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ぶんぶん便 No.218

発行日時: 2004/7/20

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■■■    「ぶんぶん便」  2004/7/20  No.218
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  作/者/か/ら/

拾った犬や猫の誕生日って、どうやって決めるのでしょうか?

動物病院のカルテには誕生日が必要らしく、
「7月1日にしておきまひょか?」と言われ、
わがやの愚猫いなもとは、そうゆうことになってます。

安易に決めると、忘れます。3日ほど過ぎて、気付きました。
「こいつ、1才になってる…」

生まれて初めて迎える誕生日なのに…ごめん。

急きょ、誕生日を7日に移動しました。
もともとがねつ造だし。罪悪感はありません。

プレゼントは「体を洗ってあげる」。

ありがた迷惑だったようで、私と娘は傷だらけになりました。


▲▲
@@ いなもと写真館更新しました↓
    http://homepage1.nifty.com/jyk/js/ina.html


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■ ハナもちならない話

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ハナもちならない話をしようと思う。

ハナもちならない話は、するほうは嬉しくて、
されるほうは勘弁して…というものなので、
本来は遠慮すべきなんだけど、今日は無礼講でいっちゃおう。

無礼講。つまり、読んでいただいてる…という身分を忘れ、
書きたいことを書きなぐっちゃう…。

「それ、いつものことじゃん」と、誰か言ってる?

さて始まります。用意はいいですか? 
無礼がイヤな方はファイルを閉じてくださいね。

ハナもちならない『花』のお話。


私は前の夫によく花をもらった。
…しょっパナからハナもちならないでしょ。

つき合っていた学生時代から、たびたび花束をもらった。
どんなタイミングでもらったのかは覚えてないけど、
デートから帰ると、私は大きな花束を抱えていた。

「まあ! きれいね」
それを見た母の、はなやぐ声を覚えている。
「花って、女にとってうれしいものなんだ」と気付く。

そうか…女が喜ぶと思って、贈ってくれるのだ。
それはたいへんありがたいことのように思える。

花瓶を用意し、いそいそといけるのは母で、
「毎日水をかえないと駄目よ」と言いながら
結局、花の世話をするのは母で。
花は私の部屋ではなく、母のいる居間に飾られた。

母の青春時代は「女友達と銀座で映画を観る」のが
ロマンチックの最高峰だったらしく、だからかな。
母は娘の青春を一緒に楽しむようなところがあった。

「さっき○×クンから電話があったよ。ふふふ、なんだろ?」とか。
「明日はデート? 何着て行くの? たまにはスカート履いたら?」とか。

女は花が好き。というより、人はだいたいにおいて、花を好む。
花とのかかわり方は人それぞれだ。

私はどちらかと言うと、土にはえている草花を眺めるのが好き。
たんぽぽとか、シロツメクサが好き。
切り花にはさほど興味がなかったが、
花を贈る行為は、スマートでいいな、と思う。
切り花は消耗品である。
残らないものを贈る。それはおくゆかしい行為だと思う。

私と彼は結婚し、しばらく彼が勤める会社の社宅に住んでいた。
大きな集合住宅で、広い敷地に小さな公園もあった。
ひととおりの家事を終えた主婦達が、
赤ちゃんを抱えて、あるいはただふらっと、その公園に集まり、
世間話をしながら、のほほんとひなたぼっこをする。

そんな昼下がり、通用門から、ライトバンが侵入してきて停まる。
全国チェーンの花屋さんの車だ。
若い運転手が降り、おっそろしく派手な花束を抱えて、
住宅の階段を昇っていく。

公園中央の花壇のレンガに座り込み、
めろんぱんをかじっていた私たちは、
息を飲んで見つめる。「どこへいくんだろ…」

「あ!」
私は起立して手を挙げる。
「うちです!」

2階の我が家の玄関前で、呼び鈴をガンガン鳴らす花屋さんは、
下の公園で、手を挙げてぴょんぴょん跳ねている私に気付き、
だだだっと階段をかけおりた。
そしてたっぷりな花束を私に渡す。

主婦仲間が「誰から? なんなの?」と覗き込む。
花束にはカードが添えてある。

『おかあさんいつもありがとう』

母の日なのだ。母の日だから、まだ幼い娘に変わって、
夫が私に花を贈ってくれたのだ。

一緒に住んでるのに、届けさせるなんて、手が込んでいる。

「できたご主人ねえ」みんながため息をつく。

私は思ったの。
私にはもったいない夫だな、って。
こんな優しい人が私を選んでくれたなんて、
私はなんてツイてるんだろう、って。

花はもちろん、私がいけて、毎日せっせと水をかえた。

でもこの「私にはもったいない」という感覚は
夫にもあったようで、つまり
「ぼくはJUNKOにはもったいない男だ」と気付いたようで
それからまもなく、夫は遠い人となってしまった。

今は花を贈るに足る素敵な女性に花を贈っているのだろう。


しばらくして。花とは無縁に見える人と、私は再婚した。

私が毎朝出勤し、夫は自宅の仕事場で仕事、という生活がスタートした。
「いってらっしゃい」はかつて私の専売特許だったが
言われる身になると、なんだかすごくありがたい気持ちになる。

世のサラリーマンたちは、奥さんの「いってらっしゃい」に
どれくらい感謝しているのだろう。聞いてみたい。

仕事から帰ると、居間に花がいけてある。
「きれいね」と言うと、夫はほこらしげに
「近所の花屋で買ったんだ」と鼻をぴくぴくさせて言う。

あまりに得意顔なので、私はしばらく何も言わなかった。
3回目に、そろそろいいかな、と思って言ってみる。

「これ…仏花だと思うんだけど」

それは、はっきりそれとわかる花束で売られているものだ。
好意はうれしいけど、毎回それではちょっと気になる。

夫は「そうなの? 全然気付かなかった」と素直に言い、
しげしげととそれをながめた。
それは寒色系の菊で、つつましいたたずまいをしている。

この人はこういう花を選ぶのね…。
私は興味深く、彼と菊を見比べた。
さらに頭の中で、昔もらった大きな花束とその菊を比べた。

花は、贈られる人ではなく、贈る人を表すなぁと思う。


ある日、家に帰ると、花瓶の様子が変だ。
たしかに仏花ではないのだが、今度のは…なんていうか、
草なのだ。草。しかも妙に少なく、しおれている。

夫は、もぞもぞしながらこう言った。

「今日は、ちゃんと違う花を選んで買ったんだよ。
それを後ろ手に持ちながら、飛ぶように帰ってきたんだ…。
家に着いたら、包み紙だけ手に残ってて、中身がなくなってる。
途中で落としてきちゃったみたい…」

「どのくらい?」

「だから全部…」

「…」

「あきらめきれなくて、拾いに戻った。
ところどころに1本ずつ落ちてて、拾えたのがこれだけ…」

「…」

くくく…夫は笑い出す。
説明しながら、拾って歩いた自分の姿を想像し、
あまりにかっこ悪くて、愉快になっちゃったみたい。

ひゃははは…私も笑う。

仏花ではない花を買い、得意になってつっぱしる夫の後ろから、
するりするりと花が抜け落ちていく様を想像したら、おっかしくって。
しまいにふたりでゲラゲラ笑った。

私は思ったの。
私にはもったいない夫だな、って。
こんなおかしな人が私を選んでくれたなんて、
私はなんてツイてるんだろう、って。

ハナもちならない話でしょ?

さんざん笑った後に、ふと思う。
「どんな花だったんだろう。彼の選んだ花は…」
なんとなく、想像がつくけど。


切り花は、ぎりぎりまで咲いてもらって、
もうそろそろ駄目かな? と判断したら、
いさぎよくドライフラワーになってもらう。
それが我が家の花の一生なのだが、
このドライフラワーをいなもと(猫)が食べてしまう。

しゃりしゃりしゃり、と歯ごたえがいいみたい。
あまりにうれしそうに食べるので、叱るのを忘れて見とれてしまう。

人間の住居で、文句も言わず、気持ちよさそうにあくびなどして
機嫌よく暮らしているいなもと。
障子をやぶるけど、全部やぶることをせず、そこそこやぶって、
満足してるいなもと。

いてくれて、なごんでくれて、ありがとう。

我が家にはもったいない猫だ。
私はつくづく、ツイている。



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