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甦れ美しい日本 第057号
発行日: 2006/3/17□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2006年3月17日 NO.057号)
☆☆甦れ美しい日本☆☆
☆・・・・私たちは書きたいから書くのです・・・・
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< 目次 >
◎レギュラー執筆者
1.佐藤守 大東亜戦争の真実を求めて52
2.奥山篤信 映画「シリアナ」−謀略を忘れた日本人−
3.松永太郎 ロシアの現在
4.西山弘道 冷や飯“恐怖症”
5.青葉ひかる 嘆かわしきもの
6.花岡信昭 NHK「偏向」騒動の真相
◎書評
1.チャイナハンズ—元駐中米国大使の回想 1916‐1991 ジェームズ・R. リリー 著 (評 松永太郎)
2.最後の恋文 天国のあなたへ 新井真理子著 (評 奥山篤信)
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1.佐藤守
大東亜戦争の真実を求めて52
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「大東亜戦争の真実・・・東条英樹宣誓供述書」を続けよう。
「以上は当時私および私をめぐる陸軍内部の空気でありました。ゆえにもし『白紙
還元』の御諚を拝さなければ私は組閣の大命を受け入れなかったかも知れないので
あります。この『白紙還元』ということは私もその必要ありと思っておったことで
あり、必ず左様せねばならぬと決心しました。なおこの際、和か戦か測られず。い
ずれにも応ぜられる内閣体制が必要であると考えました。これにより私自身陸軍大
臣と内務大臣と兼摂する必要ありと考えその旨を陛下にあらかじめ上奏することを
内大臣に御願いしました。当時の情勢では、もし和と決する場合には相当の国内的
混乱を生ずる恐れがありますから、自ら内務大臣としての責任を取る必要があると
思ったのであります。陸軍大臣兼摂には現役に列する必要があり、それで現役に列
せられ陸軍大将に任ぜられましたが、このことは後日閑院宮殿下の御内奏によるこ
とであります」
東條陸相が、急遽内閣を組閣するよう大命を受けた際の「裏事情」と彼の心境が
窺える。彼に、近衛内閣をつぶして自分が「天下を取ろう」となどという「下心」
があったとしたら、もっと円滑に「計画」を遂行していたに違いない。次の「供述文
は、それを明白に裏付けていると思う。
「八一 組閣についてはなかなか考えがまとまりません。この場合神慮によるの他
なしと考え、まず明治神宮に参拝し、次に東郷神社に賽し更に靖国神社の神霊に謁
しました。その間に自ら組閣の構想も浮かびました。
(一)大命を拝した以上は完全死力を尽くして組閣を完成すること。
(二)組閣には遅滞を許されず。
(三)閣僚の選定は海軍大臣は海軍に一任するがその他は人物本意にて簡抜すること
。即ち当該行政に精通している人を持って行きたい。行政上の実際の経験と実力
を持って内閣の決定を強力に施行していく堪能なる人を持って行く。政党または財
閥の決定を顧慮せずまたこれを忌避せずという態度で行きたいということでありま
した」
天皇の大命を拝した東條氏は、茫然自失、昭和天皇の「和」の御意図を拝した彼は、
しばし考えがまとまらず、退出するや前記の各神社に参拝したが、特に明治神宮で
は尊敬する明治大帝から、国家最大の危機に臨んで「神慮」を授からんとした、とい
うエピソードを何かの本で読んだ記憶がある。
そして彼は組閣に取り掛かる。日米開戦の危機は眼前に迫っていた。
「八二 右大命を拝したその日の夜六時半頃陸相官邸にて組閣に着手しました。組閣
に当たって右の方針にのっとり私一個にて決定し、何人にも相談しません。しかし、
助手が要るから、まず内閣書記官長の選定を必要としました。同夜八時半頃星野直
樹氏に電話し來邸を求めてこれを依頼したのであります。星野氏は第二次近衛内閣
の閣僚として同僚であり、その前歴の関係においても、才能の上においても適任と
考えました。星野氏は來邸して直ちにこれを受諾してくれました。電話で決定した
のは橋田(文相候補)岩村(法相候補)井野(農相候補)小泉(厚相候補)鈴木(企画院候補)
岸(商工候補)の諸氏であります。招致して懇談の上受諾したのは賀屋(大蔵候補)東郷
(外相候補)寺島(逓信、鉄道候補)湯澤(内務次官候補)の諸氏であります。この中で東
郷と賀屋氏は今後の国政指導は極力外交交渉で進むのかとの意味の駄目を押しまし
た。私は白紙還元の旨を説明し極力日米交渉の打開をしていきたしとの意を答えま
した。湯澤氏は次官の事でありますが私は内務大臣兼摂でありますので大臣級の人
物を要したのであります。同夜中に海軍大臣より海相推挙の返事は来ません。翌朝
(十八日)及川海相より嶋田氏を推挙するとの確報を得、続いて嶋田氏が來邸しまし
た。この時に対米問題は外交交渉でいくのかという点と国内の急激なる変化を避け
られたしとの質問と希望がありました。私は前の質問に対しては、白紙還元の説明
を与え後の希望に対しては勿論国内の急激な変更はやらぬといいました。嶋田氏は
これを聞いて後海相たることを承諾しました。
十八日朝は靖国神社例祭日で午前中は天皇陛下は御親拝あり自分も参列しました。
午後一時閣員名簿を捧呈、四時親任式を終わりここに東條内閣は成立いたしました」
(続く)
佐藤守:
防衛大航空工学科卒(第7期生)。
航空自衛隊に入隊
戦闘機パイロット(総飛行時間3800時間).
外務省国連局軍縮室に出向。三沢・松島基地司令、
南西航空混成団司令(沖縄)を歴任.平成9年退官.
岡崎研究所特別研究員.軍事評論家.
日本文化チャンネル「桜」軍事コメンテーター.
著書に「国際軍事関係論」
ブログ;http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
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2.奥山篤信
映画「シリアナ」−謀略を忘れた日本人−
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本年度アカデミー賞助演男優賞に輝いたジョージクルーニーの演じるCIA工作員、冒頭の
シーンがテヘランの個人宅でチャドルを脱いでシースルーで踊り狂う肉感的なペルシャ女
性たちとウイスキーを飲む人々、うわべの禁酒禁欲とは別の私的世界!まさに僕が体験し
たテヘランをリアルに描いてまことに懐かしい。
「石油とは世界が依存するコカインのようだ」と脚本監督を務めたスティーブン・ギャガ
ンは言う。
この映画CIAの元工作員の暴露本「SEE NO EVIL」がタネだけに現実性を帯びているのだ
が、なんといっても秀逸性は、フレデリックフォーサイスの手法でもある短い場面で並行
的に石油会社重役、CIA工作員、経済アナリスト、弁護士、アラブの王族、出稼ぎ労働者、
テロリストなどにスポットを当てながら、数々の大きな陰謀とその利害の対立を、それら
に多岐にわたる階層を相互に絡み合わせ、大きなうねりとしてストーリー運びを行うその
卓越した手法であろう。このようなシナリオを書ける日本人は皆無といえよう。ただしあ
まりに話が複雑なので注意がかえって散漫になるきらいもあり、またある程度中東や石油
の基礎知識がない方々あるいは頭の回転の遅い向きにはお勧めできない映画であることは
正直いって事実だ。
アメリカのいわゆる偽善ともいえる自らの価値観を世界に押し付けるべくして出てきた
Foreign Corrupt Practices Act(海外不正腐敗防止法)が国際的レベルまで拡張された結
果、そういう価値観が全くない中国やロシアを利するだけに終わり、実際はこのお陰で真
に自由と民主主義の価値観を持つ欧州や日本が生存をかけた、その石油ガス開発利権獲得
を含む商権で多大なハンディキャップを蒙っている事実、それにアメリカは「言い出し兵
衛」にもかかわらず、この適用を恣意的にして支配の道具にしている有様をこの映画に垣
間見ることができて面白い。まさに偽善に満ちたアメリカ的価値観の押し付けであり、こ
のような価値観の皆無である発展国にとってこのような法律が却って悪の帝国の蹂躙を招
く結果だけに終わっている現実を直視することが必要だろう。反道徳的かもしれないが、
自国であれば徹底的に取り締まらなければならない腐敗汚職は、外国特に発展国に取り締
まりを叫んでも犬の遠吠えでありそれは国際的普遍性を理解していないというものだ。幼
稚なたわごとは自らの国家の首を締め付けているに過ぎない。それどころか悪の帝国の世
界制覇に手を貸しているに過ぎないことを自覚すべきだ。
戦後「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という日本人が、いかに能天気であ
るかを理解させる良い教材である。東シナ海でのガス開発での二階大臣の「太陽政策」が
いかに翻弄されたか!中国の日本大使館員篭絡事件に「道徳的かつ国際法的」なる叫びを
上げるだけで、自らの教訓とすることさえしない、謀略というものが、この世に存在しな
いあるいは存在してはならない、いわば言葉狩のようになった日本!まさに国際社会に少
女の夢など全く通用しないことを、この映画から学んでもらいたい。
奥山篤信:
京都大学工学部建築学科卒
東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社
平河総合戦略研究所代表理事
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3.松永太郎
ロシアの現在
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ニコラス・ケイジの主演した「ロード・オブ・ウオー」という武器密売人の映画で、
ロシアの将軍が、何百台もの密売用戦車が並んでいるところに登場する場面がある。監督
によると、この戦車は本当に密売用だったそうである。戦車からロケット砲、AK47
という自動小銃まで、みんな横流ししてしまうのである。売ってくれといえば原潜まで売
ってくれるかもしれない。沈んだら、また浮かび上がるかどうか、わからないが。
佐藤優氏の「国家の崩壊」と、ロシアを祖国としながら、フランスで活躍しているエレ
ーヌ・ブランという専門家の書いた「KGB帝国」の2冊の本や、その他の資料をあわせ
読むと、こうした、にわかに信じられないような現在のロシアの姿が浮かび上がってくる。
長い間、ロシアは、「ノメンクラツーラ」とよばれる共産党幹部たちが、特権にあぐらを
かいて、「甘い生活」をしていた。その間に、犯罪組織(マフィア)が急成長をし、闇経済の規
模が拡大していった。一方では、アメリカと対抗するための軍事費やらアフガニスタンへ
の侵攻やらで、経済は完全に破綻の方向へ向かっていった。マフィアは、はじめノメンク
ラツーラに挑戦し、「闇」経済(実際は経済そのもの)の主要なチャンネルをほとんど手に
入れた。ノメンクラツーラは、マフィアに屈服し、さまざまな保護をしてもらうようにな
った。
1982年、第一書記となったアンドロポフをはじめとするKGBの幹部たちは、この
事態を見過ごすわけにはいかない、と考えた。このまま「ノメンクラツーラ」に国を任せ
ておくわけにはいかない。国自体が消滅してしまう。このため、アンドロポフはKGBの
力を大幅に拡大し、国内、国外を問わずに、さまざまな組織に浸透を開始した。そして「腐
敗した共産党幹部」を追放し、それらの力をそいでいった。これがアンドロポフの宮廷革命
である。KGBの幹部たちは、さまざまな情報に接していたから、ソヴィエト式の計画経
済は破綻していることも知っていた。彼らは自分たちの権力を温存しながら、西欧式の経
済にうまく移行しようとした。アンドロポフ亡き後、わずか一年、このプランを継承して
始まったのが「ペレストロイカ」である。
かれらはKGBという名前も消して、姿をわからなくし、「民主化」の名のもと、国家財
産を山分けした。エリツインがスイスの秘密口座に持っている金は、どのくらいの額に上
るのか、わからないそうである。 1991年、エリツインが副首相にしたガイダルと、
「アメリカで勉強した」チュバイスは、「ショック療法」という名のインフレを作り出し
たが、佐藤氏によると、じつに2600%というから、半端ではない。
銀行やら国営企業は、二束三文で何者かにたたき売られた。こうした政策に知恵(どんな
知恵だろうか)を授けていたのは、ハーヴァードで20年に一度の天才とよばれたジェフ
リー・サックスである。彼らの政策の目的をチュバイスはわりあい正直に認めている。
「われわれの政策の目的は・・・西欧と同じく、全人口のだいたい5%ぐらいの資本家層
を作り出すことである」。
なんとなく、どこかで聞いたような話ではないか。「改革」を叫ぶ指導者、その陰にいる、
アメリカ帰りの経済学者。いずれにしろ、こうして生まれたのが、オリガルヒ(英語でいう
oligarchy:寡頭新興財閥)である。オリガルヒは、マフィアともつながっている。そのため
これも佐藤氏によれば、金をつかんだ連中「100人のうち、99人は殺されている」
そうである。お互い、殺し屋を雇って相手を消してしまうのだ。上品な言葉ではないが、
これはかなり「やばい」世界である。これに比べると、株で儲けすぎると、殺されないで、
刑務所に入れられる国のほうが、はるかにましという感じがしてくる。
現首相プーチンは、「シロヴィキ」とよばれる諜報機関・治安機関・軍部出身者などで構
成される、こうした新しいロシア権力の生え抜きである。プーチンは、KGB出身者であ
ることを誇りとし、アンドロポフを崇拝している。
むろん、かれらもまた「オリガルヒ」と裏表でつながっているのである。プーチンが、
サンクト・ペテルブルグ市長ソプチャクの補佐官だったとき、一億ルーブルがどこかへ消
えてしまった。佐藤氏によれば、プーチンが、ブランによれば、ソプチャクが、お互いを
助けたことになっている。要するに2人で山分けしたのだろう。
すなわち彼らは、いわゆる「プロ」である。一歩間違えれば、殺されるような社会に生
きているのだ。安全な社会に育ち、大学を出て、そのまま役人や政治家になったような日
本のお坊ちゃまたちがわたりあえるような相手だろうか。
なぜか、ロシアというのは悲しい歴史を持っている。ソルジェニツインは、旧ソヴィエ
ト連邦で殺された人間の数は、6000万以上だと言っている。ちなみに毛沢東の伝記作
者、ユン・チャンが言っているマオの殺した数は7000万である。スターリンとマオの
殺した数は、実に一億3000万以上ということになる。これが「人道に対する罪」でなく
て、なんなのかよくわからない。2050年に出版されるロシア百科事典には、ヒトラー
のことを「スターリン時代に生きた、小さな独裁者」と書かれるそうである。いずれにしろ、
そうした共産主義体制を支えたKGBの連中は、実にすばやくロシアをのっとることに成
功したのである。
一握りの富裕層と、大方の貧乏人という社会構成、こうした傾向は、アメリカ、チャイ
ナ、そしてロシア、EUで広がっている。願わくは日本もその仲間入りだけは、してほし
くないが、これだけは、よくわからない。ただアメリカ帰りの経済学者の言うことには、
気をつけたほうがいいかもしれない。彼らは根こそぎ持っていくつもりだから。
松永太郎;
東京都出身
翻訳家、多摩美術大学講師、レモン画翠社長
主訳書「進化の構造」「イカロスの飛行」他。
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4.西山弘道
冷や飯“恐怖症”
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民主党のメール爆弾自爆で、野党の出番はなくなり、政局は無風状態、自民党
内のポスト小泉めぐる動きだけが、喧しくなってきた。日銀の量的緩和終結で、
あとはゼロ金利が解除され、小泉首相が任期最後のパフォーマンスとばかり、「デ
フレ脱却宣言」を9月まで行えるかが、話題となるにいたっては成る程、自民党は
「わが世の春」、政局はベタ凪ぎ状態である。
そんな中で、安倍官房長官と福田康夫氏という二人の総裁候補を抱える森派の動向
に焦点が注がれる。森派の選択は三つだろう。一つは本命の安倍氏出馬で派内をまと
める、二つ目は安倍氏を温存し、福田氏が出馬する、三つ目は安倍、福田両方出ない
で、他派の候補に乗る、だ。二人が共に出馬する、ということはあり得ず、その時は
森派は分裂する。いずれにしてもカギを握るのは、オーナーの森前首相の決断である。
私は最近、某所で福田氏にバッタリ会ったが、「お元気ですか」と先方から機嫌よく
声を掛けてきて面食らった。以前なら、木で鼻をくくったような対応で滅多に自分か
ら声を掛けるような御仁ではなかったのに、その変身ぶりが私に「福田さん、やる気
十分だな」と思わせた。
確かに最近、福田株は急上昇しているように思える。民主党が渡部恒三国対委員長
という、意表を付く人事を行ったことで、「やはり若さだけではダメで、年齢を重ねた
ベテランがいい」というベテラン待望論が出てきたことも、69歳の福田氏に追い風
になっている。
また同じく総裁選出馬の動きをみせている山崎拓氏も「豊富な政治経験に基づく判
断力が望まれる」(3/6日本記者クラブ)と場合によっては、福田氏を支援するよう
な発言をしている。
アジア外交の転換がさらに大きな政治課題になってきた時、小泉外交のアンチテー
ゼとして、福田氏待望論がさらに高まるかもしれない。
もう一人の総裁候補、麻生太郎外相も存在感を示す発言を重ねている。時には「台
湾は国である」発言のように、中国を刺激してたびたびの抗議が寄せられている。
その鼻っ柱の強さが周囲から懸念されているが、私はそのアクの強さこそ麻生氏の
真骨頂と思っており、ますますその存在感を示してもらいたい。
最近、麻生氏は祖父の吉田茂元首相のことにたびたびふれている。例えば「昭和
27年4月28日、日本の独立が成った日、小学生だった私は祖父に手を引かれて
靖国神社にお参りした。その時のじいさんの感激ぶりをはっきり覚えている」
(3/8日本記者クラブ)。 麻生氏は祖父の吉田茂元首相を持ち出すことで保守本
流の系譜を誇示し、保守傍流・安保タカ派の岸元首相の孫、安倍晋三氏を牽制して
いるのかも知れない。
麻生氏のネックは、河野グループ(11人)というミニ派閥に所属しているこ
とで、20人の推薦人をどうクリアするか、という課題とともに“大宏池会構想”
も浮かんでいる。古賀・丹羽派(48人)と総裁候補、谷垣財務相が領袖になった
谷垣派(15人)、そして河野グループの三つの派閥は元々、宏池会が細胞分裂した
ものだから、この際、再び一緒になってはどうか、というもので再結集すれば、計
78人、87人の森派清和会についで自民党内第2の派閥となる。
この“大宏池会構想”を密かに画策しているのが、非主流の古賀誠氏だが、如何
せん古賀氏は、去年の郵政国会で棄権という、ヌエ的な態度をとったことから政治
力は低下した。古賀氏の“大宏池会構想”も結局は流産するだろう。
民主党の自爆で、ますます政権を強固にした小泉氏からみれば、今の自民党内は
「わが世の天下」だろう。9月に退陣するということで、今年はじめにはレイムダ
ック化がささやかれていたが、どこまでも強運なのか逆に政権を浮揚している。
先日、国民新党の亀井静香氏が揶揄していた。「今の自民党は、みな勝ち馬に乗ろ
うとするやつばかりだ」
確かにそうである。小泉『巨大政権』になった結果、小泉氏に刃向かう者は、亀
井氏であれ、古賀氏であれみな“冷や飯”を食う結果となった。いまやその“冷や
飯”を恐れて、誰もが“勝ち馬”に乗ろうとしているのである。
しかし、こんな奇妙な図はない。
辞めるのが決まっている宰相は、レイムダックが当たり前で、他の総裁候補が存
在を主張するのがこれまでの自民党の力学であった。三角大福中、安竹宮時代然り
であった。
結局、小泉『巨大政権』の衝撃が今でも強く、小泉氏以外の政権になっても、
政権に刃向かえば、“冷や飯”の恐怖が続くとでも思っているのであろう。
おかしなことが続く小泉政権である。
西山弘道;
ジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、文化放送で30数年、放送記者として
活躍。政治担当として、三角大福中、安竹宮の「永田町戦国史」を取材。
2005年10月、文化放送を退社、以後フリーのジャーナリストとなる。
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5.青葉ひかる
嘆かわしきもの
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4年半まえに、「8月15日に靖国神社に参拝」を公約に、9割という圧倒的な支持率
で迎えられた小泉首相が、親中派に屈した形で8月13日に行ったのはけしからんとか
改革は功罪半ばであるとか言われつつ、尚5割以上の支持率を維持しているのは、それ
でも不当な隣国の内政干渉に屈することのない政治家は小泉純一郎しかいないとみる
ニッポン国民の健全さ、観客民主主義状況の中でのスタビリテイを一応示した形になっ
ている。
だから、最近の国政での、永田議員に見られるようなお馬鹿な政治家の行状に、やはり、
国民が厳しいのもむべなるかなである。
潔さもなければ、決断力もない政治家のなんと見苦しいことか。
党も本人も墓穴はますます大きくなるに違いないであろうに。
永田議員が潔く止めるどころか、真相も明らかにすることもできない政治家達は、渡部
恒三氏というお笑い政治家の出現で、党の再生ができるような錯覚に陥り、無様を見せ
付けているが、縁側での政治談議にはきっと楽しいお人柄であろうが、政策のセの字も
語られることもなく、人物論議に終始しているのも、痛々しいばかりである。
また、国会議員の品位も権威も壊しているタイゾー君やらが芸能ゴシップレベルの政治
談議の餌食として、賑やかに恥じをさらしているのを見るのも嘆かわしいことである。
国政も国政ならば、地方自治体の首長も岩国市の井原市長のような人物が横行し地方行
政を牛耳るのは、その危機は国家レベルになることを考えても、この嘆きがいずれ国民
の悲鳴に変るということは推して知るべしであろう。
今国会なら、いわゆる4点セットはもとより、本来は日本の防衛の根幹であるアメリカ
の世界戦略「不安定の弧」を安保と平和に寄するとするトランスフォーメイションへの
日本のとるべき対策を論じるべきであるのに、どこ吹く風である。
さらに、お馬鹿市長の出現であるから、ますます危うい国家運営になる。
政府は、この結果は「想定内」ということであるが、国家防衛の根幹に関る問題であるか
ら、このような市長が誕生する前に、地元の国民に説明、説得に努めるべきであった。
やはり、後手後手はまずいし、アメリカの苛立ちも日本にとって、国益上マイナスである。
日本の、今のブッシュ政権への甘えもいつまで持つのか考えるべきである。
ブッシュ政権が終わり、もし、アメリカ民主党のヒラリー議員が大統領にでもなったなら
ば、クリントン政権の再来であり、日本バッシングどころではないであろう。
政策云々ではなく、キャラだけで勝負しているような政治家の嘆かわしさは、普通の国民
にますます危機感を喚起させるばかりである。
スケールの大きな真の政治家はいずこや。 06・03・16
青葉ひかる:
三重県出身
早稲田大学卒
元日本航空(株)勤務
評論家
2525計画推進協議会(2525プラン)会長
http://www.2525plan.jp/
ラジオ日本(1422kHz)
「青葉ひかるのガンバレ日本」
毎週(土)16:50〜17:00放送
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6.花岡信昭
NHK「偏向」騒動の真相
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政治改革シリーズは今回、休載とし、ブログの世界で大騒ぎとなった一件を紹介
したい。トリノ五輪で金メダルを得た荒川静香選手の「日の丸ウイニングラン」中
継をめぐり、NHKに対して噴出した「偏向」非難である。
この話はブログにふだん接しておられない方はご存じないかもしれない。一般の
メディアではほとんど報じられていないからだ。
荒川選手が金メダルを獲得したのは、日本時間2月24日早朝だ。NHKが中継
したから早起きして見た方も多いだろう。表彰式は午前7時10分ごろから行われ
た。メダル授与、国旗掲揚、そして君が代を自らも歌った荒川選手に、多くの日本
人が感動した。
表彰式のあと、メダルを受けた3人がウイニングランでリンクを回り、荒川選手
が観客席に近寄って、日の丸を手にしたと思われたとき、NHKの中継画面はフィ
ギュアのハイライトシーンのビデオに切り替わった。そして会場の全景が映り、そ
のあと、村主選手のインタビュー、天井の幕、氷上の「トリノ2006」の文字な
どが延々と映され、15分ほどしてやっとリンク外のインタビューエリアで荒川選
手のインタビューが中継された。
この間、荒川選手は日の丸を身にまとってウイニングランをしていたのだが、こ
れは中継もされなければ、アナウンサーの言及もなかった。この「日の丸ウイニン
グラン」の画像がネットの配信で何枚も紹介され、NHKに対して「故意に日の丸
を映さないようにしたのか。偏向だ」と抗議が集中、さまざまなブログでもNHK
非難があふれた。
NHKが中継をカットして故意に日の丸を映さないようにしたのなら、明らかに
「偏向」といわなくてはならず、公共放送の名にふさわしくない。筆者は長年、メ
ディアの世界に生きてきたからNHKに友人知己も多く、「なぜカットしたのか」と
ただしてみた。帰ってきた答えは「国際映像の制約による」というものであった。
五輪の中継は高い放送権料を出して世界共通の国際映像を買う仕組みだが、その国
際映像がそこで終わりになったというのである。
このことを筆者は自身が作成しているメルマガ、ブログで紹介したのだが、「NH
Kに買収されたのか」「信用できない」「筆を折れ」などとすさまじい攻撃を浴びた。
「NHKイコール偏向」という枠組みにはまらないと、おさまらない人たちが実に
多いのである。
そこで、さらに具体的に調べ、フィギュアの中継予定表を入手した。これによる
と、表彰式終了後、会場の雰囲気1分、ハイライトシーン1分、会場の全景30秒
で国際映像は終了することになっている。タイミングが悪いことに荒川選手が日の
丸を手にした瞬間に、このスケジュール通り、国際映像はハイライトシーンに切り
替わってしまったのである。
NHKと民放で組織するジャパン・コンソーシアムは中継カメラを1台だけ使え
ることになっていたが、これをリンクが映せないインタビューエリアに置いていた。
「一刻も早く荒川選手のインタビューを日本に伝える」ためであった。ところが、
荒川選手はリンク上でカメラマンの求めに応じてあちこち移動したりしていて、な
かなかインタビューエリアに来られない。あわてた現地のスタッフは、事前に収録
していた村主インタビューや天井の幕など国際映像のビデオを流して時間を稼いだ
のである。
リンクの脇にはNHKのニュース用カメラが1台だけ配置されていた。中継ライ
ンはつながっていないから、ビデオ撮影なのだが、これがかろうじて荒川選手の「日
の丸ウイニングラン」を短時間撮影し、昼のニュースで流された。
以上が中継騒動の真相である。表彰式時点での視聴率は40%を超えていたから、
NHKの担当者は「あのまま日の丸ウイニングランを中継できていたら、視聴率は
さらに高まったのに」とくやしさを隠さない。偏向非難とはまったく別の姿がそこ
にある。
抗議に対するNHKの当初の対応が混乱したこともあって、この騒ぎは実はブロ
グの世界でまだ続いている。筆者に対する攻撃も完全には終息していない。いわゆ
る「突っ込み」と称される抗議コメントや大量の迷惑メールが依然として送りつけ
られている。
保守系の著名な論客なども当初はNHK非難の声をあげたが、筆者の以上のよう
な指摘で、ようやく収まりつつある。
もうひとつ指摘しなくてはならないのは、日本の主要一般紙で「日の丸ウイニン
グラン」を報じたのは、まったくなかったのである。写真はおろか記事もない。だ
から、この「NHK偏向騒動」を報じるところはない。
当方はNHKに肩入れしなくてはならない義理など、何もない。むしろ、あの「女
性国際戦犯法廷」など偏向批判をたびたび扱ってきた立場なのだ。強調したかった
のは、これだけの非難を浴びせるのであれば、「事実」に基づいて行うべきであると
いう一点である。たまたまメディアの世界にいたから、NHK側への「取材」も容
易となった。その結果、知り得たことをメルマガ、ブログで伝えたのだが、いきり
立つ向きには通用しないというのは情けないかぎりである。
ブログはネット社会の中軸として想定されているのだが、この世界のレベルがそ
の程度だと、ネット社会の将来はあやういと言わざるを得ない。そうした側面でも
勉強になった騒動であった。
花岡信昭:
政治ジャーナリスト、慶應義塾大学院・国士舘大学院非常勤講師、
読売新聞監査委員会審査委員。
1969年早大政経学部政治学科卒、
産経新聞入社、政治部長、論説副委員長などを経て2002年退社、評論活動に入る。
著書に「小泉純一郎は日本を救えるか」(PHP)など
サイト:http://www.hanasan.net/
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1.書評 チャイナハンズ—元駐中米国大使の回想 1916‐1991 ジェームズ・R. リリー著 草思社 2625円
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「チャイナ・ハンド」というのは、アメリカにおける中国通とか、中国専門家とかいう
意味である。著者のジェームス・リリー氏は、中国で生まれ、育ち、戦後はCIAの工作
員から始まり、アメリカの対中連絡事務所代表、そして最後に 大使になった人である。ア
メリカの対中政策のすべてを知る人といえる。本書は、そのリリー氏の回想録である。
各国では、情報機関には、その国のエリートが入るものだ。しっかりとしたバックグラ
ウンド、あるいは「愛国心」といったものがなければ、簡単に敵の工作に乗ってしまうか
らである。たとえば、イギリスでは、フィルビーによるスパイ事件がセンセーションを巻
き起こしたのは、彼ら「ケンブリッジ・ファイブ」が、いわばイギリス統治階層の中核に
いた人々だったからである。その一人、アンソニー・ブラントは女王のためにさまざまな
仕事をしていた、イギリスきっての美術批評家であった。
アメリカでは、CIAの幹部にはイエール大学出身者が多い。著者の同窓生のうち
100人が、CIAに入ったというから、すごい。昔、ジョン・アップダイクという、「ニ
ューヨーカー」の小説家が書いた短編の中に、イエールの同窓会があって、あいつは、今、
なにをしているんだ、と聞くとCIAだろう、という話があった。30年間、CIA・
カウンターインテリジェンスを指揮したジェームス・アングルトンは、イエールの出身者
で、エズラ・パウンドやT.S.エリオットと親交を結んだ詩人である。
イエールのなかでも「スカル・アンド・ボーンズ」というフラタニティ(一種のクラブ)
は、新入りは15人しか採らないエリートクラブで、リリー氏もその一人である。非常
に有名な「ボーンズマン」には、父親のほうのブッシュ大統領がいる(息子も入っていたか
どうか)。ここら辺は、秘密結社が大好きな「陰謀論」の的となるところで、アメリカでは
「スカル・アンド・ボーンズ」をテーマにしたオカルト映画まであるくらいである。
こうしたエリートは、大概は金持ちの子息で、ある晩は、カクテル・パーティで、談笑
していたかと思うと、その夜ふけには軍用飛行機で「世界の果て」のようなところへ秘密
工作のために赴く。奥さんは、何も知らないか、全部知っていても知らないふりをする。
友達に「ご主人は何をしているの」と聞かれると「政府関係」と答えるのである。
本書を読んで驚くのは、謀略や情報工作のようなものを扱いながら、まったく透明性を
失わない氏の美しい文章である。とくに子供時代の中国の思い出は美しい。ただ「チャ
イナ・ハンド」の多くは、中国に対し愛憎半ばする、というよりは、しばしば愛情のほ
うが勝っている人が非常に多い。なかには愛情が行き過ぎて、エドガー・スノウやアグ
ネス・スメドレーのように実質的にマオのひきいる共産党の工作員になってしまった人
もいる。こうした人々にとって日本とは、愛する中国を汚す「悪役」として、登場する。
リリー氏もそうで、シナ事変のころの日本は邪悪な狙いをもった悪役である。どうもア
メリカ人は言うに及ばず、西欧人というのは、自分たちはさんざん、ものすごい植民地
支配をしておきながら、近代日本をアジアの悪役に仕立てて、口をぬぐっている感があ
るが、戦前の日本を描くときの氏にも、そういう感じはする。
だが、本書の中でも最も光る部分は、米中政治外交の部分ではなく、ニクソン・キッシ
ンジャーコンビの部分でもなく、著者の兄フランクの思い出である。「兄は、非常に良心的
で、かつ優秀な人間だった」と著者は語る。その兄が、広島の現場を見てしまう。そして
彼は、広島の隣の町で銃による自殺を遂げるのである。
自分よりも早く亡くなった兄弟というのは、その後、ずっと残されたものの心のなかに
生き続ける。リリー氏の場合もそのようである。その兄が彼にとっての人生のコンパスに
なったようである。それが氏の文章を非常に透明で、美しいものにしていると思われる。
松永太郎 評
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2.書評 最後の恋文 天国のあなたへ 新井真理子 情報センター出版局 1300円
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真理子夫人より著書を拝領したお手紙のなかで『「不自由なものを受け入れて自由を手に
する」夫(故新井将敬君)の言葉が私たちへのメッセージと思っています。』と書かれて
いる。
新井君ほど、普通の人たち以上の困難なさまざまな縛りのなかで、言い換えれば宿命、運
命、縁のなかで、自由奔放に太く短く生きた男はそういないだろう。真理子夫人との運命
的な出会い、それを生きる理由とし、死ぬ理由とし、そしてそれを日本国家への忠誠と大
義に昇華し、そして潔く死を選ぶ、その壮絶な半生を真理子夫人が新井君の死後7年を経
て語っている。
この著書は単なる夫人の甘いロマンティシズムから書かれているものでもないし、夫婦と
はこうあるべきだなどという一段高い立場で書かれたものでもない。ごく自然体で二人の
夫婦として人間として、最後まで妥協せず純粋に生きた一つの人生を謙虚に語っている。
実際そのドラマティックな人生は小説の題材にもなりうるが、この書には何ら誇張も虚栄
も虚飾もない。それでいて毅然とした凛とした真理子夫人の絶妙の筆致が、読むもののさ
わやかな涙を誘う。
実は、僕は新井君と大学での同じゼミの友人として短い期間比較的濃密に接した時期があ
る。だから真理子夫人が描く新井君の人間像が生き生きとして僕の記憶を甦らせてくれる。
時には不可解でユニークな彼のモザイクのような行動模様に起因した、僕自身の新井君へ
の理解と誤解が35年を経てこの本のなかで、解明され実に感慨深い。
人生はただ生きているだけでは価値はないのかもしれない。死ぬ理由と死ぬべき瞬間を見
つけ死ぬことこそが生きる価値なのではないか。この本を通じてそのことを考えさせら
れると共に、新井君の自死が真理子夫人への究極の愛であることを、加えて真理子夫人こ
そこの世でもっとも幸せな女性であることを、僕なりに読み取ることができる。
最後に真理子夫人の天国への恋文の一節
—あなたと生きるということは、いつも緊張感の連続でした。あなたの理念、こだわり、
私に対する期待をいつも読み取ろうとして、いつも感度全開で生きてきました。私の許容
量では、あなたの考えをすべて理解するのはとても不可能で、ただそのまま受け入れ、あ
とはあなたの邪魔をしないのが精一杯でした。
略
こんどは私なりのやり方で生きてみようと思っています。あなたが私たちを守るために最
良の方法を決断したということ。その決断の重みをしっかりと心に受けとめて、誇りを持
って生きていきます。−
奥山篤信 評
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