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甦れ美しい日本 第029号

発行日: 2005/9/2

□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2005年9月3日 NO.029号)

  ☆☆ 私たちは書きたいから書くのです ☆☆

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 < 目次 >
ゲストコーナー
 三村文男      中露合同軍事演習
1.佐藤守コーナー    「大東亜戦争の真実を求めて」その26
2.有馬尉彰コーナー   2011年 7月24日 !) 
3.松永太郎コーナー  「靖国問題」
4.奥山篤信コーナー  書評 国家戦略から見た靖国問題 岡崎久彦著 PHP新書
5.櫻井裕子コーナー  硫黄島で奮戦した益荒男たちに捧ぐ!)
6.西山弘道コーナー  「『常任理事国』問題はどうなった!」
7.花岡信昭コーナー   「ばらまき」復活でいいのか
8.青葉ひかるコーナー 「愛・地球博」つれづれ考
9.山崎行太郎コーナー  ケインズ革命かルーカス革命か 

☆平河総合戦略研究所講演会ご案内☆
=当代超一級の政治ジャーナリスト花岡信昭が総選挙終了後、絶妙のタイミングで語る=

日時 9月17日(土曜日) 午後2時より4時まで
テーマ 衆議院選挙結果の分析と今後の政治の行方
場所 外国人特派員倶楽部メディアルーム(有楽町電気ビル北館20F)
http://www.fccj.or.jp/static/aboutus/map.php
会費 一般 3000円 学生 2000円 平河総研特別会員 1000円 
講師 花岡信昭  政治ジャーナリスト 元産経新聞論説副委員長 
サイト http://www.hanasan.net/
メルマガhttp://www.melma.com/backnumber_142868/
定員 70名 申し込み先着順(info@hirakawa-i.org 宛


☆平河総合戦略研究所講演会ご案内☆

=台湾問題、中国問題といえばこの方 黄文雄先生=

日時 10月2日(日曜日)午後1時半より4時まで
テーマ 今後の日中関係について
場所 学士会館(神田錦町)
http://www.gakushikaikan.co.jp/
会費 一般 3000円 学生 2000円 平河総研特別会員 1000円 
講師 黄文雄 拓殖大学客員教授 
定員 80名 申し込み先着順(info@hirakawa-i.org 宛☆

☆丹羽春喜氏の論文『郵政改革」論争で忘れられてきた重要問題』は今まで学者論壇で議論されなかった
ユニークさがあり下記サイトにて閲覧可能です。
http://homepage2.nifty.com/niwaharuki/ronbun/yuuseikaikaku.htm ☆

☆新刊 国家戦略からみた靖国問題 岡崎久彦著 PHP新書 720円
下記書評あり ☆

☆西山弘道 CDブック 『スクープ音声が伝えた戦後ニッポン』新潮社 
文化放送報道部 2800円 団塊の世代にとってこれほど懐かしい音声はない!☆
  
☆人権擁護法案という、私たちの人権を危うくする法案を、成立させようという陰謀が
与党野党を問わず渦巻いています。衆議院解散に当たって、郵政民営化法案反対か賛成か
など矮小化した争点に惑わされること無く、政権をとるものがこの法案をどうするか?
選んだ議員がどうするか?熟慮に熟慮を重ね投票すべきです。
なぜならこの法案は私たちの自由な生活を脅かす、まさに暗黒国家法案であるからです。
パトリックヘンリの「自由を、しからずんば死を」を噛みしめよ。

この法案の恐ろしさは下記アニメを御覧ください
http://homepage2.nifty.com/save_our_rights/jinken001.swf  ☆


☆私達は、ブルーリボン運動を断固支持します。日本国民が一丸になっての意思表示、
行動を起こすことが大切です。北朝鮮の金正日総書記や日本政府、そして報道機関
や国外に対しての私達の願いや怒り、救出へのアピールができれば良いと思います。 
拉致被害者と御家族が苦しまれている25年間は、私達の無関心が作った悲劇なの
です。☆

☆花岡信昭のサイト http://www.hanasan.net/
メルマガ政治ジャーナリスト・花岡信昭による分析・考察
http://www.melma.com/backnumber_142868/

☆佐藤守のブログ http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/

☆山崎行太郎のサイト http://yamazakikoutarou.gooside.com/

☆青葉ひかるのニコニコプラン2525計画推進協議会に賛同を!
  http://www.2525plan.jp/  ☆ 

☆クライン孝子のブログ http://www2.diary.ne.jp/user/119209/ ☆

☆ウェッブサイト< http://www.hirakawa-i.org >
平河総研会員募集中です。
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ゲストコーナー 三村文男
中露合同軍事演習
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イラク情勢の混迷で、東アジアにおけるアメリカの存在感が希薄になつたのをいい
ことに、数日前日本近海で中露合同軍事演習が行われた。圧巻は山東半島敵前上陸
であつた。テレビ見ていると、落下傘部隊と共に降下した戦車が、人影のない大地
を、障碍物を跳び越えて疾走し、種種の火砲や自走多連装ロケツト発射機から間断
なく飛び出す火の柱が、画面一杯にひろがつた。台湾独立への牽制だと解説がつい
た。だがそんな他人事ですむのだろうか。テレビを見た中国進出企業や財界の人達
は、やはり中露の言い分に耳を傾けるべきだと思わなかつたのだろうか。冷戦の激
化した昭和50年代の日本では、ソ連来攻の可能性が考えられ、自衛隊は緊張し、
外務省では岡崎久彦氏らが対策を協議し、総合誌では京大の高坂正尭教授や、早大
の関嘉彦教授らが論陣を張つていた。先ず敵は佐渡を占領し、次に新潟平野と北海
道に侵入する公算が高いと予想されていた。白旗と赤旗をかかげてソ連軍を迎えよ
うと主張する教授のいた事は前に書いた。それほど緊迫した空気があつたのだ。そ
れに比べて、今の日本はあまりに緊張感が乏しいのではないか。選挙にかまけて中
露両国のこれ見よがしの行動に、反応は皆無に等しい。巷では相変わらず共産党と
社民党が憲法九条をまもれと叫んでいる。8月25日付読売新聞に岩波ブツクレツ
トの広告が出ていた。「憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための18
人の発言」という標題で、井上ひさし、香山リカ、キョウ尚中、黒柳徹子,猿谷要、
中村哲、半藤一利、ピーコ、吉永小百合ら各氏の名が出ていた。能天気もいいとこ
ろ、戦争へ行く心配をするなら、戦争がやつて来る心配もしてほしい。それとも中
国やロシアの体制にあこがれて、その必要は無いというのだろうか。冷戦の時代に
ソ連軍用機の接近はあつたが、目と鼻の先で敵前上陸演習を見せつけることは無か
つた。しかもソ連だけでなく、今度は中露二国合同なのだ。林子平が海国兵談を著
した時代に立ちかえつたようで、気が滅入るばかりである。中露両国とも核兵器を
持ち、中国はアメリカを目標に軍備を増強してラムズフエルド米国防長官が6月シ
ンガポ―ルアジア安全保障会議の演説で、中国の軍事費は世界第3位、アジア最大
とのべた。しかもその伸び率は世界一といわれる。

日本からのODAがそれに役立つている筈だ。小泉首相はアフリカ諸国へのODA増
額を約束したが、その金は大量の兵器買い付けの資金となり、大部分が中国の懐に
入つている。しかも昨年11月30日ラオスのビエンチヤンで温家宝首相は小泉首
相に、日本がODAを中止したら「両国関係ははじける状態になりますよ」と恫喝
したのだつた。おどかされ、巻き上げられた金で出来た軍備がこわいからと、いい
なりになるような、卑屈な外交姿勢はやめにしていただきたいものだ。

三村文男:
神戸市出身 満州帝国建国大学中退 一高を経て東京帝国
大学医学部卒業
開業医の傍ら著作、評論多数 米内光政と山本五十六は愚将だった
(テーミス)神なき神風ー特攻50年目の鎮魂ー(テーミス)など
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1.佐藤守コーナー
 「大東亜戦争の真実を求めて」 その26
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 この『南進か、北進か』という、我国の国論を二分した議論は、後から考えると
大東亜戦争全体に影響を及ぼす、実に大きな岐路であった。

当時、陸軍兵器本部付兼陸軍省軍務局付であった佐藤賢了大佐は「軍務局長の賭
け(佐藤賢了の証言)」で次のように述べている。

「6月6日に大島大使から独ソ戦が起こるという、かなり適確な報告が来ている。・・・
独ソ戦が起こるということがだんだん確実になるにつれて、日本の陸軍には、対ソ
戦をやろうという空気が非常に強くなってきた。私は対ソ戦には真っ向から反対で
あった。・・・とにかく独ソ戦が始まったので、いつ何時でも対ソ戦が出来るように、
満ソ国境の戦備を充実することにして、人馬・材料を盛んに満州へ送ることになった。
企図秘匿のために、これを『関東軍特別演習、略して関特演』と呼んだ。

(独ソ戦が始まると)、ドイツ軍は破竹の勢いを持ってソ連に向かって猛進撃を行う。
それからヒットラーの方からは今まで『シンガポールへ行け、シンガポールへ行け』
という示唆をしていたのであるが、今度は『シンガポールは後でもいいから対ソ戦
をやってくれ』としきりに要求してくるのであった。約10日間の破竹の戦勢を見
て、7月2日に御前会議が開かれ、『独ソ戦が進展して情勢が我に有利となれば対ソ
戦を開始し、北方問題を解決する』という方針が決まったのである」

「日本陸軍の本来の国防の対象はソ連であり、ことに満州を固めて日満一体の経済
ブロックの拠点にし、中国と提携してアジアブロックに進もうという考えを実現す
るには、なんと言っても強敵ソ連の脅威を除かねばならないので、この機会にドイ
ツと協力して対ソ戦をやるということは、当然考えられることであった。

(時局処理要綱の)文句ではこういう風になっており、又南の方にも出ることにな
っている。まるで四方八方なで斬りにするようになっているのである。

この時はひどいもので、みんなの考えが違っている。まず陸軍の中で対ソ積極論
は『バスに乗り遅れるな』という標語を掲げていた。消極論では『熟し柿主義』と
いうことが言われた」

積極主義者の佐藤大佐はこの時だけは消極論をとる。其の根拠は「シナ事変を抱
えたまま対ソ戦を始め、しかも物資の何もないところに行って一体何になるのか、
というのが私の意見であった。私は『対ソ戦をやったら自殺だ』と言っていた」。

そしてある時「大臣の本当の肚を承りたい」と陸軍大臣室に飛び込み、東條大臣
と木村次官に直接聞いたと言う。

「(東條)大臣はそっぽを向いて大体、私の言うことが気に食わんという風であった。
木村次官が『そりゃ君、御前会議の決定の文句どおりさ。情勢我に有利に進展すれ
ばだよ』。私は『そんな議会の答弁みたいな答弁を聞きに来たんじゃありません。大
臣の本当の肚を聞きたいのです。実は今も、宮野正年大佐に意見を聞いたのですが、
これこれです。又海軍の石川軍務課長も『参謀本部から軍令部に対ソ戦の場合には、
海軍の飛行機も協力してくれということを相談に来ておる。海軍航空をどうして大
陸に使うんだ。対ソ戦なんかしても海軍は全くどうにもならん』というようなこと
をいっている。たびたび意見を具申している通り、シナ事変を抱えてこんなことを
やったら、全く国全体が餓死するだけです。ドイツの進撃速度もだんだん鈍ってお
る。この情勢で対ソ戦をやるということは絶対反対です。若し大臣が北へ行くんな
ら私は足にしがみついてもやりませんぞ』といったことがある。こういう非戦論を、
対米戦争の時にも言えばよかったかもしれないが」

その後ドイツの進撃速度が遅くなってくると、陸軍の対ソ戦熱も次第に下火にな
ったのは前述した通りであるが、ゾルゲを通じて「南進策の意図」がソ連側に「通
報」されていたのだから、関特演の「企図の秘匿」も何もあったものではなかった。

いずれにせよ、南・北進論をめぐる混乱が、戦備を固めるべき重要な時期に、壮
大な「無駄」を演じた原因であったのは疑いない。

戦後、佐藤氏が巣鴨に収監されていた時に、米国のマーシャル元帥が「この時日
本が対ソ戦に踏み切っていたら、ソ連と日本がかみ合っているのに、アメリカがソ
連を援助するためにソ連側に立って戦争に入ることは世論が許さなかっただろう。
また、インパールからインドに出られたら、米英は困っただろう」と語ったと言う
ことを聞いて、「私はまずいところで消極論を言い、又まずいところで積極論を言っ
たことになる」が、「マーシャル元帥の言には疑問がある」とする。果たして日本が
あの時、対ソ戦に踏み切っていたら、米国はどんな行動に出たであろうか?

この「佐藤賢了の証言」には、日米交渉の発端である「岩畔工作」についても興
味ある記述がある。「一体どうしてこんなうまい話が降って湧いたのかと言うと、
15年の末ごろ、アメリカのカトリック大僧正のウォルシュとドラウト(二人ともル
ーズベルト大統領と関係の深い人)が日本へやってきて、近衛首相その他の要人と
会って、日米国交調整に一肌脱ごうと申し出たのである。陸軍では岩畔大佐がもっ
とも熱心で、武藤軍務局長にも二人を合わせた。これを仲介したのは産業中央金庫
理事とかいう仕事をしていた井川忠雄と言う人であった。細君は確かアメリカ人だ
ったと思う。そこで岩畔君は昭和16年の3月に渡米した。其の前に松岡外務大臣
は、野村海軍大将をアメリカの大使にやった。野村大使は、シナ事変は殆ど陸軍が
やっているんだから、シナ事変のことのわかる人を顧問につけてくれと言うことで、
岩畔君を野村大使の陸軍顧問と言うような関係で派遣することになったのである。

2月の末だったと思うが、岩畔君と私は陸軍省の廊下ですれ違ったとき、岩畔君
が『ちょっとアメリカへ行ってきます。・・・アメリカへ行って少しシナ事変を何とか
しようと思いましてね』と言う。

『これはおかしなことを言うな』と私は思っていた。アメリカへ行ってシナ事変を
どうしようとするのだろう」                  (続く)

佐藤守:
防衛大航空工学科卒(第7期生)。
航空自衛隊に入隊
戦闘機パイロット(総飛行時間3800時間).
外務省国連局軍縮室に出向。三沢・松島基地司令、
南西航空混成団司令(沖縄)を歴任.平成9年退官.
岡崎研究所特別研究員.軍事評論家.
日本文化チャンネル「桜」軍事コメンテーター.
著書に「国際軍事関係論」
ブログ;http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
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2.有馬尉彰コーナー  
  2011年7月24日 !)
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 NHKの開発したアナログハイビジョンTVの方式を一度は採用するかに見えた
米国は放送における新しい方式のヘゲモニーを日本に握られることを嫌って、次世
代テレビジョンの必要要件はデジタル方式であることとした。米国はこの時以来、
流れとして日本より早く放送のデジタル化を押し進めようとしてきた。米国連邦通
信委員会(FCC)は、2006年末までにテレビ放送信号を全て、デジタル化する
と決定している。

 放送のデジタル化を完全に実現するためには3つの要件をそろえなければならな
い。一つには、当然、地上波放送局が、デジタル信号を送出しなければならない。
二つ目は、視聴者が、デジタルテレビジョン受信機を買い揃えなければならない。
そして、最後は、デジタルコンテンツで、魅力的なものが制作されなければならな
い。この三要素が、バランスを取って開発される必要があるという事になる。

 しかし、米国では、年間3000万台もテレビが売れるのに、デジタルテレビは
15万台程度にとどまっているという。FCCは、事態を重く見て、2002年5
月1日までにアナログ放送波に加えてデジタル放送を送出することを局に義務化し
た。この時点では、全米の局で、約束を守ったものは、全体の20%にしかすぎな
かったという。

 1987年にFCCがテレビジョンのデジタル化移行へ舵をきった時の理論的根
拠は、高解像度の映像の実現であった。家庭用の21インチ程度の画面で高解像度
がどこまで必要とされるのか、おそらく、日本でも、米国でもはっきりしないテー
マであるかと思う。少なくても現状では、米国の流れを見る限り、高精細画像より
も、コンテンツに対するより選択性の高い多チャンネル化の方に流れているように
思える。

 米国の視聴者は、無料の地上波テレビを捨てて、毎月50ドル前後も払うケーブ
ルテレビジョンや、衛星放送(Direct Broadcast Satellite)にシフトしている。そ
れは、画質はさておき、100チャンネル以上もの番組の選択性が受け入れられて
きているからである。そして、もっと重要なことは、視聴者の地上波テレビジョン
離れがほぼ完了に近づいてきていることである。

 日本の民間放送事業者は、アメリカに見られるような地上波局の衰退はあり得な
いと主張してきた。しかし、いくつかの点で日本もその例外であり続けられないと
いう兆候が出てきている。まず、野球の巨人戦の視聴率が下がってきていること、
国民のほとんどが、年齢、性別にかかわらず見るとされてきたNHKの年末の紅白
歌合戦の人気が落ちてきていること、そして何よりも、大手企業が、テレビCMの
効果、視聴者への到達率に疑問を持ち出したことなどである。

 これらは、戦後日本の高度工業社会を支えてきた無料広告放送というビジネスモ
デルが制度疲労を起こしてきているということである。今年になって、日本テレビ
などが、積極的にインターネットメデイアとの融合を言い出してきているが、その
実現は極めて難しいと考える。

 デジタル化反対論の中に地方局の経営が行き詰り、ローカル放送の役割が果たせ
なくなるというものがある。しかし、そもそも、地上波放送局の存在意義は、工業
社会の効率を高めるサブシステムとして発展してきたのであるが、その役割はクル
マ、家電製品、化粧品などを、効率的に全国に売るためのものであり、あくまでも
中央の情報を受け取り、視聴者につなげるという役どころであったのである。つま
り、ローカル番組を制作し、ローカルのスポンサーを得て成り立つというシステム
であり得たことは一度たりともなかったのである。

 それではなぜ地上波局のデジタル化が必要なのかというポイントに移ろう。それ
は、工業社会が終わって情報社会に突入した日本や、米国にとって、最も重要な資
源は電磁スペクトルによる帯域になっているということである。ご存知のように新
しい携帯電話会社が誕生しようとしている。その帯域に対する認可を取りあって、
ソフトバンクや、e−アクセスが熾烈な戦いを繰り広げたのは記憶に新しい。

 日本では、ほぼ200Mhzもの広い帯域を地上波放送局が独占している。米国
では400Mhzもの帯域となるのである。これらがデジタル化すれば少なくとも
半分、おそらく3分の1で済むことになるであろう。20世紀型の経済社会システ
ムを闊歩したビジネスが次第にフェイドアウトし、そこに21世紀に発展する新しい技術
を踏まえた産業に場所を譲らなければならない。それが、デジタル化の流れなので
ある。

 米国MITのメデイアラボの所長であったニコラス ネグロポンテはその著
Being Digital の中で「我々は、電話は有線、テレビは無線」の世界に生まれたが
死ぬ時には電話は無線、テレビは有線に変わるであろうと述べた。まさにそれは、
デジタルのコンテクストの中で実現しつつあるのである。
                     2005/08/26                          
有馬 尉彰;
昭和41年学習院大学経済学部卒業 
東急電鉄勤務を経てi-HITS副社長など歴任 
インターネットイニシアテイブ(IIJ)顧問他 政府関係委員多数 
立教大学大学院講師 武蔵工業大学講師 前慶応義塾大講師など 
著書に「マルチメデイアオムニバス」(東洋経済新報社)他 
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3.松永太郎コーナー
  「靖国問題」
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高橋哲哉東大教授のベストセラー「靖国問題」を読んで、「戦後思想」は、つい
になにも生まなかった、という感を深くした。この本に関する批評は、すでに多く
出ているので、

ここでは、こうした本を生み出した背景を考えてみたい。

 「靖国問題」という本を読むと、何か非常な時代錯誤の感覚にこちらが陥る。大
江健三郎や、加藤周一や、丸山真男らがスターであった時代、「社会主義」がまだ輝
いて見えた時代、「アンポ反対」の時代、学校の先生がみんな日教組であった、あの
時代に引き戻される感じがする。つまりは「朝日新聞」などと同様に、そこで時間
が停止しているのである。事実、高橋教授は、青年時代に加藤周一の「羊の歌」を
読んで「憧れた」といっている。「羊の歌」は、小生も高校時代に読んだ。気障な自
己陶酔に満ちた、典型的な西欧賛美の「自伝」である。この人は「日本文学史」な
どを書いているが、その眼識のほどは禅に関する一行を読んだだけでも足りる。

 加藤のような「進歩的文化人」が風靡していた時代のあと、社会主義の崩壊の時
代がやってくる。スターリンの恐るべき犯罪、ポルポトの虐殺、中国での文化大革
命などのすさまじさがあきらかになった。「ベルリンの壁」が崩壊したのである。

私は、これで、いくらなんでも、社会主義国を賛美していた「進歩的文化人」は、
恥ずかしくて沈黙するだろうと思った。自分たちが賛美していた天国は、この世の
地獄だったのである。見当違いもここまでいくと、かなりものすごい。ところがク
メール・ルージュがプノンペンを「「解放」したことを賛美した朝日の論説委員は、
なにくわぬ顔をしてTVに出続け、金日成の北朝鮮(そこは、この世の本物の地獄
であったが)を「天国」のように賛美していた小田実のような人たちも、平然と同
じようなことを書き続けている。なかには本物の北の工作員である大学教授もいる。
もちろん、「朝日ジャーナル」(!)の筑紫哲也も、しわを見せながら、にたにたし
てTVに居座っている。つまり日本においては「社会主義の崩壊」は起こらなかっ
たのだ! これでは、時間が停止するのも道理である。高橋哲哉教授のような若い
世代は、自分たちが「憧れて」いた先輩たち「進歩的文化人」の「賛美歌」の対象が
崩壊したことを知らないのである! 

その間に大学紛争が起こっている。私はここで、曲がりなりにも戦前から続いて
いた日本の学問の伝統が途絶えた、と考えている。残ったのは廃墟であった。ポス
トモダンの到来である。

ポストモダンとは、「廃墟」をかっこよく見せる技術である。もともと建築から
始まった。今では、そうでないような顔をしている磯崎新も、ポストモダン全盛の
ころはまんざらでもないような顔をして「廃墟、廃墟」と言っていたのである。そ
してこのポストモダニズムを、ほんものの廃墟となった日本の「アカデミズム」に
直輸入したのが、いわゆる「ニューアカ」と呼ばれる連中であった。ジル・ドウル
ーズ、ミシェル・フーコー、ジャック・デリダなどのおフランスの先生方の輸入で
あり、何のことはない、一昔前は誤訳だらけのサルトル、その次は、コーゾーシュ
ギをふりまわすような、舶来ものをありがたがる伝統の再現である。おフランスは
伝統的に、哲学者は左翼と相場が決まっている。ただし日本の左翼は、おフランス
に憧れるが、おフランスの哲学者は、おフランスが一番偉いと思っているところが、
えらい違いである。

さて、このフランス3人組(ジルとミシェルとジャック)の根っこには、「ニヒ
リズム」がある。一切の「価値」は、でっちあげられたものだ、というのである。
デリダにいたっては、西欧の哲学者(無論自分以外は)全部、本当に言いたいこと
と、実際に言っていることは正反対だ、と言い出したのである。

これで哲学の息の根は止まってしまったが、そんなことは輸入業者には関係ない。
高橋教授はデリダを、上野千鶴子教授は、フーコーを、それぞれ専門(店)として、
ものを書き始めたようである。内実は廃墟である反社会的な「左翼思想」に「かっ
こいい用語」をまぶしながら(用語一覧「回収」「召還」「亡霊」「他者」「加害者」
「被害者」「解体」その他)。

高橋教授は「錬金術」というマンガ用語がお好みのようである。ニヒリズムと全
体主義的なマルクシズムが合体したとき、どんな錬金術、じゃなかった化学反応が
起こるだろうか。その見本が「靖国問題」である。中身はまったくない。ただの破
壊衝動である。上野東大教授が書くことも、同じである。東大という「体制」その
ものにいながらも、体制破壊、社会解体の衝動に駆られているだけなのである。問
題は、そうした日本社会に対する破壊衝動が、しばしば日本に対する外国の破壊衝
動を呼び起こす、という点である。この点は、この人たちは非常によく気が付いて
いるようで、高橋教授は天皇を戦犯とする「裁判」を支援し、上野教授は、いくら
かかるかわからないような税金による「従軍慰安婦に対する国家補償」を求めてい
る。日本社会を解体したいという彼らの欲望が透けて見えるのである。早く「廃墟」
にしたいのであろう。

松永太郎;
東京都出身 
翻訳家、多摩美術大学講師、レモン画翠社長
主訳書「進化の構造」「イカロスの飛行」他。
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4.奥山篤信コーナー
 書評 国家戦略から見た靖国問題 岡崎久彦著 PHP新書
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テレビ出演の際、国際情勢などに何の基礎知識もない連中が知ったかぶりをして、
やれ庶民感覚とか、主婦感覚と称して喋りまくり、まともな解説をしようとしても
十秒、せいぜい長くて二十秒しか話させない。世の中には、問題によって、どうし
ても三十秒はかけないと説明できないこともあるということが分からない。岡崎氏
はこう嘆いておられます。確かに岡崎氏にマイクが廻ってくる場合、このようなテ
レビの事情をご存知だから、結論を単刀直入に述べる以外にないので、岡崎氏のお
話はどうしても道理の分からない連中には身も蓋もないないように響いてしまいま
す。

その岡崎氏の新刊ででていたので早速本屋で購入して一気に読みました。表題か
ら靖国問題だけかと思いきや、内容は台湾問題、朝鮮問題、イラク問題、教科書問
題、アメリカ問題、日米関係まで幅広く、主に産経新聞、読売新聞、VOICEなどで
過って出された論文を纏めたものでした。

本の題名にあるように、特に靖国問題については、その参拝の原理から中国の反
日騒ぎ、政府のナショナリズムの危険性などを、全てしっかりと書かれており、こ
れを読めば靖国問題について誰もが納得できると思います。個別に発表された、独
立した論文が、そのまま繋ぎ合わせても見事な全体像となるのは、恰も氏がこれら
論文集を一つの本にしようと予ねてから考えておられたようで、まさに氏の頭脳明
晰さを示しています。

僕自身は今年8月15日小泉首相の靖国に対する頓珍漢な考え方(不戦の誓い、
こころならずも等)はともかくとして、参拝して欲しかった。岡崎氏の書かれてい
る通リ、参拝したところで、現状中国政府として反日デモを拡大させる余裕はない
状況で、ここで日本の国家主権を毅然と明確にし、不当な中国や韓国の外交カード
としての内政干渉をこれ以上シャットアウトするチャンスだったと思っていたから
です。一方岡崎氏は、この書の中で8月15日参拝に特に拘泥されて居らず、本来の
例大祭参拝を行うことが適切と言われています。日本の財界首脳などが中国の顔色
を見て、首相は靖国神社に参拝するななどと、国家の名誉より対中経済の方が大切
かのように雑音を立てています。ここで岡崎氏は第一次大戦前、イギリスの経済学
者ノーマンエンジェルの『欧州相互間の経済依存性がこれだけ大きくなったのだか
ら戦争はいまやない』との予言が見事に外れたことを引用され、中国が政経分離の
原則を守らない限り、国際的な名誉ある地位は得られないと警告されており、まさ
に至言と思います。

この著書のまえがきにもありますが、岡崎氏は『一旦書き物にしたものは、後世
に残っても恥ずかしくないものを書くべきで、一度書いたものは、その後情勢がい
かに変わっても、明らかな誤字、脱字以外修正しない。』信条を持っておられます。
この本はまさに、その信念で書かれた論文集であり、一つ一つが気合の入った論文
であり、現代の外交の問題点がこれを読むことで読者の頭の整理になることは間違
いないでしょう。

そして、これを読めばテレビの視聴者も岡崎氏の単刀直入の言葉の裏の意味も咄
嗟に理解できるのではないかと思います。是非ご購読をお勧めします。

奥山篤信:
昭和45年京都大学工学部建築学科卒
昭和47年東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社 
コンサルタント会社ストラテジーズ設立 
勉強会『平河サロン』主宰
平河総合戦略研究所代表理事
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5.桜井裕子コーナー  
  硫黄島で奮戦した益荒男たちに捧ぐ!)
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 市丸利之助少将「ルーズベルトに与ふる書」(上)

 硫黄島は、栗林忠道中将の項でもご紹介したとおり、日本から1200キロ南に位
置する面積でいえば東京都品川区くらいの平坦な島です。
 この地で日米両軍が死闘を繰り広げたのは、戦略上、日米両国にとって大変重要
な位置あったためでした。硫黄島は、サイパン・グアム・テニアンなどのマリアナ
群島と日本本土のちょうど中間地点に位置します。

 昭和19年6月、米軍はマリアナ諸島を制圧し、B29爆撃機による日本への長距
離爆撃を開始していました。米軍としても、不時着や故障した際の基地として、三
つの飛行場をもつ硫黄島は確保したい拠点でした。一方、日本側も硫黄島には無線
所もあり、本土を防衛する上でも、何としても死守しなければならない島でした。
 こうして大本営は、小笠原兵団第109師団(栗林忠道陸軍中将)、混成第2旅団
(千田貞季陸軍少将)、第27航空戦隊(市丸利之助海軍少将)、軍属、少年兵の総
勢21,000人を投入します。

〈死の渕から蘇り予科練育ての親に〉
 海軍航空部隊指揮官として着任した市丸利之助少将は、明治24年9月20日、佐
賀県東松浦郡久里町に生まれ、唐津中学を経て海軍兵学校に進みます。しかし、大
正15年、大尉のとき、霞ヶ浦航空隊で飛行中に、飛行機の操縦索が切断して墜落
し、一命は取り留めたものの、右大腿骨骨折、頭蓋骨折、右股関節脱臼、顔面複雑
骨折という瀕死の重傷を負い、その後、三度にわたる大手術と長期療養を余儀なく
されます。

「いったい、自分は軍人として留まるべきかどうか」という逡巡と苦悩の中で、市
丸氏は、禅や仏教の門をたたくこともありました。療養している間、漢詩や短歌、
俳句や書、謡などを通して、内省しつつ精神修養を重ねる日々を送ります。その後
も、最期を迎える直前まで、柏邨(はくそん)の号で『冬柏』に歌を投稿する文人
軍人でもありました。

 ようやく体の回復に目処が立った市丸少佐は、「もう、これからは民間人としての
道を進もう」と辞表を胸に海軍省人事部に出向きました。しかし、海軍は市丸少佐
に海軍予科練習生の教育担当の道を用意していました。昭和5年、横須賀海軍航空
隊に少年航空兵の教育機関として設置された初代予科練部長に着任します。
 海軍飛行予科練習生は、小学校高等科卒業生を三年かけて飛行搭乗員に養成する
もので、当時の若者の憧れの的であり希望の星でした。まさに日本海軍の至宝とも
いうべきパイロットの育ての親が市丸利之助氏でした。
 しかしその後の戦局の悪化で、予科練一期生79人中、終戦を生きて迎えたのは
わずか23人でした。

 その後、市丸は、横浜空指令、父島空司令を経て、昭和14年には第13空司令と
して中国に出陣し武漢攻撃を行います。昭和15年10月末に帰国して牧野基地、鈴
鹿航空隊、木更津基地を経て19年夏、第27航空隊司令官を拝命します。
 漢口から上海を経て千葉・木更津飛行場に向かう際に、以下の句を詠んでいます。
 西の空われ伏し拝み黙祷す 陣歿将士五十の霊に

 帰国したある一日、佐藤継信・忠信の母が、山伏姿で陸奥に追われて下る義経主
従を接待するという謡『摂待』をうたいながら、落涙します。敗者とその遺族の境
遇の哀切さが、市丸司令の心の琴線に触れてのことでした。
 若き時に、自らも挫折を経験し、周囲には、負傷したり戦死した多くの同僚や部
下がいました。そこに思いをはせたのでしょう。その場に同席していた就学前の三
女・美恵子は、いつもの父と違う様子に大好きな菓子も口にできないほどだったと
歌に詠んでいます。
 摂待を謡ひて父の泣くを見て 少女驚き菓子もえ食べず
 戦陣に遂に落さぬわが涙  家に帰りて落す不覚さ
 そして昭和十九年八月上旬、市丸利之助少将は、妻・スエ子と一男三女を残して
木更津基地から硫黄島に向かいます。

〈飛行機がないからこそ自分の存在価値がある〉
 硫黄島は、40度を超える地熱と硫黄ガスによる劣悪な環境でした。さらに日本軍
は、対米戦争に備えて日夜を分かたぬ地下壕建設のために、十分に休むこともでき
ない日々が続いていました。しかも、昭和20年になると、硫黄島の海軍航空隊に
ある飛行機で飛べるものは2機のみになります。

この状況に、陸軍の一幕僚は市丸司令官に、「飛行機もないこの硫黄島で、パイ
ロットの草分けが陸戦指揮をするのは、国家のためにもったいないことではないで
しょうか」と問いかけたところ、市丸司令官は、「1機も飛行機がなくなったからこ
そ、私の存在意義があるのです。飛行機がなくても、私は戦います。死なばもろと
もという気持ちを将兵は分かってくれるでしょう」と静かに答えたといいます。

 市丸司令官の下には、6000人近い海軍の将兵がいました。市丸少将は、日々、地
下壕の陣地を巡視しながら、融和を保ち、最後まで如何に戦い抜くかに心を砕きま
す。不平不満を漏らすことなく部下を思いやる栗林中将と市丸少将のコンビによっ
て、硫黄島では将兵の士気は最後まで高い状態に保たれていました。

〈夕暮れの硫黄島の空に響く『故郷の空』〉
 硫黄島には、暗号員として少年兵が多くいました。彼らは、手の空く夕暮れ時に、
蝋燭岩といわれる岩の下で歌を歌ったりくつろいで過ごすことがありました。
結果的に海軍司令部でただ一人の生き残りとなる松本巌上等兵が、ある夕刻、彼
らの歌声が聞こえてきたので、邪魔をしないようにと岩の反対側に回ろうとしたと
ころ、そこには市丸少将が瞑想にふけるかのように目を閉じて座っていました。

あわてた松本上等兵は、挙手をしてその場を立ち去ろうとすると、市丸少将が「シ
ーッ」と言って、手招きをします。恐縮しながら市丸司令の隣に腰を下ろすと、「夕
空晴れて秋風吹き 月影落ちて鈴虫鳴く 思えば遠し故郷の空 ああわが父母いか
におわす」と『故郷の空』を合唱する声が聞こえてきました。
何気なく横を向いた松本上等兵が見たものは、市丸少将の頬を伝う涙でした。遠
からずこの島に訪れるであろうサイパン島と同じ運命が、まだあどけない少年兵た
ちにも降りかかることを慮っての涙だったのかもしれません。

〈七生報国、百年後の日本民族のために〉
昭和20年2月16日、米軍の上陸とともに硫黄島、最後の戦いが始まります。
日本軍将兵は、「祖国の楯たらん」という思いで、一丸となって1月余りの米軍
の猛攻撃に対して反攻をしかけます。死傷者総数では米軍2万8千余、日本軍2万
人と、米軍に大打撃を与えた戦いでした。
3月16日、最後の総攻撃を行う旨、栗林最高指揮官は東京の大本営に打電しま
す。翌日、市丸司令官は海軍司令部を赤田参謀に委ねるとして、陸軍司令部壕に合
流するに先立って、歩行可能な60名を集めて最後の訓辞を行います。
市丸司令官は、部下将兵があらゆる苦難に耐えて、前線奮闘したことに謝したう
えで、「七生報国、百年後の日本民族のために殉ずることを願う。しかし、決して死
に急いではならない。如何に生きて敵を倒すかが肝要だ」となおも説いて、『ルーズ
ベルトに与ふる書』を読み上げます。

この『ルーズベルトに与ふる書』については、次週、ご紹介します。

桜井 裕子: 慶應義塾大学文学部英文科卒業。PHP研究所、PHP
エディターズグループ勤務を経て、フリーに。主に書籍のプロデュースや
執筆・制作を手がける。
最近の作品は『新・国民の油断』(PHP研究所、西尾幹二・八木秀次)、
『この国を守る決意』(扶桑社、安倍晋三・岡崎久彦)など。
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6.西山弘道コーナー  
 「『常任理事国』問題はどうなった!」
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 29日、総選挙が告示され、日本列島は選挙一色となった。争点は小泉氏の思惑
通り、郵政民営化の是非を問う“国民投票”となりそうで、外交問題は今回、全く
“蚊帳の外”だ。特に選挙前、小泉首相も外務省もあれだけ熱を入れていた「国連
常任理事国入り問題」は一体、どうなったのか?完全に失敗したのだ。首相を始め
外務省は“戦後日本外交の最大の失敗”というべき、その責任を重く負わなければ
ならない。
 国連安保理の改革で、日本、ドイツ、インド、ブラジルの4カ国(G4)が提出し
た枠組み決議案は、当初予定の9月採決は絶望的となった。G4が目指したAU(ア
フリカ連合)の決議案との一本化が、AUの反対で座礁したことが痛かった。そもそ
も、日本はG4という形で共同戦線を組んだ戦略がよかったのか十分反省すべきであ
る。日本独自、一国で名乗りを挙げるべきだった。それをドイツの誘いで、G4を結
成したことに誤りがあったのではないか。また、日本の最大の友好国、アメリカの出
方を見誤ったことはどうしたことか!アメリカがG4の決議案に賛成するどころか、
「日本+1カ国」に絞るべきだと「逆重要指定事項方式」のような姿勢に出てくると
いう、米国内の情勢を我がワシントンの日本大使館は何故つかめなかったのか。
 外務省は今年5月、世界に駐在する日本大使100人を東京に集結させ、町村外相
が、常任理事国入りで“檄”を飛ばしたという。その旅費だけでも大変な“国費”に
なろう。また町村外相が、G4決議案への賛成固めでASEANを訪問した時も、すで
に中国の“工作”で、タイ、ベトナム、シンガポールといった、本来なら即座に日本
に就く国が、賛成に難色を示したという。こういった中国の“特務工作”をわが外務
省は手を拱いて見ていたのだろうか。
 日本が戦後60年目の国連改革年をターゲットに、常任理事国入り戦略をスタート
させたのは、川口順子外相の時だった。民間人で“非力”といわれた川口“ポン子”
前外相も、この問題には力を入れたようで、外務省の“全力”を投入した。その一つ
が、東大教授で外交問題の“権威”の北岡伸一氏を国連次席大使に任命したことであ
る。一体、北岡氏は何をしたのか。7月、ニューヨークの高級ホテルで、日本の国連
代表部が主催した常任理事国入りの“支援パーティ―”で、シャンパングラスを持っ
て接待していた北岡氏の姿がテレビに映っていたが、その程度のものだったろう。
 日本は国連に対し、米国に次いで20%の分担金を毎年、拠出している。もっとも、
米国は分担金の滞納を続けており、実質的には日本が世界一の分担金を律儀にも支払
い続けているのだ。金だけ毟り取られて、常任理事国として言いたいことも言えない
のなら、来年以降、分担金の支払い中止を国連に通告すべきだ。選挙が終わったら、
直ちに国会で議員提案によって、国連分担金支払い中止法案を提出すべきである。
そしてこの問題で、米中の出方を見誤った外務省幹部を「職務怠慢」として、更迭し
て、責任を取らせるべきである。

西山弘道:
昭和44年早稲田大学政治経済学部卒業後、
文化放送入社以来、放送記者として30余年、
ニュースの現場を踏む。
平成5年報道部長。兼ニュースキャスターとして
「西山弘道の世の中朝一番」なfどの番組で活躍。
また政治記者として、田中内閣以降の「永田町戦国史」
をウォッチ。
現在、文化放送編成局次長。
------------------------------------
7.花岡信昭コーナー
「ばらまき」復活でいいのか
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 マニフェスト選挙もすっかり定着したが、気になることがある。やたらと「ばら
まき」型の大盤振る舞いが増えているのだ。

 公明党のマニフェスト「日本を前へ。改革を前へ。」を見よう。自民党との連立政
権維持を強調するため、郵政民営化を前面に掲げているが、優先政策の第一は「ま
かせて安心!子育て支援・年金・医療・介護」。

 「チャイルドファースト社会」(子ども優先社会)を構築するとして、児童手当を
小学校3年から6年までに拡大、所得制限を緩和(現行年収780万円を1000
万円に)、次の段階として中学3年生まで引き上げ、第3子以降2万円へと倍増をめ
ざす。出産育児一時金を現行30万円から50万円に、中小企業の育児休業取得者
1人当たり100万円の助成―など、さまざまな「おいしい話」が並んでいる。

民主党はどうか。「日本刷新8つの約束」の3番目に教育改革があり、公立学校改革
に着手し月額1万6000円の「子ども手当」を支給します、などとある。現行の
一時金に加え20万円の出産時助成金支給というのもあるから、これは公明党の公
約と同じか。

 郵政改革が象徴するのは「小さな政府」への転換であるはずだった。こういうば
らまき福祉は、国が何から何まで面倒を見る「大きな政府」の典型例として、すで
に過去の遺物となっていたはずなのだが、政策理念を欠いたまま、ばらまきの額を
競うというのではいかんともしがたい。

 むろん、社会的弱者への対策は十分に行われるべきだが、これはむしろ地方の基
礎的自治体が担当すればいい。「三位一体」に象徴される「国から地方へ」の発想は
本来、そういうものであったはずだ。

 やれ手当だ、助成金だといったものを増やそうというのは、実は役人の生き残り
策でもある。それだけ実務が増えるから役人の仕事はなくならない。もうそういう
がんじがらめの国家から脱却しようではないか。

 国は、外交、防衛、安全保障、危機管理、通貨といった国家の主権、生存にかか
わる基幹的な政策をやってくれればいい。そのほかの国民生活密着型の施策は地方
にまかせればいいではないか。そのために道州制が必要だというのであれば、地方
自治の構図を思い切って変えればいい。

 これは税制分野でも同様だ。やれ控除を増やすだの、時限的減税だのといったこ
とを毎年、繰り返しているから、税務署の役人は減らないし、税にぶら下がってい
る巨大な集団が存在する。消費税を20%ぐらいにして、法人税、所得税など直接
税は一律10%程度にすれば(あるいはなくしてしまってもいい)、税制ははるかに
簡素化され、公平となる。そのほかのちまちました個別税制は必要なくなる。

 「骨太の改革」というのなら、それぐらいの大きな構想で臨んではどうか。マニ
フェストなるものは、どういう国家をめざそうとするのか、国家観、国家像を生き
生きと描いて、はじめて意味が出てくる。やたら重箱のすみをつつくような項目の
羅列で、ばらまき政治を展開させようというのではマニフェストの名に値しない。

花岡信昭:
政治ジャーナリスト、慶應義塾大学院・国士舘大学院非常勤講師、
読売新聞監査委員会審査委員。
1969年早大政経学部政治学科卒、
産経新聞入社、政治部長、論説副委員長などを経て2002年退社、評論活動に入る。
著書に「小泉純一郎は日本を救えるか」(PHP)など
サイト:http://www.hanasan.net/
-------------------------------------
8.青葉ひかるコーナー  
 「愛・地球博」つれづれ考
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入場口にたどり着くまでに、まず約1時間待ちの苦行がはじまる。入場すれば、各
パビリオンの前で「70分待ち」「140分待ち」の看板がたちはだかっている。

例えば「日立館」の「240分待ち」の看板を目にしながら立っている人々の顔、
顔、顔は楽しいであろう万博へやって来たという表情からはほど遠く、呆然と暑さ
と待ちに耐えている。
「愛・地球博」に来たのだから、頑張って待って見なければならないという義務感
にも似た悲壮感さえ漂ってくる。
夏休み最後の日に駆け込んだ楽しいはずの万博も、この意味のない長い時間の「待
ち」に子供たちの笑顔も消えている。

「自然の叡智」も「地球の素晴らしさ」も「環境と科学」も「地球市民の参加」も
「最新テクノロジー」もいいが、この原始的「待ちの行列」はなんとかならないの
だろうか。

体を動かして、汗をかいて働いたり、遊んだりするのではなく、このナンセンスな
「待ち」の時間を、私達大人は、何と言って子供たちに理解させれば良いのか。
いえ、大人もどのように理解、納得すれば良いのか。
「夢」をみて訪れる人も多いでしょうが、楽しさも「待ち」で半減、疲れで不満も
倍増、さて万博とはいったい何ぞや。

国民の多くが足を運び、散財し、確かにそれなりに経済効果は出るであろう。大い
なる無駄などとは言い難いが、このとてつもない大きな産業廃棄物を目の前にする
となんとも複雑な気持ちになるのは私だけではあるまい。

パリのエッフェル塔が、昔の万博の出展物であったことを思うに、素晴らしい芸術
性と実際の都市計画に生かされている点などに「人間の叡智」を感じるが、今回の
場合は、残すべき価値あるものはあるのだろうか。ほとんど再利用されることには
なっているようであるが。

日本は豊かな自然が身近にあり、それを生かす知恵の文化が育まれている国である。
自然のエネルギーを活用したり、未来のエネルギーのあり方などを示唆していた代
表的なのは、「日本館」や「電力館」であった。

「日本館」では、昔ながらの知恵を、限られた資源の中で共生させて未来を確かな
ものにしていく、そして、いつのまにか自然の有り難さを忘れている私達に語りか
けているという内容であった。

「電力館」は「わたしたちの夢、地球の未来」をテーマにし、子供たちの夢と想像
力あふれる絵でパビリオンの外見を飾り、人と自然への優しさを全身で発信してい
るのが感じられた。
世界の最先端をいく日本の省エネルギーの技術を未来にもっともっと生かしていく
かを考える機会でもある。

今回の万博全体に流れていたメッセージは「この美しい地球を守っていこう」とい
うことであろうか。
「環境を考え、地球を守る」この大切なコンセプトがあらゆる先端技術にも生かさ
れてこそ、未来社会に希望が持てるということであろう。

しかし、地球や自然の偉大さに圧倒された時、大きな自然の摂理を前にした時、余
りの人間の無力さを知った時、「人間が地球を守る」などと考えること事態、地球に
対しておこがましいのも事実であろう。
しかし、これを言ってしまうと、身も蓋もない。

人類がそれに向かわねばならないのも確かであるから。    05・09・01

青葉ひかる;
三重県出身
早稲田大学卒 
元日本航空(株)勤務
評論家 
2525計画推進協議会(2525プラン)会長
http://www.2525plan.jp/ 
ラジオ日本(1422kHz)
「青葉ひかるのガンバレ日本」
毎週(土)16:50〜17:00放送
------------------------------------
9.山崎行太郎コーナー  
 ケインズ革命かルーカス革命か   
-------------------------------------  
日本は今、衆議院選挙の渦中であるが、そこで頻繁に使われている流行言葉に「小
さな政府」論がある。「民間で出来るものは民間に任せ…」、「公務員を削減し…」、
「政府による無駄な公共事業を減らし…」、「国債発行による財政支出や人件費等
の政府支出を抑制し…」て、「財政赤字を減らしていく…」という「小さな政府」
論である。自民党が、今回の選挙の目玉として使っていることから、立候補者自身
の口から聞くだけではなく、テレビや新聞でもしばしば耳にするお馴染みの言葉だ
が、この言葉の意味はそれほど単純ではない。

小泉自民党は、「小さな政府か、大きな政府か…」と、選挙用に単純な二者択一を
迫っているが、立候補者たちがその経済学的な理論的背景を理解しているのかどう
か疑わしい。彼等には、「小さな政府による節約か、大きな政府による無駄遣いか
…」程度の意味でしか理解されていない。経済学に「無知・無学」な選挙民を洗脳
し、煽動する選挙用のキャッチフレーズとしてはそれでいいかもしれないが、政府
の経済政策の担当者たちまでそれでは困るのである。しかし、現実には、政府の経
済政策担当者たちまでもが、その意味をろくに理解していないというのが実情だろ
う。「小さな政府」論の経済学的背景とは何か。「小さな政府」という言葉には、
政府による「経済政策の放棄」という重大問題が隠されている。

「小さな政府」の起源はアダム・スミスに遡る。いわゆる、国家や政府の政治的介
入がなければない方が経済はうまく機能するという古典派経済学の理論である。余
談だが、その理論的な誤謬を理論的に批判・克服して新しい経済学を切り開いたの
がマルクスでありケインズであるが、今更言うまでもなく、冷戦終結後、アメリカ
を中心に活況を呈しているのは、マルクスやケインズの経済学ではなく、アダム・
スミス的な古典派経済学の復刻版、いわゆる新古典派経済学、新自由主義の経済学
である。小泉政権(小泉改革)の経済政策を支配する経済思想もまたこの流れを踏
襲している。

この経済思想を理論的に根拠付けたのがフリードマンでありルーカスである。特に
ルーカスの「ルーカス型総供給方程式」こそ、その理論的な核心を形成するものだ。
しかし、丹羽春喜博士は、こう言っている、「今日の新古典派経済学における合理
的期待形仮説や自然失業率コンセプトに基づくケインズ的総需要無効論の理論的核
心が、ルーカス(lucas,r,e,jr)の定立した『ルーカス型総供給方程
式』にあるということは、エコノミストたちの間では周知のところであろうが、そ
の導出の論理は意外に知られていない。」(丹羽春喜『ルーカス型総供給方程式の
一般化』、計画行政学会「計画行政」24巻3号、2001)

さて、以下が「ルーカス型総供給方程式」だが、この方程式が意味するものは何か。

(現実の生産水準)ー(自然失業率に対応した生産水準)=a・(《実際の物価水
準》ー《期待【予測】物価水準》)

山崎行太郎;
文藝評論家
昭和47年慶応義塾大学大学院(哲学専攻)修了
東京工業大学講師を経て現在、埼玉大学講師、
日大芸術学部講師。
著書『小林秀雄とベルグソン』(彩流社)『小説三島由紀夫事件』(四谷ラウンド)
その他。
http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/
http://yamazakikoutarou.gooside.com/
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次回の配信は、9月9日(金)を予定しております。どうぞお楽しみに!
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登録内容(メールアドレス等)の変更、メールニュース配信の停止は、
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