、不安という反応を引き
出すように思われるが、実際は、現在起きていない以上、単なる予測でしかないことが不
安という反応を生み出すはずがない。そこにイメージが介在している、ということである。
そしてイメージを生み出す最大の引き金は、人間の場合、詩人が一番、よく知っているよ
うに言葉である。

 突然、話を変えるようであるが、最近東京裁判に関していろんな言説が飛びかっている。
「A級戦犯」などという言葉が、よく使われる。また東京裁判を受け入れたのだから、その
裁判に関して疑問を持ってはならない、というような言い方もされる。

 自分の祖先が、あるいは、少なくとも、その指導者たちが「犯罪者」である、というこ
と、あるいは、東京裁判史観というものに典型的に見られるように、「日本」という国が、
戦前、長い間「侵略」という「悪い行為」をおこなってきた、などということ、これらの言説
は、新聞などを通して、日々、拡大再生産されている。「A級戦犯」という言葉が、なにか
悪いことをしたグループの最大の責任者であるかのように使われることもある。
 私たちの祖先が、犯罪者であったなどということを言われた場合、「犯罪者」というイメ
ージは、今、心のなかに生まれる。また「侵略国家」「軍国主義の悪い国」であったといわ
れた場合、そのイメージは、今、生まれるのである。

 こうしたイメージは、私たちの心に、とりわけ子供たちの心に、暗い、ネガティヴな感
情的な力を生む。なぜなら自分たちの祖先、あるいは日本、というものは、私たちのアイ
デンティティの一部になっているからである。そしてアイデンティティというものもまた
究極的にはイメージである。

私は国際人だ、とか、国籍なんか関係がないというようなことを、よく生半可な知識人
が言う。しかし、アメリカの国籍をとってアメリカに移住する人はほとんどいない。な
ぜならアメリカ人になろうとすれば、アメリカの国旗に忠誠を誓わなければならないか
らである。いずれにしろ、日本人である、ということは私たちのアイデンティティの一
部であり、それがどうしてもういやだ、という人は、別のどこかの国の国民になる以外
にない。

 そのアイデンティティの一部にあたかも「原罪」のように「犯罪者」だの「侵略国家」だの
のイメージがまとわりつくということ、しかもつねにそのことが想起されるよう、外国の
政府や、自国のマスメディアで言われるということ、これは日本人の心にまったく破壊的
な影響を生む、としか言いようがない。すくなくともポジティヴなものはそこからは、な
にも出てこない。
 しかも、その「東京裁判」なるものは、いちじるしく不当で、その判決は事実でも史実
にもとづいたものでもない。そもそも裁判自体、成立しないほど不当なものなのである。
これは、もし通常の人間がそんな裁判を受け、その判決を聞いたら、その家族は直ちに
「名誉」回復の手続くに入るような、そうしたものなのである。
 
名誉を回復せよ、かりに後世もまだ日本という国があるのであれば、これが今、私たち
が後世の日本の子供たちに対する最大の贈り物となるだろう。日本という国は過去も今も
立派な、いい国であったし、いまもそうである。このことを、確信を持って教えるべきだ
ろう。どこの国も、どのような共同体も、どのような部族も、そうしているはずである。

松永太郎;
東京都出身 
翻訳家、多摩美術大学講師、レモン画翠社長
主訳書「進化の構造」「イカロスの飛行」他。
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1. 図書室 「ニヒリズムの宰相 小泉純一郎論」御厨 貴 PHP新書  奥山篤信評
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東大教授である御厨氏になる著である。説得しない、調整しない、妥協しないという「三
無主義」としてニヒリズムと呼んでいるようである。ニヒリズムという言葉が世の中濫用
されている節があるが、これが正しい使い方か疑問の残るところである。
21世紀を見渡す論文らしいが、この書は週刊誌や夕刊なんとかによくある表面面だけを
追った書であり、どこかの週刊誌記者ならともかく、時代の軽佻な流れを感じさせる。将
来のアリバイ作りなのか、小泉氏を批判しつつも一方で思い入れがあるようにも見え、著
者の軸足がよく見えてこない。
学者であれば小泉氏の本質を鋭く突いた議論を期待するところである。
ところが、内容は週刊誌の域をでない「軽い読み物」としての小泉本(こいずみぼん)と
言える。勿論週刊誌のごとく消費する読み物として読むことには差し支えないが。
小泉氏の靖国神社参拝へのご執心は深い考えがあるといったものではなく、思い付き程度
であると批判している。それによりチャイナやコレアとの関係が絶望的であると、ゆえに
代替追悼設備を作るべきという。さらに参拝が二国に留まらずサンフランシスコ条約と関
連してアメリカにも不快感を示す動きがあると。一体アメリカの誰がそういうのかお聴き
したい。広島長崎の原水爆、東京無差別空襲など民間人を無差別大量虐殺したのはアメリカであ
るはずだ。言ってみれば加藤紘一氏同様、自虐史観に呪縛されているようである。これで
は研究者、専門家として日本近代史への洞察も疑わしいを思わざるを得ない。学者こそ先
頭に立って、東京裁判史観の洗い直しをすることが、特に最高峰の国立大学教授の使命で
はなかろうか。
昨今反日教授が東大のみならず、国民の血税による国公立大学を蝕んでいる。サヨクでは
ないはずの御厨氏の論調は極めて残念である。
奥山篤信
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2. 図書室 「幸福にゆきあたって」
Stumbling on Happiness by Daniel Gilbert  Knopf 2006  松永太郎評
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 養老先生の「唯脳論」以来、脳科学ブームであるが、私はあまり読んでいなかった。自分
の心理というものを客観的に説明されても、それでどうということはない、と思っていた
のである。朝、おきて、すばらしい天気なので、非常に気分爽快になったときに、それは
ドーパミンが大量に脳内に放出されたせいだ、といわれても、それで市が栄えるわけでも
ないだろう(夏目漱石)。
 というわけで、毛嫌いしていたのだが、このハーヴァードの先生の書いたものは面白か
った。人間はみんな幸福という青い鳥を求める(かどうか、私には疑問があるが)、では「幸
福」とはなにか、ということを実験心理学や脳科学の豊富な実験をもとに、アメリカ人流の
ジョークを交えて饒舌に語っている。最近売れている「フリーク経済学」の著者も、非常
にほめているので、この本も売れるだろう。
 とくに面白かったのは、いわゆる実在論(リアリズム)と観念論(アイデアリズム)を扱っ
た章である。リアリズムというのは、人間の心は、外界の事物を正確に反映して表象して
いる、という立場である。カントはこれに対して人間の認識には最初から決まった枠組み
があり、その枠組みを通してしか事物は表象されない、したがって「物自体」をとらえるこ
とはできないのだ、という立場である。
 ギルバート先生は、いろんな実験を通して、人間は、さまざまな補足(つけたし)や思
い込み、錯覚などを通して物を見ている、ということを明快に説明している。要するに、
私たちが思っている現実というものは、実在論者が言ったように、外界の事物を正確に反
映しているのではなく、むしろカントが言ったようにさまざまな枠組みを通して、そこに
写ったものを見ているのである。人間は、事物の表象ではなく、再・表象(リプリゼンテー
ション)を見ているのである。最近、よくヴァーチャル・リアリティという言葉が言われる
が、実は脳は、脳内にヴァーチャル・リアリティを生産するシステムなのである。
 唐突なようだが、これは仏教の考え方に近い。仏教では、すべては心ないし意識である、
と説く(三界唯心ないし唯識)。われわれが見ているものはわれわれの心である。しかし、こ
の脳科学の知見によれば、われわれはさまざまな錯覚や補足や思い込みを事物に投影して
みているので、要するに自分の心の投影を見ているわけである。
 幸福については、この先生はこういっている。意外なことに、非常な不幸と思われる出
来事に見舞われた人の多くが、その出来事は人生の中でもっとも幸運なことだった、と言
っている事実を取り上げる。そして、実は人間の心にはある種の免疫システムとしか言い
ようのないものが備わっており、実際にそうした出来事に会うとそれが作動するのだ、と。
ほんとかいな、といいたくなるような主張であるが、もしそうであるとすると、おもしろ
い。
 つまり幸福というのは、私たちは予期したり、予測したりはできるが、こうなれば確実
に幸福になるという予定なり計画を立てることはできないのである。もう一つは過去の記
憶、未来の予測は人間のみができるイメージの形成能力によるものであるが、これらは非
常に「現在」の状態に左右される。これをプレゼンティズムという。歴史学でプレゼンテ
ィズムという場合、現在の立場から過去の出来事を裁断することだが、心理学でも、今が
悪いと判断すると過去もずっと悪かったと思い込み、未来もきっと悪いに違いないと予測
するような現象をさす。うつ病へまっしぐらの道である。
 「今に目覚めよ」という禅の教えは、ここでも有効なようである。
松永太郎
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映画寸評 アメリカ映画 M:i:III      ☆☆☆
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の映画はミッションインポシブルの第三作目でお馴染みのトム・クルーズが扮するイー
サン・ハントの超人的活躍を描く。悪役に『カポーティ』でアカデミー賞の主演男優賞に
輝いたフィリップ・シーモア・ホフマンが演じる。僕は三作全部観たが、今回の作品が一
番面白い。最初から最後まで画面から目を話せないスペクタクルはとても日本映画では力
不足である。特に平和ボケした日本人は情報戦争を含む戦争は実際別世界であり、戦艦大
和を描こうが何を描いても迫力がまったくない。せいぜい時代劇の刀捌きに望みをつなぐ
が、それも最近薄っぺらい顔と躯体のやわな俳優が台無しにしてくれる。日本映画は娯
楽作や戦争ものを作るのならシナリオも監督もハリウッドから導入するべきである。何も
非国民的に言っているのではない、黒沢亡き後現代に至るまで日本の能力では無理である。
「死者の書」のような川本喜八郎の人形アニメや宮崎駿のアニメの世界こそが差別化で生き
残れる映画の世界であろう。平坦なシナリオやサヨクがかった監督ではチャイナやコレア
にも競争力はないと断言できる。
それはさておき、このM:i:III はミッシエル・モナハン、マギー・Qなど魅力ある女性が
映画を盛り上げ、純粋の娯楽作として大いにお勧めする。
奥山篤信評 
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