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甦れ美しい日本 第069号
発行日: 2006/6/8□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2006年6月8日 NO.069号)
☆☆甦れ美しい日本☆☆
☆・・・・私たちは書きたいから書くのです・・・・
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< 目次 >
◎ゲスト執筆者
塚本三郎 銀行は誰の為にある
◎レギュラー執筆者
1.佐藤 守 大東亜戦争の真実を求めて64
2.奥山篤信 日本映画「花よりもなほ」に見る映画界の日本破壊工作
3.松永太郎 「プロミス」という名のソフトウエア(2) 現代の情報戦争
4.西山弘道 キナ臭くなってきたポスト小泉戦線
5.青葉ひかる まともな経済人
◎図書室
1.「ダフ・クーパーの日記」Duff Cooper Diaries Edited By John Julius Norwich,
Weidenfield &Nicholson 2005(松永太郎)
2.白洲次郎 占領を背負った男 by 北康利 講談社(奥山篤信)
◎ 映画寸評 フランス映画「ロシアン・ドールズ」 奥山篤信
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塚本三郎
銀行は誰の為にある
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三メガバンクの平成十八年三月期決算は、各グループとも、過去最高益を更新した。
景気回復の姿そのものの象徴的事例として、各マスコミは大きく報道した。
何れも税引き後の利益として
三菱フィナンシャル・グループは、一兆一八一七億円
みずほフィナンシャル・グループは、一兆五二八億円
三井住友フィナンシャル・グループは、九六〇〇億円 を計上している。
一九九八年から段階的に十二兆円の公的資金が、各行に投入され、三グループだけで六兆六
五〇〇億円が投入された。それも幸いにして本年度中に完済するという。
政府は金融財政プログラムによって、巨額の公的資金(税金)を注入し、さらに、貸倒引当
金という名の税金抜きの処置によって、銀行に「アメ」を与え、その代わりに、不良債権の
徹底処理を急がせる「ムチ」を当てた。
その上、日本銀行のゼロ金利政策の下で、スズメの涙程の(〇.〇八%)という利息で、預
金者を犠牲とする指導を行なった。
ただ、景気回復が続くにもかかわらず、「お金を集めて貸出す」銀行の本業は不振だ、と各
新聞は一面で批判していう。本業である資金運用で得られる利益は、三社とも減益で、二〜
五%の利益となっている。
都市銀行のうち、三メガバンクが象徴しているように、本業が減益であるのに、なぜ各銀行
が空前の利益なのか。
会社は誰のものか、が論ぜられたのは、ホリエモンの、昨年来の発言に触発されてからだっ
た。今改めて銀行は、何の為に存在するのか。何が為に、バブル崩壊期に各都市銀行へ、「兆
単位」の税金を政府が注ぎ込んだのか。
かつて銀行が分積、両建(ぶづみ・りょうだて)のゆきすぎに対して、政府に強力な指導と
是正を求めたのは、春日一幸と塚本三郎の国会質問による論及であった。
資金の必要な経営者に応えて、融資するに当たって、予め貸出金のうち、「最初から貸金の
何%かを差し引いて貸す」方法、また「毎月何%ずつを、別途預金」で要求する方法。これ
で、強い立場の者、優位の立場に立ったものが、その立場を利用して、相手に無理な要求を
することは、独占禁止法違反として、是正させた約三十年前を思い出す。
今回の利益と内容の発表によって、銀行は、本業に忠実ではなく、集めたお金を、どう活用
しているのかが、改めて問われて然るべきだ。
投資信託の販売や、シンジケートローン(協調融資)などで収益を得る「手数料ビジネス」
は好調(一〇〜二〇%)の伸びとも報告されている。
わかり易く言えば、一般庶民から預かった預金を、(株式を売買する投資という「投機事業」
や、消費者金融という「高利貸」に、協調融資という美名の、「高利貸への資金の提供」)を
するものではないか、と勘ぐるが、これは言いすぎか。
巨大銀行は、その信用力で、金庫代わりに預かってあげる。その代わり利息はただだよ。と
言わぬばかりのゼロ金利の悪用に庶民は怒りをかくさない。
もちろん、これは政府の金融政策の愚かさを、悪用しているのである。しかし、その反面ま
ともに融資をしなければ、金融庁の眼が恐ろしいことは承知しているらしい。
だから、相変わらず資金需要がないと逃げて、極々健全な相手以外は貸し渋る。世間の眼を
意識しながら、住宅ローン金利は上げても、預金金利は低いまま逃げている。
住宅という確実な担保があり、貸付事業に差し支えがないから融資対象とする。
政府の愚作に悪乗り
公定歩合を引き上げれば、政府の借金、即ち国債の金利引き上げが伴うから、政府自身の身
の安全の為に、まじめな預金者を犠牲にしているゼロ金利は、世界に類例がない。
これは、日本人の勤倹節約の「道徳心」をも、マヒさせている。この道徳心こそ、資源の乏
しい日本人に、物資のみならず、すべての面で節約すれば、それが積み重なって、大きな富
となるとの、物や金に対する尊さと、自然に対する感謝が、余得とし、金利の名で返って来
た。この素晴らしい道徳心の喪失は軽視すべきではない。
消費は美徳なりと呼ぶ資本主義の理念は、一部は事実であるが、物質や大自然に対する感謝
は古いと、勘違いさせている点は問題である。幸い、これまでの美風を支えるため「もった
いない」という言葉が叫ばれだしたことは素晴らしい。
最近のテレビコマーシャルには、「ご利用は計画的に」の消費者金融の言葉が鼻に付く。ど
しどし貸付の宣伝をしているが、そのコマーシャルに、資金を預かる宣伝は無い。あの貸付
資金はどこから得ているのか。主に、都市銀行からだと言われているがどうか。
都市銀行はゼロ金利で預かっていながら、消費者金融では、一五〜二〇%の高金利となって
いる。都市銀行の預金と、消費者金融の貸付金との間に、これほどの莫大な差が在るのはど
うしてなのか。
また、なぜ消費者金融が、消費ではない中・小とはいえ「事業家」に資金を貸すのか。
あるいは、都市銀行はゼロ金利で預かって、二〜三%で貸したのでは商売にならないという
のか。たとえ五〜六%の貸出金利であっても、二桁の消費者金融の金利より良いから、銀行
は、本来の業務に戻って、中小、零細企業者の為に、融資に本腰を入れてほしい。
株式上場の大企業に、景気回復の声が高まっていることは嬉しい。現に相当の利益を計上し
ている。それにもかかわらず、中小、零細企業経営者は、逆に不景気を嘆く声が余りにも多
い。バブル期の如き、ゆとりのある下請事業はなくなった。流通部門では大型店舗が、小売
業を独り占めして、商店街がシャッター街と化して久しいのも見逃せない。
中小企業は天守閣の石垣
大企業が大きな利益を挙げていることは喜ばしい。問題は、大企業といえどもその中身は、
下請企業や、子会社の集積から成っているはずである。
日本の会社の特質は、天に聳える大天守閣も、その土台は、小さな石垣によって支えられて
いる。それと同様に、大企業、製造業、流通の商業、すべて中小、零細企業の手に支えられて
いる。各部品製造業、物品購入、及び調達業者が大企業を支えている。大企業がすべてを製造
し、仕入れ、販売しているのではない。
今日の景気回復は、大企業と共に、その土台である中小、零細業者の悦びと繁栄が連動して
いなければおかしい。
残念なことは、大企業繁栄の裏では、それを支えている下請業者や納入業者が、人知れず愚
痴っていることが多い。極端な場合には、「俺達の儲けを削って」利益を積んでいる、と嘆く
中小経営者が少なくない。
金融は経済界に於ける血液であって動脈である。その流れが、細胞の隅々まで流れていかな
ければ、痛みとなって警告する。
今日の日本の金融は、動脈から直接うけられる血の如く、上場企業は活発に繁栄している。
しかし、途中で高利に横取りされて、その血脈たる金融は、細胞に流れるには、二重、三重
の障壁に妨げられて、細部、末端に届いていない。
銀行は資金需要が無い、と云うが、中小企業者に貸すには、返済に対しての信用調査に手数
がかかり、万一返済不能の場合の為の備えに必要があるから、貸し渋り、しかも、それに見
合う金利を求めることが無理と、勝手に計算しているようだ。
その結果、弱い業者が致し方なく、消費者金融に走り、高利の為、返済が滞り さらにその
返済の為、別の高利に走り、多重債務者となる。
変化の激しい今日の経済変動の時代だから、正常の銀行業務が消極的になることも一面では
理解できる。しかし、最近の銀行の経営方針は極端過ぎる。止むなくすがりつく、高利、即
ち一〇%を超える金利で経営が成り立つ時代ではない。
また、効率優先主義から、中小企業経営者への、「デリバティブの押し売り」も、相手の弱
味につけ込んでの銀行の手数料稼ぎではないか。
この際、金融庁は、都市銀行の貸付実体のくわしい中身を把握し、公表する必要がある。
一. 貸出金のうち、消費者金融に、協調融資の名目で、資金貸出しの何%を貸し出し、
どれ程の金利を得ているか。
二.貸出金のうち、銀行の言う中小企業という、その中身を明確に示すべきだ。中小企業
と名乗るうちには、大企業の子会社中心。(大企業が資本を出し、法網をくぐって、中小企
業を何十となく作っている)。それは除外して、本来の自己資本による、中小企業に対して
どれ程の融資を行なっているか。
合併した各メガバンクは、合併前の各銀行を整理して三行が合併すれば、店舗は三分の一で
済むと称して、都市の各街角から支店は姿を消し、今迄の利用者の不便はこの上ない。地元の
銀行であるからと信じ、また近くの銀行支店と考えて取引していたのに、突然、銀行の生き残
り合併の都合で、街角の支店が消えてなくなり、その跡地が、巨大な商店と高層マンションに
変わりつつある。
銀行が、利益を拡大するために、預け入れた預金を、より有効に活用することは、前々から
言われた必要な手段である。それに気付き、力点をおいて来たことを否定しない。
言わねばならないことは、本業の利益が減となっており、逆に付随とされる業が、極端に大
きな利益を挙げていることである。しかもそれが度を過ぎて、株式の健全な投資ではなく、投
機、即ち、バクチの元手に変化していると疑われることである。
また協調融資といって、本業に廻す金を、高利の資金に廻して、健全な金融を歪めていると
推測されていることである。現に、一般の銀行以上に、消費者金融業者の莫大な利益と、それ
に伴って、一部、恐喝的取立てが目立ち警察沙汰になっているではないか。
その上、返済金回収のため、暴力団が介入する余地さえつくって、金融の歪められた実体が
聞こえて来る。無責任な借入者を庇護する必要はない。しかし、政府が支援し、すべてに優れ
た信用力を持つ都市銀行が、ゆきすぎて協調融資と名づける、不道徳な相手に結果として手を
貸しているとすれば、大きな社会問題である。 六月初旬
塚本三郎;
愛知県名古屋市に生まれる
鉄道省名古屋鉄道局に勤務し、県立中学校(夜間)に入学
終戦とともに労働組合運動に従事
運輸省に転勤し、中央大学法学部(夜間)に入学
国鉄を退職し、中央大学法学部卒業
昭和 33年 挑戦4回目にして初当選し、昭和生まれ初の代議士
(日本社会党所属)となる(以後当選10回)
昭和 35年 民社党結党に参加
昭和 49年 民社党書記長に就任(国鉄改革・電電公社民営化に取組む)
昭和 60年 民社党中央執行委員長に就任
平成 元年 民社党常任顧問に就任
平成 9年 「勲一等旭日大綬章」を受章
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1.佐藤守
大東亜戦争の真実を求めて64
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東條首相が後継者となり、「対英米蘭戦争の開始を、九月の「要領」の「十月上旬」
から二ヶ月だけずらして、十二月初旬と定めなおしただけの、新「帝国国策遂行要
領」を御前会議に持ち込んだのは十一月五日であった。海軍は機動部隊を、十一月
二十二日までに千島列島の択捉島の単冠湾に集結させたが、これはこの新「要領」
に従ったのである。そしてまた、新『要領』に従って、十一月二十六日(日本時間)
午前六時、空母六隻を含む三十二隻の南雲中将麾下の機動部隊は、航空機三百五十
機を載せて真珠湾目指して出撃していった。いわゆる『ハルノート』が国務長官コ
ーデル・ハルから野村・来栖の二人の大使に手渡されたのは十一月二十六日午後五時
(日本時間二十七日午前七時)であるので、真珠湾攻撃の機動部隊が出撃の方が約
一日分の二十五時間ほど早い」と中川教授は書く。つまり「日本の真珠湾攻撃は『ハ
ルノート』の強硬さに激情的に反発してのものではない」「『ハルノート』の内容い
かんにかかわらず、日本と米国との立場の隔たりは大きく、日本の対米開戦の決意
と決定は、七月末の『南進』を敢行して以来、僅かも迷うことのない規定路線であ
った」というのである。
軍事は政治の延長である。国の方針によって、軍は戦略を立てて猛訓練しておく
必要がある。日米間が緊張しているとき、それに備える事無く、漫然と日々を過ご
すことはありえない。海軍が対米戦を意識して猛訓練していたことは当然であろう。
しかし、一般に言われているように、「ハルノート」の激越な内容に、堪忍袋の緒が
切れて対米開戦した、と認識している日本国民が多いため、中川教授はあえてそこ
を強調したのだと私は理解する。
では、海軍の「真珠湾攻撃」に対する考えはどうであったのだろうか。
元海軍軍令部作戦部長であった富岡定俊氏は次のように回想している。
「昭和十五年夏以来時局の緊迫にともない、軍令部は年度作戦計画のほかに南方要
域攻略を含む対米英蘭同時作戦生起の場合を考慮した作戦計画の基礎研究に着手し
ていた。当時はドイツ軍の進攻により英本国が崩壊する場合、これにともなってわ
が国が南方に進攻するのに備えた研究であった」
「ドロナワといえば“四カ国同時作戦”なんて夢にも考えていなかったから、昭和
十六年九月二日、大本営陸海軍部の間の意見が一致し『帝国国策遂行要領』の中で、
初めて四カ国作戦(このうち中国とは交戦中)が決まったくらいで、これを見ても
察しがつくと思う。海軍部内では十六年三月に、勝つか負けるかでなく、対米戦争
ができるか、できないかの文書を作成して海軍大臣に提出したが、それは焼いてし
まって、いまはない」という。
そこで思い出すのが、十一月三十日に、東條首相が天皇に召されたとき「高松宮
が海軍は手一杯でできるならこの戦争は避けたしと内奏したこと」を聞かされたこ
とである。高松宮は、海軍の研究会の結論を十分承知しておられたからだと推察で
きる。富岡氏は“ハイライト”であった真珠湾攻撃についてこう書いている。
「これは十六年一月頃山本五十六連合艦隊司令長官が決断を下したもので、その頃
軍令部では特に真珠湾攻撃については考えていなかったし、知らされてもいなかっ
た。というのは何しろ南方作戦で手一杯の形だったからである。
米海軍は十六年の二月頃からカタリーナ飛行艇を使って、ハワイ周辺の全周(三
六〇度)警戒をやっている事が分かり、米国の戦争準備の並々ならぬ事を知ったが、
そのうちに、また情報が入って北部(筆者注:南雲艦隊の進入路)の警戒をやめたと
いうので、軍令部もハワイ作戦にOKを出したのである。私は真珠湾作戦に不同意
ではなかったが、大バクチだとは考えていた。ただ軍令部は机の上だけで、連合艦
隊の作戦になるべく干渉するなという伝統があり、それを私たちは守っていたので
ある。軍令部は艦隊、航空機の燃料取得が先決だと考えていたから、山本五十六連
合艦隊司令長官の「ハワイをたたけば、南方が安心してやりやすくなる」という案
には必ずしも賛成ではなかったのである。母艦航空機をみんなハワイに持って行か
れたのでは、南方作戦はお手上げになってしまう。
ところがありがたいことに、当時の陸軍参謀本部の服部卓四郎作戦課長が、陸軍
の航空兵力を満州から南方作戦に快く転用してくれたおかげで、ハワイ作戦も後
顧の憂いなく遂行できた次第である」
先の大戦では、陸海軍間の対立が強調されるが、国家一大事の折、双方に良き人
物を得て、乾坤一擲の海軍作戦が成功したのであったが、その裏には陸軍の協力
と、見事な連係プレーがあったのである。 (続く)
佐藤守:
防衛大航空工学科卒(第7期生)。
航空自衛隊に入隊
戦闘機パイロット(総飛行時間3800時間).
外務省国連局軍縮室に出向。三沢・松島基地司令、
南西航空混成団司令(沖縄)を歴任.平成9年退官.
岡崎研究所特別研究員.軍事評論家.
日本文化チャンネル「桜」軍事コメンテーター.
著書に「国際軍事関係論」
ブログ;http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
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2.奥山篤信
日本映画「花よりもなほ」に見る映画界の日本破壊工作
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誰に言われるでもなく、久しぶりに日本映画を見るかとぶらっと昨日封切のこの映画を見
た。岡田准一 、宮沢りえ 、古田新太 、浅野忠信 、香川照之などが出演する映画で監督脚
本は是枝裕和という人物。この監督Wikipediaで調べてみると1962年、東京生まれ。87年に
早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加。主にドキュメンタリ
ー番組を演出、現在に至る。95年に初監督した映画『幻の光』 が第52回ヴェネツィア国
際映画祭で金のオゼッラ賞を受賞。以降 『ワンダフルライフ』 『ディスタンス』 と作品
を発表。03年夏には初プロデュースした2本の映画 『カクト』 (伊勢谷友介監督)『蛇
イチゴ』(西川美和監督)が公開された。04年、カンヌ国際映画祭にて『誰も知らない』
が映画祭史上最年少の最優秀男優賞を受賞し、話題を呼ぶ。05年、自身がオリジナルに脚
本を手がけた『花よりもなほ』で"仇討ち"をテーマにした初の時代劇に挑戦する。
ということで国際的に活躍している40歳台の団塊の世代とは異なる世代に属するようだ。
映画の筋はというと、元禄時代の「悪ふざけ」仇討ちもの。父の仇を討つため信州松本か
ら江戸に出てきた青木宗左衛門は、長屋で実家からの仕送りだけが頼みの貧乏生活で、憎
き父の仇、金沢十兵衛を探していた。仇討ちに成功した暁には、名誉の回復だけでなく褒
美の金も入る。この宗左、まったく駄目な侍で、剣の腕は道場の稽古の域をでない。女々
しいこの侍、近所の子どもたちを集めて寺子屋を開いている。生活臭ぷんぷんのおんぼろ
長屋衆とこの侍とのお笑い物語。そこに赤穂浪士の浪人などが登場して、仇討ちや憎しみ
などくだらないと、侍がいまそこにある元禄版「生命至上主義」生活をエンジョイしよう
というもの。昨今のテレビなどの低俗番組並みの脚本で、ここまで日本映画も堕ちたのか
と唖然とした次第だ。
冒頭この太平の世の中(時は元禄時代)農民や商人(あきんど)は必要だが侍など必要は
ないと言い切り、まさにそれは戦後60年の平和ボケとサヨクの洗脳を受けた、自衛隊な
ど必要ないと言っているようなものでまず血圧がアップ。
挙句の果ては侍として親の敵を討つという倫理観、使命感も根底から否定し、憎しみだけ
ではむなしいと偽善に満ちた憲法序文のような科白を宮沢りえの口から言わせ、仇の子供
や親を見て仇を討つことをやめてしまう。それでいてちゃっかり褒美の金を取るために仇
討ち芝居を行いお上から金をせしめる。その行為自体を監督も脚本も賛歌しているのだ。
僕に言わすれば、侍という日本文化をここまで不純で不潔極まりない姿に矮小化する、冗
談でも許されない行為である。それは金のために売春をして、何がわるいとの女子高校生
と同じ腐りきった精神の堕落そのものである。
しかもあの赤穂浪士討ち入りという、日本人の歴史上の誇りであるともいえる美談につい
て、主君の仇討ちも茶化しまくり、浅野も49士も馬鹿扱いで、討ち入りが吉良の寝入り時
を狙った卑怯なものだと聞き捨てならないことを言わせる。そして49士のなかで、討ち入
り後一人消えた足軽寺坂吉衛門を登場させこの茶化しに色を添えさせる。あきんどが使う
大阪弁を浪士に意図的に使わせるなどここまで美談を貶める意図がありありと見える。
江戸の長屋連が、綱吉の生類憐れみの令に逆らって犬鍋を食べる場面なども、徹底的に国
家権力を悪として意図的にたたく監督の意図が見える。良く聞け!そこの監督よ、日本人
に犬を食べる習慣などないことを!覚えておけ!
この監督まさに日本をメルトダウンさせようとの邪悪な意図があるのか、これでもかこれ
でもかと日本文化を矮小化し茶化しまくる。まるでどこかの第三国の謀略に沿って日本文
化を根底から破壊させる意図ではないかと僕は見た。このような自虐映画が無抵抗に観客
に受け入れられ、日本人自身が自尊心を傷つけたとの自覚も無く観客はただ笑う姿を見て、
戦後の自虐根性が真綿で首をしめるように、ここまで来たかという感がある。これはもう
まさに日本人もアメリカや中国の隷属民として「パンとサーカス」の民に成り下がったも
のといえる。アメリカの第51州か中国の第二のチベットの道は、いまそこにあるように
見える。
そういえばこの映画、肥え溜やら、糞やら、雲固やら排泄物の話がテーマとしてあり画面
から悪臭が漂ってくるである。日本文化を茶化しまくり、挙句の果て日本人の清潔感を
あざ笑うような糞尿の世界を下卑た言葉で話しているのだ。もうこうなったら美的世界か
ら程遠い内容である。このような映画が日本代表としてカンヌやベニスなどで大手を振っ
て歩いているとすれば、日本文化が捻じ曲がった形で誤解されること間違いない。そして
くだらない戯言が精神的にも武装解除された抑止力ゼロの国として世界に恥をさらすことに
なること請け合いである。それこそこの映画の狙いではないだろうか。
反日という日本にとっての「最大の敵」は実は日本の内部に存在するという、この現実を
痛感した次第である。
奥山篤信:
京都大学工学部建築学科卒
東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社
平河総合戦略研究所代表理事
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3.松永太郎
「プロミス」という名のソフトウエア(2) 現代の情報戦争
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ほとんど、どんなコンピューターのデータベースにも侵入できるソフトウエア「プロミ
ス」は、各国の情報機関や捜査機関の夢であった。犯罪歴はおろか、出入国記録、銀行口
座、免許証番号、パスポートナンバー、航空券番号などを一瞬で照合できるからである。
つまり、ある人間の移動をどこまでも追跡できることになる。
イスラエル秘密情報機関「モサッド」のトップ・スパイ、ラフィ・エイタンは、このころ、
自分ひとりですべてをしきれる科学技術情報部「ラッカム・ユニット」をひきいていたが、
放胆にも自ら偽名を用いて、このソフトの開発者のハミルトンに会いに行き、ソフトの
能力を自らの目で確認した。それは彼の想像を超えるものであった。
エイタンをハミルトンに紹介したのは、アメリカ司法省である。実は司法省内部では、
このころ、ある陰謀が進行していた。司法長官エドウイン・ミースと、その仲間のアー
ル・ブライアンとは、この金の卵のソフトウエアを横取りしようとたくらんでいたのであ
る(後の裁判や、アメリカ議会での調査によって、これらのすべてはほとんど証明されて
いる)。すでにソフトの開発者ハミルトンは、あまり疑いを持たずにソフトを司法省に渡
していた。ミースもブライアンも、最初から、それに一銭も払う気はなかった。
ブライアンは、時のレーガン大統領にも気に入られ、ホワイトハウスにオフィスを持っ
ていた男であるが、おそらく「モサッド」のエイジェントでもあったろう。「プロミス・
ソフト」をエイタンに渡してしまえば、彼がそれをアメリカに対する情報工作に使うこと
は目に見えているからだ。それを知っていて、彼は司法省の名前を使ってエイタンをハ
ミルトンのところへ案内し、さらにプロミスを彼に渡したのだった。
ここからストーリーは、いくつもの方向へ進行していく。「ラッカム・ユニット」のエイ
タンは、このソフトを使う謀略を考え付いた。このソフトのディスク(あるいは、この
ころはハードと込みだったのかもしれない)に「トラップ・ドア」を仕込み、中東じゅうの
情報部にばら撒く。そうすれば「モサッド」は中東じゅうの情報機関(そのほとんどが
イスラエルの敵であるが)のコンピューターにも侵入できる。つまり敵が何を知ってい
るのか、掌をさすように知ることができる。
エイタンが、この売り込みに使ったのは、新聞王とよばれたロバート・マックスウエルで
ある。彼は、ハーストやルパート・マードックのような、あの「市民ケーン」で不滅のイメ
ージを獲得した「マスコミの帝王」の一人である。新聞王とかマスコミの帝王とか呼ば
れる人間には一定のタイプがあるようで、マックスウエルもまたメガロマニアック(「俺
様が一番偉い))であった。
マックスウエルは、アメリカ嫌いのシオニストで、傘下の企業の年金基金を「モサッド」
の工作資金に回していたが、このころはかなり財政的に苦境にあったらしい。このソフト
を売り込むため、中東はおろか世界中を回った。かくしてハミルトンが苦心して作った
ソフトは、一方では司法省経由による「修正」を受け、一方では、エイタンとマックスウ
エルらによる「工作」の手が入って変形されて、世界中の情報機関・捜査機関に高額で売りさ
ばかれたことになる(日本の捜査機関も買ったらしい)。
マックスウエルは、中国の情報機関にも、このソフトの売り込みをはかった。中国の情
報機関が、もっとも知りたいことのなかに、いわずと知れた核兵器の秘密がある。
「このソフトがあれば、ロス・アラモスのコンピューターに侵入できますか」と中国秘
密情報機関の連中は、おそらくは、にこやかに聞いた。「ロス・アラモス」というのは、
昔も今もアメリカの核兵器開発の核心をなす施設である。ここでマックスウエルは、おそ
らく、いわゆる「どじ」をふんだ。
「もちろんだとも! 実はモサッドも」といって、彼はエイタンの工作のすべてを明か
してしまった。「トラップドアを使えばロス・アラモスにも侵入できる。現にモサッドも、
そうしているのだ」と言ってしまったのである。(この項を続けてみたい)
(以上、ゴードン・トマス、マイケル・ルパート、ダニー・カソラロその他の著作による)。
松永太郎;
東京都出身
翻訳家、多摩美術大学講師、レモン画翠社長
主訳書「進化の構造」「イカロスの飛行」他。
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4.西山弘道
キナ臭くなってきたポスト小泉戦線
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ポスト小泉の状況をこのメルマガでしばしばお伝えしているが、どうもここへきて
きな臭くなってきた。それは、総裁候補本命の安倍官房長官の早過ぎる出馬表明と、
小泉首相の今国会会期延長なしの発言が重なって、ポスト小泉戦線がにわかにテンポ
が早くなってきたことである。
安倍氏の出馬表明は、先週初め東京都内の講演会で飛び出したものだが、いかにも
タイミングが早すぎるものであった。6月18日の国会終了後か、とみられていたの
に国会中、しかも官房長官という“危機管理担当相”でありながらの出馬表明で、政
局の常識ではありえないものである。そして、先週後半には、安倍氏“総決起大会”
ともいうべき、「再チャレンジ支援議員連盟」の総会が開かれ、予想を上回る94人の
衆参議員が集まった。この“舞台回し”はいかにも早過ぎるもので、世論調査で猛追
する福田康夫氏をぶっちぎりで引き離そうという“焦り”が感じられる。一方で、安
倍氏が焦るのは、本人の体調の問題ではないか、いや、ゴッドマザーのご母堂、洋子
さんの指示だ、など虚実取り混ぜた話も飛び交っている。
安倍氏の出馬表明に平仄を合わせたように、小泉首相は今国会会期延長なしを断言
した。この発言にも色々な推測が出ている。教育基本法改正や、国民投票法、共謀罪
など重要法案をすべて先送りして、ポスト小泉の後継首相にそれらの処理をまかせ、
本人はロシアサミット、日米首脳会談など外交日程で華々しく政権の有終の美を飾ろ
うというのであろうか。しかし、首相の「会期延長なし発言」は、安倍氏に対する強
力なバックアップであることは間違いない。国会を早く終わらせることで、総裁選挙
の舞台回しを早め、安倍氏の優位を確実にする、という効果はあるからだ。
永田町の一部には、小泉首相は7月中旬のサンクトペテルブルグ・サミットから帰
国してすぐ退陣表明をするのではないか、という情報も飛び交っている。早期退陣の
場合、安倍氏が後継に指名されるのは間違いないだろう。
自民党の片山参議院幹事長が地元岡山市の講演で明らかにしたところでは、小泉首
相は当初、国会の会期延長は「必要だと思っている」としていたが、先月末になって
突如「延長は考えていない」「状況が変わった」と発言したという。この首相の豹変
に片山氏も、青木参議院会長も「かんかんに怒っている」というが、問題は首相の
いう「変わった状況」とは何かだ。本当は政局が大好き、という小泉氏の本能が、
「反小泉」の策謀を5月末に感じ取ったのであろうか。
ここまで書いてくると、ポスト小泉は安倍氏で決まりと受け取られそうだが、いや
まだ波乱はありそうだ。
“麻垣康三”のポスト小泉候補は安倍氏と福田氏、2強候補の“安福決戦”となっ
ているが、この決戦は“世代交代決戦”の様相もみせてきている。先の安倍氏支援議
連発足に94人が集まったというが、議員は衆議院=当選5回以下、参議院=2回以
下に選別したという。現在、自民党は衆議院議員をみると、総数293人のうち若手
といわれる5回以下は210人、ベテランに属する5回以上は83人に過ぎず、昨年
9月の選挙でかなり世代交代が進んでいる。
一方、世代交代のテンポを進ませまいとするベテラン組は、福田康夫氏を推し立て
て若手に担がれる安倍氏に対抗しようとしている。この中には、次の次を狙うとされ
る山崎拓氏や加藤紘一氏らベテラン組、さらには二階俊博氏や額賀福志郎氏などの新
実力者組も含まれるだろう。このほか、最近“第5の候補”といわれて急速に浮上し
てきた与謝野馨経済財政担当相も要注意だ。無派閥で派閥の基盤を持たない与謝野氏
だが、財務省をはじめオール霞ヶ関の官僚が、バックアップしているといわれ、乱戦
になれば、十分勝機の可能性はある。
世代交代、そして場合によっては乱戦模様となりそうな総裁選だが、6月18日の
国会終了後は本当に目が離せなくなりそうだ。
西山弘道;
ジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、文化放送で30数年、放送記者として
活躍。政治担当として、三角大福中、安竹宮の「永田町戦国史」を取材。
2005年10月、文化放送を退社、以後フリーのジャーナリストとなる。
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5.青葉ひかる
まともな経済人
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我国の総理大臣の靖国参拝がけしからんという余計なお節介を受け、中国、韓国側
の思惑に服従し、日本人として経済人としての国家観、教育観の貧しさを露呈する
という、余りにもお粗末な見識しか持ち合わせなかったこれまでの経営者界のリー
ダーが去り、やっとまともな言葉を発する経済人の登場である。
日本経済の上向きの風とともに颯爽と現れた「日本経団連」の御手洗富士夫会長で
ある。
「首相は適切に判断している」という対靖国発言は、国を代表する経済界の重鎮に
相応しい言葉であり、何はともあれ、この一言が今後の経済界の未来の確かさを物
語っていると同時に外国(中韓)の内政干渉に断じて屈しないとする、矜持を保っ
たことになる。
この御手洗発言が国民に一層の安心感を与えたのは、もうひとつの経済団体である
「経済同友会」が中国のしもべと化し、畏れ多くも自国の小泉首相に参拝自粛を求
めるという提言をし、その内容を記した文書をこれまたご丁寧に中国大使館にも届
けるという屈辱経済団体に成り下がったあとのことでもあったからである。
あらゆる経済活動も、愛国心を忘れたとき、大きなしっぺ返しを受けるであろう。
もし、他国の益と自社の利益のために商売をするのであれば、ましてや、我国の総
理大臣が自国の戦没者を慰霊することに他国が介入するのを支持しているが如くの
発言態度をすることを恥とも思わぬ人物が経済界のトップにいるのであれば、日本
にとって不幸なことである。
中国が異様に軍拡を進めていることを全世界も知っており、領海侵犯や領土侵犯さ
れている当事者である我国の経済界代表の一部が腑抜けなのはなんともやりきれな
いことである。
それほど他国の言いなりになりたければ、どうぞ国籍を捨てて外国で商売をおやり
くださいということになる。
反宗教で無神論者の共産主義者の国家である中国は、毛沢東が自国民を数千万人殺
してなお死後に最高の栄誉を与え、これに中国民が弔意を表することは良しとしよ
う、中国内の問題であるから。
しかし、このような国が偉そうなことをいえる立場でないことを、我国は知るべき
である。
「経済同友会」は、なにゆえ我国の死者の霊に我国の総理が弔意を表することを相
手国から批難されたからといって、国を売るような提言をし、日本の先人の名誉に
泥を塗ることをするのか。
恐らく、既になにがしかの弱味をに握られているか、脅迫に屈していることに加え
て浅慮の致すところであろう。
こんな状況の中、「関西経済同友会」が、中国、韓国の主張は内政干渉であり、政治
家、経済人は毅然とした態度をとるべきだとの立場をとっていることは、御手洗「経
団連」と同じく我国にとって救いの光明である。
日本は、自由な国であるから、「靖国に行きたくない人は行かなくてよい」のである。
日本の総理大臣が慰霊の場で戦没者にたいして、静かに頭を下げる行為を外国政府
の介入で止めた時、この日本はもう自国の背骨もなく崩れてしまうであろう。
こと小泉首相の靖国参拝反対への屁理屈をいろいろ言っている政治家は、既に、多
くの学者、知識人が研究し、指摘していることの勉強不足と自身の無知をさらけだ
していることを恥じるべきであるし、打倒小泉政権勢力の繰言としては、陳腐であ
り、これこそが、まんまと中国、韓国の戦略にのせられることであることを自覚す
べきである。
いや、もうすでに相手国の謀略に嵌ってしまった政界人の保身ゆえのあがきである
ことを多くの国民は見抜いていることも知るべきである。
小泉首相が就任直後、公約の8月15日に参拝することを、当時の側近中の側近か
ら止められ、8月13日に参拝なさった時、恒例により中国、韓国が喚き、批難ごっ
こが始まった。
この時、小泉首相は側近の意見を聞き入れたことを、涙ながらに悔しがったといわ
れている。
老獪な相手国のこと、譲歩すれば治まるなどという日本人感覚が通じることはなく
ますます、つけ上がっただけであった。
就任以来、毎年欠かさず靖国に参拝してきた小泉首相の支持率は政権末期でありな
がら、50%の支持率を保っている。
叩頭外交、謝罪大好き政治家、靖国参拝反対派マスコミの嵐の中、しっかりと背骨
を通している姿勢の小泉首相を応援する国民の賢明さの証である。
やはり、ここにきて「まともな経済人」の登場にも拍手喝采せねばならない。
青葉ひかる;
三重県出身
早稲田大学卒
元日本航空(株)勤務
評論家
2525計画推進協議会(2525プラン)会長
http://www.2525plan.jp/
ラジオ日本(1422kHz)
「青葉ひかるのガンバレ日本」
毎週(土)16:50〜17:00放送
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1.図書室 「ダフ・クーパーの日記」
Duff Cooper Diaries Edited By John Julius Norwich, Weidenfield &Nicholson 2005
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ダフ・クーパーという人は、イギリス現代史を読んでいると、とくにチャーチルに関す
るものを読んでいると、かならず登場する。いわば現代史の主役ではないが、名脇役であ
る。彼は外交官であり、チャーチルの内閣で大臣を勤めた政治家であり、著作家であった。
どういうわけか、この人の書いた「タレイラン」という伝記が翻訳されていて、筆者はかな
り昔、その本を買ったおぼえはある。この「日記」は、イギリスで出版されたばかりである
が、おそらく今後、多くの歴史家が読み、引用する本になるだろう。第一次大戦以降、第
二次大戦の終了にいたるまで、イギリス現代史(第一次大戦、ベルサイユ、ジェネラル・スト
ライキ、ウインザー公の退位、ミュンヘンの合意、第二次大戦など)のほとんどすべての重
要なポイントに居合わせ、目撃し、参加した、という点では、彼以上の人間はいないだろ
うからである。
この「日記」は、最初、クーパーの甥が編集することになっていた。ところが内容を読
んで、衝撃を受け、焼いてしまうにしかず、と考えたらしい。したがって、息子のジュリ
ウスのところにその許可を求めに行ったのである。
このジュリウスの本もかなり読んだ。彼はビザンティンとヴェニスの歴史の専門家であ
り、とりわけ「ビザンティウム」と「ヴェニス」がすばらしい(ペンギンから出版されている)。
さらにその娘がアルテミスで、彼女の夫が筆者にとっては忘れがたい本「クレタ」を書いた
アンソニー・ビーヴァーである。ビーヴァーの「スターリングラード」「ベルリン」などの
歴史書は、翻訳されて、日本でもベストセラーになっている。非常に面白い本なので、お
すすめしたい。一方、アルテミスも筆が立ち、戦時下のカイロ、戦争直後のパリなどにつ
いて魅力的な本を書いている(題材が特殊なのか、翻訳はされていない)。ダフ・クーパー
はアルジェにおけるドゴールの「解放政府」に、チャーチルの個人代表として派遣されて
いて、当然、戦争直後、フランス大使となったのである。アルテミスの本は、そのころの
祖父の体験を基に書かれている。書かれたころは、この日記はまだ公刊されてはいなかっ
た。
さて甥はなぜショックを受けたかというと、この日記は彼の情事があけすけに書かれた、
いわば「猟人日記」で、こんなものを出版しては、まだ元気だったダフの妻、レディ・ダイ
アナ・クーパーや、息子のジュリウスを傷つけると考えたようである。
なにしろ「はなはだ忘れがたい夜であった」だの「彼女は、エジプトの大臣と結婚するこ
とになっているのだが、愛していない、僕と恋に落ちるのが怖いという。うれしいこと限
りなし」だの忙しい政治とギャンブルとカクテル・パーティの間に毎日のように書いている
のである。
このレディ・ダイアナ・クーパーも、並の女性ではない。イギリスでももっとも壮麗な城
と呼ばれたヴェルボア城で育った公爵令嬢で、当時のイギリス社交界きっての美人で、
それが無名の外交官と結婚するということになったとき、その両親はおろかロンドン市民
が暴動を起こしそうになった、という。後、だんなが出世してノーウイッチの爵位を授け
られたとき、そんなおかゆ(ポリッジ)みたいな名前はいやだわ、といって、わざわざ新聞に
元のとうりによんでくださいな、という広告を出した。
もちろん、ダイアナもジュリウスもいまさらそんな「家庭の秘密」が公開されたところで、
傷つく玉ではない。ジュリウスは、「日記」を焼いたりしないように、いとこを説得し、自
分が出せば文句は無いだろうと考えたからか、「日記」の編集と出版を引き受けたのである。
こうして、この素敵に面白い日記が、われわれにも読めるようになった。最後に付け加
えたいが、昔の日本の社会も、イギリスの社会もどことなく似ている。
はっきり言ってしまえば、男性も女性も、やることなすこと、スケールが大きいのである。
今の大衆社会では、こういう恐竜のような連中は消えてしまった。 それが近代という
過ぎ去った社会のある一面をあらわしているといえば言えるだろう。「ロマンティック」と
いう言葉が実体を持っていた時代である。
松永太郎
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2.図書室 白洲次郎 占領を背負った男 by 北康利 講談社
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この本各方面から絶賛のようである。マッカーサーを相手に筋が通らなければ怒鳴りつけ、
日本の自由と誇りを守り抜こうとした「侍」(山崎洋子評)とべたほめである。白洲次郎
の格好の良さには当時から外車のスポーツカーを乗り回し、ケンブリッジでもヨーロッパ
人並みの生活と贅沢ができた雲上人のごとく金持ちの家に育ったどら息子、それもハンサ
ムで垢抜けしており、青年時代から死ぬまで英国風紳士として、もてないわけがないだろ
うし魅力を感じるのは当然である。
でも彼が本当の愛国者なのか西洋かぶれの無国籍思想のパイオニアーかどうか僕には疑問
が残るのだ。まずは知人友人とか寵愛を受けた自分の身の回りのコネの世界を大切にする
普通の人ではなかったのだろうか?
松本蒸治などが押し付け憲法案に関して、日本の価値を守らんとGHQと孤軍奮闘していた
ときには、白洲は戦争に負け、しかも古臭い日本の国体などあまり興味が無かったのでは
ないかと思う。白洲にとっては、戦勝国面して白洲個人に威張りちらすアメリカ人への個
人的な怒りではなかったのか?要するに彼の怒りは日本人としての侍としてのものではな
く、自分の自尊心からの怒りではないかと思う。それが良い悪いというつもりはないが。
白洲の人脈といえば、あの近衛文麿であり、吉田茂である。それが意味するのは、結局は
戦前はコミンテルンの駒として理想主義の偽善をかぶっていた近衛と相性が合い、戦後は
英国かぶれで「臣 茂」などと言いながら心底日本を欧州文明の下と見下していた吉田と
波長があったということで、その思想性や理念の底は見えるのではないか。
結局はアメリカGHQとの「勇敢なる」戦いは個人のプライドのレベルではなかったのかと
思う。侍などというのはおこがましい。
戦後白洲は日本製鉄の戦災で無傷の広畑製鉄所をイギリスに売却しようと動いたが、日本
製鉄の愛国重役永野重雄が頑として反対した。これに根をもった白洲が銀座のクラブエス
ポワールで出くわした永野に一撃を食わせ大乱闘となる逸話がある。永野が白洲の企画を
反故にし、顔を潰されたのが怒りの源泉であることに白洲の人間の正体を見る思いである。
著者北康利に言いたいが、松岡洋右についてあいもかわらず悪人俗説に従っており、彼が
最後まで国際連盟脱退を避けようとしたことをご存知ないのか、脱退を彼の上っ調子の危
うさのせいにしており、ドイツ信奉から日本を誤った方向に導いたと論じている点、もう
少し勉強されてはどうか。(弊論松岡洋右待望論 言挙せよ日本外交『月刊日本』2003-12
月号ご参照)
それとこの著者よほど民生局ケージスと鳥尾子爵夫人のセックススキャンダルに覗き見趣
味があるのか、このくだりだけが三文小説のように生々しくエロチックに突出している。
確かに、このスキャンダル大変面白いのは事実だが。
奥山篤信
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映画寸評 フランス映画「ロシアン・ドールズ」 奥山篤信
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ロシアやウクライナのみやげ物で有名なマトリョーシカ人形は、胴体の部分で上下に分割
でき中には少し小さい人形が入っている。次から次へと6個以上の小さい人形が出てくる
入れ子構造になっている。それぞれの人形には女性像が描かれているのが本来のものであ
るが大統領像を入れたものもある。この映画の題名はまさにこのマトリョーシカ人形のこ
とであり、主人公が女性求めるが満たされずつぎからつぎへと別の女性を遍歴して真の愛
を求められるかというのをこの入れ子構造の人形に当てはめているのである。何か願をか
けてあけていくというのも、マトリョーシカ人形の由来としてあるらしい。
セドリック・クラピッシュ監督の『スパニッシュ・アパートメント』で五年前バルセロナ
に留学したフランス人青年が、国籍の異なる学生たちと共同生活を送る姿を描いたがその
続篇ともいえる。主人公である青年グザヴィエが30歳になり今では脚本などもの書きのか
けだしの生活。かってのバルセロナのアパートの仲間の結婚式でそのルームメイトがペテ
ルスブルグに集まるといった流れのなかで、主人公の数々の女性との関係をヨーロッパな
らではのソフィスティケーソンとユーモアたっぷりのタッチで軽快に描いている。
イギリス人フランス人ドイツ人などまさにヨーロッパ共同体とは何かなど僕たちがわから
ない形の隠喩で監督は描いているの違いない。結構二時間あまりの長編であるが、30代の
ヨーロッパの若き世代のメンタリティを理解するには絶好の映画かもしれない。奥山篤信
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◎情報感度を研ぎ澄ます!ビジネス情報誌「エルネオス」
編集長・市村直幸
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