ぶんぶん便 No.207
発行日時: 2004/5/4■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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■■■ 「ぶんぶん便」 2004/5/4 No.207
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最近、うちの亀は、頭と前足をすっかりひっこめ、
後ろ足としっぽをすっかり出して、寝ています。
想像してみてください。
すっごく、おかしいんです。
亀の名前は『ほっぺ・みかん』といいます。
ほっぺがみかん色だからです。
――C―o―n―t―e―n―t―s――――――――――――――――
■ ジミオジの告白 (今月のコラム)
□ シネマ de ぶんぶん
○ お知らせ
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■ ジミオジの告白
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先日、幼馴染みのオジサンと飲んだ。
ちょっと年上で、小さい頃は、オニイサンだったけど
ここまでオトナになると、ただのオジサンとオバサンである。
オジサンとオバサンの会話だから
「昔はああだった。こうだった」という話になりがちだ。
昔を振り返り、幼い自分の成れの果てである今の自分を査定して、
喜んだり悲しんだりする年頃なのだ。
人生の踊り場で後ろを振り返る。
するとあんまりな過去に立ちくらみしちゃって、
しゃがみたくなったりする。
私の場合、恥で埋め尽くされた半生だからね。
しかし、十年前は話せなかった恥ずかしいコトも
近頃急に、カミングアウトできるようになっちゃった。
羞恥心がどんどん消えていく。というわけではない。
恥は知ってるんだけど、恥と感じる部分が
毎年微妙に変わっていくように思う。
「郷ひろみにファンレターを書いたことがある」とか
「三善英史のレコードに合わせて歌ってた」は、どんどん言える。
一方、「あの人嫌い」みたいなことは、言えなくなる。
人を嫌う行為は、器の小ささを露呈する。
そう、たとえ、みのもんたでさえも、
「半開きの目が亀っぽくてステキ」と、
どこかいいところを見い出し、あたたかく見守る。
そんなふうにかっこつけてしまうのが、私のオバサン魂である。
私にとって見栄をはりたいことはただひとつ。
懐の広さだ。
家なんて狭くていいの。
収入少ないのも、離婚歴も、通院歴も、恥ではないの。
了見が狭い。これは隠して隠して、実像を追い付かせたいと思ってる。
私の恥は、おいといて。
幼馴染みのオジサン(以下ジミオジと略す)は
こほんと小さく咳をして、ぽそ、と言う。
「実は一度、ものを盗んだことがある」
ほぇ〜。
この恥は、ファンレターの比じゃないぞ。
彼はまっとうを絵に描いたような真人間である。
意外だなぁ。
で、話を聞いてみた。
【ジミオジの告白】---------------------------------------
あれは小学校低学年だったと思う。
理科の時間にルーペを使ったんだ。
あの緑色のフレームの、定番の虫メガネだ。
ルーペはクラス全員に配られて、授業の終わりに回収される。
返す時、ルーペに日光が通って、キラキラ、すごく綺麗に見えたんだ。
もっと見ていたいなあと思った。
思ったとたん、手が回収箱のルーペをつかんだ。
さっとポケットに隠した。
自分でもびっくりするほど、早かった。
ただそれだけの話だよ。
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JUN 「あとでバレた?」
ジミオジ「バレない。そのまま持って帰った」
JUN 「それで遊んだ?」
ジミオジ「遊ばない。机の引き出しに入れっぱなしだった」
JUN 「盗んでまで欲しかったんでしょ?」
ジミオジ「隠した瞬間、いやあな感じがしたんだ。
それで、2度と見たくなかったんだ」
JUN 「盗んだ瞬間に後悔したんだ…」
ジミオジ「うん、まあ。盗む、という意識もなかったけどね。
綺麗だから、見ていたかっただけ」
JUN 「返すことはしなかったの?」
ジミオジ「思い付かなかったな…」
ジミオジはその後、一度も盗みを働かず、
まっとうなオトナになったという。
オジサンになってやっと告白できた過去だけど、
まだまだ嫌な感触が残っているみたいで、
「言うには早すぎた」と後悔してるみたい。たぶんね。
彼の羞恥心は、ルーペに関してまだまだ不変のようである。
物を盗む。
人をたたく。
嘘をつく。
悪いことと自覚のある悪いこと。
やるよね。
やりながら人はオトナになっていく。
悪いことをしたとき、どういう感触をもつか。
それがその後の人生をちょっとずつ変えていくポイントかもしれない。
悪いことをするかしないかではなく、
した時どう感じたかが、重要なのだ。
ジミオジはあの時の嫌な思いがベクトルとなって
その後の人生を生きている。
一方、政治家は年金を払い忘れた。
払い忘れたこと自体は小さいことだと私は思う。
私は離婚した時、その日のうちに国民年金の手続きをとったけど
「よく忘れずにしたものよ」と自分を誉めてあげたくなる。
加入や脱退が、仕事や結婚と連動してたり、
場合によっては、自己申告だったりする。
ユルくて、はかないシステムなの。
いつの間にか未払いになっちゃってる人、多いと思う。
女優だって政治家だって、払い忘れ自体は、ちっちゃいこと。
それよりも。
「わざとじゃないからええやん」と言ってしまえる
彼らの「感じ方」こそが、恐ろしい。
彼らのその後の人生は、そういうベクトルで進むのだ。
かわいそ…。
ルーペを盗んで嫌な思いをした少年。
その成れの果ては、なかなかいい感じの、オヤジだ。
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□ シネマ de ぶんぶん
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『ビッグ・フィッシュ』 5月15日〜 公開
監督 ティム・バートン
出演 ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ジェシカ・ラング
【JUNKOの感想ぶん】
オトウサンのことを大嫌いだった時期って、ありますか?
私はありました。
若い読者の方は、これからかもしれないし、
「今まさにまっさいちゅう」な人もいるでしょう。
もちろん、オトウサンのことずっと好き。な人もいるでしょう。
子どもの頃、父のことをとても立派な人間だと思ってて、
実はそうでもない。と気付いた時、私は父を嫌いになった。
自分がオトナになって、立派であることの難しさを知り、
それからだんだん、父を愛しく思えるようになった。
私の父は、大きな善行を成し遂げたりはしてないが、
今、年老いて、ただ機嫌よく生きている。
それってエラいと思う。
機嫌よく生きるって、難しいからね。
駄目なとこがいっぱいあるオトウサンを
まるごと受け入れられるようになる。
それが、オトナになるってことじゃないかな。
この映画は、オトウサンを好きになれない息子が、
オトウサンの死に直面して、オトウサンの良さが見えてくる。
というお話だ。
こう書いちゃうと、ヒューマンドラマちっくだが、
オトウサンというのが、大ぼらふきの、おしゃべり男で、
その大ぼらが、劇中劇になっちゃってる仕掛けだから、
突拍子もないファンタジーになってる。
ディズニーランドに迷い込んだみたいな。
「不思議贅沢」な気分になる。
監督は『シザーハンズ』のティム・バートンだ。
バートンは万年小僧っぽい。
監督業の中で、だんだんオトナになる自分を表現している。
『シザーハンズ』では理解されない人間の孤独といら立ちを表現し、
『ビッグ・フィッシュ』では一歩引くことにより相手を理解する
オトナの顔を見せている。
自己実現のために映画を作っているみたい。
だから、面白い。
映画というのは、観衆に迎合すると、小さくなるものだ。
一般的に、おしゃべりは無口より、地位が低い。
が、この映画はおしゃべり讃歌だ。
人を幸せにするためのホラはどんどんふこう。
すると事実が追い付いてくるよ。
という、楽しいお話なの。
観るとホラがふきたくなる。危険な映画とも言えます。
↓充実の公式サイト。監督の記者会見は必見。
http://www.sonypictures.jp/movies/bigfish/
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