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日本再生のための政治・経済・文化などの発展・再構築を目的とし、メールマガジンの配信を行う




甦れ美しい日本 第031号

発行日: 2005/9/16

□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2005年9月17日 NO.031号)

  ☆☆ 私たちは書きたいから書くのです ☆☆

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 < 目次 >
ゲストコーナー
塚本三郎        劇場政治の幕明けか、閉幕か

1.佐藤守コーナー    「大東亜戦争の真実を求めて」その28
2.奥山篤信コーナー  アンドレ.モーロア『フランスは敗れたり』を読んで  
3.有馬尉彰コーナー   Sense of Urgency
4.松永太郎コーナー  魂の問題
5.花岡信昭コーナー   どこがいったい「ファシズム」なのか
6.西山弘道コーナー  「小泉圧勝の原因は“男の色気”?」
7.青葉ひかるコーナー 「多くの国民は愚かではなかった」
8.山崎行太郎コーナー ルーカス方程式と「合理的期待仮設」

☆自民党地すべり勝利の意味は何か?☆

まさに小選挙区制度の特徴が出たといえる今回の選挙
実際は民主対自民の得票数1:1.3に対して議席獲得数は1:4.2 の現実がある
今回の選挙は一体なんだったのか?
さらには今後日本の政治はどういうダイナミズムを持って進んでいくのか?
日本の将来を占う意味で興味の尽きるところはありません。

政治ジャーナリスト花岡信昭が冷静に分析する、まさに正鵠の講演会が
下記開催されます。まだ空席があります。

日時 9月17日(土曜日) 午後2時より4時まで
テーマ 衆議院選挙結果の分析と今後の政治の行方
場所 外国人特派員倶楽部メディアルーム(有楽町電気ビル北館20F)
http://www.fccj.or.jp/static/aboutus/map.php
会費 一般 3000円 学生 2000円 平河総研特別会員 1000円 
講師 花岡信昭  政治ジャーナリスト 元産経新聞論説副委員長 
サイト http://www.hanasan.net/
メルマガhttp://www.melma.com/backnumber_142868/
定員 70名 申し込み先着順(info@hirakawa-i.org )宛


☆平河総合戦略研究所講演会ご案内☆

=台湾問題、中国問題といえばこの方 黄文雄先生=

日時 10月2日(日曜日)午後1時半より4時まで
テーマ 今後の日中関係について
場所 学士会館(神田錦町)
http://www.gakushikaikan.co.jp/
会費 一般 3000円 学生 2000円 平河総研特別会員 1000円 
講師 黄文雄 拓殖大学客員教授 
定員 80名 申し込み先着順(info@hirakawa-i.org 宛☆

☆人権擁護法案という、私たちの人権を危うくする法案を、成立させようという陰謀が
与党野党を問わず渦巻いています。総選挙小泉自民党圧勝の中で、しかも反小泉議員で
法案に反対する議員が無所属を余儀なくされている状況で、この法案にストップがかけ
られるのか深刻な問題である。
なぜならこの法案は私たちの自由な生活を脅かす、まさに暗黒国家法案であるからです。
パトリックヘンリの「自由を、しからずんば死を」を噛みしめよ。

この法案の恐ろしさは下記アニメを御覧ください
http://homepage2.nifty.com/save_our_rights/jinken001.swf  ☆


☆私達は、ブルーリボン運動を断固支持します。日本国民が一丸になっての意思表示、
行動を起こすことが大切です。北朝鮮の金正日総書記や日本政府、そして報道機関
や国外に対しての私達の願いや怒り、救出へのアピールができれば良いと思います。 
拉致被害者と御家族が苦しまれている25年間は、私達の無関心が作った悲劇なの
です。☆

☆花岡信昭のサイト http://www.hanasan.net/
メルマガ政治ジャーナリスト・花岡信昭による分析・考察
http://www.melma.com/backnumber_142868/

☆佐藤守のブログ http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/

☆山崎行太郎のサイト http://yamazakikoutarou.gooside.com/

☆青葉ひかるのニコニコプラン2525計画推進協議会に賛同を!
  http://www.2525plan.jp/  ☆ 

☆クライン孝子のブログ http://www2.diary.ne.jp/user/119209/ ☆

☆ウェッブサイト< http://www.hirakawa-i.org >
平河総研会員募集中です。
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ゲストコーナー 塚本三郎
 劇場政治の幕明けか、閉幕か  
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二千年昔、ギリシャの哲人アリスト・テレスは、民主政治を評して、「愚民政治」、
「堕落政治」、「数による暴力政治」の三悪揃った政治だと酷評している。それにも
かかわらず現代政治学では、民主政治は「レッサー・イーブン」(より少ない悪)の
政治だと評価している。政治は経済力と統率力を不可欠とする。ならば力には、善
と共に悪をも伴う、従って、より少ない悪の政治が民主政治だと、言い訳するのも
うなずける。

小泉劇場

 郵政民営化の必要性を力説し、法案に反対した議員を公認せず、刺客まで放って、
反対者を追い落とす小泉首相の徹底ぶりは理に適っている。それが本来の政党政治
である。
今回の選挙は、小泉対岡田の闘いに、小泉が大勝利したと言うべきだ。理由は、
政策ではない。「殺されても郵政民営化を通す」と喚き、現に党内のみならず、日本
の憲政史上、はじめて公称「小泉劇場」の監督、演出者となったことである。
民主政治と呼ぶ大衆の判断即ち選挙は、政治家が大衆の支持を得るため、今日の
巨大なマスコミを如何に巧妙に、効率よく利用するかが、大きな比重である。
 今回の選挙を小泉劇場と評されるゆえんである。本物の政治でありながら、その
発想と手法は、芝居の演出家の技法そのものであった。
 大衆は主権者であり、受益者であることを国民は、選挙の一定期間忘却して、正
面の芝居に、ことの進行を固唾を呑み、拍手を交えて眺めていた。
 小泉はテレビの画面で見る限り、同じことしか発言しない。「ワンフレーズ小泉」
である。自民党の政治理念や政策を堂々と論じても、マスコミは本人の意図とは全
く関係なく、紙面造り、画面構成のため、劇場的に発言の中から、勝手な項目のみ
を報道する。それを承知しつくしている小泉は、自らが劇場の演出家らしく、「報道
して欲しい言葉」以外は発言しない。マスコミは止む無く、その言葉のみを何度で
も取り上げる。このような小泉の演出に、まんまとマスコミが乗せられた。
 そして、主権者である国民をも観客席に呼び寄せ、その上、マスコミを自分の芝
居の宣伝舞台に誘い出し利用したのは、演出者として見事であった。
 報道の世界は、発言者としての意志と自由が在る。それを封じ込めた手腕は、小
泉勝利の源泉である。「ワンフレーズ小泉」は、自分の求める発言を、報道として逆
利用した。記事にして欲しいことば以外は発言しない。記者はその手管に利用させ
られた。説明も感想も応答すらしない。国民は、判り易く、一途な姿を小泉の中に
読みとらされた。
それに対し生真面目な岡田は、いろいろと説明し注釈を親切に加えて、記者の術
中に振り回され、国民は民主党の政策を掴むことができず失望に終った。
総理大臣には、外交も、教育も、まして経済も、言わねばならぬことが山積する、
小泉は選挙期間中それら一切を論じなかった。
 小泉首相の仕掛けた、「郵政民営化の罠」に日本中が引っかかり、罠にかかったと
さえ気付かず、「民営化賛成だ、反対だ」の論に集中させられた。
国民世論は、政策としては、第一に福祉政策、第二に年金問題、第三に少子化と
財政、その次に郵政の民営化だと答えていたのに。
岡田民主党が、政権選択の選挙と叫ぶならば「郵政か、福祉か」で競うべきであ
った。

政権選択の選挙

従来の衆議院総選挙は、「地元の代表を選ぶ」という意識が強かった。今回は岡
田民主党代表が叫んだ如く、「政権選択の選挙」であり、首相を選ぶ選挙となった。
小泉首相は「これまでの自民党をぶっ壊した。自民党は改革政党に生まれ変わっ
た」と絶叫した。確かに、旧派閥は壊され、その上刺客として美人女性を続々と投
入して、衆目を集めた。特に族議員の抵抗をものともせず、突き進む姿に、国民の
求める政治家としての、新しい資質を見出し、これまでにない期待を集めた。彼な
らば本当に日本を変えてくくれると期待したことが、地滑り的大勝となった。
岡田氏は、野党として最初から「改革を旗印」として立党された民主党の党首で
ある。
郵政民営化以上の政策を、国民が求めているのに、あとまわしにされた重要な政
策(福祉、年金、財政)を、どうしてアピールさせられなかったのか。郵政民営化
の勝利と小泉首相は謳歌するが、本当は「党首の闘い」に小泉が勝っただけである。
小泉が一点集中した主張に、堂々と対抗するには、岡田党首が余りにも幼なかっ
た。勝敗は、ただそれだけではないか。
 民主党は議席を大幅に減らし、岡田代表は辞任を表明した。岡田氏は愚直に政策
を訴えたが、リーダーとしての魅力と演出において、余りにも未熟であった。
 連合と呼ぶ労働組合の巨大な組織を背景にしながら、この数百万人の組織を奮い
立たせることができなかった。まして政党に冷淡な無党派層をも吸引できなかった。
余りにも多くの材料を食膳に並べながら、それを無党派層に従来の如く呑ませるこ
とが出来なかった。幸い民主党にとっては、政権交代への期待と環境は整っていた。
野党が攻め、与党が守るのが選挙の常道であった。岡田代表のまじめな人柄がマイ
ナスになった。
今回の小泉首相は攻めに攻めまくった。民主党はその迫力に対して、受身に回っ
てしまった。労働組合に遠慮したという説さえある。労働組合が大きな力が重しと
なって、身動きが出来なくなった民主党と言うべきか。
対する小泉首相は、郵政法案否決で崩壊の危機を逆手にとって、反対派を追い詰
め、攻めに攻め、彼の放った刺客は自民党の反対派以上に、野党支持の票を大量に
食い散らした。
 戦いの攻めと、守りの勝負が露骨に表われた一戦であった。
 国民は十五年ぶりに単独過半数を自民党に与えた。小泉政権の選択は、改革路線
の後戻りを許さない、という変革を期待した民意である。  
 今回の自民党の圧勝は、小泉首相自身が巻き起こした「風」によるところが大き
い。
 今までの小泉首相の政治手法は、今回の演出とは全く異なっていた。だからこそ
今回の小泉劇場の再現を、残る任期中に、自身の風を興して欲しいとの期待が込め
られている。

次の舞台をどうする

ロシアが二〇〇〇年までに、日本固有の領土である北方四島返還に、決着をつけ
るかの如く言っていたのに、最近では、小さな島二つを、返さぬではないと、さき
の言を覆しても、とりたてて反論もしない。国民はもう、北方領土のことは忘れさ
せられている。 
 竹島は日本の領土だ、との島根県議会の決議に、政府は他人ごとの如く扱ってい
る。沖縄諸島をも俺の領土だと言い出しかねない中国は、着々と日本の領界を侵し
つつあるのに、何の抗議も行わない。中国、韓国から歴史認識云々のイジメを受け、
靖国神社参拝のイチャモンを耳にするや、A級戦犯分祀の対策をする。
 二〇〇五年四月、日本大使館や日本企業に対する、中国人民の暴動に対して、正
式な謝罪や補償の要求を曖昧にしたままである。
 まして、拉致被害者の救出について、これ以上進展がないから、経済制裁を行な
って欲しいと、再三に陳情を重ねる被害者家族には、余りにも冷淡に扱い不徹底に
うつる。
あちらの思惑を勘案し、こちらの腹づもりを詮索しつつ、あちらを立て、こちら
を立てながら、玉虫色のゆるやかな決着にこぎつけて来た自民党の派閥政治は、長
い間日本政治の至芸(某評論家)であったかもしれない。
 そんな時代に、髪振り乱して!)殺されても!)と喚き立てる姿に、国民は唯単に郵
政だけではなく、外交、防衛、教育等々もまた、一点突破で改革を進めて欲しいと
の願望が込められたのが、『自民党の地滑り的圧勝』となったと思う。
 今回の選挙は、岡田代表の主張した、「政権」を変えるのではなく、「政治そのも
の」を変えることであった。与党である自民党の派閥均衡の政治と、それに協力す
る宗教政党公明党の、組織維持の露骨な要求と発言等々を、国家本位の政治に戻す
ことである。
 対する野党は、国家を軽視し、防衛、外交に踏み込めない受身の政治。一体この
ような政治が、よくもまあ、日本国家を維持できたものだ、と不安をかくせない。
だから、中国や韓国から、なめられ続けても反論さえ出来なかった。
 日本の国会は、政治家としての発想、責任、決断、攻撃力、そして不惜身命の突
撃力が皆無であった。少なくとも、国民の眼にはそう映っていた。
 その姿のすべてを今回の選挙で体現した小泉純一郎氏に、民心は集中した。それ
が自民党の地滑り的勝利の原因である。
昔のことであるが、郵政事業を育てた小泉一家に対して、純一郎出馬の初戦に、
郵政グループに冷淡に扱われ、彼自身が落選の憂き身を経験した。その意趣返しの
突進力だとの声は、俗説と流して、小泉の本心は、郵政改革が日本改造の第一歩で
あったことを示してほしい。
小泉政治四年間の実績は、余りにも玉虫色であったことは前述した。この度の選
挙を通じて、一挙にサナギが蝶に変身した如く、たくましく羽ばたく姿で、懸案の
政治課題を一つ一つ髪振り乱して突進し成立せしめて欲しい。
今日の小泉首相のたくましさは、すでに対米関係では、その片鱗を示して来られ
たから、大いに期待できると信じたい。
今回の選挙では、与野党共に、「国家」を論ずることが殆んどなかった。国歌と
国旗の掲揚について、大きな政治問題となったのは、つい先日のことであったのに。
国家を論じれば、安全保障や防衛力、そして、教育へと議論が発展する。国政の
大本が、選挙の争点とならなかったことは不思議である。そこにこそ今日の政治の
闇がある。
敵の出来るような「理念や政策」を避けるのが、平和の基本と政治家は勘違いし
ている。それを敢えて、仮想敵まで求め、髪振り乱して、がなり立てた処にこそ、
「無党派の若者の心」を引きつけ、小泉首相圧勝の原因があったと思う。
選挙に大勝した小泉首相が、前に戻って、借りて来た猫の如くなれば、国民は冷
水を浴びせられることになる。

塚本三郎;                
愛知県名古屋市に生まれる 
鉄道省名古屋鉄道局に勤務し、県立中学校(夜間)に入学 
終戦とともに労働組合運動に従事 
運輸省に転勤し、中央大学法学部(夜間)に入学 
国鉄を退職し、中央大学法学部卒業 
昭和 33年 挑戦4回目にして初当選し、昭和生まれ初の代議士
(日本社会党所属)となる(以後当選10回) 
昭和 35年 民社党結党に参加 
昭和 49年 民社党書記長に就任(国鉄改革・電電公社民営化に取組む) 
昭和 60年 民社党中央執行委員長に就任 
平成 元年 民社党常任顧問に就任 
平成 9年 「勲一等旭日大綬章」を受章 
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1.佐藤守コーナー
 「大東亜戦争の真実を求めて」 その28
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 一方,海軍の方は「大東亜戦争開戦に至る経緯」をどのように考えていたのであ
ろうか? 終戦時に海軍省軍務局長を務めた保科善四郎海軍中将は、「大東亜戦争秘
史=海軍中将・保科善四郎回想記(原書房)」の「第一章・大東亜戦争への道」の書き
出しで次のように述べている。
「大東亜戦争はどうして勃発したか? それは米国もこれを希望せず、日本もまたか
かる大戦争をする意思もなかったし、勿論勝てる自信があったわけでもない。それ
にも拘らず、ずるずると開戦の泥沼に落ち込んでしまったのは、米英蘭仏が最も警
戒していた日本軍の南下・・・つまり昭和15年(1940)9月23日、日本陸軍が北部
仏印に進駐してしまったことである。これは大本営の命令に背いて現地陸軍が決行
し、東條首相を激怒させたことであったが、これによって決定的に米国は対日戦争
を決意したのだと言われる。しかも4日後の9月27日には『日独伊3国同盟』を
締結してしまったから、陸軍省と外務省の希望とは全く逆に米国の態度をいよいよ
硬化させる結果となり、10月5日に、今度は米国の海軍長官が演説をして、『対日
独伊戦の準備は出来ている』との強硬な言明をするようになったのである」。
 即ち、米国も日本も、勿論海軍首脳も対米開戦には反対だったのだが、陸軍の北
部仏印進駐がそれをだめにしたのだ、と陸軍を責めているのである。現地陸軍に独
走状態が生じたことは事実だし、それに激怒した東條陸相が現地軍司令官以下多数
の関係者を更迭したことも事実であることは既に書いたが、保科中将が「米国もこ
れ(日米開戦)を希望せず」と書いた根拠は何か? 想像するに日米海軍同士の、い
わば伝統的信頼関係がそう言わしめたのではあるまいか? 戦争は「政治の延長」で
あり、シビリアンコントロール下にあった米軍の行動は、あくまでも「大統領決定」
に従うことを要求されているのであって、大統領の対日意思について考察されてい
ないのは片手落ちであろう。つまり海軍もまた「国家謀略」「コミンテルンの動き」
に関する意識が薄かったといわねばなるまい。
 保科中将の分析は鋭いが、陸軍に対する不信感は払拭されていない。例えば二二
六事件に関して、「・・・米英と協調を図ろうとする平和的思想の重臣たちが殺害され、
なおクーデターによって政権を動かそうとの陰謀まで進められていた。そのような
陸軍部内の一部急進派の動きを阻止できず、翌12年(1937)7月7日の盧溝橋事
件から支那事変に突入するのである。其の支那事変の不拡大方針が破れ、日支全面
戦争となり、とめどもなく戦線が拡大して仏印進駐にまで発展する。それは米英が
背後から中国の国民党軍に戦略物資を送って救援するので、其の『援蒋ルート』を
遮断するための仏印進駐だったのである」と認識し、ワシントン条約、ロンドン条
約締結時まで遡り、これを機に「日英同盟」が破棄され、それに代わって日英米仏
間の「4国条約」と、日米仏伊白和蘭支間の「9カ国条約」が成立したことに触れ、
「これによって列国による中国保全の保障が強化されたため、中国は『日本組み易
し』と侮って、各地に排日、侮日、抗日の運動を起こし、これが燎原の火のように
中国全土に波及し、我国の権益が著しく侵害されるようになって来た」と分析して
おきながら、ロンドン条約で大型艦保有量を対米6割に制限された時、「国内でこ
れに反対する策謀が起こり、統帥権干犯という問題が併発し、海軍部内は大揺れに
揺れたのである。ついで昭和6年(1931)9月18日、満州で柳条溝事件が起こっ
たが、これは関東軍が中央とは無関係に独断で計画実施したもので、しかもこれが
満州事変にまで発展するのである」と書く。
続いて日露戦争以降の、満州を巡る情勢を分析し、上海事変、五・一五事件と、
当時の内外情勢を鋭く分析するが、各種クーデターや同未遂事件の分析では「この
ように相次いで起こった不祥事件に対する善後処置は、五・一五事件〔(筆者注)海
軍士官が多数関与〕を除いては極めて不徹底であり、処分も寛大であるばかりか、
外部に対してはひた隠しに隠すような弥縫(びほう)策がとられた」と陸軍に対し
ては手厳しい。
 ところで保科中将は第二章「開戦に至るまでの秘録」第一節「日米首脳会談の流
産」の中で、第3次近衛内閣成立後の日米関係について次のように書いている。
「しかしながら7月28日に我が軍が南部仏印に進駐したため、米国はますます態
度を硬化させ、遂に在米英領にある我国の資産を凍結し、8月1日には米国をして
我国の運命に関わる石油の対日輸出禁止まで断行させてしまった。そこでこの緊張
した日米間の局面を打開するため、8月7日、近衛首相は『日米首脳会談』を提案
し、予備的大局的見解をまとめた上、両国の首脳会談を開き,共同声明を出してい
ささかでも雰囲気を好転させようとした。それは7月24日に野村大使がルーズベ
ルト大統領と会談した時、大統領が即興的に述べた『仏印中立化』の提案を手がか
りとして、我国が提示した仏印の局地的解決案を中心とするものであった。これに
対してハル国務長官はきわめて冷淡な態度を示したが、ルーズベルト大統領は一見
乗り気のようにも見えたといわれる。
当時ルーズベルト大統領は、英国のチャーチル首相と大西洋上で会談し、8月15
日にいわゆる大西洋憲章を宣言して帰国した直後であった。
 そして8月26日に、近衛首相は『日米首脳会談』の呼びかけのための近衛メッ
セージを送ったが、9月3日になって『ルーズベルト大統領メッセージ』を近衛首
相に送り、“重要な原則的問題について合意に達した上”でなければ会談に応じられ
ないと解答してきた」。                  〔続く〕


佐藤守:
防衛大航空工学科卒(第7期生)。
航空自衛隊に入隊
戦闘機パイロット(総飛行時間3800時間).
外務省国連局軍縮室に出向。三沢・松島基地司令、
南西航空混成団司令(沖縄)を歴任.平成9年退官.
岡崎研究所特別研究員.軍事評論家.
日本文化チャンネル「桜」軍事コメンテーター.
著書に「国際軍事関係論」
ブログ;http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
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2.奥山篤信コーナー
 アンドレ.モーロア『フランスは敗れたり』を読んで 
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モーロアは哲学者アランに学んだ作家であり文藝評論家である。第一次大戦の際に
は英国軍との連絡将校を務め、第二次大戦勃発に際して再び英仏との連絡将校を務
めた。英仏政財界、軍部首脳に多くの人脈を持つ、親英フランス人であり、哲学者
であり小説家であるだけに、この著作は1940年に刊行されたものだが、文章が洗
練を極め、実に今でも新鮮で示唆に富んでいる。“Tragedy in France”が原作名
で、昭和15年高野弥一郎氏が翻訳“フランスは敗れたり”との題名で出版大ベス
トセラーとして5ヶ月で200版を超えたという名著で、このたびウエッジ社より
復刊された。

モーロアの至言ともいえる『感情により歪められたる流説よりも、苦痛であるが、
実相というものの方が遥かに私の祖国フランスにとっては危険性が少ない』の序で
始まるこの著作は、モーロアの英仏中枢との直の会話からくる、情勢分析の信憑性
と物語になるような人間模様の描写で,引き込まれて行くのである。
フランスの悲劇も実は、現実を見たくない、楽観主義からするリアリズムからの逃
避、内部での足の引っ張り合いなど、今の日本の外交の失敗、それは現代日本人が
想像できない現実の悲劇へと誘導されていることに気がついていない点で酷似しており、
大変背筋が寒くなる思いで噛みしめたものです。

中西輝政京都大学教授がこの新刊に解説として、今の日本の状況と比較して、重大
な問題を提起しているとするあとがきがあるので、ここではその重複を避けたい。
その代わりに最後の章に格言ともいえるモーロアの纏めが輝いているのでここに
羅列することで、この著作への私の敬意といたしたい。

救済策―
強くなること:国民は祖国の自由の為にはいつでも死ねるだけの心構えがなければ、
やがてその自由も失うであろう。
敏捷に行動すること:間にあうように作られた一万の飛行機は、戦後の五万台に優
る。
輿論を指導すること:指導者は民に行くべき道を示すもので、民に従うものではな
い。
国の統一を保つこと:政治家とは同じ船に乗り合わせた客である。船が難破すれば
すべては死ぬのだ。
外国の政治の影響から輿論を守ること:思想の自由を擁護するのは正当である。し
かし、その思想を守る為にに外国から金を貰うのは犯罪である。
非合法暴力は直接的かつ厳重に処罰すべきである:非合法暴力への扇動は犯罪であ
る。
祖国の統一を撹乱しようとする思想から青年を守ること:祖国を守るために努力し
ない国民は、自殺するに等しい。
治めるものは高潔なる生活をすること:不徳はいかなるものであれ、敵につけいる
足掛かりを与えるものである。
汝の本来の思想と生活方法を情熱的に信じること:軍隊を、否、武器をすら作るも
のは信念である。自由は暴力よりも熱情的に奉仕する値打ちがある。

と側にあったバルザックの小説の表紙にモーロアが落書きしていた。その時少年が
血の流れる指を差し出しながら走ってきた。「僕自分で切ったんだ。モーロアさん包
帯の巻き方を知ってる?」私は最善を尽くして包帯を巻いてやった。

この本はこういう調子で書かれており、なんとも言えない奥行きがあって、小説家
ならではの文章の品格であろう。感銘した。

モントリオールのあちこちの家々にはフランスの国旗が翻っていた。仏系フランス
人は忠誠であった。「フランスよ」と私は思った。「汝も祖国に忠誠であれ」

日本人よ、政治家よ、官僚よ、ビジネスマンよ、「汝も祖国日本に忠誠であれ」

奥山篤信:
昭和45年京都大学工学部建築学科卒
昭和47年東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社 
コンサルタント会社ストラテジーズ設立 
勉強会『平河サロン』主宰
平河総合戦略研究所代表理事
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3.有馬尉彰コーナー  
  Sense of Urgency
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 今回の小泉自民党の地すべり的勝利をかえり見てみると、最新の経営学の問題と
して認識されてきている経営革新のテーマ「Sense of Urgency」 “変革が急務で
あることの認識”の大いなる実例となったと思う。

 ビジネスでは、その事業が属する事業戦略カテゴリーによって利益率が決まって
くる。たとえばコンビ二と、総合スーパー(量販店)では、粗利益率が基本的に異
なる。最近では、生鮮3品(肉、魚、野菜)を扱うコンビ二をローソンが始めたが、
これはコンビ二という事業戦略カテゴリーを越えた新しいビジネスモデルを目指す
のであれば別として、コンビ二というビジネスモデルの本質を基本的に無視してい
ると考えざる得ない。コンビ二は限られた売り場を二重三重に効率よく使うために、
マーケットに対して常にファインチューニングを続け、そのために対応する物流、
とりわけITに対して膨大な投資を行ってきたが、扱う商品は、最寄生活圏という
激しい競争を伴ったマーケットのなかで、それなりの粗利を確保し、IT投資をまか
なうことが出来る粗利をもった商品に限られてきたはずでる。

 経営資源は主に3つに分けて考えられる。まず第一にはその業界にいるために必
要な経営資源、たとえばCATV事業者を例にすれば各家庭につなぐネットワーク、
つまりラストワンマイルといわれるアクセス網を持っていることが上げられるであ
ろう。

次には、その業界(産業分野)の中で、他社より成長していくために差別された
経営資源を持っているかということである。これは、最近の例でいえば、デジカ
メが多いに売れたなかで、一眼レフのデジカメを造れる基本技術を持っているか
どうかということである。

そして最後は、その企業独自の経営資源である。それは、具体的にしめすことが
出来ない。時により人であったり、立地であったり、タイミングであったり様々
である。なぜトヨタと日産に差が出来たかといえばこの第三の経営資源に負うこ
とが多いと考える。今回の自民党の想定外の大勝利は、この第三の経営資源が多
いに寄与したのではないであろうか。まさにどの組織でも、組織の中にこの様な
経営資源を持っているかどうかが、これからの成長を決定することになるであろ
うと考える。

流通産業の例で言えば、我々は20世紀に大型スーパーを作り上げ多いに成功し
てきた。ワン・ストップショッピング、一度くれば何でもそろえることが出来る、
その便利さが売り物であったといえよう。コンビ二が出現したとき、流通の専門
家は、あの小さな売り場で、ワン・ストップショッピングを願う消費者の行動に
対応できるはずがないと考えて疑わなかった。流通を知る人ほどその様に考えた
のである。いつも売り場面積X坪売上高が全ての判断基準とされてきた。まさに
人々に、サイバースペースの概念は全くなかったのである。

さて、今までの自民党はどのようであったというべきであろうか。経営の戦略
的事業展開という側面でみれば、それは、「集中と選択」、あることをやめて、
一つ、あるいは限られた幾つかの目的に集中する、自らの持つ経営資源を効率
的に生かすということが生き延びる道とされてきている。小泉首相が郵政こそ
改革の窓口としたことは、まさに経営学的「選択と集中」を行ったというべき
であろう。その点、民主党は適正な判断がなされていなかったといわざるを得
ない

時代は同質性(homogeneous)から、多様性(diverse)に変わってきていると思われ
る。今までの自民党は、明らかに農村部を主たる足がかりとした同質性を前提と
して政権を維持してきた。長い農耕社会の歴史によって作られてきた日本の社会
システムの本質であろう。しかし、その同質性はおそらく20世紀とともに終焉
したのではないのだろうか。

心より、21世紀の後半まで、日本が豊かな経済力を持ち、あらゆる面で世界
の代表的な国であり続けてほしいと願う。それには、いつも“Sense of Urgency”
変革の心意気を持つ国でありたいと願う。
                       2005/09/14
                       
有馬 尉彰;
昭和41年学習院大学経済学部卒業 
東急電鉄勤務を経てi-HITS副社長など歴任 
インターネットイニシアテイブ(IIJ)顧問他 政府関係委員多数 
立教大学大学院講師 武蔵工業大学講師 前慶応義塾大講師など 
著書に「マルチメデイアオムニバス」(東洋経済新報社)他 
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4.松永太郎コーナー
  魂の問題
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 「論座」という朝日新聞社が出している、あまり感心しない雑誌の10月号で、「論
客10人が問う、総選挙の争点はこれだ!」という特集をしている。このメルマガが
出るころには総選挙は終っているが、ぜんぜん、かまわない。ここでは、それぞれ
の論者の考える、総選挙の争点なるものに興味があるわけではない。
 ここで書いている人々は、みな立派な肩書きを名前の下に挙げておられる。とく
に「大学教授」が多い。たとえばカン・サンジュン東京大学大学院情報学環教授、
高橋哲哉東京大学大学院総合文化研究科教授、宮台真司首都大学東京準教授、など
である(他にもいるが、割愛)。

 これらの教授たちは、いずれも、「トラウマ」(心的な傷)の物語で、売り出した人
たちである。「トラウマ」というのは、一種、捏造された概念である。それは、ほと
んどの場合、何らかの言い訳にしか使われないからである。「私はこんなにひどいト
ラウマを持っている。だから、あなた方は、私に謝罪したり、補償したり、面倒を
見たりする義務がある」という言い訳である。時には、この言い訳は、他人に投影さ
れる。お前たちは、こんなひどいことを他人(実は自分)にした。だから謝れ。頭を
下げろ。あるいはまた、異常な憎悪に満たされる。自分がこうなったのは、皆、他
人のせいだ。俺にひどいトラウマを与えたからだ。したがって自分が人を憎んでも
当然だ。皆、トラウマないし、そこから派生する物語である。

 「物語」というのは、実際にそうした事実があったかなかったよりも、本人が、
そのよう「物語」を信じ込んで自分を描くからである。傷つく、つけられるという
のはあくまでも主観的な話だからだ。しかしこうした物語がやっかいなのは、実際
に心理的な病を招くからである。すなわちトラウマがあるから心理的な病になるの
ではなく、「トラウマ」に準じた物語を自分が信じることで、逆に心理的な病を招く
のである。

こうした心理的な病は、もし肉体的に解決しようとすれば、しばしば暴力となっ
て現れる。それは、ほとんどの場合、犯罪に終ってしまう。しかし、いわゆる「知
的」な能力(ほとんどの場合、理屈をこねる能力)に恵まれた場合、それは「知的防衛」
として現れることが多い。またいわゆる「体制破壊者」として、現れる場合もある。

 さきにあげた大学教授たちの論理構造は、大体このトラウマの物語から派生した
ものである。

 高橋哲哉東大教授は、日本人は「アジアの人たちを2千万(根拠はない)虐殺した」
ので、「永遠に頭をたれ続けなければならない」という。誰が聞いても、極端で、ぞ
っとするような言い方である。ここに満たされた「日本人」に対する憎悪の念こそ、
高橋教授の書くすべてのものの根っこにあるものである。

上野千鶴子東大教授も、「男たちは女たち(自分のこと)を傷つけた加害者であるか
ら、被害者である女たち(自分のこと)はなにをやってもいいのだ。働くふりをし
て、給料だけもらえ」というようなことを言うが、同じである。彼女はまた「被害者
である従軍慰安婦(自分のこと)の言うことは、加害者である日本は、すべて言うこ
とを聞かなければならない」という。このような憎悪を正当化する根拠は、高橋や上
野の書くものからは、まったく欠けている。東大教授の給料は、税金から出ている
と想像するが、彼らの憎悪の対象は自分たちの給料を支払っている対象に向けられ
ているのである。

 カン・サンジュン東大教授は「在日」という「日本によって傷つけられた人々」を「自
分のアイデンティティ」としている。具体的に、どのように傷つけられたのかは、
よくわからない。朝日に載った記事によると「指紋を押すのを拒否する運動をして
いたら、みんなが助けてくれた。その中の一人が、自分をキリスト教大学に推薦し
てくれた。それから東大教授になり、ドイツに留学した」とある。なにが不満なの
か、 人の善意をふんだんに受けながらも、なお、自分を「傷つけられた存在」で
あるとするのである。

宮台真司首都大学準教授は、「自分の性的アイデンティティにトラウマがあった
が、援助交際の少女たちによって、自信を持った」という(そんなことで、真の自
信が付くわけがないので、ウソであろうが、トラウマ理論だけは残っている)。した
がって、「援助交際超OK」と書いている。援助交際というのは、少女売春のことで
ある。彼の書くものも、やはり非常な憎悪に満ちていて、暗いものである。たとえ
ば「日本人は、多様な仕事、多様な性を自由に選べそうで、実は選べない。制度的
に選べないのに加え、主体の能力が低いので選べない。だから鬱屈が広がるばかり」
だそうである。また「新しい教科書を作る会が象徴するのは、過剰流動性と生活世
界の空洞化で不安になって、断固とか決全という言葉にあおられるヘタレ保守」だ
そうである。自分だけが利口で、ほかは全部バカという、典型的な自己防衛である。
 私は、この人たちは「魂」が死んでいると思う。「魂」が死ぬと、「自我」しか見
ることができない。そして、そういう「自我」は、かならず「傷だらけ」である。な
ぜなら「魂」は他者の、あるいは自分の抱く親密な愛情のなかでのみ育つことがで
きるが、それがなければ死んでしまい、残るのは自分を傷つけようとする外界にさ
らされた「哀れな、さまよえる自我」だけだからである。そうした自我がもつこと
ができるのは、それ自体、憎悪と敵意と防衛だけである。

 多くの人は、それでも何とか魂との接触を保つ。しかし、幸か不幸か、知的防衛
に長けてしまうと、そのまま「大学教授」になったりする。そして、実際には肉体的
な暴力を振るうのと同じような暴力を、「知的」にふるうようになるのである。

 今の日本の社会は、あまり「魂」のことを言わない。実際には、それは窒息しかか
っている。それでも、このように大学教授たちが率先して魂の扼殺を行っているの
をみるのは、なかなか壮観としか言いようがない。
 
松永太郎;
東京都出身 
翻訳家、多摩美術大学講師、レモン画翠社長
主訳書「進化の構造」「イカロスの飛行」他。
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5.花岡信昭コーナー
 どこがいったい「ファシズム」なのか
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 自民296、自公与党で衆院の3分の2を超えるという選挙結果には驚いた。自
民優勢は承知していたし、自公で過半数という小泉首相が設定した勝敗ラインも軽
くクリアーするであろうというところまでは予想していた。だが、これほどの圧勝
は想定外であった。

 この結果を総括して、「ファシズムだ」「ヒトラーの再来だ」「大政翼賛会だ」とい
った批判が飛び交っている。近代政治を知らないもののたわごと、妄言、虚言とし
かいいようがない。

 とくにテレビのワイドショーなどで、この種のことをしたり顔で発言する輩が少
なくないことは問題だ。むしろ、そのことのほうがはるかに危険である。

 たしかに「小泉劇場」といわれた一連の政治ドラマは、ポピュリズムのにおいの
強い側面があった。次々に繰り出される「刺客」「くの一」などと称される対立候補
はワイドショーの格好の材料となった。

 だが、党本部が立候補者を決めて選挙区に送り込むというのは、イギリスなど政
党政治と議会制民主主義の先進国では当たり前のことである。自民党は「自分党」
と揶揄され、小選挙区支部とそこの議員の後援会がほぼオーバーラップしていた。
政党組織としては前近代的な姿といっていい。

 だから二世候補がやたらと多くなる。議員を中心にした既得権益擁護勢力が「宝
のなる木」にしがみつき、組織温存をはかるためである。そうした旧弊をばっさり
と切って、その地域とまったく関係のない候補を公認するというのは画期的なこと
だ。

 もうひとつ。これだけの議席差がついたのは小選挙区制による。小選挙区の得票
総数は自民3251万、民主2480万。当選者は自民219人、民主52人。得
票では1・3倍、議席数では4・2倍である。

 得票差に比べて過剰な議席が与えられるというのが、小選挙区制の特質である。
カナダでは1993年、ときの政権党が2議席に激減、現職首相も落選した。こう
いう劇的な結果を導くため、2大政党時代になれば、必ず一方が多数を制し、強力
な政権が誕生する。失敗すれば、選挙で鉄槌を浴び、政権交代が容易に行われる。

 今回の自民圧勝は、政党政治や議会制民主主義の成熟度を示すうえで、ようやく
日本もここまできたと思わせるものだ。もっといってしまえば、民主主義の勝利で
ある。ファシズムなど、いったいどこにあるというのか。

 民主党も意気消沈することはない。大逆転劇を起こすことも、小選挙区制のもと
では可能なのだ。こうなったら、自民と民主両党で協議して、完全小選挙区制への
移行を決めてはどうか。これを早くしないと、公明党の言っているような「定数3
の中選挙区制復活」などという後ろ向きの話が再浮上しかねない。

 小泉首相はもともと小選挙区制否定論者だった。それが小選挙区制のおかげで、
圧勝を導き、任期延長論まで出ているのである。与党で衆院の3分の2を抑えたと
いうことは、憲法改正の発議も衆院では可能ということになる。そうした国家的課
題に果敢に挑戦すべきである。それによって、小泉政権は一段と強靭になるはずだ。

花岡信昭:
政治ジャーナリスト、慶應義塾大学院・国士舘大学院非常勤講師、
読売新聞監査委員会審査委員。
1969年早大政経学部政治学科卒、
産経新聞入社、政治部長、論説副委員長などを経て2002年退社、評論活動に入る。
著書に「小泉純一郎は日本を救えるか」(PHP)など
サイト:http://www.hanasan.net/
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6.西山弘道コーナー  
 「小泉圧勝の原因は“男の色気”?」
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 自民“勝ち過ぎ”、民主“負け過ぎ”の総選挙の緻密な分析は是非とも必要だろ
う。現時点で言えることは、小泉氏が岡田氏より役者が何枚も上であったこと、
得票数は1.3倍なのに、獲得議席は4倍になるという小選挙区制の“恐ろしさ”
そして指摘しなければならないのは、テレビ各社が一斉に小泉自民党に荷担した
、“偏向”問題だ。特に今回ほど、テレビの各キャスター(NHKも含め)が、小
泉有利な報道をしたことはない。テレ朝の田原氏はその筆頭で、あの筑紫氏までが
その尻馬に乗ってしまった。93年の細川非自民政権誕生の際、当時のテレビ朝日
の椿報道局長が非自民の偏向報道を煽って問題になったが、今回はそれ以上のテレ
ビ全体の偏向ぶりだった。小泉選対の“報道局長”飯島勲秘書官の報道管制がそれ
ほど効果的だったのだ。
 テレビが優先的に小泉氏を取り上げたのは小泉氏が“絵”になったからであろう
。公示前日の8月29日に日本記者クラブで行われた党首討論。民主党の岡田代表
以下各党首は全員背広姿で待っていたのに、一番最後に乗り込んだ小泉首相は“ク
ールビズ”。これで決まったと思った。討論が終わって恒例の色紙揮毫で小泉氏が
書いたのは「炎天下に立つ」。早くも選挙戦での戦闘意欲を見せたのに対し、民主
・岡田党首は「政権交代」とこれまでのスローガンを繰り返すだけ。ここでも差
をつけた。要するに役者が岡田氏よりも何枚も上だったのだ。
 イメージ選挙は「理」よりも「情」に訴えることだ。以下は「情緒論」になるが
、小泉氏と岡田氏の差は“男の色気”の有無ではなかったか?白いYシャツの腕を
捲り上げて汗みどろに訴えるダサい岡田氏よりも、クールビズで絶叫する“クール
”な小泉氏の方が“男の色気”を感じさせ、“絵”になったのだ。しかも首相は離婚
経験のある一人身ときている。無党派の大部分を占めるという若者と女性が、その
“色気”を「カッコいい!」と思い、無党派票が雪崩を打って小泉自民党に押し寄
せたのだ。
 政治家にとって、“男の色気”は重要な要素である。人、特に有権者の半数を占め
る女性を惹きつけるのが“色気”だ。欧米を見ても、過去人気のあった政治家は皆
“男の色気”を備えていた。ケネディはその筆頭で艶聞も大分流した。西独のブラン
ト、シュミット両元首相も“男の色気”を備えた政治家であった。日本では、そう、
田中角栄氏だろう。玄人筋のモテた角サンの色気は伝説的になっている。大衆政治
家として今でも人気が高いのは、“モテる男”の甲斐性を大目に見る角栄フアンが今
だに多くいるからだろう。河野洋平氏も新自由クラブを結成した、“若かりし頃”は
“男の色気”を感じさせた政治家の一人であった。年を経るにつれ、何故あんなに
悪相になってしまったのだろう。
 政治に深遠さ、真剣さを求める人にとっては、こんな“情緒論”は“不埒”な話
かも知れない。しかし、メデイアを意識した“劇場型”政治が今後の日本政治にな
ろうとするなら“男の色気”を備えた政治家の出現は大いに求められるかもしれない。

西山弘道:
昭和44年早稲田大学政治経済学部卒業後、
文化放送入社以来、放送記者として30余年、
ニュースの現場を踏む。
平成5年報道部長。兼ニュースキャスターとして
「西山弘道の世の中朝一番」なfどの番組で活躍。
また政治記者として、田中内閣以降の「永田町戦国史」
をウォッチ。
現在、文化放送編成局次長。
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7.青葉ひかるコーナー  
 「多くの国民は愚かではなかった」
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「小泉首相」がいいのか、「岡田首相」がいいのか、焦点はそれだけの選挙であった
のではなかろうか。どちらに日本の舵取りを託すのか、その意味でも「これは天下
分け目の合戦」であった。

単なるパフォーマンスがいいからという理由だけで、政権を選ぶほど国民は愚かで
はなかったのは確かである。
多くの国民は「小泉首相のほうが、ましである」「自民党しかしようがない」という
選択をしただけではないだろうか。

景気回復をはじめ、拉致問題など小泉首相にはいろいろ不満を持つ国民も多い。
しかし、外交ひとつをとっても、日本と価値観を共有しているアメリカ重視は基本
の基本であるから、「小泉首相のほうが安心だ」「政権が変わって中韓への屈服外交
はごめんだ」ということで、多くの国民は、小泉首相を選んだ。
小泉首相は「ベストではないが、ベターである」という判断のみであろう。
    
「小泉劇場」であるとか、「郵政マジック」であるとか、あいも変わらず否定的論調
を続けていた各紙、メデイアにもかかわらず、自民党圧勝となり、現時点での内閣
支持率も60%を超えた。

ワンフレーズ・ポリテイクス、テレポリテイクスなどと批難しても、もう始まらな
い。既にテレポリテイクスの時代であるから。
国民がテレビの画面を見ながら、この人は好きか嫌いかを無意識に決めてしまうの
も現実である。
であるから、それを一番感じている政治家自身が、スタイリストをつけ、広告会社
を使い、PR合戦を演じていることは、笑うに笑えない。

このように劇場型といわれる現代政治の中で、確かに小泉首相は天才的な勘を持つ
政治家であるから「既得権益にしがみつくものや労働組合依存の体質」を悪玉にし、
「郵政改革をできるのは自民党だけ」を善玉にして対立構図を作る、というお得意
のポーズを投げかけ、多くの国民は善玉を選んだ。

古い自民党をぶっ壊すという総理就任時の叫びも実現し、新しい自民党になった。
かっての自民党はぶっ壊れ、特定の団体の支持を受けること自体マイナスのイメー
ジにもなった。 
「利益優先、地域代表」ではなく「国益優先、国民代表」という選挙の構造改革ら
しきものも見えた。

もし、小泉首相が、「郵政」ではなく「教科書問題」「拉致問題」「靖国神社参拝」「教
育基本法改正」「人権擁護法案」などで、賛成か反対かを国民に問うたならば、正に
素晴らしい首相として歴史に残ったであろうし、国民も拍手喝采し、絶大なる人気
でベストの首相になったであろう。
少なくとも「小泉首相しか仕方ない」という選択ではなかった。

今回の公認候補者を、これら重要課題の観点から見ると必ずしもふさわしくない人
を選んだことなど批難される点もあるが、これこそ、小泉純一郎という政治家の素
顔を表していることであろう。

多くの国民はベターな首相として「小泉首相」を選んだが、願わくば、小泉首相に
続く首相は、ベストであられることを!

青葉ひかる;
三重県出身
早稲田大学卒 
元日本航空(株)勤務
評論家 
2525計画推進協議会(2525プラン)会長
http://www.2525plan.jp/ 
ラジオ日本(1422kHz)
「青葉ひかるのガンバレ日本」
毎週(土)16:50〜17:00放送
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8.山崎行太郎コーナー 
 ルーカス方程式と「合理的期待仮設」  
-------------------------------------      
「ルーカス総供給方程式」によると、総需要(有効需要支出のマクロ的総額)がい
くら増えても実質的には生産は伸びず経済成長も雇用拡大も起こらない・・・とい
うことになり、これがケインズ経済学的な「総需要拡大による不況の克服、あるい
は景気回復・経済成長」という論理を否定し排斥する論拠となっている。
(現実の生産水準)ー(自然失業率に対応した生産水準)=a・(《実際の物価水
準》ー《期待【予測】物価水準》・・・・・・(「ルーカス型総供給方程式」)
今更、言うまでもなく、自民党小泉執行部は、このルーカス的なケインズ経済学否
定論という経済思想(新古典派、新自由主義)に凝り固まっている。したがって、
小泉執行部は、どのような経済学者たちからの進言や提案も、この理論に反するも
のはすべて無視し続けている。では、この奇妙なルーカス方程式は恒常的に正しい
と言えるのか。正しいとすればその根拠は何か。
実は、この方程式を成り立たせるためには、いくつかの仮説が前提されていなけれ
ばならない。たとえばその一つが、いわゆる人々の「合理的な期待仮説」である。
つまり、人々の物価に関する「合理的な期待(予測)」が常に的中しているはずだ
という仮説である。そんなはずがない、と言ってもはじまらない。少なくとも、そ
れを前提的に肯定するところにこのルーカス率いる「合理的期待形成論学派」の経
済学的な本質と新しさがあるからだ。
では、人々の現実の物価水準に関する「合理的な期待(予想)」が常に的中すると
すれば、どういう経済学的な現象がおこるのだろうか。たとえば労働の需給関係
(労働供給曲線)はどうなるだろうか。要するに失業率、あるいは雇用問題はどう
なるだろうか。
伝統的な経済学的常識では、総需要が増大すれば生産活動が拡大し、労働需要もそ
れにつれて増えていき、その結果として雇用率は上昇していくはずである。つまり
失業率の低下という現象が起こるはずである。しかし、「ルーカス型総供給方程式」

を前提すると、そうはならない。
総需要が拡大して生産活動が活発化(企業資本設備の稼働率が上昇)しても、労働
需要は伸びない。つまり失業率は低下しない。なぜか。実は、そこで、労働者たち
や経営者たちの「合理的な期待(予測)」という問題が発生する。結論を言えば、
生産拡大も雇用の増大も、物価上昇を予測した上での「賃金」や「価格」の上昇に
よって、吸収されてしまうというものだ。
労働者達は、物価上昇を見込んで(合理的期待?)、それに見合う「賃上げ」を要
求し、経営者側は、労働者に支払うべき賃金の上昇を見込んで(合理的期待?)、
それに見合う生産物の「値上げ」を要求するからである。要するに、総需要の増大
による生産拡大も労働需要の拡大も、賃上げや価格上昇によって相殺されていくと
いうことである。(「マルクスとケインズの共通性と差異性」続く。)

山崎行太郎;
文藝評論家
昭和47年慶応義塾大学大学院(哲学専攻)修了
東京工業大学講師を経て現在、埼玉大学講師、
日大芸術学部講師。
著書『小林秀雄とベルグソン』(彩流社)『小説三島由紀夫事件』(四谷ラウンド)
その他。
http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/
http://yamazakikoutarou.gooside.com/
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次回の配信は、9月23日(金)を予定しております。どうぞお楽しみに!
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